JP2017027570A - 制御システム、制御システムの設計方法、及びプログラム - Google Patents

制御システム、制御システムの設計方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 PID制御又は同等の簡潔さを保ちながら、システムの安定性・制御性能を考慮した制御器を設計する。【解決手段】 制御対象からの出力と所定の目標値との偏差に基づいて前記制御対象のフィードバック制御を行うフィードバック制御器と、前記制御対象をモデル化したノミナルプラントモデルの出力と、前記制御対象からの出力と、の偏差が入力されるとともに、出力が前記フィードバック制御器の出力と加算されて前記制御対象に入力される外乱フィードバック要素と、を備え、前記外乱フィードバック要素のパラメータは、前記制御システムに導入された不確かさの下で所定の安定性及び制御性能を有するように決定されることを特徴とする制御システム。【選択図】図2

Description

本発明は、制御システム、制御システムの設計方法、及びプログラムに関する。
産業界において、ON−OFF制御やPID制御をはじめとしたワンループコントローラが広く適用されてきた。また、これらコントローラの制御設計方法も数多く開発されてきた。これらの制御設計は、古典制御理論に基づいている。
一方で、現代制御理論を用いた制御設計方法の研究が1960年代から進み、その成果の産業界への適用が進んできた。1980年代には、ポスト現代制御理論と呼ばれるロバスト制御などのモデル誤差に着目した制御設計が主流となった。
ロバスト制御は、古典制御と現代制御を併せた新たな制御理論である。ロバスト制御は、モデルの曖昧さや不完全さを表現する新たな概念「不確かさ(Δ)」を導入し、その不確かさを考慮した上で安定性と制御性能を同時に満たす制御系を設計することを可能とする。ロバスト制御は、モデル誤差や外乱等の不確定要素に悩んでいた設計者にとっては、大変有効な制御理論ではある。しかしながら、ロバスト制御理論は、古典制御理論と現代制御理論の上に構築されているため、二つの理論の背景知識を要する。このため、ロバスト制御理論の特徴と制御対象とを適切に理解せずに設計した場合には、古典制御の代表格であるPID制御よりも制御性能が劣る結果になってしまう事もある。いまだにPID制御が産業界において主流となっているのは、設計に要する知識レベル、時間、機器という「費用」に対して、得られる制御性能と安定性の「効果」が最も高い制御手法の一つだからであると考えられる。
この点、特開2003−195905号公報(特許文献1)では、ロバスト制御理論におけるロバスト安定性を満たすPID制御パラメータ算出し、ロバスト安定性を実現する制御装置及び温度調節器を提案している。しかしながら、特許文献1はロバスト安定性のみに着目しており、制御性能を評価するロバスト性能を考慮していない。このため、設計が保守的になり、十分な制御性能を保証できない。また特許文献1では、モデル予測制御則も取り入れている。このモデル予測制御則の重み係数の調整によって、上記制御性能を高めるアプローチも考えられる。しかし三つの制御理論を全て組み合わせることによって、制御設計のポイントや方針が曖昧となり、その結果として所望の性能と安定性を得ることが困難である。
また、特開平9−85407号公報(特許文献2)では、連続鋳造機におけるモールド内溶鋼レベル制御方法を提案している。特許文献2では、PID制御、オブザーバ制御、およびロバスト制御の3つの制御手法を備え、鋳込速度、取鍋残溶鋼量、タンディッシュ重量の各閾値の条件によって、3つの制御手法を切り替える事によって精度の高い溶鋼レベル制御を提案している。しかしながら、この制御システムを設計するためには、三つの制御手法の背景知識を要し、しかも、予め三種類の制御器を設計する必要があるため3倍ものエンジニアリングコストを費やすことになる。さらに、三つの制御手法は全て異なる制御理論体系を背景としているため、制御手法を切替える事に起因する制御器出力の急変、システムの不安定化などを引き起こすリスクを持つという問題がある。
特開2003−195905号公報 特開平9−85407号公報
このように、上記背景技術で示した設計手法を適用するためには古典制御に加えて現代制御技術の知識が必要であり、両方の技術を習得しないと設計は困難である。
本願における主たる発明は、PID制御又は同等の簡潔さを保ちながら、システムの安定性・制御性能を考慮した設計手法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段の一つは、制御対象からの出力と所定の目標値との偏差に基づいて前記制御対象のフィードバック制御を行うフィードバック制御器と、前記制御対象をモデル化したノミナルプラントモデルの出力と、前記制御対象からの出力と、の偏差が入力されるとともに、出力が前記フィードバック制御器の出力と加算されて前記制御対象に入力される外乱フィードバック要素と、を備え、前記外乱フィードバック要素のパラメータは、前記制御システムに導入された不確かさの下で所定の安定性及び制御性能を有するように決定されることを特徴とする。
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
本発明によれば、最も産業界で普及しているPID制御などのフィードバック制御の特長を活かしつつ、外乱フィードバック要素を導入することによって安定性と制御性能を強化することが可能である。
本発明の一実施形態において、外乱フィードバック要素を備えたフィードバック制御系の機能を示すブロック図である。 本発明の一実施形態において、出力系への乗法的不確かさ(Δ)を持つロバスト外乱フィードバック制御の機能を示すブロック図である。 本発明の一実施形態において、ΔN構造とΔPL構造を示す図である。 本発明の一実施形態において、外乱フィードバック要素のパラメータLを探索するためのアルゴリズムのコンセプトを示す図である。 本発明の一実施形態において、周波数領域におけるロバスト安定(RS)、ノミナル性能(NP)、ロバスト性能(RP)の一例を示す図である。 本発明の一実施形態において、ロバスト外乱フィードバック制御のための、外乱フィードバック要素のパラメータであるLの探索アルゴリズムを示すフローチャートである。 本発明の一実施形態において、図6における1次遅れ系パラメータLの探索手順の詳細を示す図である。 本発明の一実施形態において、L探索アルゴリズムの調整結果の一例を示す図である。
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。なお、以下の記載において、「制御系」と「制御システム」(又は単に「システム」)とは同じ意味で使用される。
===制御系の概要===
本実施形態において用いられる外乱フィードバック制御系のブロック図を図1に示す。図1に示されるように、本実施形態における制御系は、制御対象1(伝達関数G)、コントローラ2(伝達関数K)及び直結フィードバックループを含むフィードバック制御系に、外乱フィードバック要素4(伝達関数L)が付加されている。
フィードバック制御系は、例えばPID制御系であって、制御対象1の出力y(外乱dを含む)と設定値rとの差分がコントローラ2に入力され、コントローラ2は信号ulを出力する。また、外乱フィードバック要素4には、ノミナルプラントモデル3(伝達関数Gn)の出力ynと、制御対象1の出力yと、の差分εが入力される。外乱フィードバック要素4の出力udは加算器7においてコントローラ2の出力ulと加算され、このように加算された信号u(= ud +ul)が制御対象1に入力される。なお、以下の説明では、例えばコントローラKのように、制御系の構成要素を伝達関数で示すことがある。
このような本制御系の閉ループ伝達関数は、次式で示される。
かかる制御系の伝達関数において、制御対象1の伝達関数Gとノミナルプラント3の伝達関数Gnが完全に一致した場合(G = Gn)、上記(式1)は下記のように表される。
ここで、(式2)の第一項は、設定値応答の伝達関数(入力rから出力y)であり、第二項は外乱応答の伝達関数(入力dから出力y)である。
(式2)より、G = Gnの条件下においては第一項からLが消えることから、外乱フィードバック要素Lは、第二項の外乱応答のみに有効に働くことが分かる。さらに、Lは伝達関数の分母側にあることから、Lが大きな値であるほど、外乱信号dを打ち消す関係を持つことも分かる。以上が、外乱フィードバック制御の基本的な特長である。
<<ロバスト制御理論の導入>>
図1で示される外乱フィードバック制御系にロバスト制御理論を導入する。前述したとおり、ロバスト制御理論はモデルに不確かさΔを導入するところ、かかる不確かさΔには乗法的又は加法的、入力系又は出力系など、制御対象や制御目的にあわせて様々な表現方法がある。ここでは、乗法的不確かさ且つ、出力系の不確かさを持つロバスト外乱フィードバック制御を用いることとするが、本発明における不確かさΔの表現方法に制限はない。
乗法的不確かさ且つ、出力系の不確かさを備えたロバスト外乱フィードバック制御系のブロック図を図2に示す。なお、図3は、図2の入出力信号を整理することにより構築されたΔPL構造を示している。以下、詳細を説明する。
図2において、図1の制御対象Gが、追って詳述するように、ノミナルプラントモデルGn、重み関数Wo及び不確かさΔを含むモデルで置き換えられ、また、出力yの重み関数WPが導入されている。
このような制御系について、ノミナルプラントモデル11(伝達関数Gn)からの出力信号y’は、次式によって表される。
また、制御対象11の出力信号の不確かさyΔは、出力系且つ乗法的不確かさへの重み関数Woを用いて、
で表されるから、(式3)を(式4)に代入すると次式を得る。
ただし、ulはコントローラKからの出力であり、udはフィードバック要素Lからの出力であり、uはulとudとを加算した制御信号である(u = ul + ud)。
uは、(式3)の第1式とy’ = Gnuとを用いれば、次式によって表される。
また、u = ul + udの関係を用いると、ulは次のように示される。
また、ul= Keとe’ = Wpeの関係式より、下記が求まる。
ただし、Wpは、出力誤差eに対する重み付けを行う重み関数である。
そして、モデル誤差εは下記で示される。
yn= Gnul、y = d +uΔ + y’であるから、(式9)は、下記のようにも書ける。
(式3)の第2式と(式7)とを(式10)に代入すると、下記の式を得る。
<<ΔPL構造及びΔN構造>>
以上のようにロバスト外乱フィードバック制御構造を整理したことで、図2の閉ループ系は、不確かさΔ、外乱フィードバック要素L以外の要素を一括してPで表すと、図3(b)に示されるΔPL構造のように書き換えることができる。そして、図3(b)に基づき、(式4)、(式7)、(式8)、(式11)から、次の関係式を得る。
(式12)から、(uΔ、d、ud)と(yΔ、e’、ε)との関係を示す次のP行列が得られる。
ここで、P11は2×2行列、P12は2×1行列、P21は1×2行列、P22は1×1行列である。
次に、このP行列からN行列を求める。つまり、図3(b)で示されるΔPL構造においてΔ以外の要素をNで表すことで、図3(b)の制御系を図3(a)のΔN構造で書き換える。そして、このΔN構造を示すN行列を導出し、かかるN行列を用いて、ロバスト制御理論の評価指標である、ロバスト安定(Robust Stability: RS)、ノミナル性能(Nominal Performance: NP)、そしてロバスト性能(Robust Performance: RP)を記述することとする。
具体的には、P行列の線形分数変換(Linear Fractional Transformation)を行うと、N行列は、下記式によって表される。
さらに、(式14)を整理するとN行列は次式で表される。
ただし、S及びT,SL及びTLは、それぞれ次の(式16)、(式17)を満たす。
<<ロバスト安定性、ノミナル性能、ロバスト性能の条件>>
以上の結果を用いて、ロバスト安定性、ノミナル性能、ロバスト性能の条件を導出する。
まず上記(式15)の対角要素からロバスト安定性(RS)、及びノミナル性能(NP)を求める。N行列の1行1列目の要素N11において、ノルム||N11||<1はRSの条件であるから、次式を得る。またN行列が内部安定の時、Nominal Stability (NS) と言う。
また、N行列の2行2列目の要素N22において、ノルム||N22||<1はNPの条件であるから、次式が得られる。
かかるNPを用いてロバスト性能(RP)を導出する。そもそもNPは不確かさ(Δ)を考慮しない、ノミナルプラントモデルによる性能条件を示している。一方、RPは不確かさΔを考慮した上での性能条件である。そこで(式19)で示されるNP条件に、最悪ケースの不確かさ|Δ|=1を加えることによって、RPの条件を下記のとおり求めることが出来る。
結局、RPはRSとNPの和によって表現され、その和が1未満であると定義されることとなる(次の式21参照)。
上記(式21)が本発明における制御方法のロバスト性能(RP)条件である。本発明では、このRP条件を活用し、RP < 1を満たすパラメータLを探索するアルゴリズムを提供する。
ちなみに、本発明の制御手法を適用せずに、通常のH∞制御理論を用いた場合は、ΔPK構造を求め、Matlab(商標)等の制御設計ソフトウェアが提供するRobust Control Toolbox等を用いて、ロバスト性能を満たすコントローラKを設計することになる。この場合のΔPK構造を示す関係式(P行列を含む)、N行列は次式により表される。
ただし、S,Tはそれぞれ1/(1+PK)、及びPK/(1+PK)で表される感度関数及び相補感度関数である。
<<L探索アルゴリズム>>
図4−図8を参照して、外乱フィードバック要素Lの探索アルゴリズムについて説明する。図4は、L探索アルゴリズムのコンセプトを示す図である。図5は、周波数領域におけるロバスト安定(RS)、ノミナル性能(NP)、ロバスト性能(RP)の一例を示す図である。図6は、L探索手順を示すフローチャートである。図7は、図6における一次遅れ要素としてのLを探索する手順の詳細を示す。図8は、L探索アルゴリズムの調整結果の一例を示す図である。
本実施形態におけるL探索アルゴリズムのコンセプトは、図4に示されるように、SL,TLの伝達関数に含まれるLを調整することにより、周波数領域のRPが持つ二つのピーク値を所望の値に形作る事である。RPの二つのピークのうち一つのピークはNPに由来し、もう一つのピークはRSに由来する。そして、二つのピーク値は互いにトレードオフの関係にあるため、NPを小さくするとRSが大きくなり、逆にRSを小さくするとNPが大きくなる。例えるならば、スコップで砂地の一部の穴を掘って低くしても、他の場所にスコップで取り除かれた砂の山が出来てしまうことに似ている。
そこで、本実施形態では、図4のように、スコップに例えられたLを調整することによって、砂地に例えられた周波数領域のRPを所望の値(RP<1)に形作ることとする。
図5は、L=0の条件における周波数領域でのRS,NP,RPそれぞれのゲインを例示している。図5が示すように、RP(実線)は、RS(破線)とNP(一点鎖線)に由来するピークゲインをもつ。また、図5では、NPに由来するピークゲインが1よりも大きいため、L=0におけるRPはロバスト性能条件RP < 1を満たしていない事が分かる。
ここで、Lは、なるべく簡潔な構造であることが望ましい。従って、本実施形態の手順では、まず、Lを係数ゲインと定義して探索することとする。係数ゲインで定義されるLによってRP < 1が達成されると、探索は終了する。他方、係数ゲインのLによってRP < 1が達成されない場合、Lを一次遅れ要素、積分要素、または微分要素に再定義して探索し直す。これが、大まかなL探索の流れである。
L探索アルゴリズムを具体的に述べると、このアルゴリズムは、図6に示されるように、5つのステップにより成り立っている。以下、各ステップの詳細を記す。
・ 第1ステップ: ステップS1
第1ステップでは、初期設定が行われる。例えば、ノミナルプラントモデルGn、不確かさを含めたモデルg、コントローラK、評価する周波数領域が設定される。ここで、不確かさを含めたモデルgは、例えば下記により表される。
ただし、ΔとΔは不確かさである。
これらの初期設定は、例えば、プラントの仕様や測定結果などに基づいて与えられてもよい。
・ 第2ステップ: ステップS2
第2ステップでは、カットオフ周波数が設定される。また、第1ステップで設定された各種パラメータに基づいて、下記二つの重み関数Wo、Wの分子、分母に含まれるパラメータa0、a1、・・・、an、b0、b1が決定される。
・第3ステップ: ステップS3
第3ステップでは、L=0におけるRPの最大ゲインLmax0を計算する。そして、この最大ゲインLmax0を、Lゲイン探索の初期値として設定する。
・第4ステップ: ステップS4−S8
第4ステップでは、Lをゲインと定義して探索を実行する。つまり、RP < 1を満たすか、あるいは、設定された繰返し回数lmaxに到達するまで、Lゲインを徐々に大きくして繰り返し計算する。
例えば、L=Lmax0×10l−1(l=1,2,3,・・・lmax)と定義する。まず、l=1に設定し(ステップS4)、各Lによって形作られたRPの最大ゲインを算出する。その中で、一番小さい最大ゲインを形作ったLを次回の試行回数の中点に定める。そして、その最小のロバスト性能を示したLが探索範囲の内点に存在していれば、任意の割合で探索範囲を縮小し、そのLが探索範囲の境界上に存在していれば、任意の割合で探索範囲を拡大する(ステップS6)。
そして、ステップS7において、RP < 1を満たすかどうかを判定する。この条件を満たせば終了し、満たさなければ、ステップS8においてLを大きくし、ステップS5に戻って再度計算する。もし繰り返し回数lmaxまで計算してもRP < 1を満たさないときには、次の第5ステップに移る。
・第5ステップ:ステップS9−S14
本実施形態における第5ステップでは、伝達関数を下記により定義される一次遅れ要素L(s)として探索を実行する。なお、伝達関数L(s)は、積分要素または微分要素として定義されてもよい。
ここで、kLは伝達関数L(s)のゲイン、kLminはkLの下限値、kLmaxはkLの上限値、τは伝達関数L(s)の時定数、τLminはτの下限値、τLmaxはτの上限値である。
一次遅れ要素としてのLは、kL軸とτ軸とからなる2次元上の探索領域内で指定され探索される。本実施形態では、図7に示されるように、探索点は対数スケール上に分割され、作成した2次元メッシュ上の全ての探索点についてRPの最大ゲインを算出する。
具体的には、ステップS11において、試行回数がk回目(k=1,2・・・)であるとき、全ての探索点の中から、RPの最大ゲインが最小となるゲインkLbestとτLbestを求める。そして、このようなゲインkLbestとτLbestを、次回試行(k+1回目)における探索領域の中点とする。次の式27、式28はこのことを示している。
またその最小のロバスト性能を示したLが探索範囲の内点に存在していれば、任意の割合で探索範囲を縮小し、そのLが探索範囲の境界上に存在していれば、任意の割合で探索範囲を拡大する。
そして、ステップS12において、RP < 1を満たしているかどうかを判定する。もしこの条件を満たしていなければ、(k+2)回目の試行を行う。他方、この条件を満たしている場合には、ステップS13において、各試行におけるRPの最大ゲインが最小となるときの当該RPの2個のピークゲインy1、y2の誤差の絶対値が、予め設定された許容誤差E未満であるかどうかを判定する。つまり、次の(式29)の充足性を判定する。
この条件が充足されると、処理は終了する。条件が充足されないと、試行回数がimaxに到達するまでステップS10−S13を繰り返す。そして、試行回数がimaxに至っても(式29)を満たさない場合、処理を終了する。
以上が、本発明のL探索アルゴリズムである。図8に本実施形態におけるアルゴリズムによる調整結果の一例を示す。RP <1を満たす結果が得られていることが確認できる。
このようにして外乱フィードバック要素Lを決定し、この外乱フィードバック要素Lを用いて制御システムを設計すれば、ロバスト性能を備えた制御システムを得ることができる。なお、上述した外乱フィードバック要素Lを探索する手順、このようなLを用いて制御システムを設計する手順、設計された制御システムの機能は、CPU、ROM及びRAMを備えたコンピュータのプログラムとして実行される。
このように、本実施形態では、制御システムの設計にあたって、PID制御又は同等の簡潔な構成でありながら、パラメータLを介してシステムの安定性・制御性能が考慮されている。また、パラメータLは係数ゲイン又は時間遅れ要素、たとえば一次遅れ要素、の伝達関数として表現されており、非常に簡潔な構造を有している。したがって、ロバスト制御設計に必要な古典制御と現代制御技術に関する詳細な知識がなくても、PID制御等の古典制御の基本的な知識に基づき、安定性及び制御性能を備えた制御システムを設計することが可能である。
また、既存のフィードバック制御システムへの本実施形態の導入も容易である。更に、制御システムの設計者やプラント運用者が本実施形態を導入する際の、技術面及び費用面における負担やリスクを低減させることも可能である。
なお、本実施形態は、不確かさや非線形性の強いシステム、且つ高価な制御システムを実装することが困難であるようなシステムに適している。制御目的としては、外乱抑制を優先するシステムに適している。例えば、冷凍サイクルの過熱度一定制御などの制御システムに適している。
前述したとおり、制御対象11からの出力yと所定の目標値rとの偏差に基づいて制御対象11のフィードバック制御を行うフィードバック制御器12と、制御対象11をモデル化したノミナルプラントモデル13の出力ynと、制御対象11からの出力yと、の偏差εが入力されるとともに、出力udがフィードバック制御器12の出力ulと加算されて制御対象11に入力される外乱フィードバック要素14と、を備え、外乱フィードバック要素14のパラメータLは、制御対象11に導入された不確かさΔの下で所定の安定性及び制御性能を有するように決定される。
かかる実施形態によれば、最も産業界で普及しているPID制御等のフィードバック制御の特長を活かしつつ、外乱フィードバック要素Lを新たに導入することによってシステムの安定性と制御性能を強化することが可能である。このように本実施形態は、既存のフィードバック制御技術や制御構造をベースに設計していることから、制御設計者やプラント運用者が新しい技術を導入する際の、技術面やコスト面の負担やリスクを低くする効果も得られる。
また、外乱フィードバック要素14が、係数ゲイン、一次時間遅れ要素、積分要素、又は微分要素などの伝達関数として定義されることで、非常に単純な構造であることから既存のフィードバック制御機器又は同等の廉価な制御機器への導入が可能である。
また、外乱フィードバック要素14のパラメータLが、制御系のロバスト性能を表す関係式によって示されるピーク値に基づいて決定されることで、ロバスト性能を満足するようなパラメータLを容易に決定することができる。このことは、制御系全体の設計を容易にする。
また、不確かさΔと外乱フィードバック要素13とを除く残りの制御系を所定のモデルPで表し、不確かさΔ、外乱フィードバック要素13、及び所定のモデルPに基づいて、外乱フィードバック要素13のパラメータLを決定することで、ロバスト性能を満たすパラメータLの決定が容易になり、ひいては制御系の設計が容易となる。
なお、上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
11,13 ノミナルプラントモデル
12 コントローラ
14 外乱フィードバック要素
18 不確かさ
19、21 重み関数

Claims (8)

  1. 制御対象からの出力と所定の目標値との偏差に基づいて前記制御対象のフィードバック制御を行うフィードバック制御器と、
    前記制御対象をモデル化したノミナルプラントモデルの出力と、前記制御対象からの出力と、の偏差が入力されるとともに、出力が前記フィードバック制御器の出力と加算されて前記制御対象に入力される外乱フィードバック要素と、
    を備え、
    前記外乱フィードバック要素のパラメータは、前記制御対象に導入された不確かさの下で所定の安定性及び制御性能を有するように決定される
    ことを特徴とする制御システム。
  2. 前記外乱フィードバック要素は係数ゲイン、一次時間遅れ要素、積分要素、又は微分要素の伝達関数として定義される
    ことを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
  3. 前記外乱フィードバック要素の前記パラメータは、前記制御システムのロバスト性能を表す関係式によって示されるピーク値に基づいて決定される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御システム。
  4. 制御対象からの出力と所定の目標値との偏差に基づいて前記制御対象のフィードバック制御を行うフィードバック制御器を含む制御システムの設計方法であって、
    前記制御対象をモデル化したノミナルプラントモデルと、前記ノミナルプラントモデルの出力と前記制御対象からの出力との偏差が入力されるとともに、出力が前記フィードバック制御器の出力と加算されて前記制御対象に入力される外乱フィードバック要素と、を導入し、
    前記制御対象に不確かさを導入し、
    前記制御システムが前記不確かさの下で所定の安定性及び制御性能を有するように、前記外乱フィードバック要素のパラメータを決定する
    ことを特徴とする制御システムの設計方法。
  5. 前記不確かさと前記外乱フィードバック要素とを除く残りの前記制御システムを所定のモデルで表し、
    前記不確かさ、前記外乱フィードバック要素、及び前記所定のモデルに基づいて、前記外乱フィードバック要素の前記パラメータを決定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の制御システムの設計方法。
  6. 前記外乱フィードバック要素が係数ゲイン、一次時間遅れ要素、積分要素、又は微分要素の伝達関数として定義されるように、前記外乱フィードバック要素の前記パラメータを決定する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の制御システムの設計方法。
  7. 前記制御システムのロバスト性能を表す関係式によって示されるピーク値に基づいて前記外乱フィードバック要素の前記パラメータを決定する
    ことを特徴とする請求項4−6のいずれか1項に記載の制御システムの設計方法。
  8. 制御対象からの出力と所定の目標値との偏差に基づいて前記制御対象のフィードバック制御を行うフィードバック制御器を含む制御システムを設計するためのプログラムであって、
    前記制御対象をモデル化したノミナルプラントモデルと、前記ノミナルプラントモデルの出力と前記制御対象からの出力との偏差が入力されるとともに、出力が前記フィードバック制御器の出力と加算されて前記制御対象に入力される外乱フィードバック要素と、を導入する手順と、
    前記制御対象に不確かさを導入する手順と、
    前記制御システムが前記不確かさの下で所定の安定性及び制御性能を有するように、前記外乱フィードバック要素のパラメータを決定する手順と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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