JP2017026906A - 複合基板およびその製造方法 - Google Patents
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表面層の外周縁部に溝が設けられており、前記結晶のうち線膨張係数が最小の軸を表面層に投影した投影方向と、溝の長手方向との角度が20°以下であることを特徴とする。
前記結晶からなる基板材料を支持基板と接合する接合工程;
基板材料に溝を形成する溝形成工程;および
基板材料を研磨加工することによって表面層を形成する研磨工程
を有しており、表面層の外周縁部において溝を設けており、結晶の線膨張係数が最小の軸を表面層に投影した投影方向と、溝の長手方向との角度が20°以下であることを特徴とする。
まず、図1(a)に示すように、支持基板1の表面1a上に有機接着剤層3を介して基板材料2を接合する。ここで、基板材料2の線膨張係数には異方性があり、r軸方向で線膨張係数が最小となるものとする。p軸はr軸に垂直な軸とし、q軸はp軸およびr軸に垂直な軸とする。
まず、図2(a)に示すように、支持基板1の表面1a上に基板材料2を直接接合する。次いで、図2(b)に示すように、基板材料2の表面2a側から溝8を形成する。この際、溝8は支持基板1の底面まで貫通しないようにする必要がある。また、本例では、溝8は、基板材料2を貫通し、支持基板1の表面1aから支持基板内部まで伸びている。また、本例では溝8の横断面を見ると、溝に面する壁面8aが垂直方向から見て斜めに傾斜している。
本例では、図3(a)に示すように、溝形成部材をA、Bに示すように基板材料2の表面に接触させ、溝を形成する。これによって、複合基板の表面層5には、図3(b)に示すように、溝4A(8A)と溝10とが形成されることになる。ここで、本例では、r軸は表面層5の表面5aに対して平行であるので、r軸を表面5aに投影した方向rtは、r軸と同じになる。図3(b)の例では、溝4A(8A)は投影方向rtに対して平行に伸びており、溝10は投影方向rtに対して垂直に伸びている。また、各溝はまっすぐに伸びている。
すなわち、図4に示すように、複合基板の表面層に溝4A(8A)を形成した後、これを熱処理に供しても、図5に示すように表面層に特に変化は見られず、クラックは発生しなかった。
本発明の複合基板の用途は限定されないが、波長変換素子や表面弾性波デバイス用途が特に好ましい。
直接接合法は、支持基板と、表面層として使用する結晶基板材料とを、接着剤を使用せずに直接的に接合させる方法である。具体的には、両基板の接合面に、真空中でAr中性原子ビームを照射し、照射面同士を接触させ、加圧するという工程を辿る。Ar中性原子ビームを照射すると、基板は高温に加温され、基板の反りが大きくなる傾向がある。このため、室温付近まで冷却してから接合した方が、基板の反りが小さな複合基板を得ることができる。直接接合法では、接着剤を使用しないので、半田実装などの高温雰囲気で、接合不良が生じず、信頼性の高いデバイスを実現することができる。したがって、直接接合法は、高い信頼性が要求される弾性デバイスに適する。
図1、図3および図6を参照しつつ説明したようにして、複合基板を作製した。ただし、溝4A、10は設けなかった。
具体的には、直径φ3インチ、厚さ0.5mmの石英からなる支持基板1と、直径φ3インチ、厚さ0.5mmのニオブ酸リチウムからなるyカットの基板材料2とを、樹脂接着剤層3を介して接合した。この樹脂は通常は紫外光および熱処理の併用により接合させるものであるが、100℃以上の温度で熱処理を行うと、厚い基板材料が割れるので、接合後は紫外光照射後のみを実施した。樹脂接着剤層3の厚さは0.4μm程度とした。
ここで熱処理を行ったのは、樹脂接着剤層を紫外線のみで硬化させた場合よりも接着力が高くなり、ニオブ酸リチウム層を薄くすることが可能となるためである。
図1および図3を参照しつつ説明したようにして、複合基板を作製した。
具体的には、直径φ3インチ、厚さ0.5mmの石英からなる支持基板1と、直径φ3インチ、厚さ0.5mmのニオブ酸リチウムからなるyカットの基板材料2とを、樹脂接着剤層3を介して接合した。接合後は紫外光照射のみを実施した。樹脂接着剤層3の厚さは0.4μm程度とした。
図1および図7を参照しつつ説明したようにして、複合基板を作製した。ただし、溝4A、10は設けず、その代りに、図7に示すように、複合基板の表面層20の外周縁部に全周にわたって段差21を形成した。
実施例1と同様にして複合基板を作製した。ただし、本例では、図6に示すように、r軸および投影方向rtに平行な溝4Aを形成し、図3(b)に示す溝10は形成しなかった。
実施例1と同様にして複合基板を作製した。ただし、本例では、基板材料と支持基板とを直接接合した。直接接合は以下のように行った。すなわち、支持基板と表面層側の結晶基板材料とを十分に洗浄し、真空中層内で、Ar中性原子ビームを接合面に照射して、照射後、約30℃になるまで基板を冷却した後、両基板を接触させ加圧接合させた。
図1、図10を参照しつつ説明したようにして複合基板を作製した。
具体的には、直径4インチ、厚さ0.5mmのSi支持基板1と、直径4インチ、厚さ0.3mmの5度オフyカットのMgO添加のニオブ酸リチウム基板材料2とを用意し、樹脂接着剤層3を介して両基板を接合した。ここで、光学デバイス用に本接合基板(複合基板)を使用する場合には、ニオブ酸リチウム基板の接合面側に酸化珪素(SiO2)を形成したものを用いてもよい。この場合、酸化珪素の厚みを0.4μm以上とすれば、ニオブ酸リチウム層を伝搬する光が、接合に使用した樹脂に漏れることなく、特に低損失な光学部品を作製することができる。
ダイシングの切断角度は、軸rに対して傾いても良く、20度傾斜していたときでも効果があった。
すなわち、実施例1とほぼ同様な工程で複合基板を作製した。ただし、実施例1とは異なり、溝4Aの長手方向と、線膨張係数が最小の軸rを表面層に投影した投影方向rtとの角度θを20°とした。
更に、10枚のサンプルについて、比較例1と同様にして反射防止膜を形成する工程を実施した。この結果、いずれも表面層にクラックは観察されなかった。
Claims (14)
- 支持基板および表面層を備えており、前記表面層が、線膨張係数に異方性を有する結晶からなり、かつ前記表面層が前記支持基板よりも薄い複合基板であって、
前記表面層の外周縁部に溝が設けられており、前記結晶の線膨張係数が最小の軸を前記表面層の表面に投影した投影方向と、前記溝の長手方向との角度が20°以下であることを特徴とする、複合基板。 - 前記結晶の線膨張係数が最小の前記軸と前記投影方向との角度が20°以下であることを特徴とする、請求項1記載の複合基板。
- 前記結晶の線膨張係数が最小の前記軸と前記投影方向とが平行であることを特徴とする、請求項2記載の複合基板。
- 前記投影方向における前記結晶の線膨張係数と前記支持基板の線膨張係数との差が、前記表面層において前記投影方向に垂直な方向における前記結晶の線膨張係数と前記支持基板の線膨張係数との差よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の複合基板。
- 前記表面層を構成する前記結晶が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウムからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の複合基板。
- 前記支持基板が、シリコン、サファイア、砒化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、水晶、石英、アルミナ、酸化亜鉛または炭化珪素からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の複合基板。
- 光学デバイスまたは表面弾性波デバイス用の複合基板であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の複合基板。
- 支持基板および表面層を備えており、前記表面層が、線膨張係数に異方性を有する結晶からなり、かつ前記表面層が前記支持基板よりも薄い複合基板を製造する方法であって、
前記結晶からなる基板材料を前記支持基板と接合する接合工程;
前記基板材料に溝を形成する溝形成工程;および
前記基板材料を研磨加工することによって前記表面層を形成する研磨工程
を有しており、前記表面層の外周縁部において溝を設けており、前記結晶の線膨張係数が最小の軸を前記表面層の表面に投影した投影方向と、前記溝の長手方向との角度が20°以下であることを特徴とする、複合基板の製造方法。 - 前記結晶の線膨張係数が最小の前記軸と前記投影方向との角度が20°以下であることを特徴とする、請求項8記載の方法。
- 前記結晶の線膨張係数が最小の前記軸と前記投影方向とが平行であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
- 前記投影方向における前記結晶の線膨張係数と前記支持基板の線膨張係数との差が、前記表面層において前記投影方向に垂直な方向における前記結晶の線膨張係数と前記支持基板の線膨張係数との差よりも小さいことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記表面層を構成する前記結晶が、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウムからなることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記支持基板が、シリコン、サファイア、砒化ガリウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、水晶、石英、アルミナ、酸化亜鉛または炭化珪素からなることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記複合基板が、光学デバイスまたは表面弾性波デバイス用の複合基板であることを特徴とする、請求項8〜13のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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