JP2017030120A - 主軸ヘッド昇降装置および工作機械 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、主軸ヘッドの昇降には、主に電動モータを含む駆動機構が利用されていた。
近年、電動モータによる駆動機構と並列にエアシリンダを追加し、主軸ヘッドの重量をエアシリンダで負担するようにした、電空ハイブリッド型の主軸ヘッド昇降装置が開発されている。
ところが、特許文献1のようなバランス装置では、減圧弁の精度も十分でないうえ、応答速度が遅いという課題があった。
特許文献2においては、バランスシリンダの圧力制御にあたり、流量制御つきの圧力レギュレータを用い、圧力のフィードバック制御の内側で流量のフィードバック制御を行うことで、きわめて高い精度と応答性を実現している。
つまり、所期の停止位置を維持するために、無駄な電流を供給し続ける必要があり、電空ハイブリッド型の主軸ヘッド昇降装置として望ましいものではなかった。
すなわち、バランスシリンダを含む系をモデル化しておき、バランスシリンダの現在位置に応じて予め設定しておいた制御量を用いるため、バランスシリンダの現在圧力を参照するフィードバック制御のような圧力変動を回避することができる。
これらにより、静止時および駆動時の圧力変動を低減することができ、圧力変動の低減により電動式駆動装置による補正が必要なくなり、停止時の消費電流を低減できる。
なお、本発明の主サーボ弁としては、十分な応答性を持つ空気圧サーボ弁であれば用いることができ、前述したノズルフラッパ弁のほか、例えば、数百Hz〜1kHz程度の高い動特性をもつスプール弁やダイヤフラム弁を利用してもよい。
このような本発明では、フィードフォワード制御だけではバランスシリンダの現在圧力が不足する状態のとき、PI制御部による比例積分制御を行うことで加圧ガスの追加供給を行うことができる。
しかし、本発明では、PI制御部により加圧ガスの追加供給が行われ、バランスシリンダを目標位置に維持するためのバランスシリンダの現在圧力を回復することができ、電動式駆動機構による補助を解消することができる。
このような場合、制御切換部の切換条件として、バランスシリンダの現在圧力が目標圧力より高い場合を追加し、電動式駆動機構による補助を解消すればよい。
ただし、フィードバック制御による圧力変動を回避するために、全ての圧力条件でPI制御部が有効になることを避ける設定、例えばバランスシリンダが目標位置の近くにあるときにはフィードフォワード制御だけに切り換える等とすることが望ましい。
このような本発明では、主サーボ弁としてノズルフラッパ弁を用いることで、高応答性つまり動作の高速性と、高精度とを得ることができる。
このような本発明の工作機械においては、前述した本発明の主軸ヘッド昇降装置で説明した通りの効果を得ることができる。
本実施形態は、電空ハイブリッド型の主軸ヘッド昇降装置を備えた工作機械に本発明を適用した例である。
図1において、工作機械1は、ワークWが載置されるテーブル13と、テーブル13を支持するベース10と、ベース10およびテーブル13を跨いで設けられた門型コラム20と、門型コラム20の水平ビーム20Aに支持された主軸装置30と、を有する。
X軸ガイド機構11は、ベース10の上面にX軸方向に沿って互いに平行に配置されたガイドレール11Aと、テーブル13の下面にガイドレール11Aに沿ってスライド可能に設けられたスライド部材11Bとを含んで構成されている。
Y軸ガイド機構21は、図2にも示すように、門型コラム20の水平ビーム20Aの上面にY軸方向に沿って互いに平行に配置されたガイドレール21Aと、主軸装置30の下面にガイドレール21Aに沿ってスライド可能に設けられたスライド部材21Bとを含んで構成されている。
主軸ヘッド43は、主軸ヘッド本体51と、この主軸ヘッド本体51に回転可能に支持された主軸52と、この主軸52を回転駆動させる回転駆動源53とを有する。主軸52には工具54が着脱可能に取り付けられる。回転駆動源53は電動モータによって構成されている。
主軸ヘッド43をサドル33に対して昇降させるために、主軸装置30は主軸ヘッド昇降装置40を備えている。
主軸ヘッド昇降装置40は、電空ハイブリッド型とされ、Z軸ガイド機構41およびZ軸リニアモータ機構42(電動式駆動機構)を有するとともに、主軸ヘッド43の重量を負担するバランスシリンダ44、圧力調整装置46および空気供給源45を備えている。
Z軸ガイド機構41は、主軸ヘッド43の裏面にZ方向に沿って互いに平行に配置されたガイドレール41Aと、サドル33の正面に固定されガイドレール41Aをスライド可能に案内するスライド部材41Bとを含んで構成されている。
一対のバランスシリンダ44は、それぞれ上端がブラケット55を介してサドル33に支持されたシリンダ本体44Aと、上端にシリンダ本体44A内に摺動可能に収納されたピストンを有し下端が主軸ヘッド43の下端に連結されたピストンロッド44Bとから構成されている。
バランスシリンダ44においては、圧力調整装置46および空気供給源45から供給される加圧空気により、主軸ヘッド43の重量とバランスする付勢力が、主軸ヘッド43に対して上向きに付与される。
以下、本実施形態の主軸ヘッド昇降装置40におけるバランスシリンダ44の圧力制御について説明する。
図3において、圧力調整装置46は、空気供給源45(加圧ガス源)からの加圧空気(加圧ガス)の圧力を安定化させる圧力レギュレータ70と、圧力レギュレータ70で安定化された加圧空気の圧力を調整する主サーボ弁80と、圧力レギュレータ70および主サーボ弁80を制御する制御装置90とを有する。
そして、制御装置90は、圧力レギュレータ70を制御する圧力レギュレータ制御部91と、主サーボ弁80を制御する主サーボ弁制御部92と、バランスシリンダ44の目標圧力Prefを含む制御データを記憶する記憶部93と、を備えている。
図3において、圧力レギュレータ70は、主サーボ弁80に導入される加圧空気を安定化させるものである。
図4において、圧力レギュレータ70は、空気供給源45(加圧ガス源)からの加圧空気(加圧ガス)の圧力を調整するサーボ弁71と、サーボ弁71からの空気の流量を検出する流量センサ72と、流量センサ72からの空気を一時貯留する等温チャンバ73と、等温チャンバ73からの空気の圧力を検出する圧力センサ74とを有する。
このような圧力レギュレータ70としては、例えば、特開2009−110033号に開示された圧力レギュレータを用いることができる。ただし、高速かつ精密に目標圧力を維持でき、主サーボ弁80に導入される加圧空気を安定化させるのに十分な性能があれば、他の構成の圧力レギュレータを利用してもよい。
図5に、圧力レギュレータ制御部91における制御ブロック線図を示す。
圧力レギュレータ制御部91は、二重のフィードバックループにより圧力レギュレータ70を制御するものであり、圧力レギュレータ70のサーボ弁71に指令値Crを出力し、等温チャンバ73を経て主サーボ弁80へ送られる加圧空気を圧力Prに調節させる。
圧力ループ911は、圧力レギュレータ制御部91の主フィードバックループであり、目標圧力Prefに対して、圧力センサ74で検出される等温チャンバ73から送り出される空気の圧力Prをフィードバックし、サーボ弁71の比例積分制御を行う。
流量ループ912は、圧力ループ911の内側に設定され、サーボ弁71から等温チャンバ73に流入する空気の流入流量Ginと、この流入流量Ginと等温チャンバ73内の空気の圧力微分値dP/dtとに基づいて計算される等温チャンバ73から流出する空気の流出流量Goutとに基づいて、サーボ弁71の比例積分制御を行う。
これに対し、圧力レギュレータ制御部91は、二重のフィードバックループにより圧力レギュレータ70のサーボ弁71の開度を加減し、その開度に応じた流入流量Ginで等温チャンバ73へと空気を流入させる。これによって、等温チャンバ73から主サーボ弁80へ送られる加圧空気の圧力Prを目標圧力Prefに復帰させることができる。
図3および図6において、主サーボ弁80は、バランスシリンダ44の圧力を直接制御するものである。
主サーボ弁80は、高応答性つまり動作が高速で高精度のノズルフラッパ弁で構成される。このようなノズルフラッパ弁としては、例えばピーエスシー株式会社のノズルフラッパ型3方弁AS110−135(35L)などが利用できる。
なお、主サーボ弁80はノズルフラッパ弁に限らず、ノズルフラッパ弁と同様な高速性および高精度が得られるものであれば、他の形式のサーボ弁であってもよい。
図6において、主サーボ弁制御部92は、主サーボ弁80を制御するものであり、主サーボ弁80に指令値Csを出力し、主サーボ弁80からバランスシリンダ44へ送られる加圧空気を圧力Psに調節させる。
主サーボ弁制御部92における制御は、主にフィードフォワード制御とされ、条件に応じて比例積分制御を組み合わせる構成とされている。
このために、主サーボ弁制御部92は、FF制御部921と、PI制御部922と、制御切換部923と、を備えている。
PI制御部922は、バランスシリンダ44の目標圧力Prefと、バランスシリンダ44の現在圧力Pcのフィードバックとに基づいて比例積分制御を行う。
制御切換部923は、目標圧力Prefと現在圧力Pcとの関係からPI制御部922の有効無効を切り替える。
主サーボ弁制御部92においては、基本的に、FF制御部921によるフィードフォワード制御が行われる。
まず、バランスシリンダ44の圧力Pcが目標圧力Prefより大きい場合、制御切換部923はPI制御部922を無効とする。その結果、主サーボ弁制御部92は、FF制御部921のみによるフィードフォワード制御が行われる。
FF制御部921によるフィードフォワード制御は、バランスシリンダ44の現在位置Xcに基づくオープンループ制御であり、バランスシリンダ44の圧力Pcのフィードバックは参照されない。
すなわち、FF制御部921によるバランスシリンダ44の現在位置Xcに基づくフィードフォワード制御が行われるとともに、PI制御部922によりバランスシリンダ44の圧力Pcのフィードバックが参照され、比例積分制御が行われ、各々の制御出力が加算されて指令値Csとして主サーボ弁80に送られる。
以上のような主サーボ弁制御部92および主サーボ弁80により、バランスシリンダ44は目標圧力Prefに基づく所期の圧力Pcに制御することができる。
本実施形態によれば、以下に述べる効果が得られる。
本実施形態の主軸ヘッド昇降装置40では、圧力調整装置46の主サーボ弁80により、バランスシリンダ44の基本的な圧力制御が行われる。主サーボ弁80の制御は、制御装置90の主サーボ弁制御部92のFF制御部921により、バランスシリンダ44の現在位置Xcに基づくフィードフォワード制御によって行われる。
すなわち、バランスシリンダ44を含む系をモデル化しておき、バランスシリンダ44の現在位置に応じて予め設定しておいた制御量を用いるため、バランスシリンダ44の現在圧力Pcを参照するフィードバック制御のような圧力変動を回避することができる。
以上により、本実施形態においては、静止時および駆動時の圧力変動を低減することができ、圧力変動の低減により電動式駆動装置であるZ軸リニアモータ機構42による補正が必要なくなり、停止時の消費電流を低減することができる。
しかし、本実施形態では、PI制御部922により加圧空気の追加供給が行われ、これによりバランスシリンダ44を目標位置に復帰させることができ、Z軸リニアモータ機構42による補助を解消し、そのための電流を低減することができる。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、制御切換部923がPI制御部922を有効とする切換条件として、バランスシリンダ44の現在圧力Pcが目標圧力Pref以下、つまり低いか等しい場合としたが、等しい場合を含まなくてもよい。
例えば、FF制御部921によるフィードフォワード制御だけではバランスシリンダ44の現在圧力Pcが過剰となる場合、バランスシリンダ44を押し下げるように電動式駆動機構で補助する必要が生じるが、現在圧力Pcが目標圧力Pref以上あるいは目標圧力Prefより高いときにPI制御部922を有効とすることで、電動式駆動機構による補助を解消することができる。
Claims (5)
- 工作機械の主軸ヘッドを昇降させる電動式駆動機構と、前記主軸ヘッドの重量を負担するバランスシリンダと、前記バランスシリンダの圧力を制御する圧力調整装置とを備えた主軸ヘッド昇降装置であって、
前記圧力調整装置は、加圧ガス源からの加圧ガスの圧力を安定化させる圧力レギュレータと、前記圧力レギュレータで安定化された加圧ガスの圧力を調整する主サーボ弁と、前記圧力レギュレータおよび前記主サーボ弁を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記主サーボ弁を制御する主サーボ弁制御部を有し、前記主サーボ弁制御部は、前記バランスシリンダの現在位置に基づいて前記主サーボ弁のフィードフォワード制御を行うFF制御部を備えていることを特徴とする主軸ヘッド昇降装置。 - 請求項1に記載した主軸ヘッド昇降装置において、
前記主サーボ弁制御部は、前記バランスシリンダの目標圧力と前記バランスシリンダの現在圧力のフィードバックとに基づいて比例積分制御を行うPI制御部と、前記目標圧力と前記現在圧力との関係から前記PI制御部の有効無効を切り替える制御切換部と、を備えていることを特徴とする主軸ヘッド昇降装置。 - 請求項1または請求項2に記載した主軸ヘッド昇降装置において、
前記主サーボ弁は、ノズルフラッパ弁であることを特徴とする主軸ヘッド昇降装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載した主軸ヘッド昇降装置において、
前記圧力レギュレータは、前記加圧ガス源からの加圧ガスの圧力を調整するサーボ弁と、前記サーボ弁からの加圧ガスの流量を検出する流量センサと、前記流量センサからの加圧ガスを一時貯留する等温チャンバと、前記等温チャンバからの加圧ガスの圧力を検出する圧力センサとを有し、
前記制御装置は、前記流量センサからの流量値および前記圧力センサからの圧力値に基づく二重のフィードバックループにより前記圧力レギュレータの前記サーボ弁を制御する圧力レギュレータ制御部を有することを特徴とする主軸ヘッド昇降装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載した主軸ヘッド昇降装置を有することを特徴とする工作機械。
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