JP2017045045A - 画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017045045A
JP2017045045A JP2016155061A JP2016155061A JP2017045045A JP 2017045045 A JP2017045045 A JP 2017045045A JP 2016155061 A JP2016155061 A JP 2016155061A JP 2016155061 A JP2016155061 A JP 2016155061A JP 2017045045 A JP2017045045 A JP 2017045045A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
resin
group
toner
represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016155061A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6762799B2 (ja
Inventor
奥田 篤
Atsushi Okuda
篤 奥田
友紀 山本
Yuki Yamamoto
友紀 山本
和範 野口
Kazunori Noguchi
和範 野口
石塚 由香
Yuka Ishizuka
由香 石塚
見目 敬
Takashi Kenmoku
敬 見目
昇平 芝原
Shohei Shibahara
昇平 芝原
大侍 桂
Dae Si Gye
大侍 桂
橋本 康弘
Yasuhiro Hashimoto
康弘 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to US15/241,752 priority Critical patent/US20170060008A1/en
Publication of JP2017045045A publication Critical patent/JP2017045045A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6762799B2 publication Critical patent/JP6762799B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】良好なクリーニング性を有し、帯電部材の汚染による画像品質低下を抑制することができる画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供する。【解決手段】電子写真感光体の表面層が、(i)又は(ii)の条件を満足し、かつ、トナーが、イソソルビドユニットを有する樹脂を含有する。(i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する(ii)ポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。詳しくは、特定の電子写真感光体と特定のトナーとを用いる画像形成方法、並びに、特定の電子写真感光体と特定のトナーとを具備するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
画像形成方法である一般的な電子写真プロセスとして、像担持体(電子写真感光体。以下、「感光体」ともいう)上に電気的潜像を形成し、該潜像にトナーを供給して可視化し、紙などの転写材にトナー画像を転写した後に、熱や圧力により転写材上にトナー画像を定着して記録画像(複写物、印刷物等)を得る方法が知られている。
転写工程の後には、電子写真感光体上に残ったトナーを除去するクリーニングが行われる。クリーニング方法として最も広く用いられている手段に、ブレードクリーニングがある。ブレードクリーニングとは、ゴム等の弾性を有するブレード状の部材を電子写真感光体の表面に押し当てて、トナーをかき取る方法である。
ブレードクリーニングでは、トナーがブレードと電子写真感光体の当接ニップ部をすり抜けてしまうクリーニング不良をできる限り抑えることが重要である。クリーニング不良が起こると、すり抜けたトナーが帯電部材に付着する帯電部材汚染が発生する。帯電部材が汚染された領域では、感光体の帯電プロセスが正常に行われなくなり、画像品質を損なう。また、一度トナーのすり抜けが起こると、すり抜けによって生じたブレードと電子写真感光体間の隙間をトナーが立て続けに通過しやすくなり、帯電部材汚染がより悪化していく。このため、クリーニング不良の発生を抑えない限りは、帯電部材に付着したトナーを除去する機構を設ける必要があり、機構が複雑になったり、プロセスカートリッジや電子写真装置の大型化やコストアップの要因となったりする。
クリーニング不良が発生する要因としては、ブレードと感光体との当接ニップに留まっているトナー等による介在物(滞留層)の量が少なく、ブレードにかかる摩擦が不均一となるため、ブレードのスティック−スリップ運動が不安定になりやすい状態であることが一因と考えられる。
ブレードのスティック−スリップ運動を安定化させるために、非画像形成時にトナーをブレードニップへ吐き出し介在物(滞留層)の量を増やすことで、スティック−スリップ運動を安定化させる試みがなされている。しかし、この方法では、非画像形成時の時間が余分にかかってしまい、紙出力の生産性低下等の課題があった。
また、新品のプロセスカートリッジや電子写真装置の使用初期段階においても、クリーニング不良が発生しやすい場合が多い。これは、新品のプロセスカートリッジや電子写真装置の使用初期段階では、ブレードと感光体との当接ニップ部近傍に留まっているトナー等による介在物(滞留層)の量が少ないことが一因と考えられる。当接ニップ部近傍の介在物の量が少ないと、ブレードにかかる摩擦が不均一となるため、ブレードのスティック−スリップ運動が不安定になりやすく、トナーのすり抜けが生じやすい。
新品のプロセスカートリッジや電子写真装置の使用初期段階からブレードのスティック−スリップ運動を安定的にするために、プロセスカートリッジや電子写真装置の製造時に、クリーニングブレードのエッジ部にトナー、フッ化カーボン、酸化セリウム、酸化チタン、シリカ、及びトスパール(登録商標)の如き粒子を潤滑剤として塗布する試みがなされている。しかし、ブレードに潤滑剤を塗布することによる対策は、製造工程の煩雑化につながるため、潤滑剤の塗布を行うことなく、クリーニング不良の発生を抑制する手段が求められている。
クリーニング不良を抑制するための他の対策手段として、例えば、ブレードのエッジ部を感光体表面上に押し当てる線圧を上昇させて、トナーのすり抜けを防止する試みがなされている。しかし、この単なる線圧の上昇による対策手段では、ブレードエッジ部の欠けの促進、ブレードのびびり振動による異音の発生、さらには、感光体の摩耗の促進などの問題が起こる恐れがある。
特許文献1では、非球状で不定形の大粒径シリカ粒子をトナーの外添剤に用いることで、クリーニング不良を抑制する手法が提案されている。しかしながら、大粒径の無機外添剤の使用は、トナーの低温定着性を損なう恐れがある。これにより、定着工程における消費電力が上がってしまう可能性がある。
特開2007−279702号公報
近年、画像出力の生産性向上が求められ、待機時間が短縮されてきている。これにより、ブレードと感光体との当接ニップ部に対し、これまで行われてきたトナー吐き出し回数が低減されてきている。特に、低印字条件などでは、画像形成時に滞留層が十分に形成されず、クリーニング不良に至りやすくなる可能性が出てきている。中でも、低印字条件での繰り返し使用を行った後での高印字はクリーニング不良に至りやすい。したがって、クリーニング不良を抑制し、良好な画像品質を得るためには、非画像形成時のトナー吐き出しを低減した状態において、ブレードのスティック−スリップ運動を安定化させる手段が求められている。
また、電子写真プロセスの進化に伴い、新品のプロセスカートリッジや電子写真装置を起動してから印刷可能のスタンバイ状態に至るまでの前回転時間が短縮されてきている。これにより、前回転中に現像部からトナーの吐き出しを行っても、ブレードと感光体との当接ニップ部近傍においてトナーの偏在が十分に均される時間が得られにくくなっている。当接ニップ近傍において、トナーの偏在が十分に均されないと、滞留層が十分に形成されないうちに画像形成が行われ、ブレードのスティック−スリップ運動が不安定になり、クリーニング不良に至りやすくなる可能性が出てきている。したがって、クリーニング不良を抑制し、良好な画像品質を得るためには、新品のプロセスカートリッジや電子写真装置の使用初期段階において、滞留層の形成が不十分であっても、ブレードのスティック−スリップ運動を安定化させ、かつ、その後短時間で滞留層を均一に形成させる手段が求められている。
本発明の目的は、上記課題を解消した画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。即ち、トナー吐き出し回数を低減し、良好なクリーニング性を有し、帯電部材の汚染による画像品質低下を抑制することができる画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。また、新品のプロセスカートリッジや電子写真装置の使用初期段階においても、クリーニング不良の発生が抑えられ、良好な画像品質を得ることができる画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明は、電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電工程と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程と、該電子写真感光体上の該トナー画像を転写材に転写する転写工程と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング工程と、を有する画像形成方法において、
該電子写真感光体の表面層が、下記(i)又は(ii)の条件を満足し、
(i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する
(ii)式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する
(式(1)中、R11、R12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。nは、10以上200以下の整数を示す。)
該トナーは、その表面に式(14)で示されるイソソルビドユニットを有する樹脂Cを含有するトナー粒子を有することを特徴とする画像形成方法に関する。
また、本発明は、電子写真装置本体に取り外し可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
該プロセスカートリッジが、電子写真感光体と、該電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電手段と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング手段を有し、
該電子写真感光体の表面層が、下記(i)又は(ii)の条件を満足し、
(i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する
(ii)式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する
該トナーは、その表面に式(14)で示されるイソソルビドユニットを有する樹脂Cを含有するトナー粒子を有することを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、電子写真感光体と、該電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電手段と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、該電子写真感光体上の該トナー画像を転写材に転写する転写手段と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング手段と、を有する画像形成方法において、
該電子写真感光体の表面層が、下記(i)又は(ii)の条件を満足し、
(i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する
(ii)式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する
該トナーは、その表面に式(14)で示されるイソソルビドユニットを有する樹脂Cを含有するトナー粒子を有することを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明によれば、トナー吐き出し回数を低減し、良好なクリーニング性を得ることができる。また、新品のプロセスカートリッジや電子写真装置の使用初期段階においても良好なクリーニング性を得ることができる。これにより、帯電部材の汚染による画像品質低下を抑制することができる画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。 溶解性パラメータと凝着エネルギーの関係を示す図である。
本発明の画像形成方法は、電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電工程と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程と、該電子写真感光体上の該トナー画像を転写材に転写する転写工程と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング工程と、を具備する。
また、該電子写真感光体は、次の特徴を有する。即ち、該電子写真感光体は、表面層が、下記(i)又は(ii)の条件を満足する。
(i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する
(ii)式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する
(式(1)中、R11、R12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。nは、10以上200以下の整数を示す。)
該トナーは、その表面に式(14)で示されるイソソルビドユニットを有する樹脂Cを含有するトナー粒子を有する。
<トナー>
本発明に用いられるトナーについてさらに詳細に説明する。本発明のトナーが有するトナー粒子は樹脂を有する。トナー粒子が有する樹脂は、式(14)で示されるイソソルビドユニットを構成成分として含有する樹脂C(以下「樹脂C」ともいう)を含有している。
本発明で述べているイソソルビドユニットを有する樹脂Cは、アルコール成分としてイソソルビドを用いたポリエステル樹脂であることが好ましい。樹脂Cがポリエステル樹脂である場合、樹脂Cは、二塩基酸又はその無水物と、下記式(17)で示されるイソソルビド及び二価のアルコールとを、カルボキシル基が残存する組成比率で、窒素雰囲気中、180〜260℃の反応温度で脱水縮合する方法などにより調製することができる。また、必要に応じて三官能以上の多塩基酸又はその無水物、一塩基酸、三官能以上のアルコール、一価のアルコールなどを用いることも可能である。
該二価のアルコールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのような脂肪族系のジオール類;が挙げられる。
三価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
一方、上記二塩基酸などの酸成分としては下記のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸のような芳香族多価カルボン酸;フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸のような脂肪族多価カルボン酸;ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸のような炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸の脂肪族多価カルボン酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜8)エステル。それらの中でも特に、ビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルを酸成分として、これらを縮重合して得られるポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
本発明において、樹脂Cは、式(14)で示されるイソソルビドユニットを構成成分として0.10mol%以上含有することが、良好なクリーニング性を効果的に発現できる点から好ましい。また、トナーの帯電量の安定性の観点から、30.00mol%以下であることがより好ましい。即ち、樹脂Cは、式(14)で示されるイソソルビドユニットを0.10mol%以上30.00mol%以下含有することがより好ましい。さらには、0.50mol%以上20.0mol%以下含有することがさらに好ましい。
樹脂Cの組成は、一般的な手法である樹脂のH−NMR測定による水素原子(樹脂を構成している水素原子)のピーク面積比による換算法等によって確認することができる。
本発明において、樹脂Cの酸価は、0.5mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下であることが、トナーの帯電量を良好に維持できる観点から好ましい。さらには、1.5mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。なお、樹脂Cの酸価(mgKOH/g)は、重合時のモノマー組成比などによって制御可能である。
本発明において、樹脂として、樹脂Cと共に、従来公知のスチレンアクリル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、あるいはポリエステル樹脂を併用してもよい。樹脂C以外の樹脂を併用する場合、樹脂Cの、トナー中の数平均分子量(Mn)が1500以上の全樹脂に対する含有量は、1.0質量%以上35.0質量%以下であることが好ましい。樹脂Cの含有量が1.0質量%以上であることが、良好なクリーニング性を効果的に得られる点から好ましい。さらに樹脂Cの含有量は、35.0質量%以下であることが、トナーの吸湿特性を抑制できる点から好ましい。
なお、本発明のトナーにおいて、樹脂Cの含有量は、上述のようにトナー中の数平均分子量(Mn)が1500以上の全樹脂に対する割合(質量%)で表す。即ち、本発明における樹脂Cの含有量は、下記式で表される。
(式) 樹脂Cの含有量(質量%)=100×{樹脂C(質量)/トナー中の数平均分子量(Mn)が1500以上の全樹脂(質量)}
また、同様に、樹脂C以外の樹脂を併用する場合も、樹脂C以外の樹脂の含有量は、トナー中の数平均分子量(Mn)が1500以上の全樹脂に対する割合(質量%)で表す。
本発明において、樹脂Cは、スチレンアクリル樹脂と併用することがより好ましい。さらには、スチレンアクリル樹脂の、該トナー中の数平均分子量が1500以上の全樹脂に対する含有量を、50.0質量%以上99.0質量%以下とすることが、トナーの帯電性を良好なものとすることができることから特に好ましい。より好ましくは、60質量%以上80質量%以下である。
具体的には、該構成によりトナーの帯電量を最適化でき、さらにはトナーの帯電量分布をシャープにできる。その結果、本発明のトナーを一成分現像方式などに用いた場合、画像濃度が良好であり、カブリの発生が抑制された画像を提供することが可能である。これは、低抵抗の樹脂Cと高抵抗のスチレンアクリル樹脂の両者を最適な量で存在させることで、トナーの抵抗値が最適化され、結果としてトナーの帯電量分布がシャープになるものと考えている。
本発明の樹脂Cと併用するに好ましいスチレンアクリル樹脂とは、スチレンモノマーとアクリル系モノマーの共重合体である。アクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ベヘニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルのようなアクリル酸エステル系モノマー、あるいはメタクリル酸エステル系モノマー;などが挙げられる。
また、スチレンモノマーとアクリル系モノマーと共に、スチレンモノマー以外の芳香族ビニルモノマーを併用してもよい。該芳香族ビニルモノマーとしては、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレン誘導体が挙げられる。
本発明において、トナーの機械的強度を高めると共に、スチレンアクリル樹脂の分子量を制御するために、架橋剤を用いてもよい。
該架橋剤としては、2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA、日本化薬社製)、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
一方、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートなどが挙げられる。
本発明において、上記スチレンアクリル樹脂のピーク分子量(Mp)は、5000以上30000以下であることが好ましく、8000以上27000以下であることがより好ましい。スチレンアクリル樹脂のピーク分子量(Mp)が5000未満の場合、スチレンアクリル樹脂と共存している樹脂Cの分子鎖の分子運動が大きくなり、高湿環境下での吸湿性が高くなる傾向にあり、トナーの帯電量が低下する傾向にある。また、ピーク分子量(Mp)が30000を超えると、スチレンアクリル樹脂と樹脂Cとの相溶性が低下する傾向にあり、トナー中に樹脂Cの大きなドメインが形成されやすく、トナーの帯電量分布がブロードになりやすい。
樹脂のピーク分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)などの既存の装置を用いて測定することができる。
本発明のトナーは着色剤を含有してもよい。該着色剤としては、公知のものを使用することができる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、以下に示すイエロー、マゼンタ、及びシアン着色剤を用い各色に調色されたものが挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214などが例示できる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、以下の、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが例示できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが例示できる。
これらの着色剤は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。前記着色剤の添加量は、好ましくは樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下である。
本発明のトナーにおいて、磁性材料を含有させ磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性材料は着色剤の役割をかねることもできる。
該磁性材料としては、以下の、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あるいはこれら金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物などが例示できる。
磁性材料は、好ましくは、表面改質されたものである。懸濁重合法により磁性トナーを調整する場合には、重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
該磁性材料は、個数平均粒径が2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。トナー中の含有量は、樹脂100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
本発明のトナーはワックスを含有してもよい。該ワックスとしては、以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムのような石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体。誘導体としては酸化物や、ビニル系単量体とのブロック共重合物、グラフト変性物などが挙げられる。さらには、以下のものが挙げられる。高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス;硬化ヒマシ油及びその誘導体;植物系ワックス;動物性ワックス。この中で特に、離型性に優れるという観点からエステルワックス及び炭化水素ワックスが好ましい。より好ましくは、トータルの炭素数が同一の化合物が50質量%以上95質量%以下ワックスに含有されているものが、ワックス純度が高く現像性の観点で好ましい。
該ワックスの含有量は、樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、3質量部以上25質量部以下である。ワックスの含有量が、1質量部以上40質量部以下の場合には、トナーの加熱加圧時に適度なワックスのブリード性を持てることにより、高温時の耐巻きつき性が向上する。さらに、現像時や転写時のトナーへのストレスを受けてもトナー表面へのワックスの露出が少なく、トナー個々の均一な帯電性を得ることができる。
本発明のトナーは、流動性などの向上を目的として無機微粒子がトナー粒子に外添されている態様が好ましい。
トナー粒子に外添する無機微粒子としては、少なくともシリカ微粒子を含むことが好ましい。該シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、4nm以上80nm以下であることが好ましい。シリカ微粒子の一次粒子の個数平均粒径が上記範囲にあることで、トナーの流動性が向上すると共に、トナーの保存安定性も良好になる。
該無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、走査電子顕微鏡で観察し、視野中の100個の無機微粒子の一次粒子の粒径を測定し、その算術平均により求める。
該無機微粒子として、シリカ微粒子と、酸化チタン、アルミナ又はそれらの複酸化物の微粒子を併用することができる。併用される無機微粒子としては、酸化チタンが好ましい。
該シリカ微粒子としては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成された乾式シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラスから製造される湿式シリカの両者の微粒子が含まれる。シリカとしては、表面及びシリカの内部にあるシラノール基が少なく、またNaO、SO 2−の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また、乾式シリカは、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンのような他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能である。シリカはそれらも包含する。
無機微粒子は、また、トナーの摩擦帯電性の均一化のために添加される。無機微粒子を疎水化処理することによって、トナーの摩擦帯電量の調整、環境安定性の向上、高湿環境下での特性の向上などの機能を付与することができるので、疎水化処理された無機微粒子を用いることが好ましい。トナー粒子に外添された無機微粒子が吸湿すると、トナーとしての摩擦帯電量が低下しやすく、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
無機微粒子の疎水化処理のための処理剤としては、以下のものが挙げられる。
未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物。これらの処理剤は単独であるいは併用して用いてもよい。
その中でも、シリコーンオイルにより処理された無機微粒子が好ましい。より好ましくは、無機微粒子をカップリング剤で疎水化処理するのと同時、あるいはカップリング剤で疎水化処理した後に、シリコーンオイルにより処理した疎水化処理無機微粒子が高湿環境下でもトナー粒子の摩擦帯電量を高く維持し、選択現像性を低減できるという点でよい。
該無機微粒子の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、通常、0.01質量部以上10質量部以下であり、好ましくは、0.05質量部以上5質量部以下である。
本発明のトナーの製造方法は、特に限定されず、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、粉砕法など、従来公知の方法を用いることができる。上記の中でも懸濁重合法は、水とトナー材料の極性のバランスを利用して、トナー表面近傍の樹脂Cの存在状態を容易に制御することができる。そのため懸濁重合法は、トナーの帯電性を良好なものとするうえで、より好ましい形態である。
以下に懸濁重合法を用いたトナー粒子の製造方法を説明する。
まず、樹脂C、及び、必要に応じて樹脂C以外の樹脂を生成する重合性単量体、並びに、必要に応じて着色剤などの他の成分を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体を重合する。重合によって得られた粒子は、ろ過、洗浄、乾燥工程を経てトナー粒子とするとよい。
該水系媒体には、重合性単量体組成物を均一に分散させて、重合性単量体組成物の液滴を造粒するために、分散剤を添加するとよい。
スチレンアクリル樹脂を用いる場合、懸濁重合法において、トナー中のスチレンアクリル樹脂の含有量を調整する方法としては、重合性単量体として、スチレンモノマー及びアクリル系モノマーを用いてもよいし、懸濁重合を行う際に予めスチレンアクリル樹脂を添加して調整してもよい。
懸濁重合法において用いられる重合開始剤は、重合性単量体中に他の添加物を添加するときに同時に加えてもよいし、水系媒体中に重合性単量体組成物を造粒する直前に混合してもよい。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えてもよい。
該重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチル−パーオキシピバレートのような過酸化物系重合開始剤。
これらの重合開始剤の使用量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には、上記重合性単量体100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の種類は、目的により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に選定され、単独又は混合して使用される。
上記重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させるための分散剤としては、公知の無機系及び有機系の分散剤を用いることができる。
無機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。
リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ。
一方、有機系の分散剤としては、以下のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン。
また、重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させるための分散剤として、市販のノニオン型、アニオン型、カチオン型の界面活性剤の利用も可能である。このような界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム。
これらの上記重合性単量体組成物を水系媒体中に分散させるための分散剤の中でも、無機系の難水溶性の分散剤が好ましく、しかも酸に可溶性である難水溶性の無機分散剤を用いることがより好ましい。
該分散剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下であることが好ましい。また、該水系媒体は、重合性単量体組成物100質量部に対して、300質量部以上3,000質量部以下の水を用いて調製されることが好ましい。
本発明において、上記のような難水溶性の無機分散剤が分散された水系媒体を調製する場合には、市販の分散剤をそのまま用いて分散させてもよい。また、細かい均一な粒度を有する分散剤の粒子を得るために、水系媒体中で、高速撹拌下、難水溶性の無機分散剤を生成させて調製してもよい。例えば、リン酸三カルシウムを分散剤として使用する場合、高速撹拌下でリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合してリン酸三カルシウムの微粒子を形成することが挙げられる。
<電子写真感光体>
本発明に用いられる電子写真感光体についてさらに詳細に説明する。
電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層(電荷発生層、電荷輸送層)が形成されてなる円筒状の電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状、シート状などの形状とすることも可能である。
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金製の支持体の場合は、ED管(Extrusion Drawing)、EI管(Extrusion Ironing)や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解及び研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理した支持体を用いることもできる。また、金属支持体、樹脂支持体上にアルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成したものを用いることもできる。支持体の表面は、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子のような導電性粒子を樹脂などに含浸した支持体や、導電性樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
支持体と、後述の下引き層または電荷発生層との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆を目的として導電層を設けてもよい。これは、導電性粒子を樹脂に分散させた導電層用塗布液を用いて形成される層である。導電性粒子としては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀のような金属粉や、導電性酸化スズ、ITOのような金属酸化物粉体が挙げられる。
導電層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂及びアルキッド樹脂が挙げられる。
導電層用塗布液の溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及び芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる電子写真感光体では、支持体または導電層と、電荷発生層との間には、下引き層を設けてもよい。
下引き層は、樹脂を含有する下引き層用塗布液を支持体または導電層上に塗布し、これを乾燥または硬化させることによって形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、下引き層には、半導電性粒子、電子輸送物質、あるいは電子受容性物質を含有させてもよい。
支持体、導電層または下引き層上には、電荷発生層が設けられる。
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料及びペリレン顔料が挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため好ましい。
電荷発生層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂及び尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を樹脂及び溶剤とともに分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
分散方法としては、たとえば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルを用いた方法が挙げられる。
電荷発生物質と樹脂との割合は、1:10〜10:1(質量比)の範囲が好ましく、特には1:1〜3:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質、または電子受容性物質を含有させてもよい。
電荷発生層上には、電荷輸送層が設けられる。電荷輸送層が最表面となる場合は、該電荷輸送層が表面層となる。また、電荷輸送層を積層して用いる場合は、最表面に位置する電荷輸送層が表面層となる。さらには、電荷輸送層上に保護層を設けてもよく、その場合は保護層が表面層となる。
本発明では、表面層は、式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A、及び式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する。
また、本発明では、フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する。
このような構成の表面層は良好なクリーニング性を有する。クリーニング性が良好となる理由としては、主に次の3つの理由があると本発明者等は考えている。
1つ目としては、フッ素樹脂粒子やポリシロキサン構造を有する電子写真感光体の表面層に、イソソルビドユニットを有するトナーは付着しにくいことによるものと考えられる。本発明者らが樹脂同士の付着力に影響する因子を探索したところ、樹脂同士の凝着エネルギーは樹脂の溶解性パラメータ(SP値)と相関があることを見出した。図2は、種々の樹脂とウレタンゴム間の凝着エネルギーを測定し、各樹脂のSP値を横軸にとり、樹脂とウレタンゴムの凝着エネルギーを縦軸にプロットしたグラフである。ここから、樹脂とウレタンゴムとのSP値の差が大きくなるほど、凝着エネルギーが小さくなることが分かる。本発明では、電子写真感光体の表面層がSP値の低いフッ素樹脂粒子やポリシロキサン構造を有し、トナーの表面がSP値の高いイソソルビドユニットを有することで、これらを有さない電子写真感光体やトナーと比べてSP値が互いに離れることにより、固体同士の付着力が弱くなっていると考えられる。
電子写真感光体の表面層にトナーが付着しにくいと、クリーニングブレードと感光体との当接ニップ部において、トナーが感光体表面に固着せずに当接ニップ部近傍全域に広がりやすくなる(初期において偏在していたトナーがクリーニングブレード長手方向において均されやすくなる)ため、均一な滞留層を形成しやすくなる。また、トナーが感光体表面上を滑りやすくなることから、当接ニップ部近傍において、摺擦する感光体表面とクリーニングブレードとがおよぼすトナーを回転させる力が、トナーに伝わりにくくなる(トナーに対して回転方向の力が作用しづらくなる)。当接ニップ部近傍におけるトナーの転がりが抑制されると、トナーの回転力によるクリーニングブレードの押し上げが発生しづらくなり、トナーが当接ニップをすり抜けることを抑制できると考えられる。
2つ目としては、トナーに含まれるイソソルビドユニットが親水性を示すことから、トナー同士に適度な相互作用が生まれることによると考えられる。トナー同士に適度な相互作用があることで、ブレードと感光体との当接ニップ部近傍に存在するトナーの量が少量であっても、運ばれてくる転写残トナーや外添剤をせき止める機能を果たしやすくなると考えられる。
3つ目としては、電子写真感光体の表面層にフッ素樹脂粒子やポリシロキサン構造が存在することで、フッ素樹脂粒子やポリシロキサンの低摩擦効果により、ブレードのスティック−スリップ運動を安定化できることによると考えられる。これにより、当接ニップ部近傍に存在するトナーの量が少量であっても、ブレードのビビリ振動が発生せず、滞留層形成が速やかに行われると考えられる。
以上のメカニズムの相乗効果により、本発明の画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置は、良好なクリーニング性を有し、帯電部材の汚染による画像品質低下を抑制することができると考えられる。
次に、表面層が式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A(以下「ポリアリレート樹脂A」ともいう)、及び式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂B(以下「ポリカーボネート樹脂B」ともいう)からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する構成について詳細に説明する。
ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂B中における式(1)で示されるポリシロキサン構造の含有量は、5.0質量%以上60質量%以下であることが好ましい。良好なクリーニング性が得られる点から、含有量が5.0質量%以上であることが好ましい。また、含有量が60質量%以下であることが、クリーニング性向上の効果を安定的に得られやすい点から好ましい。さらには、含有量が10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂B中に含まれる、式(1)で示される構造の含有量は、一般的な手法である樹脂のH−NMR測定による水素原子(樹脂を構成している水素原子)のピーク面積比による換算法等によって確認することができる。
電子写真感光体最表面におけるケイ素含有化合物の存在度合いは、最表面の構成元素に対するケイ素元素の存在割合を測定することで知ることができる。本発明において、X線光電子分光法(ESCA;Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)を用いて得られる電子写真感光体の表面層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合が、3.0原子%以上であることが好ましい。ケイ素元素の存在割合が3.0原子%以上であると、より良好なクリーニング性が得られる。さらには、ケイ素元素の存在割合が5.0原子%以上であることがより好ましい。また、ケイ素元素の存在割合が30原子%以下であることが良好なクリーニング性がより安定的に得られる点で好ましい。
本発明において、X線光電子分光法(ESCA)による電子写真感光体の表面層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合の測定は、以下のとおり行った。
使用装置:
PHI社(Physical Electronics Industries, INC.)製 Quantum 2000 Scanning ESCA Microprobe
測定条件:
励起X線:Al Kα
光電子脱出角度:45°
X線:100μm 25W 15kV
ラスター:300μm×200μm
電子中和銃:20μA、1V
イオン中和銃:7mA、10V
Pass Energy:58.70eV
Step Size:0.125eV
Sweep:F(10回)、C(10回)、O(10回)、Si(30回)、N(30回)
以上の条件により測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(原子%)を算出し、表面層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合とする。
本発明において、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bが有するポリシロキサン構造は、下記式(15)で示されるポリシロキサン構造であることが、本発明の効果をより得られやすくなるため好ましい。これは、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bが式(15)で示されるポリシロキサン構造を有することで、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bが表面層の最表面へ局在化しやすくなり、最表面におけるポリシロキサンの存在量が高まるためと考えられる。
式(15)中のR151〜R154は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。また、式(15)中のR151〜R154は、メチル基またはフェニル基であることが好ましい。
式(15)中のZは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアリール基を示す。
式(15)中のnは、10以上200以下の整数を示す。
また、本発明において、ポリアリレート樹脂Aまたはポリカーボネート樹脂Bは、末端の少なくとも一部に下記式(2)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂または末端の少なくとも一部に下記式(2)で示されるポリシロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂であることが好ましい。末端の少なくとも一部に式(2)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂において、式(2)で示されるポリシロキサン構造が末端に結合する主鎖を構成する構造単位としては、後述する式(9)や(10)が挙げられる。そして、末端の少なくとも一部に式(2)で示されるポリカーボネート樹脂において、式(2)で示されるポリシロキサン構造が末端に結合する主鎖を構成する構造単位としては、後述する式(11)や(12)が挙げられる。
また、ポリアリレート樹脂Aまたはポリカーボネート樹脂Bは、下記式(3)〜(5)で示される構造単位の少なくとも1種を有するポリアリレート樹脂、あるいは、下記式(6)〜(8)で示される構造単位の少なくとも1種を有するポリカーボネート樹脂であることが好ましい。本発明の効果をより効果的に得られる点から、末端の少なくとも一部に式(2)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂または末端の少なくとも一部に式(2)で示されるポリシロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂、式(5)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂、または式(8)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂のいずれかであることがより好ましい。これは、末端の少なくとも一部に式(2)で示されるポリシロキサン構造を有する、または、式(5)で示される構造単位あるいは式(8)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bは、表面層の最表面へ局在化しやすいことに加え、最表面に局在化した樹脂中のポリシロキサン構造が最表面へ向けて配向しやすいことから、最表面におけるポリシロキサンの存在量がさらに高まるためと考えられる。
なお、上記のポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bは、1種のみで用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
以下に、式(2)〜(8)で示される構造について詳しく説明する。
式(2)は1価の基であり、式(2)中のR21〜R24は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、アルキル基、またはフェニル基が好ましく、メチル基またはフェニル基がより好ましい。
式(2)中のZは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(2)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、10以上200以下の整数である。
式(2)中のmは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、1以上3以下の整数である。
以下に、式(2)で示される構造の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
これらの中でも、式(2−1)、(2−2)、(2−5)、(2−7)、(2−11)または(2−13)で示される構造が好ましい。また、上記の構造を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(3)中のR31〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、または下記式(3−A)で示される置換基を示し、R31〜R34のうち少なくとも1つは式(3−A)で示される置換基である。
式(3)中のXは、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
式(3)中のYは単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、またはフェニルエチリデン基を示す。
以下に、式(3)で示される構造単位の具体例を示すが、これらに限られるものではない。式(3−1)〜(3−14)中、Aは式(3−A)を示す。
これらの中でも、式(3−1)、(3−2)、(3−3)、(3−4)、(3−5)、(3−6)、(3−7)または(3−11)で示される構造単位が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(3−A)中のR311〜R314は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、アルキル基、またはフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(3−A)中のZは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(3−A)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値は10以上200以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(3−A)中のmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。mの平均値は0以上5以下である。
以下に、式(3−A)で示される基の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
これらの中でも、式(3−A−1)、(3−A−2)、(3−A−4)または(3−A−7)で示される構造単位が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(4)中のR41〜R44は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、またはフルオロアルキル基を示す。なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(4)中のR45は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、水素原子、メチル基またはフェニル基が好ましい。
式(4)中のXは、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
式(4)中のVは、下記式(4−A)及び(4−B)で示される構造の少なくとも一方を示す。
以下に、式(4)で示される構造単位の具体例を示すが、これらに限られるものではない。式(4−1)〜(4−12)中、Vは式(4−A)または(4−B)を示す。
これらの中でも、式(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(4−5)または(4−6)で示される構造単位が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(4−A)中のR411〜R414は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、メチル基が好ましい。
式(4−A)中のZは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(4−A)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値は10以上200以下である。さらには、nの平均値は10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(4−A)中のmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性を得る観点から、mの平均値は3以上20以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数mの最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(4−B)中のR421〜R428は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、メチル基が好ましい。
式(4−B)中のZ及びZは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(4−B)中のn及びnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値及びnの平均値は、それぞれ独立に、10以上200以下であり、nの平均値とnの平均値との合計値は、20以上250以下である。さらには、nの平均値及びnの平均値は、それぞれ独立に、10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数n及びnの個々の値は、それぞれ、nの平均値及びnの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(4−B)中のmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性を得る観点から、mの平均値は3以上20以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数mの最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(5)中のXは、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
式(5)中のm及びmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。mの平均値及びmの平均値は、それぞれ独立に、1以上3以下である。
式(5)中のWは下記式(5−A)で示される構造を示す。
以下に、式(5)で示される構造単位の具体例を示すが、これらに限られるものではない。式(5−1)〜(5−6)中、Wは式(5−A)を示す。
これらの中でも、式(5−1)、(5−2)または(5−3)で示される構造単位が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(5−A)中のR511〜R520は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、メチル基が好ましい。
式(5−A)中のZは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(5−A)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値は10以上200以下である。さらには、nの平均値は10以上150以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(5−A)中のk及びlは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。kの平均値及びlの平均値は、それぞれ独立に、1以上10以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数k及びlの最大値と最小値との差は、それぞれ独立に、0以上3以下であることが好ましい。
式(6)中のR61〜R64は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基、または下記式(6−A)で示される置換基を示し、R61〜R64のうち少なくとも1つは式(6−A)で示される置換基である。
式(6)中のYは、単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、フェニルエチリデン基、シクロヘキシリデン基、または酸素原子を示す。
以下に、式(6)で示される構造単位の具体例を示すが、これらに限られるものではない。式(6−1)〜(6−9)中、Aは式(6−A)を示す。
これらの中でも、式(6−1)、(6−3)、(6−5)、(6−6)または(6−8)で示される構造単位が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(6−A)中のR611〜R614は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、アルキル基、またはフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(6−A)中のZは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(6−A)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値は10以上200以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(6−A)中のmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。mの平均値は0以上5以下である。
式(6−A)で示される構造の具体例は、前記式(3−A−1)〜(3−A−9)と同じである。ただし、これらに限られるものではない。また、前記の構造を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(7)中のR71〜R74は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル基が好ましい。
式(7)中のR75は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、水素原子、またはメチル基が好ましい。
式(7)中のVは、下記式(7−A)及び(7−B)で示される構造の少なくとも一方を示す。
以下に、式(7)で示される構造単位の具体例を示すが、これらに限られるものではない。式(7−1)〜(7−4)中、Vは式(7−A)または(7−B)を示す。
これらの中でも、式(7−1)または(7−2)で示される構造単位が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(7−A)中のR711〜R714は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、メチル基が好ましい。
式(7−A)中のZは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(7−A)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値は10以上200以下である。さらには、nの平均値は10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(7−A)中のmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性を得る観点から、mの平均値は3以上20以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数mの最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(7−B)中のR721〜R728は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、メチル基が好ましい。
式(7−B)中のZ及びZは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(7−B)中のn及びnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値及びnの平均値は、それぞれ独立に、10以上200以下であり、nの平均値とnの平均値との合計値は、20以上250以下である。さらには、nの平均値及びnの平均値は、それぞれ独立に、10以上100以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数n及びnの個々の値は、それぞれ、nの平均値及びnの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(7−B)中のmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性を得る観点から、mの平均値は3以上20以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数mの最大値と最小値との差は、0以上3以下であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(8)中のm及びmは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。mの平均値及びmの平均値は、それぞれ独立に、1以上3以下である。
式(8)中のWは下記式(8−A)で示される構造を示す。
以下に、式(8)で示される構造単位の具体例を示すが、これらに限られるものではない。式(8−1)〜(8−2)中、Wは式(8−A)を示す。
これらの中でも、式(8−1)で示される構造単位が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
式(8−A)中のR811〜R820は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。なかでも、メチル基が好ましい。
式(8−A)中のZは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。
式(8−A)中のnは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。良好なクリーニング性と電気特性を両立できる観点から、nの平均値は10以上200以下である。さらには、nの平均値は10以上150以下であることが好ましい。また、括弧内の構造の繰り返し数nの個々の値は、nの平均値で示した値の±10%の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
式(8−A)中のk及びlは、括弧内の構造の繰り返し数を示す。kの平均値及びlの平均値は、それぞれ独立に、1以上10以下である。また、括弧内の構造の繰り返し数k及びlの最大値と最小値との差は、それぞれ独立に、0以上3以下であることが好ましい。
本発明において、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bは、主鎖骨格上に、式(3)〜(8)で示される構造単位以外の構造単位を有してもよい。式(3)〜(8)で示される構造単位以外の構造単位としては、下記式(9)〜(12)で示される構造単位が好ましい。
式(9)中、R91〜R98は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、あるいは置換または無置換のアリール基を示す。なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。なかでも、単結合、または炭素数1〜3の2価の有機基が好ましい。
式(10)中、R101〜R104は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。X10は、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。nは、括弧内の繰り返し数を示す。nの平均値は、10以上150以下であることが好ましい。
式(11)中、R111〜R118は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、あるいは置換または無置換のアリール基を示す。なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。Y11は、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。なかでも、単結合、炭素数1〜3の2価の有機基、フェニルエチリデン基、シクロヘキシリデン基、または酸素原子が好ましい。
式(12)中、R121〜R124は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。nは、括弧内の繰り返し数を示す。nの平均値は、10以上150以下であることが好ましい。
以下に、式(9)〜(12)で示される構造単位の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂B中に上記の式(3)〜(8)で示される構造単位以外の構造単位を用いる場合は、1種のみで用いても、併用してもよい。
また、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bは、式(15)で示されるポリシロキサン構造の代わりに、主鎖中に直鎖状のポリシロキサン構造を含有するものでもよい。具体的には、式(10)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂、及び式(12)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。中でも、式(10−1)〜(10−3)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂、または(12−1)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂が好ましい。また、上記の構造単位を1種のみで用いても、併用してもよい。
ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bの粘度平均分子量(Mv)は、1,000以上200,000以下であることが好ましい。さらには、5,000以上100,000以下であることが、合成及び成膜性の観点から好ましい。
本発明に用いられるポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bは、例えば、エステル交換法、界面重合法、直接重合法などの公知の方法から適宜選択して合成することが可能である。
本発明において、電子写真感光体の表面層は、式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及び式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂を併用してもよい。その場合、表面層におけるポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bの合計含有量は、表面層に含有される全固形分の全質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。また、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bが末端の少なくとも一部に式(2)で示されるポリシロキサン構造を有する場合は、良好な感光体の電気特性が得られる点から、表面層におけるポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bの合計含有量は、表面層に含有される全固形分の全質量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
併用可能な樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特に、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらには、式(9)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂、もしくは式(11)で示される構造単位を有するポリカーボネート樹脂がより好ましい。式(9)で示される構造単位及び式(11)で示される構造単位の具体例は前記のとおりである。ポリアリレート樹脂Aまたはポリカーボネート樹脂Bと併用可能な樹脂は、単独、混合または共重合体として、1種または2種以上用いることができる。
本発明の電子写真感光体において、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂に加えて、下記式(16)で示されるポリジメチルシロキサンを混合して使用すると、さらに良好なクリーニング性を発現できるため好ましい。ポリジメチルシロキサンをさらに混合することで、電子写真感光体最表面におけるポリシロキサン構造の存在比率がさらに高まり、トナーに対する付着力低減効果や、クリーニングブレードとの摩擦低減効果が上がるためと考えられる。
(式(16)中、nは10以上200以下の正の整数を示す。)
式(16)で示されるポリジメチルシロキサンの混合比は、電荷輸送層に含有されるポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bに対して、3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。3.0質量%以上であると、ポリジメチルシロキサンを混合することによるクリーニング性向上の効果が得られやすい。また、20.0質量%以下であると、残留電位上昇による電子写真特性の悪化を抑制できる。
式(16)中のnは10以上100以下が特に好ましい。
なお、ポリジメチルシロキサンの単独添加では、少量の添加によっても残留電位が著しく上昇し易く、感度低下による画像濃度の低下やゴースト等のメモリー画像が発生しやすくなる。しかし、本発明にかかるポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂とポリジメチルシロキサンとを前述の範囲で混合することで、残留電位上昇が発生しにくく、良好な画像品質が得られる。
表面層には、電荷輸送物質を含有してもよい。電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物、及びエナミン化合物が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
以下に、電荷輸送物質の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
表面層が電荷輸送層の場合、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂、及び電荷輸送物質を溶剤に溶解させて得られる塗布液の塗膜によって形成することができる。また、前述のとおり、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂B以外の樹脂を併用してもよい。
また、電荷輸送層を積層構造としてもよく、その場合は、少なくとも最も表面側の電荷輸送層に、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有させる。
電荷輸送層における、電荷輸送物質と全樹脂との割合は、3:10〜20:10(質量比)の範囲が好ましく、5:10〜12:10(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤を使用することが、樹脂の溶解性の観点から好ましい。
表面層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
次に、表面層がフッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する場合について詳細に説明する。
表面層がフッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する電子写真感光体を繰り返し使用すると、クリーニングブレードとの摺擦により最表面に存在する柔らかいフッ素樹脂粒子が電子写真感光体上に延展され(引き延ばされ)、電子写真感光体上におけるフッ素樹脂が存在する面積が上昇する。この延展効果により、表面層中に含有されるフッ素樹脂粒子の量が少量であっても、前述のクリーニング性向上効果が発現されやすくなる。また、表面層中に存在するフッ素樹脂粒子の分散性が良いほど、延展効果によるフッ素樹脂の存在面積が大きくなり、クリーニング性向上効果がより大きくなる。
本発明に用いられるポリアリレート樹脂は、下記式(9)で示される構造単位を有する樹脂が好ましい。
式(9)中、R91〜R98は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、あるいは置換または無置換のアリール基を示す。なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Yは、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。なかでも、単結合、または炭素数1〜3の2価の有機基が好ましい。
式(9)で示される構造単位の具体例は、前述の通りである。
次に、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂について説明する。本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、下記式(11)で示される構造単位を有する樹脂が好ましい。
式(11)中、R111〜R118は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアルキル基、あるいは置換または無置換のアリール基を示す。なかでも、水素原子またはメチル基が好ましい。Y11は、単結合、酸素原子、硫黄原子、または2価の有機基を示す。なかでも、単結合、炭素数1〜3の2価の有機基、フェニルエチリデン基、シクロヘキシリデン基、または酸素原子が好ましい。
式(11)で示される構造単位の具体例は、前述の通りである。
次に、本発明に用いられるフッ素樹脂粒子について説明する。本発明に用いられるフッ素樹脂粒子は、四フッ化エチレン樹脂粒子、三フッ化エチレン樹脂粒子、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂粒子、フッ化ビニル樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子、二フッ化二塩化エチレン樹脂粒子が好ましい。また、それらの共重合体の粒子が好ましい。これらの中でも、四フッ化エチレン樹脂粒子がより好ましい。
フッ素樹脂粒子の一次粒径は0.05μm〜1.0μmが好ましく、0.1μm〜0.6μmがより好ましい。粒子がある程度細かく、かつ表面層中に均一に分散している方が、より良好なクリーニング性能が得られやすい。結果として、表面層中のフッ素樹脂粒子の2次体積平均粒径は0.2μm〜1.0μmで分散していることが、より良好なクリーニング性能が得られるという点で好ましい。
フッ素樹脂粒子を表面層中に均一に分散させるために、分散助剤を用いることができる。フッ素樹脂粒子の分散助剤は、既存のものを使用することができるが、フッ素樹脂粒子と親和性のある部位と、表面層のポリアリレートまたは、ポリカーボネート樹脂と親和性のある部位の両方を有する化合物であることが好ましい。
これらのフッ素樹脂粒子分散助剤は、一般的に購入することも可能である。購入可能な樹脂としては、例えば、モディパーシリーズ(日本油脂社製)、サーフロンシリーズ(AGCセイミケミカル社製)などが挙げられる。
本発明において、よりフッ素樹脂粒子を表面層中に均一に分散させるために、分散助剤としては以下の構造単位を有する化合物がより好ましい。
(式(18)中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは単結合または2価の基を示す。Rfはフルオロアルキル基及びフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。また、式(19)中、Rは水素またはメチル基を示す。Yは2価の有機基を示す。Zは重合体ユニットを示す。)
さらに、分散助剤として以下の式(20)で示されるジオルガノポリシロキサンも好ましい。
(式(20)中、R11〜R16は置換もしくは無置換の炭化水素基を示し、Bはパーフルオロアルキル基を有する置換もしくは無置換の有機基を示し、Dは末端が封鎖された重合度3以上の、置換もしくは無置換のポリスチレン鎖を有する基を示し、E及びEはR11〜R16、B及びDから選択される基を示し、lは0〜1000の整数を示し、m及びnは1〜1000の整数を示す。)
これらの化合物は特開昭58−164656号公報及び特開2001−249481号公報で開示された手順に従い製造することが可能である。このようにして製造した化合物は、フッ素樹脂粒子と親和性のある部位と、表面層のポリアリレートまたは、ポリカーボネート樹脂と親和性のある部位の両方を有するので、より均一なフッ素樹脂粒子の分散性が得られ、好ましい。
以下に、式(18)及び(19)で示される構造単位、式(20)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるものではない。
式(18)で示される構造単の具体例
式(19)で示される構造単位の具体例
式(19)中のYは
で示される構造が挙げられ、Y及びYはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。メチル基または水酸基であることが好ましい。
式(19)中のZは重合体ユニットであり、重合体ユニットであれば構造は任意であるが、下記式(19−b1)、(19−b2)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体ユニットであることが好ましい。R201及び、R202はアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基またはノニル基が挙げられるが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基またはヘキシル基などが好ましい。
Zで示される重合体ユニットの末端は、末端停止剤を使用しても良いし、水素原子を有しても良い。
式(20)で示される化合物の具体例
上記式(20)で示される化合物は、他の分散剤構造に比べ、構造的にシロキサン鎖にフッ化アルキル側鎖だとPTFE表面に配向し易く、他方、スチレン側鎖側で樹脂やCTMと相溶し易く、より均一な分散性が高まるので、好ましい。なかでも、上記式(20−11)、(20−14)、及び(20−18)で示される化合物がより好ましい。
これらの繰り返し構造単位はランダムでもブロック共重合タイプでもどちらでも良い。前述の上記式(18)及び(19)で示される繰り返し構造単位を有する重合体または、上記式(20)で示される重合体中に占めるフッ素原子の含有量は、化合物全質量に対して1.0質量%〜60.0質量%であることが好ましく、特には、5.0質量%〜40.0質量%であることが良好なフッ素樹脂粒子の分散性の観点で好ましい。
また、前述の上記式(18)及び(19)で示される繰り返し構造単位を有する重合体または、上記式(20)で示される重合体の分子量(Mw)は10,000〜200,000であることが好ましい。
前述の上記式(18)及び(19)で示される繰り返し構造単位を有する重合体または、上記式(20)で示される重合体は、フッ素樹脂粒子とともに表面層用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、フッ素樹脂粒子を一次粒子に近い粒径にまで分散させることができる。
したがって、本発明により、フッ素原子含有樹脂粒子が適切に分散された表面層を有する電子写真感光体を得ることができ、結果として、繰り返し使用後も感光体表面層上に均一なフッ素樹脂粒子が存在することにより、優れたクリーニング性能を示すことができる。
本発明において、繰り返し使用後のクリーニング性能により高い効果を発現するには表面層中、フッ素樹脂粒子を3.0質量%〜10.0質量%含有することが好ましい。3.0質量%以上であると、前述の延展効果により、電子写真感光体上のフッ素樹脂の面積が十分に上昇し、より良いクリーニング性が得られる点で好ましい。10.0質量%以下であると、より良い感光体特性が得られる点で好ましい。これらのフッ素樹脂粒子の質量に対し、前述の上記式(18)及び(19)で示される繰り返し構造単位を有する重合体または、上記式(20)で示される重合体は2.0質量%〜10.0質量%の範囲で含有していることが良好なフッ素樹脂粒子の分散性と感光体特性の両立の観点で好ましい。
表面層塗布液へのフッ素樹脂粒子の分散方法としては、必要に応じてホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速分散機等の方法で分散させることができる。
なお、フッ素原子含有樹脂粒子の平均粒径は、超遠心式粒度分布測定装置「CAPA−700」(堀場製作所(株)社製)もしくは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(堀場製作所(株)社製)により測定することができる。たとえば、平均粒径の測定方法は以下のとおりである。フッ素原子含有樹脂粒子を添加し、分散した直後の分散液を表面層用塗布液と混合する前に液相沈降法にて平均粒径を測定する。(株)堀場製作所製の超遠心式自動粒度分布測定装置(CAPA700)を用いる場合には、取り扱い説明書の条件に従い、表面層用塗布液の主成分となる溶剤で希釈し、平均粒径を測定する。
表面層には、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物、及びエナミン化合物が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送物質の具体例は前述の通りである。
表面層は、フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する。ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂、及びフッ素樹脂粒子を溶剤に溶解及び分散させて得られる表面層の塗膜によって形成することができる。また、前述のとおり、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂以外の樹脂を併用してもよい。
また、電荷輸送層を積層構造としてもよく、その場合は、少なくとも最も表面側の電荷輸送層に、ポリアリレート樹脂D及びポリカーボネート樹脂Eからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有し、更に、フッ素樹脂粒子を含有させる。
電荷輸送層における、電荷輸送物質と全樹脂との割合は、3:10〜20:10(質量比)の範囲が好ましく、5:10〜12:10(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤及び芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤を使用することが、樹脂の溶解性の観点から好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
電子写真感光体の各層には、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤のような劣化防止剤や、有機粒子、無機粒子などの粒子が挙げられる。劣化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤、硫黄原子含有酸化防止剤、リン原子含有酸化防止剤が挙げられる。有機粒子としては、例えば、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子のような高分子樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナのような金属酸化物粒子が挙げられる。更に、レベリング剤としてシリコーンオイルなども必要に応じて添加しても良い。
上記各層の塗布液を塗布する際には、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電工程と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程と、該電子写真感光体上の該トナー画像を転写材に転写する転写工程と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング工程と、を有し、電子写真感光体として上述した<電子写真感光体>を用い、且つトナーとして上述した<トナー>を用いるものである。
本発明の画像形成方法を適用することができる画像形成装置の一例としての電子写真装置を用いて、本発明の画像形成方法をさらに説明する。
図1に、電子写真感光体及びトナーを有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面は、回転過程において、電子写真感光体1に当接している帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される(帯電工程)。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく(静電潜像形成工程)。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5に含まれるトナーTで現像されてトナー画像となる(現像工程)。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく(転写工程)。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に給送される。
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
トナー画像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって摺擦されて転写残りの現像剤(転写残トナー)の除去を受けて清浄面化される(クリーニング工程)。本発明においては、上記特定の電子写真感光体及び特定のトナーを用いているため、新品のプロセスカートリッジや電子写真装置の使用初期段階においてもクリーニング不良の発生が抑えられ、良好な画像品質を得ることができる。
次いで、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上述したように、電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7、さらには必要に応じてその他の構成要素を、例えば容器に納めて一体に結合したものが、本発明のプロセスカートリッジである。このプロセスカートリッジは、複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して取り外し可能に装着される。図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられる樹脂C及びトナーの製造例を以下に示す。なお、本発明は該製造例によって制限されるものではない。
〔樹脂Cの製造例1〕
無水トリメリット酸以外の原材料モノマーを表1に示した仕込み量で混合した混合物100質量部と、触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.52質量部を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した6リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて反応させた。さらに210℃にて無水トリメリット酸を添加して、40kPaの減圧下にて反応を行い、重量平均分子量(Mw)が12000になるまで反応を続けた。得られた樹脂Cを樹脂C1とする。
〔樹脂Cの製造例2〜4〕
酸成分とアルコール成分の仕込み量を表1のように変更することを除いて、樹脂Cの製造例1と同様にして製造した。得られた樹脂Cを樹脂C2〜C4とする。
※モノマー組成の表記はアルコール成分のトータルモル数を100とした時のモル比を示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
TMA:トリメリット酸
BPA(PO):ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物
BPA(EO):ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物
〔トナーの製造例1〕
下記の手順によってトナー1を製造した。
高速撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を備えた容器中に0.1mol/L−NaPO水溶液850質量部を添加し、回転数を15000rpmに調整し、60℃に加温した。ここに1.0mol/L−CaCl水溶液68質量部を添加し、微少な難水溶性分散剤Ca(POを含む水系媒体を調製した。
また、下記の材料をプロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン 75.0質量部
・アクリルモノマー(n−ブチルアクリレート) 25.0質量部
・樹脂C1 3.8質量部
次に上記溶解液に下記の材料を添加した。
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.5質量部
・炭化水素ワックス 9.0質量部
(最大吸熱ピークのピーク温度が77℃、HNP−51、日本精蝋社製)
その後、混合液を温度60℃に加温した後にTK式ホモミキサー(プライミクス(旧:特殊機化工業)社製)にて、9000r/minにて攪拌し、溶解、分散した。
これに重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、温度60℃にてクレアミックスを15000rpmで回転させながら15分間造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置に移して100r/minで攪拌しつつ、温度70℃で5時間反応させた後、温度80℃まで昇温し、さらに5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、前記粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0質量部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業(旧:三井三池)社製)で3000r/minで15分間混合してトナー1を得た。
トナー1の表面組成をTOF−SIMSを用いて分析したところ、イソソルビドユニットに由来するフラグメントが存在することを確認した。よって、トナー1は表面にイソソルビドユニットが露出している状態であることが分かった。
〔トナーの製造例2、3〕
トナーの製造例1において、表2の添加量と種類に従った他は、トナーの製造例1と同様にしてトナーを製造した。得られたトナーをトナー2及びトナー3とする。
トナー2及びトナー3の表面組成をTOF−SIMSを用いて分析したところ、イソソルビドユニットに由来するフラグメントが存在することを確認した。よって、トナー2及びトナー3は表面にイソソルビドユニットが露出している状態であることが分かった。
〔トナーの製造例4〕
下記の手順に従って、溶解懸濁法によってトナーを製造した。
まず、以下の手順に従って、水系媒体と溶解液の調製を行い、トナーを作製した。
水660質量部、48.5質量%ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液25質量部を混合撹拌し、TK式ホモミキサー(プライミクス社製)を用いて、10000r/minにて撹拌して水系媒体を調製した。
また、下記の材料を酢酸エチル500質量部へ投入し、プロペラ式攪拌装置にて100r/minで溶解して溶解液を調製した。
・スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体 100.0質量部
(共重合質量比:スチレン/n−ブチルアクリレート=75/25、Mp=17000)
・樹脂C1 3.8質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.5質量部
・炭化水素ワックス 9.0質量部
(最大吸熱ピークのピーク温度が77℃、HNP−51、日本精蝋社製)
次に水系媒体150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(プライミクス社製)を用い、回転数12000rpmで攪拌し、これに上記溶解液100質量部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを調製した。
その後、脱気用配管、攪拌機及び温度計をセットしたフラスコに、乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分間で攪拌しながら30℃にて12時間減圧下で脱溶剤し、45℃で4時間熟成させて、脱溶剤スラリーとした。脱溶剤スラリーを減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合、再分散(回転数12000rpmにて10分間)した後、濾過した。得られた濾過ケーキを乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩いトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤として、ジメチルシリコーンオイル(20質量%)で処理され、トナー粒子と同極性(負極性)に摩擦帯電する疎水性シリカ微粒子(1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m/g)2.0質量部をヘンシェルミキサー(日本コークス工業社製)で3000r/minで15分間混合してトナー4を得た。
トナー4の表面組成をTOF−SIMSを用いて分析したところ、イソソルビドユニットに由来するフラグメントが存在することを確認した。よって、トナー4は表面にイソソルビドユニットが露出している状態であることが分かった。
〔トナーの製造例5〕
下記の手順に従って、粉砕法によってトナーを製造した。
・樹脂C1 100.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
・フィッシャートロプシュワックス 5.0質量部
(最大吸熱ピークのピーク温度が105℃)
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業社製)で混合した後、二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝社(旧:池貝鉄工(株))製)にて回転数3.3s−1、混練樹脂温度110℃の条件で混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイント・ターボ株式会社(旧:ターボ工業(株))製)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径7.0μmの負摩擦帯電性のトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、イソブチルトリメトキシシラン15質量%で表面処理した一次平均粒径50nmの酸化チタン微粒子1.0質量部、及びヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理した一次平均粒径16nmの疎水性シリカ微粒子0.8質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業社製)で混合して、トナー5を得た。
トナー5の表面組成をTOF−SIMSを用いて分析したところ、イソソルビドユニットに由来するフラグメントが存在することを確認した。よって、トナー5は表面にイソソルビドユニットが露出している状態であることが分かった。
〔トナーの製造例6〕
トナーの製造例1において、アクリルモノマーを使用せず、表2の添加量と種類に従った以外は、トナーの製造例1と同様にしてトナーを製造した。得られたトナーをトナー6とする。
トナー6の表面組成をTOF−SIMSを用いて分析したところ、イソソルビドユニットに由来するフラグメントが存在することを確認した。よって、トナー6は表面にイソソルビドユニットが露出している状態であることが分かった。
〔トナーの製造例7〕
トナーの製造例1において、表2の添加量と種類に従った他は、トナーの製造例1と同様にしてトナーを製造した。得られたトナーをトナー7とする。
トナー7の表面組成をTOF−SIMSを用いて分析したところ、イソソルビドユニットに由来するフラグメントが存在することを確認した。よって、トナー7は表面にイソソルビドユニットが露出している状態であることが分かった。
〔比較トナーの製造例1〕
トナー1の製造例において、樹脂C1を添加せず、それ以外はトナーの製造例1と同様にしてトナーを製造した。得られたトナーを比較トナー1とする。
比較トナー1の表面組成をTOF−SIMSを用いて分析したところ、イソソルビドユニットに由来するフラグメントは存在していなかった。
トナー1〜7及び比較トナー1について、トナー中に含まれる樹脂C(種類、含有量)、樹脂C以外の樹脂(種類、含有量)及びトナー製造方法を表3に示す。
次に、ポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bの合成例を以下に示す。なお、本発明は該合成例によって制限されるものではない。
〔合成例A1〕
イソフタル酸クロライド3.3gとテレフタル酸クロライド3.3gをジクロロメタンに溶解させ、酸ハロゲン化物溶液を調製した。また酸ハロゲン化物溶液とは別に、下記式(a−1)で示されるシロキサン誘導体4.2g、下記式(a−2)で示されるジオール6.8g及び下記式(a−3)で示されるジオール3.6gを10%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。さらに、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライドを添加して撹拌し、ジオール化合物溶液を調製した。
次に上記酸ハロゲン化物溶液を上記ジオール化合物溶液に撹拌しながら加え、重合を開始した。重合反応は、反応温度を25℃以下に保ち、撹拌しながら3時間行った。その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水で洗浄を繰り返した。続いて、この液相をメタノールに滴下し、沈殿物をろ過、乾燥することによって、白色の重合体(樹脂A1)を得た。
得られた樹脂A1の粘度平均分子量は、21,000であった。粘度平均分子量は次のように算出した。試料0.5gをジクロロメタン100mlに溶解し、ウベローデ(Ubbelohde)型粘度計を用いて、25℃における比粘度を測定する。この比粘度から極限粘度を求め、マーク−ホーウィンク(Mark−Houwink)の粘度式のK(比例定数部分)とa(指数部分;αで表記されることもある)をそれぞれ1.23×10−4と0.83として粘度平均分子量を算出した。
また、前記手法により、樹脂A1中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量を分析したところ、20質量%であった。
〔合成例A2〜A8〕
合成例A1に記載の合成方法を用い、表4に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂A2〜A8を合成した。樹脂A2〜A8の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂A1〜A8の構成及び粘度平均分子量を表4に示す。
表4中の「式(2)」は、式(2)で示される構造を示す。表4中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表4中の「式(9)」は、式(9)で示される構造単位を示す。式(9)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表4中の「式(10)」は、式(10)で示される構造単位を示す。式(10)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表4中の「式(10)のn」は、式(10)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例B1〕
下記式(b−1)で示されるジオール12.0gを10%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。この溶液にジクロロメタンを加え攪拌し、溶液温度を10℃以上15℃以下に保ちながら、ホスゲン15gを1時間かけて吹き込んだ。ホスゲンを約70%吹き込んだところで、式(a−1)で示されるシロキサン誘導体4.2g、式(a−3)で示されるジオール4.0gを溶液に加えた。ホスゲンの導入が終了後、激しく攪拌して反応液を乳化させ、トリエチルアミンを加え、1時間攪拌した。その後、ジクロロメタン相をリン酸で中和し、更にpH7程度になるまで水洗を繰り返した。続いて、この液相をイソプロパノールに滴下し、沈殿物をろ過、乾燥することによって、白色の重合体(樹脂B1)を得た。
得られた樹脂B1の粘度平均分子量は、18,000であった。また、樹脂B1中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、10質量%であった。
〔合成例B2〜B9〕
合成例B1に記載の合成方法を用い、表5に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂B2〜B9を合成した。樹脂B2〜B9の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂B1〜B9の構成及び粘度平均分子量を表5に示す。
表5中の「式(2)」は、式(2)で示される構造を示す。表5中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表5中の「式(11)」は、式(11)で示される構造単位を示す。式(11)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表5中の「式(12)」は、式(12)で示される構造単位を示す。表5中の「式(12)のn」は、式(12)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例A9〕
下記式(a−4)で示されるシロキサン誘導体及び式(a−2)で示されるジオールを用いて、合成例A1の方法に従い、表6に示す構造を有する樹脂A9を合成した。得られた樹脂A9の粘度平均分子量は、22,000であった。また、樹脂A9中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
式(a−4)で示されるシロキサン誘導体は、例えば、炭素−炭素二重結合を側鎖に持つビスフェノールと片末端Si−H構造のポリシロキサンとのヒドロシリル化反応により得ることができる化合物である。
〔合成例A10〜A14〕
合成例A1に記載の合成方法を用い、表6に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂A10〜A14を合成した。樹脂A10〜A14の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂A9〜A14の構成及び粘度平均分子量を表6に示す。
表6中の「式(3)」は、式(3)で示される構造単位を示す。式(3)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表6中の「式(3−A)」は、式(3−A)で示される構造を示す。表6中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表6中の「式(9)」は、式(9)で示される構造単位を示す。式(9)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表6中の「式(10)」は、式(10)で示される構造単位を示す。式(10)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表6中の「式(10)のn」は、式(10)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例B10〕
式(a−4)で示されるシロキサン誘導体及び式(b−1)で示されるジオールを用いて、合成例B1の方法に従い、表7に示す構造を有する樹脂B10を合成した。得られた樹脂B10の粘度平均分子量は、19,000であった。また、樹脂B10中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
〔合成例B11〜B16〕
合成例B1に記載の合成方法を用い、表7に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂B11〜B16を合成した。樹脂B11〜B16の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂B10〜B16の構成及び粘度平均分子量を表7に示す。
表7中の「式(6)」は、式(6)で示される構造単位を示す。表7中の「式(6−A)」は、式(6−A)で示される構造を示す。表7中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表7中の「式(11)」は、式(11)で示される構造単位を示す。式(11)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表7中の「式(12)」は、式(12)で示される構造単位を示す。表7中の「式(12)のn」は、式(12)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例A15〕
下記式(a−5)で示されるシロキサン誘導体及び式(a−2)で示されるジオールを用いて、合成例A1の方法に従い、表8に示す構造を有する樹脂A15を合成した。得られた樹脂A15の粘度平均分子量は、23,000であった。また、樹脂A15中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
式(a−5)で示されるシロキサン誘導体は、例えば、中央骨格の置換基に炭素−炭素二重結合を持つビスフェノールと片末端Si−H構造のポリシロキサンのヒドロシリル化反応により得ることができる化合物である。
〔合成例A16〜A21〕
合成例A1に記載の合成方法を用い、表8及び9に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂A16〜A21を合成した。樹脂A16〜A21の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂A15〜A21の構成及び粘度平均分子量を表8及び9に示す。
表8及び9中の「式(4)」は、式(4)で示される構造単位を示す。式(4)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表8中の「式(4−A)」は、式(4−A)で示される構造を示す。表9中の「式(4−B)」は、式(4−B)で示される構造を示す。表8及び9中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表8及び9中の「式(9)」は、式(9)で示される構造単位を示す。式(9)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表8中の「式(10)」は、式(10)で示される構造単位を示す。式(10)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表8中の「式(10)のn」は、式(10)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例B17〕
式(a−5)で示されるシロキサン誘導体及び式(b−1)で示されるジオールを用いて、合成例B1の方法に従い、表10に示す構造を有する樹脂B17を合成した。得られた樹脂B17の粘度平均分子量は、18,000であった。また、樹脂B17中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
〔合成例B18〜B22〕
合成例B1に記載の合成方法を用い、表10及び11に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂B18〜B22を合成した。樹脂B18〜B22の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂B17〜B22の構成及び粘度平均分子量を表10及び11に示す。
表10及び11中の「式(7)」は、式(7)で示される構造単位を示す。表10中の「式(7−A)」は、式(7−A)で示される構造を示す。表11中の「式(7−B)」は、式(7−B)で示される構造を示す。表10及び11中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表10及び11中の「式(11)」は、式(11)で示される構造単位を示す。式(11)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表10中の「式(12)」は、式(12)で示される構造単位を示す。表10中の「式(12)のn」は、式(12)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例A22〕
下記式(a−6)で示されるシロキサン誘導体及び式(a−2)で示されるジオールを用いて、合成例A1の方法に従い、表12に示す構造を有する樹脂A22を合成した。得られた樹脂A22の粘度平均分子量は、40,000であった。また、樹脂A22中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
〔合成例A23〜A26〕
合成例A1に記載の合成方法を用い、表12に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂A23〜A26を合成した。樹脂A23〜A26の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂A22〜A26の構成及び粘度平均分子量を表12に示す。
表12中の「式(5)」は、式(5)で示される構造単位を示す。式(5)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表12中の「式(5−A)」は、式(5−A)で示される構造を示す。表12中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表12中の「式(9)」は、式(9)で示される構造単位を示す。式(9)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表12中の「式(10)」は、式(10)で示される構造単位を示す。式(10)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表12中の「式(10)のn」は、式(10)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例B23〕
式(a−6)で示されるシロキサン誘導体及び式(b−1)で示されるジオールを用いて、合成例B1の方法に従い、表13に示す構造を有する樹脂B23を合成した。得られた樹脂B23の粘度平均分子量は、31,000であった。また、樹脂B23中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
〔合成例B24〜B31〕
合成例B1に記載の合成方法を用い、表13に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂B24〜B31を合成した。樹脂B24〜B31の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂B23〜B31の構成及び粘度平均分子量を表13に示す。
表13中の「式(8)」は、式(8)で示される構造単位を示す。表13中の「式(8−A)」は、式(8−A)で示される構造を示す。表13中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表13中の「式(11)」は、式(11)で示される構造単位を示す。式(11)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表13中の「式(12)」は、式(12)で示される構造単位を示す。表13中の「式(12)のn」は、式(12)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。
〔合成例A27〕
式(a−1)で示されるシロキサン誘導体を用いず、また、式(a−3)で示されるシロキサン誘導体を下記式(a−7)で示されるシロキサン誘導体に変更した以外は、合成例A1の方法に従い、表14に示す構造を有する樹脂A27を合成した。得られた樹脂A27の粘度平均分子量は、31,000であった。また、樹脂A27中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
〔合成例A28〜32〕
合成例A1に記載の合成方法を用い、表14に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂A28〜A32を合成した。樹脂A28〜A32の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂A27〜A32の構成及び粘度平均分子量を表14に示す。
表14中の「式(10)」は、式(10)で示される構造を示す。式(10)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表14中の「式(10)のn」は、式(10)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。表14中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表14中の「式(9)」は、式(9)で示される構造単位を示す。式(9)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。
〔合成例B32〕
式(a−1)で示されるシロキサン誘導体を用いず、また、式(a−3)で示されるシロキサン誘導体を式(a−7)で示されるシロキサン誘導体に変更した以外は、合成例B1の方法に従い、表15に示す構造を有する樹脂B32を合成した。得られた樹脂B32の粘度平均分子量は、25,000であった。また、樹脂B32中に含まれる式(1)で示される構造に相当する部分の含有量は、20質量%であった。
〔合成例B33〜B35〕
合成例B1に記載の合成方法を用い、表15に記載の構造に応じた原材料を用いて、樹脂B33〜B35を合成した。樹脂B33〜B35の粘度平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。
樹脂B32〜B35の構成及び粘度平均分子量を表15に示す。
表15中の「式(12)」は、式(12)で示される構造を示す。表15中の「式(12)のn」は、式(12)で示される構造単位における、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。表15中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表15中の「式(11)」は、式(11)で示される構造単位を示す。式(11)で示される構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。
〔合成例A33〕
式(a−1)で示されるシロキサン誘導体、式(a−6)で示されるシロキサン誘導体及び式(a−2)で示されるジオールを用いて、合成例A1の方法に従い、表16に示す構造を有する樹脂A33を合成した。得られた樹脂A33の粘度平均分子量は、30,000であった。また、樹脂A33中に含まれる式(1)で示される構造の含有量は、10質量%であった。
表16中の「式(2)」は、式(2)で示される構造単位を示す。表16中の「式(5)」は、式(5)で示される構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表16中の「式(5−A)」は、式(5−A)で示される構造を示す。表16中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表16中の「式(9)」は、式(9)で示される構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。
〔合成例B36〕
式(a−1)で示されるシロキサン誘導体、式(a−6)で示されるシロキサン誘導体及び式(b−1)で示されるジオールを用いて、合成例B1の方法に従い、表17に示す構造を有する樹脂B36を合成した。得られた樹脂B36の粘度平均分子量は、25,000であった。また、樹脂B36中に含まれる式(1)で示される構造の含有量は、5質量%であった。
表17中の「式(2)」は、式(2)で示される構造単位を示す。表17中の「式(8)」は、式(8)で示される構造単位を示す。表17中の「式(8−A)」は、式(8−A)で示される構造を示す。表17中の「式(1)の含有量」は、樹脂中に含まれる式(1)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表17中の「式(11)」は、式(11)で示される構造単位を示す。
本発明の電子写真感光体の製造例を以下に示す。なお、本発明は該製造例によって制限されるものではない。
〔感光体の製造例1〕
直径24mm、長さ257mmのアルミニウムシリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
次に、金属酸化物粒子として酸素欠損型酸化スズ(SnO)が被覆されている酸化チタン(TiO)粒子214部、結着材料としてフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、DIC(株)(旧:大日本インキ化学工業(株))製、樹脂固形分:60質量%)132部、及び、溶剤として1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、平均粒径2μm)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、下記式(d−1)で示される電子輸送物質を5部、ブロックされたイソシアネート化合物(商品名:SBN−70D、旭化成ケミカルズ(株)製)8.6部、ポリビニルアセタール樹脂(商品名:KS−5Z、積水化学工業(株)製)0.6部、ヘキサン酸亜鉛(II)(商品名:ヘキサン酸亜鉛(II)、三津和化学薬品(株)製)0.15部を、1−メトキシ−2−プロパノール45部とテトラヒドロフラン45部の混合溶媒に溶解した。得られた溶解液に、シリカ粒子がイソプロパノールに分散されたスラリー(商品名:IPA−ST−UP、シリカ比率:15質量%、日産化学(株)製)を3.3部加えて撹拌した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を20分間170℃で加熱し、硬化(重合)させることによって、膜厚が0.6μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質)10部を用意した。それに、シクロヘキサノン250部及びポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下1時間分散した。分散後、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.26μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として、式(13−1)で示される化合物8部及び式(13−8)で示される化合物2部と、樹脂として、合成例A1で合成した樹脂A1を0.4部及び式(9−1)で示される構造単位と式(9−2)で示される構造単位を5:5の比で含有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量:40,000)9.6部を、ジメトキシメタン40部、o−キシレン60部及び安息香酸メチル5部からなる混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間120℃で乾燥させることによって、膜厚が16μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電荷輸送層が表面層である感光体1を作製した。感光体1の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質及び樹脂の構成を表18−1に示す。また、感光体1の表面層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合を表18−1に示す。
〔感光体の製造例2〕
感光体1において、電荷輸送層中の樹脂A1を樹脂A2に変更し、式(16)で示されるポリジメチルシロキサン(nの平均値:40)を0.04部加えた以外は、感光体1と同様にして、感光体2を作製した。感光体2の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンの構成を表18−1に示す。また、感光体2の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合を表18−1に示す。
〔感光体の製造例3〜96、102、103〕
感光体2において、電荷輸送層中の電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンを表18−1及び表18−2に示すとおりに変更した以外は、感光体2と同様にして、感光体3〜96、102、103を作製した。感光体3〜96、102、103の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンの構成を表18−1及び表18−2に示す。また、感光体3〜96、102、103の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合を表18−1及び表18−2に示す。
表18−1及び表18−2中の「電荷輸送物質」は、電荷輸送物質の種類と部数を示す。表18−1及び表18−2中の「樹脂A、樹脂B」は、表4〜17に記載の樹脂を示す。表18−1及び表18−2中の「他の樹脂」は、電荷輸送層中に含まれる、樹脂Aまたは樹脂B以外の樹脂の構造単位を示す。構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表18−1及び表18−2中の「ポリジメチルシロキサン 混合比」は、電荷輸送層中に含まれる、樹脂A及び樹脂Bの総量に対するポリジメチルシロキサンの混合比(質量%)を示す。表18−1及び表18−2中の「ポリジメチルシロキサン n」は、電荷輸送層中に含まれる、ポリジメチルシロキサンの、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。表18−1及び表18−2中の「樹脂A、樹脂Bの比率」は、電荷輸送層中の全固形分に対する、樹脂Aまたは樹脂Bの含有量(質量%)を意味する。表18−1及び表18−2中の「ケイ素元素割合」は、ESCAを用いて測定した、電荷輸送層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合(原子%)を意味する。
〔感光体の製造例97〕
感光体2において、下引き層の作製方法を下記のように変更した以外は、感光体2と同様にして感光体97を作製した。
即ち、下引き層は、N−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.7μmの下引き層を形成した。
感光体97の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンの構成を表19に示す。また、感光体97の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合を表19に示す。
〔感光体の製造例98、99〕
感光体97において、電荷輸送層中の電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンを表19に示すとおりに変更した以外は、感光体97と同様にして感光体98及び99を作製した。感光体98及び99の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンの構成を表19に示す。また、感光体98及び99の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合を表19に示す。
〔感光体の製造例100〕
感光体98において、導電層の作製方法を下記のように変更し、下引き層をなくした以外は、感光体98と同様にして感光体100を作製した。
即ち、金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業(株)製)15部及びブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住化バイエルウレタン(株)(旧:住友バイエルウレタン社)製)15部をメチルエチルケトン73.5部と1−ブタノール73.5部の混合溶液に溶解させた。この溶液に前記表面処理された酸化亜鉛粒子80.64部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン0.8部(東京化成工業(株)製)を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01部、架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER SSX−102、積水化成品工業(株)社製、平均一次粒径2.5μm)を5.6部加えて攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、この塗膜を40分間160℃で加熱乾燥させて、膜厚が18μmの導電層を形成した。
感光体100の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンの構成を表19に示す。また、感光体100の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合を表19に示す。
〔感光体の製造例101〕
感光体100において、電荷輸送層中の電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンを表19に示すとおりに変更した以外は、感光体100と同様にして感光体101を作製した。感光体101の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質、樹脂及びポリジメチルシロキサンの構成を表19に示す。また、感光体101の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合を表19に示す。
表19中の「電荷輸送物質」は、電荷輸送物質の種類と部数を示す。表19中の「樹脂A、樹脂B」は、表4〜17に記載の樹脂を示す。表19中の「他の樹脂」は、電荷輸送層中に含まれる、樹脂Aまたは樹脂B以外の樹脂の構造単位を示す。構造単位を混合して用いた場合は、構造単位の種類と混合比(質量基準)を示す。表19中の「ポリジメチルシロキサン 混合比」は、電荷輸送層中に含まれる、樹脂A及び樹脂Bの総量に対するポリジメチルシロキサンの混合比(質量%)を示す。表19中の「ポリジメチルシロキサン n」は、電荷輸送層中に含まれる、ポリジメチルシロキサンの、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。表19中の「樹脂A、樹脂Bの比率」は、電荷輸送層中の全固形分に対する、樹脂Aまたは樹脂Bの含有量(質量%)を意味する。表19中の「ケイ素元素割合」は、ESCAを用いて測定した、電荷輸送層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合(原子%)を意味する。
〔比較感光体の製造例1〕
感光体4において、電荷輸送層中の樹脂A2を用いなかった以外は、感光体4と同様にして比較感光体1を作製した。比較感光体1の電荷輸送層に含有される電荷輸送物質及び樹脂の構成を表20に示す。また、比較感光体1の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合は0.0原子%だった。
表20中の「電荷輸送物質」は、電荷輸送物質の種類と部数を示す。表20中の「樹脂A、樹脂B」は、表4〜17に記載の樹脂を示す。表20中の「他の樹脂」は、電荷輸送層中に含まれる、樹脂Aまたは樹脂B以外の樹脂の構造単位を示す。表20中の「ポリジメチルシロキサン n」は、電荷輸送層中に含まれる、ポリジメチルシロキサンの、括弧内の構造の繰り返し数nの平均値を意味する。表20中の「樹脂A、樹脂Bの比率」は、電荷輸送層中の全固形分に対する、樹脂Aまたは樹脂Bの含有量(質量%)を意味する。表20中の「ケイ素元素割合」は、ESCAを用いて測定した、電荷輸送層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合(原子%)を意味する。
〔感光体の製造例104〕
感光体1において、電荷輸送層の作製方法を下記のように変更した以外は、感光体1と同様にして感光体104を作製した。
即ち、電荷輸送物質として、前記式(13−1)で示される化合物9部、前記式(13−8)1部、樹脂として、ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、式(11−1)、粘度平均分子量Mv=40,000)10部、o−キシレン60部及びジメトキシメタン50部の混合溶剤に溶解させた。
次いで、四フッ化エチレン樹脂粒子(商品名:ルブロンL2、ダイキン工業(株)製)5部、前記式(11−1)の繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂5部及びo−キシレン70部を混合した。さらに特許4436456号公報に記載の製造例(E−1)で製造した重合体(E−A、Mw=22,000)0.25部、を分散助剤として添加した液を調製した。この液を高速液衝突型分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM−110EH、米Microfluidics社製)にて49MPa(500kg/cm)の圧力で2回通過させて、四フッ化エチレン樹脂粒子含有液を高圧分散した。分散後の四フッ化エチレン樹脂粒子の平均粒径は0.32μmであった。このようにして調製された四フッ化エチレン樹脂粒子分散液を、前記電荷輸送物質を含有する塗布液に混合し、表面用塗布液を作製した。加えた量は、塗布液中の全固形分(電荷輸送物質、結着樹脂及び四フッ化エチレン樹脂粒子)に対して四フッ化エチレン樹脂粒子の質量比が5.0質量%となるようにした。以上のように調製した表面層用塗布液を、前記電荷発生層上に浸漬塗布し、温度125℃で20分乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が17μmの表面層を形成した。
このようにして感光体104を作製した。
〔感光体の製造例105、107、113〜117〕
感光体の製造例104において、分散助剤を特開2001−249481に記載の方法で合成し、前記式(20−8)で示される重合体(Mw=100,000)に変更し、表21に示した材料構成・比率で製造例104と同様にして感光体105、107、113〜117を作製した。
〔感光体の製造例106、108〜112〕
感光体の製造例104において、分散助剤種は変更せず、表21に示した材料構成・比率に変更した以外は、製造例104と同様にして感光体106、108〜112を作製した。
〔感光体の製造例118〜120〕
感光体の製造例104において、分散助剤としてフッ素オイル(商品名:モディパーF210、日本油脂社製)を用い、表21に記載構成・比率に変更した以外は、製造例104と同様にして感光体118〜120を作製した。
〔感光体の製造例121〕
感光体の製造例104において、分散助剤として特許4436456号公報に記載の製造例(E−2)で製造した重合体(E−B、Mw=20,000)0.25部とし、表21の材料構成・比率を用いた以外は、製造例104と同様にして感光体121を作製した。
〔感光体の製造例122〕
感光体の製造例104において、分散助剤として特許4436456号公報に記載の製造例(E−3)で製造した重合体(E−C、Mw=23,000)0.25部とし、表21の材料構成・比率を用いた以外は、製造例104と同様にして感光体122を作製した。
〔感光体の製造例123〕
感光体の製造例104において、分散助剤として特許4436456号公報に記載の製造例(E−4)で製造した重合体(E−D、Mw=22,600)0.25部とし、表21の材料構成・比率を用いた以外は、製造例104と同様にして感光体123を作製した。
〔感光体の製造例124〕
感光体の製造例104において、分散助剤を特開2001−249481に記載の方法で合成し、前記式(20−3)で示される重合体(Mw=85,000)に変更し、表21に示した材料構成・比率で製造例104と同様にして感光体124を作製した。
〔感光体の製造例125〕
感光体の製造例104において、分散助剤を特開2001−249481に記載の方法で合成し、前記式(20−6)で示される重合体(Mw=105,000)に変更し、表21に示した材料構成・比率で製造例104と同様にして感光体125を作製した。
〔感光体の製造例126〕
感光体の製造例104において、分散助剤を特開2001−249481に記載の方法で合成し、前記式(20−7)で示される重合体(Mw=90,000)に変更し、表21に示した材料構成・比率で製造例104と同様にして感光体126を作製した。
〔感光体の製造例127〕
感光体の製造例104において、分散助剤を特開2001−249481に記載の方法で合成し、前記式(20−11)で示される重合体(Mw=80,000)に変更し、表21に示した材料構成・比率で製造例104と同様にして感光体127を作製した。
〔感光体の製造例128〕
感光体の製造例104において、分散助剤を特開2001−249481に記載の方法で合成し、前記式(20−18)で示される重合体(Mw=40,000)に変更し、表21に示した材料構成・比率で製造例104と同様にして感光体128を作製した。
〔感光体の製造例129〕
感光体の製造例104において、分散助剤を特開2001−249481に記載の方法で合成し、前記式(20−19)で示される重合体(Mw=50,000)に変更し、表21に示した材料構成・比率で製造例104と同様にして感光体129を作製した。
〔比較感光体の製造例2〕
感光体の製造例104において、四フッ化エチレン樹脂粒子を用いず、電荷輸送物質、樹脂からなる表面層とした以外は感光体104と同様にして比較感光体2を作製した。
表21中の「電荷輸送物質」とは電荷輸送物質の種類と部数を示す。「樹脂」は式に示す繰り返し単位を有する樹脂を示す。「樹脂の粘度平均分子量」は樹脂の粘度平均分子量(Mv)を示す。「フッ素樹脂粒子量」は表面層全質量に対する、フッ素樹脂粒子の比率(質量%)を示す。「分散助剤量」はフッ素樹脂粒子の質量に対する、分散助剤の比率(質量%)を示す。「フッ素樹脂粒径」は分散直後のフッ素樹脂粒子の平均粒径(μm)を示す。
〔実施例1〕
<プロセスカートリッジの作製>
トナーカートリッジ(Cartridge 311 Cyan;キヤノン社製)を用いた。クリーニングブレード上の付着物が評価に影響する懸念を除くために、エタノールを含浸させた布でクリーニングブレードを十分に拭き、1日かけて自然乾燥させた。また、クリーニングブレードのエッジ部を感光体表面上に押し当てる線圧を上昇させることなくクリーニングが可能であるかを評価するために、クリーニングブレードの感光体表面に対する侵入量を0.8mm(クリーニングブレードが感光体表面に線圧ゼロで接している状態を「侵入量0.0mm」とし、そこから、クリーニングブレードを感光体表面に対して垂直方向に0.8mm押し込んだ状態)に変更した。感光体は感光体1を用い、現像容器にはトナー1を充填した。こうして、感光体1とトナー1を有するプロセスカートリッジを得た。
<評価>
評価装置は、一成分接触現像システムの現像装置(Satera LBP5300;キヤノン社製)を用いた。将来的な電子写真システムの進化を考慮して、新品カートリッジを現像装置に挿入してから印刷可能のスタンバイ状態に至るまでの前回転時間を5秒になるように改造して使用した。また評価はクリーニングがより厳しくなる低温低湿環境下(10℃/14%RH)で行った。低温低湿下でクリーニングが厳しくなる理由は、クリーニングブレードの硬度が高くなることで感光体への追従性が低下するためと考えられる。
(1)画像評価
低温低湿環境下(10℃/14%RH)にて、印字紙全面に、シアン単色モードにてベタ画像部を形成したチャートを20枚連続で出力し、以下の基準で評価した。評価結果を表22に示す。
A:20枚の画像いずれにおいても、白いスジ状の縦線が全く見られない。
B:20枚の画像中、白いスジ状の縦線が、1〜2本程度薄く見られる画像がある。
C:20枚の画像中、はっきりした白いスジ状の縦線が見られる、あるいは薄い縦線が3本以上見られる画像がある。
(2)帯電部材汚染
上記画像評価実施後に、カートリッジ内の帯電部材を回収し、トナー付着由来の汚れが見られるか否かの目視確認を行い、以下の基準で評価した。評価結果を表22に示す。
A:汚れが全く見られない。
B:汚れがやや見受けられる。
C:汚れが目立つ。
〔実施例2〜103〕
実施例1において、感光体1とトナー1を表22に記載の感光体とトナーに変更した以外は、実施例1と同様にしてプロセスカートリッジを作製し、画像評価と帯電部材汚染の評価を行った。結果を表22に示す。
〔実施例104、105〕
実施例12及び78において、新品カートリッジを現像装置に挿入してから印刷可能のスタンバイ状態に至るまでの前回転時間を20秒に変更した以外は、実施例12及び78と同様にしてプロセスカートリッジを作製し、画像評価と帯電部材汚染の評価を行った。結果を表22に示す。
〔比較例1〜5〕
実施例1において、感光体1とトナー1を表23に記載の感光体とトナーに変更した以外は、実施例1と同様にしてプロセスカートリッジを作製し、画像評価と帯電部材汚染の評価を行った。結果を表23に示す。
〔実施例106〕
<プロセスカートリッジの作製>
評価装置は、一成分接触現像システムの現像装置(Satera LBP5300;キヤノン製)を用い、非画像形成時のトナー吐き出しを行わないように調整した。評価はクリーニングがより厳しくなる低温低湿環境下(10℃/14%RH)で行った。低温低湿下でクリーニングが厳しくなる理由は、クリーニングブレードの硬度が高くなり、弾性率が低下することによることで感光体への追従性が低下するためと考えられる。
感光体は感光体104を用い、現像容器にはトナー1を充填した。こうして、感光体104とトナー1を有するプロセスカートリッジを用いて、画像評価と帯電部材汚染の評価を行った。
(3)画像評価
低温低湿環境下(10℃/14%RH)にて、印字率1%のテストチャートを用いて10,000枚耐久後、紙全面に、シアン単色モードにてベタ黒画像部を形成したチャートを20枚連続で出力し、以下の基準で評価した。評価結果を表24に示す。
A:20枚の画像いずれにおいても、白いスジ状の縦線が全く見られない。
B:20枚の画像中、白いスジ状の縦線が、1〜2本程度薄く見られる画像がある。
C:20枚の画像中、はっきりした白いスジ状の縦線が見られる、あるいは薄い縦線が3本以上見られる画像がある。
(4)帯電部材汚染
上記画像評価実施後に、カートリッジ内の帯電部材を回収し、外添剤付着由来の汚れが見られるか否かの目視確認を行い、以下の基準で評価した。評価結果を表24に示す。
A:白い汚れが全く見られない。
B:白い汚れがやや見受けられる。
C:白い汚れが目立つ。
〔実施例107〜157〕
実施例106において、感光体104とトナー1を表24に示す感光体とトナーに変更した以外は、実施例106と同様にしてプロセスカートリッジを作製し、画像評価と帯電部材汚染の評価を行った。結果を表24に示す。
〔比較例6〜11〕
実施例106において、感光体104とトナー1を表25に示す感光体とトナーに変更した以外は、実施例106と同様にしてプロセスカートリッジを作製し、画像評価と帯電部材汚染の評価を行った。結果を表25に示す。
実施例と比較例との比較より、比較例では、帯電部材汚染の抑制効果が十分に得られず、帯電部材汚染に由来する画像品質の低下がみられる。また、評価後の電子写真感光体をカートリッジから取り出し、クリーニングブレードが当接していた部分近傍を観察したところ、実施例に用いた感光体上には、感光体の長手方向に均一な滞留層のラインが形成されていたが、比較例に用いた感光体上の滞留層のラインは途切れ途切れ(不均一)であった。
以上の評価から、本発明の画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置では、均一な滞留層が形成できることが示された。そして、本発明の画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置では、良好なクリーニング性を発現し、帯電部材の汚染による画像品質低下を抑制できるという点で、優位性があることが示された。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材
T トナー

Claims (18)

  1. 電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電工程と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像工程と、該電子写真感光体上の該トナー画像を転写材に転写する転写工程と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング工程と、を有する画像形成方法において、
    該電子写真感光体の表面層が、下記(i)又は(ii)の条件を満足し、
    (i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する
    (ii)式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する
    (式(1)中、R11、R12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。nは、10以上200以下の整数を示す。)
    該トナーは、その表面に式(14)で示されるイソソルビドユニットを有する樹脂Cを含有するトナー粒子を有することを特徴とする画像形成方法。
  2. X線光電子分光法(ESCA)を用いて得られる前記表面層の最表面における構成元素に対するケイ素元素の存在割合が、3.0原子%以上であり、
    前記樹脂Cが、前記式(14)で示されるイソソルビドユニットを構成成分として、0.10mol%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記ポリアリレート樹脂A及び前記ポリカーボネート樹脂B中の前記式(1)で示される構造の含有量が、5.0質量%以上60質量%以下であり、
    前記樹脂Cが、前記式(14)で示されるイソソルビドユニットを構成成分として、0.10mol%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  4. 前記ポリアリレート樹脂A及び前記ポリカーボネート樹脂Bが、下記式(15)で示されるポリシロキサン構造を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
    (式(15)中、R151〜R154は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアリール基を示す。nは、10以上200以下の整数を示す。)
  5. 前記ポリアリレート樹脂A及び前記ポリカーボネート樹脂Bが、末端の少なくとも一部に下記式(2)で示されるポリシロキサン構造を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
    (式(2)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。nは、10以上200以下の整数を示す。mは、1以上3以下の整数を示す。)
  6. 前記ポリアリレート樹脂Aが、下記式(3)〜(5)で示される構造単位の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
    (式(3)中、R31〜R34は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、または下記式(3−A)で示される置換基を示し、R31〜R34のうち少なくとも1つは式(3−A)で示される置換基である。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Yは単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、またはフェニルエチリデン基を示す。)
    (式(3−A)中、R311〜R314は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。mは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は0以上5以下である。)
    (式(4)中、R41〜R44は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、またはフルオロアルキル基を示す。R45は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Vは、下記式(4−A)及び(4−B)で示される構造の少なくとも一方を示す。)
    (式(4−A)中、R411〜R414は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。mは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は3以上20以下である。)
    (式(4−B)中、R421〜R428は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Z及びZは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。n及びnは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値及びnの平均値は、それぞれ独立に、10以上200以下であり、nの平均値とnの平均値との合計値は、20以上250以下である。mは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は3以上20以下である。)
    (式(5)中、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。m及びmは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値及びmの平均値は、それぞれ独立に、1以上3以下である。Wは下記式(5−A)で示される構造を示す。)
    (式(5−A)中、R511〜R520は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。k及びlは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、kの平均値及びlの平均値は、それぞれ独立に、1以上10以下である。)
  7. 前記ポリアリレート樹脂Aが、前記式(5)で示される構造単位を有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記ポリカーボネート樹脂Bが、下記式(6)〜(8)で示される構造単位の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
    (式(6)中、R61〜R64は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、フェニル基または下記式(6−A)で示される置換基を示し、R61〜R64のうち少なくとも1つは式(6−A)で示される置換基である。Yは、単結合、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、フェニルエチリデン基、シクロヘキシリデン基、または酸素原子を示す。)
    (式(6−A)中、R611〜R614は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。mは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は0以上5以下である。)
    (式(7)中、R71〜R74は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。R75は、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Vは、下記式(7−A)及び(7−B)で示される構造の少なくとも一方を示す。)
    (式(7−A)中、R711〜R714は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。mは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は3以上20以下である。)
    (式(7−B)中、R721〜R728は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Z及びZは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。n及びnは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値及びnの平均値は、それぞれ独立に、10以上200以下であり、nの平均値とnの平均値との合計値は、20以上250以下である。mは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値は3以上20以下である。)
    (式(8)中、m及びmは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、mの平均値及びmの平均値は、それぞれ独立に、1以上3以下である。Wは下記式(8−A)で示される構造を示す。)
    (式(8−A)中、R811〜R820は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。Zは、炭素数1〜4のアルキル基、または、フェニル基を示す。nは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、nの平均値は10以上200以下である。k及びlは、括弧内の構造の繰り返し数を示し、kの平均値及びlの平均値は、それぞれ独立に、1以上10以下である。)
  9. 前記ポリカーボネート樹脂Bが、前記式(8)で示される構造単位を有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 前記表面層が、下記式(16)で示されるポリジメチルシロキサンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成方法。
    (式(16)中、nは10以上200以下の整数を示す。)
  11. 前記表面層に含有される前記式(16)で示されるポリジメチルシロキサンの含有量が、前記表面層に含有される前記ポリアリレート樹脂A及び前記ポリカーボネート樹脂Bに対して、3.0質量%以上20.0質量%以下であり、
    前記樹脂Cが、前記式(14)で示されるイソソルビドユニットを構成成分として、0.10mol%以上含有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
  12. 前記フッ素樹脂粒子は表面層中に、0.2μm〜1.0μmの体積平均粒径で存在している請求項1記載の画像形成方法。
  13. 前記表面層中に下記式(18)で示される繰り返し構造単位及び下記式(19)で示される繰り返し構造単位を有する重合体または、下記式(20)で示されるジオルガノポリシロキサンを含有している請求項1に記載の画像形成方法。
    (式(18)中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは単結合または2価の基を示す。Rfはフルオロアルキル基及びフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。また、式(19)中、Rは水素またはメチル基を示す。Yは2価の有機基を示す。Zは重合体ユニットを示す。)
    (式(20)中、R11〜R16は置換もしくは無置換の炭化水素基を示し、Bはパーフルオロアルキル基を有する置換もしくは無置換の有機基を示し、Dは末端が封鎖された重合度3以上の、置換もしくは無置換のポリスチレン鎖を有する基を示し、E及びEはR11〜R16、B及びDから選択される基を示し、lは0〜1000の整数を示し、m及びnは1〜1000の整数を示す。)
  14. 前記表面層中のフッ素樹脂粒子の含有量が、3.0質量%〜10.0質量%であり、かつ、前記式(18)で示される繰り返し構造単位及び前記式(19)で示される繰り返し構造単位を有する重合体または、前記式(20)で示されるジオルガノポリシロキサンをフッ素樹脂粒子の質量に対し、2.0質量%〜10.0質量%の範囲で含有している請求項1に記載の画像形成方法。
  15. 前記トナーは、ポリエステル樹脂を含有し、前記ポリエステル樹脂は、前記式(14)で示されるイソソルビドユニットを0.10mol%以上30.00mol%以下含有し、
    かつ、前記電子写真感光体は、前記表面層中のフッ素樹脂粒子の含有量が、3.0質量%〜10.0質量%であり、前記式(18)で示される繰り返し構造単位及び前記式(19)で示される繰り返し構造単位を有する重合体または、前記式(20)で示されるジオルガノポリシロキサンをフッ素樹脂粒子の質量に対し、2.0質量%〜10.0質量%の範囲で含有している請求項1に記載の画像形成方法。
  16. 前記トナーは、樹脂を含有するトナー粒子を有し、
    該樹脂が、前記樹脂C及びスチレンアクリル樹脂を含有し、
    該スチレンアクリル樹脂の、該トナー中の数平均分子量が1500以上の全樹脂に対する含有量が、50.0質量%以上99.0質量%以下であり、
    該樹脂Cが、前記式(14)で示されるイソソルビドユニットを構成成分として、0.10mol%以上30.00mol%以下含有し、
    該樹脂Cの、該トナー中の数平均分子量が1500以上の全樹脂に対する含有量が、1.0質量%以上35.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  17. 電子写真装置本体に取り外し可能に装着されるプロセスカートリッジであって、
    該プロセスカートリッジが、電子写真感光体と、該電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電手段と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング手段を有し、
    該電子写真感光体の表面層が、下記(i)又は(ii)の条件を満足し、
    (i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する
    (ii)式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する
    (式(1)中、R11、R12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。nは、10以上200以下の整数を示す。)
    該トナーは、その表面に式(14)で示されるイソソルビドユニットを有する樹脂Cを含有するトナー粒子を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  18. 電子写真感光体と、該電子写真感光体に当接し該電子写真感光体を帯電する帯電手段と、該電子写真感光体上にトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段と、該電子写真感光体上の該トナー画像を転写材に転写する転写手段と、該電子写真感光体にブレードを当接し該電子写真感光体上のトナーを除去するクリーニング手段と、を有する画像形成方法において、
    該電子写真感光体の表面層が、下記(i)又は(ii)の条件を満足し、
    (i)フッ素樹脂粒子と、ポリアリレート樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群より選択される少なくとも一方の樹脂とを含有する
    (ii)式(1)で示されるポリシロキサン構造を有するポリアリレート樹脂A及びポリカーボネート樹脂Bからなる群より選択される少なくとも一方の樹脂を含有する
    (式(1)中、R11、R12は、それぞれ独立に、アルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を示す。nは、10以上200以下の整数を示す。)
    該トナーは、その表面に式(14)で示されるイソソルビドユニットを有する樹脂Cを含有するトナー粒子を有することを特徴とする電子写真装置。
JP2016155061A 2015-08-27 2016-08-05 画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Active JP6762799B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US15/241,752 US20170060008A1 (en) 2015-08-27 2016-08-19 Image forming method, process cartridge and electrophotographic apparatus

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015168257 2015-08-27
JP2015168263 2015-08-27
JP2015168263 2015-08-27
JP2015168257 2015-08-27

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017045045A true JP2017045045A (ja) 2017-03-02
JP6762799B2 JP6762799B2 (ja) 2020-09-30

Family

ID=58210193

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016155061A Active JP6762799B2 (ja) 2015-08-27 2016-08-05 画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6762799B2 (ja)

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000081715A (ja) * 1998-06-30 2000-03-21 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカ―トリッジ及び電子写真装置
JP2005062830A (ja) * 2003-07-31 2005-03-10 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、電子写真装置、及びプロセスカートリッジ
JP2007156737A (ja) * 2005-12-02 2007-06-21 Nichiha Corp 建築材設計支援システム、建築材及びプログラム
JP2008537786A (ja) * 2005-03-18 2008-09-25 バテル・メモリアル・インスティテュート トナー
WO2008117893A1 (ja) * 2007-03-28 2008-10-02 Canon Kabushiki Kaisha 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2008299119A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Canon Inc プロセスカートリッジ
JP2011232665A (ja) * 2010-04-30 2011-11-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd トナー用ポリエステル樹脂組成物を製造する方法、トナー用ポリエステル樹脂組成物、およびトナー
JP2012073304A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Tomoegawa Paper Co Ltd 電子写真用トナー
JP2012083737A (ja) * 2010-09-14 2012-04-26 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置および電子写真感光体の製造方法
JP2012521567A (ja) * 2009-03-19 2012-09-13 ミツビシ・カガク・イメージング・コーポレイション バイオ樹脂を含有するバイオトナー、その製造方法、およびバイオ樹脂を含有するバイオトナーで印刷するための方法
JP2012242620A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
WO2013187401A1 (ja) * 2012-06-13 2013-12-19 三菱レイヨン株式会社 トナー用ポリエステル樹脂とその製造方法、およびトナー

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000081715A (ja) * 1998-06-30 2000-03-21 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカ―トリッジ及び電子写真装置
JP2005062830A (ja) * 2003-07-31 2005-03-10 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、電子写真装置、及びプロセスカートリッジ
JP2008537786A (ja) * 2005-03-18 2008-09-25 バテル・メモリアル・インスティテュート トナー
JP2007156737A (ja) * 2005-12-02 2007-06-21 Nichiha Corp 建築材設計支援システム、建築材及びプログラム
WO2008117893A1 (ja) * 2007-03-28 2008-10-02 Canon Kabushiki Kaisha 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2008299119A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Canon Inc プロセスカートリッジ
JP2012521567A (ja) * 2009-03-19 2012-09-13 ミツビシ・カガク・イメージング・コーポレイション バイオ樹脂を含有するバイオトナー、その製造方法、およびバイオ樹脂を含有するバイオトナーで印刷するための方法
JP2011232665A (ja) * 2010-04-30 2011-11-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd トナー用ポリエステル樹脂組成物を製造する方法、トナー用ポリエステル樹脂組成物、およびトナー
JP2012083737A (ja) * 2010-09-14 2012-04-26 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、電子写真装置および電子写真感光体の製造方法
JP2012073304A (ja) * 2010-09-28 2012-04-12 Tomoegawa Paper Co Ltd 電子写真用トナー
JP2012242620A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
WO2013187401A1 (ja) * 2012-06-13 2013-12-19 三菱レイヨン株式会社 トナー用ポリエステル樹脂とその製造方法、およびトナー

Also Published As

Publication number Publication date
JP6762799B2 (ja) 2020-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20170060008A1 (en) Image forming method, process cartridge and electrophotographic apparatus
JP5365077B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置
KR101544620B1 (ko) 전자 사진 감광체, 전자 사진 감광체 카트리지 및 화상 형성 장치
CN103926820A (zh) 清洁器以及使用该清洁器的处理卡盒和图像形成装置
JP2010122583A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP4648909B2 (ja) 電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置
JP5434063B2 (ja) 画像形成方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2006163302A (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2005316226A (ja) 画像形成方法
JP6762799B2 (ja) 画像形成方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP4600116B2 (ja) 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法
JP4788168B2 (ja) 電子写真感光体と現像剤との適合性評価方法
JP5561050B2 (ja) 画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP5119733B2 (ja) 電子写真感光体、該電子写真感光体を備える感光体カートリッジ及び画像形成装置
JP2008176056A (ja) 電子写真感光体、塗布液及び画像形成装置
JP6584177B2 (ja) 画像形成方法および電子写真装置
JP6364873B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP6545043B2 (ja) 画像形成方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP4360288B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP4712655B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法及びこれに含まれるプロセスカートリッジ
JP4871197B2 (ja) 画像形成装置
JP2019095701A (ja) 電子写真画像形成装置
JP7419041B2 (ja) 画像形成装置およびプロセスカートリッジ
JP2007147788A (ja) 画像形成方法、および画像形成装置
JP7484451B2 (ja) 有機感光体、電子写真画像形成装置及び有機感光体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20171214

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20180126

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200526

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200720

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200811

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200909

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6762799

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151