JP2017030609A - 車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】車両用シートの前後アジャストによってシートクッション部の位置が車体の前後方向に変化しても、アクティブサスペンション装置がシートクッション部に与える振動低減特性が変動しないようにすること。
【解決手段】アッパレール18とシートクッション部20のサイドフレーム22との間にアクティブサスペンション装置40を取り付ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用シートに関し、更に詳細には、アクティブサスペンション装置を有する前後アジャスト型の車両用シートに関する。
自動車等の車体に用いられるシートとして、車体からの入力振動とは逆位相の振動を発生する逆位相発生部を有するアクティブサスペンション装置がシートクッション部と車両との間に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1、2)。
特表2006−509673号公報 特開2014−213753号公報
従来の車両用シートでは、アクティブサスペンション装置がシートクッション部と車両のフロアパネルとの間に取り付けられているため、フロアパネルの形状が変わると、フロアパネルに対するアクティブサスペンション装置の取付構造を変更する必要が生じ、汎用性に欠ける。
フロアパネルに取り付けられたロアレールとロアレールに移動可能に係合したアッパレール(スライダ)とによってシートクッション部が車体の前後方向に移動可能に設けられている前後アジャスト型の車両用シートでは、アクティブサスペンション装置がロアレールとフロアパネルとの間に設けられている。このため、シートクッション部の前後方向移動によってシートクッション部に対するアクティブサスペンション装置の前後方向位置が変化し、この変化によってアクティブサスペンション装置がシートクッション部に与える振動低減特性が変動し、適正な振動低減状態が維持されなくなる。
本発明が解決しようとする課題は、車両用シートの前後アジャストによってシートクッション部の位置が車体の前後方向に変化しても、アクティブサスペンション装置がシートクッション部に与える振動低減特性が変動することがなく、併せてフロアパネル等の車体の形状が変わっても車体に対するアクティブサスペンション装置の取付構造を変更する必要が生じることがないようすることである。
本発明による車両用シートは、車体(10)に固定されたロアレール(16)と、前記ロアレール(16)に移動可能に係合したアッパレール(18)とを有し、前記アッパレール(18)にシートクッション部(20)のサイドフレーム(22)が配置される車両用シートであって、前記アッパレール(18)と前記サイドフレーム(22)との間にアクティブサスペンション装置(40、120)が取り付けられている。
この構成によれば、シートクッション部(20)の位置が変化しても、シートクッション部(20)とアクティブサスペンション装置(40、120)との前後方向の位置関係が変動することがないから、シートクッション部(20)の位置が変化しても、アクティブサスペンション装置(40、120)がシートクッション部(20)に与える振動低減特性が変動することがなく、安定した振動低減が行われる。また、車体の形状が変わっても車体に対するアクティブサスペンション装置(40、120)の取付構造を変更する必要が生じない。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記ロアレール(16)は前後方向に延在して左右一対設けられており、前記アッパレール(18)は前記左右のロアレール(16)の各々に係合して前後方向に移動可能である。
この構成によれば、シートクッション部(20)の位置が前後方向に変化しても、シートクッション部(20)とアクティブサスペンション装置(40、120)との前後方向の位置関係が変動することがない。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記アクティブサスペンション装置(40)は、前記サイドフレーム(22)の前部および後部の各々に個別に設けられている。
この構成によれば、アクティブサスペンション装置(40)によってシートクッション部(20)を四隅で支持して各支持点において振動伝達を効果的に抑制することができる。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記サイドフレーム(22)の後部にはリクライニング装置(24)によってバックフレーム(26)が前記サイドフレーム(22)に対する傾斜角度を変更可能に取り付けられており、前記アクティブサスペンション装置(40)の少なくとも一つは前記リクライニング装置(24)の下方に設けられている。
この構成によれば、シートクッション部(20)に伝わる振動を効果的に抑制し、乗り心地性を効果的に改善することができる。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記アクティブサスペンション装置(40)の少なくとも一つは着座した乗員のヒップポイント(HP)に左右方向から見て対応する位置に設けられている。
この構成によれば、ヒップポイント(HP)に対応する位置においてシートクッション部(20)に伝わる振動を効果的に抑制し、乗り心地性を効果的に改善することができる。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記サイドフレーム(22)に窪み部(28)が形成されており、前記窪み部(28)に前記アクティブサスペンション装置(40)が設けられている。
この構成によれば、アクティブサスペンション装置(40)は、側面視で、少なくとも一部がサイドフレーム(22)と同じ高さに配置されることになるから、シートクッション部(20)の高さがアクティブサスペンション装置(40)の配置によって高くなることが抑えられる。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記サイドフレーム(22)に、左右方向の側面の外側から内側に窪んだ下方開放の箱形状の窪み部(28)が形成されており、前記窪み部(28)に前記アクティブサスペンション装置(40)が設けられている。
この構成によれば、サイドフレーム(22)の内側のデッドスペースの有効利用のもとに嵩張ることがなく、しかも、アクティブサスペンション装置(40)は、側面視で、少なくとも一部がサイドフレーム(22)と同じ高さに配置されることになるから、シートクッション部(20)の高さがアクティブサスペンション装置(40)の配置によって高くなることが抑えられる。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記サイドフレーム(22)は左右一対設けられており、更に、左右の端部を各々前記窪み部(28)を画定する壁(28D)に接合され、左右方向に延在して前記左右のサイドフレーム(22)を互いに連結する連結ロッド(30、32)を有する。
この構成によれば、連結ロッド(30、32)による左右のサイドフレーム(22)の連結強度が高くなり、窪み部(28)の有効利用のもとに、シートクッション部(20)が高剛性で丈夫なものになる。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記アクティブサスペンション装置(120)は、前記アッパレール(18)と前記サイドフレーム(22)との間に前後方向に連続して延在している。
この構成においても、シートクッション部(20)の位置が前後方向に変化しても、アクティブサスペンション装置(120)がシートクッション部(20)に与える振動低減特性が変動することがない。
本発明による車両用シートは、好ましくは、前記アクティブサスペンション装置(40、120)は、振動減衰を行う液封マウント部(70、138)と、前記液封マウント部(70、138)に連結されて車体からの入力振動とは逆位相の振動を発生する逆位相発生部(100、160)とを有し、前記液封マウント部(70、138)が前記アッパレールに直接接続され、前記逆位相発生部(100、160)が前記サイドフレーム(22)に直接接続されている。
この構成によれば、液封マウント部(70、138)により減衰される低周波、小振幅の振動を含む入力振動によって逆位相発生部(100、160)が加振されることがなく、逆位相発生部(100、160)の耐久性の向上が図られる。
本発明による車両用シートによれば、アッパレールとシートクッション部のサイドフレームとの間にアクティブサスペンション装置が取り付けられているから、シートクッション部の位置が変化しても、アクティブサスペンション装置がシートクッション部に与える振動低減特性が変動することがない。また、車体の形状が変わっても車体に対するアクティブサスペンション装置の取付構造を変更する必要が生じない。
本発明による車両用シートの実施形態1を示す斜視図 実施形態1による車両用シートの側面図 実施形態1による車両用シートに用いられるアクティブサスペンション装置の縦断面図 本発明による車両用シートの実施形態2を示す側面図 本発明による車両用シートの実施形態3を示す側面図 実施形態3による車両用シートに用いられるアクティブサスペンション装置の縦断面図 図6の線VII−VIIに沿った断面図
以下に、本発明による車両用シートの実施形態1を、図1〜図3を参照して説明する。
図1および図2に示されているように、フロアパネル(車体)10上に、各々前後の取付部材12、14によって左右一対のロアレール16が略水平に取り付けられている。左右のロアレール16は互いに平行に車体の前後方向に延在している。
左右のロアレール16には、左右対応する側のアッパレール18が各々車体の前後方向に移動可能に係合している。左右のアッパレール18にはアクティブサスペンション装置40を介してシートクッション部(シートクッションフレーム)20の左右対応する側のサイドフレーム22が取り付けられている。このように、サイドフレーム22は左右一対設けられおり、各々アッパレール18の延在方向に沿って設けられている。
サイドフレーム22の後部には、リクライニング装置24によってバックフレーム26がサイドフレーム22に対する傾斜角度を変更可能に取り付けられている。バックフレーム26には表皮材によって被覆されたクッションパバッド(不図示)が装着される。
左右のサイドフレーム22の前端近傍および後端近傍には、各々、左右方向の側面22Aの外側から内側に窪んだ窪み部28がプレス成形されている。窪み部28は、互いに平行な前壁28Aおよび後壁28Bと、前壁28Aおよび後壁28Bの互いに接続する奧壁28Cおよび天井壁(上壁)28Dとによって、下方開放の箱形状をなしている。サイドフレーム22の後端側の窪み部28はリクライニング装置24の下方にある。より詳細には、窪み部28の前後方向の中央位置がリクライニング装置24の軸心位置の真下位置にある。
左右のサイドフレーム22は、左右の端部を左右対応する側のサイドフレーム22の後端側の窪み部28に溶接等によって接合されて左右方向に延在する後側連結ロッド30によって互いに連結されている。また、左右のサイドフレーム22は、左右の端部を左右対応する側のサイドフレーム22の前端側の窪み部28に溶接等によって接合されて左右方向に延在する前側連結ロッド32によって互いに連結されている。より詳細には、後側連結ロッド30および前側連結ロッド32の左右の端部は、各々窪み部28の奧壁28Cの外面に接合されている。左右のサイドフレーム22の前端部は前端連結部材34によって互いに連結されている。
このようにしてシートクッション部20の骨格構造が構成され、シートクッション部20には表皮材によって被覆されたクッションバッド(不図示)が装着される。
窪み部28は合計で4個あり、各窪み部28にアクティブサスペンション装置40が配置されている。アクティブサスペンション装置40は、略全体が窪み部28内に収容されるように、窪み部28内に配置されている。このようにしてアクティブサスペンション装置40は、サイドフレーム22の前部および後部の各々に個別に設けられている。サイドフレーム22の後部に設けられるアクティブサスペンション装置40は、サイドフレーム22の後端側の窪み部28の前後方向の位置からしてリクライニング装置24の下方に設けられることになる。
アクティブサスペンション装置40の詳細を、図3を参照して説明する。アクティブサスペンション装置40は、下部ボス部材42と、略円筒状の下部ハウジング44と、下部ハウジング44の上部にかしめ結合された略円筒状の上部内側ハウジング46および上部外側ハウジング48とを有する。下部ボス部材42は、下方に突出した取付片42Aを一体に有し、取付片42Aをボルト・ナット98によってアッパレール18に固定されている。
下部ボス部材42にはゴム等による防振弾性体50の下端が加硫接着されている。防振弾性体50は、上下反転した略切頭円錐形状をしており、下端をなす切頭側を下部ボス部材42に加硫接着され、上端をなす円錐裾部に略円筒形状の接続部材52を加硫接着されている。接続部材52は下部ハウジング44と上部内側ハウジング46および上部外側ハウジング48とのかしめ部に共締めされている。
防振弾性体50の外周囲には、一端を下部ボス部材42に加硫接着され且つ下端を下部ハウジング44に加硫接着されたゴム等による有底の略円筒形状のダイヤフラム54が設けられている。下部ハウジング44と上部内側ハウジング46との間にはこれらハウジングの内部を上下に区切る隔壁板56がこれらハウジングのかしめ部に共締めされている。
防振弾性体50および接続部材52は隔壁板56との間に第1液室58を画定している。防振弾性体50はダイヤフラム54との間に第2液室60を画定している。第1液室58および第2液室60には、後述の連通路64、66および第3液室76と共に、適度の粘性を有する油等の液体が封入されている。
第1液室58と第2液室60とは、接続部材52に形成された開口62、接続部材52と下部ハウジング44との間に画定された連通路64および防振弾性体50と下部ハウジング44との間に画定された連通路66によって互いに連通している。
このようにして、下部ボス部材42と下部ハウジング44との間に液封マウント部70が構成される。
上部内側ハウジング46内にはゴム等の弾性体72によって略円盤形状の加振部材74が設けられている。弾性体72は、一端を加振部材74の外周面に加硫接着され且つ他端を上部内側ハウジング46の内周面に加硫接着され、加振部材74と協働して隔壁板56との間に第3液室76を画定している。隔壁板56には連通孔78が形成されている。第3液室76は連通孔78によって第1液室58に連通している。
加振部材74には、加振部材74から第3液室76とは反対側、つまり上側に延在するステム80が一体形成されており、ステム80の上端には可動コア部材82が固定されている。上部内側ハウジング46内には、コイル84と、コイル84を封止すると共にコイル84の接続端子86を内側に有するコネクタ部88を形成する樹脂成形部材90と、ヨーク部材92と、可動コア部材82に対向する固定コア部材94とが取り付けられている。
上部外側ハウジング48は上部内側ハウジング46の外側に同心に配置されていて下部ハウジング44と上部内側ハウジング46とのかしめ部に共締めされている。上部外側ハウジング48は、上側に取付フランジ部48Aを一体に有し、取付フランジ部48Aを複数のボルト・ナット96によって窪み部28の天井壁28Dに固定されている。
走行振動等は、フロアパネル10から、取付部材12、ロアレール16、アッパレール18を経てアクティブサスペンション装置40の下部ボス部材42に入力される。下部ボス部材42に振動が入力されると、その振動によって液封マウント部70をなす防振弾性体50が弾性変形し、防振弾性体50の弾性変形によって第1液室58の容積が増減し、ダイヤフラム54の弾性変形を伴って第1液室58と第2液室60との間に封入液体が流通する。これにより、液封マウント部70によって、主として低周波、小振幅の振動の減衰および吸収が行われ、低周波、小振幅の振動がサイドフレーム22に伝達されることが抑制される。
コイル84に通電が行われ、コイル84が励磁すると、固定コア部材94による磁気的吸引によって可動コア部材82が上昇移動し、これに伴い弾性体72の弾性変形を伴って加振部材74が上昇移動し、第3液室76の容積が増大する。第3液室76の容積の増大に伴って第1液室58の封入液体が連通孔78から第3液室76に流入し、第1液室58の容積が減少することにより、防振弾性体50が下側に弾性変形し、下部ボス部材42に対して下部ハウジング44、上部内側ハウジング46、上部外側ハウジング48が降下移動する。
コイル84に対する通電が停止され、コイル84が消磁すると、固定コア部材94による磁気的吸引がなくなり、弾性体72の復元力によって可動コア部材82および加振部材74が降下移動し、第3液室76の容積が減少する。第3液室76の容積の減少に伴って第3液室76の封入液体が連通孔78から第1液室58に流入し、第1液室58の容積が増大することにより、防振弾性体50が上側に弾性変形し、下部ボス部材42に対して下部ハウジング44、上部内側ハウジング46、上部外側ハウジング48が上昇移動する。
これにより、フロアパネル10からの入力振動に同期してコイル84に対する通電が制御されることにより、アッパレール18に固定された下部ボス部材42とサイドフレーム22に固体された上部外側ハウジング48との間に、フロアパネル10からの入力振動とは逆位相の振動を発生する逆位相発生部100が構成される。逆位相発生部100は、フロアパネル10からの入力振動を相殺する振動(変位)を生じることにより、主として大振幅の振動を吸収し、大振幅の振動がサイドフレーム22に伝達されることを阻止する。
フロアパネル10からの入力振動に同期したコイル84に対する通電制御は、サイドフレーム22に取り付けられた加速度センサ102(図1参照)によって検出されるサイドフレーム22の上下方向の運動に基づいて行うことができる。加速度センサ102は、図1に示されているように、各アクティブサスペンション装置40に近接する位置に設けられ、アクティブサスペンション装置40毎に個別の制御が行われても、全てのアクティブサスペンション装置40が総括された同一の制御が行われてもよい。
上述したように、アクティブサスペンション装置40はアッパレール18とサイドフレーム22との間に設けられているからロアレール16に対するアッパレール18のスライド移動によってシートクッション部20の位置が前後方向に変化しても、シートクッション部20とアクティブサスペンション装置40との前後方向の位置関係が変動することがない。つまり、アクティブサスペンション装置40は、シートクッション部20と一緒に前後方向に移動するから、シートクッション部20とアクティブサスペンション装置40との前後方向の位置関係が変動することがない。
これにより、シートクッション部20の前後アジャストによってシートクッション部20の位置が前後方向に変化しても、アクティブサスペンション装置40がシートクッション部20に与える振動低減特性が変動することがなく、安定した振動低減が行われる。特に、アクティブサスペンション装置40がサイドフレーム22の前部および後部の各々に個別に設けられている場合に、シートクッション部20の位置が前後方向に変化しても、サイドフレーム22に対する各アクティブサスペンション装置40の位置が変動することがなく、シートクッション部20の前後方向の位置が変化しても、常に所期の振動低減が行われる。
シートクッション部20の振動低減は、左右のサイドフレーム22の前部および後部に各々アクティブサスペンション装置40が設けられていることが、特に、後側のアクティブサスペンション装置40はリクライニング装置24の下方に配置されていることが、シートクッション部20を四隅で支持して各支持点において効果的に振動伝達を抑制し、走行振動等によってシートクッション部20が振動することを低減して乗り心地性を改善する上で好ましい。
また、アクティブサスペンション装置40がアッパレール18とサイドフレーム22との間に設けられていることにより、フロアパネル10の形状が変わっても、ロアレール16の取付部材12、14を変更するだけで、アクティブサスペンション装置40の取付構造を変更する必要が生じることがない。
アクティブサスペンション装置40はサイドフレーム22にプレス成形された窪み部28に配置されているので、サイドフレーム22の内側のデッドスペースの有効利用のもとに嵩張ることがなく、しかも、アクティブサスペンション装置40は、側面視で、少なくとも一部がサイドフレーム22と同じ高さに配置されることになるから、シートクッション部20の高さがアクティブサスペンション装置40の配置によって高くなることが抑えられる。
液封マウント部70が振動入力側であるアッパレール18に直接接続され、逆位相発生部100がサイドフレーム22に直接接続されているから、液封マウント部70により減衰される低周波、小振幅の振動を含む入力振動によって逆位相発生部100が加振されることがなく、逆位相発生部100の耐久性の向上が図られる。また、逆位相発生部100のコネクタ部88がサイドフレーム22側にあるので、サイドフレーム22側からのコネクタ部88に対する配線が容易になり、この配線部分も入力振動によって加振されることがない。
更には、後側連結ロッド30および前側連結ロッド32のサイドフレーム22に対する連結が箱形の高い剛性を備える窪み部28において行われているので、後側連結ロッド30および前側連結ロッド32による左右のサイドフレーム22の連結強度が高くなり、窪み部28の有効利用のもとに、シートクッション部20が高剛性の丈夫なものになる。
次に、本発明による車両用シートの実施形態2を、図4を参照して説明する。なお、図4において、図2に対応する部分は、図2に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
実施形態2では、後側の左右のアクティブサスペンション装置40が着座した乗員のヒップポイントHPに左右方向から見て対応する位置に配置されている。つまり、左右のアッパレール18上のアクティブサスペンション装置40が、側方からの投影面で見てヒップポイントHPの真下位置に配置されている。ヒップポイントHPとは、人間工学で知られているシートと人の位置関係の基準点の一つであり、シートに着座した人の股関節の真下位置に対応する前後方向の基準点である。
ヒップポイントHPは、シートクッション部20が着座した乗員の重量を最も多く受け持つ部位であるから、ヒップポイントHPに対応する位置にアクティブサスペンション装置40が配置されることは、乗り心地性の改善のために、走行振動等によるシートクッション部20の振動を効率よく効果的に低減する上で好ましい。
なお、実施形態2には、サイドフレーム22の前側の支持が、アクティブサスペンション装置40に代えて、アッパレール18とサイドフレーム22との間に設けられた圧縮型の防振ゴム装置110によって行われるようになっている。
次に、本発明による車両用シートの実施形態3を、図5〜図7を参照して説明する。なお、図5において、図2に対応する部分は、図2に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
実施形態3では、図5に示されているように、アッパレール18とサイドフレーム22との間に、前後方向に長い帯状のアクティブサスペンション装置120が設けられている。アクティブサスペンション装置120はアッパレール18の前後方向の略全域に亘って連続して延在している。
アクティブサスペンション装置120の詳細を、図6および図7を参照して説明する。アクティブサスペンション装置120は、前後方向の間隔をおいて配置された複数個の下部ボス部材122と、前後に細長い矩形状の下部ハウジング124と、下部ハウジング124の上部にかしめ結合された前後に細長い矩形状の上部ハウジング126とを有する。下部ボス部材122は、下方に突出した取付片122Aを一体に有し、取付片122Aをボルト・ナット128によってアッパレール18に固定されている。
各下部ボス部材122はゴム等による防振弾性体130によって下部ハウジング124に接続されている。防振弾性体130は、下部ハウジング124の左右の内面に加硫接着されて下部ハウジング124の前後方向の全域に亘って延在する左側桁部130Aおよび右側桁部130Bと、下部ボス部材122毎に個別に設けられて下部ボス部材122と左側桁部130Aとを連結する左側飛び梁部130Cと、下部ボス部材122毎に個別に設けられて下部ボス部材122と右側桁部130Bとを連結する右側飛び梁部130Dとを一体に有する。
下部ハウジング124には外周縁の全域に亘ってゴム等によるダイヤフラム132が加硫接着されている。ダイヤフラム132は、各下部ボス部材122が外部に露呈するように下部ボス部材122の外周面にも加硫接着され、下部ハウジング124および後述の隔壁板136と協働して防振弾性体130を内蔵する下側液室134を画定している。
下側液室134には、後述の上側液室142と共に、適度の粘性を有する油等の液体が封入されている。
このようにして、下部ボス部材122と下部ハウジング124との間に液封マウント部138が構成される。
下部ハウジング124と上部ハウジング126との間にはこれらハウジングの内部を上下に区切る隔壁板136がこれらハウジングのかしめ部に共締めされている。
上部ハウジング126内の前後2箇所にはゴム等の弾性体139によって略円盤形状の加振部材140が設けられている。弾性体139は、上部内側ハウジング46の内周面に加硫接着されていると共に、各加振部材140が隔壁板136の側に露呈するように各加振部材140の外周面に加硫接着され、隔壁板136との間に上側液室142を画定している。隔壁板136の前後2箇所には連通孔144が形成されている。連通孔144は各加振部材140に対向する位置に設けられている。上側液室142は連通孔144によって下側液室134に連通している。
加振部材140には、加振部材140から上側液室142とは反対側、つまり上側に延在するステム146が一体形成されており、ステム146の上端には可動コア部材148が固定されている。上部ハウジング126内には、加振部材140毎に、コイル150と、ヨーク部材152と、可動コア部材148に対向する固定コア部材154とが取り付けられている。
上部ハウジング126の左右両側には上部ハウジング126の前後方向の全長に亘って延在する左右の取付片156が接合されている。取付片156は複数のボルト・ナット158に上部ハウジング126をサイドフレーム22の下底部に固定している。
走行振動等は、フロアパネル10から、取付部材12、ロアレール16、アッパレール18を経てアクティブサスペンション装置120の下部ボス部材122に入力される。下部ボス部材122に振動が入力されると、その振動によって液封マウント部138をなす防振弾性体130が弾性変形する。防振弾性体130の弾性変形によって、主として低周波、小振幅の振動の減衰および吸収が行われ、低周波、小振幅の振動がサイドフレーム22に伝達されることが抑制される。
コイル150に通電が行われ、コイル150が励磁すると、固定コア部材154による磁気的吸引によって可動コア部材148が上昇移動し、これに伴い弾性体139の弾性変形を伴って加振部材140が上昇移動し、上側液室142の容積が増大する。上側液室142の容積の増大に伴って下側液室134の封入液体が連通孔144から上側液室142に流入し、下側液室134の容積が減少することにより、防振弾性体50が弾性変形し、下部ボス部材42に対して下部ハウジング124および上部ハウジング126が降下移動する。
コイル150に対する通電が停止され、コイル150が消磁すると、固定コア部材154による磁気的吸引がなくなり、弾性体139の復元力によって可動コア部材148および加振部材140が降下移動し、上側液室142の容積が減少する。上側液室142の容積の減少に伴って上側液室142の封入液体が連通孔144から下側液室134に流入し、下側液室134の容積が増大することにより、防振弾性体50が弾性変形し、下部ボス部材122に対して下部ハウジング124および上部ハウジング126が上昇移動する。
これにより、フロアパネル10からの入力振動に同期してコイル150に対する通電が制御されることにより、アッパレール18に固定された下部ボス部材122とサイドフレーム22に固体された上部ハウジング126との間に、フロアパネル10からの入力振動とは逆位相の振動を発生する逆位相発生部160が構成される。逆位相発生部160は、シートクッション部20の前後左右の4箇所に構成され、フロアパネル10からの入力振動を相殺する振動(変位)を生じることにより、主として大振幅の振動を吸収し、大振幅の振動がサイドフレーム22に伝達されることを阻止する。
フロアパネル10からの入力振動に同期したコイル150に対する通電制御は、サイドフレーム22に取り付けられた加速度センサ(不図示)によって検出されるサイドフレーム22の上下方向の運動に基づいて行うことができる。逆位相発生部160の制御は、4個全てが同一の制御であっても、個別の制御であってもよい。
この実施形態でも、アクティブサスペンション装置120はアッパレール18とサイドフレーム22との間に設けられているからロアレール16に対するアッパレール18のスライド移動によってシートクッション部20の位置が前後方向に変化しても、シートクッション部20とアクティブサスペンション装置120との前後方向の位置関係が変動することない。つまり、アクティブサスペンション装置120は、シートクッション部20と一緒に前後方向に移動するから、シートクッション部20とアクティブサスペンション装置120との前後方向の位置関係が変動することがない。
これにより、シートクッション部20の前後アジャストによってシートクッション部20の位置が前後方向に変化しても、アクティブサスペンション装置120がシートクッション部20に与える振動低減特性が変動することがなく、安定した振動低減が行われる。
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、逆位相発生部100、160は電磁式のものに限られることなく、電歪式や流体圧式のものであってもよい。また、アクティブサスペンション装置40、120のサイドフレーム22に対する接続は、上部外側ハウジング48、上部ハウジング126に代えて下部ハウジング44、124によって行われてもよい。
本発明による車両用シートは、シートクッション部20が前後方向に移動可能なものへの適用に限られることはなく、ロアレール16およびアッパレール18が前後斜め方向に延在してシートクッション部20が前後斜め方向に移動可能なものや、ロアレール16およびアッパレール18が左右方向に延在してシートクッション部20が左右方向に移動可能なものにも適用することができる。また、本発明による車両用シートは、前後方向に延在するロアレール16およびアッパレール18と左右方向に延在するロアレール16およびアッパレール18とが上下2段に設けられ、シートクッション部20が前後方向および左右方向に移動可能なものにも適用することができる。この場合、アクティブサスペンション装置40は、上段(シートクッション部20側)のアッパレール18に配置されていればよい。
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。例えば、液封マウント部70は、必須でなく、省略されてもよい。
10 フロアパネル
16 ロアレール
18 アッパレール
20 シートクッション部
22 サイドフレーム
24 リクライニング装置
26 バックフレーム
28 窪み部
30 後側連結ロッド
32 前側連結ロッド
34 前端連結部材
40 アクティブサスペンション装置
42 下部ボス部材
44 下部ハウジング
46 上部内側ハウジング
48 上部外側ハウジング
50 防振弾性体
52 接続部材
54 ダイヤフラム
56 隔壁板
58 第1液室
60 第2液室
70 液封マウント部
72 弾性体
74 加振部材
76 第3液室
78 連通孔
82 可動コア部材
84 コイル
94 固定コア部材
100 逆位相発生部
102 加速度センサ
110 防振ゴム装置
120 アクティブサスペンション装置
122 下部ボス部材
124 下部ハウジング
126 上部ハウジング
132 ダイヤフラム
134 下側液室
136 隔壁板
138 液封マウント部
139 弾性体
140 加振部材
142 上側液室
144 連通孔
148 可動コア部材
150 コイル
154 固定コア部材
160 逆位相発生部

Claims (10)

  1. 車体に固定されたロアレールと、前記ロアレールに移動可能に係合したアッパレールとを有し、前記アッパレールにシートクッション部のサイドフレームが配置される車両用シートであって、
    前記アッパレールと前記サイドフレームとの間にアクティブサスペンション装置が取り付けられている車両用シート。
  2. 前記ロアレールは前後方向に延在して左右一対設けられており、前記左右のアッパレールは前記ロアレールの各々に係合して前後方向に移動可能である請求項1に記載の車両用シート。
  3. 前記アクティブサスペンション装置は、前記サイドフレームの前部および後部の各々に個別に設けられている請求項1または2に記載の車両用シート。
  4. 前記サイドフレームの後部にはリクライニング装置によってバックフレームが前記サイドフレームに対する傾斜角度を変更可能に取り付けられており、
    前記アクティブサスペンション装置の少なくとも一つは前記リクライニング装置の下方に設けられている請求項1または2に記載の車両用シート。
  5. 前記アクティブサスペンション装置の少なくとも一つは着座した乗員のヒップポイントに左右方向から見て対応する位置に設けられている請求項1または2に記載の車両用シート。
  6. 前記サイドフレームに窪み部が形成されており、前記窪み部に前記アクティブサスペンション装置が設けられている請求項1から5の何れかに記載の車両用シート。
  7. 前記窪み部は、前記サイドフレームの左右方向の側面の外側から内側に窪んだ下方開放の窪み部が形成されており、前記窪み部に前記アクティブサスペンション装置が設けられている請求項6に記載の車両用シート。
  8. 前記サイドフレームは左右一対設けられており、
    更に、左右の端部を各々前記窪み部を画定する壁に接合され、左右方向に延在して前記左右のサイドフレームを互いに連結する連結ロッドを有する請求項7に記載の車両用シート。
  9. 前記アクティブサスペンション装置は、前記アッパレールと前記サイドフレームとの間にこれらの延在方向に連続して延在している請求項1または2に記載の車両用シート。
  10. 前記アクティブサスペンション装置は、振動減衰を行う液封マウント部と、前記液封マウント部に連結されて車体からの入力振動とは逆位相の振動を発生する逆位相発生部とを有し、前記液封マウント部が前記アッパレールに直接接続され、前記逆位相発生部が前記サイドフレームに直接接続されている請求項1から9の何れかに記載の車両用シート。
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