JP2017042168A - ヒト血液凝固第vii因子の大量生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒト血液凝固第VII因子、血友病治療剤の製造法の提供。
【解決手段】a)i)GCリッチ領域から一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、及びこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、及びii)サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター及びこれに作動可能に連結されたヒト血液凝固第VII因子遺伝子を伴う発現ベクターを製作する段階と、b)前記a)段階の発現ベクターを動物細胞株にトランスフェクションする段階と、c)ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の存在下に、前記b)段階のトランスフェクションされた動物細胞株を培養して高効率でヒト血液凝固第VII因子を発現する細胞を選別する段階と、d)前記c)段階の選別された動物細胞株に酪酸ナトリウムを添加する段階とを含んでなる、ヒト血液凝固第VII因子の大量生産法。
【選択図】図2
【解決手段】a)i)GCリッチ領域から一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、及びこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、及びii)サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター及びこれに作動可能に連結されたヒト血液凝固第VII因子遺伝子を伴う発現ベクターを製作する段階と、b)前記a)段階の発現ベクターを動物細胞株にトランスフェクションする段階と、c)ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の存在下に、前記b)段階のトランスフェクションされた動物細胞株を培養して高効率でヒト血液凝固第VII因子を発現する細胞を選別する段階と、d)前記c)段階の選別された動物細胞株に酪酸ナトリウムを添加する段階とを含んでなる、ヒト血液凝固第VII因子の大量生産法。
【選択図】図2
Description
本発明は、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する方法に係り、より詳しくは、a)i)GCリッチ領域(GC-Rich region)から一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、およびii)サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたヒト血液凝固第VII因子遺伝子を伴う発現ベクターを製作する段階と、b)a)段階の発現ベクターを動物細胞株にトランスフェクションする段階と、c)ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の存在下に、前記b)段階のトランスフェクションされた動物細胞株を培養して高効率でヒト血液凝固第VII因子を発現する細胞を選別する段階と、d)前記c)段階の選別された動物細胞株に酪酸ナトリウムを添加する段階とを含んでなる、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する方法、およびヒト血液凝固第VII因子を大量生産する細胞株に関する。
ヒト血液凝固第VII因子(Factor VII、FVII)は、肝から生産されて血液に分泌されて血液凝固第X因子(Factor X)または血液凝固第IX因子(Factor IX)を活性化させることにより血液を凝固させるセリンプロテアーゼ(serine protease)の前駆体であり、分子量50,000Daの単鎖糖タンパク質である。FVIIは、第Xa因子、第XIIa因子、第IXa因子、トロンビンによって、2本の鎖に分解された第VIIa因子に活性化される。第VIIa因子は組織因子(tissue factor)、陰電荷を帯びたリン脂質Aに結合することにより酵素活性が強化することが知られている(非特許文献1)。
生体内で第VIIa因子は組織因子、カルシウムイオンの存在下で第X因子を第Xa因子に転換させ、第Xa因子は第Va因子、カルシウムイオンおよびリン脂質の存在下でプロトロンビンをトロンビンに転換させることにより、血液凝固が起こる。
第VII因子は、総406個のアミノ酸からなり、アルギニン(152)とイソロイシン(153)間のペプチド結合の切断によって第VIIa因子に転換される。その結果、軽鎖(152個のアミノ酸残余物)と重鎖(254個のアミノ酸残余物)がジスルフィド結合によって連結された構造を持つことになる。軽鎖はγカルボキシルグルタミン酸ドメイン(Gla)と2つの上皮成長因子(epidermal growth factor、EGF)ドメインがあり、重鎖はセリンプロテアーゼ作用部位がある。
第VIIa因子の生物学的活性に関与するN末端の10個のγカルボキシルグルタミン酸を形成させるためには、ビタミンKが必要となる(非特許文献2)。このGlaドメインは、組織因子を含んでいる細胞表面に第VII因子が結合するのに関与することが知られている(非特許文献3)。
現在第VIIa因子を生産する方法は2つある。第一の方法は、血漿から第VII因子を分離精製した後、第VIIa因子に活性化させる方法であり(非特許文献4)、第二の方法は、第VII因子に該当するDNA配列を注入した動物細胞の培養によって得る方法である(特許文献1)。
血漿由来製品は、製造の際効率性が低く、 供給の不安定性を持つ。特に安全性の面においても多くの危険性を抱えている。これに反し、遺伝子組み換え製品は遺伝工学技術を用いて血漿由来製品の欠点を克服することができる。
ところが、第VII因子を遺伝子組み換え技術を用いて動物細胞株から生産する場合、大部分発現量が少なく、高い生産性を示し難いという問題点がある。よって、第VII因子を治療剤として用いるためには安定的に大量生産が可能な細胞株の確保が不可欠であり、このような細胞株を確保するためには高効率で発現することが可能な発現ベクターの開発も必要不可欠となる。
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このような背景の下に、本発明者らは、血液凝固第VII因子を大量生産することが可能な方法を見出すために鋭意努力した結果、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)プロモーター部位のGCリッチ反復配列が欠失したベクターを用いて第VII因子(Factor VII)を高効率で発現させることが可能な動物細胞株用発現ベクターを製作し、このような発現ベクターで動物細胞株を形質転換し、第VII因子を安定的に大量生産することが可能な単クローン形質転換体を製作し、単クローンから第VII因子の生産量を増加させるために酪酸ナトリウムを低濃度から高濃度までの多様な濃度で添加して培養した結果、比較的高濃度の酪酸ナトリウムを添加したときに第VII因子の発現が顕著に増加することを見出し、本発明を完成した。
本発明の一つの目的は、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する方法に関するもので、より詳しくは、 a)i)GCリッチ領域(GC-Rich region)から一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、およびii)サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたヒト血液凝固第VII因子遺伝子を伴う発現ベクターを製作する段階と、b)前記a)段階の発現ベクターを動物細胞株にトランスフェクションする段階と、c)ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の存在下に、前記b)段階のトランスフェクションされた動物細胞株を培養して高効率でヒト血液凝固第VII因子を発現する細胞を選別する段階と、d)前記c)段階の選別された動物細胞株に酪酸ナトリウムを添加する段階とを含んでなる、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する細胞株を提供することにある。
本発明は、DHFRプロモーター部位のGCリッチ反復配列が欠失したベクターを用いて、ヒト血液凝固因子第VII因子を高効率および大量に発現させることができるので、血友病治療剤の製造に有用に応用できる。
前記目的を達成するための一つの様態として、本発明は、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する方法に関するもので、より詳しくは、 a)i)GCリッチ領域(GC-Rich region)から一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、およびii)サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたヒト血液凝固第VII因子遺伝子を伴う発現ベクターを製作する段階と、b)前記a)段階の発現ベクターを動物細胞株にトランスフェクションする段階と、c)ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の存在下に、前記b)段階のトランスフェクションされた動物細胞株を培養して高効率でヒト血液凝固第VII因子を発現する細胞を選別する段階と、d)前記c)段階の選別された動物細胞株に酪酸ナトリウムを添加する段階とを含んでなる、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する方法に関する。
好ましくは、本発明の(a)段階は、i)GCリッチ領域から一つ以上のCCGCCCが除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターの塩基配列およびこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードする塩基配列、並びにii)サイトメガロウイルス(CMV)初期遺伝子プロモーターの塩基配列およびこれに作動可能に連結されたヒト血液凝固第VII因子をコードする塩基配列を含む発現ベクターを製作することができる。
本発明において、用語「GCリッチ領域」とは、ジヒドロ葉酸還元酵素の転写調節因子であるプロモーターに含まれたCCGCCC反復配列を意味する。この反復配列の全部または一部を欠失や変異などによる方法で人為的に欠損させると、ジヒドロ葉酸還元酵素の発現は最小限で行われるようになる。この際、発現が最小に保たれた状態でジヒドロ葉酸阻害剤を添加する場合、細胞は生存するためにさらに多くのジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を増幅する。これにより、前記ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を含む発現ベクター内に含まれた目的の組み換え遺伝子も同時に増幅されて高発現することが観察された。
したがって、本発明の具体的な一様態では、CCGCCC反復配列が1つ以上除去されたプロモーターを含むジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子の塩基配列を含む高発現誘導カセットを提供する。好ましくは、前記高発現誘導カセットは6個以下のCCGCCC反復配列を含むジヒドロ葉酸還元酵素のプロモーターを含み、さらに好ましくは3個以下のCCGCCC反復配列を含むプロモーターを含み、特に好ましくは1個以下のCCGCCC反復配列を含むプロモーターを含み、さらに特に好ましくはCCGCCC反復配列が全て除去されたプロモーターを含む。
これらのCCGCCC反復配列の除去は、当業界に広く知られている遺伝子組み換え技術による塩基配列の置換や欠失などの方法によって行われることが可能である。本発明の具体的な実施例では、CCGCCC反復配列を含む塩基配列の一部を欠失させる方法によってプロモーター内のGCリッチ配列の一部または全部を除去した。
本発明において、用語「ジヒドロ葉酸還元酵素」とは、NADPHを電子供与体としてジヒドロ葉酸をテトラヒドロ葉酸に還元する酵素をいう。ヒトにおいてはDHFR遺伝子によってコードされている。
本発明において、用語「ヒト血液凝固因子」とは傷による出血時に血液凝固によって身体を保護する作用をする血液凝固関連タンパク質であり、血液凝固はこのようなタンパク質の第XII因子が関与して起こる一連の反応である。本発明の目的上、本発明は血液凝固因子のうち第VII因子を大量生産する方法に関するものである。
本発明において、用語「ヒト血液凝固第VII因子」とは、プロコンバーチン(Proconvertin)とも呼び、肝で合成する、熱に不安定な分子量50,000Daのタンパク質であり、血液内濃度が20〜40mg/mLである。このような第VII因子は第VIIaに活性化させて血液を凝固させることが可能な血液凝固剤として用いることができる。血液凝固第VII因子は、血液凝固第VII因子の活性を示しうる公知の配列と70%、80%、90%、95%、好ましくは97%の配列相同性を有する遺伝子を制限なく含む。好ましくは配列番号3である。
本発明において、用語「ベクター」とは、宿主細胞への塩基のクローニングおよび/または転移のための任意の媒介物を意味する。ベクターは他のDNA断片が結合し、結合した断片の複製をもたらすレプリコン(replicon)でありうる。「レプリコン」とは、生体内でDNA複製の自律的ユニットとして機能する、すなわち、自らの調節によって複製可能な任意の遺伝的単位(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)をいう。用語「ベクター」は、試験管内、生体外または生体内で宿主細胞に塩基を導入するためのウイルスおよび非ウイルス媒介物を含む。また、用語「ベクター」はミニサークルDNAを含むことができる。例えば、前記ベクターはバクテリアDNA配列を有しないプラスミドであってもよい。CpG領域でリッチなバクテリアDNA配列の除去は転移遺伝子発現サイレンシングを減少させ、プラスミドDNAベクターから、より持続的な発現をもたらすために行われている(例えば、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)。また、用語「ベクター」は、スリーピングビューティ(Sleeping Beauty)などのトランスポゾン(非特許文献8)、または人工染色体を含むことができる。本発明において、「発現ベクター」とは、前記血液凝固因子を発現させることにより目的とするタンパク質を高効率で発現させることができるもので、i)GCリッチ領域から一つ以上のCCGCCCが除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターの塩基配列およびこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードする塩基配列を含むベクターであり、好ましくは図1に示されたpXOGC−FVIIであることを特徴とするベクターでありうる。その例として、プラスミド、コスミド、バクテリオファージ、およびアデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターのようなのウイルスベクターなどを含み、好ましくはプラスミドである。
前記発現ベクターは、ヒト血液凝固第VII因子をコードする塩基配列をさらに含むことができる。このような発現ベクターを発現させることにより、目的のヒト血液凝固第VII因子を高効率で発現させることができる。
前記ヒト血液凝固第VII因子は、前記ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子のプロモーターによって、或いは別途のプロモーターによって発現が調節できる。好ましくは、前記ヒト血液凝固第VII因子は別途のプロモーターによって発現が調節される。このようなプロモーターは、当業界における公知のものであって、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、LTRプロモーター、EFαプロモーター、SV40プロモーターおよびTKプロモーターよりなる群から当業者が容易に選択して使用することができるが、これらに限定されない。
本発明の発現ベクターは、動物細胞株における高発現を誘導するためのものであり、好ましくは動物細胞における永久的な発現のための選択標識因子として使用される動物細胞株用抵抗性遺伝子をさらに含むことができる。前記動物細胞株用抵抗性遺伝子としては、通常当業界で使用する動物細胞株用抵抗性遺伝子であるネオマイシン抵抗性遺伝子、ゼオシン抵抗性遺伝子、ハイグロマイシ抵抗性遺伝子およびブラストマイシン抵抗性遺伝子などがあるが、これらに限定されない。
この他にも、本発明の発現ベクターは、また、一般的なベクターの構成要素、例えば、複製起点およびポリアデニル化信号とその他の転写調節因子などをさらに含むことができるが、これに限定されない。
好ましくは、本発明の(b)段階は、前記a)段階の発現ベクターで動物細胞株を形質転換する段階である。
本発明において、用語「形質転換」または「トランスフェクション」とは、いずれも外部遺伝子が宿主細胞に導入され、導入された遺伝子がそれ自体で複製できるか、或いは宿主ゲノム内に挿入されて起こる人工的遺伝子変異を指す。
前記細胞内に本発明のベクターをトランスフェクションさせる方法は、塩基を細胞内に導入するいずれの方法も含まれ、当分野で公知された適切な標準技術を選択して行うことができる。エレクトロポレーション(electroporation)、リン酸カルシウム共沈殿(calcium phosphate co-precipitation)、レトロウイルス感染(retroviral infection)、微量注入法(microinjection)、DEAE−デキストラン(DEAE-dextran)、陽イオンリポソーム(cationic liposome)法などがあるが、これに限定されない。
具体的に、本発明では、リポフェクタミン(Lipofectamine)を用いて、組み換えタンパク質を発現するベクターをCHO細胞にトランスフェクションした。
また、本発明において、動物細胞株の培養は、当業界に知られている適当な培地と培養条件によって行われ得る。このような培養過程は、当業者であれば、選択される動物細胞株に応じて容易に調整して使用することができる。細胞の成長方式によって懸濁培養と付着培養を、培養方法によって回分式、流加式および連続培養式の方法に区分される。培養に使用される培地は特定の細胞株の要求条件を適切に満足させなければならない。
動物細胞の培養において、前記培地は、多様な炭素源、窒素源および微量元素成分を含む。使用できる炭素源の例には、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、果糖、マルトース、澱粉、セルロースなどの炭水化物、大豆乳、ヒマワリ油、ヒマシ油およびヤシ油などの脂肪、パルミチン酸、ステアリン酸およびリノール酸などの脂肪酸、グリセロールおよびエタノールなどのアルコール、並びに酢酸などの有機酸が含まれる。これらの炭素源は単独で或いは組み合わせて使用できる。使用できる窒素源の例にはペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、コーンスティープリカー(CSL)および大豆ミールなどの有機窒素源、並びに尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムなどの無機窒素源が含まれる。これらの窒素源は単独で或いは組み合わせて使用できる。その他に、アミノ酸、ビタミンおよび適切な前駆体などが含まれる。
また、前記培地には、メトトレキサート(Methotrexate)などのジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤が添加できる。これは、前述したように、本発明の好適な実施例に係るタンパク質組み換え方法はジヒドロ葉酸還元酵素の欠失した動物細胞株に本発明に係る発現ベクターをトランスフェクションし、組み換え遺伝子を増幅するためにジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤を添加することにより、ベクター内のジヒドロ葉酸還元酵素が増幅されて選択できるようにするシステムを短期間かつ効率的に実現することにその目的があるためである。
本発明の好適な具現例によれば、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の場合、細胞株の安定性および経済性を考慮してなるべく低い濃度で短縮間使用することが好ましい。すなわち、低い濃度でジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤を使用することにより、大量生産する場合の安定性と生産細胞株の開発期間の短縮を可能とする。具体的に、本発明は、ジヒドロ葉酸還元酵素の欠乏したチャイニーズハムスター卵巣細胞株に前記組み換えタンパク質発現ベクターをトランスフェクションして濃度100nM以下、好ましくは50nM以下のメトトレキサートを使用するヒト血液凝固第VII因子の製造方法を提供する。
これらの目的の組み換えタンパク質は、動物細胞株における発現が要求されるものである。このような目的に鑑みて、本発明で使用可能な好適な動物細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovarian)細胞株、アフリカミドリザル腎臓細胞7(COS7:Monkey kidney cells)細胞株、NSO細胞株、SP2/0細胞株、W138細胞株、BHK(Baby hamster kidney)細胞株、MDCK細胞株、骨髄腫細胞株、HuT78細胞および293細胞などを含むことができ、これらに限定されない。当該技術分野における通常の知識を有する技術者であれば、本発明のジヒドロ葉酸還元酵素を用いた増幅技術に適用可能な適切な動物細胞株を容易に選択することができる。好ましくは、本発明ではジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子が欠乏したことを特徴とする細胞株でありうる。
本発明において、用語「組み換えベクターで形質転換された宿主細胞」とは、一つ以上の目的タンパク質をコードする遺伝子を有するベクターでトランスフェクションされた細胞をいい、組み換え哺乳動物細胞、齧歯類細胞、好ましくは動物細胞または動物細胞由来の細胞であり、最も好ましくはCHO細胞である。宿主細胞がCHO細胞の場合、遺伝子を安定的に発現させ、かつ細胞内における遺伝子のコピー数(copy number)の増幅を目的とするため、塩基合成経路を欠損したCHO細胞に、それを相補するDHFR遺伝子を有するベクター(例えば、pCHOIなど)を導入し、メトトレキサート(methotrexate、MTX)によって増幅させることができる。
本発明において、用語「宿主」とは動物を含む。動物を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を使用する生産系がある。哺乳類動物としてはヤギ、ブタ、羊、マウス、牛を使用することができる(非特許文献8)。また、哺乳類動物を使用する場合、トランスジェニック動物を使用することができる。また、昆虫としては例えばカイコを使用することができる。カイコを使用する場合、目的とするタンパク質をコードするDNAを挿入したバキュロウイルス(Baculovirus)をカイコに感染させることにより、このカイコの体液から目的のタンパク質を得ることができる(非特許文献9) 。好ましくは、本発明ではCHO細胞を宿主として使用した。
より具体的には、ジヒドロ葉酸還元酵素の欠乏したチャイニーズハムスター卵巣細胞株(CHO/dhfr−)を使用した。すなわち、ジヒドロ葉酸還元酵素の欠乏したCHO細胞株に、ヒト血液凝固第VII因子をコードする遺伝子を含む本発明に係る発現ベクターをトランスフェクションし、100nM以下の、より好ましくは50nM以下の低いメトトレキサート濃度でも十分な数の遺伝子が増幅されて生産性が検証された動物細胞株を提供する。
好ましくは、本発明の(c)段階は、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の存在下に、前記b)段階のトランスフェクションされた動物細胞株を培養して高効率でヒト血液凝固第VII因子を発現する細胞株を選別する段階である。
好ましくは、選別された細胞株はHMF708(KCTC11779BP)である。前記HMF708菌株を2010年10月25日に韓国生命工学研究院生物資源センター(韓国大田市儒城区科学路111韓国生命工学研究院)に寄託番号KCTC11779BPで寄託した。選別された細胞株は無血清培地(EX−CELL CHO培地、米国Sigma社、cat.no.14360C)を用いて浮遊培養に適応させた。
また、好ましくは、本発明の(d)段階は前記(c)段階の選別された動物細胞株に酪酸ナトリウムを添加する。
本発明において、用語「酪酸ナトリウム」とは、ヒストンデアセチラーゼの抑制によるヒストンの高アセチル化を引き起こすことが知られている物質であって、細胞の分化および遺伝子の発現を誘導することが知られている。本発明では、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産するための培地添加剤として使用された。添加量は、培養条件に応じて当業者によって容易に選択でき、好ましくは0.1〜3.0mM、さらに好ましくは0.1〜1.5mMである。
具体的に、本発明の一実施例では、ジヒドロ葉酸還元酵素のプロモーターのうちCCGCCC反復配列を一つのみ有する高発現誘導カセット、およびCCGCCC反復配列を全く含まない高発現誘導カセットをそれぞれ製造した。これらの発現カセットを含む発現ベクターによって形質転換された大腸菌(E.coli)細胞株を提供する。これらの細胞株は本発明者の先行発明によって2006年10月2日付で韓国大田市儒城区に所在の生命工学研究院内の遺伝子銀行に受託番号KCTC10991BPおよびKCTC10992BPとしてそれぞれ寄託した。これらの細胞株は、所望の目的する組み換えタンパク質の高発現を誘導するために、前記細胞株から前記高発現誘導カセットを含む発現ベクターを分離し、遺伝子組み換え技術などによるクローニング方法によってヒト血液凝固第VII因子のタンパク質を暗号化する遺伝子をさらに含む発現ベクターの製作に利用できる。本発明に使用された発現ベクターは、好ましくは図1に示されたpXOGC−FVIIベクターを製作し、酪酸ナトリウムの添加された培養培地で、CHO細胞を用いて所望のヒト血液凝固第VII因子を大量生産した。
本発明で生産されるヒト血液凝固第VII因子をコードする塩基配列は、好ましくは配列番号3の塩基配列である。
前記ヒト血液凝固第VII因子タンパク質は、前記ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子のプロモーターによって、或いは別途のプロモーターによって発現が調節できる。好ましくは、前記ヒト血液凝固第VII因子タンパク質は別途のプロモーターによって発現が調節される。このようなプロモーターは、当業界における公知のものであり、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、LTRプロモーター、EFαプロモーター、SV40プロモーター、およびTKプロモーターよりなる群から当業者が容易に選択して使用することができるが、これに限定されない。
また、本発明は、前述した細胞株からヒト血液凝固第VII因子を生産する場合、酪酸ナトリウムを添加する段階を含んで生産したヒト血液凝固第VII因子を大量で精製する段階をさらに含むことができる。
また、生産されたヒト血液凝固第VII因子を活性化させる段階を含む、活性化されたヒト血液凝固第VII因子を製造する段階をさらに含むことができる。
本発明の一実施例では、ジヒドロ葉酸還元酵素のプロモーターのうち、GCリッチ配列を人為的に欠損させて発現が最小限に行われるようにした後、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤を添加して遺伝子を増幅させた。遺伝子増幅の行われた細胞株のうち、1つの細胞から起源したクローンを得るために、限界希釈を行って単クローン細胞株を収得し、これを大量培養して無血清培地で酪酸ナトリウムを添加してヒト血液凝固第VII因子を生産し、併せて、精製および活性化されたヒト血液凝固第VII因子を生産した。
別の様態として、本発明は、ヒト血液凝固第VII因子を生産する細胞株を提供する。好ましくは、HMF708(寄託番号KCTC11779BP)細胞株である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明する。但し、下記実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。
組み換え第VII因子発現のための発現ベクター(pXOGC−FVII)の製造
<1−1> 第VII因子遺伝子の増幅
動物細胞内で組み換え第VII因子の過発現を誘導するための発現ベクターを製作した。ヒトの第VII因子遺伝子は、重合酵素連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)技法を用いて、信号配列を含むヒトの第VII因子遺伝子を獲得した。第VII因子遺伝子増幅のために、Clontech社(USA、今はTAKARA BIO USA)から購入したヒト胎児肝臓(fetal liver)cDNAライブラリーを鋳型として、配列番号1および2の正方向および逆方向プライマーを用いた。クローニング作業を容易にするために、第VII因子正方向プライマーには制限酵素BamHI認識部位を挿入し、逆方向プライマーには制限酵素XhoI認識部位を挿入した。前記プライマーは表1に示した。
<1−1> 第VII因子遺伝子の増幅
動物細胞内で組み換え第VII因子の過発現を誘導するための発現ベクターを製作した。ヒトの第VII因子遺伝子は、重合酵素連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)技法を用いて、信号配列を含むヒトの第VII因子遺伝子を獲得した。第VII因子遺伝子増幅のために、Clontech社(USA、今はTAKARA BIO USA)から購入したヒト胎児肝臓(fetal liver)cDNAライブラリーを鋳型として、配列番号1および2の正方向および逆方向プライマーを用いた。クローニング作業を容易にするために、第VII因子正方向プライマーには制限酵素BamHI認識部位を挿入し、逆方向プライマーには制限酵素XhoI認識部位を挿入した。前記プライマーは表1に示した。
重合酵素連鎖反応チューブにcDNAライブラリー(100ng)、プライマー、dNTPおよびpFXポリメラーゼ(Invitrogen)を添加し、95℃で1分間変性させた後、95℃で30秒、60℃で30秒、68℃で90秒間の反応を30回繰り返し行った後、最終的に68℃で5分間反応させた。得られた約1.3kbのPCR産物に対してDNAシーケンシングを介して塩基配列を確認し、配列番号3に示される塩基配列を有することを確認した。
<1−2>組み換え第VII因子発現ベクター(pXOGC−FVII)の製作
実施例<1−1>で増幅された第VII因子PCR産物をCMVプロモーターの調節下で発現できるようにするために、動物細胞発現ベクターであるpXOGCベクターとライゲーション(ligation)させた。上記で使用されたpXOGCベクターは、一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたDHFRプロモーターの塩基配列およびこれに作動可能に連結されたDHFRをコードする塩基配列を含む発現ベクターであって、組み換えタンパク質の高発現誘導のために製作されたベクターである(特許文献2参照)。
実施例<1−1>で増幅された第VII因子PCR産物をCMVプロモーターの調節下で発現できるようにするために、動物細胞発現ベクターであるpXOGCベクターとライゲーション(ligation)させた。上記で使用されたpXOGCベクターは、一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたDHFRプロモーターの塩基配列およびこれに作動可能に連結されたDHFRをコードする塩基配列を含む発現ベクターであって、組み換えタンパク質の高発現誘導のために製作されたベクターである(特許文献2参照)。
上記の重合酵素連鎖反応によって収得した約1.3kbの第VII因子遺伝子を制限酵素BamHIとXhoIで処理して37℃で2時間酵素反応を誘導した後、Qiagen(USA)社のPCR精製キットを用いて目的のDNAを純粋分離精製した。また、動物細胞発現ベクターpXOGCを上述と同様の条件で同一の制限酵素BamHIとXhoIで処理し、電気泳動して分離精製した。これらの切片をT4 DNAリガーゼを用いて相互に連結し、これをpXOGC−FVIIと命名した。
ヒト第VII因子発現細胞株の製造
<2−1>細胞株の形質転換
実施例1で製造した組み換えヒト第VII因子発現ベクター(pXOGC−FVII)を、DHFR遺伝子が毀損して核酸生合成過程が不完全なCHO細胞株(CHO/dhfr−) (非特許文献10)に形質導入させ、ヒト第VII因子タンパク質を大量生産することが可能な細胞株を製造した。具体的に、培養中のDG44−CHO(dhfr欠損)細胞(コロンビア大学のChasin博士から購入)をT75培養容器で培養し、培養容器の底部の80〜90%を覆う程度に細胞が増殖したときにリポフェクタミン(Gibco社、cat.no.18324−012)を用いて形質転換させた。すなわち、2つのチューブにそれぞれ3mLのOpti−MEM(Gibco社、cat.No.51985034)を入れ、一つのチューブには5μgのDNAを仕込み、もう一つのチューブには20μLのリポフェクタミンを入れて常温で30分間各溶液を静置した後、2つの溶液を混ぜて予めOpti−MEM培地で3回水洗した細胞に入れた。前記細胞を37℃、5%CO2培養器で約18時間培養した後、さらに10%ウシ胎仔血清(BSA)の含まれたDMEM−F12(Gibco社、cat.no.11330)で3回洗浄した後、培養培地に変えて48時間培養した。培養容器の底部にほぼ一杯増殖した細胞をトリプシン処理によって収得した後、形質導入された細胞のみを選別するために10%の透析されたウシ胎仔血清および1mg/mLのG418(Cellgro社、cat.no.61−234−RG)の含まれたHT(Hypoxanthine-Thymidine)補充剤のないMEM−α培地(WELGENE社、cat.no.LM008−02)入りの新しい培養容器に移して培養した。形質導入された細胞のみが生き残ってコロニーを形成して増殖するまで2日または3日間隔で培地を交換しながら培養した。
<2−1>細胞株の形質転換
実施例1で製造した組み換えヒト第VII因子発現ベクター(pXOGC−FVII)を、DHFR遺伝子が毀損して核酸生合成過程が不完全なCHO細胞株(CHO/dhfr−) (非特許文献10)に形質導入させ、ヒト第VII因子タンパク質を大量生産することが可能な細胞株を製造した。具体的に、培養中のDG44−CHO(dhfr欠損)細胞(コロンビア大学のChasin博士から購入)をT75培養容器で培養し、培養容器の底部の80〜90%を覆う程度に細胞が増殖したときにリポフェクタミン(Gibco社、cat.no.18324−012)を用いて形質転換させた。すなわち、2つのチューブにそれぞれ3mLのOpti−MEM(Gibco社、cat.No.51985034)を入れ、一つのチューブには5μgのDNAを仕込み、もう一つのチューブには20μLのリポフェクタミンを入れて常温で30分間各溶液を静置した後、2つの溶液を混ぜて予めOpti−MEM培地で3回水洗した細胞に入れた。前記細胞を37℃、5%CO2培養器で約18時間培養した後、さらに10%ウシ胎仔血清(BSA)の含まれたDMEM−F12(Gibco社、cat.no.11330)で3回洗浄した後、培養培地に変えて48時間培養した。培養容器の底部にほぼ一杯増殖した細胞をトリプシン処理によって収得した後、形質導入された細胞のみを選別するために10%の透析されたウシ胎仔血清および1mg/mLのG418(Cellgro社、cat.no.61−234−RG)の含まれたHT(Hypoxanthine-Thymidine)補充剤のないMEM−α培地(WELGENE社、cat.no.LM008−02)入りの新しい培養容器に移して培養した。形質導入された細胞のみが生き残ってコロニーを形成して増殖するまで2日または3日間隔で培地を交換しながら培養した。
<2−2>酵素免疫測定法を用いたヒト第VII因子発現の確認
実施例<2−1>で形質導入された細胞の一部を24−ウェルプレートに2×104細胞数/ウェルの濃度で移して培養容器の底部を殆ど覆う程度に培養した後、0.3mMの酪酸ナトリウム(Sigma社、cat.no.B5887)の添加された無血清培地CHO−A−SFM(Gibco社、cat.no.05−5072EF)をウェル当り200μLずつ入れて33℃、5%CO2培養器で48時間培養した。細胞の培養液を1.5mLのチューブに移した後、遠心分離を行って上澄み液のみをさらに集め、ヒト第VII因子の発現量を測定した。発現量の測定は製造社のプロトコールに従って酵素免疫測定キット(American Diagnostica、cat.no.877)を用いて行った。具体的に、まず、細胞培養液とキットに入っている標準物質を、0.05%のツイン−20が添加されている生理食塩水で一定に希釈した後、キットのウェルに100μLずつ添加し、常温で1時間プレート振盪器(plate shaker)を用いて反応させた。その後、製造社の洗浄液を用いてウェルを4回ずつ洗浄した後、抗ヒト第VII因子抗体をウェルに100μLずつ添加して常温で1時間プレート振盪器を用いて反応させた。再び製造社の洗浄液で4回洗浄した後、HRP(horseradish peroxidase)の結合している抗ヒト第VII因子抗体に対する抗体をウェル当り100μLずつ添加し、しかる後に、同じ方法によって常温で30分間反応させた。反応が終わった後、4回洗浄した後、基質液を100μLずつ入れ、常温で静置して反応させた。約5分後、50μLの反応停止液を入れて反応を停止させた後、450nmの吸光度で測定した。キット製造社で提供する標準液の濃度と得られた吸光度値を用いて標準曲線および関数を得た後、これを用いてヒト第VII因子の量を定量化した。その結果、形質導入されて選別された細胞が一定量のヒト第VII因子を発現することを確認することができた。
実施例<2−1>で形質導入された細胞の一部を24−ウェルプレートに2×104細胞数/ウェルの濃度で移して培養容器の底部を殆ど覆う程度に培養した後、0.3mMの酪酸ナトリウム(Sigma社、cat.no.B5887)の添加された無血清培地CHO−A−SFM(Gibco社、cat.no.05−5072EF)をウェル当り200μLずつ入れて33℃、5%CO2培養器で48時間培養した。細胞の培養液を1.5mLのチューブに移した後、遠心分離を行って上澄み液のみをさらに集め、ヒト第VII因子の発現量を測定した。発現量の測定は製造社のプロトコールに従って酵素免疫測定キット(American Diagnostica、cat.no.877)を用いて行った。具体的に、まず、細胞培養液とキットに入っている標準物質を、0.05%のツイン−20が添加されている生理食塩水で一定に希釈した後、キットのウェルに100μLずつ添加し、常温で1時間プレート振盪器(plate shaker)を用いて反応させた。その後、製造社の洗浄液を用いてウェルを4回ずつ洗浄した後、抗ヒト第VII因子抗体をウェルに100μLずつ添加して常温で1時間プレート振盪器を用いて反応させた。再び製造社の洗浄液で4回洗浄した後、HRP(horseradish peroxidase)の結合している抗ヒト第VII因子抗体に対する抗体をウェル当り100μLずつ添加し、しかる後に、同じ方法によって常温で30分間反応させた。反応が終わった後、4回洗浄した後、基質液を100μLずつ入れ、常温で静置して反応させた。約5分後、50μLの反応停止液を入れて反応を停止させた後、450nmの吸光度で測定した。キット製造社で提供する標準液の濃度と得られた吸光度値を用いて標準曲線および関数を得た後、これを用いてヒト第VII因子の量を定量化した。その結果、形質導入されて選別された細胞が一定量のヒト第VII因子を発現することを確認することができた。
<2−3>ヒト第VII因子発現細胞株の選別
実施例<2−2>でヒト第VII因子の発現が確認された細胞のヒト第VII因子の発現量を増加させるために、10nMのMTX(Methotrexate、Sigma社、cat.no.M8407)が含まれた選別培地を用いて、選別された細胞をT75培養容器で2週間3日毎に継代培養し、各ウェルの一部の細胞を実施例<2−2>と同様の方法で24ウェルプレートに移して培養した後、ヒト第VII因子の発現量を測定した。10nM以上の濃度ではそれ以上ヒト第VII因子の発現量が増加しないため、この段階で異種性(heterogeneity)を減らすために、限界希釈法(limiting dilution method)を用いた単クローン選別を行った。すなわち、不均一なヒト第VII因子の発現率を示すクローンを限界希釈法を用いてヒト第VII因子の発現率が均一で生産性に優れた単一細胞を分離する実験を行った。具体的に、6ウェルプレートの細胞のうち最も発現量が高かったウェルの細胞を96ウェルプレートにウェル当り1個以下で接種されるように希釈した後、細胞が1個のみ接種されたプレートを選別して2〜3週培養した。その後、コロニーを形成するウェルプレートの細胞を分離した後、継代培養してヒト第VII因子の発現量を酵素免疫測定法で測定した(図2)。限界希釈法によって分離された細胞株のうち10nM MTXで安定した増殖特性とヒト第VII因子の高生産性を示す組み換えCHO細胞株を最終選別してHMF708と命名した。前記HMF708菌株を2010年10月25日に韓国生命工学研究院の生物資源センター(韓国大田市儒城区科学路111韓国生命工学研究院)に寄託番号KCTC11779BPで寄託した。選別された細胞株は無血清培地(EX−CELL CHO培地、米国Sigma社、cat.no. 14360C)を用いて浮遊培養に適応させた。
実施例<2−2>でヒト第VII因子の発現が確認された細胞のヒト第VII因子の発現量を増加させるために、10nMのMTX(Methotrexate、Sigma社、cat.no.M8407)が含まれた選別培地を用いて、選別された細胞をT75培養容器で2週間3日毎に継代培養し、各ウェルの一部の細胞を実施例<2−2>と同様の方法で24ウェルプレートに移して培養した後、ヒト第VII因子の発現量を測定した。10nM以上の濃度ではそれ以上ヒト第VII因子の発現量が増加しないため、この段階で異種性(heterogeneity)を減らすために、限界希釈法(limiting dilution method)を用いた単クローン選別を行った。すなわち、不均一なヒト第VII因子の発現率を示すクローンを限界希釈法を用いてヒト第VII因子の発現率が均一で生産性に優れた単一細胞を分離する実験を行った。具体的に、6ウェルプレートの細胞のうち最も発現量が高かったウェルの細胞を96ウェルプレートにウェル当り1個以下で接種されるように希釈した後、細胞が1個のみ接種されたプレートを選別して2〜3週培養した。その後、コロニーを形成するウェルプレートの細胞を分離した後、継代培養してヒト第VII因子の発現量を酵素免疫測定法で測定した(図2)。限界希釈法によって分離された細胞株のうち10nM MTXで安定した増殖特性とヒト第VII因子の高生産性を示す組み換えCHO細胞株を最終選別してHMF708と命名した。前記HMF708菌株を2010年10月25日に韓国生命工学研究院の生物資源センター(韓国大田市儒城区科学路111韓国生命工学研究院)に寄託番号KCTC11779BPで寄託した。選別された細胞株は無血清培地(EX−CELL CHO培地、米国Sigma社、cat.no. 14360C)を用いて浮遊培養に適応させた。
酪酸ナトリウムの添加による細胞株の成長およびhVII生産量の測定(1)
<3−1>種菌および本培養
実施例<2−3>で選別された後、浮遊培養に適応され、液体窒素タンクに保管中のhFVII発現細胞株1バイアル(1×107細胞/mL)を取り出して37℃の恒温水槽で最大限迅速に溶かした後、種菌培養培地(グルタミン0.3g/Lが添加されたEX−CELL CHO培地(Sigma社、cat.no.63225C)で1回洗浄し、90×gで5分間遠心分離して種菌培養培地50mL入りの三角フラスコ(Erlenmeyer flask、米国Corning社 cat#431144)に接種した。CO2培養器(37℃、5%CO2)で細胞濃度が10×105細胞/mLとなるまで1〜2日間培養した後、上述と同様の方法で遠心分離して新鮮な種菌培養培地100mL入りの新しい三角フラスコで継代培養した。同じ方法で十分な数の細胞が得られるまで2倍ずつ培養体積を増やしながら継代培養した。
<3−1>種菌および本培養
実施例<2−3>で選別された後、浮遊培養に適応され、液体窒素タンクに保管中のhFVII発現細胞株1バイアル(1×107細胞/mL)を取り出して37℃の恒温水槽で最大限迅速に溶かした後、種菌培養培地(グルタミン0.3g/Lが添加されたEX−CELL CHO培地(Sigma社、cat.no.63225C)で1回洗浄し、90×gで5分間遠心分離して種菌培養培地50mL入りの三角フラスコ(Erlenmeyer flask、米国Corning社 cat#431144)に接種した。CO2培養器(37℃、5%CO2)で細胞濃度が10×105細胞/mLとなるまで1〜2日間培養した後、上述と同様の方法で遠心分離して新鮮な種菌培養培地100mL入りの新しい三角フラスコで継代培養した。同じ方法で十分な数の細胞が得られるまで2倍ずつ培養体積を増やしながら継代培養した。
<3−2>生産培地内の酪酸ナトリウムの添加による細胞株の成長およびhFVIIの生産量の測定
生産培地内の酪酸ナトリウムの添加がhFVIIの生産量に及ぼす効果を考察するために、培養中の組み換えCHO細胞株約5.0×106細胞/mLを3つの三角フラスコに50mLの培養体積で接種した。この際、培養培地に酪酸ナトリウム(cat.no.B5887、Sigma社、米国)がそれぞれ0.3、1.0、1.5mMとなるように添加し、酪酸ナトリウム0.3mMを入れたフラスコ対照群として培養を開始した。hFVIIの生産のために培養温度を30.0℃に合わせて4日間培養した。培養4日目に培養液を回収して細胞株の細胞濃度と細胞活性度を観察した結果、酪酸ナトリウムによる細胞濃度および細胞活性度の変化はなかった。
生産培地内の酪酸ナトリウムの添加がhFVIIの生産量に及ぼす効果を考察するために、培養中の組み換えCHO細胞株約5.0×106細胞/mLを3つの三角フラスコに50mLの培養体積で接種した。この際、培養培地に酪酸ナトリウム(cat.no.B5887、Sigma社、米国)がそれぞれ0.3、1.0、1.5mMとなるように添加し、酪酸ナトリウム0.3mMを入れたフラスコ対照群として培養を開始した。hFVIIの生産のために培養温度を30.0℃に合わせて4日間培養した。培養4日目に培養液を回収して細胞株の細胞濃度と細胞活性度を観察した結果、酪酸ナトリウムによる細胞濃度および細胞活性度の変化はなかった。
一方、培養4日目に遠心分離によって培養上澄み液を回収した後、実施例<2−2>と同様に酵素免疫法を用いて、各培養上澄み液に発現されたhFVIIの量を測定した。測定された値を対照群対比生産量(%)で計算し、下記表2に示した。
前記表2から分かるように、酪酸ナトリウムの添加濃度が増加するほどhFVIIの生産量が増加することが分かった。
酪酸ナトリウムの添加による細胞株の成長およびhFVII生産量の測定(2)
<4−1>種菌および本培養
実施例<2−3>で選別された後、浮遊培養に適応され、液体窒素タンクに保管中のhFVII発現細胞株1バイアル(1×107細胞/mL)を取り出して37℃の恒温水槽で最大限迅速に溶かした後、種菌培養培地(グルタミン0.3g/Lが添加されたEX CELL CHO培地)(Sigma社、cat.no.63225C)で1回洗浄し、90×gで5分間遠心分離して種菌培養培地50mL入りの三角フラスコ(Erlenmeyer flask、米国Corning社、cat#431144)に接種した。CO2培養器(37℃、5%CO2)で細胞濃度が10×105細胞/mLとなるまで1〜2日間培養した後、上記と同様の方法で遠心分離して新鮮な種菌培養培地100mL入りの新しい三角フラスコで継代培養した。同じ方法で十分な数の細胞が得られるまで2倍ずつ培養体積を増やしながら継代培養した。
<4−1>種菌および本培養
実施例<2−3>で選別された後、浮遊培養に適応され、液体窒素タンクに保管中のhFVII発現細胞株1バイアル(1×107細胞/mL)を取り出して37℃の恒温水槽で最大限迅速に溶かした後、種菌培養培地(グルタミン0.3g/Lが添加されたEX CELL CHO培地)(Sigma社、cat.no.63225C)で1回洗浄し、90×gで5分間遠心分離して種菌培養培地50mL入りの三角フラスコ(Erlenmeyer flask、米国Corning社、cat#431144)に接種した。CO2培養器(37℃、5%CO2)で細胞濃度が10×105細胞/mLとなるまで1〜2日間培養した後、上記と同様の方法で遠心分離して新鮮な種菌培養培地100mL入りの新しい三角フラスコで継代培養した。同じ方法で十分な数の細胞が得られるまで2倍ずつ培養体積を増やしながら継代培養した。
<4−2>培養器における酪酸ナトリウムの添加による細胞株の成長およびhFVII生産量の測定
培養器で酪酸ナトリウムの添加がhFVIIの生産量に及ぼす効果を考察するために、作業体積4Lの培養器で組み換えCHO細胞株約1.2×107細胞/mLの濃度で培養した3台の培養器を準備した。そして、培養培地に酪酸ナトリウム(cat.no.B5887、Sigma社、米国)がそれぞれ0.3、1.5、2.0mMとなるように添加し、酪酸ナトリウム0.3mMを入れた培地を供給する培養器を対照群として培養を開始した。hFVIIの生産のために培養温度を30.0℃に合わせて11〜18日間培地を0.5〜1.0VVDで連続的に供給して培養した。細胞活性度が80%以下になると、培養を終了した。生産期に一定量の培養液を回収して細胞株の細胞濃度と細胞活性度を観察した。
培養器で酪酸ナトリウムの添加がhFVIIの生産量に及ぼす効果を考察するために、作業体積4Lの培養器で組み換えCHO細胞株約1.2×107細胞/mLの濃度で培養した3台の培養器を準備した。そして、培養培地に酪酸ナトリウム(cat.no.B5887、Sigma社、米国)がそれぞれ0.3、1.5、2.0mMとなるように添加し、酪酸ナトリウム0.3mMを入れた培地を供給する培養器を対照群として培養を開始した。hFVIIの生産のために培養温度を30.0℃に合わせて11〜18日間培地を0.5〜1.0VVDで連続的に供給して培養した。細胞活性度が80%以下になると、培養を終了した。生産期に一定量の培養液を回収して細胞株の細胞濃度と細胞活性度を観察した。
また、生産期に遠心分離によって培養上澄み液を回収した後、実施例<2−2>と同様に酵素免疫法を用いて、各培養上澄み液に発現されたhFVIIの量を測定した。測定された値を対照群対比生産量(%)で計算し、下記表3に示した。
前記表3から分かるように、酪酸ナトリウムの添加濃度が増加するほど、短い生産期間にも拘らずより多くのhFVIIを生産することができるため、酪酸ナトリウムのFVII生産性向上機能を示すことが分かった。
培養培地における 第VII因子の精製方法
限外濾過膜(SARTOCON Slice Cassette、PESU、Sartorius社、MWCO 30K)を1Lの1N NaOHで1時間以上洗浄し、5Lの滅菌水を用いて洗浄した。その後、1次精製カラムの平衡バッファで限外濾過膜を平衡させた後、 第VII因子生産細胞培養液を注入して10倍濃縮した。濃縮された培養液に同一体積の1次精製カラム平衡バッファを添加して2倍希釈し、これをさらに初期濃縮体積まで濃縮した。このような希釈−濃縮過程を7回以上繰り返し行って培養液を1次精製カラム平衡バッファで定容濾過した。この際、第VII因子の損失は殆どなく、濃縮された第VII因子の最終濃度は0.3mg/mLに保たれた。限外濾過および定容濾過過程は4℃の条件で行われた。定容濾過された第VII因子培養液は0.22μm(NALGENE、PES)の濾過フィルターで最終濾過して陰イオン交換クロマトグラフィーに負荷した。本発明では、陰イオン交換クロマトグラフィーでQ−セファロース(Q SepharoseFast Flow、GE Healthcare)レジンの充填されたカラムを使用した。負荷された試料は平衡バッファA(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン)、洗浄バッファB(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+0.2M NaCl)、洗浄バッファC(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+0.1M NaCl)および溶出バッファD(20mMトリス pH8.0+2mMベンズアミジン+25mM NaCl+35mM CaCl2)溶液を用いて洗浄バッファCから溶出バッファDに達するように2.5カラム容量で線形濃度勾配を用いてタンパク質を溶出させた。陰イオン交換クロマトグラフィーを介して溶出した第VII因子含有タンパク質溶出液は、溶出が終わり次第、サイズ排除クロマトグラフィーを介して20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジンバッファでバッファ交換した。濾過、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィー過程は4℃の条件で行われた。サイズ排除クロマトグラフィーによってバッファ交換された試料を陰イオン交換クロマトグラフィーに負荷した。本発明では、Q−セファロース(Q Sepharose High Performance、GE Healthcare)レジンの充填されたカラムを使用した。負荷された試料は平衡バッファA(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン)と溶出バッファB(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+1M NaCl)溶液を用いて溶出バッファBの濃度が20%〜35%に達するように15カラム容量で線形濃度勾配を用いてタンパク質を溶出させた。溶出した第VII因子タンパク質はサイズ排除クロマトグラフィーを介して20mMリン酸カリウム、pH5.5で剤形化した。全ての過程は4℃の条件で行われた。上述したように第VII因子は不活性化された形に精製した後で保管が可能であり、必要に応じて、実施例6と同様に活性化した第VII因子への転換が可能である。
限外濾過膜(SARTOCON Slice Cassette、PESU、Sartorius社、MWCO 30K)を1Lの1N NaOHで1時間以上洗浄し、5Lの滅菌水を用いて洗浄した。その後、1次精製カラムの平衡バッファで限外濾過膜を平衡させた後、 第VII因子生産細胞培養液を注入して10倍濃縮した。濃縮された培養液に同一体積の1次精製カラム平衡バッファを添加して2倍希釈し、これをさらに初期濃縮体積まで濃縮した。このような希釈−濃縮過程を7回以上繰り返し行って培養液を1次精製カラム平衡バッファで定容濾過した。この際、第VII因子の損失は殆どなく、濃縮された第VII因子の最終濃度は0.3mg/mLに保たれた。限外濾過および定容濾過過程は4℃の条件で行われた。定容濾過された第VII因子培養液は0.22μm(NALGENE、PES)の濾過フィルターで最終濾過して陰イオン交換クロマトグラフィーに負荷した。本発明では、陰イオン交換クロマトグラフィーでQ−セファロース(Q SepharoseFast Flow、GE Healthcare)レジンの充填されたカラムを使用した。負荷された試料は平衡バッファA(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン)、洗浄バッファB(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+0.2M NaCl)、洗浄バッファC(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+0.1M NaCl)および溶出バッファD(20mMトリス pH8.0+2mMベンズアミジン+25mM NaCl+35mM CaCl2)溶液を用いて洗浄バッファCから溶出バッファDに達するように2.5カラム容量で線形濃度勾配を用いてタンパク質を溶出させた。陰イオン交換クロマトグラフィーを介して溶出した第VII因子含有タンパク質溶出液は、溶出が終わり次第、サイズ排除クロマトグラフィーを介して20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジンバッファでバッファ交換した。濾過、陰イオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィー過程は4℃の条件で行われた。サイズ排除クロマトグラフィーによってバッファ交換された試料を陰イオン交換クロマトグラフィーに負荷した。本発明では、Q−セファロース(Q Sepharose High Performance、GE Healthcare)レジンの充填されたカラムを使用した。負荷された試料は平衡バッファA(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン)と溶出バッファB(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+1M NaCl)溶液を用いて溶出バッファBの濃度が20%〜35%に達するように15カラム容量で線形濃度勾配を用いてタンパク質を溶出させた。溶出した第VII因子タンパク質はサイズ排除クロマトグラフィーを介して20mMリン酸カリウム、pH5.5で剤形化した。全ての過程は4℃の条件で行われた。上述したように第VII因子は不活性化された形に精製した後で保管が可能であり、必要に応じて、実施例6と同様に活性化した第VII因子への転換が可能である。
精製された第VII因子の活性化段階
第VII因子タンパク質を活性化(activation)させるために、精製された第VII因子試料を平衡バッファA(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン)で平衡化された陰イオン交換クロマトグラフィーに負荷した。陰イオン交換クロマトグラフィーは、ソース15Q(Source 15Q、GE Healthcare)レジンの充填されたカラムが使用された。負荷された試料は、平衡バッファAと溶出バッファB(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+25mM NaCl+35mM CaCl2)を用いて5%溶出バッファBの濃度で40分間オンカラム活性化過程を経た後、溶出バッファBを用いて定組成溶離(isocratic elution)法でタンパク質を溶出させた。精製された第VII因子の活性化段階は常温で行われた。
第VII因子タンパク質を活性化(activation)させるために、精製された第VII因子試料を平衡バッファA(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン)で平衡化された陰イオン交換クロマトグラフィーに負荷した。陰イオン交換クロマトグラフィーは、ソース15Q(Source 15Q、GE Healthcare)レジンの充填されたカラムが使用された。負荷された試料は、平衡バッファAと溶出バッファB(20mMトリスpH8.0+2mMベンズアミジン+25mM NaCl+35mM CaCl2)を用いて5%溶出バッファBの濃度で40分間オンカラム活性化過程を経た後、溶出バッファBを用いて定組成溶離(isocratic elution)法でタンパク質を溶出させた。精製された第VII因子の活性化段階は常温で行われた。
以上、本発明の好適な実施例について説明の目的で開示したが、当業者であれば、添付した請求の範囲に開示された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変形、追加および置換を加え得ることを理解するであろう。
Claims (12)
- a)i)GCリッチ領域(GC-Rich region)から一つ以上のCCGCCC反復配列が除去されたジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、並びにii)サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびこれに作動可能に連結されたヒト血液凝固第VII因子遺伝子を伴う発現ベクターを製作する段階と、
b)前記a)段階の発現ベクターを動物細胞株にトランスフェクションする段階と、
c)ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤の存在下に、前記b)段階のトランスフェクションされた動物細胞株を培養して高効率でヒト血液凝固第VII因子を発現する細胞を選別する段階と、
d)前記c)段階の選別された動物細胞株を含有する培地に酪酸ナトリウムを添加する段階とを含んでなる、ヒト血液凝固第VII因子を大量生産する方法。 - 前記GCリッチ領域が1個以下のCCGCCC反復配列を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ヒト血液凝固第VII因子遺伝子が配列番号3の塩基配列を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記発現ベクターが図1に示されたpXOGC−FVIIである、請求項1に記載の方法。
- 前記b)段階の動物細胞株はチャイニーズハムスター卵巣(Chinese hamster ovarian、CHO)細胞株、アフリカミドリザル腎臓細胞7(Monkey kidney cells、COS7)細胞株、NSO細胞株、SP2/0細胞株、W138細胞株、BHK(Baby hamster kidney)細胞株、MDCK細胞株、骨髄腫細胞株、HuT78細胞および293細胞よりなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
- 前記動物細胞株はジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子が欠乏したものである、請求項5に記載の方法。
- 前記c)段階の選別された細胞株がHMF708(寄託番号KCTC11779BP)である、請求項1に記載の方法。
- 前記d)段階の酪酸ナトリウムの濃度範囲が0.1〜3.0mMである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記酪酸ナトリウムの濃度範囲が0.3〜1.5mMである、請求項8に記載の方法。
- ヒト血液凝固第VII因子を精製する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- ヒト血液凝固第VII因子を活性化させる段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- ヒト血液凝固第VII因子を生産する、寄託番号KCTC11779BPを有するHMF708細胞株。
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