JP2017039405A - キャスター - Google Patents

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亮 岩本
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Abstract

【課題】ワイヤーの小さな索引力で車輪の回動とキャスター本体の旋回の制動とを確実に実行するとともに、両方の制動動作を効果的に行う機構を備えたキャスターを提供する。【解決手段】ワイヤー10の牽引によりキャスター本体2の旋回を制動するキャスター本体制動装置Aと、車輪1の回動を制動する車輪制動装置Bとを備え、キャスター本体制動装置Aは、外筒4の外周面に上下移動可能に嵌め込まれたカップ体11と、該カップ体11の円筒部下縁に形成されたかみ合い歯11aと、キャスター本体2の上部外周面に設けられた係合ピン12と、内筒7の上動によりカップ体11を下動させてかみ合い歯11aを係合ピン12に係合させるリンク機構13とからなり、車輪制動装置Bは、キャスター本体2に保持され車輪1と共に回動する歯車18と、内筒7の上動と連動して歯車18の凹凸歯18aに係合する係合爪19とにより構成する。【選択図】図3

Description

本発明は、キャリーカートや歩行器、各種台車等の車輪として用いられるキャスターに関する。特に本発明は、車輪の回動と、車輪を保持するキャスター本体の旋回とを同時に制動する制動装置を備えたキャスターに関する。
従来から、キャスターの車輪にブレーキをかける制動装置として、足踏み式のものやワイヤー牽引方式のものを含め、多種多様なものが提案されている。
しかし、車輪の回転にブレーキをかけるだけでは、車輪を保持するキャスター本体の旋回が自由であることから車体が安定せず、例えば、傾斜地等では車体が傾斜方向側に振られることがあり、安定しない。
そのため、特許文献1に示すように、ワイヤーを牽引することにより、車輪の回動と車輪を保持するキャスター本体の旋回とを同時に制動するようにした制動装置が提案されている。この制動装置によれば、ワイヤーを引くことにより、天秤のように支点を中心としてブレーキ部材が揺動し、このブレーキ部材の一端側に設けられた押圧部が車輪周面に接触すると同時に、他端側に設けられた凸部がキャスター本体に連なるディスク状の固定受部材の水平な面に接触して、車輪の回動とキャスター本体の旋回を制動するようにしている。
特開平10−138704号公報
上記の従来技術では、押圧部と凸部が共にブレーキシューの役目を果たし、相対する回動部に接触して車輪の回動とキャスター本体の旋回の制動を行うものであるから、滑らないようにするためには大きな摩擦力を必要とする。特に、キャスター本体の旋回を制動する凸部を受けるディスク状固定部材は車体と直結しているため、車体の横ブレ時等には大きな回転トルクが発生する。したがって、凸部をディスク状固定部材に面接触で押し付けるだけでは確実に旋回を止めることが困難である。
そこで本発明は、上記した従来課題に鑑み、ワイヤーの小さな索引力で車輪の回動とキャスター本体の旋回を確実に制動することができるとともに、両者の制動を効果的に行うことが可能な機構を備えたキャスターを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明のキャスターは、車体に固定される外筒と、前記外筒に規制された範囲内で上下動可能に嵌め込まれた内筒と、前記内筒に連結された牽引用のワイヤーと、前記外筒の下端に旋回可能に保持されたキャスター本体と、前記キャスター本体に回動可能に保持された車輪と、前記ワイヤーを牽引して内筒を上動させることにより前記キャスター本体の旋回を制動するキャスター本体制動装置と、前記車輪の回動を制動する車輪制動装置とを備え、前記キャスター本体制動装置は、前記外筒の外周面に上下移動可能に嵌め込まれた円筒状のカップ体と、当該カップ体の円筒下縁に形成された凹凸のかみ合い歯と、前記キャスター本体の円形となった上部外周面に設けられた係合ピンと、前記内筒の上動により前記カップ体を下動させて前記かみ合い歯を前記係合ピンに係合させるリンク機構とからなり、前記車輪制動装置は、前記キャスター本体に保持されて前記車輪と共に回動する歯車と、前記内筒の上動と連動して前記歯車の凹凸歯に係合する係合爪とからなる構成とした。
上記発明において、前記内筒と前記係合爪とは第二のワイヤーを介して連結されている構成するのがよい。
本発明のキャスターによれば、車体に取り付けたブレーキレバー等を操作してワイヤーを牽引して内筒を上動させることにより、キャスター本体制動装置によってキャスター本体の旋回を制止すると同時に、車輪制動装置によって車輪の回動を制止することができる。特に、キャスター本体制動装置ではかみ合い歯と係合ピンとの係合により、車輪制動装置では歯車と係合爪との係合により制動するものであるから、キャスター本体の旋回や車輪の回動に大きな回転トルクがあっても確実にその両方を制止することができるとともに、ワイヤーの牽引量は、かみ合い歯や係合爪をかみ合い位置に移動させるだけでよいので、小さな索引力と運動量で制動操作することができるといった効果がある。
本発明において、前記リンク機構は、前記外筒に中間点で枢支された揺動リンクと、一端が前記揺動リンクの一端に枢支され、他端が前記内筒の上方露出部分に枢支された上部リンクと、一端が前記揺動リンクに枢支され、他端が前記カップ体に枢支された下部リンクとからなる構成とするのがよい。
これにより、内筒の上方への運動を、カップ体の下方への運動に合理的に転換することができ、かみ合い歯を係合爪に確実にかみ合わせることができる。
本発明に係るキャスターの側面図。 図1に示すキャスターの正面図。 図1に示すキャスターの一部断面正面図。 図1のキャスターにおける制動装置の制動状態を示す側面図。 図1のキャスターにおける取付部材を示す斜視図。
以下、本発明のキャスターの詳細を、図1〜5に基づいて説明する。本発明のキャスターは、キャリーカートや歩行補助車、各種台車等の車輪として用いられる。
本発明のキャスターは、車輪1を備えたキャスター本体2と、このキャスター本体2にベアリング3を介して回動可能に取り付けられた上下方向に延びる外筒4とを備えている。外筒4はキャスターの実質的な支軸を形成しており、取付部材5によりキャリーカート等の車体6に固定される。取付部材5は、図5に示すように、左右に分断された半裁体で形成され、後述するカップ体11を覆い隠す覆い部5aと、外筒4の外周面にビス止めするための取付部5bと、車体6に取り付けるための取付基板5cとを備えている。
また外筒4には、規制された範囲内で上下動する内筒7が嵌め込まれており、スプリング8によって常時下方に付勢されている。内筒7の上方部分は外筒4から露出されており、その上端には牽引用のワイヤー10が連結されている。このワイヤー10は車体6に設けられたハンドルのブレーキレバー(図示外)に連結されている。また、内筒7の下端は、連結具9を介して後述する係合爪19に連なる第二のワイヤー21に接続されている。
さらに、ワイヤー10を牽引することによってキャスター本体2の旋回を制動するキャスター本体制動装置Aと車輪1の回動を制動する車輪制動装置Bとが設けられている。
キャスター本体制動装置Aは、外筒4の外周面に上下移動可能に配置された円筒状のカップ体11と、当該カップ体11の円筒部下縁に形成された凹凸のかみ合い歯11aと、キャスター本体2の円形となった上部外周面に設けられた2個の係合ピン12と、内筒7の上方への移動により、上向きの運動を下向きの運動に変換してカップ体11を下動させて、かみ合い歯11aを係合ピン12に係合させるリンク機構13とから構成される。
リンク機構13は、外筒4の左右に配置され、外筒4並びに内筒7を貫通する軸14により中間点で枢支された揺動リンク13aと、一端が揺動リンク13aの一端に枢支されるとともに他端が内筒7の上方露出部分に軸15を介して枢支された上部リンク機構13bと、一端が揺動リンク13aに枢支されるとともに他端がカップ体11に軸16を介して枢支された下部リンク機構13cとから形成されている。外筒4と内筒7を貫通する軸14は、内筒7の長孔17を挿通しており、この長孔17の範囲内で内筒7の上下動が許容されるように形成されている。本実施例では、内筒7の下動は長孔17の上端に軸14が当接することによって規制され、内筒7の上動は長孔17の下端に軸14が当接することによって規制されている。
上記のリンク機構13によって、図4に示すように、ワイヤー10の牽引力で内筒7が上動したときは、上部リンク機構13bの一端を枢支する軸15が上動してリンク機構13全体が伸張する。これにより、カップ体11が下動してかみ合い歯11aが係合ピン12に係合し、キャスター本体2の旋回を制止する。
また、車輪制動装置Bは、キャスター本体2に車輪1と同軸的に保持されて車輪1と共に回動する歯車18と、内筒7の上方への移動と連動して歯車18の凹凸歯18aに係合する係合爪19とから形成されている。係合爪19は枢軸19aにより揺動可能に支持され、一端に爪19bが設けられ、他端19c側でスプリング20により爪19bが歯車18の凹凸歯18aから常時離反した位置になるように付勢されている。さらに、係合爪19の端部19cと内筒7の下端とが第二のワイヤー21で連結されている。
これにより、図4に示すように、内筒7がワイヤー10の牽引によって上動したときには、第二のワイヤー21によって係合爪19の端部19cがスプリング20に抗して引っ張られて揺動し、爪19bが歯車18の凹凸歯18aにかみ合って車輪1の回動を制止する。
以上のように本発明のキャスターによれば、車体6に取り付けたブレーキレバー等を操作してワイヤー10を牽引して内筒7を上動させることにより、キャスター本体制動装置Aによってキャスター本体2の旋回を制止すると同時に、車輪制動装置Bによって車輪1の回動を制止することができる。特に、キャスター本体制動装置Aではかみ合い歯11aと係合ピン12との係合、また車輪制動装置Bでは歯車18と係合爪19との係合によりそれぞれ制動するものであるから、キャスター本体2の旋回や車輪1の回動に大きな回転トルクがあっても確実にその両方を制止することができる。また、ワイヤー10の牽引量は、かみ合い歯11aや係合爪19をかみ合い位置に移動させるだけでよいので、軽い索引力で制動操作することができる。また、リンク機構13によって内筒7の上方への運動をカップ体11の下方への運動に合理的に転換することができ、かみ合い歯11aを係合爪19に確実にかみ合わせることができる。
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではない。例えば、上記した実施例では、係合ピン12を2個設けたが、2個以上や1個としてもよい。また、本発明のリンク機構13は、上記の実施形態で示した機構のみに限定されるものではなく、上向きの運動を下向きの運動に変換する機構のものであればこれに代えることができる。その他本発明では、本発明の目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
本発明は、キャリーカートや歩行補助車、各種台車等の車輪として用いられるキャスターに利用される。
A キャスター本体制動装置
B 車輪制動装置
1 車輪
2 キャスター本体
3 ベアリング
4 外筒
5 取付部材
6 車体
7 内筒
10 ワイヤー
11 カップ体
11a かみ合い歯
12 係合ピン
13 リンク機構
13a 揺動リンク
13b 上部リンク機構
13c 下部リンク機構
18 歯車
18a 凹凸歯
19 係合爪
21 第二のワイヤー

Claims (3)

  1. 車体に固定される外筒と、
    前記外筒に規制された範囲内で上下動可能に嵌め込まれた内筒と、
    前記内筒に連結された牽引用のワイヤーと、
    前記外筒の下端に旋回可能に保持されたキャスター本体と、
    前記キャスター本体に回動可能に保持された車輪と、
    前記ワイヤーを牽引して内筒を上動させることにより前記キャスター本体の旋回を制動するキャスター本体制動装置と、前記車輪の回動を制動する車輪制動装置とを備え、
    前記キャスター本体制動装置は、前記外筒の外周面に上下移動可能に嵌め込まれた円筒状のカップ体と、当該カップ体の円筒部下縁に形成された凹凸のかみ合い歯と、前記キャスター本体の円形となった上部外周面に設けられた係合ピンと、前記内筒の上動により前記カップ体を下動させて前記かみ合い歯を前記係合ピンに係合させるリンク機構とからなり、
    前記車輪制動装置は、前記キャスター本体に保持されて前記車輪と共に回動する歯車と、前記内筒の上動と連動して前記歯車の凹凸歯に係合する係合爪とからなるキャスター。
  2. 前記内筒と前記係合爪とは第二のワイヤーを介して連結されている請求項1に記載のキャスター。
  3. 前記リンク機構は、前記外筒に中間点で枢支された揺動リンクと、一端が前記揺動リンクの一端に枢支され、他端が前記内筒の上方露出部分に枢支された上部リンクと、一端が前記揺動リンクに枢支され、他端が前記カップ体に枢支された下部リンクとからなる請求項1または請求項2に記載のキャスター。
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