JP2017043667A - ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、優れた伸び率(柔軟性)を示し、かつ優れた相溶性、硬度、耐湿性及び難燃性を示すポリウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】水酸基含有化合物、ポリイソシアネート化合物、可塑剤及び無機充填剤を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
該水酸基含有化合物が、ダイマー酸ポリオールであり、かつ
該無機充填剤の含有量が、ポリウレタン樹脂組成物中、50〜85重量%である、ポリウレタン樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂組成物に関する。
ポリウレタン系樹脂は、可撓性、耐摩耗性、低温硬化性、電気特性等が良好であることから、電気絶縁封止材等に用いられている。
このポリウレタン系樹脂によって、電気電子部品を湿気、粉塵等を含む雰囲気、振動、衝撃などから保護することができる。
電気絶縁封止材の他にも、ポリウレタン系樹脂は、電気、電子、自動車、土木、建築等の様々な分野において、コーティング剤、接着剤等としても広く使用されている。
この様なポリウレタン系樹脂を、上記した各種分野に用いる場合には、ポリオール成分の選択が重要であり、その研究が種々行われてきている。
例えば、ポリオール成分として、ポリブタジエンポリオールを含有するポリウレタン系樹脂組成物が報告されており、特許第5568187号公報(特許文献1)には、耐湿熱性、難燃性、電気絶縁性、及び作業性に優れ、かつ電子基板等の筐体(きょうたい)又は樹脂ケースにケミカルストレスクラックが生じにくいポリウレタン樹脂組成物が開示されている。ケミカルストレスクラックとは、樹脂ケースの引張強度以下の引張応力で発生する典型的な脆性破壊をいい、成形品において引張応力が発生する箇所(荷重がかかっている箇所)に薬品が付着又は接触した場合に、薬品と応力との相乗効果によってクラック(割れ)が生じる現象をいう。
一方、ポリウレタン樹脂組成物には、耐熱性及び放熱性を向上させるために、無機充填剤を配合させることが行われている(特許文献2)。
特許第5568187号公報 特開2011−001426号公報
そこで、特許文献1に記載のポリウレタン樹脂組成物に、無機充填剤を配合させたところ、ポリウレタン樹脂の伸び率(柔軟性)が不十分であり、該ポリウレタン樹脂を電子基板に注型成形し、ヒートサイクル試験を行った際には、樹脂ケースがクラック又は剥離することが問題であった。
本発明は、優れた伸び率(柔軟性)を示し、かつ優れた相溶性、硬度、耐湿性及び難燃性を示すポリウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題に鑑みて、鋭意研究を行った。その結果、水酸基含有化合物、ポリイソシアネート化合物、可塑剤及び無機充填剤を含むポリウレタン樹脂組成物であって、該水酸基含有化合物が、ダイマー酸ポリオールであり、かつ該無機充填剤の含有量が、ポリウレタン樹脂組成物中、50〜85重量%である、ポリウレタン樹脂組成物とすれば、上記目的を達成できることを見出した。かかる知見に基づき更に研究を行うことにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のポリウレタン樹脂組成物、封止材及び電気電子部品を提供する。
項1.水酸基含有化合物、ポリイソシアネート化合物、可塑剤及び無機充填剤を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
該水酸基含有化合物が、ダイマー酸ポリオールであり、かつ
該無機充填剤の含有量が、ポリウレタン樹脂組成物中、50〜85重量%である、ポリウレタン樹脂組成物。
項2.
水酸基含有化合物が、前記ダイマー酸ポリオールと共にヒマシ油系ポリオールを含む、項1に記載のポリウレタン樹脂組成物。
項3.
ダイマー酸ポリオールとヒマシ油系ポリオールとの含有割合が、重量比で、前者:後者=20:80〜80:20である、項2に記載するポリウレタン樹脂組成物。
項4.
ポリイソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体である、項1〜3の何れか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
項5.
電気電子部品封止用であることを特徴とする項1〜4の何れか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
項6.
項1〜5の何れか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物からなる封止材。
項7.
項6に記載の封止材を用いて樹脂封止された電気電子部品。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、優れた伸び率(柔軟性)を示し、かつ優れた相溶性、硬度、耐湿性及び難燃性を示すポリウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明のポリウレタン樹脂組成物は、例えば、各種の電気電子部品の絶縁処理に好適に用いることができる。また、本発明の封止材は、上記ポリウレタン樹脂組成物を含有するので、伸び率(柔軟性)、相溶性、硬度、耐湿性及び難燃性に優れている。更に、本発明の電気電子部品は、上記封止材を用いて樹脂封止されているので、高い信頼性を示す。
本発明のポリウレタン樹脂組成物、封止材及び電気電子部品について、以下詳細に説明する。本明細書中において、「含有」又は「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.ポリウレタン樹脂組成物
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、水酸基含有化合物、ポリイソシアネート化合物、可塑剤及び無機充填剤を含むポリウレタン樹脂組成物であって、該水酸基含有化合物が、ダイマー酸ポリオールであり、かつ該無機充填剤の含有量が、ポリウレタン樹脂組成物中、50〜85重量%である、ポリウレタン樹脂組成物である。
1−1.水酸基含有化合物
本発明に用いる水酸基含有化合物(A)は、ダイマー酸ポリオール(A1)を含有する。
1−1−1.ダイマー酸ポリオール(A1)
本発明に用いるダイマー酸ポリオール(A1)とは、下記(1)〜(4)の反応生成物、又はこれらの混合物等が挙げられる。
(1)ダイマー酸と、短鎖のジオール(2価アルコール)、トリオール(3価アルコール)又は短鎖のポリオール(4価以上のアルコール)との反応生成物、
(2)ダイマー酸と、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレントリオール又は長鎖のポリオールとの反応生成物、
(3)ダイマー酸とアジピン酸等の他のポリカルボン酸とを混合したものに、前記の短鎖のジオール、トリオール、又はポリオールを反応させた反応生成物、及び
(4)ダイマー酸とアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)との反応生成物
上記のダイマー酸とは、二塩基性酸で、二つの一塩基性脂肪鎖(通常は炭素数18)が、炭素−炭素の共有結合により、二分子結合して得られる分子量が2倍の二塩基性酸をいう。その代表的な化合物としては、リノール酸、オレイン酸、エライジン酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪酸の重合によって得られるダイマーである。一般に、上記炭素数18の不飽和脂肪酸を原料とすることから、主成分は炭素数36のジカルボン酸となる。なお、該ダイマー酸は、トリマー及び/又はモノマーを含んでいてもよい。
上記の短鎖のジオールとしては、例えば、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール等の炭素数2〜10のジオールが挙げられる。
トリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)等の炭素数3〜10のトリオール等が挙げられる。
短鎖のポリオールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール等の炭素数3〜10のポリオール等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体等の炭素数10〜500のポリアルキレングリコール等が挙げられる。
ポリアルキレントリオールとしては、例えば、ポリプロピレンオキシドトリオール、ポリエチレンオキシドトリオール、ポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシドコポリマートリオール等の炭素数10〜500のポリアルキレントリオール等が挙げられる。
長鎖のポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール等の炭素数11〜500のポリオール等が挙げられる。
ダイマー酸ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、通常、300〜50000の範囲であり、好ましくは300〜10000の範囲であり、より好ましくは300〜3000の範囲である。
ダイマー酸ポリオール(A1)は、1分子当たりの平均官能基数が2〜4(好ましくは2〜3)であり、水酸基価は2〜10000mgKOH/gであるのが好ましく、30〜500mgKOH/gであることがより好ましく、30〜300であることがさらに好ましい。
ダイマー酸ポリオール(A1)は市販品を使用することができる。該ダイマー酸ポリオール(A1)としては、例えば、クローダジャパン株式会社製のプリポール2033−LQ−(GD)(平均水酸基価:202〜212mgKOH/g、平均官能基数:2)、日立化成ポリマー社製のTA22−558(水酸基価:70〜75mgKOH/g、平均官能基数:3)、TA22−559(水酸基価:78〜82mgKOH/g、平均官能基数:3)、花王社製のエディフォームE−404(水酸基価:120mgKOH/g、平均官能基数:3)等が挙げられる。
ダイマー酸ポリオール(A1)の含有量は、特に制限はなく、中でもポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜40重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらに好ましい。
上記ダイマー酸ポリオール(A1)は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。
本発明に用いる水酸基含有化合物(A)は、ダイマー酸ポリオール(A1)以外にも、さらに、ヒマシ油系ポリオール(A2)を含有することもできる。
1−1−2.ヒマシ油系ポリオール(A2)
本発明に用いるヒマシ油系ポリオール(A2)としては、ヒマシ油、ヒマシ油誘導体等が挙げられる。
上記ヒマシ油誘導体としては、例えば、ヒマシ油脂肪酸;ヒマシ油又はヒマシ油脂肪酸に水素付加した水添ヒマシ油;ヒマシ油とその他の油脂のエステル交換物;ヒマシ油と多価アルコールとの反応物;ヒマシ油脂肪酸と多価アルコールとのエステル化反応物;これらにアルキレンオキサイドを付加重合したもの等が挙げられる。上記ヒマシ油系ポリオールの中でも、ヒマシ油を用いることが好ましい。
本発明に用いるヒマシ油系ポリオールは、水添ヒマシ油系ポリオールであってもよい。該水添ヒマシ油系ポリオールとしては、例えば、特開平2−298574号に開示されているものが挙げられる。なお、水添ヒマシ油系ポリオールは前記のヒマシ油系ポリオールの水素付加により得ることができる。
ヒマシ油系ポリオール(A2)の数平均分子量(Mn)は、通常100〜4,000の範囲であり、好ましくは300〜2,500の範囲である。
上記ヒマシ油系ポリオール(A2)は、JIS K1557−1に従って求めた平均水酸基価が、20〜250mgKOH/gであることが好ましく、50〜120mgKOH/gであることがより好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定することができる。GPC法による数平均分子量及び重量平均分子量は、具体的には、測定装置として昭和電工(株)社製Shodex GPC System21を、カラムとして昭和電工(株)社製Shodex LF−804/KF−803/KF−804を、移動相としてNMPを用いて、カラム温度40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
ヒマシ油系ポリオール(A2)の含有量は、特に制限はなく、中でもポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して、0.01〜40重量%であることが好ましく、0.1〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらに好ましい。
上記ヒマシ油系ポリオール(A2)は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、水酸基含有化合物として、ダイマー酸ポリオール(A1)とヒマシ油系ポリオール(A2)とを含有することが好ましく、これによって、ポリウレタン樹脂組成物の混合時の相溶性が優れ、ブリードアウトを抑制する効果がある。
水酸基含有化合物として、ダイマー酸ポリオール(A1)とヒマシ油系ポリオール(A2)とを含有する場合、その含有割合としては、特に限定はなく、例えば、10:90〜90:10(重量比)であることが好ましく、20:80〜80:20(重量比)であることがより好ましい。
本発明に用いる水酸基含有化合物には、本発明の効果を損なわない程度に、ダイマー酸ポリオール(A1)及びヒマシ油系ポリオール(A2)以外の水酸基含有化合物(A3)を含有することができる。このような水酸基含有化合物(A3)としては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリジエンポリオール;ポリエーテルポリオール;ポリエステルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリカプロラクトンポリオール;これらの水素化物(例えば、ポリブタジエンポリオールの水素化物、ポリイソプレンポリオールの水素化物等のポリジエンポリオールの水素化物;ヒマシ油の水素化物等)等が挙げられる。
ポリジエンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール[日本曹達株式会社製「NISSO−PBGシリーズ」(G−1000、G−2000及びG−3000等)、米国ARCO社製「Poly Bdシリーズ」(R−45M、R−45HT、CS−15及びCN−15等)等]及びポリイソプレンポリオール[出光興産(株)製「Poly ip」]等が挙げられる。
ポリジエンポリオールの水素化物としては、例えば、ポリブタジエンポリオールの水素化物[日本曹達(株)製「NISSO−PBGIシリーズ」(GI−1000、GI−2000及びGI−3000等)]、ポリイソプレンポリオールの水素化物[出光興産(株)製「エポール」]等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、低分子ポリオール(プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン等)等を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリオール成分と酸成分とのエステル化反応によって得ることができる。
ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリック酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、ダイマー酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェエルジカルボン酸、これらの酸無水物等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分と、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロビル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジル等の炭酸ジエステル類とをエステル交換縮合させて得られるポリカーボネートポリオール;上記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;上記各種ポリカーボネートポリオールとアルキレンオキサイドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等の環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が挙げられる。
上記水酸基含有化合物(A3)は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。
水酸基含有化合物(A3)を含有する場合、その含有量は、特に制限はなく、中でもポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して、1〜20重量%であることが好ましく、1〜15重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。
1−2.ポリイソシアネート化合物(B)
本発明に用いるポリイソシアネート化合物(B)としては、特に限定はなく、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
中でも、本発明に用いるポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B1)を含有することが好ましい。ポリイソシアネート化合物がポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B1)を含有することにより、ポリウレタン樹脂組成物の耐熱性及び耐湿性が優れたものとなる。
この様なポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B1)としては、上記した脂肪族ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体、脂環族ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体、芳香族ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。中でも、好ましいポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B1)としては、脂環族ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体であり、より好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、又はジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体である。
ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体(B1)を含むイソシアネート基含有化合物の市販品としては、例えば、デュラネートTLA−100(HDI系イソシアヌレート旭化成ケミカルズ社製)、コロネート HX(HDI系イソシアヌレート 日本ポリウレタン社製)等が挙げられる。
上記イソシアネート基含有化合物は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。
ポリイソシアネート化合物には、上記ポリイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性体の他に、他のポリイソシアネート化合物(B2)を含んでいてもよい。
他のポリイソシアネート化合物(B2)の例としては、上述の脂肪族ポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体、脂環族ポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体、芳香族ポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物のアロファネート変性体等が挙げられる。
本発明のポリウレタン樹脂組成物において、用いられるポリイソシアネート化合物(B)の含有量は、特に制限はなく、中でもポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して、0.1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。本発明のポリウレタン樹脂組成物は、上記イソシアネート基含有化合物と、上記水酸基含有化合物とのNCO/OH比は、0.6〜2.0であることが好ましく、0.7〜1.5であることがより好ましい。
1−3.可塑剤(C)
本発明に用いる可塑剤(C)としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート(フタル酸ジイソノニル)、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート等のアジピン酸エステル;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、アセチル化リシノール酸トリグリセリド、アセチル化ポリリシノール酸トリグリセリド等のヒマシ油系エステル;トリオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテート等のトリメリット酸エステル;テトラオクチルピロメリテート、テトライソノニルピロメリテート等のピロメリット酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、ジイソノニルフタレートが好ましい。
可塑剤(C)の含有量としては、特に制限はなく、中でもポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。
上記可塑剤(C)は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。
1−4.無機充填剤(D)
本発明に用いる無機充填剤(D)としては、特に限定はなく、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属窒化物、ゼオライト等が挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ケイ素(シリカ等)、酸化チタン等が挙げられる。
金属窒化物としては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。
ゼオライトは、特に限定されず、ポリウレタン樹脂組成物において用いられているものを各種使用することが可能である。
ゼオライトとしては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩が好ましい。
ゼオライトの結晶形は、特に限定されず、A型、X型、LSX型等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはA型が挙げられる。
ゼオライト中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、特に限定されず、カリウム、ナトリウム、カルシウム、リチウム等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはカリウムが挙げられる。
好ましい無機充填剤としては、金属水酸化物及び金属酸化物であり、より好ましくは、水酸化アルミニウム及びアルミナであり、特に好ましくは水酸化アルミニウムである。
上記無機充填剤(D)は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。特に、無機充填剤は2種以上を混合することが好ましく、平均粒径が異なる2種以上の無機充填剤を混合することがより好ましい。
無機充填剤(D)の含有量は、ポリウレタン樹脂組成物中、50〜85重量%であり、50重量%未満である場合は、ポリウレタン樹脂組成物の難燃性が悪くなり、85重量%を超える場合は、ポリウレタン樹脂組成物から均一な硬化物が作製できない。
中でも、無機充填剤(D)の含有量は、ポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して、55〜80重量%が好ましく、60〜79重量%がより好ましい。
無機充填剤(D)の平均粒径は、特に限定はなく、例えば、1〜45μmの無機充填剤が挙げられる。本発明において、平均粒径が異なる2種以上の無機充填剤を含有する場合、その無機充填剤としては、平均粒径が5〜45μmの無機充填剤(D1)及び平均粒径が5μm未満の無機充填剤(D2)を含有することが好ましい。
平均粒径が5〜45μmの無機充填剤(D1)は、好ましくは平均粒径が5〜30μmの無機充填剤であり、より好ましくは平均粒径が8〜27μmの無機充填剤である。
平均粒径が5μm未満の無機充填剤(D2)は、好ましくは平均粒径が3μm以下の無機充填剤であり、より好ましくは平均粒径が2μm以下の無機充填剤であり、さらに好ましくは平均粒径が1μm以下の無機充填剤である。
なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー回折・散乱法により計測される粒度分布における体積基準累積50%時の粒径、すなわちD50(メジアン径)をいう。
この体積基準累積50%粒径(D50)は、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、累積値が50%となる点の粒径である。
同様に、10%粒径(D10)及び90%粒径(D90)は、体積基準累積10%粒径及び体積基準累積90%粒径であり、求められた粒度分布の全体積を100%とした累積曲線において、累積値が10%及び90%となる点の粒径を示す。したがって、90%粒径(D90)と10%粒径(D10)との比(D90/D10)は、粒度分布の広さを示す指標ということができる。D90/D10の値が大きいほど、広い粒度分布を有する。D90/D10が1に近いほど、単分散に近い粒度分布を有する。
本発明における平均粒径が5〜45μmの無機充填剤(D1)は、D90/D10の値が40以下であることが好ましく、1〜25の範囲がより好ましい。
本発明における平均粒径が5μm未満の無機充填剤(D2)は、D90/D10の値が20以下であることが好ましく、1〜15の範囲がより好ましい。
前記無機充填剤(D1)と無機充填剤(D2)の含有割合は、40:60〜95:5(重量比)であり、好ましくは60:40〜90:10(重量比)であり、より好ましくは70:30〜85:15(重量比)である。
無機充填剤(D)の形状は、球状、不定形状のいずれでもよい。
1−5.重合触媒(E)
本発明のポリウレタン樹脂組成物には、さらに必要に応じて重合触媒(E)を含有することができる。
重合触媒(E)としては、公知の重合触媒が使用でき、例えば、有機錫触媒、有機鉛触媒、有機ビスマス触媒等の金属触媒、アミン触媒などが挙げられる。
有機錫触媒としては、例えば、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート等が挙げられる。
有機鉛触媒としては、例えば、オクチル酸鉛、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられる。
有機ビスマス触媒としては、例えば、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス等が挙げられる。
アミン触媒としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリメチレンジアミン、ジメチルアミノエタノ−ル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エ−テル等が挙げられる。また、上記触媒としては、有機金属化合物、金属錯体化合物等を用いてもよい。
重合触媒(E)を含有する場合、その含有量は、特に制限されず、中でもポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して、0.00001〜10重量%であることが好ましく、0.0001〜5重量%であることがより好ましい。
上記重合触媒(E)は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。
1−6.消泡剤(F)
本発明のポリウレタン樹脂組成物には、さらに必要に応じて消泡剤(F)を含有することができる。
本発明に用いる消泡剤としては、特に限定はなく、例えば、シリコーン類(オイル型、コンパウンド型、自己乳化型、エマルジョン型等)、アルコール類等が挙げられる。
好ましいシリコーン系消泡剤としては、変性シリコーン系消泡剤(特に、ポリシロキサンを親油基とし親水基により変性したもの)が好ましい。
上記消泡剤(F)は、一種単独で用いることができ、又は2種以上を混合して用いることもできる。
消泡剤(F)を含有する場合は、その含有量は、特に制限されず、中でもポリウレタン樹脂組成物100重量%に対して、0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。
1−7.その他の成分
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、さらに必要に応じて、例えば、粘着付与剤、硬化促進剤、着色剤、鎖延長剤、架橋剤、フィラー、顔料、充填剤、難燃剤、ウレタン化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、水分吸湿剤、防黴剤、シランカップリング剤等の各種添加剤を添加することができる。
これらの成分の含有量は、その使用目的に応じて、ポリウレタン樹脂組成物の所望の特性を阻害することのないように、通常の添加量と同定の範囲から適宜決めればよい。
なお、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、発泡剤を添加することはない。即ち、本発明のポリウレタン樹脂組成物は無機充填剤による放熱等を目的としているのに対して、発泡剤を含む発泡ウレタンフォームは断熱等を目的としていることから、両者は目的が異なるものである。
2.ポリウレタン樹脂組成物の製造方法
本発明のポリウレタン樹脂組成物を製造する方法としては、特に限定されず、ポリウレタン樹脂組成物を製造する方法として用いられる公知の方法に従って製造することができる。
このような製造方法としては、例えば、水酸基含有化合物を含む組成物(第1成分)を調製する工程(工程1)、ポリイソシアネート化合物を含む組成物(第2成分)を調製する工程(工程2)、及びこれら第2成分と第1成分とを混合し、ポリウレタン樹脂組成物を得る工程(工程3)を含む方法が挙げられる。
上記第1成分が水酸基含有化合物を含有し、上記第2成分がポリイソシアネート化合物を含有していれば、他の成分は、第2成分又は第1成分のどちらに含有されていてもよい。
例えば、第1成分が水酸基含有化合物、可塑剤及び無機充填剤を含有し、第2成分がポリイソシアネート化合物を含有する構成が挙げられる。
また、第1成分が水酸基含有化合物、可塑剤、無機充填剤及び消泡剤を含有し、第2成分がポリイソシアネート化合物及び重合触媒を含有する構成であってもよく;
第1成分が水酸基含有化合物、可塑剤、消泡剤、無機充填剤、及び触媒を含有し、第2成分がポリイソシアネート化合物を含有する構成であってもよく;
第1成分が水酸基含有化合物、可塑剤及び酸化防止剤を含有し、第2成分がポリイソシアネート化合物、及び無機充填剤を含有する構成であってもよく;
第1成分が水酸基含有化合物、可塑剤、無機充填剤及び重合触媒を含有し、第2成分がポリイソシアネート化合物、及び消泡剤を含有する構成であってもよい。
ポリウレタン樹脂組成物においては、水酸基含有化合物及びポリイソシアネート化合物が一部又は全部反応して、ポリウレタン樹脂を形成していてもよい。すなわち、ポリウレタン樹脂組成物は、硬化前の液状であってもよいし、硬化していてもよい。ポリウレタン樹脂組成物を硬化させる方法としては、上記第2成分及び第1成分を混合することにより、水酸基含有化合物とポリイソシアネート化合物とが反応し、ポリウレタン樹脂となることにより、ポリウレタン樹脂組成物を経時的に硬化させる方法が挙げられるが、加熱により硬化させてもよい。この場合、加熱温度は40〜120℃程度が好ましく、加熱時間は、0.5時間〜24時間程度が好ましい。
3.用途
本発明は、上記ポリウレタン樹脂組成物からなる封止材でもある。上記ポリウレタン樹脂組成物からなる封止材は、放熱性、耐加水分解性及び難燃性に優れ、且つ、高温環境下で用いられた場合であっても難燃性の低下が抑制されているので、発熱を伴う電気電子部品等に好適に使用することができる。このような電気電子部品としては、トランスコイル、チョークコイル、リアクトルコイル等の変圧器、機器制御基盤、各種センサー等が挙げられる。このような電気電子部品も、本発明の一つである。本発明の電気電子部品は、電気洗濯機、便座、湯沸し器、浄水器、風呂、食器洗浄機、電動工具、自動車、バイク等に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明のポリウレタン樹脂組成物について具体的に説明する。ただし、実施例はあくまで一例であって、本発明は、実施例に限定されない。
実施例及び比較例において使用する原料を以下に示す。
ダイマー酸ポリオール(A1)
a1:平均水酸基価206mgKOH/gのダイマー酸ポリオール
(商品名:プリポール2033−LQ−(GD)、クローダジャパン株式会社製)
ヒマシ油系ポリオール(A2)
a2:ヒマシ油系ポリオール
(商品名:ヒマシ油、伊藤製油株式会社製)
ポリブタジエンポリオール(比較品)
比較品:平均水酸基価103mgKOH/gのポリブタジエンポリオール
(商品名:R−15HT、出光興産株式会社製)
ポリイソシアネート化合物(B)
b1:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体
(商品名:デュラネートTLA−100、旭化成ケミカルズ株式会社製)
b2:ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系イソシアネート
(商品名:ミリオネートMTL、東ソー株式会社製)
可塑剤(C)
c1:フタル酸ジイソノニル(DINP)
(商品名:DINP、株式会社ジェイプラス製)
無機充填剤(D)
d1:水酸化アルミニウム(昭和電工製H−32、平均粒子径8μm)
(商品名:水酸化アルミニウム、昭和電工株式会社製)
d2:水酸化アルミニウム(昭和電工製H−42I、平均粒子径1μm)
(商品名:水酸化アルミニウム、昭和電工株式会社製)
重合触媒(E)
e1:ジオクチル錫ジラウレート
(商品名:ネオスタンU-810、日東化成株式会社製)
消泡剤(F)
f1:SC−5570(シリコーン系、東レ−ダウシリコーン株式会社製)
ポリウレタン樹脂組成物の調製
<実施例1〜7及び比較例1〜5>
下記表1に示す組成で配合し、下記の手順で各種のポリウレタン樹脂組成物を調製した。
まず、表1に示す配合量で、水酸基含有化合物、可塑剤、消泡剤、無機充填剤、及び触媒を加え、混合機(シンキー社製、商品名:あわとり練太郎)を用いて、2000rpmで1分間、23℃で混合した後、室温に冷却し混合物(第1成分)を得た。
続いて、上記の混合物(第1成分)に、23℃に調整した表1に示す配合量でポリイソシアネート化合物(第2成分)を加え、同上の混合機を用いて2000rpmで1分間混合し、脱泡して各実施例及び比較例のポリウレタン樹脂組成物を得た。
なお、第2成分及び第1成分の配合比率は、イソシアネート基含有化合物中のNCO基1当量に対して、水酸基含有化合物中の活性水素(OH)が1当量となるようにした。
Figure 2017043667
試験片(テストピース)の作製
130×130×3mmの成形用型、130×130×6mmの成形用型、又は内径30mm及び高さ10mmの成形用型に表1に記載の材料を含有する樹脂組成物を注入した。次いで、該樹脂組成物を、60℃で16時間加熱した後、室温で1日放置して硬化させた。得られた硬化物A(130×130×3mm)、硬化物B(130×130×6mm)、又は硬化物C(直径30mm及び高さ10mm)に対して、硬度、硬化物外観(相溶性)耐湿性、伸び率(柔軟性)及び難燃性の試験を以下に示す方法で行った。その結果を表1に示す。
硬度
硬化物Cの硬度をJISK 6253に従い、アスカーA型硬度計(高分子計器株式会社製)を用いて測定した。
硬化物外観(相溶性)
硬化後の実施例及び比較例に記載するポリウレタン樹脂組成物について、得られた硬化物Aの表面状態(外観)を目視で観察し、下記評価基準に従って相溶性を評価した。
○:80℃で16時間加熱後、次いで、120℃で168時間加熱後でも、表面に液滴及び曇りが見られない(ブリードが発生しない)
△:80℃で16時間加熱後では、ブリードが発生しないが、120℃168時間加熱後にブリードが発生する
×:80℃で16時間加熱後、ブリードが発生している
耐湿性
硬化物Cに対して、121℃、100%RH 2気圧/100時間の条件でプレッシャークッカー試験(PCT試験)を行った。試験前の硬度と試験後の硬度をJIS K 6253に従い、アスカーA型硬度計(高分子計器株式会社製)を用いて測定し、硬度保持率を測定した。
[硬度保持率]={[(試験前硬度)−(試験後硬度)]÷(試験後硬度)}×100
算出された硬度低下率を基に、下記評価基準に従って耐湿性を評価した。
○:硬度保持率が50%以上
△:硬度保持率が20%〜50%未満
×:硬度保持率が20%未満
伸び率(柔軟性
硬化物Aの伸び率(柔軟性)をJISK 6251に従い、下記式に基づいて評価した。
式:伸び率={[(破断時の標線間距離)−(標線間距離)]÷(標線間距離)}×100
○:伸び率が50%以上
×:伸び率が50%未満
難燃性
得られた実施例及び比較例のポリウレタン樹脂組成物の硬化物である試験片Bを用いて難燃性試験を行った。試験は、米国のUnderwriters Laboratories,Inc.により制定された燃焼試験規格(UL94)に基づいて行った。下記評価基準に従って難燃性を評価した。
○:V−0を満たす
×:V−0を満たさない(V−1、V−2又はHB)
<結果>
実施例1〜7の結果から、本発明のポリウレタン樹脂組成物は、伸び率(柔軟性)、硬化物外観(相溶性)、硬度、耐湿性及び難燃性の全てを満足することが分かった。
一方、比較例1の結果から、ポリブタジエンポリオールを含有するポリウレタン樹脂組成物は、伸び率(柔軟性)、及び相溶性が劣っていた。
比較例2及び4の結果から、ダイマー酸ポリオールを含まないポリウレタン樹脂硬化物は、伸び率(柔軟性)、及び/又は耐湿性が劣ることが分かった。
また、比較例3の結果から、無機充填剤の含有量が、ポリウレタン樹脂組成物中に20重量%であるポリウレタン樹脂硬化物は、難燃性が劣ることが分かった。
なお、比較例5の結果から、無機充填材の含有量が約90%のポリウレタン樹脂組成物は均一な硬化物が作製できないことが分かった。
本発明のポリウレタン樹脂組成物を用いれば、得られるポリウレタン樹脂硬化物は、優れた伸び率(柔軟性)を示し、かつ優れた相溶性、硬度、耐湿性及び難燃性を示すため、電気製品、電子部品等の分野で利用が可能である。

Claims (7)

  1. 水酸基含有化合物、ポリイソシアネート化合物、可塑剤及び無機充填剤を含むポリウレタン樹脂組成物であって、
    該水酸基含有化合物が、ダイマー酸ポリオールであり、かつ
    該無機充填剤の含有量が、ポリウレタン樹脂組成物中、50〜85重量%である、ポリウレタン樹脂組成物。
  2. 水酸基含有化合物が、前記ダイマー酸ポリオールと共にヒマシ油系ポリオールを含む、請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  3. ダイマー酸ポリオールとヒマシ油系ポリオールとの含有割合が、重量比で、前者:後者=20:80〜80:20である、請求項2に記載するポリウレタン樹脂組成物。
  4. ポリイソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体である、請求項1〜3の何れか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  5. 電気電子部品封止用であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のポリウレタン樹脂組成物からなる封止材。
  7. 請求項6に記載の封止材を用いて樹脂封止された電気電子部品。
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