JP2013161206A - リセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置 - Google Patents

リセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
フィードバック制御装置において、制御器が積分器を含み操作量飽和が発生する状況下においては、目標値変更に対してリセットワインドアップと呼ばれる制御量のオーバーシュート現象が発生してしまい、その抑制が望まれていた。
【解決手段】
本来の目標値の他に修正目標値を設け、制御器には本来の目標値の代わりに修正目標値を入力するものとし、修正目標値の値は制御器が算出する操作量が操作量飽和に掛からない範囲で本来の目標値に最も近い値とする、または制御器に修正目標値を入力して得られる操作量と同じ値の操作量を出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、操作量飽和を持つフィードバック制御装置及びその制御装置における操作量を算出方法に関するものである。
フィードバック制御における制御器として制御則にPID制御を用いたものがあり、プロセス制御などにおいてよく用いられている。PID制御は積分動作を含むものであり、このことがフィードバック制御における定常偏差をなくすことを可能にしている。このような制御器における積分動作による定常偏差をゼロにする動作はリセット動作と呼ばれている。
定常偏差をゼロにするためにはコントローラにリセット動作、すなわち積分動作を入れる必要があるが、目標値変更時において操作量飽和が発生した場合、リセット動作の結果、制御量の応答がオーバーシュートしてしまい、このオーバーシュートが問題となる場合が多い。このような現象はリセットワインドアップと呼ばれている。
リセットワインドアップを抑制するためにはいくつかの手法が提案されている(特許文献1)。具体的には、操作量飽和が発生したときに、制御器内の積分器の動作を止める手法や、積分器の入力信号を補正する手法がとられている。後者の例として、自動整合型PID制御が提案されており、その制御を用いた制御系の構成例を図11に示す。
特開2004−86858号公報
操作量飽和が発生したときに、制御器内の積分器の動作を止める手法や、積分器の入力信号を補正する手法では、次のような課題があった。
A.リセットワインドアップが十分に抑制されないことが多い。
B.積分器の入力信号を補正する際に、どれだけの量を補正すればよいのかといった理論的な裏付けがないので、補正に関するパラメータを試行錯誤により調整する必要がある。
本発明は上記課題に鑑みて、操作量飽和を有する制御器を含む制御系において、多くの状況に対してリセットワインドアップを十分に抑制する制御器を提供することを目的とする。
第1の局面は、第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して補正要素を通した信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、前記フィードバック制御装置における制御演算を状態変数表現したとき、前記制御演算における状態変数の値は第2の目標値信号と制御対象からのフィードバック信号と前記状態変数により更新され、第2の操作量信号は第1の目標値信号と前記制御量と前記状態変数により算出されることによりリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置を実現することができる。
第1の局面における制御系の構成は、制御則としてPI制御を用いると、従来の自動整合型PI制御器と同一になることがあるが、制御則に比例動作でもなく、積分動作でもない制御動作を含むと、従来の自動整合型PI制御器と異なる構成を持つことになる。
第2の局面は、第1の目標値信号と制御量信号を入力し、操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の目標値信号から目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、前記フィードバック制御装置によって行われる制御演算における状態変数の値は第2の目標値信号と制御対象からのフィードバック信号と前記状態変数により更新され、前記操作量信号が予め指定した範囲内に収まる条件下において、絶対値が最も小さくなる前記目標値補正信号を生成する目標値補正信号生成手段を持つことによって、リセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置を実現することができる。
第3の局面は、第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して係数d3を乗じた信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、時刻kにおける前記制御装置における制御演算に係る状態変数をx[k]、第1の目標値信号をr[k]、第2の目標値信号をr2[k]、制御対象からのフィードバック信号をy[k]、前記制御演算に係るシステム行列をA、前記フィードバック信号に対する入力行列をb1、第2の目標値信号に対する入力ベクトルをb2、第2の操作量信号に対する出力ベクトルをc、前記フィードバック信号に対する直達係数をd1、第1の目標値信号に対する直達係数をd2とし、
x[k+1] = A * x[k] + b1 * y[k] + b2 * r2[k]
u[k] = c * x[k] + d1 * y[k] + d2 * r[k]
と記述できる式により第2の操作量を算出し、d3の値をd2の値の逆数と等しくすることによって、リセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置を実現することができる。制御対象からのフィードバック信号をy[k]がスカラーの場合はb1は縦ベクトルとなり、y[k]がベクトルの場合、b1はベクトルではなく行列となる。縦ベクトルは列数が1の行列とみなすことができる。
第4の局面は、第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して動的なフィルタを作用させた信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、時刻kにおける前記制御装置における制御演算に係る状態変数をx[k]、第1の目標値信号をr[k]、第2の目標値信号をr2[k]、制御対象からのフィードバック信号をy[k]、前記制御演算に係るシステム行列をA、前記制御量信号に対する入力ベクトルをb1、第2の目標値信号に対する入力ベクトルをb2、第2の操作量信号に対する出力ベクトルをc、前記フィードバック信号に対する直達係数をd1、第1の目標値信号に対する直達係数をd2とし、
x[k+1] = A * x[k] + b1 * y[k] + b2 * r2[k]
u[k] = c * x[k] + d1 * y[k] + d2 * r[k]
と記述できる式により第2の操作量を算出することによりリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置を実現ことができる。
第5の局面は、第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して係数d3を乗じた信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、時刻kにおける前記制御装置における制御演算に係る状態変数をx(t)、第1の目標値信号をr(t)、第2の目標値信号をr2(t)、制御対象からのフィードバック信号をy(t)、前記制御演算に係るシステム行列をA、前記制御量信号に対する入力ベクトルをb1、第2の目標値信号に対する入力ベクトルをb2、第2の操作量信号に対する出力ベクトルをc、前記フィードバック信号に対する直達係数をd1、第1の目標値信号に対する直達係数をd2、微分演算子をpとし、
p x(t) = A * x(t) + b1 * y(t) + b2 * r1(t)
u(t) = c * x(t) + d1 * y(t) + d2 * r(t)
と記述できる式により第2の操作量を算出し、d3の値をd2の値の逆数と等しくすることによって、リセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置を実現することができる。
第6の局面は、第3の局面から第5の局面に記載のフィードバック制御装置において、PID演算により第2の操作量信号を算出することによって、リセットワインドアップ対策を有するPID制御に基づいたフィードバック制御装置を実現することができる。
本発明によれば、操作量飽和が発生するフィードバック制御系において、リセットワインドアップを効果的に抑制することができる。
本発明の第1実施形態におけるリセットワインドアップ対策を有する制御装置を持つ制御系の構成を示すブロック線図である。 本発明のリセットワインドアップ対策のアプローチを説明するための目標値と操作量の応答を示す図である。 本発明の第1実施形態における制御応答例である。 本発明第1実施形態のアプローチを非線形制御器に応用した場合のリセットワインドアップ対策を有する制御装置を持つ制御系の構成を示すブロック線図である。 本発明の第2実施形態におけるリセットワインドアップ対策を有する制御装置を持つ制御系の構成を示すブロック線図である。 本発明の第2実施形態におけるリセットワインドアップ対策を有する制御装置をPID制御に適用した場合の制御系の構成を示すブロック線図である。 本発明の第2実施形態におけるリセットワインドアップ対策を有する制御装置をPI制御に適用した場合の制御系の構成を示すブロック線図である。 本発明の第3実施形態におけるリセットワインドアップ対策を有する制御装置を持つ制御系の構成を示すブロック線図である。 本発明の第3実施の形態における制御応答例である。 本発明の第3実施形態のアプローチを離散時間制御器に応用した場合のリセットワインドアップ対策を有する制御装置を持つ制御系の構成を示すブロック線図である。 自動整合型PID制御器を持つ制御系の構成を示すブロック線図。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるフィードバック制御器を含む制御系の構成を図1に示す。これは1入力1出力系の制御対象に対する制御系である。フィードバック制御器の目的は制御量yを目標値rに追従させるように操作量uを算出することである。しかし、実際に出力できる操作量の値の範囲は決まっているので、操作量uとしては飽和要素を通した飽和付き操作量usを出力することになる。
目標値rがステップ変化したとき、制御器の設計によっては操作量uとして出力可能な範囲を超えた値を算出してしまい、操作量飽和を起こしてしまうことがある。このような場合、飽和付き操作量usとして操作量uの値に最も近い出力可能な値を飽和付き操作量usとして出力することになるが、その結果として制御器の設計意図とは異なり、制御量yの応答にオーバーシュートをもたらしてしまうことがあった。
そこで、本発明においては、操作量飽和が発生する時点において、制御量yに対する目標値rを補正して修正目標値r2を作成し、修正目標値r2をフィードバック制御器における目標値とする。図2に示すように、修正目標値r2は算出される操作量の値が出力可能範囲に収まる条件下で最も目標値rに近い値となるようにする。したがって、算出される操作量の値が出力可能な範囲内に入る場合は目標値の補正は行われず、目標値rと修正目標値r2は等しくなる。
いま、線形制御則を用いた制御器を用いる場合を考える。制御演算に時間遅れをともなわない線形離散時間制御器の場合、その制御則は一般的に式(1)のように表すことができる。
(1)
制御演算には時間遅れはともなうが、離散時間系では信号の時刻を離散化するので、算出された操作量の時刻を制御演算に用いた目標値等の信号と同時刻として扱うかどうかといった考え方の問題である。
たとえば、式(2)で表されるPID制御器を考える。
(2)
このとき、状態変数を式(3)と定義すると式(1)のパラメータは式(4)で表すことができる。
(3)
(4)
ここで、飽和付き操作量の出力範囲をuL≦us≦uHとする。uLが下限値でuHが上限値である。このとき、操作量uと飽和付き操作量usの値の間の関係は式(5)で表すことができる。
(5)
次に操作量飽和を起こさない操作量を算出する最も目標値r[k]に近い修正目標値r2[k]を算出することを考える。修正目標値r2[k]が同時刻の操作量u[k]に及ぼす影響は、式(1)における出力方程式の直達項d2r[k]のみである。修正目標値r2[k]が状態変数x[k]経由で操作量u[k]に及ぼす影響は、応答が1ステップ以上遅れる。したがって、式(6)により算出される修正目標値r2[k]を用いれば、操作量飽和を起こさない修正操作量u2[k]を算出することが可能となる。
(6)
式(6)において操作量u[k]は目標値としてr[k]を入力したときの操作量の値であり、飽和付き操作量us[k]は式(2)に従って操作量u[k]に対して飽和処理がなされた値を持つものである。したがって、制御器の制御則は式(5)、式(6)および式(7)で表すことができる。
(7)
このように算出された修正操作量u2[k]の値は飽和付き操作量us[k]と同一となるので、わざわざ算出する必要はない。したがって、制御則を式(5)、式(6)および式(8)とし、飽和付き操作量us[k]を実際の操作量とすることが適切である。
(8)
これらの制御則をブロック線図により表現した場合のフィードバック制御系の構成を図1に示す。
制御応答の数値例を図3に示す。制御対象は式(9)で表される伝達関数を持つものをゼロ次ホールドを用いて離散時間化したものを用いた。ただし、時間の単位は秒とした。サンプリング周期をτ=0.01[s]とし、制御器は式(2)に示す制御則を持つものを用い、制御パラメータはKp = 0.6,Ki = 0.2[1/s],Kd = 0.72[s],α=1/12とした。操作量飽和のパラメータはuL=0,uH=1である。
(9)
図3において、910は目標値、911は操作量飽和が無い場合の制御量の応答、912はリセットワインドアップ対策を施さない場合の制御量の応答、913は本発明のリセットワインドアップ対策を施した場合の制御量の応答である。目標値がステップ変化した際に、操作量飽和が無い場合の制御量応答911におけるオーバーシュートが小さい場合においても、操作量飽和があると、制御量の応答912では大きなオーバーシュート(リセットワインドアップ)が発生している。しかし、操作量飽和があっても本発明のリセットワインドアップ対策を導入した場合の制御量の応答913ではオーバーシュートが抑制されている。
第1実施形態においては、信号yは制御量としたが、信号yは制御量とは限らず、信号yは制御量以外の変数でもよく、制御量と制御量以外の変数の組み合わせでもよい。たとえば、制御対象の状態変数と制御量の組み合わせであってもよい。信号yがベクトル(複数の信号を並べた変数)であるときは、b1は行列となり、d1はベクトルとなる。
本発明の第1実施形態においては、制御器における演算に時間遅れを含まないものとしたが、制御器における演算に時間遅れを持ったものであってもよい。
ここで、目標値r[k]から操作量u[k]までの信号伝達遅れステップ数が1である制御器を用いている場合を考える。線形な制御器の場合、その制御演算は式(10)のように表すことができる。
(10)
出力方程式に制御量y[k]および目標値r[k]からの直達項が含まれていないが、式(10)は式(11)および式(12)のように変形することができる。
(11)
(12)
目標値r[k]から操作量u[k]までの信号伝達遅れステップ数が1であるので、d* 2の値は0とはならない。
したがって、飽和付き操作量us[k]を式(5)により定義し、修正目標値r2[k]を式(13)とし、制御則を式(14)とすることにより、制御器における演算に時間遅れを含まない場合と同じ考え方でリセットワインドアップ対策を有する制御装置を実現することができる。
(13)
(14)
第1実施形態においては制御器が時不変系の場合について説明したが、制御器が時変系の場合についてもそのまま適用することができ、制御器は時変系であってもよい。
第1実施形態においては、制御器における操作量飽和を除く制御演算が線形であったが、制御演算は線形でなくてもよく、非線形であってもよい。制御演算が非線形の場合の制御系の構成を図4に示す。操作量飽和を含まない制御演算が次式であったとする。ただし、目標値r[k]の値が同時刻の操作量u[k]に影響を与えるものとする。
(15)
ここで、式(16)のように出力関数hが目標値r[k]を線形に含んでいる場合を考える。
(16)
この場合、第1実施形態と同じアプローチでアンチリセットワインドアップ制御器を構成するには、制御則を式(5)、式(6)および式(17)とすればよい。
(17)
また、式(15)における出力関数hが目標値r[k]を線形に含んでいない場合には、式(18)により計算される修正操作量u2[k]が飽和付き操作量us[k]と等しくなる修正目標値r2[k]を算出する必要が生じる。
(18)
このような修正目標値r2[k]は目標値r[k]、操作量u[k]、飽和付き操作量us[k]および制御量y[k]により算出が可能であるので、修正目標値r2[k]は式(19)で表すことができる。
(19)
関数gの具体的な形は、出力関数hに応じて設定する必要がある。このとき、制御系のブロック線図は図4のようになる。
次に、リセットワインドアップ対策を有しない制御器において目標値r[k]の値が同時刻の操作量u[k]に影響を与えず、操作量u[k+1]に影響を与える場合を考える。すなわち、制御器における演算が式(20)により与えられる場合を考える。
(20)
この場合は、式(21)により計算される修正操作量u2[k+1]が飽和付き操作量us[k+1]と等しくなる修正目標値r2[k]を算出する必要が生じる。
(21)
このような修正目標値r2[k]は目標値r[k]、操作量u[k]、飽和付き操作量us[k]および制御量y[k]により算出が可能であるので、式(22)のように表すことができる。関数g*の具体的な形は、出力関数h*に応じて設定する必要がある。
(22)
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、制御器が連続時間系または連続時間系の制御器モデルに基づいて設計された離散時間制御器である場合のリセットワインドアップ対策を有する制御器である。
いま、リセットワインドアップ対策を有しない制御器の制御則が式(23)のように与えられている場合を考える。
(23)
飽和付き操作量の出力範囲をuL≦us(t)≦uHとする。uLが下限値でuHが上限値である。このとき、操作量uと飽和付き操作量usの値の間の関係は式(24)で表される。
(24)
次に操作量飽和を起こさない操作量を算出する最も目標値r(t)に近い修正目標値r2(t)を算出することを考える。修正目標値r2(t)が同時刻の操作量u(t)に及ぼす影響は、式(1)における出力方程式の直達項d2r(t)のみである。修正目標値r2(t)が状態変数x(t)経由で操作量u(t)に及ぼす影響は時間的な遅れを持つ。したがって、式(25)により算出される修正目標値r2(t)を用いれば、操作量飽和を起こさない修正操作量u2(t)を算出することが可能となる。
(25)
式(25)において操作量u(t)は目標値としてr(t)を入力したときの操作量の値であり、飽和付き操作量us(t)は式(2)に従って操作量u(t)に対して飽和処理がなされた値を持つものである。したがって、制御器の制御則は式(24)、式(25)および式(26)で表される。
(26)
このように算出された修正操作量u2(t)の値は飽和付き操作量us(t)と同一となるので、わざわざ算出する必要はない。したがって、制御則を式(24)、式(25)および式(27)とし、飽和付き操作量us(t)を実際の操作量とすることが適切である。
(27)
これらの制御則をブロック線図により表現した場合のフィードバック制御系の構成を図5に示す。
以上、制御器を一般化した場合について述べたが、これを連続時間不完全微分PID制御に適用すると、制御系の構成は図6に示すとおりとなる。
第2実施形態においては、制御器における制御演算が連続時間系として記述されているが、実際の制御器における制御演算は連続時間実装しても構わないし、連続時間の式を離散時間化して離散時間実装しても構わない。
第2実施形態をPI制御に適用した場合の制御系の構成を図7に示す。この場合、制御器の構成は図11に示す自動整合型PID制御器において微分動作を除いたものと等しくなる。しかし、自動整合型PID制御器においては目標値修正ゲイン12の値であるKcの値に対する設定方法が提案されていないので、オペレータが試行錯誤でKcの値を調整する必要があったが、第2実施形態を応用することにより、目標値修正ゲイン12の値であるKcの値を機械的に適切な値に設定することができる。
第2実施形態においては、信号yは制御量としたが、信号yは制御量とは限らず、信号yは制御量以外の変数でもよく、制御量と制御量以外の変数の組み合わせでもよい。たとえば、制御対象の状態変数と制御量の組み合わせであってもよい。信号yがベクトル(複数の信号を並べた変数)であるときは、b1は行列となり、d1はベクトルとなる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態によるフィードバック制御器を含む制御系の構成を図8に示す。リセットワインドアップ対策を含まない制御則が式(28)で与えられる場合を考える。
(28)
リセットワインドアップ対策として、目標値を修正して操作量飽和があまり大きく掛からないようにすることを考える。制御則を式(29)および式(30)とし、修正操作量u2(t)を算出する。
(29)
(30)
修正目標値r2(t)は修正操作量u2(t)と飽和付き操作量us(t)がなるべく近くなるように算出することが望ましいので、修正操作量u2(t)と飽和付き操作量us(t)の差に対して伝達関数G(s)を持つ連続時間目標値修正フィルタ15aを作用させた信号を目標値r(t)から減ずることにより修正目標値r2(t)を生成している。伝達関数G(s)を適切に設定することにより、u2(t)-us(t)の値を小さく維持することができる。
第3実施形態の利点は、連続時間目標値修正フィルタ15aの伝達関数G(s)は適切な範囲に設定されていれば、リセットワインドアップ対策の効果が大きく現れるので、式(28)に示す基となる制御則が複雑な形をしていても、連続時間目標値修正フィルタ15aの伝達関数G(s)を適当な伝達関数で固定して用いることができることにある。
図9に第3実施形態における制御応答の例を示す。制御対象の伝達関数は式(31)とし、式(28)に相当する制御則は式(32)とした。ただし、U(s)、R(s)およびY(s)は、それぞれu(t)、r(t)およびu(t)のラプラス変換である。
(31)
(32)
図9において、920は目標値、921は操作量飽和が無い場合の制御量の応答、922はリセットワインドアップ対策を施さない場合の制御量の応答、923は第3実施形態のリセットワインドアップ対策を施した場合の制御量の応答である。リセットワインドアップ対策を施さずに操作量飽和が発生すると制御量にオーバーシュートが大きく出てしまうが、第3実施形態に記載のリセットワインドアップ対策を導入することにより制御量のオーバーシュートが抑制されていることが分かる。
第3実施形態においては、信号yは制御量としたが、信号yは制御量とは限らず、信号yは制御量以外の変数でも構わないし、制御量と制御量以外の変数の組み合わせでも構わない。たとえば、制御対象の状態変数と制御量の組み合わせであっても構わない。信号yがベクトル(複数の信号を並べた変数)であるときは、b1は行列となり、d1はベクトルとなる。
(その他の実施形態)
第3実施形態においては、制御器は連続時間系または連続時間伝達関数をもとに実装されたものを仮定していたが、制御器は連続時間系でなくても構わないし、離散時間系であっても構わない。図10に離散時間制御器に基づいてリセットワインドアップ対策を行った制御系の構成を示す。
いま、リセットワインドアップ対策を含まない制御則が式(33)で与えられる場合を考える。
(33)
リセットワインドアップ対策として、目標値を修正して操作量飽和があまり大きく掛からないようにすることを考える。制御則としては式(34)および式(35)に従い修正操作量u2[k]を算出する。
(34)
(35)
修正目標値r2[k]は修正操作量u2[k]と飽和付き操作量us[k]がなるべく近くなるように算出することが望ましいので、修正操作量u2[k]と飽和付き操作量us[k]の差に対して伝達関数G[z]を持つ連続時間目標値修正フィルタ15aを作用させた信号を目標値r[k]から減ずることにより修正目標値r2[k]を生成している。伝達関数G[z]を適切に設定することにより、u2[k]-us[k]の値を小さく維持することができる。
本発明のリセットワインドアップ対策を有する制御装置を用いることにより、積分動作を含むコントローラを持つフィードバック制御系において、操作量飽和が発生してもリセットワインドアップ現象を抑制することができる。
1 制御器
11a 離散時間線形演算部
11b 離散時間演算部
11c 連続時間線形演算部
12 目標値修正ゲイン
13 飽和器
14 目標値修正量算出部
15a 連続時間目標値修正フィルタ
15b 離散時間目標値修正フィルタ
17 連続時間線形演算部
2 制御対象
910 目標値
911 操作量飽和が無い場合の制御量の応答
912 リセットワインドアップ対策を施さない場合の制御量の応答
913 本発明の第1実施形態のリセットワインドアップ対策を施した場合の制御量の応答
920 目標値
921 操作量飽和が無い場合の制御量の応答
922 リセットワインドアップ対策を施さない場合の制御量の応答
923 本発明の第3実施形態のリセットワインドアップ対策を施した場合の制御量の応答

Claims (6)

  1. 第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して補正要素を通した信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、前記フィードバック制御装置における制御演算を状態変数表現したとき、前記制御演算における状態変数の値は第2の目標値信号と制御対象からのフィードバック信号と前記状態変数により更新され、第2の操作量信号は第1の目標値信号と前記制御量と前記状態変数により算出され、比例動作でもなく積分動作でもない制御動作を含むことを特徴とするリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置。
  2. 第1の目標値信号と制御量信号を入力し、操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の目標値信号から目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、前記フィードバック制御装置によって行われる制御演算における状態変数の値は第2の目標値信号と制御対象からのフィードバック信号と前記状態変数により更新され、前記操作量信号が予め指定した範囲内に収まる条件下において、絶対値が最も小さくなる前記目標値補正信号を生成する目標値補正信号生成手段を持つことを特徴とするリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置。
  3. 第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して係数d3を乗じた信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、時刻kにおける前記制御装置における制御演算に係る状態変数をx[k]、第1の目標値信号をr[k]、第2の目標値信号をr2[k]、制御対象からのフィードバック信号をy[k]、前記制御演算に係るシステム行列をA、前記フィードバック信号に対する入力行列をb1、第2の目標値信号に対する入力ベクトルをb2、第2の操作量信号に対する出力ベクトルをc、前記フィードバック信号に対する直達係数をd1、第1の目標値信号に対する直達係数をd2とし、
    x[k+1] = A * x[k] + b1 * y[k] + b2 * r2[k]
    u[k] = c * x[k] + d1 * y[k] + d2 * r[k]
    と記述できる式により第2の操作量を算出し、d3の値がd2の値の逆数と等しいことを特徴とするリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置。
  4. 第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して動的なフィルタを作用させた信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、時刻kにおける前記制御装置における制御演算に係る状態変数をx[k]、第1の目標値信号をr[k]、第2の目標値信号をr2[k]、制御対象からのフィードバック信号をy[k]、前記制御演算に係るシステム行列をA、前記制御量信号に対する入力ベクトルをb1、第2の目標値信号に対する入力ベクトルをb2、第2の操作量信号に対する出力ベクトルをc、前記フィードバック信号に対する直達係数をd1、第1の目標値信号に対する直達係数をd2とし、
    x[k+1] = A * x[k] + b1 * y[k] + b2 * r2[k]
    u[k] = c * x[k] + d1 * y[k] + d2 * r[k]
    と記述できる式により第2の操作量を算出することを特徴とするリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置。
  5. 第1の目標値信号と制御量信号を入力し、第1の操作量信号を出力するフィードバック制御装置において、第1の操作量信号は第2の操作量信号に対して飽和器により飽和演算が施されたものであり、第2の操作量信号と第1の操作量信号の差の信号に対して係数d3を乗じた信号を目標値補正信号とし、第1の目標値信号から前記目標値補正信号を減じた信号を第2の目標値信号とし、時刻kにおける前記制御装置における制御演算に係る状態変数をx(t)、第1の目標値信号をr(t)、第2の目標値信号をr2(t)、制御対象からのフィードバック信号をy(t)、前記制御演算に係るシステム行列をA、前記制御量信号に対する入力ベクトルをb1、第2の目標値信号に対する入力ベクトルをb2、第2の操作量信号に対する出力ベクトルをc、前記フィードバック信号に対する直達係数をd1、第1の目標値信号に対する直達係数をd2、微分演算子をpとし、
    p x(t) = A * x(t) + b1 * y(t) + b2 * r1(t)
    u(t) = c * x(t) + d1 * y(t) + d2 * r(t)
    と記述できる式により第2の操作量を算出し、d3の値がd2の値の逆数と等しいことを特徴とするリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置。
  6. 請求項3から請求項5に記載のフィードバック制御装置において、PID演算により第2の操作量信号を算出することを特徴とするリセットワインドアップ対策を有するフィードバック制御装置。
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