JP2009279992A - 動力出力装置及びこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で良好な燃費を確保する。
【解決手段】ハイブリッド用電子制御ユニットは、エンジン22の目標運転ポイントを設定するにあたり、パージ制御が必要なときにはパージ優先動作ライン上の運転ポイントを採用し、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントが採用する(ステップS120〜S140)。このため、瞬間的な燃費が最小となる運転ポイントを探索する場合と異なり、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で目標運転ポイントを設定することができる。また、パージ制御が必要なときに設定されるパージ優先動作ライン上の運転ポイントは、内燃機関のポンピングロスなどの影響により燃費が最適な状態とはいえないが、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントが採用されるため、全体としては良好な燃費を確保することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、動力出力装置及びこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法に関する。
従来、動力出力装置としては、エンジンと、エンジンへ供給する燃料を貯留する燃料タンクと、燃料タンク内の蒸発燃料を捕捉し該捕捉した蒸発燃料をエンジンの吸気管へ放出可能なキャニスタと、駆動軸に動力を出力可能な電動機と、エンジンの出力軸と駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するプラネタリギヤと、プラネタリギヤの回転軸からの動力で発電可能な発電機と、を備えたものが知られている。こうした動力出力装置では、燃料タンク内で発生した蒸発燃料をキャニスタに捕捉させ、このキャニスタに捕捉された蒸発燃料を外気と共に吸気管の負圧を利用して吸気管に放出する、いわゆるパージ制御が実行される。
特許文献1の動力出力装置では、パージ制御中でない場合には、等動力ライン上の複数の運転ポイントでエンジンを運転した際に瞬間的な燃料消費率(燃費)が最小となる運転ポイントを探索し、その探索した運転ポイントを採用する。また、パージ制御中の場合には、パージガス量を考慮した上で燃費が最小となる運転ポイントを探索し、その探索した運転ポイントがパージ不可能領域、つまりスロットルバルブの開度が大きすぎて吸気管の負圧が不足しパージを行うことができない領域に入っているときには、パージ可能領域内で燃費が最小となる運転ポイントを採用する。こうすることにより、エンジンを効率良く動作させることができる。
特開2006−170058号公報(図5及び図6)
しかしながら、特許文献1の動力出力装置では、パージ制御の実行の有無にかかわらずエンジンを効率良く動作させることができるものの、運転ポイントを設定するごとに燃費が最小となる運転ポイントを探索するため、制御が複雑になりコンピュータに大きな負荷がかかるという問題があった。
本発明の動力出力装置及びこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で良好な燃費を確保することを主目的とする。
本発明の動力出力装置及びこれを搭載する車両並びに動力出力装置の制御方法は、少なくとも上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の動力出力装置は、
内燃機関と、
前記内燃機関へ供給する燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンク内の蒸発燃料を捕捉し該捕捉した蒸発燃料を前記内燃機関の吸気管へ放出可能な蒸発燃料捕捉手段と、
駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記回転軸を介して入力される動力で発電可能な発電機と、
前記内燃機関の回転数とトルクとを表す運転ポイントを設定するのに用いられる動作ラインとして、前記内燃機関を最適な燃費で運転可能な燃費最適動作ライン及び該燃費最適動作ライン上の任意の運転ポイントに対し同じ動力を出力可能で回転数が大きくトルクが小さくなるように設定されたパージ優先動作ラインを記憶する動作ライン記憶手段と、
前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記蒸発燃料捕捉手段によって捕捉された蒸発燃料を前記吸気管の負圧を利用して該吸気管へ放出するパージ制御の要否を判定し、前記パージ制御が必要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記パージ優先動作ライン上の運転ポイントに設定し、前記パージ制御が不要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記燃費最適動作ライン上の運転ポイントに設定する目標運転ポイント設定手段と、
前記設定された要求動力と前記内燃機関の目標運転ポイントとに基づいて前記内燃機関、前記電動機及び前記発電機を制御すると共に前記パージ制御が必要なときには前記パージ制御を実行する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この動力出力装置では、駆動軸に要求される要求動力を設定する。また、蒸発燃料捕捉手段によって捕捉された蒸発燃料を吸気管の負圧を利用して該吸気管へ放出するパージ制御の要否を判定し、パージ制御が必要なときには内燃機関の目標運転ポイントをパージ優先動作ライン上の運転ポイントに設定し、パージ制御が不要なときには内燃機関の目標運転ポイントを燃費最適動作ライン上の運転ポイントに設定する。そして、設定された要求動力と内燃機関の目標運転ポイントとに基づいて内燃機関、電動機及び発電機を制御すると共にパージ制御が必要なときにはパージ制御を実行する。つまり、内燃機関の目標運転ポイントを設定するにあたり、パージ制御が必要なときにはパージ優先動作ライン上の運転ポイントを採用し、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントを採用するため、瞬間的な燃費が最小となる運転ポイントを探索する場合と異なり、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で目標運転ポイントを設定することができる。また、パージ制御が必要なときに設定されるパージ優先動作ライン上の運転ポイントは、内燃機関のポンピングロスなどの影響により燃費が最適な状態とはいえないが、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントが採用されるため、全体としては良好な燃費を確保することができる。したがって、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で良好な燃費を確保することができる。
なお、燃費最適動作ラインは、吸気管の負圧を確保する必要がないため、吸気管圧力の制約を受けることなく、真に燃費が最適となる動作ラインとすることができる。また、燃費(燃料消費率の略)とは、内燃機関が一定の仕事をするのに消費する燃料量を示す値であり、自動車用語に限定されない。
本発明の動力出力装置において、前記目標運転ポイント設定手段は、前記内燃機関の始動後に初めてパージ実行条件が成立したときからパージ完了条件が成立するまでは前記パージ制御が必要と判定し、前記パージ完了条件が成立した時点で前記パージ制御が不要と判定してもよい。こうすれば、内燃機関の停止中に蒸発燃料捕捉手段に捕捉された蒸発燃料は内燃機関の始動後に初めてパージ実行条件が成立してからパージ完了条件が成立するまでの間に実行されるパージ制御により吸気管へ放出されるため、蒸発燃料捕捉手段の蒸発燃料を捕捉する能力が回復する。なお、パージ実行条件は、例えば内燃機関の暖機が終了したときや内燃機関の空燃比フィードバック補正と空燃比学習補正が完了したときとしてもよい。
このように内燃機関の始動後に初めてパージ実行条件が成立してからパージ完了条件が成立するまではパージ制御が必要と判定し該パージ完了条件が成立した時点でパージ制御が不要と判定する本発明の動力出力装置において、前記蒸発燃料捕捉手段は、前記燃料タンクと常時連通しており、前記目標運転ポイント設定手段は、前記パージ完了条件が成立した後、前記内燃機関の運転が継続されて前記車両の走行距離及び走行時間の少なくとも一方が要パージ領域に達するという再パージ実行条件が成立したときから再パージ完了条件が成立するまでは前記パージ制御が必要と判定し、前記再パージ完了条件が成立した時点で前記パージ制御が不要と判定してもよい。こうすれば、パージ完了条件が成立したあとに蒸発燃料捕捉手段に捕捉された蒸発燃料は再パージ実行条件が成立したときから再パージ完了条件が成立するまでのパージ制御により吸気管へ放出されるため、蒸発燃料捕捉手段の蒸発燃料を捕捉する能力が回復する。このとき、前記目標運転ポイント設定手段は、前記燃料タンクの温度が高いほど前記要パージ領域の下限が低くなるように変更してもよい。燃料タンクの温度が高いほど燃料タンク内の蒸発燃料が増えるため、要パージ領域の下限を低くして再パージ実行条件を成立しやすくするのが好ましい。なお、燃料タンクの温度とは、燃料タンクの温度そのもののほか、燃料タンクの温度とみなすことのできる物理量(例えば外気温やエンジンの冷却水温など)も含む意である。
ここで、要パージ領域とは、例えば、車両の走行距離の場合には、内燃機関を運転し続けた状態で車両を走行したときの距離と蒸発燃料捕捉手段で捕捉される蒸発燃料量との関係を予め実験などにより求め、その蒸発燃料量が飽和量(又は飽和量未満の所定量)になるときの走行距離以上としてもよい。また、車両の走行時間の場合には、内燃機関を運転し続けた状態で車両を走行したときの時間と蒸発燃料捕捉手段で捕捉される蒸発燃料量との関係を予め実験などにより求め、その蒸発燃料量が飽和量(又は飽和量未満の所定量)になるときの走行時間以上としてもよい。
本発明の動力出力装置において、前記蒸発燃料捕捉手段は、給油時のみ前記燃料タンクとの連通が許容され給油時以外は前記燃料タンクとの連通が遮断される手段であり、前記目標運転ポイント設定手段は、前記内燃機関の給油直後且つ始動後に初めてパージ実行条件が成立したときからパージ完了条件が成立するまでは前記パージ制御が必要と判定し、前記パージ完了条件が成立した時点で前記パージ制御が不要と判定してもよい。こうすれば、パージ制御が必要となる期間は限定的になり、内燃機関を燃費最適動作ライン上の運転ポイントで運転する機会が増えるため、より良好な燃費を確保することができる。
内燃機関の始動後に初めてパージ実行条件が成立してからパージ完了条件が成立するまではパージ制御が必要と判定し該パージ完了条件が成立した時点でパージ制御が不要と判定する本発明の動力出力装置において、前記パージ完了条件は、前記パージ制御により前記蒸発燃料捕捉手段から前記吸気管へ放出した積算パージガス量が所定の多量領域に達したときとしてもよい。あるいは、パージ完了条件は、前記パージ制御により前記蒸発燃料捕捉手段から前記吸気管へ現在のパージガスの燃料濃度が所定の少量領域に達したときとしてもよい。なお、再パージ完了条件についても、これらと同様の条件としてもよい。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。この車両では、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で良好な燃費を確保することができるという効果を奏することができる。
本発明の動力出力装置の制御方法は、
内燃機関と、前記内燃機関へ供給する燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内の蒸発燃料を捕捉し該捕捉した蒸発燃料を前記内燃機関の吸気管へ放出可能な蒸発燃料捕捉手段と、駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸を介して入力される動力で発電可能な発電機と、前記内燃機関の回転数とトルクとを表す運転ポイントを設定するのに用いられる動作ラインとして、前記内燃機関を最適な燃費で運転可能な燃費最適動作ライン及び該燃費最適動作ライン上の任意の運転ポイントに対し同じ動力を出力可能で回転数が大きくトルクが小さくなるように設定されたパージ優先動作ラインを記憶する動作ライン記憶手段と、を備える動力出力装置のコンピュータ・ソフトウェアによる制御方法であって、
(a)前記駆動軸に要求される要求動力を設定するステップと、
(b)前記蒸発燃料捕捉手段によって捕捉された蒸発燃料を前記吸気管の負圧を利用して該吸気管へ放出するパージ制御の要否を判定し、前記パージ制御が必要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記パージ優先動作ライン上の運転ポイントに設定し、前記パージ制御が不要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記燃費最適動作ライン上の運転ポイントに設定するステップと、
(c)前記ステップ(a)及び(b)でそれぞれ設定した要求動力と前記内燃機関の目標運転ポイントとに基づいて前記内燃機関、前記電動機及び前記発電機を制御すると共に前記パージ制御が必要なときには前記パージ制御を実行するステップと、
を含むことを要旨とする。
この動力出力装置の制御方法では、内燃機関の目標運転ポイントを設定するにあたり、パージ制御が必要なときにはパージ優先動作ライン上の運転ポイントが採用され、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントが採用されるため、瞬間的な燃費が最小となる運転ポイントを探索する必要がない。このため、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で目標運転ポイントを設定することができる。また、パージ制御が必要なときに設定されるパージ優先動作ライン上の運転ポイントは、内燃機関のポンピングロスなどの影響により燃費が最適な状態とはいえないが、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントが採用されるため、全体としては良好な燃費を確保することができる。したがって、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で良好な燃費を確保することができる。なお、上述したいずれかの本発明の動力出力装置の機能を、本発明の動力出力装置の制御方法のステップとして実現するようにしてもよい。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、図2に示すように、吸気通路120と排気通路170に接続されている。吸気通路120には、空気を清浄化するためのエアクリーナ122と、エアクリーナ122を通過してきた空気の流量を調整するためのスロットルバルブ124と、エンジン22の吸気バルブ128の近傍の吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁126とが取り付けられている。本実施例では、吸気通路120のうちスロットルバルブ124の下流側を吸気管120aと称することとする。この吸気管120aは、キャニスタ160にパージ通路162を介して接続されている。キャニスタ160は、燃料噴射弁126へ燃料を供給する燃料タンク168内で発生した蒸発燃料をベーパ通路163を介して活性炭などの吸着材により吸着し、エンジン22の運転中に吸気管120aが負圧になると、大気導入口164から内部に外気が流入し、吸着材から脱離した燃料と外気とが一緒になったパージガスがパージ通路162を介して吸気管120aへ放出(パージ)される。パージ通路162には、パージ制御弁としてのパージVSV(バキューム・スイッチング・バルブ)166が設けられており、このパージVSV166の開閉をデューティ制御することにより吸気管120aへ放出されるパージガス流量が調整可能となっている。一方、排気通路170には、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する三元触媒を内蔵した浄化装置172と、浄化装置172の上流側にて排気の空燃比(A/F)を検出する空燃比センサ174とが取り付けられている。こうしたエンジン22は、エアクリーナ122を通過してきた空気とパージ通路162を通過してきたパージガスと燃料噴射弁126から噴射された燃料との混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。なお、パージVSV166の閉鎖中は、エアクリーナ122を通過してきた空気と燃料噴射弁126から噴射された燃料との混合気が燃焼室へ吸入される。エンジン22からの排気は、排気バルブ129を介して排気通路170に放出され、浄化装置172を通過することにより浄化されたあと外部へ放出される。
エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポート及び通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、例えばクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのエンジン回転数やエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温、燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブ129を開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション、スロットルバルブ124の開度を検出するスロットルバルブポジションセンサ145からのスロットル開度、吸気通路120に取り付けられた熱線式のエアフロメータ146からの吸入空気量、同じく吸気通路120に取り付けられた温度センサ147からの吸気温、吸気管120aに取り付けられたシリコンダイヤフラム式の吸気管圧力センサ148からの吸気管圧力、吸気管120aに取り付けられた吸気酸素センサ149からの吸気酸素信号,空燃比センサ174からの空燃比などが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号やスロットルバルブ124の開度を調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号、パージVSV166への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60及びデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1及びモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線及び負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポート及び通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1及びモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モード、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1及びモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作について説明する。図3は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の入出力制限Win,Wout,バッテリ50の充放電要求パワーPb*(放電を正、充電を負とする),パージ制御の実行の有無を表すパージ実行フラグFpの値など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。ここで、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じて入出力制限Win,Woutを設定することができる。図4に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図5にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。さらに、バッテリ50の充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。パージ実行フラグFpの値はエンジンECU24から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求動力(要求パワー)Pe*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図6に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求動力Pe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が要求する充放電要求パワーPb*とロスLossとに基づいて計算することができる。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、車速Vに換算係数kを乗じることによって求めたり、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで割ることによって求めることができる。
続いて、パージ実行フラグFpの値を調べる(ステップS120)。ここで、パージ実行フラグFpは、エンジン22でパージ制御、すなわちキャニスタ160に捕捉された蒸発燃料を吸気管負圧を利用して大気導入口164から流入する外気と共に吸気管120aへ放出するための制御を実行するか否かを表すフラグであり、値0のときにはパージ制御が実行されないことを表し、値1のときにはパージ制御が実行されることを表す。このパージ実行フラグFpは、後述するようにエンジンECU24により設定される。パージ実行フラグFpが値0のときには、パージ制御が実行されないため、吸気管負圧の絶対値を大きくしてパージガス流量を確保する必要がないことから、動作ラインとして燃費最適動作ラインを選択する(ステップS130)。一方、パージ実行フラグFpが値1のときには、パージ制御が実行されるため、吸気管負圧の絶対値を大きくしてパージガス流量を確保することが好ましいことから、動作ラインとしてパージ優先動作ラインを選択する(ステップS140)。ここで、燃費最適動作ラインは、図7に示すように、等動力ライン(動力が一定のライン)のうち燃費が最適な運転ポイントを各動力ごとにプロットして得られるラインである。この燃費最適ラインは、吸気管負圧がゼロでも構わないため、吸気管負圧による制約を受けることなく真に燃費が最適となるように設定される。これに対して、パージ優先動作ラインは、等動力ラインのうち燃費が最適な運転ポイントよりも回転数が高くトルクが低い運転ポイントを選び、こうした運転ポイントを各動力ごとにプロットして得られるラインである。要求動力Pe*が同じ場合、パージ優先動作ライン上の運転ポイントでエンジン22を運転すると、燃費最低動作ライン上の運転ポイントと比べて燃費は劣るが回転数が高くトルクが低いことから、スロットルバルブ124の開度が小さくなり、吸気管負圧の絶対値が大きくなるため、パージガス流量が増加する。こうした2つの動作ラインは、ハイブリッド用電子制御ユニット70のROM74に記憶されている。
このようにステップS130又はステップS140で動作ラインを選択したあと、選択した動作ラインに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる目標運転ポイントを設定する(ステップS150)。燃費最適動作ラインが選択された場合、燃費最適動作ラインを用いて目標運転ポイントを設定することになるが、このときの目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、図7における燃費最適動作ラインと今回の要求動力Pe*の等動力ラインとの交点である回転数とトルクに設定される。また、パワー優先動作ラインが選択された場合、パワー優先動作ラインを用いて目標運転ポイントを設定することになるが、このときの目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、図7におけるパワー優先動作ラインと今回の要求動力Pe*の等動力ラインとの交点である回転数とトルクに設定される。
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS160)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図8に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じたリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。なお、R軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*及び目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*が減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) …(1)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*−Nm1)dt …(2)
こうしてモータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(3)及び式(4)により計算する(ステップS170)。続いて、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(5)により計算する(ステップS180)。そして、計算したトルク制限Tmin,Tmaxにより仮モータトルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS190)。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。なお、式(5)は、前述した図8の共線図から容易に導き出すことができる。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(3)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(5)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定したあと、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS200)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火時期制御、バルブタイミング変更制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24によるエンジン22の運転制御、特にパージ制御の実行の有無を考慮した燃料噴射量の設定について説明する。図9は、エンジンECU24により実行される燃料噴射量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンはエンジン22が始動してから停止するまでの間、所定時間毎(例えば数msec毎に繰り返し実行される。このフローチャートに登場する初回パージフラグFiとパージ実行フラグFpは、RAM24cに記憶されるものであり、エンジン22の停止時や始動時にゼロにリセットされる。初回パージフラグFiは、初回パージ制御が既に完了しているか否かを表すフラグであり、値0のときには初回パージ制御が未だ完了していないことを表し、値1のときには初回パージ制御が既に完了していることを表す。また、初回パージ制御は、エンジン22の始動後に初めてパージ実行条件が成立したときに開始され、初回パージ制御の実行中に吸気管120aに放出されるパージガスの積算量(積算パージガス量)Aが閾値Aref1に達したときに完了する。パージ実行フラグFpについては既に説明したとおりである。
燃料噴射量設定ルーチンが実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、まず、エアフロメータ146からの吸入空気量Gやクランクポジションセンサ140からのエンジン回転数Ne、吸気管圧力センサ148からの吸気管圧力PM、空燃比センサ174からの空燃比Vaf、吸気酸素センサ149からの出力値などのデータを入力する処理を実行する(ステップS300)。こうして各種のデータを入力すると、パージ実行条件が成立しているか否かを判定する(ステップS310)。ここで、パージ実行条件とは、パージ制御の実行を許容する条件であり、本実施例ではエンジン22の暖機が終了し且つ空燃比フィードバック補正や空燃比学習補正などが終了したときにパージ実行条件が成立したと判定する。このパージ実行条件は、通常、エンジン始動直後は成立していないが、エンジン始動後暫くすると成立する。
ステップS310でパージ実行条件が成立していないときには、エアフロメータ146からの吸入空気量Gと目標空燃比(例えば理論空燃比)とに基づいて燃料噴射量TAUを設定し(ステップS510)、本ルーチンを終了する。ここで、エアフロメータ146からの吸入空気量Gは単位時間あたりの空気質量である。このため、吸入空気量Gをエンジン回転数Neで除すことによりエンジン1回転の間に吸気管120aに吸入される新気の吸入空気量Ga(=G/Ne)を求め、この吸入空気量Gaを目標空燃比AF*で除した値に燃料噴射弁126のサイズやエンジン22の気筒数などにより定まる定数Kを乗じることにより基本噴射量Tpを求め、この基本噴射量Tpを燃料噴射量TAUに設定する。なお、基本噴射量Tpの算出式を式(6)に示す。
Tp=K・(G/Ne)/AF* …(6)
一方、ステップS310でパージ実行条件が成立していたときには、通常の燃料噴射量TAUnを求める(ステップS320)。ここでは、基本噴射量Tpに空燃比フィードバック補正及び空燃比学習補正を施すことにより燃料噴射弁126から噴射すべき通常の燃料噴射量TAUnを求める。空燃比フィードバック補正は、空燃比センサ174からの空燃比Vafが目標空燃比になるよう燃料噴射量をフィードバック補正する空燃比フィードバック補正係数Fafを求め、この空燃比フィードバック補正係数Fafを基本噴射量Tpに乗ずることにより行なわれる。空燃比学習補正は、空燃比フィードバック補正係数Fafの中央値がリーン側又はリッチ側に偏った場合にその中央値が理論空燃比となるように補正する学習補正係数Flを求め、この学習補正係数Flを基本噴射量Tpに乗ずることにより行われる。なお、空燃比フィードバック補正及び空燃比学習補正後の通常の燃料噴射量TAUnの算出式を式(7)にそれぞれ示す。
TAUn=Faf・Fl・Tp …(7)
続いて、エンジンECU24のCPU24aは、初回パージフラグFiが値0か値1かを判定することにより初回パージ制御が既に完了しているか否かを判定する(ステップS330)。初回パージフラグFiが値0のときつまり初回パージ制御が未だ完了していないときには、パージ実行フラグFpが値0か値1かを判定する(ステップS340)。そして、パージ実行フラグFpが値0のときつまり初回パージ制御の実行中でないときには、パージ実行フラグFpに値1をセットする(ステップS350)。そして、ステップS350の後又はステップS340でパージ実行フラグFpが値1つまり初回パージ制御の実行中のときには、初回パージ制御での積算パージガス量Aが閾値Aref1以上になったか否かを判定する(ステップS360)。ここで、積算パージガス量Aとは、初回パージ制御を実行している期間中にキャニスタ160から脱離した蒸発燃料と大気導入口164から導入された外気とを含むパージガスが吸気管120aに放出された量をいう。閾値Aref1は、本実施例では、キャニスタ160に飽和状態で吸着した蒸発燃料をすべて吸気管120aへ放出するのに必要なパージガス量を実験などにより求めた値とした。なお、積算パージガス量Aが閾値Aref1以上になったときが本発明のパージ完了条件が成立したときに相当する。
ステップS360で積算パージガス量Aが閾値Aref1未満のときには、キャニスタ160をパージする必要があるとみなし、パージ制御を実行する(ステップS370)。具体的には、エンジン22の運転状態に応じてパージVSV166のデューティ比Dを設定し、そのデューティ比DでパージVSV166を駆動制御する。例えば、パージ制御を実行することにより空燃比フィードバック補正係数Fafと空燃比学習補正係数Flが共にリッチ限界近くに達した場合には、パージVSV166のデューティ比Dを減少補正することで空燃比のオーバーリッチを防止する。また、空燃比フィードバック補正係数Fafがリーン側に回復した場合には、デューティ比Dを増大補正することでキャニスタ160に吸着された蒸発燃料を適切に放出する。つまり、パージVSV166のデューティ比Dを空燃比フィードバック補正や空燃比学習補正に基づいて調整することにより、空燃比のリッチ化を防止しながら空燃比フィードバック制御を実行できるようにしている。
続いて、吸気管圧力センサ148からの吸気管圧力PMから基準大気圧Prefを引いた差分である吸気管負圧NPを求め、この吸気管負圧NPとパージVSV166のデューティ比Dとに基づき、パージガス流量(単位時間あたりのパージガス量(質量))gを求める(ステップS380)。なお、基準大気圧Prefは、エンジン22が停止しているときの吸気管圧力センサ148からの吸気管圧力PM(=大気圧)としてもよいし、別途吸気管120aの外部の圧力を測定可能な大気圧センサを設けておきその大気圧センサからの圧力値としてもよい。そして、パージガス流量gに次回このルーチンを実行するまでのインターバル時間を乗じた値を前回の積算パージガス量Aに加算することにより、積算パージガス量Aを更新する(ステップS390)。それと共に、吸気管圧力センサ148からの吸気管圧力PMと吸気酸素センサ149からの出力値とに基づき吸気管120aの内部に存在するガス(以下、吸気管内ガスという)の燃料濃度Cf(重量%)を求める(ステップS400)。
本実施例では、吸気管負圧NPとパージVSV166のデューティ比Dとパージガス流量gとの関係が予めマップとしてROM24bに記憶されているものとする。一般に吸気管負圧NPの絶対値が大きいほど、パージVSV166を挟んで吸気管120a側とキャニスタ160側との圧力差が大きくなるため、パージガス流量gが増加する傾向となる。また、パージVSV166のデューティ比Dが高いほど、パージVSV166の開度が大きくなるため、パージガス流量gが増加する傾向となる。こうしたことから、吸気管負圧NPとパージVSV166のデューティ比Dとパージガス流量gとの関係を予め実験などにより求めそれをマップにしてROM24bに記憶しておき、ステップS380において、吸気管負圧NPとパージVSV166のデューティ比Dとをこのマップに照らしてパージガス流量gを読み出すようにしている。また、吸気管圧力センサ148からの吸気管圧力PMと吸気酸素センサ149からの出力値との関係は、図10に示すように、吸気管内ガスの燃料濃度Cfがゼロのときに最も傾きの大きな直線として表され、吸気管内ガスの燃料濃度Cfが高くなるにつれて傾きが小さな直線となる。この関係もROM24bに記憶されている。吸気酸素センサ149は、そのセンサ素子の表面上に存在する酸素分子の数に応じた値を出力する。また、センサ素子の表面上に存在する酸素分子の数は、吸気管圧力PMに応じて増減する。このため、吸気酸素センサ149の出力特性は、吸気管圧力PMに対して依存性を有している。そして、吸気管内ガスにガソリンなどの燃料が含まれていると、センサ素子の表面上で燃料と酸素とが反応するため、センサ素子の表面上に存在する酸素分子の数が減少する。その結果、図10に示すように、吸気管内ガスの燃料濃度Cfが高いほど吸気酸素センサ149からの出力値は小さくなる傾向を示す。したがって、吸気管圧力センサ148からの吸気管圧力PMと吸気酸素センサ149からの出力値とに基づいて図10から吸気管内ガスの燃料濃度Cfを求めることができる。
こうしてパージガス流量g及び燃料濃度Cfを求めたあと、エンジン1回転あたりに吸気管120aにパージされるパージ燃料量tau及びパージ空気量gaを求める(ステップS410)。パージガスは、キャニスタ160に吸着されていた蒸発燃料と大気導入口164から導入された空気とからなる。このため、パージ燃料量tauは式(8)で表され、パージ空気量gaは式(9)で表される。そして、ステップS320で算出した通常の燃料噴射量TAUnと吸入空気量Gaとパージ空気量gaとパージ燃料量tauを用いて、式(10)から燃料噴射弁126から噴射すべき燃料噴射量TAUを設定する(ステップS420)。すなわち、実際のエンジン1回転あたりの吸入空気量は吸入空気量Gaとパージ空気量gaとの和になるから、その和に見合った燃料噴射量を求め、そこから既に吸気管120aに存在しているパージ燃料量tauを差し引いた値を燃料噴射量TAUに設定するのである。こうして燃料噴射量TAUを設定したあと、本ルーチンを終了する。
tau=(g/Ne)・Cf/100 …(8)
ga=g/Ne-tau …(9)
TAU=[TAUn・(Ga+ga)/Ga]-tau …(10)
一方、ステップS360で積算パージガス量Aが閾値Aref1以上になったとき、キャニスタ160に吸着していた蒸発燃料はすべて吸気管120aに放出されたとみなし、初回パージ制御を完了するためにパージ実行フラグFp及び積算パージガス量Aを値0にリセットすると共に初回パージフラグFiに値1をセットし(ステップS430)、その後パージVSV166のデューティ比DをゼロとすることによりパージVSV166を閉鎖し(ステップS490)、燃料噴射量TAUに通常の空燃比制御による燃料噴射量TAUnを設定し(ステップS500)、本ルーチンを終了する。
このようにして初回パージ制御が完了すると、その後の燃料噴射設定ルーチンでは、ステップS330で初回パージフラグFiが値1であると判定されるため、ステップS440に進み、パージ実行フラグFpが値0か値1かを判定する(ステップS440)。そして、パージ実行フラグFpが値0のときには、再パージ制御が必要か否かを判定する(ステップS450)。ここで、エンジン22の運転が継続している状態で走行距離が所定距離以上になるか走行時間が所定時間以上になったときに、再パージ制御が必要であると判定し、それ以外のときには再パージ制御が必要でないと判定する。本実施例では、燃料タンク168とキャニスタ160とは常に開状態のベーパ通路163を介して接続されているため、エンジン22の運転が継続している状態であっても燃料タンク168内の蒸発燃料が徐々にキャニスタ160に流入し、キャニスタ160に蒸発燃料が吸着する。ここで、所定距離と所定時間は、キャニスタ160に飽和量(又は飽和量未満の所定量)の蒸発燃料が吸着するのに要する走行距離と走行時間としてもよい。これらは、予め実験などにより求めることができる。そして、再パージ制御が必要なときには、パージ実行フラグFpを値1にセットし(ステップS460)、再パージ制御を実行してからの積算パージガス量Aが閾値Aref2以上か否かを判定する(ステップS470)。閾値Aref2は、閾値Aref1と同様に設定することができる。そして、積算パージガス量Aが閾値Aref2未満のときには、ステップS370〜S420の処理すなわちパージ制御とパージガスを考慮した燃料噴射量TAUの設定を行ない、本ルーチンを終了する。再パージ制御を開始したあとの燃料噴射量設定ルーチンでは、ステップS440でパージ実行フラグFpが値1であると判定されるため、ステップS470に進んで積算パージガス量Aが閾値Aref2以上か否かを判定する。再パージ制御を開始してから暫くはステップS470で否定判定されるが、このルーチンを繰り返すうちにステップS470で肯定判定される。ステップS470で肯定判定されると、つまり積算パージガス量Aが閾値Aref2以上になると、パージ制御を完了するためにパージ実行フラグFp及び積算パージガス量Aを値0にリセットすると共に走行距離及び走行時間をリセットし(ステップS480)、上述したステップS490及びステップS500の処理すなわちパージVSVの閉鎖と燃料噴射量TAUへの通常の燃料噴射量TAUnの設定とを行ない、本ルーチンを終了する。なお、積算パージガス量Aが閾値Aref2以上になったときが本発明の再パージ完了条件が成立したときに相当する。こうした再パージ制御は、エンジン22の運転継続中での走行距離が所定距離以上になるか走行時間が所定時間以上になるたびに実行される。
以上詳述した本実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の目標運転ポイントを設定するにあたり、パージ制御が必要なときにはパージ優先動作ライン上の運転ポイントが採用され、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントが採用されるため、瞬間的な燃費が最小となる運転ポイントを探索する場合と異なり、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で目標運転ポイントを設定することができる。また、パージ制御が必要なときに設定されるパージ優先動作ライン上の運転ポイントは、エンジン22のポンピングロスなどの影響により燃費が最適な状態とはいえないが、パージ制御が不要なときには燃費最適動作ライン上の運転ポイントが採用されるため、全体としては良好な燃費を確保することができる。したがって、パージ制御を適時実行しながら簡易な制御で良好な燃費を確保することができる。また、初回パージ完了条件が成立したあとにキャニスタ160に捕捉された蒸発燃料は再パージ制御により吸気管120aへ放出されるため、キャニスタ160の蒸発燃料を捕捉する能力が回復する。
上述した実施例では、ステップS450でエンジン22の運転が継続している状態で走行距離が所定距離以上になるか走行時間が所定時間以上になったときに再パージ制御が必要であると判定したが、このときの所定距離や所定時間(つまり要パージ領域の下限)を燃料タンク168の温度が高いほど小さな値になるようにしてもよい。燃料タンク168の温度が高いほど燃料タンク168内の蒸発燃料が増えるため、所定距離や所定時間を低くして再パージしやすくすることが好ましいからである。なお、燃料タンク168の温度は、燃料タンク168に取り付けた図示しない温度センサからの温度としてもよいし、外気温やエンジン22の水温センサ142からの温度から推定してもよい。
上述した実施例では、ステップS360で使用する閾値Aref1は、キャニスタ160に飽和状態で吸着した蒸発燃料をすべて吸気管120aへ放出するのに必要なパージガス量を実験などにより求めた値としたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、エンジン22の始動時にキャニスタ160に吸着していた蒸発燃料量(初期吸着燃料量)を推定し、推定した初期吸着燃料量が多いほど大きな値になるように設定してもよい。この場合、キャニスタ160に吸着した燃料量とその燃料量の燃料をすべて吸気管120aへ放出するのに必要なパージガス量との関係を予め実験などにより求め、推定した初期吸着燃料量に対応するパージガス量をその関係から導出することにより閾値Aref1を設定する。なお、初期吸着燃料量は、例えばパージ開始時における空燃比の変動を利用して求めることができる。
上述した実施例では、ステップS360で積算パージガス量Aが閾値Aref1に達したときにパージ完了条件が成立したとしたが、キャニスタ160から吸気管120aへの現在のパージガスの燃料濃度Cfが所定の少量領域(例えばゼロ)に達したときにパージ完了条件が成立したとしてもよい。
上述した実施例では、燃料タンク168とキャニスタ160とを繋ぐベーパ通路163を常に開放した状態としたが、図11に示すように非通電時に閉となり通電時に開となる封鎖弁165をベーパ通路163に設け、ハイブリッド自動車20の駐車中に燃料タンク168の図示しないリッドが開いたときに封鎖弁165へ通電することでベーパ通路163を開放し、燃料タンク168への給油作業が終了したあとリッドが閉じたときに封鎖弁165への通電を遮断することでベーパ通路163を封鎖してもよい。この封鎖弁165は、エンジンECU24により制御される。この場合、燃料タンク168への給油中は、燃料タンク168内の蒸発燃料がベーパ通路163を通ってキャニスタ160に放出されるため、良好な給油性が確保される。また、キャニスタ160に放出された蒸発燃料は、キャニスタ160に吸着されるため、大気に放出されることはない。こうした構成を備えたハイブリッド自動車20の燃料噴射量設定ルーチンのフローチャートを図12に示す。図12では、図9と比べてステップS340でパージ実行フラグFpが値0だったときに、給油直後か否かを判定し(ステップS342)、給油直後だったときにはパージ実行フラグFpに値1をセットし(ステップS350)、ステップS360で積算パージガス量Aが閾値Aref1以上になるまでステップS370〜S420の処理すなわちパージ制御とパージガスを考慮した燃料噴射量TAUの設定を行なう。一方、給油直後でなかったときにはステップS490及びステップS500の処理すなわちパージVSV166の閉鎖と燃料噴射量TAUへの通常の燃料噴射量TAUnの設定とを行ない、本ルーチンを終了する。この場合には、給油中以外は封鎖弁165を閉じているため、エンジン22を運転し続けた状態で走行したとしても燃料タンク168からキャニスタ160に蒸発燃料が放出されない。したがって、図9の再パージ制御に関する処理(ステップS440〜S480)は実行されない。このように図11の構成及び図12のフローチャートを採用することにより、パージ制御が必要となる期間は上述した実施例に比べて限定的になり、エンジン22を燃費最適動作ライン上の運転ポイントで運転する機会が増えるため、より良好な燃費を確保することができる。
上述した実施例では、吸気管圧力PMと吸気酸素センサ149からの出力値とに基づいて吸気管内ガスの燃料濃度Cfを求めるようにしたが、吸気酸素センサ149からの出力値を用いずに燃料濃度Cfを求めても構わない。例えば、燃料噴射弁126から通常の燃料噴射量TAUnを噴射したあとの空燃比センサ174からの空燃比Vafを用いて燃料濃度Cfを求めてもよい。具体的には、式(11)のように、実際に噴射した燃料噴射量TAUnとパージ燃料量tau(式(8)参照)との和で新規の吸入空気量Gaとパージ空気量ga(式(9)参照)との和を除した値が空燃比Vafとなるように燃料濃度Cfを求めてもよい。こうすれば、吸気酸素センサ149を吸気管120aに取り付ける必要がなくなる。
Vaf=(Ga+ga)/(TAUn+tau) …(11)
上述した実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図13の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図13における車輪64a,64bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
上述した実施例では、エンジン22や動力分配統合機構30,モータMG1,モータMG2,ハイブリッド用電子制御ユニット70などからなる動力出力装置をハイブリッド自動車に搭載するものとして説明したが、こうした動力出力装置を自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載するものとしてもよい。また、こうした動力出力装置を建設設備などの移動体以外の設備などに組み込むものとしてもよい。さらに、動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、燃料タンク168が「燃料タンク」に相当し、キャニスタ160が「蒸発燃料捕捉手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、3軸式の動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、ハイブリッド用電子制御ユニット70のROM74が「動作ライン記憶手段」に相当し、図3のステップS110〜S150の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72が「要求動力設定手段」及び「目標運転ポイント設定手段」に相当し、ハイブリッド用電子制御ユニット70やエンジンECU24,モータECU40が「制御手段」に相当する。「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、蒸発した燃料がそのまま大気へ放出されるのを防止する必要のあるものであれば如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「蒸発燃料捕捉手段」としては、キャニスタ160に限定されるものではなく、内燃機関への燃料を貯留する燃料タンク内の蒸発燃料を捕捉するものであれば如何なるものとしても構わない。「発電機」及び「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1及びモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「動作ライン記憶手段」としては、動作ラインを記憶可能な媒体であれば如何なるものでも構わない。「要求動力設定手段」及び「目標運転ポイント設定手段」としては、一つのCPUが要求動力や目標運転ポイントを設定してもよいが、複数のCPUが処理を分担するようにしても構わない。「制御手段」も、一つのCPUが内燃機関、電動機及び発電機のすべてを制御すると共にパージ制御も実行するようにしてもよいし、複数のCPUが適宜処理を分担するようにしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、動力出力装置や車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例である動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の一例を示す構成図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 バッテリ50における電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の燃費最適動作ラインとパージ優先動作ラインの一例を示す説明図である。 動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を説明する説明図である。 エンジンECU24により実行される燃料噴射量設定ルーチンのフローチャートである。 吸気管圧力PMと吸気酸素センサ149の出力値との関係を示す説明図である。 変形例のキャニスタ160及びその周辺部材を示す構成図である。 変形例の燃料噴射量設定ルーチンのフローチャートである。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、120 吸気通路、120a 吸気管、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、129 排気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、136 スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、144 カムポジションセンサ、145 スロットルバルブポジションセンサ、146 エアフロメータ、147 温度センサ、148 吸気管圧力センサ、149 吸気酸素センサ、150 可変バルブタイミング機構、160 キャニスタ、162 パージ通路、163 ベーパ通路、164 大気導入口、165 封鎖弁、166 パージVSV、168 燃料タンク、170 排気通路、172 浄化装置、174 空燃比センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (9)

  1. 内燃機関と、
    前記内燃機関へ供給する燃料を貯留する燃料タンクと、
    前記燃料タンク内の蒸発燃料を捕捉し該捕捉した蒸発燃料を前記内燃機関の吸気管へ放出可能な蒸発燃料捕捉手段と、
    駆動軸に動力を出力可能な電動機と、
    前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
    前記回転軸を介して入力される動力で発電可能な発電機と、
    前記内燃機関の回転数とトルクとを表す運転ポイントを設定するのに用いられる動作ラインとして、前記内燃機関を最適な燃費で運転可能な燃費最適動作ライン及び該燃費最適動作ライン上の任意の運転ポイントに対し同じ動力を出力可能で回転数が大きくトルクが小さくなるように設定されたパージ優先動作ラインを記憶する動作ライン記憶手段と、
    前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、
    前記蒸発燃料捕捉手段によって捕捉された蒸発燃料を前記吸気管の負圧を利用して該吸気管へ放出するパージ制御の要否を判定し、前記パージ制御が必要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記パージ優先動作ライン上の運転ポイントに設定し、前記パージ制御が不要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記燃費最適動作ライン上の運転ポイントに設定する目標運転ポイント設定手段と、
    前記設定された要求動力と前記内燃機関の目標運転ポイントとに基づいて前記内燃機関、前記電動機及び前記発電機を制御すると共に前記パージ制御が必要なときには前記パージ制御を実行する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 前記目標運転ポイント設定手段は、前記内燃機関の始動後に初めてパージ実行条件が成立したときからパージ完了条件が成立するまでは前記パージ制御が必要と判定し、前記パージ完了条件が成立した時点で前記パージ制御が不要と判定する、
    請求項1に記載の動力出力装置。
  3. 車両に搭載された請求項2に記載の動力出力装置であって、
    前記蒸発燃料捕捉手段は、前記燃料タンクと常時連通しており、
    前記目標運転ポイント設定手段は、前記パージ完了条件が成立した後、前記内燃機関の運転が継続されて前記車両の走行距離及び走行時間の少なくとも一方が要パージ領域に達するという再パージ実行条件が成立したときから再パージ完了条件が成立するまでは前記パージ制御が必要と判定し、前記再パージ完了条件が成立した時点で前記パージ制御が不要と判定する、
    動力出力装置。
  4. 前記目標運転ポイント設定手段は、前記燃料タンクの温度が高いほど前記要パージ領域の下限が低くなるように変更する、
    請求項3に記載の動力出力装置。
  5. 前記蒸発燃料捕捉手段は、給油時のみ前記燃料タンクとの連通が許容され給油時以外は前記燃料タンクとの連通が遮断される手段であり、
    前記目標運転ポイント設定手段は、前記内燃機関の給油直後且つ始動後に初めてパージ実行条件が成立したときからパージ完了条件が成立するまでは前記パージ制御が必要と判定し、前記パージ完了条件が成立した時点で前記パージ制御が不要と判定する、
    請求項1に記載の動力出力装置。
  6. 前記パージ完了条件は、前記パージ制御により前記蒸発燃料捕捉手段から前記吸気管へ放出した積算パージガス量が所定の多量領域に達したときである、
    請求項2〜5のいずれか1項に記載の動力出力装置。
  7. 前記パージ完了条件は、前記パージ制御により前記蒸発燃料捕捉手段から前記吸気管へ放出される現在のパージガスの燃料濃度が所定の少量領域に達したときである、
    請求項2〜5のいずれか1項に記載の動力出力装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる車両。
  9. 内燃機関と、前記内燃機関へ供給する燃料を貯留する燃料タンクと、前記燃料タンク内の蒸発燃料を捕捉し該捕捉した蒸発燃料を前記内燃機関の吸気管へ放出可能な蒸発燃料捕捉手段と、駆動軸に動力を出力可能な電動機と、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸を介して入力される動力で発電可能な発電機と、前記内燃機関の回転数とトルクとを表す運転ポイントを設定するのに用いられる動作ラインとして、前記内燃機関を最適な燃費で運転可能な燃費最適動作ライン及び該燃費最適動作ライン上の任意の運転ポイントに対し同じ動力を出力可能で回転数が大きくトルクが小さくなるように設定されたパージ優先動作ラインを記憶する動作ライン記憶手段と、を備える動力出力装置のコンピュータ・ソフトウェアによる制御方法であって、
    (a)前記駆動軸に要求される要求動力を設定するステップと、
    (b)前記蒸発燃料捕捉手段によって捕捉された蒸発燃料を前記吸気管の負圧を利用して該吸気管へ放出するパージ制御の要否を判定し、前記パージ制御が必要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記パージ優先動作ライン上の運転ポイントに設定し、前記パージ制御が不要なときには前記内燃機関の目標運転ポイントを前記燃費最適動作ライン上の運転ポイントに設定するステップと、
    (c)前記ステップ(a)及び(b)でそれぞれ設定した要求動力と前記内燃機関の目標運転ポイントとに基づいて前記内燃機関、前記電動機及び前記発電機を制御すると共に前記パージ制御が必要なときには前記パージ制御を実行するステップと、
    を含む動力出力装置の制御方法。
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