JP2017043829A - 金属含有膜付き誘電体基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フッ素樹脂を含む誘電体基材の表面に、大気圧プラズマ処理を行う過酸化物ラジカル形成工程に続いて、前記誘電体基材表面に、β−ケトカルボン酸銅化合物と、沸点が250℃以下のアミン化合物を含む銅含有組成物であって、前記銅含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記β−ケトカルボン酸銅化合物を1〜40質量部含有する銅含有組成物を塗布し、加熱する銅含有膜形成工程を行うことを特徴とする金属含有膜付き誘電体基材の製造方法である。
【選択図】図1
Description
該製造方法において、前記過酸化物ラジカル形成工程の後に、前記誘電体基材表面にグラフト化剤を反応させるグラフト化工程を行ってから、前記誘電体基材表面に前記銅含有組成物を塗布し、加熱する前記銅含有膜形成工程を行うことが好ましい。
該製造方法において、前記過酸化物ラジカル形成工程の後に、基材表面にグラフト化剤を反応させるグラフト化工程を行ってから、前記誘電体基材表面に前記金属粒子含有組成物を塗布し、加熱する前記金属含有膜形成工程を行うことが好ましい。
該製造方法において、前記過酸化物ラジカル形成工程の後に、前記誘電体基材表面にグラフト化剤を反応させるグラフト化工程を行ってから、前記誘電体基材表面に前記銀錯体含有組成物を塗布し、加熱する前記銀含有膜形成工程を行うことが好ましい。
本発明では、フッ素樹脂を含む誘電体基材の表面に大気圧プラズマ処理を行う点に特徴を有している。大気圧プラズマ処理を行うことで、プラズマ中に含まれるラジカル、電子、イオン等により、フッ素樹脂表面の脱フッ素によるダングリングボンドの形成を誘起する。その後、大気に数分から10分程度曝すことによって、大気中の水成分と反応して、ダングリングボンドに過酸化物ラジカルをはじめ、水酸基、カルボニル基などの親水性官能基が自発的に形成される。このようにして形成した過酸化物ラジカルは、後述する各種金属含有組成物の金属イオンと結合するなどして、密着強度に優れた金属含有膜を基材上に形成できる。
先ず、成型体を必要に応じてアセトン等の有機溶媒や超純水等の水で洗浄した後、図1に示すように、チャンバー12内の試料ホルダー19の上面側にシート形状の成型体1を配置した後、図示しない吸引装置により、真空排気系13からチャンバー12内の空気を吸引して減圧し、プラズマを発生させるガスをチャンバー内に供給し(図1(a)矢印参照)、チャンバー12内を大気圧にする。尚、大気圧とは、厳密に1013hPaである必要はなく、700〜1300hPaの範囲であればよい。
また、走査ステージ16を、電極14の軸方向に直交する方向(図1(b)、矢印方向(図1の左右方向))に移動させることで、成型体表面の所望の部分にプラズマを照射することができる。例えば、走査ステージの移動速度は、1〜3mm/秒が好ましいが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではない。尚、成型体1へのプラズマ照射時間は、例えば、移動速度を調整したり、走査ステージ16を所望回数往復させることで調整することができる。
特に、誘電体基材の表面温度を(フッ素樹脂基材の融点−120)℃以上とする場合には、印加電圧の周波数が5〜30MHz、電極と成型体表面間の距離が0.5〜2.0mm、出力電力密度が15〜30W/cm2である場合、成型体表面に対する積算の照射時間を50秒〜3300秒とするのが好ましく、250秒〜3300秒とするのがより好ましく、550秒〜2400秒とするのが特に好ましい。特にPTFE製のシート形状の成型体の表面温度を207〜327℃(より好ましい下限は、210℃以上、更に好ましくは220℃以上)とし、照射時間を600〜1200秒とすることが好ましい。照射時間が長い場合は、加熱による影響が表れる傾向にある。なお、プラズマ照射時間とは、成型体表面にプラズマが照射されている積算時間を意味し、プラズマ照射時間の少なくとも一部で成型体表面温度が(融点−120)℃以上となっていれば良く、例えばプラズマ照射時間のうちの1/2以上(好ましくは2/3以上)で成型体表面温度が(融点−120)℃以上となっていれば良い。いずれの態様においても、成型体の表面温度を上記範囲とすることで、成型体表面のPTFE分子の運動性を向上させ、プラズマにより切断されたあるPTFE分子の炭素−フッ素結合のうちの炭素原子が、同様にして生じた他のPTFE分子の炭素原子と結合して炭素−炭素結合が生じる確率が格段に向上し、表面硬さを向上させることができる。
また、大気圧プラズマ処理によって、過酸化物ラジカルが表面に導入されたフッ素樹脂基材の表面に、グラフト化剤を反応させるグラフト化工程を行い、金属イオンと配位結合する官能基を固定することが好ましい。前記した過酸化物ラジカルが表面に導入されたフッ素樹脂基材に、グラフト化剤を塗布すると、フッ素樹脂表面に形成した過酸化物ラジカルを反応点として、グラフト化剤と自発的に共有結合を形成し、フッ素樹脂表面からグラフト化剤が高密度にグラフトされる。グラフト化剤を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、スプレー噴霧法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、浸漬法、ドクターブレードコーティング法などが挙げられる。
前記した大気圧プラズマ処理による過酸化物ラジカル形成工程の後、好ましくは更に前記グラフト化工程の後、後述する所定の金属(銅又は銀)含有組成物を塗布し、加熱することで、金属含有組成物を硬化させ、基材表面に金属含有膜を形成できる(以下、金属含有膜形成工程と呼ぶ)。金属含有組成物の塗布方法は特に限定されず、例えばスピンコート法、スプレー噴霧法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、浸漬法、ドクターブレードコーティング法などが挙げられる。加熱温度は例えば100〜150℃であり、加熱時間は例えば5〜15分とできる。誘電体基材上の金属含有膜の膜厚は、特に限定されないが、例えば0.01μm〜100μmであり、0.1μm〜50μmとしても良い。
本発明においてフッ素樹脂を含む誘電体基材と金属含有膜との良好な密着強度を実現するための金属含有組成物として、β−ケトカルボン酸銅化合物と、沸点が250℃以下のアミン化合物を含む銅含有組成物であって、前記銅含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記β−ケトカルボン酸銅化合物を1〜40質量部含有する銅含有組成物(以下、銅含有インクと呼ぶ)を挙げることができる。
沸点が250℃以下の1級アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、アミルアミン、イソアミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、2−アミノアルコール、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2−エトキシエチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−エトキシプロピルアミンが挙げられ、銅原料の溶解性からは低分子量のn−ブチルアミン、アミルアミンや、分岐構造を有するイソアミルアミン、2−エチルヘキシルアミンが好ましい。
また、沸点が250℃以下のアミン化合物は1種類又は2種類以上を混合して用いても良い。インクの塗工性や焼結性からは、2種類以上を混合して用いることが好ましい。
沸点が250℃以下のアミン化合物の含有量は、例えば50〜80質量部であり、好ましくは55〜75質量部である。
銅パターン形成用組成物中の銅濃度を向上させるために他の銅原料として、例えば、粒径3nm〜500nm範囲の銅微粒子や、粒径がマイクロメートルオーダーの銅フィラーを添加することができる。導電性の観点からは銅微粒子を添加することが好ましく、添加する場合の割合としては、β-ケトカルボン酸銅化合物1質量部に対し、0.001〜10質量部が好ましい。
このような溶剤としては、その他成分と反応しなければ特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶剤が挙げられる。添加する場合の割合としては、β-ケトカルボン酸銅化合物1質量部に対し、0.01〜100質量部が好ましい。
上記添加剤としては、例えば、レベリング剤、カップリング剤、粘度調整剤、酸化防止剤が挙げられる。添加する場合の割合としては、β-ケトカルボン酸銅化合物1質量部に対し、0.001〜10質量部が好ましい。
また、下記の(B−1)銅粒子含有ペースト及び(B−2)銀粒子含有ペーストも、フッ素樹脂を含む誘電体基材と金属含有膜との良好な密着強度を実現するための金属含有組成物として有効である。
本発明における銅粒子含有ペーストは、金属粒子として平均粒子径0.1〜10μmの銅粒子と、バインダー樹脂を含む金属粒子(すなわち銅粒子)含有組成物であって、前記金属粒子含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記金属粒子(すなわち銅粒子)を50〜95質量部含有する。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリメチルメタクリル、ポリビニールアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート、アポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。これらのバインダーはいずれか1種類を用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。
また、アミン化合物は、脂肪族モノカルボン酸よりもアミノ基の窒素の孤立電子対の効果により金属に対する配位能が高く、脂肪族モノカルボン酸よりも強い結合で銅表面と結びつくため脂肪族モノカルボン酸よりも表面被覆率が高いと考えられる。また、アミン化合物は、脂肪族モノカルボン酸と静電的な相互作用による結合を形成しやすい。ここで静電的な相互作用とは、水素結合およびイオン間相互作用を指す。したがって、表面被覆率が高いアミン化合物で銅表面を被覆した後、脂肪族モノカルボン酸でさらにその外側を被覆することで、脂肪族モノカルボン酸を銅粒子に直接被覆するよりも、高い表面被覆率で脂肪族モノカルボン酸を銅粒子に被覆することができる。そのため、本発明の表面被覆銅粒子は、アミン化合物の酸化抑制効果と脂肪族モノカルボン酸の高い被覆率により、脂肪族モノカルボン酸のみを被覆した銅粒子よりも高い耐酸化性を有している。
また、アミン化合物同士が、例えば水素結合等により結合して2分子以上積層している部分があってもよい。
ここで、化学結合とは、脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基とアミン化合物のアミノ基とが静電的な相互作用により結合していることを意味する。ここでいう静電的な相互作用とは、水素結合、イオン間相互作用(イオン結合)などを指す。すなわち、第2被覆層とは、第1被覆層のアミン化合物と静電的な相互作用によって結合している脂肪族モノカルボン酸の層である。理想的には、第1被覆層のアミン化合物と脂肪族モノカルボン酸が1:1で反応して第2被覆層が形成されていることが好ましいが、実際上は、そのような理想状態となることは難しい。従って、一部脂肪族モノカルボン酸と結合していない第1被覆層のアミン化合物があってもよく、また、第2被覆層において、脂肪族モノカルボン酸が物理吸着等により2分子以上が積層して吸着している部分があってもよい。
従って、本発明における第2被覆層とは、第1被覆層と同様、脂肪族モノカルボン酸が第1被覆層を均一に被覆している層だけでなく、脂肪族モノカルボン酸がアミン化合物と結合していない部分が一部存在するように形成されている被覆層をも含むものとする。
なお、脂肪族モノカルボン酸が吸着して第2被覆層を形成していることは、第1被覆層と同様、後述する銅表面のIR測定により確認するものとする。
さらに、アミン化合物が結合していない銅表面が一部存在する場合は、当該銅表面に直接脂肪族モノカルボン酸が吸着している部分があってもよい。
工程(A):銅粒子と、上記式(2)で表されるアミン化合物を含むアミン化合物溶液との混合物aを調製し、前記銅粒子表面に前記アミン化合物の第1被覆層を形成する工程
工程(B):前記第1被覆層の形成に使用されなかった遊離の前記アミン化合物を含むアミン化合物溶液を前記混合物aから除去し、第1被覆層形成銅粒子を含有する中間体1を得る工程
工程(C):前記中間体1と、炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液との混合物bを調製し、前記第1被覆層上に前記脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層を形成する工程
工程(D):前記第2被覆層の形成に使用されなかった遊離の前記脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液を前記混合物bから除去し、第1および第2被覆層形成銅粒子を含有する中間体2を得る工程
工程(E):前記中間体2を乾燥させる工程
なお、工程(B)において前記中間体1を得る場合、過剰のアミン化合物溶液を除去するに当たっては、静置分離若しくは遠心分離による上澄みの除去、または濾過による濾液の除去に止めておくのが好ましい。遊離のアミン化合物を完全に除去することを目的に水洗等を実施すると、第1被覆層を形成したアミン化合物も銅表面から脱離して除去されるおそれがある。
上記不純物を銅粒子表面から除去できれば特にその方法に限定はないが、例えば、有機溶剤または酸を用いた洗浄方法がある。有機溶剤としては、種類は特に制限されないが、銅粒子表面への濡れ性がよく、洗浄処理後に除去しやすいものがよく、単独もしくは混合して用いることができる。具体的にはアルコール類、ケトン類、炭化水素類、エーテル類、ニトリル類、イソブチロニトリル類、水ならびに1−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。酸としては、有機酸、無機酸が好適に用いることができる。有機酸としては、酢酸、グリシン、アラニン、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸等が挙げられる。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素、リン酸などが挙げられる。酸の濃度としては、0.1〜50質量%が好ましく、反応熱を抑制するため、0.1〜10質量%がより好ましい。0.1質量%未満であると不純物の除去が不十分となるおそれがあり、50質量%を超えても効果に差はなく、不純物除去コストが高くなるおそれがある。
なお、酸による洗浄処理を実施した場合は、銅粒子表面への酸の残留を防止するため、酸洗浄後に水や有機溶剤でさらに洗浄することが好ましい。
工程(A)は、銅粒子表面に上記式(1)で表されるアミン化合物を被覆する工程である。
具体的には、アミン化合物を含むアミン化合物溶液に、前処理を行った銅粒子または前処理を行っていない銅粒子を投入して混合物aとし、当該混合物aを撹拌することによって、銅粒子表面にアミン化合物の第1被覆層を形成させる。撹拌方法は特に限定されず、銅粒子とアミン化合物が十分接触するように撹拌すればよく、パドル撹拌機、ラインミキサー等、公知の撹拌機を用いて一般的な撹拌方法を用いればよい。
具体的には、銅粒子の粒子径にもよるが、銅粒子100質量部に対して0.1〜200質量部が好ましい。遊離のアミン化合物が表面被覆銅粒子中に残存するのを抑制する点で、1〜100質量部がより好ましい。銅粒子の粒子径が小さいほど単位質量当たりの表面積が大きくなるので、小さい粒子径のものほどアミン化合物の混合量を多くすることが好ましい。
また、処理時間は特に限定はないが、5分間〜10時間が好ましい。また、製造コストの点で、5分間〜3時間がより好ましい。5分間未満であると、アミン化合物による被覆が不十分となるおそれがあり、10時間を超えると、アミン化合物が大気中から混入してくる二酸化炭素と塩を形成し、表面被覆銅粒子中に不純物として残留するおそれがある。
工程(B)は、第1被覆層の形成に使用されなかった遊離のアミン化合物を含むアミン化合物溶液を上記混合物aから除去し、第1被覆層形成銅粒子を含有する中間体1を得る工程である。すなわち、過剰のアミン化合物溶液を除去する工程である。このとき、過剰のアミン化合物を完全に除去する必要はなく、自然沈降もしくは遠心分離による分離によって、または濾過によって上記中間体1を得ることができる。つまり、中間体1中には少量の遊離アミン化合物および溶媒が含まれているが、そのまま次の工程(C)に移行してよい。操作が簡便である点で、第1被覆層が形成された銅粒子を自然沈降によって沈降させた後、上澄みのアミン化合物溶液をデカンテーション、またはアスピレーターによる吸引によって除去する方法が好ましい。
また、当該分離後の沈殿物または濾過物を、アミン化合物および炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸の両者を溶解可能な溶媒で洗浄して中間体1としてもよい。当該洗浄により遊離アミン化合物の混入量を低減できるので好ましい。ただし、水洗は上記理由により好ましくない。
なお、中間体1を乾燥させて含有溶媒(アミン化合物溶液の溶媒)を低減させてもよいが、この段階で乾燥させると銅表面が酸化されるおそれがあるので、乾燥、特に加熱乾燥は実施しない方が好ましい。
従って、中間体1中のアミン化合物量は、第1被覆層を形成するアミン化合物と遊離アミン化合物の合計量として、銅粒子量の10質量%以下にするのが好ましい。脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層形成に影響を与えない点で、1.0質量%以下にするのがより好ましい。なお、中間体1中のアミン化合物量は、上澄み液等のアミン化合物量を測定し、工程(A)で使用したアミン化合物量との差から求めることができる。
工程(C)は、第1被覆層上に炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層を形成する工程である。
具体的には、上記中間体1に炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液を加えて混合物bとし、当該混合物bを撹拌することによって、第1被覆層上に脂肪族モノカルボン酸の第2被覆層を形成させる。なお、炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液に、上記中間体1を投入して混合物bとしてもよい。撹拌方法は特に限定されず、第1被覆層が形成された銅粒子と脂肪族モノカルボン酸が十分接触するように撹拌すればよく、パドル撹拌機、ラインミキサー等、公知の撹拌機を用いて一般的な撹拌方法を用いればよい。
具体的には、銅粒子の粒子径にもよるが、銅粒子100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましい。遊離の脂肪族モノカルボン酸が表面被覆銅粒子中に残存するのを抑制する点で、0.5〜10質量部がより好ましい。銅粒子の粒子径が小さいほど単位質量当たりの表面積が大きくなるので、小さい粒子径のものほど脂肪族モノカルボン酸の混合量を多くすることが好ましい。
好ましい溶媒は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ニトリル類、スルホキシド類、ピロリドン類から選ばれる1種類以上を含む溶剤である。具体的には、アルコール類は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、tert−アミルアルコール、エチレングリコール、ブトキシエタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。ケトン類は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。エーテル類は、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどが挙げられる。ニトリル類は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルおよびイソブチロニトリルが挙げられる。スルホキシド類では、ジメチルスルホキシドが挙げられる。ピロリドン類としては、1−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
また、処理時間は特に限定はないが、5分間〜10時間が好ましい。また、製造コストの点で、5分間〜3時間がより好ましい。5分間未満であると、脂肪族モノカルボン酸による被覆が不十分となるおそれがあり、10時間を超えると、銅−アミン化合物−脂肪酸の錯体として脱離した成分が表面被覆銅粒子中に残留するおそれがあり、導電性組成物の導電性に悪影響を与える可能性があるため好ましくない。
工程(D)は、第2被覆層の形成に使用されなかった遊離の脂肪族モノカルボン酸を含む脂肪族モノカルボン酸溶液を上記混合物bから除去し、第1および第2被覆層形成銅粒子を含有する中間体2を得る工程である。具体的には、濾過によって中間体2を得ることができる。濾過方法としては、公知の方法を適用でき、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過等を例示できる。また、遊離の脂肪族モノカルボン酸および遊離のアミン化合物を可能な限り除去する点で、濾過物を、炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸およびアミン化合物の両者を溶解可能な溶媒で洗浄して中間体2とすることが好ましい。洗浄によって、遊離の脂肪族モノカルボン酸量を低減することにより、導電性組成物としたときの該組成物の密着性が良好となる。
工程(E)は、上記中間体2を乾燥させて本発明の表面被覆銅粒子を得る工程である。
当該乾燥方法には特に限定はないが、例えば、減圧乾燥や凍結乾燥を例示できる。製造コストの点で減圧乾燥が好ましく、乾燥温度としては、20〜120℃が好ましい。20℃未満では乾燥時間が長くなるおそれがあり、120℃より高い温度では、銅が酸化されるおそれがある。減圧度、乾燥温度、および乾燥時間は、各々の条件の組み合わせおよび使用した溶媒の種類等によって適宜決定すればよく、乾燥後の表面被覆銅粒子中の溶媒量が1質量%以下になる程度まで乾燥させ得る条件であれば好ましい。
以上の製造方法により、粒子状の表面被覆銅粒子を製造することができる。
本発明における銀粒子含有ペーストは、平均粒子径0.1〜10μmの銀粒子と、バインダー樹脂を含む金属粒子(すなわち銀粒子)含有組成物であって、前記金属粒子含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記金属粒子(すなわち銀粒子)を50〜95質量部含有する金属粒子含有組成物である。
また、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリメチルメタクリル、ポリビニールアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート、アポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。これらのバインダーはいずれか1種類を用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。
更に、カルバミン酸アンモニウム及びアンモニウムカーボネート系化合物から選ばれる1種類以上を含む銀錯体化合物と、溶媒とを含む銀錯体含有組成物であって、前記銀錯体含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記銀錯体化合物を20〜70質量部含有する銀錯体含有組成物(以下、銀錯体含有インクと呼ぶ)を加熱して得られる金属含有膜も、フッ素樹脂を含む誘電体基材との密着強度に優れる。
本発明で用いる銅含有インクの製造方法を示す。
(合成例1:アセト酢酸銅(II)・2水和物の合成)
加水分解用NaOH水溶液(2.30g、24.0mL)に、アセト酢酸エチル6.24g(48.0mmol)を加え、30℃で3時間加熱攪拌した。3時間後、反応混合液を0℃に冷却し、5NのHNO3水溶液を加えて反応液を酸性にした。反応混合液に硝酸銅(II)水溶液2.90g(4.80mmol)を滴下し、4時間磁気攪拌した。析出した固体を濾過し、イオン交換水・アセトンで洗浄して、水色固体のアセト酢酸銅(II)・2水和物2.05g(6.70mmol)を得た。
アセト酢酸銅(II)・2水和物0.30g(1.0mmol)、2−エチルヘキシルアミン(沸点:169℃)2.5g、n−ブチルアミン(沸点:78℃)2.5g、ギ酸銅(II)・4水和物2.3g(9.0mmol)を混合することで銅含有インクを調製した。
実施例1−1
以下に示す手順によって、PTFE製の誘電体基材の表面を処理した。
(1)日東電工株式会社にて厚さ0.2mmに切削されたPTFEシートを、幅30mm×長さ30mmに切り分けた。
(2)切り分けたPTFEシートをアセトンの入ったビーカーに入れ、1分間超音波洗浄を行った。
(3)前記(2)においてアセトン中で超音波洗浄後のPTFEシートを超純水の入ったビーカーに入れ、1分間超音波洗浄を行った。
(4)前記(3)において超純水中で超音波洗浄を行った後のPTFEシートに対して、エアガンにより純度99%以上の窒素ガスを吹き付け、超純水を飛散させ除去した。
(5)超音波洗浄後のPTFEシートの両端に、養生テープ(積水化学工業(株)製)を貼り、真空チャックも併用してPTFEシートをプラズマ処理装置の電極下に固定した。用いたプラズマ処理装置は、積水化学工業(株)製の常圧プラズマ表面処理実験装置(AP−T05−L150)である。
(6a)プラズマ処理は、直流パルス電源を用い、以下の条件で行った。
プロセスガス:流量15L/minのArガス
印加電圧の周波数:20kHz
単位面積当たりの出力電力:1.7W/cm2
プラズマ処理時間:60秒
電極とPTFEシート表面との距離:1mm
プラズマ処理温度:常温
実施例1−1と同様に、PTFEシートに大気圧プラズマ処理を行った後、下記(III)の手順でグラフト化処理を行った以外は、実施例1−1と同様にして銅含有膜を形成した。
(7)グラフト化剤として、超純水で10質量%に希釈したアミノエチル化アクリルポリマー(ポリメント(登録商標)、NK−100PM、(株)日本触媒製)溶液を使用した。本実施例における表面グラフト化は、プラズマ処理したPTFEシートをアミノエチル化アクリルポリマーに20秒浸漬することにより行った。
(8)PTFEシート上の未反応のグラフト化剤を除去するため、表面グラフト化したPTFEシートを超純水の入ったビーカーに入れ、1分間超音波洗浄を行った。
(9)超音波洗浄後のPTFEシートに対して、エアガンにより純度99%以上の窒素ガスを吹き付け、超純水を飛散させ除去した。
前記(II)の大気圧プラズマ処理にて、上記(6a)に代えて、下記の(6b)の要領でプラズマ処理中のPTFE表面を(融点−120)℃以上に加熱する以外は、実施例1−1と同様にして銅含有膜を形成した。
(6b)プラズマ処理は、高周波電源を用い、以下の条件で行った。
プロセスガス:Heガス(10Paまで減圧後、1013hPaになるまで導入)
高周波電源:13.56MHz
単位面積当たりの出力電力:21.7W/cm2
プラズマ処理時間:1200秒
電極とPTFEシート表面との距離:1mm
プラズマ処理温度:(融点−120)℃以上
(PTFEシートの表面温度は、(株)キーエンス製、デジタル放射温度センサ、FT−50AとFT−H40KとKZ−U3#を組み合わせて用いることによって測定した)
前記(II)の大気圧プラズマ処理にて、上記(6a)に代えて、上記の(6b)の要領でプラズマ処理中のPTFE表面を(融点−120)℃以上まで加熱する以外は、実施例1−2と同様にして銅含有膜を形成した。
実施例1−1において、PTFEシートに前記(II)の大気圧プラズマ処理を行わない以外は実施例1−1と同様にして、銅含有膜を形成した。
各実施例にて得られた金属含有膜付き誘電体基材における金属含有膜とPTFEシートの間の密着強度は、JIS K6854−1に基づいた90°剥離試験により評価した。ナガセケムテックス(株)製の2液混合型のエポキシ接着剤(主剤:EPOXY RESIN AV138、硬化剤:HARDENER HV998、質量比:主剤/硬化剤=2.5/1)をステンレスの棒に塗布し、金属含有膜を接着剤に接触させた。接着剤は、加熱温度80℃、加熱時間30分で硬化させた。引張試験機として、(株)イマダ製作所製のデジタルフォースゲージ(ZP−200N)と電動スタンド(MX−500N)を使用した。PTFEシートの端部をクリップではさみ、1mm/秒で引張試験を行った。
本発明で用いる銅粒子含有ペーストの製造方法を示す。
(銅粒子の前処理)
銅粒子[三井金属工業株式会社製1400YP、粒径(D50):6.9μm、比表面積:0.26m2/g]220gを、トルエン352gとイソプロパノール88gの混合液に投入し、攪拌して分散させながら70℃で30分間還流させた。還流後、減圧濾過により、銅粒子含有混合液からトルエンおよびイソプロパノールを除去した。濾別した銅粒子を3.5%塩酸水溶液440gに投入し、30℃で30分間攪拌した。攪拌後、減圧濾過により、銅粒子含有塩酸水溶液から塩酸水溶液を除去した。続いて、濾別した銅粒子をイソプロパノール440gに投入し、30℃で15分間攪拌した。攪拌後、減圧濾過により、銅粒子含有イソプロパノールからイソプロパノールを除去し、濾別した銅粒子を25℃で12時間減圧乾燥して、前処理実施銅粒子を得た。なお、減圧濾過は、No.5Cの濾紙をセットした桐山ロートをダイヤフラムポンプで減圧することで実施した。また、減圧乾燥は、濾別した銅粒子を真空オーブン内に入れ、該オーブンをオイルポンプで減圧することで実施した。
[工程(A)]
前処理実施銅粒子200gを、水600g中に投入し、25℃で攪拌しながら窒素バブリングを30分間行った。該銅粒子含有水を60℃まで昇温した後、当該銅粒子含有水に50質量%のエチレンジアミン水溶液400gを30mL/分で滴下し、60℃を保持して40分間攪拌を行った。攪拌は、メカニカルスターラーを使用し、回転数150rpmで実施した。以下、攪拌は同様の攪拌装置を使用して同じ回転数で行った。
[工程(B)]
攪拌を止めて5分間静置した後、上澄み液約800gを抜き取って除去した。続いて、沈殿物に洗浄用溶媒としてイソプロパノール800gを添加し、30℃で3分間攪拌を行った。攪拌を止めて5分間静置した後、上澄み液約800gを抜き取って除去し、中間体1を得た。
[工程(C)]
中間体1に、2質量%のミリスチン酸のイソプロパノール溶液1000gを添加した後、30℃で30分間攪拌を行った。
[工程(D)]
攪拌停止後、減圧濾過によりミリスチン酸のイソプロパノール溶液を除去し、中間体2を得た。減圧濾過は、No.5Cの濾紙をセットした桐山ロートをダイヤフラムポンプで減圧することで実施した。
[工程(E)]
中間体2を25℃で3時間減圧乾燥することにより表面被覆銅粒子を得た。減圧乾燥は、中間体2を真空オーブン内に入れ、該オーブンをオイルポンプで減圧することで実施した。
得られた表面被覆銅粒子の表面の赤外吸収スペクトルを下記の条件で測定した。
測定器機種:日本分光(株)製 FT/IR-6100
測定方法:ATR法、分解:2cm-1、積算回数:80回
得られた表面被覆銅粒子の表面のIRスペクトルを図2に示す。被覆に用いたエチレンジアミンを単独で測定した場合は、N−H変角振動のピークが1598cm-1に出現する(図3)のに対して、表面被覆銅粒子に観測されるN−H変角振動のピークは1576cm-1と低波数側にシフトしており、エチレンジアミンが銅粒子表面に配位して存在していることを示している。また、図2において、ミリスチン酸のC=O伸縮振動のピークが1700cm-1に観察されず、カルボン酸アニオン(−COO−)のピークが1413cm-1に観測されており、ミリスチン酸がアミン化合物と静電的な相互作用により結合して存在していることを示している。
よって、図2に示すIRスペクトルから、第1被覆層のエチレンジアミンおよび第2被覆層のミリスチン酸の両者とも化学結合により結合して各被覆層を形成していると判断できる。」
表面被覆銅粒子100g、バインダーとしてレゾール型フェノール樹脂[PL−5208、群栄化学工業(株)製]、添加剤(酸化膜除去剤)として1,4−フェニレンジアミン1.4gを混合した。次にプラネタリーミキサー[ARV−310、(株)シンキー製]を用いて、室温下、回転数1500rpmで30秒間攪拌し、1次混練を行った。
次に、3本ロールミル[EXAKT−M80S、(株)永瀬スクリーン印刷研究所製]を用いて、室温下、ロール間距離5μmの条件で5回通すことで、2次混練を行った。
次いで、2次混練で得られた混練物に、溶剤としてエチルカルビトールアセテート2.6gを加え、プラネタリーミキサーを用いて、室温、真空の条件下、回転数1000rpmで90秒間攪拌し、脱泡混練することにより、銅粒子含有ペーストを製造した。
実施例2−1
製造例2で得られた銅粒子含有ペーストを、実施例1−1と同様にしてプラズマ処理を行ったPFTEシート上に、バーコーターを用いて塗布し、30mm×30mmの塗布膜を作製した。次に、ND−2(アズワン株式会社製)を用いて、加熱温度150℃、加熱時間15分の条件で熱処理を行ない、厚さ約10μmの銅含有膜を形成した。
実施例1−2と同様にして処理したPTFEシートに、実施例2−1と同様にして銅含有膜を形成した。
実施例1−3と同様にして処理したPTFEシートに、実施例2−1と同様にして銅含有膜を形成した。
実施例1−4と同様にして処理したPTFEシートに、実施例2−1と同様にして銅含有膜を形成した。
実施例2−1において、PTFEシートに前記(II)の大気圧プラズマ処理を行わない以外は実施例2−1と同様にして、銅含有膜を形成した。
(実施例3:銀粒子含有ペーストを用いた銀含有膜の形成)
実施例3−1
銀粒子含有ペースト(東洋紡株式会社製DW250H−5、銀濃度:69%、平均粒子径:約5μm、バインダー樹脂:ポリエステル樹脂)を、実施例1−1と同様にしてプラズマ処理を行ったPFTEシート上に、バーコーターを用いて塗布し、30mm×30mmの塗布膜を作製した。次に、ND−2(アズワン株式会社製)を用いて、加熱温度150℃、加熱時間5分の条件で熱処理を行ない、厚さ約10μmの銀含有膜を形成した。
実施例1−2と同様にして処理したPTFEシートに、実施例3−1と同様にして銀含有膜を形成した。
実施例1−3と同様にして処理したPTFEシートに、実施例3−1と同様にして銀含有膜を形成した。
実施例1−4と同様にして処理したPTFEシートに、実施例3−1と同様にして銀含有膜を形成した。
実施例3−1において、PTFEシートに前記(II)の大気圧プラズマ処理を行わない以外は実施例3−1と同様にして、銀含有膜を形成した。
(合成例2:カルバメート系化合物の合成)
2−エチルヘキシルアミン27.9gに二酸化炭素をバブリングによって導入し、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート32.5gを得た。
(合成例3:銀錯体化合物の合成)
2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート32.5gを100mlのメタノールに溶解させた後、酸化銀10.0gを添加して常温で攪拌した。反応が進むにつれて黒色の懸濁液になり、最終的には無色の透明な溶液が得られた。この反応溶液を真空下において溶媒を全て取り除いて42.0gの白色銀錯体化合物を得た。
合成例3で得た銀錯体化合物20.0g、2−エチルヘキシルアミン5.3g、メタノール8.47gを混合することで銀錯体含有インクを調製した。
実施例4−1
製造例3で得られた銀錯体含有インクを、実施例1−4と同様にしてプラズマ処理を行ったPFTEシート上に、バーコーターを用いて塗布し、30mm×30mmの塗布膜を作製した。次に、ND−2(アズワン株式会社製)を用いて、加熱温度120℃、加熱時間10分の条件で熱処理を行ない、厚さ約0.1μmの銀含有膜を形成した。
実施例1−2と同様にして処理したPTFEシートに、実施例4−1と同様にして銀含有膜を形成した。
実施例1−3と同様にして処理したPTFEシートに、実施例4−1と同様にして銀含有膜を形成した。
実施例1−4と同様にして処理したPTFEシートに、実施例4−1と同様にして銀含有膜を形成した。
実施例4−1において、PTFEシートに前記(II)の大気圧プラズマ処理を行わない以外は実施例4−1と同様にして銀含有膜を形成した。
11 マッチングユニット
12 チャンバー
13 真空排気系
14 電極
15 電極昇降機構
16 走査ステージ
17 内管
18 外管
19 試料ホルダー
A 大気圧プラズマ処理装置
Claims (6)
- フッ素樹脂を含む誘電体基材の表面に、大気圧プラズマ処理を行う過酸化物ラジカル形成工程に続いて、
前記誘電体基材表面に、β−ケトカルボン酸銅化合物と、沸点が250℃以下のアミン化合物を含む銅含有組成物であって、前記銅含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記β−ケトカルボン酸銅化合物を1〜40質量部含有する銅含有組成物を塗布し、加熱する銅含有膜形成工程を行うことを特徴とする金属含有膜付き誘電体基材の製造方法。 - 前記過酸化物ラジカル形成工程の後に、前記誘電体基材表面にグラフト化剤を反応させるグラフト化工程を行ってから、
前記誘電体基材表面に前記銅含有組成物を塗布し、加熱する前記銅含有膜形成工程を行う請求項1に記載の金属含有膜付き誘電体基材の製造方法。 - フッ素樹脂を含む誘電体基材の表面に、大気圧プラズマ処理を行う過酸化物ラジカル形成工程に続いて、
前記誘電体基材表面に、金属粒子として平均粒子径0.1〜10μmの銅粒子又は銀粒子と、バインダー樹脂を含む金属粒子含有組成物であって、前記金属粒子含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記金属粒子を50〜95質量部含有する金属粒子含有組成物を塗布し、加熱する金属含有膜形成工程を行うことを特徴とする金属含有膜付き誘電体基材の製造方法。 - 前記過酸化物ラジカル形成工程の後に、基材表面にグラフト化剤を反応させるグラフト化工程を行ってから、
前記誘電体基材表面に前記金属粒子含有組成物を塗布し、加熱する前記金属含有膜形成工程を行う請求項3に記載の金属含有膜付き誘電体基材の製造方法。 - フッ素樹脂を含む誘電体基材の表面に、大気圧プラズマ処理を行う過酸化物ラジカル形成工程に続いて、
前記誘電体基材表面に、カルバミン酸アンモニウム及びアンモニウムカーボネート系化合物から選ばれる1種類以上を含む銀錯体化合物と、溶媒とを含む銀錯体含有組成物であって、前記銀錯体含有組成物の全成分の合計100質量部に対し、前記銀錯体化合物を20〜70質量部含有する銀錯体含有組成物を塗布し、加熱する銀含有膜形成工程を行うことを特徴とする金属含有膜付き誘電体基材の製造方法。 - 前記過酸化物ラジカル形成工程の後に、前記誘電体基材表面にグラフト化剤を反応させるグラフト化工程を行ってから、
前記誘電体基材表面に前記銀錯体含有組成物を塗布し、加熱する前記銀含有膜形成工程を行う請求項5に記載の金属含有膜付き誘電体基材の製造方法。
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