JP2017031878A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過給圧の上昇によりパージ流量を増加させつつ、これに伴う出力トルクの上昇を抑制する。【解決手段】ターボ過給機40と、蒸発燃料を回収するキャニスタ61と、キャニスタ61と吸気通路10のうちターボ過給機40のコンプレッサ41の上流側とを接続するパージ通路62と、吸気通路10におけるコンプレッサ41の下流側からコンプレッサ41の上流側に吸気を還流させ、パージ通路62を介した吸気通路10へのパージガスの供給を還流される吸気によって促進するエジェクタ67とを備えたエンジン100のECU70に関する。ECU70は、パージ通路62を通過するパージガスの流量を増加させる必要があるか否かをエンジン100の運転条件に基づいて判定する増量要求部74と、過給圧の上昇によりパージガスの流量を増加させる増量実行部75と、過給圧の上昇に伴う出力トルクの上昇を抑制する出力調整部76とを備える。【選択図】図4

Description

ここに開示する技術は、ターボ過給機を備えたエンジンの制御装置に関する。
従来より、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を回収するキャニスタと、吸気通路とキャニスタとを接続するパージ通路とを備え、燃料タンク内で発生した蒸発燃料をパージガスとして吸気系に供給するエンジンが知られている。この種のエンジンにおいては、パージ通路を途中で分岐させる構成が知られている。
例えば、特許文献1には、吸気通路のうちコンプレッサ上流側に接続される第1分岐通路と、コンプレッサ下流側(例えば、サージタンク等)に接続される第2分岐通路とにパージ通路を分岐させる構成が開示されている。この第1分岐通路の下流端は、エジェクタを介してコンプレッサの上流側部分に接続されている。エジェクタは、コンプレッサの下流側部分から上流側部分に吸気を還流させて、この還流された吸気によってパージガスの供給を促進するように構成されている。吸気が過給されている場合には、第2分岐通路を介してパージガスを吸気通路に供給することができないので、エジェクタ効果により発生させた負圧によって、第1分岐通路を介してパージガスを吸気通路に供給する。一方、吸気が過給されていない場合には、第2分岐通路を介してパージガスを供給する。
特開2013−174142号公報
ところで、パージ通路を通過するパージガスの流量(以下、「パージ流量」と称する場合がある)をエンジンの運転条件に応じて増加させたい、という要求がある。例えば、車両が高地を走行しているときや、燃料タンク内が高温のときには、燃料が揮発しやすくなるので、キャニスタにトラップされた蒸発燃料が飽和状態となってオーバーフローする恐れがあるため、パージ流量を十分に確保することが求められる。
そこで、過給時におけるパージガスの供給はエジェクタ効果により発生させた負圧を利用していることと、その負圧の大きさは過給圧の上昇に伴い大きくなることとに着目して、パージ流量を増加させるべく過給圧を上昇させることが考えられる。しかしながら、パージ流量を増加させようとして過給圧を上昇させると、エンジンの出力トルクが上昇してしまう。
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、過給圧の上昇によりパージ流量を増加させつつ、これに伴う出力トルクの上昇を抑制することにある。
ここに開示された技術は、ターボ過給機と、燃料タンクの蒸発燃料を回収するキャニスタと、前記キャニスタと吸気通路のうち前記ターボ過給機のコンプレッサの上流側とを接続するパージ通路と、前記吸気通路における前記コンプレッサの下流側から前記コンプレッサの上流側に吸気を還流させ、前記パージ通路を介した前記吸気通路へのパージガスの供給を還流される吸気によって促進するエジェクタとを備えたエンジンの制御装置であって、前記パージガスの流量の増加が必要か否かを前記エンジンの運転条件に基づいて判定する増量要求部と、前記増量要求部により前記パージガスの流量の増加が必要と判定されたときに、前記パージガスの流量を増加させるパージ増量制御を実行する増量実行部と、前記エンジンの出力トルクを調整する出力調整部とを備え、前記増量実行部は、前記パージ増量制御において、前記ターボ過給機の過給圧を前記パージ増量制御が実行される前よりも上昇させることによって、前記パージガスの流量を増加させ、前記出力調整部は、前記パージ増量制御において、前記増量実行部による過給圧の上昇に伴う前記エンジンの出力トルクの上昇を抑制する。
一般的には、過給圧を上昇させると、コンプレッサの下流側と上流側との間の差圧が増大して、エジェクタを介した吸気の還流が促進される。吸気の還流が促進されると、それに応じて、前記パージ通路を介したパージガスの供給が促進されて、前記パージ流量が増加することになる。その一方で、過給圧の上昇に伴って、気筒内に導入される吸気量(以下、「充填量」と称する場合がある)の増加、ひいては出力トルクの上昇が起こり得る。
この構成によれば、前記制御装置は、過給圧を上昇させることによってパージ流量を増加させると共に、過給圧の上昇に伴う出力トルクの上昇を抑制する。これにより、出力トルクの過度の上昇を抑制しつつ、パージ流量を増加させることができる。
また、前記出力調整部は、前記吸気通路に設けられたスロットルバルブのバルブ開度を閉弁側に変更することによって、前記増量実行部による過給圧の上昇に伴う前記エンジンの出力トルクの上昇を抑制してもよい。
この構成によれば、前記出力調整部は、パージ増量制御において、スロットルバルブのバルブ開度を絞ることによって充填量を減少させる。つまり、過給圧の上昇に伴う出力トルクの上昇を充填量の調整により抑制することができる。
また、吸気バルブの開閉時期の調整によって充填量を調整したり、点火タイミングを通常より遅角させる所謂、点火リタードによって出力トルクを調整したりするのではなく、スロットルバルブを介して充填量を調整することで、次のような利点が得られる。つまり、吸気バルブの開閉時期の調整や点火タイミングの制御は、エンジンの運転に関する種々の制御に用いられるため、スロットルバルブを介して出力トルクを抑制することで、吸気バルブの開閉時期の調整や点火タイミングの制御を別の制御に使用することができる。そのことで、エンジンの制御性を高める上で有利になる。なお、この説明は、吸気バルブの開閉時期の調整や、点火リタードの実行等により出力トルクの上昇を抑制する構成を排除することを意図するものではない。また、スロットルバルブを閉じることにより、吸気バルブの開閉時期の調整により出力トルクの抑制を行う場合と比べて、過給圧が上昇しやすくなるため、パージ流量を速やかに増加させることが可能となる。また、点火リタードによって出力トルクを調整する場合と比べて、燃費が良くなる。
また、前記増量要求部は、外気圧が所定の基準圧力よりも大きいときに、前記パージガスの流量の増加が必要であると判定してもよい。
一般的には、外気圧に応じて、燃料の揮発しやすさは変化する。例えば高地のように外気圧が低い環境では、低地よりも燃料は揮発しやすくなる。
この構成によれば、前記増量要求部は、パージ流量の増加の要否を外気圧に基づいて判定することによって、パージ流量を増加させるべきときを的確に判断することができる。そのことで、パージ増量制御をより適切なタイミングで行うことができるようになって、ひいては、過給圧の上昇によって出力トルクが上昇し得る機会を減らす上で有利になる。
また、前記増量要求部は、前記燃料タンク内の温度、又は、該燃料タンク内の温度に関連する温度が所定の基準温度よりも大きいときに、前記パージガスの流量の増加が必要であると判定してもよい。
ここで、「燃料タンク内の温度に関連する温度」とは、燃料タンク内の温度を間接的に検知可能な温度を意味しており、例えば、外気温度や、吸気通路におけるコンプレッサ上流側部分を流れる吸気の温度等を含む。
一般的には、燃料タンク内の温度に応じて、燃料の揮発しやすさは変化する。例えば燃料タンク内が高温のときには、低温時よりも燃料は揮発しやすくなる。
この構成によれば、前記増量要求部は、パージ流量の増加の要否を燃料タンク内の温度、又は、燃料タンク内の温度に関連する温度に基づいて判定することによって、パージ流量を増加させるべきときを的確に判断することができる。そのことで、パージ増量制御をより適切なタイミングで行うことができるようになって、ひいては、過給圧の上昇によって出力トルクが上昇し得る機会を減らす上で有利になる。
また、前記ターボ過給機のタービンを迂回させるバイパス通路と、前記バイパス通路を流れる排気の流量を制御するウェイストゲートバルブと、前記エンジンの運転状態に基づいて取得される前記エンジンの目標出力トルクを実現するために必要となる、前記ターボ過給機の目標過給圧を設定する目標過給圧設定部と、前記目標過給圧を実現するために必要となる目標ウェイストゲートバルブ開度を設定すると共に、前記目標ウェイストゲートバルブ開度を実現するように、前記ウェイストゲートバルブのバルブ開度を制御するウェイストゲートバルブ制御部とを備え、前記増量実行部は、前記パージ増量制御においては、前記目標過給圧設定部により設定された前記目標過給圧以上の過給圧を目標値として設定することによって、過給圧を上昇させてもよい。
前記エンジンの制御装置によれば、出力トルクの過度の上昇を抑制しつつ、パージ流量を増加させることができる。
図1は、エンジンの概略構成図である。 図2は、ECUの機能構成図である。 図3は、トルクベース制御に係る処理のフローチャートである。 図4は、パージ増量制御に係る処理のフローチャートである。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈エンジンの構成〉
図1は、実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンの概略構成図である。
図1に示すように、エンジン100(例えばガソリンエンジン)は、主に、外部から導入された吸気(空気)が通過する吸気通路10と、吸気通路10に接続された複数の気筒(1つのみ図示)21各々の内部で、吸気通路10から供給された吸気と後述する燃料噴射弁23から供給された燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生するエンジン本体20と、このエンジン本体20内の燃焼により発生した排気を排出する排気通路30と、排気のエネルギを利用して吸気を過給するターボ過給機40と、燃料タンク50と、燃料タンク50内で発生した蒸発燃料を吸気通路10へ供給するパージシステム60と、エンジン100全体を制御するECU(Electronic Control Unit)70とを有する。
吸気通路10には、上流側から順に、外部から導入された吸気を浄化するエアクリーナ11と、通過する吸気を昇圧させる、ターボ過給機40のコンプレッサ41と、通過する吸気を冷却するインタークーラ12と、通過する吸気量を調整するスロットルバルブ13と、エンジン本体20に供給する吸気を一次的に蓄えるサージタンク14aを有する吸気マニホールド14とが設けられている。
エンジン本体20は、主に、吸気ポートを開閉する吸気バルブ22と、気筒21内に燃料を噴射する燃料噴射弁23と、気筒21内に供給された吸気と燃料との混合気に点火する点火プラグ24と、気筒21内での混合気の燃焼により往復運動するピストン27と、ピストン27の往復運動により回転されるクランクシャフト28と、排気ポートを開閉する排気バルブ29とを有する。
排気通路30には、上流側から順に、通過する排気によって回転させられ、この回転によってコンプレッサ41を回転駆動する、ターボ過給機のタービン42と、例えばNOx触媒や三元触媒や酸化触媒などの、排気の浄化機能を有する排気浄化触媒31とが設けられている。
また、排気通路30には、排気にターボ過給機40のタービン42を迂回させるバイパス通路32が設けられている。このバイパス通路32には、バイパス通路32を流れる排気の流量を制御するウェイストゲートバルブ(WGバルブ)33が設けられている。
パージシステム60は、燃料タンク50内で発生した蒸発燃料を吸着して貯蔵するキャニスタ61、キャニスタ61と吸気通路10とを接続し、キャニスタ61から蒸発燃料を含むパージガスを吸気通路10に導くパージ通路62と、パージ通路62に設けられたパージバルブ66とを有している。
キャニスタ61には、燃料蒸気を脱離可能に吸着する活性炭が収容されている。キャニスタ61には、燃料タンク50内の燃料蒸気を導入する燃料蒸気管61a、キャニスタ61を大気に開放する大気開放管61b、及びパージ通路62が接続されている。大気開放管61bには、図示は省略するが、キャニスタ61に流入する空気を濾過するエアフィルタ及び大気開放管61bを開閉するバルブが設けられている。バルブは、蒸発燃料がパージされるとき開とされる。
パージ通路62の上流側の部分は、1本の通路で形成され、キャニスタ61に接続されている。一方、パージ通路62の下流側の部分は、2本の通路に分岐して、吸気通路10の2箇所に接続されている。
詳しくは、パージ通路62は、上流側の共通通路63と、下流側の第1分岐通路64及び第2分岐通路65とを有する。共通通路63の上流端は、キャニスタ61に接続されている。共通通路63の下流端に、第1分岐通路64の上流端と第2分岐通路65の上流端が接続されている。第1分岐通路64の下流端は、後述するエジェクタ67を介して、吸気通路10のうちコンプレッサ41の上流側の部分に接続されている。第2分岐通路65の下流端は、吸気通路10のサージタンク14aに接続されている。
共通通路63には、パージバルブ66が設けられている。パージバルブ66は、ECU70からの制御信号により開閉される電子制御式のバルブである。第1分岐通路64には、吸気通路10からの吸気の逆流を防止する逆止弁64aが設けられている。第2分岐通路65には、吸気通路10からの吸気の逆流を防止する逆止弁65aが設けられている。
エジェクタ67は、本体67aと、吸気通路10のうちコンプレッサ41の下流側の部分と本体67aとを接続する導入ノズル67bと、吸気通路10のうちコンプレッサ41の上流側の部分と本体67aとを接続する排出路67cとを有している。第1分岐通路64は、本体67aに接続されており、エジェクタ67の一部を構成する。導入ノズル67bの先端は、先細状となっており、導入ノズル67bを介して還流される吸気は、その先端部で減圧され、導入ノズル67bの先端周辺に負圧が発生する。この負圧により、第1分岐通路64からパージガスが本体67a内に吸引される。吸引されたパージガスは、導入ノズル67bから還流される吸気と共に、排出路67cを介して吸気通路10のうちコンプレッサ41の上流側に導入される。
ターボ過給機40が吸気を過給していないとき(以下、「非過給時」と称する)には、パージガスは、第2分岐通路65を介して吸気通路10へ導入される。詳しくは、非過給時は、吸気通路10のコンプレッサ41の上流側の圧力の方がコンプレッサ41の下流側の圧力よりも高いので、エジェクタ67を介した吸気の還流は生じない。そのため、第1分岐通路64の下流端の圧力は、吸気通路10のうちエジェクタ67が接続された部分の圧力となり、その圧力は、大気圧(外気圧)と略等しい。キャニスタ61は、大気圧に開放されているので、第1分岐通路64の上流端と下流端との差圧は、略零であり、パージガスは第1分岐通路64を流通しない。
一方、第2分岐通路65の下流端が接続されたサージタンク14aは、負圧となっている。そのため、パージ通路62を流通するパージガスは、第2分岐通路65を介して、サージタンク14aに導入される。
ターボ過給機40が吸気を過給しているとき(以下、「過給時」と称する)には、パージガスは、第1分岐通路64を介して吸気通路10へ導入される。詳しくは、過給時は、サージタンク14aは、過給により正圧となっている。前述の如く、キャニスタ61は、大気圧に開放されているので、第2分岐通路65の下流端の圧力は、第2分岐通路65の上流端の圧力よりも高くなっている。そのため、パージガスは、第2分岐通路65を流通しない。なお、第2分岐通路65には、逆止弁65aが設けられているので、吸気通路10の吸気が第2分岐通路65を逆流することもない。
一方、コンプレッサ41による過給によって、吸気通路10のコンプレッサ41の下流側の圧力の方がコンプレッサ41の上流側の圧力よりも高いので、エジェクタ67を介した吸気の還流が生じる。これにより、第1分岐通路64からパージガスが吸引され、吸引されたパージガスが吸気通路10のコンプレッサ41の上流側に導入される。こうして、パージ通路62を流通するパージガスは、第1分岐通路64を介して、吸気通路10に導入される。
また、過給開始直後又は過給停止直後等の過渡時には、エジェクタ67による第1分岐通路64からのパージガスの吸引が行われると共に、サージタンク14aの負圧により第2分岐通路65からのサージタンク14aにパージガスが導入され得る。つまり、第1分岐通路64及び第2分岐通路65の両方を介して、パージガスが吸気通路10に供給され得る。
過給時、非過給時及び過渡時の何れの場合であっても、パージ通路62を流通するパージガスの流量であるパージ流量は、パージバルブ66によって調整される。
また、図1に示すエンジン100には、各種のセンサが設けられている。具体的には、吸気通路10のうちエアクリーナ11とコンプレッサ41との間の部分には、吸入空気流量を検出するエアフロセンサ81と吸気温度を検出する温度センサ85とが設けられている。吸気通路10におけるコンプレッサ41とスロットルバルブ13との間の部分に、過給圧を検出する第1圧力センサ82が設けられている。また、吸気通路10におけるスロットルバルブ13の下流側の部分(詳しくはサージタンク14a内)に、インマニ圧を検出する第2圧力センサ83が設けられている。エンジン本体20においては、クランクシャフト28のクランク角を検出するクランク角センサ86が設けられている。排気通路30においては、WGバルブ33の開度であるWG開度を検出するWG開度センサ87が設けられ、タービン42と排気浄化触媒31との間の部分に、排気中の酸素濃度を検出するOセンサ84が設けられている。
エアフロセンサ81は、検出した吸入空気流量をECU70に出力する。温度センサ85は、検出した吸気温度をECU70に出力する。第1圧力センサ82は、検出した過給圧に対応する検出信号をECU70に出力する。第2圧力センサ83は、検出したインマニ圧に対応する検出信号をECU70に出力する。クランク角センサ86は、検出したクランク角に対応する検出信号をECU70に出力する。WG開度センサ87は、検出したWG開度に対応する検出信号をECU70に供給し、Oセンサ84は、検出した酸素濃度に対応する検出信号をECU70に出力する。また、このエンジン100には、大気圧を検出する大気圧センサ80が設けられており、この大気圧センサ80は、検出した大気圧に対応する検出信号をECU70に出力する。
ECU70は、CPUと、CPU上で実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)や各種のデータを格納するためのROMやRAMの如き内部メモリとを備えるコンピュータにより構成される。ECU70は、上述した各種センサから供給された検出信号に基づいて、種々の制御や処理を行う。なお、ECU70は、「エンジンの制御装置」の一例である。
図2は、ECU70の機能構成図を示す。
ECU70は、ターボ過給機40の過給圧を上昇させることによってパージ通路62を通過するパージ流量を増加させるパージ増量制御を実行すると共に、このパージ増量制御において、過給圧の上昇に伴う出力トルクの上昇を抑制する出力調整制御を実行する。
詳しくは、ECU70は、エンジン100の出力トルクを制御するべく、種々のアクチュエータの基本となる制御値(以下、「基本値」と称する)を設定するベース設定部71と、エンジン100の運転条件を取得する運転条件取得部72と、ベース設定部71により設定された基本値、及び、運転条件取得部72により取得された運転条件に基づいて、前記パージ増量制御及び前記出力調整制御を実行するパージ制御部73とを備える。
〈ベース設定部〉
ベース設定部71は、エンジン100の運転状態に基づいて取得されたエンジン100の出力トルクの目標値(以下、「目標トルク」と称する)を基準として、スロットルバルブ13及びWGバルブ33の開度や点火プラグ24による点火時期、吸気バルブ22の開閉時期、並びに、燃料噴射弁23からの燃料噴射量などを制御する、いわゆるトルクベース制御を実行する。トルクベース制御では、エンジン100の運転状態に基づいて目標トルク(目標出力トルク)を取得して、各アクチュエータの制御値を、この目標トルクが得られるような基本値に設定する。ベース設定部71は、「目標過給圧設定部」の一例であり、「ウェイストゲートバルブ制御部」の一例でもある。この例に代えて、ベース設定部71を複数のブロックで構成してもよい。
ベース設定部71によるトルクベース制御において、主に、スロットルバルブ13及びWGバルブ33の制御について図3を参照しながら説明する。図3は、トルクベース制御に係る処理のフローチャートである。
トルクベース制御では、まず、ステップS1において、ベース設定部71がエンジン100の運転状態を検知する。具体的には、クランク角センサ86に基づいて算出されたエンジン本体20の回転速度(以下、「エンジン回転数」と称する)、車速、アクセル開度、及び、変速比等をエンジン100の運転状態として読み込む。
ステップS2においては、ベース設定部71は、検知された運転状態に応じた目標加速度を取得する。
ステップS3において、ベース設定部71は、取得された目標加速度を実現するために必要な目標トルクを取得する。
ステップS4において、ベース設定部71は、取得された目標トルクを実現するために必要な充填効率の目標値(以下、「目標充填効率」と称する)を設定する。詳しくは、目標充填効率は、目標トルク、エンジン回転数、及び、図示平均有効圧力の目標値(以下、「目標図示平均有効圧力」と称する)に基づいて求められる。目標図示平均有効圧力は、目標トルク、並びに、トルク損失となる機械抵抗及びポンプ損失(ポンピングロス)に基づいて求められる。
ステップS5においては、設定された目標充填効率を実現するために必要な吸気マニホールド14内の吸気の量の目標値(以下、「目標インマニ空気量」と称する)を取得する。目標インマニ空気量は、第2圧力センサ83により検出されたインマニ温度と、インマニ圧力の目標値(以下、「目標インマニ圧」と称する)と、吸気バルブ22の開閉時期とに基づいて求められる。目標インマニ圧は、ECU70の内部メモリに予め記憶された、目標インマニ空気量及びインマニ温度とそれらに応じた目標インマニ圧とが関連付けて規定された吸気特性マップに基づいて求められる。
このステップS5の後には、ステップS6〜S8とステップS9〜S11とが並行して行われる。
ステップS6において、ベース設定部71は、目標インマニ空気量を実現するために必要となる、スロットルバルブ13を通過する吸気の流量の目標値(以下、「目標スロットル通過流量」と称する)を取得する。この目標スロットル通過流量は、ステップS4で取得された目標充填効率と、ステップS5で取得された目標インマニ空気量と、現在のインマニ空気量の推定値(以下、「実インマニ空気量」と称する)とに基づいて求められる。実インマニ空気量は、第2圧力センサ83により検出されたインマニ圧力及びインマニ温度に基づいて推定される。なお、この実インマニ空気量は、吸気マニホールド14に流入する空気量と吸気マニホールド14から気筒21内へ流出する空気量との間の収支を計算することにより推定してもよい。
ステップS7において、ベース設定部71は、取得された目標スロットル通過流量を実現するために必要となる、スロットルバルブ13のバルブ開度の目標値(以下、「目標スロットル開度」と称する)を設定する。この目標スロットル開度は、目標スロットル通過流量と、第1圧力センサ82により検出された、スロットルバルブ13上流側の吸気圧力(過給圧)と、第2圧力センサ83により検出された、スロットルバルブ13下流側の吸気圧力とに基づいて設定される。
そして、ステップS8において、ベース設定部71は、スロットルバルブ13のバルブ開度が目標スロットル開度となるようにスロットルバルブ13を駆動するための制御信号を出力すると共に、目標トルクを実現するように、点火プラグ24、吸気バルブ22及び燃料噴射弁23に対して各々の制御値(基本値)に対応する制御信号を出力する。
一方で、ステップS9において、ベース設定部71は、目標インマニ空気量を実現するために必要となる、過給圧の目標値である目標過給圧を設定する。目標過給圧は、ECU70の内部メモリに予め記憶された、エンジン回転数及び目標充填効率とそれらに応じた吸気バルブ22の開閉時期とが関連付けて規定された過給圧マップに基づいて求められる。
ステップS10において、ベース設定部71は、設定された目標過給圧に基づいて、タービン4bを通過する流量の目標値である目標タービン流量を取得する。詳しくは、目標タービン流量は、圧縮機駆動力の目標値である目標圧縮機駆動力、及び、エンジン回転数等に基づいて求められる。目標圧縮機駆動力は、目標過給圧に基づいて求められる。
ステップS11において、ベース設定部71は、算出された目標タービン流量を実現するために必要な、WGバルブ33のバルブ開度の目標値(以下、「目標WG開度」と称する)を設定する。目標WG開度(目標ウェイストゲートバルブ開度)は、目標タービン流量と排気の総流量とに基づいて求められる。
そして、ステップS12において、ベース設定部51は、目標WG開度を実現するようにWGバルブ33のバルブ開度を調整するための制御信号を出力する。
なお、これらのステップの順番は一例であり、ステップの順番を可能な範囲で適宜入れ替えたり、複数のステップを並行して処理したりしてもよい。例えば、ステップS6からステップS8まで続くステップと、ステップS9からステップS12まで続くステップとを並行に処理せずに、一つずつ順番に処理してもよい。
〈運転条件取得部〉
運転条件取得部72は、エンジン100の運転条件を取得する。ここで、「運転条件」とは、例えば、大気圧や燃料タンク50内の温度といった、燃料タンク50内の燃料の蒸発に影響を与え得る条件である。詳しくは、運転条件取得部72は、エンジン100の運転条件として、大気圧センサ80により検出された現在の大気圧と、温度センサ85により検出された現在の吸気温度とを取得して、その取得結果に対応する信号をパージ制御部73に出力する。現在の吸気温度は、「燃料タンク内の温度に関連する温度」の一例である。
〈パージ制御部〉
パージ制御部73は、エンジン100が過給域にあるか否かを判定する過給域判定部77と、過給時(エンジン100が過給域にあるとき)において、パージ流量の増加が必要か否かをエンジン100の運転条件に基づいて判定する増量要求部74と、増量要求部74によりパージ流量の増加が必要と判定されたときに、パージ増量制御を実行する増量実行部75と、エンジン100の出力トルクを調整する出力調整部76とを有する。増量実行部75は、パージ増量制御において、ターボ過給機40の過給圧をパージ増量制御が実行される前よりも上昇させることによって、パージ流量を増加させる。ここで、過給圧の上昇は、WGバルブ33の制御を通じて実行される。出力調整部76は、パージ増量制御において、増量実行部75による過給圧の上昇に伴うエンジン100の出力トルクを抑制する出力調整制御を実行する。ここで、出力調整制御は、スロットルバルブ13の制御を通じて実行される。
−過給域判定部−
まず、過給域判定部77は、ベース設定部71により設定された目標過給圧に基づいて、エンジン100が過給域にあるか否かを判定する。
詳しくは、過給域判定部77は、目標過給圧が大気圧よりも大きいときには、エンジン100が過給域にあることを示す過給信号を増量要求部74に出力する。一方で、目標過給圧が大気圧よりも小さいときには、エンジン100が過給域にないものとして、そうした制御信号は出力しない。このような非過給時(エンジン100が過給域にないとき)においては、前述の如く、パージガスは、第2分岐通路65を介して吸気通路10へ導入される。
−増量要求部−
増量要求部74は、過給域判定部77からの過給信号を受けると、運転条件取得部72により取得された運転条件に基づいてパージ流量の増加が必要か否かを判定する。
詳しくは、増量要求部74は、例えば、車両が高地を走行しているときや、燃料タンク50内が高温のときのように、エンジン100が、燃料が揮発しやすい状況下にあるか否かを判定し、揮発しやすい状況下にあると判定した場合には、パージガスの増量を要求する。具体的には、増量要求部74は、大気圧センサ80により検出された現在の大気圧が所定の基準圧力よりも低いか、又は、温度センサ85により検出された現在の吸気温度が所定の基準温度よりも高いときに、燃料が揮発しやすい状況下にあると判定してパージ流量の増加が必要であると判定する。そして、増量要求部74は、パージ流量を増加させるべく、増量実行部75及び出力調整部76に増量信号を出力する。ここで、現在の大気圧が前記基準圧力よりも大きくて且つ、現在の吸気温度が前記基準温度よりも小さいときには、パージ流量の増加は不要であると判定される。この場合、ベース設定部71により設定された目標過給圧を実現するような過給が行われ、パージ流量は、増加されることなく、第1分岐通路64を介して吸気通路10へ導入される。
−増量実行部−
増量実行部75は、増量要求部74からの増量信号を受けると、パージ流量を増加させるパージ増量制御を実行する。
詳しくは、パージ増量制御において、増量実行部75は、ベース設定部71により設定された基本値以上の過給圧を目標過給圧として設定することによって、目標過給圧を変更する(増加させる)。
増量実行部75は、変更された目標過給圧に基づいて、目標タービン流量、ひいては目標WG開度を変更する。この場合、目標タービン流量は、目標過給圧の増加分に応じて基本値に対応する流量から増加する。一方、目標WG開度は、目標タービン流量の増加分に応じて基本値から減少する。増量実行部75は、変更された目標WG開度に対応する制御信号をWGバルブ33に出力する。これにより、WGバルブ33のバルブ開度が閉弁側に変更されることになって、ターボ過給機40の過給圧は、パージ増量制御が実行される前よりも上昇することになる。
過給圧が上昇すると、吸気通路10におけるコンプレッサ41の下流側と上流側との間の差圧が増大することになって、エジェクタ67を介した吸気の還流が促進される。吸気の還流が促進されると、それに応じて、第1分岐通路64を介したパージガスの導入が促進されて、パージ増量制御が実行される前よりも、パージ流量が増加することになる。続いて、増量実行部75は、前記出力調整制御を実行させるべく、出力調整部76に制御信号を出力する。
−出力調整部−
前記パージ増量制御においては、出力調整部76は、増量要求部74からの増量信号を受けると、出力トルクの上昇を抑制する前記出力調整制御を実行する。
出力調整制御においては、出力調整部76は、ベース設定部71により基本値に設定された目標充填効率と、増量実行部75により変更された目標WG開度とに基づいて、目標スロットル開度を変更する。詳しくは、出力調整部76は、過給圧の上昇に伴う充填量、ひいては出力トルクの上昇を抑制するべく、目標過給圧の増加分に応じて、目標スロットル開度を減少させる。出力調整部76は、変更された目標スロットル開度に対応する制御信号をスロットルバルブ13に出力する。これにより、スロットルバルブ13のバルブ開度が閉弁側に変更されて、スロットルバルブ13を通過する吸気の流量が減少する。吸気の流量が減少することによって、過給圧の上昇に伴う出力トルクの上昇が抑制される。
以上、説明してきたパージ増量制御に係る処理をフローチャートに表すと図4のようになる。この処理は、ECU70によって所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS21において、ベース設定部71がエンジン100の運転状態を読み込む。このステップは、図3のステップS1に相当する。
ステップS22において、ベース設定部71は、トルクベース制御を実行することによって、各アクチュエータの制御値を基本値に設定する。具体的に、ベース設定部71は、検知された運転状態に応じた目標トルクを取得して、スロットルバルブ13の目標充填効率、目標過給圧、目標スロットル開度及び目標WG開度を基本値に設定する。このステップは、図3のステップS2からステップS12に相当する。
ステップS23において、エンジン100が過給域にあるか否かを過給域判定部77が判定する。エンジン100が過給域にあるものと判定された場合にはステップS24に進む一方、過給域にないものと判定された場合にはステップS28に進む。ステップS28においては、前述の如く、パージガスは、第2分岐通路65を介して吸気通路10へ導入される。
ステップS24において、パージ流量の増加が必要か否かを増量要求部74が判定する。具体的には、パージ流量を増加させる必要があると判定された場合には、ステップS25に進んでパージ増量制御を実行する。一方、パージ流量を増加させる必要があると判定されなかった場合には、パージ増量制御を実行せずにステップS27に進む。パージ増量制御を実行せずにステップS27に進んだ場合、パージ流量は、増加されることなく、第1分岐通路64を介して吸気通路10へ導入される。
ステップS5において、増量実行部75は、ターボ過給機40の過給圧が上昇するようにWGバルブ33のバルブ開度を閉弁側に変更する。具体的には、増量実行部75は、目標過給圧をベース設定部71により設定された基本値から増加させて、その増加分に応じて目標WG開度を減少させる。
ステップS26において、出力調整部76は、スロットルバルブ13を通過する吸気の流量が減少するようにスロットルバルブ13のバルブ開度を閉弁側に変更する。具体的には、出力調整部76は、ベース設定部71により基本値に設定された目標充填効率と、増量実行部75により変更された目標過給圧とに基づいて、目標スロットル開度を減少させる。
ステップS27において、第1分岐通路64を介したパージガスの導入が行われる。パージ増量制御が実行されている場合、WGバルブ33を介して過給圧を上昇させることによって、エジェクタ67を介した吸気の還流が促進されて、第1分岐通路64を介したパージ流量が増加する。その一方で、スロットルバルブ13を通過する吸気の流量を減少させることによって、過給圧の上昇に伴う出力トルクの増加が抑制される。
なお、これらのステップの順番は一例であり、ステップの順番を可能な範囲で適宜入れ替えたり、複数のステップを並行して処理したりしてもよい。例えば、ステップS23とステップS24の順番を入れ替えたり、ステップS23とステップS24とを並行に処理したりしてもよい。
以上説明したように、パージ制御部73は、パージ増量制御において、WGバルブ33を介して過給圧を上昇させることによってパージ流量を増加させると共に、過給圧の上昇に伴う出力トルクの上昇を抑制するべく、スロットルバルブ13を介して出力調整制御を実行する。このように構成することによって、ECU70は、エンジン100の運転状態に与える影響を低減しつつ、パージ流量を増加させることができる。
詳しくは、例えば、車両が高地を走行しているときや、燃料タンク50内が高温のときには、燃料が揮発しやすくなるため、パージ流量を増加させることが求められる。しかしながら、過給時には、エジェクタ効果によりパージガスを供給することになるため、パージ流量は過給圧に依存する。そのため、パージ流量を調整しようとして過給圧を変化させると、エンジン100の運転状態に影響を与え得る。
前述の構成によると、ECU70は、出力トルクの過度の上昇を抑制しつつ、過給圧の上昇によりパージ流量を増加させることができる。したがって、出力トルクの上昇を抑制した分だけ、過給圧の上昇がエンジン100の運転状態に与える影響を低減することができる。そのことで、ECU70は、エンジン100の運転状態に与える影響を低減しつつ、パージ流量を増加させることができる。
また、パージ制御部73は、出力調整制御においては、スロットルバルブ13のバルブ開度を絞ることによって、スロットルバルブ13を通過する吸気の流量、ひいては充填量を減少させることができる。そのことで、パージ増量制御において、過給圧を上昇させつつ充填量を減少させることができるようになる。つまり、過給圧の上昇に伴う出力トルクの上昇を充填量の調整により抑制することができる。
また、吸気バルブ22の開閉時期の調整によって充填量を調整したり、点火リタードによって出力トルクを調整したりするのではなく、スロットルバルブ13を介して充填量を調整することで、吸気バルブ22の開閉時期や点火タイミングの制御を、エンジン100の運転に関する別の制御に使用することができる。そのことで、エンジン100の制御性を高める上で有利になる。また、スロットルバルブ13を閉じることにより、吸気バルブ22の開閉時期の調整により出力トルクの抑制を行う場合と比べて、過給圧が上昇しやすくなるため、パージ流量を速やかに増加させることが可能となる。また、点火リタードによって出力トルクを調整する場合と比べて、燃費が良くなる。
また、パージ制御部73は、パージ流量の増加の要否を大気圧又は吸気温度に基づいて判定することによって、パージ流量を増加させるべきときを的確に判断することができる。そのことで、パージ増量制御をより適切なタイミングで行うことができるようになって、ひいては、過給圧の上昇に伴って出力トルクが上昇し得る機会を減らす上で有利になる。
〈他の実施形態〉
前記実施形態では、排気によりタービン42を駆動するターボ過給機40を備えた構成を例示したが、この構成に代えて、電動式のアシスト機構を有するターボ過給機を備えてもよい。
前記実施形態では、排気通路30に設けたWGバルブ33の制御を通じて、ターボ過給機40の過給圧を調整するように構成されていたが、これに代えて、可変ノズル式ターボ過給機として構成されたターボ過給機40のノズルベーンの制御を通じて過給圧を調整してもよい。
前記実施形態では、出力調整制御においては、パージ制御部73は、スロットルバルブ13の制御を通じて充填量を調整することによって、出力トルクの上昇を抑制するように構成されていたが、この構成に代えて、点火リタードにより出力トルクの上昇を抑制してもよい。また、吸気バルブ22の開閉時期を変更する所謂、吸気VVT(Variable Valve Timing)を介して充填量を調整してもよい。
前記実施形態では、パージ制御部73は、吸気温度と燃料タンク50内の温度とが関連するものとして、温度センサ85により検出された吸気温度に基づいてパージ増量制御を実行するように構成されていたが、この構成に代えて、燃料タンク50内に温度センサを新設し、この温度センサにより検出されたタンク内温度に基づいてパージ増量制御を実行してもよい。また、吸気通路10以外の箇所に外気温センサを新設し、この外気温センサにより検出された外気温度に基づいてパージ増量制御を実行してもよい。
前記実施形態では、大気圧や、燃料タンク50内の温度に関する温度に基づいてパージ増量制御を実行するように構成されていたが、この構成に代えて、又は、この構成に加えて、エンジン100が暖機後、言い換えると温間後の再始動時には、燃料タンク50内で発生した蒸発燃料が多くなっていると判断して、パージ増量制御を実行してもよい。このようにすればより確実にキャニスタ61のオーバーフローを抑制できる。
100 エンジン
10 吸気通路
13 スロットルバルブ
20 エンジン本体
21 気筒
32 バイパス通路
33 ウェイストゲートバルブ
40 ターボ過給機
41 コンプレッサ
42 タービン
50 燃料タンク
61 キャニスタ
62 パージ通路
67 エジェクタ
70 ECU(制御装置)
71 ベース設定部(目標過給圧設定部、ウェイストゲートバルブ制御部)
73 パージ制御部
74 増量要求部
75 増量実行部
76 出力調整部

Claims (5)

  1. ターボ過給機と、燃料タンクの蒸発燃料を回収するキャニスタと、前記キャニスタと吸気通路のうち前記ターボ過給機のコンプレッサの上流側とを接続するパージ通路と、前記吸気通路における前記コンプレッサの下流側から前記コンプレッサの上流側に吸気を還流させ、前記パージ通路を介した前記吸気通路へのパージガスの供給を還流される吸気によって促進するエジェクタとを備えたエンジンの制御装置であって、
    前記パージガスの流量の増加が必要か否かを前記エンジンの運転条件に基づいて判定する増量要求部と、
    前記増量要求部により前記パージガスの流量の増加が必要と判定されたときに、前記パージガスの流量を増加させるパージ増量制御を実行する増量実行部と、
    前記エンジンの出力トルクを調整する出力調整部とを備え、
    前記増量実行部は、前記パージ増量制御において、前記ターボ過給機の過給圧を前記パージ増量制御が実行される前よりも上昇させることによって、前記パージガスの流量を増加させ、
    前記出力調整部は、前記パージ増量制御において、前記増量実行部による過給圧の上昇に伴う前記エンジンの出力トルクの上昇を抑制することを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの制御装置において、
    前記出力調整部は、前記吸気通路に設けられたスロットルバルブのバルブ開度を閉弁側に変更することによって、前記増量実行部による過給圧の上昇に伴う前記エンジンの出力トルクの上昇を抑制することを特徴とするエンジンの制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置において、
    前記増量要求部は、外気圧が所定の基準圧力よりも大きいときに、前記パージガスの流量の増加が必要であると判定することを特徴とするエンジンの制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置において、
    前記増量要求部は、前記燃料タンク内の温度、又は、該燃料タンク内の温度に関連する温度が所定の基準温度よりも大きいときに、前記パージガスの流量の増加が必要であると判定することを特徴とするエンジンの制御装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のエンジンの制御装置において、
    前記ターボ過給機のタービンを迂回させるバイパス通路と、
    前記バイパス通路を流れる排気の流量を制御するウェイストゲートバルブと、
    前記エンジンの運転状態に基づいて取得される前記エンジンの目標出力トルクを実現するために必要となる、前記ターボ過給機の目標過給圧を設定する目標過給圧設定部と、
    前記目標過給圧を実現するために必要となる目標ウェイストゲートバルブ開度を設定すると共に、前記目標ウェイストゲートバルブ開度を実現するように、前記ウェイストゲートバルブのバルブ開度を制御するウェイストゲートバルブ制御部とを備え、
    前記増量実行部は、前記パージ増量制御においては、前記目標過給圧設定部により設定された前記目標過給圧以上の過給圧を目標値として設定することによって、過給圧を上昇させることを特徴とするエンジンの制御装置。
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