JP2017026686A - 調光装置 - Google Patents

調光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017026686A
JP2017026686A JP2015142378A JP2015142378A JP2017026686A JP 2017026686 A JP2017026686 A JP 2017026686A JP 2015142378 A JP2015142378 A JP 2015142378A JP 2015142378 A JP2015142378 A JP 2015142378A JP 2017026686 A JP2017026686 A JP 2017026686A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarizer
phase difference
light
film
pattern retardation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2015142378A
Other languages
English (en)
Inventor
福田 誠
Makoto Fukuda
誠 福田
亮司 後藤
Ryoji Goto
亮司 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2015142378A priority Critical patent/JP2017026686A/ja
Publication of JP2017026686A publication Critical patent/JP2017026686A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】一方から他方への視認性に優れ、他方から一方への視認性が悪くプライバシー性が高い調光装置を提供する。
【解決手段】調光装置10は、第1の偏光子20と、第1の偏光子20と離間して配置された第2の偏光子22と、第1の偏光子20と第2の偏光子22の間に間隔をあけて配置された2枚以上の、同一面内に複数の遅相軸方向を有するパターン位相差膜30a,30bとを備えている調光部12と、2枚以上のパターン位相差膜のうち、少なくとも1枚を、他のパターン位相差膜に対して非直線に相対的に移動させる移動部14とを有する。調光部12は湾曲しており、曲率半径が0.1〜30mである。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光子とパターン位相差膜を用い、パターン位相差膜を非直線的に移動させる調光装置に関し、特に、一方から他方への視認性に優れ、他方から一方への視認性が悪くプライバシー性が高い調光装置に関する。
従来から、ロビー、オフィスおよび会議室等において、内部のプライバシーを保つために、すりガラスを配置したり、視線を遮るためのフィルムを貼り付ける等の対策がなされている。また、自動車等の車両、船舶、航空機等においても、内部のプライバシーを保つために、フィルムを貼る等の対策がなされており、自動車の場合には自動車窓ガラス用フィルム(JIS S3107)を設ける等の対策がなされている。これ以外にも、自動車用、建材用に実用化されているプライバシーガラスがある。プライバシーガラスとしては、SPD(suspended particle device)方式を利用したものが特許文献1に提案され、EC(electrochromic)方式を利用したものが特許文献2に提案されている。
国際公開第1999/43983号 特許第3480002号公報
上述のように従来から、プライバシーを保つために特許文献1、2を含め種々のものが提案されている。プライバシーガラスを例にして説明する。プライバシーガラスは透過光量を少なくすることで視認性を悪くしてプライバシーが保たれる。この場合、一方から他方を視認できないが、他方から一方も視認できないという問題点がある。また、プライバシーガラスでは、透過光量を変えない場合、一般的なガラスと同じく一方からも他方からも視認することができ、視認性は同じである。一方から他方を視認でき、他方から一方を視認し難くして一方のプライバシー性を確保するような利用には不向きである。この点については、すりガラス、フィルムの貼り付けについても同様に不向きである。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、一方から他方への視認性に優れ、他方から一方への視認性が悪くプライバシー性が高い調光装置を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、第1の偏光子と、第1の偏光子と離間して配置された第2の偏光子と、第1の偏光子と第2の偏光子の間に、間隔をあけて配置された2枚以上の、同一面内に複数の遅相軸方向を有するパターン位相差膜とを備えている調光部と、2枚以上のパターン位相差膜のうち、少なくとも1枚を、他のパターン位相差膜に対して非直線に相対的に移動させる移動部とを有し、調光部は湾曲しており、曲率半径が0.1〜30mであることを特徴とする調光装置を提供するものである。
曲率半径は、0.1〜20mであることが好ましく、曲率半径は、0.1〜10mであることがより好ましい。
パターン位相差膜の間隔は、0.0001〜400mmであることが好ましく、パターン位相差膜の間隔は、0.001〜100mmであることがより好ましい。
曲率半径をRメートルとし、パターン位相差膜の間隔をTミリメートルとするとき、T>1/(100×R)を満たすことが好ましい。
本発明によれば、一方から他方への視認性に優れ、他方から一方への視認性が悪くプライバシー性が高い調光装置を得ることができる。
(a)は本発明の実施形態の調光装置を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置の第1の偏光子、第2の偏光子および調光部の配置を示す模式図である。 (a)は第1の偏光子および第2の偏光子の構成を示す模式的断面図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。 (a)および(b)は本発明の実施形態の調光装置の視野角を説明するための模式図であり、(c)は本発明の実施形態の調光装置での見え方を説明するための模式図である。 (a)および(b)はパターン位相差膜が平面の場合の視野角を説明するための模式図である。 (a)および(b)は本発明の実施形態の調光装置の調光を示す模式的断面図である。 (a)は本発明の実施形態の調光装置の第1の変形例を示す模式的平面図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置の第2の変形例を示す模式的平面図である。 (a)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の調光装置の他の例を示す模式的平面図である。 (a)〜(d)は本発明の実施形態の調光装置の調光の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の調光装置の他の例を示す模式的平面図である。 (a)〜(d)は図10に示す調光装置の調光の一例を示す模式的断面図である。 (a)〜(d)は図10に示す調光装置の調光の一例を示す模式的断面図である。 評価に用いた調光装置を示す模式的斜視図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の調光装置を詳細に説明する。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「45°」、「平行」、「垂直」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、厳密な角度との差異が5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との差異は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、「同一」とは、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば、99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。また、「全部」、「いずれも」または「全面」等は、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば、99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
光学的透明および単に透明とは、いずれも光透過率が、波長380〜750nmの可視光波長域において、少なくとも60%以上のことであり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上のことである。
光透過率は、例えば、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック--全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
なお、面内レタデーションの値Re、厚さ方向レタデーションの値Rthおよび屈折率について特に測定波長が付記されていない場合は、測定波長は550nmである。面内レタデーションは、単にレタデーションともいう。
図1(a)は本発明の実施形態の調光装置を示す模式的斜視図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置の第1の偏光子、第2の偏光子および調光部の配置を示す模式図である。図2(a)は第1の偏光子および第2の偏光子の構成を示す模式的断面図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置を示す模式的平面図である。
調光装置10は、調光部12と移動部14と制御部16とを有する。移動部14は制御部16に制御される。
調光部12は、第1の偏光子20と、第1の偏光子20と離間して配置された第2の偏光子22と、第1の偏光子20と第2の偏光子22の間に配置された位相差部24とを備える。調光部12は、例えば、第1の偏光子20の表面20aを凸、第2の偏光子22の裏面22bを凹にして全体が湾曲している。調光装置10では第1の偏光子20の表面20a側を、単に外側といい、第2の偏光子22の裏面22b側を単に内側という。
ここで、湾曲とは、調光部12の形状を示す曲線において、変曲点がないことをいう。例えば、サイン波のように上と凸と下に凸を有するものは、湾曲には含まれない。
図1(a)に示す調光装置10は、入射光Liの透過率を調節し、透過光Ltの光量を調節するものであり、「明の状態」および「暗の状態」を得ることができる。調光装置10では、内側から外側を見た場合と、外側から内側を見た場合とで視認性が異なり、外側から内側を見た場合の方が視認性が悪い。視認性に方向性、すなわち、視認性に異方性がある。これにより、調光装置10の内側でのプライバシー性を高くすることができる。このように、調光装置10は、一方から他方への視認性に優れ、他方から一方への視認性が悪くプライバシー性が高い。
調光装置10は、例えば、ロビー、オフィスおよび会議室の窓、パーテーション等、自動車等の車両、船舶、航空機等に利用することができる。入射光Liは、特に限定されるものではなく、調光装置10のおかれる環境に応じて変わるものであり、太陽光でも、室内環境では蛍光灯等の光であってもよい。
第1の偏光子20および第2の偏光子22は、入射光Liから偏光を得るものである。なお、第1の偏光子20および第2の偏光子22については後に詳細に説明する。
第1の偏光子20および第2の偏光子22は、単体で用いることもできるが、図2(a)に示すように、例えば、光透過性基板26に設けてもよい。さらに、第1の偏光子20および第2の偏光子22は、保護フィルム28を有してもよい。
ここで、光透過性基板26とは、光透過率が、波長380〜750nmの可視光波長域において、少なくとも60%以上のことであり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上、更により好ましくは85%以上のことである。
光透過率は、例えば、JIS K 7375:2008に規定される「プラスチック--全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
光透過性基板26としては、通常の窓に用いられるガラス板、ならびにアクリル板、ポリカーボネート板およびポリスチレン板等のプラスチック基板を用いることができる。光透過性基板26の厚みの好ましい範囲は、用途によって異なるが、建物用の窓では、一般的には0.1〜20mmであり、自動車等の乗り物用の窓では、一般的には1〜10mmである。
第1の偏光子20および第2の偏光子22が塗布によって形成される層である態様では、保護フィルム28が、第1の偏光子および第2の偏光子の支持体として利用されていてもよい。保護フィルム28としては、特に制限はなく、種々の高分子材料(重合体および樹脂の双方を含む意味で用いる)を主成分として含む高分子フィルムを用いることができる。光透過性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性等に優れる重合体または樹脂を主成分とするフィルムが好ましい。
保護フィルムとしては、セルロースアシレート、ポリオレフィン、環状オレフィンポリマー、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、およびポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも1種を主成分として含むフィルムを用いることが好ましい。
また、市販品を用いてもよく、例えば、日本ゼオン(株)製のゼオネックス(登録商標)、ゼオノア(登録商標)、JSR(株)製のアートン(登録商標)等を用いることができる。また、種々の市販のセルロースアシレートフィルムを用いることもできる。
また、保護フィルムとしては、溶液製膜法および溶融製膜法のいずれの方法で製膜されたフィルムも用いることもできる。フィルムの厚みは、10〜1000μmであることが好ましく、40〜500μmであることがより好ましく、40〜200μmであることが特に好ましい。
保護フィルムの光学特性については特に制限はない。斜め方向から観察した際の色味変化または光漏れの軽減の観点では、光学等方性のフィルムであることが好ましいが、ただし、この態様に限定されるものではない。具体的には、面内レタデーションの値Reが0〜20nmであり、かつRthの絶対値が40nm以下のフィルムが好ましい。
第1の偏光子20および第2の偏光子22は、太陽光による劣化を防止するため、光透過性基板26、保護フィルム28を含め偏光子よりも外側に位置するいずれかの層が、紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。紫外線吸収剤は、上述のいずれの層中に添加されていてもよく、さらに別の層として形成されていてもよい。一例は、保護フィルム28が紫外線吸収剤を含む態様である。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ光透過性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、前述のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
例えば、紫外線吸収剤の使用量は、保護フィルムの主成分100質量部に対し0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部、より好ましくは0.8〜2.0質量部である。
図1(a)に示す位相差部24は、第1の偏光子20または第2の偏光子22を通過した光に対して、位相差を与えるものである。位相差部24では、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23との配置状態により、第1の偏光子20を通過した光に対して与える位相差が決定される。例えば、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とが直交していれば、第1の偏光子20を通過した光に対して位相差部24でゼロ〜λ/2の範囲で、例えば、2段階に位相差を与える。なお、直交の定義は、上述の通りである。
また、例えば、第1の偏光子20が円偏光子、第2の偏光子22が円偏光子の場合、第1の偏光子20を透過した光に対してλ/2の位相差を与えれば、第1の偏光子20を透過した光が第2の偏光子22を透過する。このため、位相差部24では第1の偏光子20を通過した光に対してゼロ〜λ/2の範囲で多段階に位相差を与えることが好ましい。
位相差部24は、例えば、一定の間隔T離されて積層して配置された、2枚のパターン位相差膜30a、30bを備える。
上述のように調光部12は全体が湾曲しており、第1の偏光子20、パターン位相差膜30a、30bおよび第2の偏光子22が積層された積層構造である。各パターン位相差膜30a、30bは曲面状である。第1の偏光子20および第2の偏光子22も曲面状である。
調光部12は、曲率半径R(図1(b)参照)が0.1〜30mである。
調光部12は積層構造であるため、上側の第1の偏光子20と下側の第2の偏光子22とでは曲率半径Rが異なるが、第1の偏光子20、パターン位相差膜30a、30bおよび第2の偏光子22は曲率半径Rが上述の0.1〜30mの範囲にある。
曲率半径Rは小さければ小さい程、視野角が大きくなるため、プライバシー性が高くなり、曲率半径R(図1(b)参照)が0.1〜30mであれば、高いプライバシー性が得られる。曲率半径Rは0.1〜20mであることが好ましく、0.1〜10mがより好ましい。なお、曲率半径Rは、設計値である。
曲率半径Rが30mを超えると、外側から見た時の視認性が良くなり、内側から見た時の視認性が悪くなる。曲率半径Rが0.1m未満であると、内側から見た時の視認性が悪くなる。
なお、調光部12において、曲率半径Rは一定であることに限定されるものではなく、曲率半径Rが0.1〜30mの範囲にあれば場所毎で違ってもよい。
上述のように、パターン位相差膜30a、30bは間隔Tをあけて配置されている。間隔Tは大きい程、パターン位相差膜30bと外側のパターン位相差膜30aの第1位相差領域31および第2位相差領域33のズレが大きくなるため、視認性が悪くなり、プライバシー性が高くなる。しかしながら、その分、調光装置10も大きくなる。プライバシー性の観点から、間隔Tは、例えば、0.0001〜400mmであることが好ましく、0.001〜100mmであることが好ましい。
パターン位相差膜30aと第1の偏光子20とも間隔Tをあけて配置してもよく、パターン位相差膜30bと第2の偏光子22とも間隔Tをあけて配置してもよい。
パターン位相差膜30a、30bは間隔Tあいているが、パターン位相差膜30aとパターン位相差膜30bとの間は何もない形態に限定されるものではない。例えば、間隔Tに、ガラス層、ハードコートポリエチレンテレフタレート層を設けてもよく、また、潤滑液を満たしてもよい。これにより、摺動性を向上させることができる。潤滑剤については、液体であっても固体であってもよく、パターン位相差膜30a、30bを劣化させるものでなければ、特に限定されるものではない。
上述のように、間隔Tが大きければ大きい程、パターン位相差膜30aとパターン位相差膜30bとの第1位相差領域31、第2位相差領域33のズレが大きくなり、曲率半径Rは小さければ小さい程、視野角が大きくなるため、プライバシー性が高くなる。上述の曲率半径R(m)と、間隔T(mm)とは、T>1/(100×R)を満たすことが好ましい。T>1/(100×R)を満たす範囲は、上述の曲率半径R(m)と間隔T(mm)との好ましい範囲である。
間隔Tは、パターン位相差膜30a、30b間の距離のことであり、間隔Tは設置誤差は許容される。また、パターン位相差膜30a、30b間にスペーサーがあれば、スペーサーの厚みが間隔Tである。間隔Tは、例えば、すきまゲージを用いて測定することができる。
調光装置10において、パターン位相差膜30a、30bは、入射した光に対して位相差を与えるものである。各パターン位相差膜30a、30bは、位相差板として機能するものである。パターン位相差膜30aとパターン位相差膜30bは同じ位相差を与えるものである。なお、位相差は、各パターン位相差膜30a、30bのレタデーションの値により決定される。
第1位相差領域31および第2位相差領域33は、それぞれ偏光子(第1の偏光子20および第2の偏光子22)を透過した光に対して予め定められた位相差の位相差領域である。第1位相差領域31および第2位相差領域33は、遅相軸の向きが異なるが、λ/2位相差領域である。
偏光子を透過した光に対するλ/2位相差領域とは、制御波長域内の波長、好ましくは制御波長域の中心波長の1/2の長さ、または「中心波長×n±中心波長の1/2(nは0または1以上の整数)」の面内レタデーション(位相差値)を有する領域を意図する。例えば、制御波長域の中心波長が1000nmであれば、500nm、1500nm、2500nm等の位相差の位相差板をλ/2位相差板として用いることができる。
より具体的には、例えば、偏光子を透過した光が可視光領域の光である場合、測定波長550nmで測定した第1位相差領域31および第2位相差領域33の面内レタデーションの値であるRe(550)は、220nm≦Re(550)≦320nmであることが好ましく、より好ましくは、230≦Re(550)≦300nmであり、特に好ましくは240nm≦Re(550)≦280nmである。
なお、レタデーションの測定方法については、後に詳細に説明する。
以下、パターン位相差膜30a、30bについて説明するが、パターン位相差膜30aを例にして説明し、他のパターン位相差膜30bの説明は省略する。
パターン位相差膜30aは、第1位相差領域31と第2位相差領域33とを有し、第1位相差領域31と第2位相差領域33とは同じ面内に交互にストライプ状に配置されている。第1位相差領域31には遅相軸32があり、第2位相差領域33には遅相軸34がある。パターン位相差膜30aは同一面内に複数の遅相軸方向を有する。パターン位相差膜30aは、第1位相差領域31と第2位相差領域33とを有するが、同じ位相差を与えるものとして機能する。なお、「遅相軸」とは、屈折率が最大となる方向を示す軸である。
上述のように、位相差はレタデーションの値により決定される。このため、第1位相差領域31と第2位相差領域33とはレタデーションの値が同じである。
第1位相差領域31の遅相軸32と第2位相差領域33の遅相軸34とは、70〜110°の角度差を有することが好ましく、80〜100°の角度差を有することがより好ましく、90°の角度差を有すること、すなわち、直交することがさらに好ましい。なお、直交の定義は上述の通りである。
第1位相差領域31の遅相軸32と第2位相差領域33の遅相軸34とが直交する場合、第1の偏光子20側から全てのパターン位相差膜30a、30bを見た場合、全てのパターン位相差膜30a、30bが遅相軸32、34を直交または平行にして積層して配置されることが好ましい。
この場合、全てのパターン位相差膜30a、30bを積層方向において第1位相差領域31と第2位相差領域33とを揃えて配置すると、第1の偏光子20側から全てのパターン位相差膜30a、30bを見た場合、遅相軸32、34は平行に配置される。また、パターン位相差膜30a、30bのうち、少なくとも1枚を相対的に移動させた後では、第1の偏光子20側から見た場合、遅相軸32と遅相軸34とが直交する。
図1(a)に示す調光装置10では、第1の偏光子20および第2の偏光子22は、いずれも直線偏光子で構成されており、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23は直交している。この場合、上述のように位相差部24では、第1の偏光子20を通過した光に対して、ゼロ〜λ/2の範囲で位相差を与えることが好ましい。
なお、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23は直交することに限定されるものではなく、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23は平行であってもよい。なお、平行の定義は、上述の通りである。
調光装置10では、透過軸21、23、および遅相軸32、34は、例えば、図2(c)に示す構成で配置される。
なお、位相差部24に配置されるパターン位相差膜は、2枚に限定されるものではなく、2枚以上であればよく、3枚でも4枚でもよい。位相差部24に配置されるパターン位相差膜の枚数は、調光装置10の仕様等に応じて適宜決定されるものであり、後述するように枚数が多いほど階調数が多くなる。上限については、4枚である。パターン位相差膜の枚数が多すぎると、上述の間隔Tを大きくした場合、調光装置10が大型化してしまう。また、パターン位相差膜の枚数が多いとパターン位相差膜を別々に動かす必要があり、移動部14が複雑化する。さらには、移動部14でのパターン位相差膜の移動の制御が煩雑になる。
移動部14は、位相差部24の2枚の各パターン位相差膜30a、30bのうち、少なくとも1枚のパターン位相差膜を、他のパターン位相差膜に対して非直線に相対的に移動させるものである。
ここで、非直線とは、パターン位相差膜の移動軌跡が直線でないことをいい、パターン位相差膜自体を平行移動させることは非直線には含まれない。具体的には、移動軌跡の接線の向きが変わることをいう。なお、非直線には折れ線も含まれる。
移動部14では、例えば、パターン位相差膜の曲面に沿った移動軌跡で、パターン位相差膜を移動させる。
移動部14での移動方法は特に限定されるものではない。例えば、ガイド溝にパターン位相差膜を配置して、ガイド溝に沿ってパターン位相差膜を移動させる。これ以外にも、パターン位相差膜を回動させてもよい。また、1対のローラの間にパターン位相差膜を渡し、ローラを回転させることで、パターン位相差膜を非直線に移動させることもできる。この場合でも、パターン位相差膜の移動軌跡は、パターン位相差膜の曲面に沿うため、非直線になる。この中で、好ましい移動方法は、パターン位相差膜を回動させる方法である。
移動部14により、2枚のパターン位相差膜30a、30bのうち、少なくとも1枚のパターン位相差膜を、他のパターン位相差膜に対して非直線に相対的に移動させることで、第1の偏光子20または第2の偏光子22から入射される入射光Liの透過率を変えることができる。
2枚のパターン位相差膜30a、30bのいずれかを非直線に相対的に移動させる手順、移動量およびタイミングは、透過光Ltの光量に対応して制御部16に記憶されており、制御部16により、移動部14が制御されて、パターン位相差膜30a、30bの移動がなされる。これにより、透過光Ltの光量が調節される。
また、各パターン位相差膜は、上述した階調数を増やす観点から、波長550nmにおけるレタデーションの値がそれぞれ異なることが好ましく、全てのパターン位相差膜のレタデーションの値の和が、220nm〜320nmであるのが好ましく、230〜300nmであるのがより好ましく、240nm〜280nmであることが特に好ましい。
なお、各パターン位相差膜30a、30bについては後に詳細に説明する。
図3(a)および(b)は本発明の実施形態の調光装置の視野角を説明するための模式図であり、(c)は本発明の実施形態の調光装置での見え方を説明するための模式図である。図4(a)および(b)はパターン位相差膜が平面の場合の視野角を説明するための模式図である。
図3(a)および(b)に示すように、2枚のパターン位相差膜30a、30bが積層されており、パターン位相差膜30aの表面35側を外側とし、パターン位相差膜30bの裏面37側を内側とする。図4(a)および(b)に示すように、2枚のパターン位相差膜100、102が積層されており、パターン位相差膜100の表面101側を外側とし、パターン位相差膜102の裏面103側を内側とする。
図3(a)および(b)、図4(a)および(b)において、符号Oiは、内側の視点を示し、符号Ooは、外側の視点を示す。なお、内側の視点Oiと外側の視点Ooは同一直線上にある。なお、2枚のパターン位相差膜30a、30bでは、第1位相差領域31の組合せ、第2位相差領域33の組合せで光が透過し、第1位相差領域31と第2位相差領域33の組合せでは光が透過しないとする。図3(a)および(b)、図4(a)および(b)に示す状態は、パターン位相差膜30aとパターン位相差膜30bを重ねた際、第1位相差領域31同士、第2位相差領域33同士が重なるようにしており、いずれも明の状態である。
図3(a)に示すように、内側から外側を見る場合、角度γでは視点Oiから内側のパターン位相差膜30bの表面での視野角はγである。図3(b)に示すように、外側から内側を見る場合、角度γでは視点Oiから内側のパターン位相差膜30bの表面での視野角はγである。
外側からの視野角γは内側からの視野角γよりも小さい。視野角が小さくなると、内側のパターン位相差膜30bと外側のパターン位相差膜30aの第1位相差領域31および第2位相差領域33にズレが生じる。このため、内側から外側に透過する光の位相差が局所的に変わり、外側から見た場合、内側から見た場合に比して、「明の状態」であっても図3(c)に示すように暗の帯40が常時観察される。すなわち、外側からみると常時縞々が観察され、内側を視認し難くなる。その結果、内側から外側を見た場合に比して、外側から内側を見た場合の方が視認性が悪くなる。
このため、プライバシー性を確保したい領域に内側、すなわち、曲面の凹側を向けて調光装置10を配置する。
なお、暗の状態では、内側から外側は視認できない。しかしながら、外側から内側を見た場合、部分的に位相差が異なる領域が生じるため、図3(c)とは逆に暗の状態で明の帯が常時観察される。
図4(a)および(b)に示すパターン位相差膜100とパターン位相差膜102が平行に配置された場合、内側から外側を見る場合も、外側から内側を見る場合も角度γが同じであれば、同じものを見ることになるため、パターン位相差膜が曲面のものに比して、見る角度による影響を受けにくい。その結果、内側から見たときと外側から見たときとで視認性の差が上述の曲面に比して小さく、プライバシー性が低い。すなわち、外側から内側への視認が制限されない。
次に、調光装置10による調光について説明する。
図5(a)および(b)は本発明の実施形態の調光装置の調光を示す模式的断面図である。
図5(a)および(b)において、図1(a)、(b)に示す調光装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。図5(a)および(b)は、後述する第1の状態および第2の状態を示しているが、これは下記表1の第1の状態および第2の状態と対応する。
第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とは直交しており、第1の偏光子20側から入射光Liが入射され、第1の偏光子20を通過した光が位相差部24で、絶対値でλ/2の位相差が与えられると第2の偏光子22からの透過光Ltが最も明るい明の状態になる。
位相差部24で、上述の第1の偏光子20を通過した光に位相差が与えられないと、すなわち、位相差がゼロの場合、第1の偏光子20を通過した光は、原理的に第2の偏光子22を透過することができず、暗の状態になる。
図5(a)および(b)において、パターン位相差膜30a、30bに示す「+」の符号と、「−」の符号は、遅相軸の向きが異なることを示し、「+」の符号と、「−」の符号とでは遅相軸は直交する。また、「+」の符号は第1位相差領域31に対応し、「−」の符号は第2位相差領域33に対応する。
2枚のパターン位相差膜30a、30bについて、全てλ/4の位相差を与えるものと同じにした場合、図5(a)に示すようにパターン位相差膜30a、30bを、積層方向で「+」の符号同士を揃え、「−」の符号同士を揃えて重ねた第1の状態のとき、第1の偏光子20を通過した光に対して絶対値でλ/2の位相差を与えることができ、第2の偏光子22からの透過光Ltの光量を最も多くでき、明の状態にすることができる。この明の状態のことを、下記表1では「明るい」と表記している。
図5(b)に示すように、移動部14により、図5(a)の第1の状態からパターン位相差膜30bを1つの位相差領域分、非直線に相対的に移動させて第2の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a、30bでは重なる組合せが変わり、位相差部24では位相差を与えない。すなわち、位相差がゼロである。位相差がゼロの場合、第1の偏光子20を通過した光は、原理的に第2の偏光子22を透過することができず、第2の状態では、原理的には透過光Ltがゼロである。下記表1では「暗い」と表記している。
調光装置10においては、下記表1に示すように、位相差がλ/2、ゼロの2段階となり、明の状態と、暗の状態の2階調に調光できる。しかも、上述のように、明の状態では、内側から外側の視認は制限されず、外側から内側の視認が一部制限され、内側のプライバシーが保たれる。
調光装置10は、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とを直交させる構成としたが、これに限定されるものではなく、図6(a)に示すように、第1の偏光子20および第2の偏光子22がいずれも円偏光子である構成でもよい。円偏光子については後に詳細に説明する。
また、図6(b)に示すように、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とを平行にして、第1の偏光子20と、パターン位相差膜42と、パターン位相差膜46と、第2の偏光子22とを積層してもよい。パターン位相差膜42は、幅方向Hに並ぶ複数の位相差領域44を有しており、遅相軸45が幅方向Hにおいて隣接する位相差領域44に対して回転して設定されている。パターン位相差膜46は、幅方向Hに並ぶ複数の位相差領域48を有しており、遅相軸49は、パターン位相差膜42と積層した状態で、パターン位相差膜42の遅相軸45と特定の角度、回転されている。なお、パターン位相差膜42の遅相軸45とパターン位相差膜46の遅相軸49とのなす角度は最大で90°である。
図1(a)、(b)に示すパターン位相差膜30a、30bは、第1位相差領域31と第2位相差領域33とがストライプ状に配置された構成であるが、これに限定されるものではない。
ここで、図7(a)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第1の例を示す模式図であり、(b)は本発明の実施形態の調光装置のパターン位相差膜の第2の例を示す模式図である。
図7(a)、(b)において、図1(a)、(b)に示すパターン位相差膜30aと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
例えば、図7(a)に示すように、パターン位相差膜30aは、第1位相差領域31と第2位相差領域33とが格子状に配置されていてもよい。また、図7(b)に示すように第1位相差領域31と第2位相差領域33とが互い違いに配置されていてもよい。この場合でも、第1位相差領域31の遅相軸32と第2位相差領域33の遅相軸34とは直交することが好ましい。
図7(a)、(b)に示すパターン位相差膜30aとした場合、他のパターン位相差膜30bも同様の構成とする。
なお、パターン位相差膜は、2枚に限定されるものではなく、2枚以上であれば、3枚でも4枚でもよい。
次に、パターン位相差膜が3枚の調光装置10aについて説明する。
図8は本発明の実施形態の調光装置の他の例を示す模式的平面図である。
図8に示す調光装置10aにおいて、図1(a)、(b)、図2(a)、(b)に示す調光装置10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
調光装置10aは、3枚のパターン位相差膜30a〜30cを有する点以外は、図1(a)、(b)に示す調光装置10と同じ構成であるため、その詳細な説明は省略する。パターン位相差膜30cは、上述のパターン位相差膜30a、30bと同じ構成である。
調光装置10aは、調光装置10と同様に、位相差部24において第1の偏光子20側からの入射光Liの透過率を変えることができ、多階調を実現することができる。調光装置10aは、調光装置10に比して、パターン位相差膜の枚数が多いため、階調を多くすることができる。なお、調光装置10aにおいても、調光装置10と同様に、内側から外側の視認は制限されず、外側から内側の視認が一部制限され、内側のプライバシーが保たれる。
次に、調光装置10aによる調光について説明する。
図9(a)〜(d)は本発明の実施形態の調光装置の調光の一例を示す模式的断面図である。
図9(a)〜(d)は、後述するように第1の状態〜第4の状態を示しているが、これは下記表2〜表4の第1の状態〜第4の状態と対応している。
図9(a)〜(d)において、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とは直交しており、第1の偏光子20側から入射光Liが入射され、第1の偏光子20を通過した光が位相差部24で、絶対値でλ/2の位相差が与えられると第2の偏光子22からの透過光Ltが最も明るい明の状態になる。
位相差部24で、上述の第1の偏光子20を通過した光に位相差が与えられないと、すなわち、位相差がゼロの場合、第1の偏光子20を通過した光は、原理的に第2の偏光子22を透過することができず、暗の状態になる。調光装置10aでは、位相差部24により与える位相差の程度により、入射光Liの透過率を変えることができ、すなわち、透過光Ltの光量を変えることができ、多階調を実現することができる。
図9(a)〜(d)において、パターン位相差膜30a〜30cに示す「+」の符号と、「−」の符号は、遅相軸の向きが異なることを示し、「+」の符号と、「−」の符号とでは遅相軸は直交する。また、「+」の符号は第1位相差領域31に対応し、「−」の符号は第2位相差領域33に対応する。
図9(a)〜(d)において、パターン位相差膜30aをλ/4の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30bをλ/6の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30cをλ/12の位相差を与えるものとした場合、図9(a)に示すようにパターン位相差膜30a〜30cを、積層方向で「+」の符号同士を揃え、「−」の符号同士を揃えて重ねた第1の状態のとき、第1の偏光子20を通過した光に対して絶対値でλ/2の位相差を与えることができ、第2の偏光子22からの透過光Ltの光量を最も多くでき、明の状態にすることができる。この明の状態のことを、下記表2では「かなり明るい」と表記している。
図9(b)に示すように、移動部14により、図9(a)の第1の状態からパターン位相差膜30cを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第2の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30cでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値でλ/3の位相差を与える。第2の状態は、第1の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表2では「明るい」と表記している。
図9(c)に示すように、移動部14により、図9(a)の第1の状態からパターン位相差膜30bを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第3の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30cでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値でλ/6の位相差を与える。第3の状態は、第2の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表2では「やや暗い」と表記している。
図9(d)に示すように、移動部14により、図9(a)の第1の状態からパターン位相差膜30b、30cを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第4の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30cでは重なる組合せが変わり、位相差部24では位相差を与えない。すなわち、位相差がゼロである。位相差がゼロの場合、第1の偏光子20を通過した光は、原理的に第2の偏光子22を透過することができず、第4の状態では、原理的には透過光Ltがゼロである。下記表2では「暗い」と表記している。
このように、パターン位相差膜30a〜30cを移動させて、パターン位相差膜30a〜30cの重なる組合せを変えることで、位相差を4段階とすることができ、明の状態と暗の状態と含む4段階の多階調を実現することができる。すなわち、調光装置10では4階調が得られる。また、駆動時の明暗のコントラストが低くなるので、縞模様が見えにくくなる。
図9(a)〜(d)に示す第1の状態〜第4の状態の位相差および階調を下記表2に示す。図9(a)〜(d)に示す第1の状態から第4の状態に変化するにつれて、透過光Ltの光量が少なくなる。すなわち、暗くなる。なお、下記表2に示す位相差は、図9(a)〜(d)に示す領域X1における位相差である。領域X1に隣接する領域X2の位相差は、領域X1の位相差と絶対値で同じである。
図9(a)〜(d)において、パターン位相差膜30aをλ/4の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30bをλ/8の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30cをλ/8の位相差を与えるものとした場合、下記表3に示すように、位相差をλ/2、λ/4、ゼロの3段階とすることができ、多階調を実現することができる。この場合、パターン位相差膜30a〜30cのうち、パターン位相差膜30bとパターン位相差膜30cが同じ位相差を与えるものである。第2の状態と第3の状態とは同じ透過光Ltの光量であるため、調光装置10aの動作としては、第2の状態および第3の状態のうち、いずれか一方とすればよい。
図9(a)〜(d)において、パターン位相差膜30a〜30cを全てλ/6の位相差を与えるものと同じにした場合、下記表4に示すように、位相差がλ/2、λ/6の2段階であり、2階調となる。
次に、パターン位相差膜が4枚の調光装置10bについて説明する。
図10は、本発明の実施形態の調光装置の他の例を示す模式的平面図である。図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)は本発明の実施形態の調光装置の調光の他の例を示す模式的断面図である。
図10ならびに図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)において、図1(a)、(b)に示す調光装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図10に示す調光装置10bは、4枚のパターン位相差膜30a〜30dを有する点以外は、図1(a)、(b)に示す調光装置10と同じ構成であるため、その詳細な説明は省略する。パターン位相差膜30c、30dは、上述のパターン位相差膜30a、30bと同じ構成である。
調光装置10bは、上述の調光装置10aと同様に、位相差部24において第1の偏光子20側からの入射光Liの透過率を変えることができ、多階調を実現することができる。調光装置10bは、調光装置10aに比して、パターン位相差膜の枚数が多いため、階調を多くすることができる。なお、調光装置10bにおいても、調光装置10と同様に、内側から外側の視認は制限されず、外側から内側の視認が一部制限され、内側のプライバシーが保たれる。
次に、調光装置10bによる調光について説明する。
図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)において、第1の偏光子20の透過軸21と第2の偏光子22の透過軸23とは直交しており、第1の偏光子20側から入射された入射光Liは、位相差部24で、絶対値でλ/2の位相差が与えられると第2の偏光子22からの透過光Ltが最も多くなり、最も明るい明の状態になる。
また、位相差部24で、位相差が与えられないと、すなわち、位相差がゼロの場合、第1の偏光子20を通過した光は、原理的に第2の偏光子22を透過することができず、暗の状態になる。調光装置10では、位相差部24により与える位相差の程度により、入射光Liの透過率を変えることができ、すなわち、透過光Ltの光量を変えることができ、多階調を実現することができる。
図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)において、パターン位相差膜30a〜30dに示す「+」の符号と、「−」の符号は、遅相軸の向きが異なることを示し、「+」の符号と、「−」の符号とでは遅相軸は直交する。「+」の符号は第1位相差領域31に対応し、「−」の符号は第2位相差領域33に対応する。
図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)において、パターン位相差膜30aをλ/4の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30bをλ/7の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30cをλ/14の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30dをλ/28の位相差を与えるものとした場合、図7(a)に示すようにパターン位相差膜30a〜30dを、積層方向で「+」の符号同士を揃え、「−」の符号同士を揃えて重ねた第1の状態のとき、第1の偏光子20を通過した光に対して絶対値でλ/2の位相差を与えることができ、第2の偏光子22から透過光Ltを最も多くできる。下記表5では「かなり明るい」と表記している。
図11(b)に示すように、移動部14により、図11(a)の第1の状態からパターン位相差膜30dを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第2の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30dでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値で3λ/7の位相差を与える。第2の状態は、第1の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表5では「明るい」と表記している。
図11(c)に示すように、移動部14により、図11(a)の第1の状態からパターン位相差膜30bを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第3の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30dでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値で5λ/14の位相差を与える。第3の状態は、第2の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表5では「明るい」と表記している。
図11(d)に示すように、移動部14により、図11(a)の第1の状態からパターン位相差膜30b、30dを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第4の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30dでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値で2λ/7の位相差を与える。第4状態は、第3の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表5では「やや暗い」と表記している。
図12(a)に示すように、移動部14により、図11(a)の第1の状態からパターン位相差膜30b、30cを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第5の状態にする。ここのとき、パターン位相差膜30a〜30dでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値で3λ/14の位相差を与える第5の状態は、第4の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表5では「やや暗い」と表記している。
図12(b)に示すように、移動部14により、図11(a)の第1の状態からパターン位相差膜30b、30dを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第6の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30dでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値でλ/7の位相差を与える。第6の状態は、第5の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表5では「やや暗い」と表記している。
図12(c)に示すように、移動部14により、図11(a)の第1の状態からパターン位相差膜30b、30cを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第7の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30dでは重なる組合せが変わり、位相差部24では絶対値でλ/14の位相差を与える。第7の状態は、第6の状態に比して、透過光Ltの光量が減る。下記表5では「暗い」と表記している。
図12(d)に示すように、移動部14により、図11(a)の第1の状態からパターン位相差膜30b、30c、30dを1つの位相差領域分、非直線に移動させて第8の状態にする。このとき、パターン位相差膜30a〜30dでは重なる組合せが変わり、位相差部24では位相差を与えない。すなわち、位相差がゼロである。位相差がゼロの場合、第1の偏光子20を通過した光は、原理的に第2の偏光子22を透過することができず、第8の状態では、原理的には透過光Ltがゼロである。下記表5では「暗い」と表記している。
このように、パターン位相差膜30a〜30dを移動させて、パターン位相差膜30a〜30dの重なる組合せを変えることで、位相差を8段階とすることができ、明の状態と暗の状態と含む8段階の多階調、8階調を実現することができる。また、駆動時の明暗のコントラストが低くなるので、縞模様がより一層見えにくくなる。
図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)に示す第1の状態〜第6の状態の位相差および階調を下記表5に示す。図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)に示す第1の状態から第6の状態に変化するにつれて、透過光Ltの光量が少なくなる。すなわち、暗くなる。なお、下記表5に示す位相差は、図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)に示す領域X1における位相差である。領域X1に隣接する領域X2の位相差は、領域X1の位相差と絶対値で同じである。
図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)において、パターン位相差膜30aをλ/4の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30bをλ/8の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30cをλ/12の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30dをλ/24の位相差を与えるものとした場合、下記表6に示すように、位相差をλ/2、5λ/12、λ/3、λ/4、λ/6、λ/12、ゼロの7段階とすることができ、多階調を実現することができる。第4の状態と第5の状態とは同じ透過光Ltの光量であるため、調光装置10bの動作としては、第4の状態および第5の状態のうち、いずれか一方とすればよい。
図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)において、パターン位相差膜30aをλ/4の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30bをλ/8の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30c、30dをλ/16の位相差を与えるものとした場合、下記表7に示すように、位相差をλ/2、3λ/8、λ/4、λ/8、ゼロの5段階とすることができ、多階調を実現することができる。この場合、パターン位相差膜30a〜30dのうち、パターン位相差膜30cとパターン位相差膜30dが同じ位相差を与えるものである。
第2の状態と第3の状態とは同じ透過光Ltの光量であり、第4の状態と第5の状態とは同じ透過光Ltの光量である。また、第6の状態と第7の状態とは同じ透過光Ltの光量である。このため、調光装置10bの動作としては、第2の状態および第3の状態のうち、いずれか一方とすればよく、第4の状態および第5の状態のうち、いずれか一方とすればよい。また、第6の状態および第7の状態のうち、いずれか一方とすればよい。
図11(a)〜(d)および図12(a)〜(d)において、パターン位相差膜30aをλ/4の位相差を与えるもの、パターン位相差膜30b〜30dを全てλ/12の位相差を与えるものと同じにした場合、下記表8に示すように、位相差をλ/2、λ/3、λ/6、ゼロの4段階とすることができ、多階調を実現することができる。この場合、パターン位相差膜30a〜30dのうち、パターン位相差膜30b〜パターン位相差膜30dが同じ位相差を与えるものである。第2の状態、第3の状態および第5の状態は同じ透過光Ltの光量である。また、第4の状態、第6の状態および第7の状態は同じ透過光Ltの光量である。このため、調光装置10bの動作としては、第2の状態、第3の状態および第5の状態のうち、いずれか一方とすればよい。また、第4の状態、第6の状態および第7の状態のうち、いずれか一方とすればよい。
(第1の偏光子および第2の偏光子)
第1の偏光子20および第2の偏光子22としては、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有するいわゆる直線偏光子が用いられる。特に、図1(a)、(b)においては、第1の偏光子20および第2の偏光子22としては、吸収型の直線偏光子が用いられる。
吸収型の直線偏光子の種類は特に制限はなく、公知の吸収型偏光子を用いることができ、例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料(二色性有機染料)を利用した染料系偏光膜、および、ポリエン系偏光膜のいずれも用いることができる。ヨウ素系偏光膜、および、染料系偏光膜は、一般に、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸することで作製される。
なお、第1の偏光子20および第2の偏光子22としては、吸収型の直線偏光子以外にも、反射型の直線偏光子を用いてもよい。
反射型の直線偏光子としては、公知のものを使用することができ、例えば、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子(特表平9−506837号公報等に記載されたもの。市販品としては、3M社製の商品名:DBEF)、ワイヤーグリッド型偏光子(市販品としては、例えば、エドモンドオプティクス社製のワイヤーグリッド偏光フィルター50×50、NT46−636等)等が使用される。
なお、反射型の直線偏光子とは、入射光のうち、第1の方向の偏光成分を透過し、第1の方向と直交する方向の偏光成分を反射する性質を持つ。つまり、第1の偏光子20および第2の偏光子22の片側から非偏光が入射された時、他方側から直線偏光が得られる。このような反射型偏光子を使用することにより、所定の偏光成分を反射させて、光吸収を抑制し、遮熱性、耐久性、および遮光性を高めている。
第1の偏光子20および第2の偏光子22により透過または反射される光の波長域(以後、「制御波長域」ともいう)は特に制限されず、赤外光の波長域内であっても、可視光の波長域内であっても、紫外光の波長域内であってもよく、赤外光および可視光の波長域、可視光および紫外光の波長域、または、赤外光、可視光および紫外光の波長域にまたがる波長域であってもよい。特に、調光装置の遮熱性および耐久性がより優れる点からは、可視光、または近赤外光の波長域にあることが好ましい。
なお、赤外線(赤外光)は可視光線より長く電波より短い波長域電磁波である。近赤外光とは一般的に750nm超2500nm以下の波長域の電磁波である。可視光線は電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380nm〜750nmの波長域の光を示す。紫外線は、可視光線より短くX線より長い波長域電磁波である。紫外線は可視光線およびX線と区別される波長領域の光であればよく、例えば、波長10nm以上380nm未満の範囲の光である。
第1の偏光子20および第2の偏光子22としては、右円偏光子および左円偏光子を用いることができる。以下では、主として右円偏光子について説明する。
右円偏光子とは、特定の波長域において右円偏光を選択的に透過させる機能を有する偏光子である。つまり、第1の偏光子20および第2の偏光子22は、片側面から入射した特定の波長域の光(自然光、非偏光)のうち右円偏光を選択的に他側面側に透過させることができる。
ここで、円偏光のうち、光の進行方向から見て、右回りのものを右円偏光といい、左周りのものを左円偏光という。右円偏光と左円偏光とでは向きが異なる点が以外は同じである。左円偏光子は、特定の波長域において左円偏光を選択的に透過させる機能を有する偏光子である。
右円偏光子および左円偏光子が選択的に透過させる特定の波長域は、上述の第1の偏光子20および第2の偏光子22において制御波長域として説明したものと同様であればよい。
右円偏光子および左円偏光子としては、公知のものを使用することができ、例えば、コレステリック液晶または強誘電性液晶による選択反射特性を利用した反射型円偏光子等が使用される。
なお、コレステリック液晶を用いた円偏光子は、重合性の液晶性化合物に対し、右捩れまたは左捩れを誘起するカイラル剤を所定量添加することで、コレステリック性を発現させ、左右の円偏光成分を選択的に反射し、残りの円偏光成分を透過させる円偏光子とすることができる。
以下、円偏光子を用いた場合に光が透過するメカニズムについて、右円偏光子を例に説明する。
第1の偏光子20および第2の偏光子22のいずれも右円偏光子とした場合に、図1(a)に示す調光装置10の構成で、パターン位相差膜30aおよびパターン位相差膜30bがいずれもλ/4の位相差を与えるものである場合では、第1の偏光子20へと入射された光のうち、右円偏光のみが第1の偏光子20を透過する。次に、第1の偏光子20を透過した右円偏光は、パターン位相差膜30aによって直線偏光に変換される。次に、パターン位相差膜30aを透過した直線偏光は、パターン位相差膜30bによって再び右円偏光に変換される。次に、パターン位相差膜30bを透過した右円偏光は、第2の偏光子22を透過する。
第1の偏光子20および第2の偏光子22は、いずれも右円偏光子を用いる構成に限定されるものではなく、いずれも左円偏光子を用いてもよく、さらには右円偏光子と左円偏光子との組合せでもよい。つまり、本発明においては、第1の偏光子および第2の偏光子として、いわゆる円偏光子(右円偏光子および左円偏光子)を用いてもよい。
上述の構成以外に、例えば、第1の偏光子20を直線偏光子、第2の偏光子22を円偏光子とすることもでき、第1の偏光子20を円偏光子、第2の偏光子22を直線偏光子とすることもできる。この場合、円偏光子は、右円偏光子であっても左円偏光子であってもよい。
上述の直線偏光子と円偏光子を用いた構成では、第1の偏光子20を透過した光に対してλ/4の位相差を与えれば、第1の偏光子20を透過した光が第2の偏光子22を透過する。このため、位相差部24では第1の偏光子20を通過した光に対してゼロ〜λ/4の範囲で、例えば、2段階に位相差を与える。このとき、第1位相差領域31および第2位相差領域33は、遅相軸の向きが異なるが、λ/4位相差領域である。
なお、第1の偏光子20および第2の偏光子22のうち一方が直線偏光子であり、もう一方が円偏光子である場合は、全てのパターン位相差膜のレタデーションの値の和が、110nm〜160nmであるのが好ましく、115nm〜150nmであるのがより好ましく、120nm〜140nmであることが特に好ましい。
次に、パターン位相差膜30a〜30dについて説明する。
パターン位相差膜30a〜30dは、面内遅相軸方向が互いに異なる、第1位相差領域31および第2位相差領域33を含み、第1位相差領域31および第2位相差領域33が同じ面内において交互に同じ幅(ピッチ)でストライプ状に配置されている。
図1(a)、(b)には、第1位相差領域31および第2位相差領域33について、いずれも同じ幅(ピッチ)のストライプ状に配置された態様を示すが、この態様に限定されるものではない。
パターン位相差膜30a〜30dを構成する材料は特に制限されず、例えば、液晶性化合物が挙げられる。より具体的には、低分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、光架橋または熱架橋によって固定化して得られる光学異方性層、高分子液晶性化合物を液晶状態においてネマチック配向に形成後、冷却することによって配向を固定化して得られる光学異方性層を用いることもできる。パターン位相差膜30a〜30dは、ディスコティック液晶性化合物を含む組成物で形成されていることが好ましい。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプ(棒状液晶性化合物)と円盤状タイプ(ディスコティック液晶性化合物)に分類できる。さらにそれぞれ低分子タイプと高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできる。2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上のディスコティック液晶性化合物、または棒状液晶性化合物とディスコティック液晶性化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶性化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1および特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]および特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
パターン位相差膜は、温度変化または湿度変化を小さくできることから、重合性基を有する棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物を用いて形成することがより好ましい。液晶性化合物は2種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。
つまり、パターン位相差膜は、重合性基を有する棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物が重合等によって固定されて形成された層であることが好ましく、この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
ディスコティック液晶性化合物および棒状液晶性化合物に含まれる重合性基の種類は特に制限されず、付加重合反応が可能な官能基が好ましく、重合性エチレン性不飽和基または環重合性基が好ましい。より具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等が好ましく挙げられ、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
上述のパターン位相差膜の形成方法としては、以下の好適な態様が例示されるが、これらに限定されることなく、公知の方法を採用でき、例えば、特開2014−89431号公報に記載の方法が挙げられる。また、光配向膜を使用する形態も好適に挙げられる。
光配向膜とは、偏光または無偏光の照射により膜に異方性を生じ、液晶に配向規制力を生ずる性質を有する膜のことである。例えば、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと、溶剤とを含む組成物(以下、場合により「光配向膜形成用組成物」という)を基材に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することによって配向規制力を付与した光配向膜を得ることができる。光反応性基とは、光を照射すること(光照射)により液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応、あるいは光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。光反応性基としては、具体的には、アゾベンゼン構造(骨格)を有する基、ヒドラゾノ−β−ケトエステル構造(骨格)を有する基、スチルベン構造(骨格)を有する基、スピロピラン構造(骨格)を有する基等が挙げられる。
次に、面内レタデーションの値Re(以下、単にReという)、厚さ方向レタデーションの値Rth(以下、単にRthという)の測定方法について説明する。
ReはAxometrics社製AxoScanにおいて測定波長(nm)の光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRthは算出される。
RthはReを、面内の遅相軸および進相軸を傾斜軸(回転軸)として−45°〜+45°を5°ステップで各々その傾斜した方向から測定波長(nm)の光を入射させて全部で19点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にAxoScanが算出する。遅相軸および進相軸に対して算出された値の平均値をそのフィルムのRthと定義する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(21)および数式(22)よりRthを算出することもできる。
上述の式(21)中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向における面内レタデーション値を表す。また、上述の式(21)、(22)中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
上述の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、AxoScanはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
なお、第1の偏光子20、第2の偏光子22、パターン位相差膜30a〜30dは、上述の構成に加えて、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に形成されていてもよい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の調光装置について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本実施例では、パターン位相差膜を2枚有する実施例1〜10および比較例1〜4の調光装置について、耐摩耗性、外側から見た時の視認性、および内側から見た時の視認性を評価した。
以下、耐摩耗性、外側から見た時の視認性、および内側から見た時の視認性について、それぞれの評価方法を評価基準と合わせて説明する。
<耐摩耗性>
「明の状態」と「暗の状態」を手動にて1000回切り替え、「暗の状態」の時の内側の視認性を以下の指標で評価した。
変化なし ・・・4
僅かにくもりが生じた ・・・3
線幅1mm未満の光漏れが生じた・・・2
線幅1mm以上の光漏れが生じた・・・1
線幅については、光漏れが生じた部位を光学顕微鏡で観察し、光漏れが生じた部位の線幅を光学顕微鏡を用いて測定した。
<外側から見た時の視認性>
実施例1〜7、9〜10、比較例1〜3は、「明の状態」の時、外側のパターン位相差膜から外側に2m離れたところから内側の視認性を以下の指標で評価した。
実施例8と比較例4は、「明の状態」の時、外側のパターン位相差膜から外側に0.1m離れたところから内側の視認性を以下の指標で評価した。
視認領域が60%未満であった ・・・3
視認領域が60%以上80%未満であった・・・2
視認領域が80%以上であった ・・・1
視野領域については、上述の視認性を評価する位置で調光装置を撮影し、調光装置の撮影画像を得た。そして、撮影画像に画像処理を施し、撮影画像中の調光装置の面積から黒の部分を引き算することにより、視野領域を求めた。
<内側から見た時の視認性>
実施例1〜7、9〜10、比較例1〜3は、「明の状態」の時、内側のパターン位相差膜から内側に2m離れたところから外側の視認性を以下の指標で評価した。
実施例8と比較例4は、「明の状態」の時、内側のパターン位相差膜から内側に0.1m離れたところから外側の視認性を以下の指標で評価した。
視認領域は80%以上であった ・・・3
視認領域は80%未満60%以上であった・・・2
視認領域は60%未満であった ・・・1
視野領域については、上述の視認性を評価する位置で調光装置を撮影し、調光装置の撮影画像を得た。そして、撮影画像に画像処理を施し、撮影画像中の調光装置の面積から黒の部分を引き算することにより、視野領域を求めた。
以下、実施例1〜10および比較例1〜4について詳細に説明する。
(実施例1)
<透明支持体Aの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
────────────────────────────────────
セルロースアシレート溶液Aの組成
────────────────────────────────────
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール 11質量部
────────────────────────────────────
別のミキシングタンクに、下記の組成物を投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液Bを調製した。
────────────────────────────────────
添加剤溶液Bの組成
────────────────────────────────────
下記化合物B1(Re低下剤) 40質量部
下記化合物B2(波長分散制御剤) 4質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 80質量部
メタノール(第2溶媒) 20質量部
────────────────────────────────────
<<セルロースアセテート透明支持体の作製>>
セルロースアシレート溶液Aを477質量部に、添加剤溶液Bの40質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み60μmのセルロースアセテート保護フィルム(以下、透明支持体Aという)を作製した。透明支持体Aは紫外線吸収剤を含有しておらず、Re(550)は0nmであり、Rth(550)は12.3nmであった。
<<アルカリ鹸化処理>>
セルロースアセテート透明支持体Aを、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムの片面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/mで塗布し、110℃に加熱し、(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したセルロースアセテート透明支持体Aを作製した。
────────────────────────────────────
アルカリ溶液の組成(質量部)
────────────────────────────────────
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.8質量部
イソプロパノール 63.7質量部
界面活性剤
SF−1:C1429O(CHCHO)20H 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
────────────────────────────────────
<ラビング配向膜付透明支持体の作製>
上述の作製した支持体の、鹸化処理を施した面に、下記の組成のラビング配向膜塗布液を#8のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。次に、透過部の横ストライプ幅5.7mm、遮蔽部の横ストライプ幅5.7mmのストライプマスクをラビング配向膜上に配置し、室温空気下にて、UV−C領域における照度2.5mW/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を4秒間照射して、光酸発生剤を分解し酸性化合物を発生させることにより第1位相差領域用配向層を形成した。その後に、ストライプマスクのストライプに対して45°の角度を保持して500rpmで一方向に1往復、ラビング処理を行い、ラビング配向膜付透明支持体を作製した。なお、配向膜の膜厚は、0.5μmであった。
────────────────────────────────────
配向膜形成用塗布液の組成
────────────────────────────────────
配向膜用ポリマー材料 3.9質量部
(PVA103、クラレ(株)製ポリビニルアルコール)
光酸発生剤(S−2) 0.1質量部
メタノール 36質量部
水 60質量部
────────────────────────────────────
<パターン化された光学異方性層Aの作製>
下記の光学異方性層用塗布液を、バーコーターを用いて塗布量4ml/mで塗布した。次いで、膜面温度110℃で2分間加熱熟成した後、80℃まで冷却し空気下にて20mW/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を20秒間照射して、その配向状態を固定化することによりパターン光学異方性層Aを形成した。マスク露光部分(第1位相差領域)は、ラビング方向に対し遅相軸方向が平行にディスコティック液晶が垂直配向しており、未露光部分(第2位相差領域)は直交に垂直配向していた。なお、光学異方性層の膜厚は、0.9μmであった。
────────────────────────────────────
光学異方性層用塗布液の組成
────────────────────────────────────
ディスコティック液晶E−1 100質量部
配向膜界面配向剤(II−1) 3.0質量部
空気界面配向剤(P−1) 0.4質量部
光重合開始剤 3.0質量部
(イルガキュア(登録商標)907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 400質量部
────────────────────────────────────
形成されたパターン光学異方性層Aの第1位相差領域および第2位相差領域をそれぞれTOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法、)を用いて、ION−TOF社製TOF−SIMS Vにより分析したところ、第1位相差領域と第2位相差領域では、対応する配向層中における光酸発生剤S−2の存在比が8対92であり、第1位相差領域ではS−2がほとんど分解していることがわかった。また、光学異方性層においては、第1位相差領域の空気界面に、II−1のカチオンおよび光酸発生剤S−2から発生した酸HBFのアニオンBF が存在していることが確認された。第2位相差領域の空気界面には、これらのイオンはほとんど観測されず、II−1のカチオンおよびBrが配向膜界面近傍に存在していることがわかった。空気界面におけるそれぞれのイオンの存在比は、II−1のカチオンは93対7、BF は90対10であった。このことから、第2位相差領域中、配向膜界面配向剤(II−1)は配向膜界面に偏在しているが、第1位相差領域では偏在性が減少し、空気界面にも拡散していること、および第1位相差領域においては、発生した酸HBFとII−1がアニオン交換することによってII−1カチオンの拡散が促進されていることが理解できる。
<偏光板Aの作製>
TD80UL(富士フイルム社製、550nmにおけるRe/Rth=2/40)を偏光板A用保護フィルムAとして使用し、この表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理したTD80ULと、同様のアルカリ鹸化処理したVA用位相差フィルム(富士フイルム社製、550nmにおけるRe/Rth=50/125)を、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようして偏光膜の間に挟んで貼り合せ、TD80ULとVA用位相差フィルムが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板Aを作製した。このとき位相差フィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸のなす角度を45°にした。
<パターン化された光学異方性層A付偏光板Aの作製>
上述の作製したパターン化された光学異方性層Aの透明支持体A面と偏光板AのTD80UL面を接着剤で貼り合せ、パターン化された光学異方性層A付偏光板Aを作製した。このときパターン化された光学異方性層の遅相軸と偏光膜の吸収軸のなす角度を±45°にした。
<調光装置の作製>
曲率半径Rが4mで、縦1m×横1m×厚み2mmのポリカーボネートフィルムにパターン化された光学異方性層A付偏光板Aを粘着材を用いて貼り合わせて、パターン位相差膜50(図13参照)を2枚作製した。その後、パターン位相差膜50のうち、一方に上端と下端に厚み1mmのスペーサー52(図13参照)を設置した。スペーサー52は、ガラスビーズ製である。ポリカーボネートの平板54(図13参照)に曲率半径Rが4mの溝56(図13参照)を作製し、2枚のパターン位相差膜を溝56に設置して、調光装置を作製した。
2枚のパターン位相差膜50の両端を揃えて積層した状態で、「明の状態」となり、第1位相差領域分、非直線に移動させると「暗の状態」になる。
実施例1では、スペーサー52の厚みが間隔Tとなる。
2枚のパターン位相差膜のうち、1枚が相対的に非直線に移動可能であり、「明の状態」と「暗の状態」を切り替えることができる。曲率半径を有する溝としたものについては、表9の「駆動方式」の欄に「回転式スライド」と示す。1枚のパターン位相差膜の非直線の移動は、手動によりなされる。1枚のパターン位相差膜を7mmスライドさせることで「明の状態」と「暗の状態」を切り替えることができた。
(実施例2)
実施例2は、実施例1に比して、パターン位相差膜に設置したスペーサーの厚みを0.001mmに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(実施例3)
実施例3は、実施例1に比して、パターン位相差膜に設置したスペーサーの厚みを0.0001mmに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(実施例4)
実施例4は、実施例1に比して、パターン位相差膜に設置したスペーサーの厚みを0.00005mmに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(実施例5)
実施例5は、実施例1に比して、曲率半径Rが4mで、縦1m×横1m×厚さ2mmのポリカーボネートフィルムにパターン化された光学異方性層A付偏光板Aを粘着材を用いて貼り合わせ、パターン位相差膜を2枚作製した。ポリカーボネートに曲率半径R4mの溝を100mmの間隔で2箇所作製し、パターン位相差膜2枚をそれぞれ溝に設置して、調光装置を作製した。実施例5では溝の間隔が間隔Tである。
(実施例6)
実施例6は、実施例5に比して、溝の間隔を400mmに変更した以外は実施例5と同様に調光装置を作製した。実施例6では溝の間隔が間隔Tである。
(実施例7)
実施例6は、実施例1に比して、パターン位相差膜のポリカーボネートフィルムの曲率半径Rを10mに変更し、溝の曲率半径Rを10mに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(実施例8)
実施例8は、実施例1に比して、パターン位相差膜のポリカーボネートフィルム(縦0.1m×横0.1m×厚み2mm)の曲率半径Rを0.1mに変更し、溝の曲率半径Rを0.1mmに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(実施例9)
実施例9は、実施例1に比して、パターン位相差膜のポリカーボネートフィルムの曲率半径Rを20mに変更し、溝の曲率半径Rを20mに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(実施例10)
実施例10は、実施例1に比して、パターン位相差膜のポリカーボネートフィルムの曲率半径Rを30mに変更し、溝の曲率半径Rを30mに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(比較例1)
比較例1は、実施例7に比して、溝を直線状に変更した以外は実施例7と同様に調光装置を作製した。溝を直線状にしたものについては、表9の「駆動方式」の欄に「直線式」と示す。
(比較例2)
比較例2は、実施例10に比して、溝を直線状に変更した以外は実施例10と同様に調光装置を作製した。
(比較例3)
比較例3は、実施例1に比して、パターン位相差膜のポリカーボネートフィルムの曲率半径Rを40mに変更し、溝の曲率半径Rを40mに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
(比較例4)
比較例4は、実施例1に比して、パターン位相差膜のポリカーボネートフィルム(縦0.5m×横0.5m×厚み2mm)の曲率半径Rを0.05mに変更し、溝の曲率半径Rを0.05mmに変更した以外は実施例1と同様に調光装置を作製した。
表9に示すように、実施例1〜10は、いずれも外側から見た時の視認性、および内側から見た時の視認性が良好であった。耐摩耗性についても概ね良好であった。
比較例1、2は、パターン位相差膜を直線に移動させており、パターン位相差膜同士が衝突してしまい、耐摩耗性、外側から見た時の視認性、および内側から見た時の視認性については評価することができなかった。
比較例3は、曲率半径Rが大きく、外側から見た時の視認性、および内側から見た時の視認性が悪かった。比較例4は、曲率半径Rが小さく、内側から見た時の視認性が悪かった。
10、10a、10b 調光装置
12 調光部
14 移動部
16 制御部
20 第1の偏光子
22 第2の偏光子
24 位相差部
30a、30b、30c、30d、50、100、102 パターン位相差膜
31 第1位相差領域
32、34 遅相軸
33 第2位相差領域

Claims (6)

  1. 第1の偏光子と、前記第1の偏光子と離間して配置された第2の偏光子と、前記第1の偏光子と前記第2の偏光子の間に、間隔をあけて配置された2枚以上の、同一面内に複数の遅相軸方向を有するパターン位相差膜とを備えている調光部と、
    前記2枚以上のパターン位相差膜のうち、少なくとも1枚を、前記他のパターン位相差膜に対して非直線に相対的に移動させる移動部とを有し、
    前記調光部は湾曲しており、曲率半径が0.1〜30mであることを特徴とする調光装置。
  2. 前記曲率半径は、0.1〜20mである請求項1に記載の調光装置。
  3. 前記曲率半径は、0.1〜10mである請求項1または2に記載の調光装置。
  4. 前記パターン位相差膜の間隔は、0.0001〜400mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の調光装置。
  5. 前記パターン位相差膜の間隔は、0.001〜100mmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の調光装置。
  6. 前記曲率半径をRメートルとし、前記パターン位相差膜の間隔をTミリメートルとするとき、T>1/(100×R)を満たす請求項1〜5のいずれか1項に記載の調光装置。
JP2015142378A 2015-07-16 2015-07-16 調光装置 Abandoned JP2017026686A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015142378A JP2017026686A (ja) 2015-07-16 2015-07-16 調光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015142378A JP2017026686A (ja) 2015-07-16 2015-07-16 調光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017026686A true JP2017026686A (ja) 2017-02-02

Family

ID=57946457

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015142378A Abandoned JP2017026686A (ja) 2015-07-16 2015-07-16 調光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017026686A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017175805A1 (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 大日本印刷株式会社 調光装置、調光フィルム、調光フィルム付基材、調光装置キット及び調光フィルムの貼付方法
JP2018031924A (ja) * 2016-08-25 2018-03-01 大日本印刷株式会社 調光装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08212820A (ja) * 1995-02-08 1996-08-20 Shizuo Orihara 遮光装置
JP2007102210A (ja) * 2005-09-12 2007-04-19 Asahi Glass Co Ltd 調光装置
WO2008007788A1 (fr) * 2006-07-14 2008-01-17 Asahi Glass Company, Limited Structure et son procédé de fabrication
JP2013164525A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Fujifilm Corp 積層体、及びその用途
JP2014507676A (ja) * 2010-12-30 2014-03-27 スマーターシェード インコーポレイテッド 可変的な透過窓

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08212820A (ja) * 1995-02-08 1996-08-20 Shizuo Orihara 遮光装置
JP2007102210A (ja) * 2005-09-12 2007-04-19 Asahi Glass Co Ltd 調光装置
WO2008007788A1 (fr) * 2006-07-14 2008-01-17 Asahi Glass Company, Limited Structure et son procédé de fabrication
JP2014507676A (ja) * 2010-12-30 2014-03-27 スマーターシェード インコーポレイテッド 可変的な透過窓
JP2013164525A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Fujifilm Corp 積層体、及びその用途

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017175805A1 (ja) * 2016-04-05 2017-10-12 大日本印刷株式会社 調光装置、調光フィルム、調光フィルム付基材、調光装置キット及び調光フィルムの貼付方法
JP2018031924A (ja) * 2016-08-25 2018-03-01 大日本印刷株式会社 調光装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9110242B2 (en) Liquid crystal display, laminated polarizing plate and polarized light source device
TWI557446B (zh) 光學膜
US10670921B2 (en) Viewing angle control film and image display device
US7393570B2 (en) Broad-band-cholesteric liquid-crystal film, process for producing the same, circularly polarizing plate, linearly polarizing element, illiminator, and liquid-crystal display
US9229142B2 (en) Optical film, polarizing plate, liquid crystal display, and method of manufacturing optical film
KR102118016B1 (ko) 장척 광학 필름 적층체, 장척 광학 필름 적층체의 롤 및 ips 액정 표시 장치
JP6945529B2 (ja) 導光部材および液晶表示装置
KR101665263B1 (ko) 편광판 및 이를 포함하는 액정표시장치
JP6757424B2 (ja) 加飾フィルム
JP6425570B2 (ja) 映像表示装置付のミラーを備える車両
KR20150100843A (ko) 편광판, 화상 표시 장치 및 화상 표시 장치에 있어서의 명소 콘트라스트의 개선 방법
KR101665239B1 (ko) 편광판 및 이를 포함하는 액정표시장치
KR101822701B1 (ko) 편광판 및 이를 포함하는 액정표시장치
KR101822699B1 (ko) 광학시트 및 이를 포함하는 액정표시장치
JP2017026686A (ja) 調光装置
JPWO2018212347A1 (ja) 加飾シート、光学デバイス、画像表示装置
JP6967075B2 (ja) 車両用ミラー、車両用画像表示機能付きミラー
US10514490B2 (en) Backlight unit used in a liquid crystal display device
JP2006024519A (ja) 直下型バックライトおよび液晶表示装置
CN1409135A (zh) 偏光板及其制造方法和液晶显示器
CN1412580A (zh) 偏振片的制造方法及液晶显示装置
JPH09318816A (ja) 光学フィルム、その製造方法、積層偏光板及び液晶表示装置
JP2017026678A (ja) 調光装置
JP2005352403A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、バックライトシステムおよび液晶表示装置
JP7259482B2 (ja) 反射スクリーン及びそれを用いた投射システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180529

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20180720