JP2017031142A - ジシアノ化合物の製造方法 - Google Patents

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恵輔 木村
大森 潔
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賢和 中河
Yoshikazu Nakagawa
賢和 中河
浩輔 西村
Kosuke Nishimura
浩輔 西村
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Abstract

【課題】本発明の課題は、過剰なシアン化物を使用することなく、高収率で高純度なジシアノ化合物を製造することである。【解決手段】オニウム塩及び下記一般式(2)で示される化合物を含む溶液に対し、シアン化物及び/又はその水溶液を複数回に分けて添加する、ジシアノ化合物の製造方法。Y−Z−Y (2)(Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。Yは、ハロゲン原子、硫黄化合物残基であり、2つのYは互いに同一でも異なっていてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、ジシアノ化合物の製造方法に関する。
ジシアノ化合物は、ジカルボン酸、ジアミン、ジエステル、ジアミド等の中間原料として有用な化合物である。中でも1,6−ジシアノヘキサン(1,6-Dicyanohexane)は、スベロニトリル(Suberonitrile)とも称され、前述の中間原料として有用な化合物である。
これまで、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドを用いた、1,6−ジシアノヘキサンの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドを合成した後、触媒としてこのまま使用し、1,6−ジシアノヘキサンを製造する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、ハロゲン化アルキル化合物を、アンモニア水と、ヨウ素化剤と反応させることにより、1,6−ジシアノヘキサンを製造する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許第2104384号 特許第4571740号 特許第5136987号
しかし、特許文献1や特許文献3の製造方法においては、反応収率が高いものでも80〜90%であり、工業的に十分なものではなかった。一方、特許文献2では、90%以上の収率で、1,6−ジシアノヘキサンの製造に成功しているが、1,6−ジクロロヘキサン1モルに対し、シアン化ナトリウムを3.0モル以上添加しており、有毒で排水処理に負荷の大きいシアン化廃液の量が増大するという課題があった。
また、シアン化物を添加した際、発熱することがあり、この発熱により、副反応が進行することで、ジシアノ化合物の反応選択率の低下が起こるという課題もあった。例えば、1,5−ジクロロペンタンを使用した場合、下記式のような副反応の進行が予想される。
得られるジシアノ化合物の純度も工業的に好適なものではなかった。医農薬や機能性材料の中間体として用いる場合、少量の不純物が最終製品全体の品質に大きく影響を及ぼし得るため、高純度な中間体を製造することは、極めて重要である。
以上より、本発明の課題は、過剰なシアン化物を使用することなく、高収率で高純度なジシアノ化合物を製造することである。
本発明は以下の事項に関する。
1.下記一般式(1)で示されるオニウム塩及び下記一般式(2)で示される化合物を含む溶液に対し、シアン化物及び/又はその水溶液を複数回に分けて添加する、下記一般式(3)で示されるジシアノ化合物の製造方法。
(1)
(Aはオニウムイオンを示し、分子中に孤立電子対を有する元素が含まれ、配位結合により、陽イオン化した化合物である。また、Xはハロゲン原子を示す。)
Y−Z−Y (2)
(Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。Yは、ハロゲン原子、下記一般式(4)で示される基、又は下記一般式(5)で示される基であり、2つのYは互いに同一でも異なっていてもよい。)

(Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基を示す。)

(Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数5〜10のアリール基を示す。)
NC−Z−CN (3)
(Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)
2.オニウム塩が下記一般式(6)で示されるテトラアルキルアンモニウムハライドである、前記1に記載のジシアノ化合物の製造方法。

(Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、Xはハロゲン原子を示す。)
3.オニウム塩、下記一般式(2)で示される化合物及びシアン化物を含む溶液を80〜130℃まで昇温させることにより行う、前記1又は2に記載のジシアノ化合物の製造方法。
Y−Z−Y (2)
(Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。Yは、ハロゲン原子、下記一般式(4)で示される基、又は下記一般式(5)で示される基であり、2つのYは互いに同一でも異なっていてもよい。)

(Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基を示す。)

(Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数5〜10のアリール基を示す。)
4.反応後、得られた反応液を精製し、さらに溶液を蒸留精製する、前記1〜3のいずれか一つに記載のジシアノ化合物の製造方法。
5.反応後の蒸留の圧力を0.1kPa〜15kPa、温度を100℃〜280℃とする、前記4に記載のジシアノ化合物の製造方法。
6.一般式(2)で示される化合物が1,6−ジクロロヘキサンであり、一般式(3)で示される化合物が1,6−ジシアノヘキサンである、前記1〜5のいずれか一つに記載のジシアノ化合物の製造方法。
本発明によれば、90%以上の高い反応収率でジシアノ化合物を合成することができる。また、過剰なシアン化物を使用する必要がないため、シアン化物の排水量を削減することが可能となる。さらに、一般的に知られた設備を用いて、高純度なジシアノ化合物を製造することができる。したがって、不純物が最終製品の品質に悪影響を与えることのない、ジシアノ化合物、特に1,6−ジシアノヘキサンを供給することが可能となる。
本発明のジシアノ化合物の製造方法について述べる。本発明の製造方法は、下記式(I)に示される。
Y、Z、及びAについては、前記と同義である。Q(CN)は、シアン化物を示す。Qとしては、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム等が挙げられる。
<オニウム塩>
本発明の製造方法において、下記一般式(1)で示される、オニウム塩を用いる。
(1)
式中、Aはオニウムイオンを示し、分子中に孤立電子対を有する元素が含まれ、配位結合により、陽イオン化した化合物である。具体的には、アンモニウムイオン(Rをアルキル基とすると、R)、ホスホニウムイオン(R)、オキソニウムイオン(R)、スルホニウムイオン(R)等が挙げられる。Aは、好ましくはアンモニウムイオンである。
オニウム塩としては、下記一般式(6)で示されるテトラアルキルアンモニウムハライドが好ましい。
は炭素数1〜10のアルキル基を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、Xはハロゲン原子を示す。
は直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても構わないが、直鎖状であることが好ましい。また、Rは、炭素数3〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜5のアルキル基であることがより好ましい。さらに、Rは互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
Xは、ハロゲン原子を示し、塩素原子又は臭素原子が好ましく、臭素原子であることがより好ましい。
以上から、Rがn−ブチル基である、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドが好ましく使用される。本発明の製造方法において、このようなテトラアルキルハライドを用いることで、工業的に効率よく、ジシアノ化合物を製造することができる。このテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドは、相間移動触媒として機能していると考えられる。
このテトラアルキルアンモニウムハライドは、市販されているものをそのまま使用してもよいし、これを更に精製したものを使用してもよい。また、前記特許文献2に記載の通り、下記式(II)のように、トリアルキルアミンとアルキルハライドよりテトラアルキルアンモニウムハライドを生成させ、そのままジシアノ化合物の製造に用いることもできる。
式中、R、Xは前記と同義である。
オニウム塩は、前記一般式(2)の化合物1モルに対して、好ましくは0.001モル〜0.5モル、より好ましくは0.0025モル〜0.2モル、さらに好ましくは0.005モル〜0.1モル、よりさらに好ましくは0.005モル〜0.05モル用いられる。この範囲で、オニウム塩を用いることで、工業的に好適な反応速度でジシアノ化合物を製造することができる。
オニウム塩は、粉末のまま使用することもできるし、水溶液を調製して本発明の製造方法に用いることもできる。水溶液を調製する場合、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%に調製するが、濃度は適宜変更できる。テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドを使用する場合、市販されているテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドの水溶液をそのまま用いることもできる。
<基質>
本発明で使用される基質は、下記一般式(2)で示される化合物である。
Y−Z−Y (2)
前記一般式(2)において、Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示し、好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数3〜10のアルキレン基、より好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数4〜7のアルキレン基、さらに好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数5〜6のアルキレン基、よりさらに好ましくはペンタメチレン基、又はヘキサメチレン基、特に好ましくはヘキサメチレン基を示す。
また、式中、Yはハロゲン原子、下記一般式(4)で示される基、又は下記一般式(5)で示される基である。
前記一般式(4)中、Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基を示し、好ましくは、直鎖状の炭素数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基である。Rがメチル基のとき、硫酸メチル基とも称する。なお、前記一般式(4)において、波線は結合部位を示す。
前記一般式(5)中、Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数5〜10のアリール基を示す。また、アルキル基上の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、アリール基上の水素原子はアルキル基に置換されていてもよい。これらの置換基の中で、Rは、好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数5〜7のアリール基であり、より好ましくは、メチル基、トリフルオロメチル基、又は4−メチルフェニル基である。Rが、メチル基、トリフルオロメチル基、4−メチルフェニル基であるとき、それぞれ順に、メシラート基、トリフラート基、トシラート基とも称される。なお、前記一般式(5)において、波線は結合部位を示す。
Yは、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、硫酸メチル基、メシラート基、トリフラート基、又はトシラート基であり、より好ましくは塩素原子、又は臭素原子であり、さらに好ましくは塩素原子である。
前記一般式(2)で示される化合物の好ましい具体例としては、下記式(7)で示される1,6−ジクロロへキサンを挙げることができ、1,6−ジクロロへキサンから、下記式(8)で示される1,6−ジシアノへキサンを製造することができる。
以上より、本発明の製造方法において使用される化合物として、好ましくは、1,6−ジクロロヘキサン等が挙げられる。この1,6−ジクロロヘキサンは、市販されているものを用いてもよいし、これを更に精製したものを使用してもよい。また、1,6−ヘキサンジオール等から誘導した1,6−ジクロロヘキサンを用いてもよい。
本発明において使用する場合、1,6−ジクロロヘキサン等の基質は、単独で用いてもよいし、前記一般式(2)で示される化合物を複数種混合して用いてもよい。
<シアン化物>
本発明で使用されるシアン化物としては、シアン化物イオンを有する化合物ならば特に限定されないが、具体的には、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化セシウム等のアルカリ金属シアン化物;シアン化カルシウム、シアン化マグネシウム、シアン化ストロンチウム、シアン化バリウム等のアルカリ土類金属シアン化物;シアン化アンモニウム等が挙げられ、好ましくはアルカリ金属シアン化物、より好ましくはシアン化ナトリウムが使用される。
前記一般式(2)で示される化合物1.0モルに対して、シアン化物は好ましくは2.0モル〜4.0モル、より好ましくは2.0モル〜3.0モルである。この範囲のシアン化物を用いることで、工業的に好適な収率及び反応速度でジシアノ化合物を製造することができる。
また、シアン化物は、複数回に分けて添加する。複数回に分けて添加する際のシアン化物の合計添加量は、前述の通り、前記一般式(2)で示される化合物1モルに対して、好ましくは2.0モル〜4.0モル、より好ましくは2.0モル〜3.0モルである。また、シアン化物を複数回に分けて添加する際、第1回目の添加量はシアン化物の合計添加量の半分以上であることが好ましい。具体的には、前記一般式(2)で示される化合物1モルに対して1.0モル〜2.0モルであることが好ましく、1.2モル〜1.8モルであることがより好ましく、1.2モル〜1.6モルであることがさらに好ましい。
<シアン化物の添加方法>
シアン化物は、粉末のまま使用することもできるし、水溶液を調製して用いることもできる。また、粉末と水溶液を、別々に添加することもできる。水溶液を調製する場合、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%に調製するが、濃度は適宜変更できる。なお、水にシアン化物が溶解しにくい時は、加温することにより、溶解させることができる。
本発明において、前述のシアン化物及び/又はその水溶液を複数回に分けて、オニウム塩及び前記一般式(2)で示される化合物を含む溶液に対し、添加する。この添加の際、シアン化物と前記一般式(2)で示される化合物との反応で発熱するため、シアン化物及び/又はその水溶液を複数回に分けて添加する。複数回に分けて添加しながら、添加速度を適宜調節することによって、後述の温度範囲とすることができる。
添加する回数は、溶液の温度が後述の温度範囲となるならば特に制限されないが、工業的に好適な製造方法とするためには、好ましくは2〜5回、より好ましくは3〜4回である。複数回に分けて添加することで、シアン化物を効率よく前記一般式(2)で示される化合物と反応させることができ、反応収率を向上させることができる。また、シアン化物の使用量やシアン廃液の削減も可能になる。オニウム塩及びシアン化物を含む溶液に対し、前記一般式(2)で示される化合物を添加する場合も同様の効果が期待できる。
また、各添加の間に、濾過、抽出、冷却、洗浄操作など、一般的な後処理を行ってもよい。この処理は、反応により生成した無機塩の除去や反応溶液の温度上昇の抑制等の目的で行われる。各添加の間に、反応溶液を冷却した後、水と混合し、水で洗浄・分離する操作を行うことが好ましい。
<反応条件>
反応温度は、使用する溶媒や濃度等に応じて適宜調節されるが、好ましくは70℃〜150℃であり、より好ましくは80℃〜130℃、さらに好ましくは90℃〜110℃である。70℃未満の場合、反応時間が長くなることがある。また、150℃を越えると、副生成物が増加するため、ジシアノ化合物の収率や反応選択率が低下することがある。
また、合計の反応時間は、前記一般式(2)で示される化合物の使用量等に応じて適宜調節されるが、好ましくは1時間〜24時間、より好ましくは2時間〜15時間、さらに好ましくは3時間〜10時間である。ここで、合計の反応時間とは、前記オニウム塩及び前記一般式(2)で示される化合物を含む溶液に対し、シアン化物及び/又はその水溶液を添加し、前記一般式(3)で示されるジシアノ化合物を製造している、合計の時間を示し、シアン化物及び/又はその水溶液を複数回に分けて添加し、各回で反応を停止する場合は各回の反応の合計時間を示す。反応条件によって、反応液の冷却や希釈、シアン化物の除去等により、各回の反応を停止しているときは反応時間には含めない。
より具体的には、以下の態様が好ましい。
シアン化物及び/又はその水溶液の添加回数が2回の場合、シアン化物の合計添加量は、前記一般式(2)で示される化合物1モルに対して、好ましくは2.5モル〜3.0モル、より好ましくは2.6モル〜2.8モルであり、合計の反応時間が、好ましくは3時間〜10時間、より好ましくは6時間〜10時間である。
また、シアン化物及び/又はその水溶液の添加回数が3回の場合、シアン化物の合計添加量は、前記一般式(2)で示される化合物1モルに対して、好ましくは2.0モル〜2.8モル、より好ましくは2.0モル〜2.5モルであり、合計の反応時間が、好ましくは1時間〜10時間、より好ましくは2時間〜5時間である。
反応雰囲気は特に限定されず、例えば、窒素、ヘリウム、及びアルゴンなどの不活性ガス;酸素、及びオゾンなどの酸化性ガス等が挙げられる。これらのうち、好ましくは窒素、酸素、窒素と酸素の混合物(例えば、空気)が使用される。
本発明の反応における圧力は好ましくは大気圧〜50MPa、より好ましくは大気圧〜10MPa、さらに好ましくは大気圧〜1MPaである。この範囲とすることで、工業的に好適な反応速度を維持しながら、収率よくジシアノ化合物を製造することができる。
溶媒が必要な場合、使用する反応溶媒としては、例えば、水;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル及びプロピオニトリル等のニトリル類等が使用される。また、生成物であるジシアノ化合物が溶媒であるときはジシアノ化合物自体を溶媒とすることもできる。これらの反応溶媒は、単独で使用しても二種以上を混合して使用してもよい。シアン化物の溶解性等の観点から、水が好ましく使用される。
また、反応溶媒を使用する場合、前記反応溶媒の使用量は、前記一般式(2)で示される化合物の質量の合計量1gに対して、好ましくは0.1g〜100g、より好ましくは0.1g〜20gである。
<精製方法>
本実施形態の反応によって得られるジシアノ化合物は、反応終了後、例えば、濾過、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって単離・精製できる。精製方法は使用する溶媒や基質等により適宜調節される。
前記精製後に得られる溶液中に溶媒が含まれる場合、溶媒を減圧留去するとよい。さらに、減圧留去後に、蒸留精製するとよい。蒸留においては、連続方式、半回分式、回分式(バッチ式)のいずれの方法でもよいが、回分式が好ましい。また、蒸留装置は単蒸留装置、精留段を持つ蒸留装置のいずれでも構わないが、シアン化物を効率よく精製できるという点で精留段を持つ蒸留装置の方が好ましい。精留段を持つ蒸留装置を使用する場合、その精留段の段数には制限はないが、効率よくシアン化物を精製し、回収率を向上させるという点で、精留段は1〜10段であることが好ましい。また、精留の場合、還流比(還流量を留出量で割った値を示す。)は、適宜調節されるが、好ましくは0.1〜30、より好ましくは0.3〜15である。
蒸留温度は、粗生成物の成分によって適宜決められるが、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100℃〜280℃、さらに好ましくは150℃〜250℃である。この範囲とすることで、不純物を増加させることなく、効率的にシアン化物と不純物を分離することができる。
蒸留圧力は、温度や混入している低沸点及び高沸点の不純物の量に依存するため、特に制限されないが、例えば、好ましくは0.1kPa〜70kPa、より好ましくは0.1kPa〜15kPa、さらに好ましくは0.1kPa〜3kPaである。この範囲とすることで、効率的にジシアノ化合物と不純物を分離することができる。
蒸留の回数は、混入している低沸点及び高沸点の不純物の種類や量に依存するため、特に制限されないが、複数回蒸留することにより、シアン化物の純度を向上させることができる。
1回目の蒸溜において、反応溶液中から沸点が同程度のものを分離するとき、沸点が低いものから順に、軽沸、初留、主留、後留とし、蒸留後に反応容器に残存したものを釜残とする。一般的に、反応容器中の圧力の変化や凝結する前の気体の温度等を測定することにより、軽沸、初留、主留等の切り替えを行うことができる。
軽沸については、水分が多く、他にもジシアノ化合物より沸点の低い不純物が多く含まれるため、廃棄することが好ましい。
初留中には、例えば、1,6−ジシアノヘキサンを製造する場合、不純物として1,5−ジシアノペンタン等が含まれることがある。したがって、初留中の不純物を除去するため、再度蒸留することにより、不純物が除去されたジシアノ化合物を得ることができ、ジシアノ化合物の収率を向上させることができる。再度蒸留する際の圧力や温度等の条件は、前述と同様である。なお、1,6−ジシアノヘキサン及び1,5−ジシアノペンタンを分留することも可能である。分留条件も前述の条件と同様である。
主留中には、ジシアノ化合物が高純度で含まれるため、これ以上蒸留する必要がないことがある。不純物が混入する場合は、再度蒸留してもよい。
後留中には、ジシアノ化合物より高沸点の不純物が含まれることがある。したがって、後留中の不純物を除去するため、再度蒸留することにより、不純物が除去されたジシアノ化合物を得ることができ、収率を向上させることもできる。再度蒸留する際の圧力や温度等の条件は、前述と同様である。また、前記初留と後留を混合して、再度蒸留してもよい。
また、釜残中にもジシアノ化合物が多く含まれることがあるため、再度蒸留してもよい。再度蒸留する際の圧力や温度等の条件は、前述と同様である。釜残を再度蒸溜する際、釜残を反応溶液に混ぜて1回目の蒸留と同時に行ってもよいし、初留と混ぜて再蒸留してもよいが、釜残を反応溶液に混ぜて1回目の蒸留と同時に行うことが好ましい。
不純物の残存量や精留段数等に応じて、再蒸留の有無や蒸留の条件等を適宜調節する。再蒸留の回数は複数回であっても構わない。
得られる高純度なジシアノ化合物の純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて水素炎イオン化検出法により、下記の条件で測定することができる。
<GCの測定>
得られるジシアノ化合物0.2μLをガスクロマトグラフィーの試料導入口より打ち込むことにより、測定される。
[測定条件]
反応生成物の同定及び生成量の測定は、特に断りのない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定した。測定条件は以下のとおりである。
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC−2014
検出器:水素炎イオン化検出法(FID)
試料導入法:スプリット注入法
カラム:CP−Sil 8 CB(内径:0.25mm、長さ:30m、膜厚:0.5μm)
キャリアガス:ヘリウム 130kPa
昇温条件:120℃で30分保持した後、15℃/分で300℃まで昇温、300℃で18分間保持する。
ジシアノ化合物の純度は、GC面積%値で、好ましくは95.0面積%以上、より好ましくは98.0面積%以上、さらに好ましくは99.0面積%以上とすることができる。
以上の精製により、高純度なジシアノ化合物を製造することができる。なお、以上の精製方法は、製造されるジシアノ化合物の沸点等の物性に応じて適宜変更されるが、ジシアノ化合物の中でも1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリルとも称する)を精製する際に、特に好適に適用される。
<ジシアノ化合物>
本発明によって得られるジシアノ化合物は、下記一般式(3)で示される化合物である。
NC−Z−CN (3)
前記一般式(3)において、Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示し、好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数3〜10のアルキレン基、より好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数4〜7のアルキレン基、さらに好ましくは直鎖状、環状、又は分岐状の炭素数5〜6のアルキレン基、よりさらに好ましくはペンタメチレン基、又はヘキサメチレン基、特に好ましくはヘキサメチレン基を示す。
本発明で得られる直鎖状ジシアノ化合物としては、例えば、ジシアノメタン(Dicyanomethane。マロノニトリル(Malononitrile)とも称する)、1,2−ジシアノエタン(1,2-Dicyanoethane。スクシノニトリル(Succinonitrile)とも称する)、1,3−ジシアノプロパン(1,3-Dicyanopropane。グルタロニトリル(Glutaronitrile)とも称する)、1,4−ジシアノブタン(1,4-Dicyanobutane。アジポニトリル(Adiponitrile)とも称する)、1,5−ジシアノペンタン(1,5-Dicyanopentane。ピメロニトリル(Pimelonitrile)とも称する)、1,6−ジシアノヘキサン(1,6-Dicyanohexane。スベロニトリル(Suberonitrile)とも称する)、1,7−ジシアノヘプタン(1,7-Dicyanoheptane。アゼラニトリル(Azelonitrile)とも称する)、1,8−ジシアノオクタン(1,8-Dicyanooctane。セバコニトリル(Sebaconitrile)とも称する)、1,9−ジシアノノナン(1,9-Dicyanononane。ウンデカンジニトリル(Undecanedinitrile)とも称する)、1,10−ジシアノデカン(1,10-Dicyanodecane。ドデカンジニトリル(Dodecanedinitrile)とも称する)、1,11−ジシアノウンデカン(1,11-Dicyanoundecane。ウンデカンジニトリル(Undecanedinitrile)とも称する)、1,12−ジシアノドデカン(1,12-Dicyanododecane。ドデカンジニトリル(Dodecanedinitrile)とも称する)、1,13−ジシアノトリデカン(1,13-Dicyanotridecane。トリデカンジニトリル(Tridecanedinitrile)とも称する)、1,14−ジシアノテトラデカン(1,14-Dicyanotetradecane。テトラデカンジニトリル(Tetradecanedinitrile)とも称する)、1,15−ジシアノペンタデカン(1,15-Dicyanopentadecane。ペンタデカンジニトリル(Pentadecanedinitrile)とも称する)、1,16−ジシアノヘキサデカン(1,16-Dicyanohexadecane。ヘキサデカンジニトリル(Hexadecanedinitrile)とも称する)、1,17−ジシアノヘプタデカン(1,17-Dicyanoheptadecane。ヘプタデカンジニトリル(Heptadecanedinitrile)とも称する)、1,18−ジシアノオクタデカン(1,18-Dicyanooctadecane。オクタデカンジニトリル(Octadecandinitrile)とも称する)、1,19−ジシアノノナデカン(1,19-Dicyanononadecane。ノナデカンジニトリル(Nonadecanedinitrile)とも称する)、1,20−ジシアノアイコサン(1,20-Dicyanoeicosane。アイコサンジニトリル(Eicosanedinitrile)とも称する)等が挙げられる。
これらの中でも、1,4−ジシアノブタン、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、又は1,7−ジシアノヘプタンが好ましく、1,5−ジシアノペンタン又は1,6−ジシアノヘキサンがより好ましく、1,6−ジシアノヘキサンがさらに好ましい。
分岐状ジシアノ化合物としては、前述の直鎖状ジシアノ化合物上の任意の水素原子がアルキル基に置換されたものが挙げられる。また、直鎖状ジシアノ化合物上の任意の水素原子が反応を阻害しない基に置換されていてもよい。反応を阻害しない基として、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基等が挙げられる。
環状ジシアノ化合物としては、例えば、ジシアノイソホロン(Dicyanoisophorone)、1,4−ジシアノシクロヘキサン(1,4-Dicyanocyclohexane)、1,3−ジシアノシクロペンタン(1,3-Dicyanocyclopentane)等が挙げられる。
次に、本発明の具体的態様を、実施例により説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)の合成〕
<反応1段階目>
メカニカルスターラー、コンデンサーが付属した1L四口セパラブルフラスコに1,6−ジクロロヘキサン420g(前記GCにより測定したGC面積%値は97.8面積%)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド50重量%水溶液17.5g(テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド8.75gを水8.75gで事前に水溶液とする。テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド仕込み量は1,6−ジクロロヘキサンに対して1mol%に相当)を仕込み、撹拌させながら反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。
一方、別に30重量%シアン化ナトリウム水溶液530.9g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.2mol倍となる量のシアン化ナトリウム159.3gを水371.7gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した30重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち1時間反応を行った。
その後反応液を80℃まで冷却し、水141.9gを添加し、撹拌することで反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。反応液を50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は703.1gであり、上層の1段階目の反応液は403.4gであった。
<反応2段階目>
得られた1段階目の反応液403.4gを再度反応器に仕込み後、反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。一方、別に30重量%シアン化ナトリウム水溶液265.5g(1段階目仕込み時の1,6−ジクロロヘキサンに対し0.6mol倍となる量のシアノ化ナトリウム79.6gを水185.8gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した30重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃で昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち1時間反応を行った。その後80℃まで冷却し、水70.9gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。反応液を50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は344.2gであり、上層の2段階目の反応液は393.2gであった。
<反応3段階目>
得られた2段階目の反応液393.2gを再度反応器に仕込み後、反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。一方、別に30重量%シアン化ナトリウム水溶液177g(1段階目仕込み時の1,6−ジクロロヘキサンに対し0.4mol倍となる量のシアン化ナトリウム53.1gを水123.9gで事前に溶解させる)を準備した。
調製した30重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち1時間反応を行った。次いで、反応開始から2時間経過時から1時間毎に反応液を前述の条件のガスクロマトグラフィー(GC)で分析し、下記に示す計算結果が99.5以上であることを確認できた時点を終点とした。
<計算式>
1,6−ジシアノヘキサン〔スベロニトリル〕GC面積%/(1,6−ジシアノヘキサンGC面積%+7−クロロヘプタンニトリル〔モノシアノ化体〕GC面積%)×100≧99.5
本合成では反応3時間の時点で99.74となったため、3時間で反応を終了させた。
その後反応液を80℃まで冷却し、水47.3gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。反応液を50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は226.5gであり、上層の3段階目の反応液は388.5gであった。
反応終了後のGC分析より、1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)のGC面積%値は97.27面積%であり、反応収率は93.4%(1,6−ジクロロヘキサン純分基準で95.5%)、反応選択率95.5%、反応転化率は100%であった。
<蒸留精製>
真空ジャケット式棚段式オールダーショウ6段の蒸留塔、還流比タイマーを備えた蒸留装置にて、上記反応で得られた1,6−ジシアノヘキサン368.4gを用いて減圧蒸留を行った(圧力0.1〜0.7kPa、内部温度150〜180℃)。軽沸を10.0g、初留45.7g採取後、主留に切替、274.5g取得した。釜残は21.9gであった。
得られた1,6−ジシアノヘキサンのGC面積%値は99.6面積%、収率は85.6%であった。
〔実施例2:1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)の合成〕
<反応1段階目>
メカニカルスターラー、コンデンサーが付属した1L四口セパラブルフラスコに1,6−ジクロロヘキサン420g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド50重量%水溶液17.5g(テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド8.75g、水8.75gで事前に水溶液とする。テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド仕込み量は1,6−ジクロロヘキサンに対して1mol%に相当)を仕込み、撹拌させながら反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。
一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液568.9g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.5mol倍となる量のシアン化ナトリウム199.1gを水369.8gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち2時間反応を行った。
その後反応液を80℃まで冷却し、水273.0gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は823.2gであり、上層の1段階目の反応液は397.6gであった。
<反応2段階目>
得られた1段階目の反応液397.6gを再度反応器に仕込み後、反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液424.8g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.12mol倍となる量のシアン化ナトリウム148.7gを水276.1gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち4時間反応を行った。
その後80℃まで冷却し、水70.9gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は553.7gであり、上層の1段階目の反応液は379.9gであった。反応液のGC分析より、1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)のGC面積%は95.7面積%であった。
以上より、実施例1においては、1,6−ジクロロヘキサンに対し合計2.2モルのシアン化ナトリウムを3回に分けて添加し、反応後の1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)のGC面積%は97.27面積%であった。
一方、実施例2においては、1,6−ジクロロヘキサンに対し合計2.6モルのシアン化ナトリウムを2回に分けて添加し、反応後の1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)のGC面積%は95.7面積%であった。
以上の通り、本発明によれば、90%以上の高い反応収率でジシアノ化合物を合成することができる。さらに、高純度な1,6−ジシアノヘキサン化合物を製造することができる。
〔実施例3:1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)の合成〕
<反応1段階目>
メカニカルスターラー、コンデンサーが付属した300mL三口セパラブルフラスコに1,6−ジクロロヘキサン50g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド50重量%水溶液2.08g(テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド1.04g、水1.04gで事前に水溶液とする。テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド仕込み量は1,6−ジクロロヘキサンに対して1mol%に相当)を仕込み、撹拌させながら反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。
一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液72.24g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.6mol倍となる量のシアン化ナトリウム25.28gを水46.96gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち3時間反応を行った。
その後反応液を80℃まで冷却し、水38.1gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は109.7gであり、上層の1段階目の反応液は46.3gであった。
<反応2段階目>
得られた1段階目の反応液46.2gを再度反応器に仕込み後、反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液54.18g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.2mol倍となる量のシアン化ナトリウム18.96gを水35.22gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち3.5時間反応を行った。
その後80℃まで冷却し、水18.1gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は68.6gであり、上層の1段階目の反応液は44.3gであった。反応液のGC分析より、1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)のGC面積%は96.76面積%であった。
〔実施例4:1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)の合成〕
<反応1段階目>
メカニカルスターラー、コンデンサーが付属した300mL三口セパラブルフラスコに1,6−ジクロロヘキサン50g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド50重量%水溶液1.04g(テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド0.52g、水0.52gで事前に水溶液とする。テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド仕込み量は1,6−ジクロロヘキサンに対して0.5mol%に相当)を仕込み、撹拌させながら反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。
一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液72.24g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.6mol倍となる量のシアン化ナトリウム25.28gを水46.96gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち3時間反応を行った。
その後反応液を80℃まで冷却し、水38.1gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は110.9gであり、上層の1段階目の反応液は46.4gであった。
<反応2段階目>
得られた1段階目の反応液46.3gを再度反応器に仕込み後、反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液54.18g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.2mol倍となる量のシアン化ナトリウム18.96gを水35.22gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち6.5時間反応を行った。
その後80℃まで冷却し、水18.1gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は66.6gであり、上層の1段階目の反応液は44.3gであった。反応液のGC分析より、1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)のGC面積%は96.43面積%であった。
〔実施例5:1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)の合成〕
<反応1段階目>
メカニカルスターラー、コンデンサーが付属した300mL三口セパラブルフラスコに1,6−ジクロロヘキサン50g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド50重量%水溶液0.52g(テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド0.26g、水0.26gで事前に水溶液とする。テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド仕込み量は1,6−ジクロロヘキサンに対して0.25mol%に相当)を仕込み、撹拌させながら反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。
一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液72.24g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.6mol倍となる量のシアン化ナトリウム25.28gを水46.96gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち3時間反応を行った。
その後反応液を80℃まで冷却し、水38.1gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は110.3gであり、上層の1段階目の反応液は46.4gであった。
<反応2段階目>
得られた1段階目の反応液46.3gを再度反応器に仕込み後、反応液を80℃〜90℃まで昇温させた。一方、別に35重量%シアン化ナトリウム水溶液54.18g(1,6−ジクロロヘキサンに対し1.2mol倍となる量のシアン化ナトリウム18.96gを水35.22gで事前に溶解させた)を準備した。
調製した35重量%シアン化ナトリウム水溶液を80℃〜90℃まで昇温させた1,6−ジクロロヘキサン溶液に、温度上昇に気をつけながら滴下した。滴下終了後、反応液を100℃〜105℃に保ち10時間反応を行った。
その後80℃まで冷却し、水18.1gを投入し、反応中に析出した塩化ナトリウムを溶解させた。50℃〜60℃まで冷却後、撹拌を停止し、下層の水層を分液した。得られた水層は67.0gであり、上層の1段階目の反応液は43.5gであった。反応液のGC分析より、1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)のGC面積%は93.92面積%であった。
本発明によれば、高い反応収率でジシアノ化合物を合成することができる。また、過剰なシアン化物を使用する必要がないため、シアン化物の排水量を削減することが可能となる。さらに、一般的に知られた設備を用いて、高純度なジシアノ化合物を製造することができる。したがって、不純物が最終製品の品質に悪影響を与えることのない、ジシアノ化合物、特に1,6−ジシアノヘキサンを供給することが可能となる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示されるオニウム塩及び下記一般式(2)で示される化合物を含む溶液に対し、シアン化物及び/又はその水溶液を複数回に分けて添加する、下記一般式(3)で示されるジシアノ化合物の製造方法。
    (1)
    (Aはオニウムイオンを示し、分子中に孤立電子対を有する元素が含まれ、配位結合により、陽イオン化した化合物である。また、Xはハロゲン原子を示す。)
    Y−Z−Y (2)
    (Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。Yは、ハロゲン原子、下記一般式(4)で示される基、又は下記一般式(5)で示される基であり、2つのYは互いに同一でも異なっていてもよい。)

    (Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基を示す。)

    (Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数5〜10のアリール基を示す。)
    NC−Z−CN (3)
    (Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。)
  2. オニウム塩が下記一般式(6)で示されるテトラアルキルアンモニウムハライドである、請求項1に記載のジシアノ化合物の製造方法。

    (Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、これらは互いに同一でも異なっていてもよい。また、Xはハロゲン原子を示す。)
  3. オニウム塩、下記一般式(2)で示される化合物及びシアン化物を含む溶液を80〜130℃まで昇温させることにより行う、請求項1又は2に記載のジシアノ化合物の製造方法。
    Y−Z−Y (2)
    (Zは、直鎖状の炭素数1〜20のアルキレン基、環状の炭素数3〜20のアルキレン基、又は分岐状の炭素数3〜20のアルキレン基を示す。Yは、ハロゲン原子、下記一般式(4)で示される基、又は下記一般式(5)で示される基であり、2つのYは互いに同一でも異なっていてもよい。)

    (Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基を示す。)

    (Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数5〜10のアリール基を示す。)
  4. 反応後、得られた反応液を精製し、さらに蒸留精製する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のジシアノ化合物の製造方法。
  5. 反応後の蒸留の圧力を0.1kPa〜15kPa、温度を100℃〜280℃とする、請求項4に記載のジシアノ化合物の製造方法。
  6. 一般式(2)で示される化合物が1,6−ジクロロヘキサンであり、一般式(3)で示される化合物が1,6−ジシアノヘキサンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のジシアノ化合物の製造方法。
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