以下、図面と共に本発明に係る空調システムの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、本実施形態に係る空調システム1の一部を示す立断面図である。図2は、本実施形態に係る空調システム1を示す平面図である。図1及び図2に示すように、空調システム1は、建築物2に設けられるシステムである。建築物2には、複数の部屋(室)21〜25が設けられている。また、空調システム1は、建築物2の少なくとも何れかの部屋の冷房を行う間接外気冷房装置3を備えている。間接外気冷房装置3によって冷房を行うため、建築物2は、外気による冷房が可能な場所あるいは地域に建てられる。間接外気冷房装置3の間接外気冷房は、外気温度が十分に低い冬季等のみに行われることとしてもよい。
本実施形態では、建築物2は、データセンターである。また、間接外気冷房装置3によって冷房される部屋は、データセンターで管理されるコンピュータであるサーバが設置されるサーバルーム21である。建築物2は、複数の階層からなるものであってもよい。例えば、図1に示すように、建築物2は2階建てとなっており、サーバルーム21はそれぞれの階に設けられる。サーバルーム21には、サーバラック4が配置されており、サーバラック4にサーバを格納して設置する。サーバの動作によって発熱が生じるが、間接外気冷房装置3による冷房でサーバルーム21内の温度が概ね一定に保たれる。
建築物2には、サーバルーム21以外に、空調機械室22と、室外機置場(メカニカルバルコニー)23と、居室24と、暖房用室外機置場25とが設けられている。空調機械室22は、間接外気冷房装置3の空調機31(間接外気冷房装置3の本体)が設けられる部屋である。空調機械室22は、サーバルーム21に隣接しており、サーバルーム21と同様にそれぞれの階に設けられる。空調機械室22は、サーバルーム21の側壁(内壁)2aを介して隣接する。また、空調機械室22はサーバルーム21の上壁2bの上部(天井裏空間)と連通している。サーバルーム21の空調機械室22に隣接する側壁2aには、間接外気冷房装置3から吹き出される空気をサーバルーム21内に取り込むことができる取込口(吹出口)2cが設けられている。取込口2cは、サーバルーム21の側壁2aだけでなく上壁2bにも、設けられていてもよい。また、サーバルーム21の空調機械室22に隣接する上壁(天井)の、取込口2cから離れた位置には、サーバルーム21内の空気を空調機械室22に排出することができる排出口(図示せず)2pが設けられている。
室外機置場23は、間接外気冷房装置3の室外機32が設置される室外機室であり、空調システム1の構成要素である。室外機置場23は、サーバルーム21に隣接する空調機械室22の側壁2aと向いあった側壁2dを介して、空調機械室22に隣接している。また、室外機置場23は、空調機械室22に隣接する側壁2dと向いあった側壁(建築物2と外部とを仕切る外壁)2eを介して外部(建築物2の外側)に隣接している。室外機置場23の床2fは、2階の空調機械室22の床の高さと同様の高さに位置している。即ち、室外機置場23は、本実施形態では2階にのみ設けられる。なお、室外機置場23の床2fの高さは、2階の空調機械室22等の2階の他の部屋の床の高さと異なっていてもよい。
室外機置場23の外部に隣接する側壁2eは、高さ方向(鉛直方向)の1階の部分の途中(地面に接しない位置)まで延びている。即ち、側壁2eは、室外機32が配置される下面である床2fよりも下まで延びている。また、室外機置場23の室外機32が配置される床2fは、室外機32下部のみから外気が流入するよう、当該部分のみに、外気を取り入れる(導入する)取入口である開口が設けられた床材(例えば、ファインフロア)によって構成されている。また、室外機置場23の室外機32が配置される床2fの更に下は開口となっており(開放されており)、開口には外部から虫等が室外機置場23に入りこむことを防ぐ等の目的で網(例えば、SUSメッシュ)2gを設けてもよい。このように、室外機置場23には、外気を取り入れる取入口が設けられている。
居室24は、例えば、データセンターの管理者が執務を行う事務室である。後述するように居室24に熱交換後の外気が室外機置場23から導入される構成では、居室24は、空調システム1の構成要素(外気利用システムの一部)である。居室24は、サーバルーム21及び空調機械室22の並び方向とは垂直なサーバルーム21及び空調機械室22の側壁2hを介して、サーバルーム21及び空調機械室22に隣接している。居室24は、管理者等によって継続的に利用されるため冬季には暖房される。
暖房用室外機置場25は、ルームエアコン等の居室24の暖房用の暖房装置の暖房用室外機5(暖房用室外機5以外の暖房装置の構成は図示せず)が設置される部屋である。後述するように暖房用室外機置場25に熱交換後の外気が室外機置場23から導入される構成では、暖房用室外機置場25は、空調システム1の構成要素(外気利用システムの一部)である。暖房用室外機置場25は、空調機械室22及び室外機置場23の並び方向とは垂直な室外機置場23の側壁2iを介して、室外機置場23と隣接している。また、暖房用室外機置場25は、室外機置場23に隣接している側壁2iとは垂直な側壁2jで居室24に隣接している。以上が、建築物2の各部屋21〜25である。
引き続いて、間接外気冷房装置3を説明する。間接外気冷房装置3は、外部(建築物2の外側)の空気である外気を利用して冷房を行う冷房装置である。間接外気冷房装置3は、空調機31と、室外機32とを備えて構成される。また、空調機31と、室外機32との間には、冷房を行うために用いられる冷媒を流通させる配管33が設けられている。配管33は、空調機31から室外機32へ冷媒を送るためのものと、室外機32から空調機31へ冷媒を送るためのものとの2つが設けられている。何れか一方向の配管33には、冷媒を流通させるためのポンプ34(図2では省略)が設けられている。冷媒は、例えば、不凍液である。
空調機31は、冷媒により空気を冷却して、冷房対象の部屋であるサーバルーム21の冷房を行う装置である。空調機械室22に複数設置されていてもよく、その場合、例えば、空調機械室22内でサーバルーム21に隣接する側壁2aに沿うように複数並べて設置される。
空調機31は、第1の空調機コイル311と、第2の空調機コイル312と、空調機送風機313とを備えて構成されている。第1の空調機コイル311及び第2の空調機コイル312は、冷媒を流通させると共に空調機31に吸い込まれた空気と冷媒との間で熱交換させて、空気を冷却する熱交換器である。冷却される空気は、サーバルーム21でサーバの発熱等で暖められてサーバルーム21から空調機械室22に排出される空気である。第1の空調機コイル311は、冷却された冷媒を、室外機32から配管33を介して入力すると共に、熱交換されて暖まった冷媒を、配管33を介して室外機32に出力する。第2の空調機コイル312は、図示しない冷凍機によって冷却された冷媒を入力する。第2の空調機コイル312は、第1の空調機コイル311を用いた冷房が十分に行えない場合、例えば、外気の温度が間接外気冷房を行うのに十分に低くない場合に用いられてもよい。
空調機送風機313は、第1の空調機コイル311及び第2の空調機コイル312によって冷却された空気をサーバルーム21に向けて送風する装置である。空調機送風機313は、複数台のファン、例えば、必要な風量の50%の送風を行える2台のファンを備えて、1台が故障した際にも動作するようにするようにしておいてもよい(その他の送風機についても同様)。
室外機32は、空調機31から配管33を介して冷媒を入力して、外気との間の熱交換により冷媒を冷却させる装置である。室外機32は、1階及び2階のそれぞれの空調機31毎に設けられる。室外機32は、例えば、室外機置場23内で空調機械室22に隣接する側壁2dに沿うように複数並べて設置される。
室外機32は、室外機コイル321と、室外機送風機322とを備えて構成されている。室外機コイル321は、冷媒を流通させると共に外気と冷媒との間で熱交換させて、冷媒を冷却する熱交換器である。室外機コイル321は、暖まった冷媒を、空調機31から配管33を介して入力すると共に、熱交換されて冷却された冷媒を、配管33を介して空調機31に出力する。室外機コイル321において熱交換される外気は、室外機置場23の下側の開口(取入口)から室外機置場23に流入する。
室外機送風機322は、室外機コイル321によって熱交換されて暖められた外気を送風する装置である。室外機送風機322による送風は、室外機置場23の上方に向けて行われる。室外機置場23の上方に暖められた外気が送風されることで、上記のように外部から新たな外気(これから熱交換される外気)が室外機置場23の下側の開口(取入口)を通って室外機置場23に取り入れられる(流入する)。
なお、上記の間接外気冷房装置3自体は、従来の装置と同様のものを用いてもよい。また、室外機送風機322の動作、例えば、ファンの回転数を、冷媒の温度(循環水水温)に基づいて可変制御し、室外機送風機322の動力を削減することとしてもよい。また、サーバルーム21内の室内温度に基づいて、ポンプ34の回転数を可変制御し、ポンプ34の動力を削減することとしてもよい。
本実施形態に係る空調システム1は、熱交換後の暖められた外気(暖気)に係る構成として、以下の構成を有している。図1に示すように、室外機置場23の外部に面した側壁2eの上方には、熱交換後の外気を外部に排出(放出)する排出口であるガラリ2kが設けられている。ガラリ2kの羽根板は、水平方向に設けられていてもよく、高さ方向に設けられていてもよい。また、ガラリ2kの内側には、ガラリ2kと室外機32との間を遮る遮流部材である遮流板2mが設けられている。遮流板2mの一方の端辺はガラリ2kの下端に固定されており、もう一方の端辺は側壁2dに向かって斜め上方向に延びている。遮流板2mの上下方向の長さは、概ねガラリ2kの上下方向の長さと同程度とされる。遮流板2mが設けられることで、室外機32から送風される暖められた外気が、一旦ガラリ2kよりも高い位置まで移動し、ガラリ2kから外部に排出される。また、遮流板2mは、ガラリ2kから雪や雨等が室外機置場23内に侵入することを防止する雪返し板にもなっている。
また、本実施形態では、熱交換後の暖められた外気を別の部屋で利用する。即ち、空調システム1は、室外機置場23における熱交換後の外気を利用可能とする外気利用システムを備える。具体的には暖房用室外機置場25で利用する。そのために、室外機置場23と暖房用室外機置場25との間が、室外機置場23から暖房用室外機置場25に暖められた外気が導入可能なように接続される。具体的には、図2に示すように、室外機置場23と暖房用室外機置場25との間の側壁2iに暖められた外気の導入口2nとなる開口が設けられる。また、当該導入口2nには、室外機置場23から暖房用室外機置場25に外気が導入されるように(導入されやすくするため)送風機が設けられていてもよい。
暖房用室外機置場25に暖められた外気が導入されると、暖房用室外機5のヒートポンプ効率を向上させることができ、暖房装置を効率的に動作させることができる。この場合、暖房用室外機置場25が、暖められた外気が利用される外気利用室となる。
また、熱交換後の暖められた外気を居室24で利用する構成としてもよい。そのために、室外機置場23と居室24との間が、室外機置場23から居室24に暖められた外気が導入可能なように接続される。具体的には、室外機置場23と暖房用室外機置場25との間の側壁2iに暖められた外気の導入口2nが設けられ、当該導入口2nから居室24までつながるダクトが設けられる。この場合も、暖房用室外機置場25と同様に、当該導入口2nには、外気を導入するための送風機が設けられる。
居室24に暖められた外気が導入されると、居室24が暖房される。この場合、居室24が、暖められた外気が利用される外気利用室である。以上が、本実施形態に係る空調システム1の構成である。
引き続いて、本実施形態に係る空調システム1の動作を説明する。図1に示すように、空調システム1では、間接外気冷房装置3の空調機31に吸い込まれた空気A1が、第1の空調機コイル311と第2の空調機コイル312とによって冷却され、空調機送風機313によって送風される。送風された空気A2は、取込口2cからサーバルーム21に取り込まれて、サーバルーム21を冷房する。サーバルーム21で暖められた空気は、排出口2pから空調機械室22に排出される。空調機械室22に排出された空気A3,A4は、再度、空調機31に吸い込まれて冷房に用いられる。
第1の空調機コイル311によって空気A1を冷却するために用いられて暖められた冷媒は、第1の空調機コイル311から配管33を通って室外機32に出力される。当該冷媒は、室外機32の室外機コイル321に入力される。室外機32には外部から流入した外気A5が、室外機コイル321によって、冷媒を冷却するために用いられる。冷却された冷媒は、室外機コイル321から配管33を通って空調機31に出力される。当該冷媒は、第1の空調機コイル311による空気の冷却に用いられる。
室外機32の室外機コイル321による熱交換後の外気(の一部)A6,A7,A8は、室外機送風機322によって送風されて、ガラリ2kから外部に放出される。一方、図2に示すように熱交換後の外気(の一部)A9は、導入口2nから暖房用室外機置場25に導入される。導入された外気は、暖房装置を効率的に動作させるのに利用される。あるいは、熱交換後の外気A9は、導入口2nから居室24に導入される。導入された外気は、居室24の暖房に利用される。以上が、本実施形態に係る空調システム1の動作である。
上述したように本実施形態では、熱交換後の暖められた外気が、暖房用室外機置場25あるいは居室24といった外気利用室に導入されて、例えば、暖房等に利用される。間接外気冷房装置3による冷房が行われる場所は、通常、外気の温度が低く寒い場所であるため、暖房が必要となることがあり、それに暖められた外気を利用することができる。また、間接外気冷房装置3では、外気が汚染されることがないため、外気を暖房用室外機置場25又は居室24に導入しても問題は生じない。即ち、本実施形態によれば、熱交換後の外気を効率的に利用することができる。
また、上記のように、室外機置場23の床2fの室外機32下部のみに開口を設けることで、外部から室外機置場23に流入する外気全てが、室外機32を経由して取り入れられる。即ち、外部からの外気が室外機32に直接する流入する構成とすることができる。これにより、室外機置場23内に室外機32を経由しない空気が流入することを防止し、室外機置場23内の室外機32を経由した熱交換後の外気が、室外機32を経由しない空気により冷却されてしまうことを防止することができる。また、室外機32を経由した熱交換後の外気が室外機置場23の床2fから外部に流出することを防止することができる。当該流出が生じると、流出した熱交換後の外気が再度、室外機32に取り入れられてしまい、室外機32が取り入れる外気の温度が上昇して室外機32の熱交換効率が低下する(室外機32による冷媒の冷却効果が阻害される(ショート−サーキット))。上記のように当該流出を防止することで熱交換効率の低下を防止することができる。以上のように、この構成によれば、熱交換後の外気(の熱エネルギー)利用が阻害されることを低減することができる。
また、本実施形態のように室外機置場23において、ガラリ2kと遮流板2mとを設けることとしてもよい。通常、間接外気冷房装置の室外機置場には外気の排出口が設けられる。また、熱交換後の暖められた外気全てを外気利用室に導入するのは難しいため、外気の排出口が必要となる。このように外気の排出口が設けられている場合、排出口からの寒気で熱交換後の暖められた外気が冷却されてしまい、暖められた外気の利用に支障をきたすことが考えられる。しかし、本実施形態のように遮流板2mを設ける構成とすれば、熱交換後の外気が外部に排出されるまでの通り道を長くすることができ、外気利用室へ導入される熱交換後の外気が外部の寒気によって冷却されてしまうことを防止することができる。これにより、熱交換後の外気の効率的な利用を促進することができる。また、本実施形態の遮流板2mは、雪や雨等の室外機置場23内への侵入を防止することができるので、機器の長寿命化を図ることができる。
また、本実施形態のように熱交換後の外気を、暖房用室外機置場25に導入することとしてもよい。この構成によれば、上述したように暖房装置を効率的に動作させることができる。また、熱交換器の外気を居室24に導入して直接的に暖房に用いることとしてもよい。また、上記以外にも、暖められた空気が用いられる部屋であれば、どのような部屋に導入されてもよい。また、熱交換後の外気(の熱エネルギー)を利用する装置(熱交換後の外気との間で熱交換する装置)は、必ずしも上記のように暖房用室外機5でなくてもよい。例えば、当該装置は、ヒートポンプ式の給湯器であり、暖房用室外機置場25に加えて、あるいは代えて、ヒートポンプ式の給湯器が設けられる部屋に熱交換後の外気を導入する構成となっていてもよい。この構成によれば、給湯器を効率的に動作させることができる。また、熱交換後の外気は、必ずしも、室外機置場23以外の部屋である外気利用室で利用される必要はなく、室外機置場23において利用されてもよい。例えば、外気利用システムは、室外機置場23に設置される暖房用室外機5やヒートポンプ式の給湯器等の熱交換後の外気を利用する装置を備える構成(室外機置場23に当該装置が設置される構成)となっていてもよい。
また、本実施形態のように室外機置場23を2階に設け、側壁2eを1階の部分の途中まで延びている構成を取ることとしてもよい。この構成によれば、積雪等で外気の室外機置場23への取入口が塞がれることを防止することができる。これにより、外気利用が阻害されることを防止することができる。
引き続いて、本発明の実施形態の変形例を説明する。本変形例では、室外機32の動作を制御する。なお、以下において説明しない点については、上述した実施形態と同様である。図3は、本変形例に係る空調システム100を示す平面図である。本変形例に係る空調システム100に含まれる間接外気冷房装置300には、上述した実施形態と同様に室外機置場23に複数の室外機32が設けられている。
上述した実施形態では、空調機31と室外機32とが一対一で配管33により接続されていたが、本変形例では、全ての空調機31と全ての室外機32とが統合化された配管で接続される。具体的には、以下のように構成される。図3に示すように、空調機31側の冷水ヘッダ110と室外機32側の冷水ヘッダ120とが設けられ、それらの間を接続する配管130が設けられる。空調機31側の冷水ヘッダ110には各空調機31からの配管111が接続される。室外機32側の冷水ヘッダ120には各室外機32からの配管121が接続される。互いに接続された冷水ヘッダ110,120及び配管130,111,121内は、冷媒が流通することができる。この構成により、任意の空調機31で熱交換に用いられる冷媒を、任意の室外機32で冷却することができる。
冷水ヘッダ110,120及び配管130,111,121は、上述した実施形態と同様に、空調機31から室外機32へ冷媒を送るためのものと、室外機32から空調機31へ冷媒を送るためのものとの2つが設けられている。何れか一方向の配管130には、冷媒を流通させるためのポンプ140が設けられる。なお、図3では、空調機31側の冷水ヘッダ110と室外機32側の冷水ヘッダ120とを接続する配管130は、1つしか示されていないが、複数の配管130が設けられていてもよい。
冷水ヘッダ110に配管111が接続される部分、及び冷水ヘッダ120に配管121が接続される部分には、バルブが設けられている。動作していない空調機31及び室外機32に対応する配管111及び配管121のバルブを閉めることで、当該空調機31及び室外機32での冷媒の入出力を行わなくすることができる。
本変形例の構成のように、任意の室外機32で冷媒を冷却することができる場合、間接外気冷房装置300の動作状態、即ち、空調機31の動作状態によっては、全ての室外機32を動作させる必要がないことがある。例えば、サーバの稼動率が低い、あるいは実装台数が少ない場合には、全ての空調機31を動作させる必要はない。その場合、それに応じて全ての室外機32を動作させる必要がない。動作する室外機32が少ない場合には、熱交換後の暖められた外気の発生が少なくなる。本変形例は、そのような場合であっても、効率的に間接外気冷房装置300を動作させることができると共に熱交換後の外気の効率的な利用を行うことができるようにするものである。
なお、動作させる空調機31及びどの程度の負荷(強度)で空調機31を動作させるかについては、予めデータセンターの管理者等によって設定される。あるいは、それらは、サーバルーム21内の温度等に応じて、自動的に制御が行われてもよい。
上記を実現するために、本変形例では、空調システム100は、温度センサ150と、流量センサ160と、自動制御盤170とを備えて構成される。温度センサ150と、流量センサ160と、自動制御盤170とは、ハードウェアとしては従来の装置と同様のものを用いることができる。自動制御盤170は、温度センサ150及び流量センサ160にそれぞれ接続されており、それらのセンサ150,160から情報を受信できるようになっている。また、自動制御盤170は、各室外機32、及び各配管111,121のバルブにそれぞれ接続されており、制御信号を送信して動作を制御できるようになっている。
温度センサ150は、配管130に設けられており、配管130内部の冷媒の温度(℃)を検出する、制御手段の一機能である。温度センサ150は、空調機31から室外機32へ冷媒を送るための配管130と、室外機32から空調機31へ冷媒を送るための配管130とのそれぞれに設けられており、それぞれの温度を検出する。温度センサ150は、検出したそれぞれの温度を、空調機31の動作状態を示す情報として自動制御盤170に通知する。
流量センサ160は、空調機31から室外機32へ冷媒を送るための配管130に設けられており、配管130内部の冷媒の流量(l/min)を検出する、制御手段の一機能である。流量センサ160は、検出した流量を、空調機31の動作状態を示す情報として自動制御盤170に通知する。
自動制御盤170は、温度センサ150及び流量センサ160から通知された空調機31の動作状態及び室外機32それぞれが設けられた位置に応じて、室外機32の動作を制御する、制御手段の一機能である。自動制御盤170は、例えば、空調機械室22の側面に設置されており、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを備えるコンピュータを含んで構成されている。具体的には、自動制御盤170は、以下のように制御を行う。
自動制御盤170は、温度センサ150及び流量センサ160から通知された情報に基づいて、空調機31の動作に係る熱量を算出する。まず、自動制御盤170は、温度センサ150からの通知に基づき、室外機32から空調機31へ冷媒の温度と空調機31から室外機32へ冷媒の温度の温度差を算出する。続いて、自動制御盤170は、算出した温度差と流量センサ160から通知された流量との積を算出することで、熱量(kW)を算出する。
自動制御盤170には、予め、熱量と動作させる室外機32の数との対応関係を記憶させておく。この対応関係は、熱量が大きいほど、動作させる室外機32の数が大きいものである。自動制御盤170は、記憶した対応関係において、算出した熱量と対応している室外機32の数を動作させる室外機32の数に決定する。自動制御盤170は、決定した室外機32の数の分だけ、外気の導入口2nから近い場所に設置された順に室外機32を動作させると決定する。なお、自動制御盤170には、予め、外気の導入口2nから近い場所に設置された順に室外機32を記憶させておく。
例えば、3台の室外機32を動作させると決定した場合、図3にハッチングで示したように、外気の導入口2nから近い場所に設置された順に3台の室外機32を動作させると決定する。自動制御盤170は、動作させると決定した室外機32に対して、動作させる制御信号(例えば、電源をオンして動作を開始させる制御信号)を送信する。自動制御盤170は、動作させると決定した室外機32以外の室外機32に対して、動作を停止させる制御信号(例えば、動作を終了して電源をオフさせる制御信号)を送信する。上記の制御によって、室外機32の運転台数を、例えば、サーバルーム21での排熱(発熱)に応じて決定(削減)することができる。
自動制御盤170は、例えば、予め設定した一定時間間隔毎に上記の制御を行う。なお、自動制御盤170は、動作させると決定した室外機32が既に動作していた場合、あるいは、動作させると決定した室外機32以外の室外機32が動作していなかった場合には、その室外機32には制御信号を送信しないこととしてもよい。
また、動作させる室外機32と空調機31との間で冷媒が入出力できるようにするため、自動制御盤170は、動作させる室外機32に接続された配管121のバルブを開ける制御を行う。一方、自動制御盤170は、動作させない室外機32に接続された配管121のバルブを閉める制御を行う。また、冷水ヘッダ110,120間を接続する配管130が複数設けられている場合には、自動制御盤170は、配管130に設けられるバルブを制御して、動作させる室外機32に近い配管130のみが用いられるようにしてもよい。以上が、本変形例に係る空調システム100の構成である。
引き続いて、本変形例に係る空調システム100の動作を説明する。空調システム100では、温度センサ150によって配管130内部の冷媒の温度が検出されて、検出された温度が自動制御盤170に通知される。また、流量センサ160によって配管130内部の冷媒の流量が検出されて、検出された流量が自動制御盤170に通知される。続いて、自動制御盤170によって、温度センサ150及び流量センサ160から通知された情報に基づいて、動作される室外機32が決定されて、決定された室外機32が動作するように制御が行われる。
上記の制御以外、本変形例に係る空調システム100は、上述した実施形態に係る空調システム1と同様に動作する。即ち、動作している室外機32から送風される熱交換後の外気A9が、導入口2nから暖房用室外機置場25あるいは居室24に導入される。室外機32は導入口2nに近いものから順に動作するように制御されるため、導入口2nに近い位置で熱交換後の外気A9が送風される。以上が、本変形例に係る空調システム100の動作である。
本変形例の構成によれば、複数の室外機32が設けられる間接外気冷房装置300を用いた場合に、間接外気冷房装置300の(空調機31の)動作に合わせた必要な室外機32のみを動作させることができる。即ち、効率的に間接外気冷房装置300を動作させることができる。また、動作させる室外機32を室外機32が設置される位置、具体的には、導入口2nからの距離に応じて決定されるため、上記の通り、導入口2nに近い位置で熱交換後の外気が送風される。従って、熱交換後の外気が導入口2nに到達するまでに冷やされなくすることができる。即ち、例えば、サーバの稼動率が低い、あるいは実装台数が少ない等により、サーバルーム21での排熱が不足する場合であっても、熱交換後の外気の効率的な利用を行うことができる。
また、外気を外気利用室へ導入するための導入口2nは、必ずしも室外機置場23の側壁2iに設けられる必要はない。例えば、ダクト等を用いることで、室外機置場23内の任意の位置に導入口2nを設けることができる。この場合でも、上述した変形例と同様に、当該任意の位置に設けられた導入口2nに近い位置に設置された室外機32を動作させて、熱交換後の外気の効率的な利用を行うことができる。