JP2017033901A - 誘導加熱溶着装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】防水シートを固定するための長方形の固定部材に適合する誘導加熱溶着装置が要望されている。【解決手段】誘導加熱溶着装置は、長方形状の塩ビ被覆鋼板6の短辺に対応する長さの一辺を有する複数の角形コイル体40を隣接する角形コイル体40の前記一辺が平行となるように互いに間隔をあけて塩ビ被覆鋼板6の長辺に対応する長さになる個数分だけ並設した電磁加熱コイルユニット4と、電源部2からの電力を用いて角形コイル体40に交番電流を供給する給電部3と、給電部3を制御する制御ユニット5とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、建築または土木用の防水工事に用いる防水シートを施工する際に用いられる誘導加熱溶着装置に関する。
例えば、建築工事または土木工事の防水作業、例えば陸屋根等の防水工事において、アンカーボルト等で固定された多数の固定部材の上方から防水シートを覆い、固定部材の上面と防水シートとを接合することで、防水シートを固定する防水シート施工法が知られている。その際、固定部材と防水シートとの間に接着剤を注入して接合する方法は、防水シートが大きいと、手間のかかる仕事となる。
このため、固定部材を円盤状の導体とし、加熱接着性を有する樹脂でその導体の上面を被覆し、覆い張られた防水シートの上から固定部材を誘導加熱することでその防水シートを溶着固定する施工法が開発されている。特許文献1や特許文献2などから知られているように、その誘導加熱は、商用電源に接続された装置本体と、その装置本体からケーブルで接続された加熱ホルダとからなる誘導加熱装置によって行われる。加熱ホルダは、その底部に固定部材の上面よりやや大きな円形誘導加熱面を有する円筒体であり、その内部には円状に巻かれた円形加熱コイルが収納されている。
特開平10−140774号明細書 特開2003−313993号明細書
個々の固定部材と防水シートとを溶着固定する防水シート施工において、上述した誘導加熱装置を用いる施工の作業性は、固定部材と防水シートとの間に接着剤を注入する施工に比べて、改善される。しかしながら、円形加熱コイルの製造的かつ重量的な制約から、その誘導加熱面を大きくし難い。また、単一の円形加熱コイルが使用されていることから、固定部材も円盤状で形成されている。固定部材の上面全体で良好な溶融接着が達成できるように、固定部材の外径は、円形加熱コイルの誘導加熱面より小さく設計されている。つまり、防水シートと固定部材との溶着固定面は比較的小面積であることから、防水シートのしっかりした固定のためには、多くの溶着固定ポイントが必要となる。これは、誘導加熱装置を用いた防水シート施工の効率化を阻む。
このことから、例えば長方形の固定部材のように、より大きな溶着固定面を有する固定部材にも適合する誘導加熱溶着装置が要望されている。
本発明による誘導加熱溶着装置は、防水シートの固定部材としての長方形状の塩ビ被覆鋼板を電磁誘導によって加熱して、前記塩ビ被覆鋼板の上面に敷設された防水シートを前記塩ビ被覆鋼板に溶着させるように構成されている。さらに、この誘導加熱溶着装置は、電源部と、前記塩ビ被覆鋼板の短辺に対応する長さの一辺を有する複数の角形コイル体を隣接する角形コイル体の前記一辺が平行となるように互いに間隔をあけて前記塩ビ被覆鋼板の長辺に対応する長さになる個数分だけ並設した電磁加熱コイルユニットと、前記電源部からの電力を用いて前記角形コイル体に交番電流を供給する給電部と、前記給電部を制御する制御ユニットとを備えている。
本願発明者による実験と知見に基づき、長方形状に延びた塩ビ被覆鋼板に対する誘導電流による加熱が塩ビ被覆鋼板全面にわたってできるだけ一様に行われるように、巻き形が四角形である角形コイル体が、塩ビ被覆鋼板の長さをカバーするように所定の間隔をとって複数個並べられている。その際、電磁加熱コイルユニットを構成する角形コイル体は、その一辺が塩ビ被覆鋼板の短辺に平行となるように配置される。当該一辺の長さは、塩ビ被覆鋼板の短辺に等しいか、あるいはわずかに大きい。この構成により、塩ビ被覆鋼板の角形コイル体の下方に位置する領域における誘導加熱による加熱温度分布は防水シートの溶着固定に支障のない程度に一様化される。また、隣接する角形コイル体の互いの一辺を接触または密接させると、塩ビ被覆鋼板の当該一辺の下方に位置する領域が他の領域に比べて強く加熱されるという不都合を避けるため、隣接する角形コイル体の互いの一辺の間は明白に隙間が空けられている。これにより、長方形固定部材である塩ビ被覆鋼板を採用しても、本発明による誘導加熱溶着装置を用いることで、長方形の塩ビ被覆鋼板と防水シートとの間の一様な仕上がり品質を示す溶着固定が、一回の誘導加熱作業で実現する。
複数の角形コイル体の互いの一辺を隣接させて並設する構成において、互いの一辺を流れる交番電流の向きが逆の場合、励磁による磁束の方向が互いに打ち消すように働くので、加熱効果が悪くなる。これに反して、互いの一辺を流れる交番電流の向きが同一の場合、励磁による磁束の方向が互いに強め合うように働くので、加熱効果が高まり、互いの隙間をより長くすることができ、電磁加熱コイルユニットの長手方向(角形コイル体の並び方向)の加熱効率が高まる。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、隣接する前記角形コイル体の互いに向き合った前記一辺には同方向の交番電流が流れるように前記複数の角形コイル体が接続されている。
角形コイル体の内側領域に対応する塩ビ被覆鋼板の領域での加熱温度分布を一様化するために、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記角形コイル体は正方形巻きコイルで構成される。
さらに、塩ビ被覆鋼板全体における加熱温度分布を一様化するためには、隣接する前記角形コイル体の間隔が重要となる。これは、隣接する角形コイル体の向き合う一辺が近づき過ぎると局部的に突出した加熱過剰が生じ、離れ過ぎると局部的な加熱不足が生じるからである。良好な溶着固定を得るための好適な実施形態の1つでは、本願発明者の知見及び実験に基づき、前記塩ビ被覆鋼板において、隣接する前記角形コイル体の間の下方に位置する領域の最低加熱温度が、当該領域の最高加熱温度の1/2以上となるように、当該隣接する前記角形コイル体の間隔が設定される。より具体的には、5cm幅で2m長さの前記塩ビ被覆鋼板に適用する前記電磁加熱コイルユニットでは、外形の一辺が5cmの正方形巻きコイルを12mmから14mmの間隔をあけて3つ並設することが提案される。
長方形の塩ビ被覆鋼板を適正な加熱温度になるように誘導加熱するためには、その加熱を加熱時間だけで制御するのではなく、塩ビ被覆鋼板の加熱状況に応じた加熱を行うことの好適である。このため本発明の好適な実施形態の1つでは、前記防水シートの表面温度を測定して温度検出信号を出力する温度検出ユニットが備えられ、前記制御ユニットには、前記温度検出信号に基づいて前記角形コイル体による誘導加熱の強度及び時間を含む加熱挙動を算定する加熱挙動算定部と、前記加熱挙動に基づいて前記角形コイル体による電磁誘導加熱を制御する加熱制御部とが備えられている。この構成では、誘導加熱された塩ビ被覆鋼板の温度を伝える防水シートの表面に対する温度検出信号に基づいて、誘導加熱の時間だけでなくその強度も算定し、誘導加熱の時間と強度とによって規定される加熱挙動を制御することで、より良好な加熱温度、結果的には、良好な融着固定が実現する。
本発明による誘導加熱溶着装置の電磁加熱コイルユニットの基本構造を示す斜視図である。 隣接する角形コイル体の間に位置する誘導加熱領域における加熱強度を模式的に示す説明図である。 本発明による誘導加熱溶着装置の1つの実施形態を示す模式的側面断面図である。 電磁加熱コイルユニットの角形コイル体を流れる交番電流の方向を示す模式図である。 スラブに固定された塩ビ被覆鋼板を示す断面図である。 別実施形態の制御系を示す機能ブロック図である。 従来に行われていた防水シート施工の一例を示す説明図である。 本発明による誘導加熱溶着装置を用いた、防水シート施工の一例を示す説明図である
本発明による誘導加熱溶着装置の具体的な実施形態を説明する前に、図1を用いて、本発明を特徴付けている、電磁加熱コイルユニットの基本構造を説明する。ここでは、誘導加熱溶着装置は、電源部2と給電部3と制御ユニット5とを備えた本体部1と、高さが幅や長さに比べて小さい横直方体状の電磁加熱コイルユニット4とからなる。電磁加熱コイルユニット4は本体部1の下部に配置されている。給電部3はインバータなどの電力変換機能を有し、電源部2からの電力を用いて電磁加熱コイルユニット4に必要な交番電流を供給する。電源部2は、充電可能なバッテリ、あるいは、直接商用電源と接続するアダプタ、またはその両方として構成される。制御ユニット5は電源部2及び給電部3の電力制御を行う。
この誘導加熱溶着装置の加熱対象となるのは、長方形状の塩ビ被覆鋼板6である。塩ビ被覆鋼板6は、接着層として機能する塩ビ層によってその表面を巻き込むように被覆され、鋼板に設けられた貫通孔を通じて、屋根下地等にアンカーボルトなどで固定されている。固定された複数の塩ビ被覆鋼板の上面に防水シート7が覆いかぶされた後に、塩ビ被覆鋼板6の真上に位置する防水シート7の上から誘導加熱溶着装置を当て、塩ビ被覆鋼板6を誘導加熱して塩ビ層を溶かすことで、塩ビ被覆鋼板6に防水シート7を溶着固定する。
電磁加熱コイルユニット4は、図1の例では、塩ビ被覆鋼板6の長さに合うように、3つの角形コイル体40を備えている。この角形コイル体40では、電線が巻き中心から外側に四角形、詳しくは、略正方形に巻き回されている。角形コイル体40の一辺40aは、長方形の塩ビ被覆鋼板6の短辺に対応する長さ、詳しくは短辺と同じ長さかまたは短辺よりわずかに(数ミリ)短い。3つの角形コイル体40は、隣接する角形コイル体40の対応する一辺40a同士が平行となるように互いに間隔をあけて配置されている。角形コイル体40の一辺40aに直交する他辺40bの長さは、他の角形コイル体40の他辺40bの長さとそれらの間の間隔との合計が、誘導加熱の対象となる塩ビ被覆鋼板6の長辺に対応する長さとなるように設定されている。言い換えると、互いに間隔をあけて並べられた3つの角形コイル体40の全体長さは、塩ビ被覆鋼板6の長辺に対応している。
3つの角形コイル体40は直列に接続されており、給電部3から給電される。その際、3つの角形コイル体40は、各角形コイル体40の互いに向き合った一辺40aには同方向に交番電流が流れるように接続されている。図1において、交番電流の流れとその方向は、太実線と矢印で示されている。
3つの角形コイル体40を直線状に並べて構成された電磁加熱コイルユニット4の重要な課題は、塩ビ被覆鋼板6の全体を出来る限り一様に誘導加熱することである。角形コイル体40の最外周のコイル線から外側に離れるほど、磁束密度は急激に減少する。しかしながら、2つの角形コイル体40が隣接している場合、その間隔が小さくなると、隣接する角形コイル体40の両方の一辺40aからの磁束が重なり合う領域での磁束密度が大きくなり、過剰加熱が発生する可能性もある。図2には、隣接する角形コイル体40同士の隙間の下方に位置する被加熱体において、それぞれの角形コイル体40の磁束によって生じる誘導加熱温度が間隔中心からの距離による変化(加熱温度曲線)が模式的に示されている。図2の上段に、隣接する状態の2つの角形コイル体40の断面模式図が示されている。図2の上段では、2つのコイル体40(符号AとBとが付記されている)の間隔中心からコイル体A(隣接する角形コイル体40の一方)の最外周のコイル線中心までの距離を−dで、間隔中心からコイルB(隣接する角形コイル体40の他方)の最外周のコイル線中心までの距離を+dで示され、その間隔はほぼ2dとなる。隣接する角形コイル体40の間隔は、塩ビ被覆鋼板6と防水シート7との間の加熱不足による接着不良及び過剰加熱によるこげ付きを抑制できるように設定されている。つまり、2dだけ離れた角形コイル体40の間の下方に位置する塩ビ被覆鋼板6の加熱温度分布における最高加熱温度と最低加熱温度との差を出来るだけ小さくすることが重要である。図2の中段に模式的に示されているように、角形コイル体40の端部から外方に離れるほど加熱強度が低下する。但し、図2の下段に模式的に示されているように、隣接する2つの角形コイル体40が作用するので、その間隔:2dを適切に設定することで、その間隔の中央(図中0で示されている)においても加熱強度の極端な低下が避けられる。このことから、隣接する角形コイル体の間隔:2dが、塩ビ被覆鋼板6のうち、隣接する角形コイル体40の間の下方に位置する領域の最低加熱温度が最高加熱温度の1/2以上となるように、設定されることが好適実施形態として提案される。なお、図2の中段では、コイルAのみによる加熱温度曲線が太実線で示されるとともに、コイルBのみによる加熱温度曲線が太点線で示されており、図2の下段では、コイルAとコイルBによるトータルの加熱温度曲線が太実線で示されている。
次に、図面を用いて、本発明による誘導加熱溶着装置の具体的な実施形態の1つを説明する。図3は誘導加熱溶着装置の模式的な側面図であり、図4は角形コイル体40における交番電流の流れを説明する説明図である。
この実施形態における誘導加熱溶着装置は携帯可能に構成されており、その本体部1は、上面にアーチ状のグリップ11が設けられた筒状のハウジング10を備えており、このハウジング10内に電源部2として機能するバッテリ2、給電部3、制御ユニット5が収容されている。本体部1の下面に電磁加熱コイルユニット4が設けられている。
バッテリ2は、充電タイプであり、コネクタ21を介して電源アダプタ20と接続することで充電可能である。電源アダプタ20には、100vないしは200vの商用電源に接続可能なプラグ22が設けられている。また、バッテリ2が非搭載の場合、ないしはバッテリの充電不足の場合、この誘導加熱溶着装置は電源アダプタ20を用いて商用電源から直接駆動可能である。
給電部3は、バッテリ2からの直流電流を高周波電流に変換するインバータ回路などのパワーエレクトロニクス回路を備えている。給電部3で生成された交番電流である高周波電流が電磁加熱コイルユニット4の角形コイル体40に供給されることで、電磁加熱コイルユニット4の下方に位置する加熱対象物が電磁加熱される。給電部3は制御ユニット5によって制御される。
電磁加熱コイルユニット4は、平面視で長方形状であり、この誘導加熱溶着装置の誘導加熱対象である塩ビ被覆鋼板6にほぼ一致する大きさを有する。電磁加熱コイルユニット4は、上ケース4aと、下ケース4bと、上ケース4aと下ケース4bとによって作り出される平面視で長方形の空間に収納される3つの角形コイル体40からなる。下ケース4bは、上ケース4aに対して取り外し可能に嵌め込まれるパッドとして形成されており、防水シート7の表面に対して柔軟に接触する樹脂材料から作られている。
3つの角形コイル体40の構成は、図1と図2とを用いて説明した基本原理を採用している。つまり、図4に示すように、3つの角形コイル体40は、巻き中心から外側に、実質的に正方形で巻き回されており、隣接する角形コイル体40の一辺が平行となるように直線状に並設されている。図5に示すように、この実施例形態での塩ビ被覆鋼板6は、塩ビ被膜された長方形の鋼板であり、長さが約200mmで、横幅が約50mmである。塩ビ被覆鋼板6の全体にわたって出来るだけ一様に加熱するため、角形コイル体40の一辺は約50mmであり、間隔をあけて並んだ3つの角形コイル体40の長さ、つまり電磁加熱コイルユニット4の長さは、2000mmである。したがって、隣接する角形コイル体40の間隔は、12mmから14mm程度となっている。
図5は、建物のスラブに防水シート7を敷設する際の断面図である。このスラブは、屋上部分のスラブを想定している。しかしながら、鉄筋コンクリート構造のスラブの他、ALCパネルを敷き並べて形成したスラブや、デッキプレートや金属折板とコンクリートを組み合わせて形成したスラブや、さらには、それらの上に断熱層を積層させたもの等、様々な形態のスラブに、本発明は適用可能である。塩ビ被覆鋼板6は、溶融して接着性を発揮する塩ビ等の熱可塑性合成樹脂からなる面状のホットメルト接着層(以下単に塩ビ層と略称する)60を被覆した帯状の鋼板である。塩ビ被覆鋼板6には、少なくともその両端領域にねじヘッドを落とし込む座繰り凹部を有する貫通孔61が形成されている。塩ビ被覆鋼板6は、スラブに、縦横に所定の間隔を開けた状態で配置されている。図5の例では、塩ビ被覆鋼板6は、アンカーボルトユニット9によってスラブの表面に固定されている。塩ビ被覆鋼板6は、スラブに固定された状態において、その塩ビ層60が上方に露出している。
防水シート7は、例えば、PVCシートによって構成され、工場で所定幅寸法の長尺体防水シートを巻き取ってロール体を形成しておき、そのロール体を現場で広げながら配置し、隣接する各防水シート7の側縁部同士を接着することで大面積の防水シートを作り出すことができる。なお、防水シート7は、PVC以外にも、ゴムやTPE(サーモ・プラスチック・エラストマ)製のシート、または、その他の素材からなるものであってもよい。
スラブへの防水シート7の固定は、まず多数の塩ビ被覆鋼板6の上に防水シート7を被せる。次いで、防水シート7の上方から、電磁加熱コイルユニット4の下面が塩ビ被覆鋼板6の真上となるように誘導加熱溶着装置をセットし、塩ビ被覆鋼板6に対して誘導加熱を行う。塩ビ被覆鋼板6の鋼板を加熱することによって、塩ビ層60が溶融し、塩ビ被覆鋼板6の上面である塩ビ層60と防水シート7の下面とが溶着する。その後溶着箇所を冷却しながら加圧することで、塩ビ被覆鋼板6と防水シート7とが結合され、結果的には防水シート7がスラブに固定される。
次に図6を用いて、別実施形態として、より高度な誘導加熱制御機能を備えた誘導加熱溶着装置を説明する。図6に示すように、この誘導加熱溶着装置の制御ユニット5は、本発明に関係する機能部として、検出信号評価部51、加熱挙動算定部52、加熱制御部53を備えている。これらの機能は、実質的にはプログラムの起動によって実現する。また、制御ユニット5には、入出力インターフェース50を介して種々の外部機器と接続されている。外部機器としては報知部57、温度検出ユニット80、センサ・スイッチ群8が接続されている。さらに、制御ユニット5は、バッテリ2に内蔵されているコントローラや給電部3に対して制御信号等の信号を伝達可能に接続されている。
温度検出ユニット80は、この実施形態では、防水シート7の表面温度を検出する表面温度検出器801と防水シート7周辺の環境温度を検出する環境温度検出器802とを含んでおり、これらの温度検出信号は制御ユニット5に送られる。表面温度検出器801と環境温度検出器802とは、本体部1に装備されている。センサ・スイッチ群8は、この誘導加熱溶着装置に組み込まれているセンサやスイッチの総称であるが、本発明に特に関係するものとして、操作スイッチ81、位置検出センサ82が挙げられる。操作スイッチ81は、本体部1のグリップ11周辺に設けられ、誘導加熱の始動機能を有する。位置検出センサ82は、角形コイル体40の誘導加熱有効範囲に塩ビ被覆鋼板6が正確に位置しているかどうかを検出するものであり、例えば、塩ビ被覆鋼板6を検出する、好ましくは3つ以上の磁気センサで構成することができる。
制御ユニット5の検出信号評価部51は、センサ・スイッチ群8、温度検出ユニット80から入力された信号を評価して、その評価信号を必要とする機能部に送り出す。例えば、温度検出信号は温度検出信号として加熱挙動算定部52や加熱制御部53に送られる。位置検出センサ82からの信号は、設定されている基準範囲と比較され、基準範囲から外れている場合は、報知部57を通じて視覚的警報や聴覚的警報が与えられる。
加熱挙動算定部52は、加熱時間算定部521と加熱強度算定部522と挙動導出テーブル523を含んでいる。加熱時間算定部521は、防水シート7の表面温度と環境温度との情報を含む温度検出信号から挙動導出テーブル523を用いて加熱時間を算定する。加熱強度算定部522は、温度検出信号から挙動導出テーブル523を用いて加熱強度を算定する。その際、加熱時間を単位時間に区切って、その単位時間毎に加熱強度を算定すれば、経時的な加熱強度制御曲線が得られる。この加熱強度制御曲線に基づく加熱制御指令は加熱制御部53に転送される。加熱制御部53は、受け取った加熱制御指令に基づいて、制御信号を給電部3に与える。給電部3は、受け取った制御信号に基づいて、塩ビ被覆鋼板6ができるだけ一様な温度で加熱されるようにパワーエレクトロ回路(インバータ回路や昇圧回路など)を継時的に制御する。
実際の防水シート施工時では、操作者が、電磁加熱コイルユニット4の下面が塩ビ被覆鋼板6の真上に位置するように誘導加熱溶着装置を防水シート7の上面にセットし、操作スイッチ81を操作することで誘導加熱処理がスタートする。まず、温度検出ユニット80から送られてくる温度検出信号に基づいて、制御ユニット5に構築されている加熱挙動算定部52が加熱時間と加熱強度とからなる加熱挙動を算定し、同様に制御ユニット5に構築されている加熱制御部53に与える。加熱制御部53は、与えられた加熱挙動に基づいて電磁加熱コイルユニット4による電磁誘導加熱が実現すべく給電部3を制御する。このような誘導加熱制御を実現するため、加熱挙動算定部52と加熱制御部53とによって、時間経過とともに変化する誘導加熱の強度を調節する機能が構築されている。具体的には、時間経過とともに変化する誘導加熱の強度を温度検出信号から導出するテーブルが設定されている。このテーブルを用いることにより、例えば、加熱当初は、加熱対象物の温度が低いので、大きな加熱強度を適用し、所定時間経過後に加熱強度を一定値または徐々に下げることが実現する。その結果、良好な溶着固定が得られる。
本発明による誘導加熱溶着装置を用いることで、防水シート7の施工に、以下に説明するような利点が得られることが判明した。
図7には、従来一般的に用いられていた、長方形状の鋼板6Aを用いた防水シート7の施工状況が模式的に示されている。防水シート7は長尺シートであるので、隣接する防水シート7の側縁部をわずかに重ね合わせ、接着剤600を用いて接合しながら、順次敷設していく。予め、隣接する防水シート7の重ね合わせ部分の下側の位置に鋼板6Aが屋上スラブに固定されている。その接合作業では、まず、一方の防水シート7の側縁部が鋼板6Aの上面からめくり上げられ、接着剤600が鋼板6Aとの隙間から注入され鋼板6Aの上面に接合される。次いで、他方の防水シート7の側縁部が一方の防水シート7の上面からめくり上げられ、接着剤600が鋼板6Aとの隙間から注入され、一方の防水シート7の側縁部の上面に接合される。その結果、隣接する防水シート7同士の接続と、防水シート7と鋼板6Aとの接合が完了する。この場合、図7からも明らかなように、この接合部のスラブ面からの高さ:hは、鋼板6Aの厚さと2枚分の防水シート7の厚さとの足し合わせであり、それ以外の部分に比べ高くなっている。このため、各防水シート7の中央部に長手方向に沿って雨水の流れ路が作り出される(図7では太い矢印線で流れ方向が示されている)。つまり、隣接する防水シート7の接合部が鋼板6Aとともに堤防の役目をするので、雨水は防水シート7の長手方向に沿ってしか流れなくなる。このことは、防水シート7の敷設方向は、スラブ面に形成されている雨水の流れ勾配に合わせるほかないという問題を引き起こす。例えば、風などその他の要因を考慮した防水シート7の敷設方向は困難となる。
この問題は、本発明による誘導加熱溶着装置を用いることで、実質的に解決可能である。図8には、本発明による誘導加熱溶着装置と、長方形状の塩ビ被覆鋼板6を用いた防水シート7の施工状況が模式的に示されている。誘導加熱溶着装置と塩ビ被覆鋼板6とを用いることで、防水シート7のどの位置においても防水シート7と塩ビ被覆鋼板6とを接合することができる。従って、図7で示されたような、接合部のスラブ面からの高さ:hは、わずかな領域に限定することができるし、場合によってはまったく存在しないようにすることも可能である。図8に示されているように、本発明による誘導加熱溶着装置を用いた場合、接合部のスラブ面からの高さは、隣接する2枚の防水シート7の厚さに相当する高さ:Ha、あるいは、塩ビ被覆鋼板6の厚さと1枚の防水シート7の厚さの足し合わせた高さ:Hbである。これらの高さ:Ha、Hbは、上述した高さ:hより低くなる。このことから、本発明による誘導加熱溶着装置と塩ビ被覆鋼板6を用いた防水シート7の施工では、雨水は防水シート7の種々の方向に流れることができ(図8でも太い矢印線で流れ方向が示されている)、図7で示した従来施工で生じていた長手方向に沿ってしか流れなくなるという問題は軽減される。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、角形コイル体40は、巻き形状が正方形であったが、長方形であってもよい。また、それぞれの場合においてそのコーナが面取りされたような形状も、本発明に含まれるものである。
(2)上述した実施形態では、角形コイル体40の数は3つであったが、2つあるいは3つ以上であってもよい。塩ビ被覆鋼板6の長さに対応して、角形コイル体40の数は決定される。
(3)上述した実施形態では、角形コイル体40は、1列に並んでいたが、塩ビ被覆鋼板6の横幅が大きい場合には、2列以上を採用してもよい。この列数は、塩ビ被覆鋼板6の横幅に対応して、決定される。
(4)電磁加熱コイルユニット4は本体部1に対して交換可能に構成してもよい。この構成により、本体部1を共通させて、種々の大きさの塩ビ被覆鋼板6に合わせて準備された電磁加熱コイルユニット4を最適なものに交換することができる。
本発明は、磁気誘導加熱を利用して塩ビ被覆鋼板と防水シートとを結合させる携帯用加熱装置に適用可能である。
1 :本体部
2 :電源部(バッテリ)
20 :電源アダプタ
21 :コネクタ
3 :給電部
4 :電磁加熱コイルユニット
4a :上ケース
4b :下ケース
40 :角形コイル体
40a :一辺
40b :他辺
5 :制御ユニット
6 :塩ビ被覆鋼板
60 :塩ビ層
7 :防水シート
8 :スイッチ群
9 :アンカーボルトユニット

Claims (6)

  1. 長方形状の塩ビ被覆鋼板を電磁誘導によって加熱して、前記塩ビ被覆鋼板の上面に敷設された防水シートを前記塩ビ被覆鋼板に溶着させる誘導加熱溶着装置であって、
    電源部と、
    前記塩ビ被覆鋼板の短辺に対応する長さの一辺を有する複数の角形コイル体を隣接する角形コイル体の前記一辺が平行となるように互いに間隔をあけて前記塩ビ被覆鋼板の長辺に対応する長さになる個数分だけ並設した電磁加熱コイルユニットと、
    前記電源部からの電力を用いて前記角形コイル体に交番電流を供給する給電部と、
    前記給電部を制御する制御ユニットと、
    を備えた誘導加熱溶着装置。
  2. 隣接する前記角形コイル体の互いに向き合った前記一辺には同方向の交番電流が流れるように前記複数の角形コイル体が接続されている請求項1に記載の誘導加熱溶着装置。
  3. 前記角形コイル体は正方形巻きコイルである請求項1または2に記載の誘導加熱溶着装置。
  4. 前記塩ビ被覆鋼板において、隣接する前記角形コイル体の間の下方に位置する領域の最低加熱温度が当該領域の最高加熱温度の1/2以上となるように、当該隣接する前記角形コイル体の間隔が設定されている請求項1から3のいずれか一項に記載の誘導加熱溶着装置。
  5. 5cm幅で2m長さの前記塩ビ被覆鋼板に適用する前記電磁加熱コイルユニットでは、外形の一辺が5cmの正方形巻きコイルが12mmから14mmの間隔をあけて3つ並設されている請求項1から4のいずれか一項に記載の誘導加熱溶着装置。
  6. 前記防水シートの表面温度を測定して温度検出信号を出力する温度検出ユニットが備えられ、
    前記制御ユニットには、前記温度検出信号に基づいて前記角形コイル体による誘導加熱の強度及び時間を含む加熱挙動を算定する加熱挙動算定部と、前記加熱挙動に基づいて前記角形コイル体による電磁誘導加熱を制御する加熱制御部とが備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載の誘導加熱溶着装置。
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