JP2017031355A - ビードインシュレーション用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックを配合して発熱性を低減しながらゴム硬度および加工性を維持・向上するようにしたビードインシュレーション用ゴム組成物を提供する。【解決手段】天然ゴムを30質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを80質量部以上、無機充填剤を20質量部以上配合し、前記カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が100〜180質量部であり、前記カーボンブラックのうち10質量%以上が、窒素吸着比表面積N2SAが90m2/g以下、圧縮DBP吸収量(24M4)が95〜120ml/100g、カーボンブラック凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dst(nm)およびその半値幅ΔDst(nm)の比ΔDst/Dstが0.65以上であり、前記N2SA、(24M4)およびDstが次式;(24M4)/Dst<0.0093×N2SA−0.06を満たすことを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックを配合することにより発熱性を低減しながらゴム硬度および加工性を維持・向上するようにしたビードインシュレーション用ゴム組成物に関する。
空気入りタイヤのビードコアは、インシュレーションゴムで被覆したスチールワイヤ(ビードワイヤ)を巻回して構成される。このインシュレーションゴムには、ビードワイヤを束ね一体化するためゴム硬度が高いこと、ビードワイヤとの良好な接着性を確保するためインシュレーション加工性に優れることが求められる。
一般にビードインシュレーション用ゴム組成物には、ゴム硬度を高くするためカーボンブラックや無機充填剤が多量に配合される。しかしこれに伴いゴム組成物の発熱性や引張り破断伸びが悪化するとともに、粘度が増大しビードワイヤに対するインシュレーション加工性が悪化し、品質のばらつきが大きくなるという問題があった。またインシュレーション加工性を改良するため、カーボンブラックの配合量を減らしたりオイル成分を増量したりするとゴム硬度が低下するため、高いゴム硬度と良好なインシュレーション加工性を両立することは困難であった。
特許文献1は、超高分子量ポリエチレンを配合したビードインシュレーション用ゴム組成物を提案する。しかし空気入りタイヤの高性能化に伴い、ビードインシュレーション用ゴム組成物にはゴム硬度およびインシュレーション加工性をより高い次元で両立させることが求められている。
本発明の目的は、特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックを配合することにより発熱性を低減しながらゴム硬度および加工性を維持・向上するようにしたビードインシュレーション用ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物は、天然ゴムを30質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを80質量部以上、無機充填剤を20質量部以上配合し、前記カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が100〜180質量部であり、前記カーボンブラックのうち10質量%以上が、窒素吸着比表面積N2SAが90m2/g以下、圧縮DBP吸収量(24M4)が95〜120ml/100g、カーボンブラック凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dst(nm)およびその半値幅ΔDst(nm)の比ΔDst/Dstが0.65以上であり、前記N2SA、(24M4)およびDstが下記の式(1)を満たすことを特徴とする。
(24M4)/Dst<0.0093×N2SA−0.06 (1)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)、N2SAは窒素吸着比表面積(m2/g)、(24M4)は圧縮DBP吸収量(ml/100g)である。)
(24M4)/Dst<0.0093×N2SA−0.06 (1)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)、N2SAは窒素吸着比表面積(m2/g)、(24M4)は圧縮DBP吸収量(ml/100g)である。)
本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物は、天然ゴムを30質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積N2SAが90m2/g以下、圧縮DBP吸収量(24M4)が95〜120ml/100g、カーボンブラック凝集体のストークス径の質量分布曲線における比ΔDst/Dstが0.65以上、かつ前記式(1)の関係を満たすカーボンブラックを10質量%以上含むカーボンブラックを80質量部以上、無機充填剤を20質量部以上配合し、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が100〜180質量部にするようにしたので、ゴム組成物の発熱性を小さくしながら、ゴム硬度および加工性を維持・向上することができる。
前記カーボンブラックのDstは、160nm以上であることが好ましい。またカーボンブラックのN2SAが、50m2/g以上であることが好ましい。
ビードインシュレーション用ゴム組成物でビードワイヤを被覆してなるビードインシュレーションは、発熱性が小さく、硬度が高いことに加え、インシュレーション性などの成形加工性に優れる。
本発明のビードインシュレーションを使用した空気入りタイヤは、発熱性を小さくし転がり抵抗を低くしながら、従来レベル以上に操縦安定性およびタイヤ耐久性を向上することができる。
本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物において、ジエン系ゴムは、天然ゴムを必ず含む。天然ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、30質量%以上、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは60〜80質量%である。天然ゴムの含有量が30質量%未満であると引張り破断伸びが低下し、発熱性が大きくなる。
本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物は、ジエン系ゴムとして天然ゴム以外の他のジエン系ゴムを配合することができる。他のジエン系ゴムとしては、例えばイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム等を例示することができる。なかでもイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴムがよい。これらジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。他のジエン系ゴムの含有量は、ジエン系ゴム100質量%中、70質量%以下、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
本発明のゴム組成物において、上述したジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを80質量部以上、無機充填剤を20質量部以上配合し、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計を100〜180質量部にする。
無機充填剤は、ジエン系ゴム100質量部に対し20質量部以上、好ましくは20〜100質量部、より好ましくは30〜80質量部配合する。無機充填剤の配合量が20質量部未満であると、ビードインシュレーション性が低下する。また無機充填剤の配合量が100質量部を超えると、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が180質量部を超えるので引張り破断伸びが低下する。
無機充填剤として、シリカ、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を例示することができる。なかでもシリカ、炭酸カルシウム、クレー等が好ましい。とりわけ炭酸カルシウムを配合することにより、ビードインシュレーション性を良化することができる。
本発明において、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計をジエン系ゴム100質量部に対し100〜180質量部、好ましくは100〜150質量部、より好ましくは100〜130質量部にする。カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が100質量部未満であるとゴム硬度が不足する。またカーボンブラックおよび無機充填剤の合計が180質量部を超えると発熱性が大きくなり、引張り破断伸びが低下する虞がある。また成形加工性が悪化する。
カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し80質量部以上、好ましくは80〜160質量部、より好ましくは80〜120質量部である。カーボンブラックの配合量が80質量部未満であると、ビードインシュレーション性が低下する。またカーボンブラックの配合量が160質量部を超えると、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が180質量部を超えるので引張り破断伸びが低下する。
本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物では、カーボンブラックのうち10質量%以上のカーボンブラックが、特定の窒素吸着比表面積N2SAおよび圧縮DBP吸収量(24M4)を有し、かつ凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dstおよびその半値幅ΔDstの比ΔDst/Dst並びにDst/(24M4)とN2SAとの関係を限定した新規のカーボンブラックである。この新規のカーボンブラックを配合することにより、粒子径が大きいカーボンブラックを用いてゴム組成物の発熱性を小さくしながら、引張り破断強度、引張り破断伸びおよびゴム硬度などの機械的特性を悪化させることがない。また成形加工性を維持、向上することができる。
本発明で使用するカーボンブラックは、窒素吸着比表面積N2SAが90m2/g以下、好ましくは50〜90m2/g、より好ましくは55〜85m2/gである。N2SAが90m2/gを超えると、発熱性が大きくなる。本明細書においてカーボンブラックのN2SAは、JIS K6217−7に準拠して、測定するものとする。
また、カーボンブラックの圧縮DBP吸収量(24M4)は、95〜120ml/100gであり、好ましくは100〜115ml/100gである。圧縮DBP吸収量が95ml/100g未満であると発熱性が大きくなる。またゴム組成物の成形加工性が低下しカーボンブラックの分散性が悪化するのでカーボンブラックの補強性能が十分に得られない。圧縮DBP吸収量が120ml/100gを超えると、ゴム硬度が悪化する。またゴム組成物の粘度が上昇するので加工性が悪化する。圧縮DBP吸収量は、JIS K6217−4に準拠し附属書Aに記載された圧縮試料を用いて測定するものとする。
本発明で使用するカーボンブラックは、上述した窒素吸着比表面積N2SAおよび圧縮DBP吸収量(24M4)を有すると共に、凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dstおよびその半値幅ΔDstに関し以下の関係を有する。
本発明において、カーボンブラックの凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dst(nm)に対する前記質量分布曲線の半値幅ΔDst(nm)の比ΔDst/Dstが0.65以上、好ましくは0.70以上である。比ΔDst/Dstを0.65以上にすることにより、発熱を小さくすることができる。本明細書において、凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dstは、カーボンブラックを遠心沈降させ、光学的に得た凝集体のストークス径の質量分布曲線における最大頻度のモード径をいう。また半値幅ΔDstは凝集体質量分布曲線において、その頻度が最大点の半分の高さのときの分布の幅をいう。本発明において、DstおよびΔDstはJIS K6217−6ディスク遠心光沈降法による凝集体分布の求め方に準拠して、測定するものとする。
本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物は、窒素吸着比表面積N2SA、圧縮DBP吸収量(24M4)およびDstが下記の式(1)を満たす。
(24M4)/Dst<0.0093×N2SA−0.06 (1)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)、N2SAは窒素吸着比表面積(m2/g)、(24M4)は圧縮DBP吸収量(ml/100g)である。)
(24M4)/Dst<0.0093×N2SA−0.06 (1)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)、N2SAは窒素吸着比表面積(m2/g)、(24M4)は圧縮DBP吸収量(ml/100g)である。)
カーボンブラックが上述した特定された範囲内のN2SA、圧縮DBP吸収量および比ΔDst/Dstを有し、かつ(24M4)/DstおよびN2SAが前記式(1)を満たすことにより、ゴム組成物の発熱性を小さくしながら、引張り破断強度、引張り破断伸び、ゴム硬度および耐摩耗性などの機械的特性を維持・向上することができる。
図1は、ASTM規格番号を有する代表的なカーボンブラックであるASTMグレードについて、その(24M4)/DstとN2SAの関係を示すグラフである。図1において、横軸はN2SA(m2/g)、縦軸は(24M4)/Dst(ml/100g/nm)である。図1に示す通り、従来の規格化されたカーボンブラックブラックの(24M4)/DstはN2SAに対し概ね1次直線(図1の破線)で表され、その傾きは約0.0093、切片は0.0133である。
これに対し、本発明で使用するカーボンブラックでは、N2SAに対し、アグリゲート特性の比(24M4)/Dstの上限が、前記式(1)により制限されている。この境界線(前記式(1)の不等号を等号にした一次直線)を図2に実線で記載した。また本願明細書の実施例で使用するカーボンブラックを○印でプロットした。なお図2の破線はASTMグレードのカーボンブラックブラックから求められた1次直線である。アグリゲート特性の比(24M4)/DstおよびN2SAがこの関係を満たすことにより、ゴム硬度および加工性を優れたものにすることができる。
本発明において、前記式(1)で特定されるカーボンブラックは、上述した範囲のN2SA、圧縮DBP吸収量(24M4)および比ΔDst/Dstを有するとき、ゴム組成物の発熱性を小さくしながら、引張り破断強度、引張り破断伸び、ゴム硬度、耐摩耗性などの機械的特性を維持・向上し、ビードインシュレーションの加工性を優れたものにすることができる。
本発明で使用するカーボンブラックのDstは、特に制限されるものではないが、好ましくは160nm以上、好ましくは170nm以上であるとよい。Dstが160nm未満であると、ゴム組成物の発熱性が大きくなる虞がある。
上述した特性を有するカーボンブラックは、例えば、カーボンブラック製造炉における原料油導入条件、全空気の供給量、燃料油及び原料油の導入量、反応時間(最終原料油導入位置から反応停止までの燃焼ガスの滞留時間)などの製造条件を調整して製造することができる。
本発明において、カーボンブラックとしては、上述した特性を有するカーボンブラックと、その他のカーボンブラックを共に使用することができる。このとき、特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックが占める割合が10質量%以上にするものとし、カーボンブラックの合計をジエン系ゴム100質量部に対し、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜40質量%にする。このように特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックが占める割合を10質量%以上にすることにより、ゴム組成物の発熱性と、加工性およびゴム硬度とのバランスを調整することができる。
ビードインシュレーション用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、各種無機充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのビードインシュレーション用ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混合することによって製造することができる。
本発明のビードインシュレーション用ゴム組成物は、空気入りタイヤにおけるビードコアに好適に使用することができる。とくにビードコアに本発明のゴム組成物を使用した空気入りタイヤは、発熱性を小さくし転がり抵抗を低くしながら、ゴム硬度を高いレベルで確保しタイヤ耐久性を優れたものにすることができる。またスチールワイヤのインシュレーション加工性を改良したゴム組成物を使用するため高品質の空気入りタイヤを安定的に得ることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
11種類のカーボンブラック(CB−1〜CB−11)を使用して17種類のゴム組成物(実施例1〜4、標準例、比較例1〜12)を調製した。このうち3種類のカーボンブラック(CB−1〜CB−3)は市販グレード、8種類のカーボンブラック(CB−4〜CB−11)は試作品であり、それぞれのコロイダル特性を表1に示した。また図3において、各カーボンブラックCB−1〜CB−11の(24M4)/DstとN2SAの関係をプロットすると共に、それぞれのカーボンブラックを参照する番号を付した。なお図3において実線は式(1)を等号にしたときの直線、破線はカーボンブラックのASTMグレードに相当する1次直線である。
表1において、各略号はそれぞれ下記のコロイダル特性を表わす。
・N2SA:JIS K6217−7に基づいて測定された窒素吸着比表面積
・24M4:JIS K6217−4(圧縮試料)に基づいて測定された圧縮DBP吸収量
・Dst:JIS K6217−6に基づいて測定されたディスク遠心光沈降法による凝集体のストークス径の質量分布曲線の最大値であるモード径
・△Dst:JIS K6217−6に基づいて測定されたディスク遠心光沈降法による凝集体のストークス径の質量分布曲線において、その質量頻度が最大点の半分の高さのときの分布の幅(半値幅)
・△Dst/Dst:比△Dst/Dstの値
・式(1)の左辺 (24M4)/Dstの計算値
・式(1)の右辺 0.0093×N2SA−0.06の計算値
・式(1)の成否:左辺<右辺が成立するときが○、成立しないときを×で表す。
・N2SA:JIS K6217−7に基づいて測定された窒素吸着比表面積
・24M4:JIS K6217−4(圧縮試料)に基づいて測定された圧縮DBP吸収量
・Dst:JIS K6217−6に基づいて測定されたディスク遠心光沈降法による凝集体のストークス径の質量分布曲線の最大値であるモード径
・△Dst:JIS K6217−6に基づいて測定されたディスク遠心光沈降法による凝集体のストークス径の質量分布曲線において、その質量頻度が最大点の半分の高さのときの分布の幅(半値幅)
・△Dst/Dst:比△Dst/Dstの値
・式(1)の左辺 (24M4)/Dstの計算値
・式(1)の右辺 0.0093×N2SA−0.06の計算値
・式(1)の成否:左辺<右辺が成立するときが○、成立しないときを×で表す。
また表1において、カーボンブラックCB1〜CB3は、それぞれ以下の市販グレードを表わす。
・CB1:新日化カーボン社製ニテロン#200IS、N339
・CB2:東海カーボン社製シースト300、N326
・CB3:新日化カーボン社製ニテロン#10N、N550
・CB1:新日化カーボン社製ニテロン#200IS、N339
・CB2:東海カーボン社製シースト300、N326
・CB3:新日化カーボン社製ニテロン#10N、N550
カーボンブラックCB4〜CB11の製造
円筒反応炉を使用して、表2に示すように全空気供給量、燃料油導入量、原料油導入量、反応時間を変えて、カーボンブラックCB4〜CB11を製造した。
円筒反応炉を使用して、表2に示すように全空気供給量、燃料油導入量、原料油導入量、反応時間を変えて、カーボンブラックCB4〜CB11を製造した。
ビードインシュレーション用ゴム組成物の調製及び評価
上述した11種類のカーボンブラック(CB1〜CB11)を用いて、表5の配合剤を共通に添加した、表3,4に示す配合からなる17種類のゴム組成物(実施例1〜4、標準例、比較例1〜12)を調製するに当たり、それぞれ硫黄及び加硫促進剤を除く成分を秤量し、55Lのニーダーで15分間混練した後、そのマスターバッチを放出し室温冷却した。このマスターバッチを55Lのニーダーに供し、硫黄及び加硫促進剤を加え、混合しビードインシュレーション用ゴム組成物を得た。なお、表5に記載の配合剤の量は、表3,4に記載のジエン系ゴム100質量部に対する質量部で記載した。
上述した11種類のカーボンブラック(CB1〜CB11)を用いて、表5の配合剤を共通に添加した、表3,4に示す配合からなる17種類のゴム組成物(実施例1〜4、標準例、比較例1〜12)を調製するに当たり、それぞれ硫黄及び加硫促進剤を除く成分を秤量し、55Lのニーダーで15分間混練した後、そのマスターバッチを放出し室温冷却した。このマスターバッチを55Lのニーダーに供し、硫黄及び加硫促進剤を加え、混合しビードインシュレーション用ゴム組成物を得た。なお、表5に記載の配合剤の量は、表3,4に記載のジエン系ゴム100質量部に対する質量部で記載した。
上記で得られた17種類のゴム組成物を、所定の金型中で、160℃、20分間加硫して試験片を作製し、下記に示す方法によりゴム硬度、60℃のtanδおよび引張り破断伸び接着性の評価を行った。また各ゴム組成物のムーニー粘度を下記に示す方法により測定した。さらにビードインシュレーション用ゴム組成物のスチールワイヤに対するインシュレーション加工を下記に示す方法により評価した。
験を行った。
験を行った。
ゴム硬度
ゴム硬度は、得られた試験片を用いてJIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数として表3,4の「ゴム硬度」の欄に示した。この指数が大きいほどゴム硬度が大きく、タイヤにしたとき操縦安定性およびタイヤ耐久性が優れることを意味する。
ゴム硬度は、得られた試験片を用いてJIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数として表3,4の「ゴム硬度」の欄に示した。この指数が大きいほどゴム硬度が大きく、タイヤにしたとき操縦安定性およびタイヤ耐久性が優れることを意味する。
60℃のtanδ
得られた試験片をJIS K6394に準拠して、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で、温度60℃における損失正接tanδを測定した。得られたtanδの結果は、標準例の値を100とする指数として表3,4の「発熱性」の欄に示した。発熱性の指数が小さいほど発熱性が小さく、タイヤにしたとき転がり抵抗を小さくすることを意味する。
得られた試験片をJIS K6394に準拠して、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で、温度60℃における損失正接tanδを測定した。得られたtanδの結果は、標準例の値を100とする指数として表3,4の「発熱性」の欄に示した。発熱性の指数が小さいほど発熱性が小さく、タイヤにしたとき転がり抵抗を小さくすることを意味する。
引張り破断伸び
得られた試験片を使用し、JIS K6251に準拠して、ダンベルJIS3号形試験片を作製し、室温(20℃)で500mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、破断したときの引張り伸びを測定した。得られた結果は、標準例の値を100にする指数として表3,4の「引張り破断伸び」の欄に記載した。この指数が大きいほど引張り破断伸びが大きく、スチールコードに対する接着性が優れることを意味する。
得られた試験片を使用し、JIS K6251に準拠して、ダンベルJIS3号形試験片を作製し、室温(20℃)で500mm/分の引張り速度で引張り試験を行い、破断したときの引張り伸びを測定した。得られた結果は、標準例の値を100にする指数として表3,4の「引張り破断伸び」の欄に記載した。この指数が大きいほど引張り破断伸びが大きく、スチールコードに対する接着性が優れることを意味する。
ムーニー粘度
スチールコード被覆用ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4)を、JIS K6300に準拠してムーニー粘度計にてL型ロータを使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、温度100℃、2rpmの条件で測定した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数として表3,4の「ムーニー粘度」の欄に示した。この「ムーニー粘度」の指数が小さいほどムーニー粘度が低く、成形加工性が優れることを意味する。
スチールコード被覆用ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4)を、JIS K6300に準拠してムーニー粘度計にてL型ロータを使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、温度100℃、2rpmの条件で測定した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数として表3,4の「ムーニー粘度」の欄に示した。この「ムーニー粘度」の指数が小さいほどムーニー粘度が低く、成形加工性が優れることを意味する。
スチールワイヤのインシュレーション加工性
浜ゴムエンジニアリング社製押出機を使用し、得られたスチールコード被覆用ゴム組成物を100℃で押出しながら、直径1.60mmのスチールワイヤに連続的に被覆させた。このときのスチールワイヤに対するゴムの被覆率と表面凹凸を観察し、スチールワイヤへのゴム被覆率(ゴム付[%])を目視で測定した。得られた結果は、標準の値を100とする指数として表3,4の「インシュレーション性」の欄に示した。この指数が大きいほどスチールワイヤに対するインシュレーション加工性が優れることを意味する。
浜ゴムエンジニアリング社製押出機を使用し、得られたスチールコード被覆用ゴム組成物を100℃で押出しながら、直径1.60mmのスチールワイヤに連続的に被覆させた。このときのスチールワイヤに対するゴムの被覆率と表面凹凸を観察し、スチールワイヤへのゴム被覆率(ゴム付[%])を目視で測定した。得られた結果は、標準の値を100とする指数として表3,4の「インシュレーション性」の欄に示した。この指数が大きいほどスチールワイヤに対するインシュレーション加工性が優れることを意味する。
表3,4において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、STR20
・SBR:スチレン−ブタジエンゴム、日本ゼオン社製NIPOL 1502
・炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製MSK−V
・カーボンブラック−A:東海カーボン社製シーストV、N660、N2SAが35m2/g、24M4が75ml/100g、Dstが229nm、△Dst/Dstが0.91
・カーボンブラック−B:CB1〜CB11、上述した表1に示したカーボンブラック
・NR:天然ゴム、STR20
・SBR:スチレン−ブタジエンゴム、日本ゼオン社製NIPOL 1502
・炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製MSK−V
・カーボンブラック−A:東海カーボン社製シーストV、N660、N2SAが35m2/g、24M4が75ml/100g、Dstが229nm、△Dst/Dstが0.91
・カーボンブラック−B:CB1〜CB11、上述した表1に示したカーボンブラック
表5において使用した原材料の種類を下記に示す。
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・加硫促進剤:FLEXSYS社製SANTOCURE CBS
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24重量%)
・ステアリン酸:日油社製ビーズステアリン酸
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・加硫促進剤:FLEXSYS社製SANTOCURE CBS
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄(硫黄の含有量95.24重量%)
表3から明らかなように実施例1〜4のビードインシュレーション用ゴム組成物は、ゴム硬度、発熱性(60℃のtanδ)、引張り破断伸び、ムーニー粘度およびビードインシュレーション性が従来レベル以上に維持・向上することが確認された。
表3から明らかなように、比較例1のゴム組成物は、カーボンブラックCB−1の窒素吸着比表面積N2SAが90m2/gを超え、圧縮DBP吸収量(24M4)が95ml/100g未満、かつ式(1)を満たさないため、引張り破断伸びが劣る。
比較例2のゴム組成物は、カーボンブラックCB−2の圧縮DBP吸収量(24M4)が95ml/100g未満、かつ式(1)を満たさないため、引張り破断伸び、ムーニー粘度およびビードインシュレーション性が劣る。
比較例3のゴム組成物は、カーボンブラックCB−3の圧縮DBP吸収量(24M4)が95ml/100g未満、かつ式(1)を満たさないため、ゴム硬度、引張り破断伸びが劣る。
比較例4のゴム組成物は、カーボンブラックCB−4が式(1)を満たさないため、引張り破断伸びが劣る。
比較例5のゴム組成物は、カーボンブラックCB−9の圧縮DBP吸収量(24M4)が95ml/100g未満、かつ式(1)を満たさないため、ゴム硬度、引張り破断伸びが劣る。
比較例6のゴム組成物は、カーボンブラックCB−10の窒素吸着比表面積N2SAが90m2/gを超え、かつ式(1)を満たさないため、発熱性、ムーニー粘度およびビードインシュレーション性が劣る。
比較例7のゴム組成物は、カーボンブラックCB−11の窒素吸着比表面積N2SAが90m2/gを超えるので、発熱性、ムーニー粘度およびビードインシュレーション性が劣る。
比較例8のゴム組成物は、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が180質量部を超えるので、発熱性が大きくなり、引張り破断伸びが悪化する。またムーニー粘度も増大し、ビードインシュレーション性も悪化する。
比較例9のゴム組成物は、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が100質量部未満であるので、ゴム硬度が悪化する。
比較例10のゴム組成物は、無機充填剤の配合量が20質量部未満であるので、ムーニー粘度およびビードインシュレーション性が劣る。
比較例11のゴム組成物は、無機充填剤の配合量が90質量部と多く、カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が180質量部を超えるので、発熱性、引張り破断伸び、ムーニー粘度およびビードインシュレーション性が劣る。
比較例12のゴム組成物は、天然ゴムの含有量が30質量%未満であるので、発熱性が大きくなり、引張り破断伸びが悪化する。
Claims (5)
- 天然ゴムを30質量%以上含むジエン系ゴム100質量部に対し、カーボンブラックを80質量部以上、無機充填剤を20質量部以上配合し、前記カーボンブラックおよび無機充填剤の合計が100〜180質量部であり、前記カーボンブラックのうち10質量%以上が、窒素吸着比表面積N2SAが90m2/g以下、圧縮DBP吸収量(24M4)が95〜120ml/100g、カーボンブラック凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径Dst(nm)およびその半値幅ΔDst(nm)の比ΔDst/Dstが0.65以上であり、前記N2SA、(24M4)およびDstが下記の式(1)を満たすことを特徴とするビードインシュレーション用ゴム組成物。
(24M4)/Dst<0.0093×N2SA−0.06 (1)
(ただし、Dstは凝集体のストークス径の質量分布曲線におけるモード径(nm)、N2SAは窒素吸着比表面積(m2/g)、(24M4)は圧縮DBP吸収量(ml/100g)である。) - 前記Dstが、160nm以上であることを特徴とする請求項1に記載のビードインシュレーション用ゴム組成物。
- 前記N2SAが、50m2/g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のビードインシュレーション用ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のビードインシュレーション用ゴム組成物でビードワイヤを被覆してなるビードインシュレーション。
- 請求項4に記載のビードインシュレーションを使用した空気入りタイヤ。
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---|---|---|---|---|
WO2020145275A1 (ja) * | 2019-01-10 | 2020-07-16 | 株式会社ブリヂストン | スチールコード・ゴム複合体、タイヤ、クローラ、コンベアベルト及びホース |
US11597847B2 (en) | 2017-12-18 | 2023-03-07 | Sakata Inx Corporation | Plasma-curable offset printing ink composition, method for producing printed matter using same, and printing method |
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2015
- 2015-08-04 JP JP2015154449A patent/JP2017031355A/ja active Pending
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