JP2017025789A - 回転式圧縮機 - Google Patents

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Takashi Kamikawa
隆司 上川
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Abstract

【課題】回転式圧縮機において、ケーシングの底部の潤滑油が一時的に不足した場合に、クランク軸と軸受との摺動面の潤滑を継続できるようにする。
【解決手段】圧縮機構に、油溜まり部から圧縮機構の軸受部38,27とクランク軸23との摺動面に供給されて該摺動面を潤滑した後の潤滑油を貯留する油溜室81を形成する。また、クランク軸23の上部軸受部27に支持される支持軸部26に、下端が油溜室81に連通し、支持軸部26の外周面において該下端が上端よりもクランク軸23の回転方向において前側に位置するようにクランク軸23の軸心に対して傾斜した傾斜溝82と、該傾斜溝82と給油通路71とを連通させる連通路83とを形成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、回転式圧縮機に関し、駆動軸と軸受部との摺動面の焼付防止策に係るものである。
従来より、回転式の圧縮機構と、該圧縮機構を回転駆動する電動機とを備えた回転式圧縮機が知られている。この種の回転式圧縮機では、電動機のクランク軸が軸受に対して円滑に回転できるように、クランク軸と軸受との隙間に潤滑油を連続的に供給する給油機構を設けている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、給油機構は、上下に延びるクランク軸の下端に設けられた油ポンプと、クランク軸内に形成された給油通路とを備えている。油ポンプによって、ケーシングの底部に貯留された潤滑油が給油通路に汲み上げられ、該給油通路を介してクランク軸と軸受との隙間に導かれる。このようにして導かれた潤滑油によってクランク軸と軸受との摺動面が潤滑される。
特開2003−294037号公報
ところで、潤滑油は、圧縮機構によって圧縮されたガス冷媒と共にケーシングの外部へ吐出されてしまうことがある。そのため、通常、回転式圧縮機が接続された冷凍装置は、ケーシングの外部へ吐出された潤滑油がケーシングの内部に戻るように構成されている。
しかしながら、冷凍装置の運転条件によっては、ケーシングの外部へ吐出される潤滑油量が、ケーシングの内部に戻る潤滑油量よりも一時的に多くなることがある。このような場合には、ケーシングの底部の潤滑油が不足し、給油機構によってクランク軸と軸受との隙間に潤滑油が供給できなくなってクランク軸と軸受とが焼き付くおそれがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転式圧縮機において、ケーシングの底部の潤滑油が一時的に不足した場合に、クランク軸と軸受との摺動面の潤滑を継続できるようにすることにある。
第1の発明は、底部が潤滑油を貯留する油溜まり部(17)となるケーシング(11)と、上記ケーシング(11)内に収容されて流体を圧縮する圧縮機構(30)と、上記ケーシング(11)内において上下方向に延び、上記圧縮機構(30)の下部に設けられた支持軸受部(27)に回転自在に支持されて該圧縮機構(30)において流体が圧縮されるように該圧縮機構(30)を回転駆動する駆動軸(23)とを備え、上記駆動軸(23)の内部に、該駆動軸(23)の回転に伴って生じるポンプ作用により、上記油溜まり部(17)の潤滑油を上記駆動軸(23)と上記支持軸受部(27)を含む複数の軸受部(38,27,28)との摺動面へ導く給油通路(71)が形成された圧縮機であって、上記圧縮機構(30)には、上記複数の軸受部(38,27,28)のうちの上記支持軸受部(27)を含む該圧縮機構(30)の軸受部(38,27)と上記駆動軸(23)との摺動面に供給されて該摺動面を潤滑した後の潤滑油を貯留する油溜室(81)が形成され、上記駆動軸(23)の一部であって上記支持軸受部(27)に支持される支持軸部(26)には、下端が上記油溜室(81)に連通し、上記支持軸部(26)の外周面において該下端が上端よりも上記駆動軸(23)の回転方向において前側に位置するように上記駆動軸(23)の軸心に対して傾斜した傾斜溝(82)と、上記傾斜溝(82)と上記給油通路(71)とを連通させる連通路(83)とが形成されている。
第1の発明では、駆動軸(23)が回転すると、圧縮機構(30)において流体が圧縮される。一方、駆動軸(23)の内部では、該駆動軸(23)の回転に伴って生じるポンプ作用により、油溜まり部(17)の潤滑油が給油通路(71)を介して駆動軸(23)と支持軸受部(27)を含む複数の軸受部(38,27,28)との摺動面へ導かれ、該各摺動面が潤滑される。圧縮機構(30)の支持軸受部(27)によって回転支持される駆動軸(23)の支持軸部(26)では、給油通路(71)を流れる潤滑油の一部が、連通路(83)を介して支持軸部(26)の外周面に形成された傾斜溝(82)に流入する。傾斜溝(82)に流入した潤滑油は、該傾斜溝(82)から支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に溢れ出ることによって、該摺動面を潤滑する。このように、ケーシング(11)内の底部の油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留された通常運転時には、駆動軸(23)の回転に伴って生じるポンプ作用によって給油通路(71)を介して駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面に潤滑油が供給される。また、複数の軸受部(38,27,28)のうち、支持軸受部(27)を含む圧縮機構(30)の軸受部(38,27)と駆動軸(23)との摺動面に供給されて該摺動面を潤滑した後の潤滑油は、圧縮機構(30)に形成された油溜室(81)に貯留される。
一方、上述したように、冷凍装置の運転条件によって、一時的に油溜まり部(17)の潤滑油が不足する場合がある。油溜まり部(17)の潤滑油が不足して油面が給油通路の下端よりも下回ると、駆動軸(23)が回転しても給油通路(71)に潤滑油が汲み上げられなくなり、給油通路(71)を介して駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面に潤滑油を供給できなくなる。このような油切れ時には、支持軸部(26)の外周面に形成された傾斜溝(82)によって生じる粘性ポンプ作用により、通常運転時に油溜室(81)に貯留された潤滑油が、駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面に供給される。
具体的には、支持軸部(26)の外周面に形成された傾斜溝(82)は、油溜室(81)に連通する下端が上端よりも駆動軸(23)の回転方向の前側に位置するように形成されている。このような傾斜溝(82)では、駆動軸(23)が回転すると、内部に存在する粘性を有する潤滑油が、回転方向の前側の下端から後側の上端へ向かって搬送される粘性ポンプ作用が生じる。この粘性ポンプ作用により、油溜室(81)の潤滑油が傾斜溝(82)に引き込まれ、該傾斜溝(82)内において該下端から上端へ流れる。このとき、傾斜溝(82)を流れる潤滑油の一部は、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に溢れ、該摺動面を潤滑する。
つまり、油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留された通常運転時には、該油溜まり部(17)の潤滑油が、駆動軸(23)の回転に伴って生じるポンプ作用によって給油通路(71)を介して支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に供給され、該摺動面が潤滑される。一方、油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留されていない油切れ時には、油溜室(81)に貯留された潤滑油が、傾斜溝(82)において生じる粘性ポンプ作用により、傾斜溝(82)に供給され、該傾斜溝(82)から支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に溢れ出て、該摺動面が潤滑される。
また、油切れ時には、給油通路(71)に潤滑油を汲み上げることができなくなるため、潤滑油が給油通路(71)から連通路(83)を介して支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面へ流出しなくなる。そのため、粘性ポンプ作用により、傾斜溝(82)の下端から上端へ向かって搬送される潤滑油の一部が、その押圧力によって連通路(83)を介して給油通路(71)に押し込まれる。このように粘性ポンプ作用によって連通路(83)を介して給油通路(71)へ潤滑油が押し込まれることにより、給油通路(71)の潤滑油が、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面以外の駆動軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面に溢れ出て、該摺動面が潤滑される。
第2の発明は、第1の発明において、上記支持軸部(26)の外周面における下端寄りの位置には、周方向に延びる環状溝(84)が形成され、上記支持軸受部(27)には、上記環状溝(84)と上記油溜室(81)とを連通する軸受連通路(85)が形成され、上記傾斜溝(82)は、上記下端が上記環状溝(84)に繋がっている。
第2の発明では、油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留された通常運転時には、該油溜まり部(17)の潤滑油が、駆動軸(23)の回転に伴って生じるポンプ作用によって給油通路(71)を介して支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に供給され、該摺動面が潤滑される。該摺動面を潤滑した潤滑油は、荷重を支えるための油膜圧力によって押し出される。上記摺動面の下端から押し出された潤滑油は、支持軸部(26)の下端寄りの位置に形成された環状溝(84)に回収される。環状溝(84)に回収された潤滑油は、軸受連通路(85)を介して油溜室(81)に貯留される。つまり、通常運転時には、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に供給された潤滑油が、環状溝(84)及び軸受連通路(85)を介して油溜室(81)に貯留される。一方、油切れ時には、油溜室(81)に貯留された潤滑油が、傾斜溝(82)において生じる粘性ポンプ作用により、軸受連通路(85)及び環状溝(84)を介して傾斜溝(82)に引き込まれ、該傾斜溝(82)から支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に溢れ出て、該摺動面が潤滑される。また、粘性ポンプ作用によって、傾斜溝(82)を流れる潤滑油の一部は、連通路(83)を介して給油通路(71)に押し込まれ、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面以外の駆動軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面に供給される。
第3の発明は、第2の発明において、上記連通路(83)は、上記傾斜溝(82)と上記給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)によって形成されている。
第3の発明では、通常運転時に、給油通路(71)を流れる潤滑油の一部は、該給油通路(71)と傾斜溝(82)とを繋ぐ貫通孔(71c)を通過して傾斜溝(82)に流入する。
第4の発明は、第2の発明において、上記連通路(83)は、上記支持軸部(26)の外周面において上記傾斜溝(82)の一部分から上記駆動軸(23)の回転方向の後側へ延びる横溝(86)と、該横溝(86)と上記給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)とによって形成されている。
第4の発明では、油切れ時に、油溜室(81)から傾斜溝(82)に流入した潤滑油の一部が、傾斜溝(82)の一部分から駆動軸(23)の回転方向の後側に延びる横溝(86)に流入する。このような横溝(86)に流入した潤滑油の圧力は、駆動軸(23)の回転により、傾斜溝(82)を流れる潤滑油の圧力よりも高くなる。その結果、横溝(86)に流入した潤滑油は、貫通孔(71c)を介して給油通路(71)に押し込まれ、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面以外の駆動軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面に供給される。
第5の発明は、第3又は第4の発明において、上記給油通路(71)は、上記駆動軸(23)の回転軸(O)からずれた位置に形成され、上記貫通孔(71c)は、水平断面内において、上記駆動軸(23)の回転軸(O)と上記給油通路(71)の中心(C)とを結ぶ直線(L)に直交する方向に延び、上記支持軸部(26)の外周面において、上記直線(L)よりも上記駆動軸(23)の回転方向の前側において開口するように形成されている。
第5の発明では、油切れ時に、粘性ポンプ作用によって潤滑油が傾斜溝(82)から貫通孔(71c)を介して給油通路(71)へ流入する際に、貫通孔(71c)を流れる潤滑油には、遠心力と逆側向きのコリオリの力が作用する。このコリオリの力と粘性ポンプ作用により、潤滑油は、遠心力に抗して給油通路(71)へ押し込まれることとなる。
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか一つの発明において、上記圧縮機構(30)は、固定スクロール(40)と、該固定スクロール(40)の下方に設けられた可動スクロール(35)と、該可動スクロール(35)の下方に設けられた上記支持軸受部(27)を有するハウジング(50)とを備えたスクロール型の圧縮機構(30)によって構成され、上記ハウジング(50)には、上面の中央部分が下方に向かって凹む凹部により、上記支持軸受部(27)の上方に、上記可動スクロール(35)が連結される上記駆動軸(23)の偏心部(25)が収容されるクランク室(54)が形成され、上記クランク室(54)は、上記油溜室(81)の少なくとも一部を構成する。
第6の発明では、圧縮機構(30)がスクロール型の圧縮機構であるため、駆動軸(23)の偏心部(25)を潤滑した潤滑油は、ハウジング(50)の上部に形成されて該偏心部(25)を収容するクランク室(54)に貯留される。油切れ時には、このクランク室(54)に貯留された潤滑油が、粘性ポンプ作用によって支持軸部(26)の傾斜溝(82)に供給される。該傾斜溝(82)に供給された潤滑油は、一部が該傾斜溝(82)から溢れて支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面を潤滑し、残りは給油通路(71)に流入し、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面以外の駆動軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面に供給される。
第7の発明は、第6の発明において、上記ハウジング(50)には、上記クランク室(54)の外周側に、該クランク室(54)に連通して該クランク室(54)と共に上記油溜室(81)を構成する予備室(57)が形成されている。
第7の発明では、クランク室(54)の外周側に該クランク室(54)に連通する予備室(57)が形成されている。そのため、通常運転時に、駆動軸(23)の偏心部(25)を潤滑した後の潤滑油は、クランク室(54)と予備室(57)とに貯留される。
第1の発明によれば、給油通路(71)を流れる潤滑油の一部を貯留する油溜室(81)を圧縮機構(30)に形成すると共に、支持軸部(26)の外周面に、油溜室(81)に連通する下端が上端よりも駆動軸(23)の回転方向において前側に位置する傾斜溝(82)を形成することとした。そのため、油溜まり部(17)の潤滑油が不足した際に、駆動軸(23)の回転によって傾斜溝(82)において生じる粘性ポンプ作用により、油溜室(81)から傾斜溝(82)に引き込んだ潤滑油の一部を支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面を潤滑することができる。また、粘性ポンプ作用による押圧力によって傾斜溝(82)を流れる潤滑油を給油通路(71)に押し込むことにより、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面以外の駆動軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面にも潤滑油を供給することができる。
このように、一時的に油溜まり部(17)の潤滑油が不足したとしても、粘性ポンプ作用を利用してしばらくの間、少量ではあるが、駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面に潤滑油を供給することができる。この少量の潤滑油により、駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面に境界膜を作ることができるため、焼き付きを防止することができる。
また、第2の発明によれば、支持軸部(26)の外周面に環状溝(84)を形成する一方、支持軸受部(27)に軸受連通路(85)を形成し、通常運転時と油切れ時とで、傾斜溝(82)と油溜室(81)との間において潤滑油が逆方向に流れるように構成している。このような構成により、別個の通路を形成することなく、同じ通路を用いて、通常運転時には、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面を潤滑した潤滑油を油溜室(81)に貯留する一方、油切れ時には、油溜室(81)から支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に潤滑油を供給することができる。
また、第3の発明によれば、傾斜溝(82)と給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)を形成するだけで、連通路(83)を容易に形成することができる。
また、第4の発明では、連通路(83)を、傾斜溝(82)の一部分から駆動軸(23)の回転方向の後側へ延びる横溝(86)と、該横溝(86)と給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)とによって形成している。そのため、油切れ時に、油溜室(81)から傾斜溝(82)に流入した潤滑油の一部は、横溝(86)に流入する。ここで、横溝(86)に流入した潤滑油の圧力は、駆動軸(23)の回転により、傾斜溝(82)を流れる潤滑油の圧力よりも高くなる。その結果、横溝(86)に流入した潤滑油は、貫通孔(71c)を介して給油通路(71)に押し込まれることとなる。このような構成によれば、支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面に潤滑油を供給するだけでなく、駆動軸(23)とその他の軸受部(38,28)との摺動面への潤滑油の供給を促進することができる。
また、第5の発明によれば、貫通孔(71c)を、水平断面内において、駆動軸(23)の回転軸(O)と給油通路(71)の中心(C)とを結ぶ直線(L)に直交する方向に延び、支持軸部(26)の外周面において、駆動軸(23)の回転軸(O)と給油通路(71)の中心(C)とを結ぶ直線(L)よりも駆動軸(23)の回転方向の前側において開口するように形成することとした。これにより、油切れ時に、粘性ポンプ作用によって傾斜溝(82)から貫通孔(71c)を介して給油通路(71)へ流れる潤滑油には、遠心力と逆向きのコリオリの力が作用することとなる。このように、貫通孔(71c)を流れる潤滑油に、遠心力と逆向きのコリオリの力が作用するように貫通孔(71c)を形成することにより、油切れ時に、粘性ポンプ作用によって傾斜溝(82)の潤滑油が貫通孔(71c)を介して給油通路(71)へ押し込まれ易くなる。そのため、油切れ時における給油通路(71)から支持軸部(26)と支持軸受部(27)との摺動面以外の駆動軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面への潤滑油の供給を促進することができる。
また、第6の発明によれば、通常運転時に、駆動軸(23)の偏心部(25)を潤滑した潤滑油が溜まるクランク室(54)を、油切れ時に駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面へ供給する潤滑油を貯留する油溜室(81)として用いることとした。よって、容易に油溜室(81)を形成することができる。
また、第7の発明によれば、油溜室(81)をクランク室(54)と予備室(57)とで構成することにより、通常運転時に、比較的多量の潤滑油を蓄えておくことができる。よって、油切れ時に、粘性ポンプ作用を利用した駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面への給油を長く続けることができる。従って、駆動軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面の焼き付きをより防止することができる。
図1は、実施形態1のスクロール圧縮機の縦断面図である。 図2は、図1の部分拡大図であり、通常運転時の潤滑油の流れを示すものである。 図3は、軸受ハウジング部分を示す斜視図である。 図4は、軸受ハウジングの平面断面図である。 図5は、軸受ハウジング部分を一部断面にして示す斜視図であり、通常運転時の潤滑油の流れを示すものである。 図6は、油溜まり部の油が不足したときの油の流れを示す図2相当図である。 図7は、油溜まり部の油が不足したときの油の流れを示す図5相当図である。 図8(A)は、実施形態2のスクロール圧縮機のクランク軸における偏心部及び支持軸部を示す正面図であり、図8(B)は、図8(A)のVIIIb−VIIIb線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る回転式圧縮機の一例として、スクロール圧縮機について説明する。
《発明の実施形態1》
図1に示すように、スクロール圧縮機(10)は、ケーシング(11)と、回転式の圧縮機構(30)と、該圧縮機構(30)を回転駆動する駆動機構(20)とを備えている。スクロール圧縮機(10)は、例えば、図示しない空気調和装置等の冷凍装置において、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されている。
〈ケーシング〉
ケーシング(11)は、両端が閉塞された縦長円筒状の密閉容器で構成されている。具体的には、ケーシング(11)は、円筒状の胴部(12)と、該胴部(12)の上端を閉塞する上部鏡板(13)と、上記胴部(12)の下端を閉塞する下部鏡板(14)とを備えている。
ケーシング(11)の内部空間は、ケーシング(11)の内周面に接合された圧縮機構(30)の軸受ハウジング(50)によって上下に区画されている。具体的には、軸受ハウジング(50)よりも上側の空間が上部空間部(15)を構成し、軸受ハウジング(50)よりも下側の空間が下部空間部(16)を構成する。この軸受ハウジング(50)の構成について、詳しくは後述する。
ケーシング(11)の底部(下部鏡板(14)によって区画される部分)には、スクロール圧縮機(10)の後述する各摺動面(クランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との摺動面)を潤滑するための潤滑油が貯留され、ケーシング(11)の底部は油溜まり部(17)となっている。
ケーシング(11)には、吸入管(18)及び吐出管(19)が取り付けられている。吸入管(18)は、上下方向に延び、下端部が、ケーシング(11)の外部において吸入管継手(47)の上端部に接続されている。吸入管継手(47)は、ケーシング(11)の上部鏡板(13)を貫通し、下端部が圧縮機構(30)に挿入されている。吐出管(19)は、ケーシング(11)の胴部(12)を貫通している。吐出管(19)の内端部は、ケーシング(11)の下部空間部(16)に開口している。
〈駆動機構〉
駆動機構(20)は、モータ(21)と、クランク軸(駆動軸)(23)とを備えている。
モータ(21)は、ケーシング(11)の下部空間部(16)に収容されている。モータ(21)は、円筒状に形成されたステータ(21a)とロータ(21b)とを備えている。ステータ(21a)は、ケーシング(11)の内周面に固定されている。ロータ(21b)は、ステータ(21a)の中空部に配置されている。
クランク軸(23)は、ロータ(21b)の中空部に、ロータ(21b)を貫通するように嵌め込まれて固定されている。ロータ(21b)とクランク軸(23)は、一体で回転する。
クランク軸(23)は、上下方向に延びる主軸部(24)と、該主軸部(24)の上側に設けられた偏心部(25)とを有し、それらが一体的に形成されている。偏心部(25)は、主軸部(24)の最大径よりも小径であり、軸心が主軸部(24)の軸心に対して所定距離だけ偏心している。
クランク軸(23)は、モータ(21)の上方に設けられた圧縮機構(30)の一部である上部軸受部(支持軸受部)(27)と、モータ(21)の下方に設けられた下部軸受部(28)とに回転自在に支持されている。具体的には、主軸部(24)の上端部分(支持軸部)(26)が上部軸受部(27)に回転自在に支持され、主軸部(24)の下端部分(下部軸部)(22)が下部軸受部(28)に回転自在に支持されている。上部軸受部(27)の詳細については後述する。
上部軸受部(27)は、軸受ハウジング(50)のボス部を構成する下側部分(53)と、該下側部分(53)に内嵌された円筒形状の金属板からなる上部軸受(62)とによって構成されている。一方、下部軸受部(28)は、円筒形状のボス部と、該ボス部から径方向外側に延びてケーシング(11)の胴部(12)に固定された複数の支持脚と、ボス部に内嵌された円筒形状の金属板からなる下部軸受(63)とによって構成されている。下部軸受(63)は、主軸部(24)の下部軸部(22)を回転自在に支持している。
〈圧縮機構〉
圧縮機構(30)は、可動スクロール(35)と、固定スクロール(40)と、軸受ハウジング(50)とを備えた、所謂スクロール型の圧縮機構である。軸受ハウジング(50)と固定スクロール(40)とはボルトで締結されている。可動スクロール(35)は、軸受ハウジング(50)と固定スクロール(40)との間に収容されている。
−可動スクロール−
可動スクロール(35)は、略円板状の可動側鏡板部(36)を有している。この可動側鏡板部(36)の上面に可動側ラップ(37)が立設している。この可動側ラップ(37)は、可動側鏡板部(36)の中心付近から径方向外方へ渦巻き状に延びる壁体である。また、可動側鏡板部(36)の下面にピン軸受部(38)が突設されている。可動側鏡板部(36)と上記軸受ハウジング(50)との間には、上記可動スクロール(35)の自転を阻止するオルダム継手(39)が配設されている。
−固定スクロール−
固定スクロール(40)は、略円板状の固定側鏡板部(41)を有している。この固定側鏡板部(41)の下面に固定側ラップ(42)が立設している。この固定側ラップ(42)は、固定側鏡板部(41)の中心付近から径方向外方へ渦巻き状に延び、且つ可動スクロール(35)の可動側ラップ(37)と噛み合うように形成された壁体である。この固定側ラップ(42)と可動側ラップ(37)との間に圧縮室(31)が形成されている。
固定スクロール(40)は、固定側ラップ(42)の最外周壁から径方向外方へ連続する外縁部(43)を有している。この外縁部(43)の下端面が軸受ハウジング(50)の上端面に固定される。また、この外縁部(43)には、上方へ開口する開口部(44)が形成されている。そして、この開口部(44)の内部と圧縮室(31)の最外周端とを連通する吸入ポート(34)が外縁部(43)に形成されている。この吸入ポート(34)は、圧縮室(31)の吸入位置に開口している。なお、この外縁部(43)の開口部(44)には、上述した吸入管継手(47)が接続されている。
また、固定スクロール(40)の固定側鏡板部(41)には、固定側ラップ(42)の中心付近に位置して上下方向へ貫通する吐出ポート(32)が形成されている。この吐出ポート(32)の下端は、圧縮室(31)の吐出位置に開口している。吐出ポート(32)の上端は、固定スクロール(40)の上部に区画された吐出室(46)に開口している。吐出ポート(32)には、吐出リード弁(45)が取り付けられている。また、図示しないが、この吐出室(46)は、ケーシング(11)の下部空間部(16)に連通している。
−軸受ハウジング−
軸受ハウジング(50)は、図1及び図2に示すように、中空部を有する筒状に形成されている。軸受ハウジング(50)の中空部は、軸受ハウジング(50)の上面の中央部分が下方に向かって凹む凹部によって形成されている。また、軸受ハウジング(50)は、中空部の下方の略円筒形状の下側部分(53)に対して中空部を取り巻く略円筒形状の上側部分(52)が大径になるように形成されている。上側部分(52)は、ケーシング(11)の胴部(12)の内周面に固定されている。下側部分(53)には、円筒形状の金属板からなる上部軸受(62)が内嵌され、該上部軸受(62)にクランク軸(23)が挿入されている。つまり、上述した上部軸受部(27)は、軸受ハウジング(50)の下側部分(53)と、該下側部分(53)に内嵌された上部軸受(62)とによって構成されている。なお、下側部分(53)の上部には、支持軸部(26)を取り巻く弾性軸受を形成するための円環状の弾性溝(29)が形成されている。
軸受ハウジング(50)の上面と可動スクロール(35)の背面との間には、環状のシール部材(55)が嵌合されている。軸受ハウジング(50)の中空部は、可動スクロール(35)の可動側鏡板部(36)の背面(下面)と環状のシール部材(55)とによって仕切られ、クランク室(54)を構成している。
クランク室(54)は、可動スクロール(35)の背面に面している。クランク室(54)には、可動スクロール(35)のピン軸受部(38)が位置している。ピン軸受部(38)は、可動側鏡板部(36)の下面に突設された円筒部と、該円筒部の内周面に装着された円筒形状の金属板からなるピン軸受(61)とを有している。ピン軸受(61)には、クランク軸(23)の上端に形成された上記偏心部(25)が挿入されている。このように、軸受ハウジング(50)には、上面の中央部分が下方に向かって凹む凹部(中空部)により、上部軸受部(27)の上方に、クランク軸(23)の偏心部(25)を収容するクランク室(54)が形成されている。
また、軸受ハウジング(50)には、クランク室(54)に連通する排油通路(56)が形成されている。排油通路(56)の上流端は、クランク室(54)の底面から所定高さだけ高い位置においてクランク室(54)の内壁面に開口している。一方、排油通路(56)の下流端は、軸受ハウジング(50)の外周部寄りの位置で下部空間部(16)に連通するように下向きに開口している。
以上のような構成により、スクロール圧縮機(10)では、クランク軸(23)の回転駆動に伴って可動スクロール(35)が公転運動する。
〈給油機構〉
スクロール圧縮機(10)には、主給油機構(70)と補助給油機構(80)とが設けられている。主給油機構(70)は、油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留されている通常運転時に、油溜まり部(17)の潤滑油をクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面(偏心部(25)とピン軸受部(38)との摺動面、支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面、下部軸部(22)と下部軸受部(28)との摺動面)に供給するためのものである。一方、補助給油機構(80)は、油溜まり部(17)の潤滑油が不足した場合に、主給油機構(70)を補助して油溜まり部(17)の潤滑油をクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面に供給するためのものである。
《主給油機構》
主給油機構(70)は、クランク軸(23)の内部において上下方向に延び、クランク軸(23)の回転に伴って生じる遠心ポンプ作用によって、油溜まり部(17)の潤滑油をクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面へ導く給油通路(71)と、クランク軸(23)の下端部に形成された挿通孔(72)と、該挿通孔(72)に挿入された給油ノズル(73)とを有している。
給油通路(71)は、本体通路(71a)と、第1〜第3分岐通路(71b〜71d)とを有している。本体通路(71a)は、クランク軸(23)の軸心からずれた位置において、クランク軸(23)の上端から下端部の挿通孔(72)まで上下方向に延びる通路である。第1分岐通路(71b)は、本体通路(71a)から下部軸受(63)に向かって水平方向に分岐する通路である。第2分岐通路(71c)は、本体通路(71a)から上部軸受(62)に向かって水平方向に分岐する通路である。第3分岐通路(71d)は、本体通路(71a)からピン軸受(61)に向かって水平方向に分岐する通路である。
挿通孔(72)は、クランク軸(23)の軸心と同心状に形成された略円柱形状の孔である。挿通孔(72)は、本体通路(71a)よりも大径に形成されている。挿通孔(72)の上端の外周部分に本体通路(71a)の下端が開口している。
給油ノズル(73)は、円筒部材によって構成され、上端部が挿通孔(72)に挿入されている。また、給油ノズル(73)は、下端が油溜まり部(17)の下部(碗形状の下部鏡板(14)の内部の下部)において開口するように設けられている。
このような構成により、給油通路(71)では、油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留されている通常運転時には、クランク軸(23)の回転によって遠心ポンプ作用が生じ、油溜まり部(17)の潤滑油が給油通路(71)に汲み上げられてクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面へ供給される。主給油機構(70)による詳細な給油動作については後述する。
《補助給油機構》
図2に示すように、補助給油機構(80)は、油溜室(81)と、傾斜溝(82)と、連通路(83)と、リング溝(84)と、軸受連通路(85)とを有している。油溜室(81)と軸受連通路(85)とは、上部軸受部(27)に形成され、傾斜溝(82)と連通路(83)とリング溝(84)とは、上部軸受部(27)に回転自在に支持されるクランク軸(23)の支持軸部(26)に形成されている。
油溜室(81)は、主給油機構(70)によって、油溜まり部(17)からクランク軸(23)と圧縮機構(30)の各軸受部(ピン軸受部(38)及び上部軸受部(27))との各摺動面に供給され、これらの摺動面を潤滑した後の潤滑油を貯留する空間であり、本実施形態では、クランク室(54)と予備室(57)とによって構成されている。上述したように、クランク室(54)は、軸受ハウジング(50)の上面の凹部(中空部)によって、上部軸受部(27)の上方に形成されている。一方、予備室(57)は、クランク室(54)の外周側に、該クランク室(54)に連通するように形成されている。具体的には、図3,4に示すように、軸受ハウジング(50)の上側部分(52)には、クランク室(54)から径方向外側に向かって上側部分(52)を径方向に貫く孔が放射状に8つ形成されている。このような軸受ハウジング(50)をケーシング(11)の胴部(12)に嵌合固定することにより、8つの孔の外面が閉塞され、8つのクランク室(54)に連通する空間が区画される。この空間がクランク室(54)と共に、クランク軸(23)と圧縮機構(30)の各軸受部(38,27)との各摺動面を潤滑した後の潤滑油を貯留する予備室(57)を構成する。
傾斜溝(82)は、上部軸受部(27)によって回転自在に支持されるクランク軸(23)の支持軸部(26)の外周面に形成され、クランク軸(23)の軸心に対して傾斜している。傾斜溝(82)は、下端が油溜室(81)に連通するように形成されている。本実施形態では、傾斜溝(82)の下端は、後述するリング溝(84)及び軸受連通路(85)を介して油溜室(81)を構成するクランク室(54)と連通している。一方、傾斜溝(82)の上端は、支持軸部(26)の上端部であって上端よりも下側に位置している。そのため、傾斜溝(82)の上端は、支持軸部(26)の上端が面するクランク室(54)には連通しない。また、傾斜溝(82)は、下端が上端よりもクランク軸(23)の回転方向の前側に位置するようにクランク軸(23)の軸心に対して傾斜している。
連通路(83)は、傾斜溝(82)と給油通路(71)とを連通させるものであり、本実施形態では、クランク軸(23)の支持軸部(26)に形成された第2分岐通路(71c)によって構成されている。第2分岐通路(71c)は、給油通路(71)の本体通路(71a)から傾斜溝(82)に向かって水平方向に延びる貫通孔によって形成されている。第2分岐通路(71c)は、水平断面内において、クランク軸(23)の支持軸部(26)の径方向に対して傾斜した方向に延びている。つまり、第2分岐通路(71c)は、水平断面内において、クランク軸(23)の軸心を通らない方向に延びている。
リング溝(84)は、クランク軸(23)の支持軸部(26)の外周面に形成され、支持軸部(26)の下端部において周方向に環状に延びている。リング溝(84)は、支持軸部(26)と上部軸受(62)との摺動面に供給されて該摺動面を潤滑した後、荷重を支えるための油膜圧力によって押し出されて流下する潤滑油を回収するような深さ及び形状に形成されている。
軸受連通路(85)は、上部軸受部(27)に形成され、リング溝(84)と油溜室(81)とを連通させるものである。具体的には、軸受連通路(85)は、軸受ハウジング(50)の下側部分(53)と上部軸受(62)との間において上下方向に延びる縦通路(85a)と、上部軸受(62)に形成された横孔(85b)とによって構成されている。縦通路(85a)は、軸受ハウジング(50)の下側部分(53)の内周面に、リング溝(84)と同じ高さ位置から上端まで(クランク室(54)まで)上下方向に延びる縦溝を形成し、該縦溝を軸受ハウジング(50)の下側部分(53)の内周面に内嵌される上部軸受(62)によって閉塞することによって形成されている。横孔(85b)は、上部軸受(62)に形成されたリング溝(84)と縦通路(85a)の下端とを径方向に繋ぐ貫通孔である。このような構成により、軸受連通路(85)は、リング溝(84)と油溜室(81)のクランク室(54)とを連通させている。
このような構成により、補助給油機構(80)は、油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留されている通常運転時には、クランク軸(23)の支持軸部(26)と上部軸受部(27)のクランク軸(23)と上部軸受(62)との摺動面を潤滑した後の潤滑油をクランク室(54)に導く。一方、補助給油機構(80)は、油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留されていない油切れ時には、粘性ポンプ作用を利用して、油溜室(81)の潤滑油を上部軸受(62)と主軸部(24)との摺動面に供給すると共に、油溜室(81)の潤滑油を給油通路(71)に押し込むことによって、クランク軸(23)と他の軸受部(38,28)との摺動面に供給する。補助給油機構(80)による詳細な給油動作については後述する。
−運転動作−
スクロール圧縮機(10)の運転動作について説明する。
〈冷媒を圧縮する動作〉
図1に示すように、スクロール圧縮機(10)のモータ(21)へ通電されると、ロータ(21b)とともにクランク軸(23)が回転し、可動スクロール(35)が公転運動する。この可動スクロール(35)の公転運動に伴って、圧縮室(31)の容積が周期的に増減を繰り返す。
具体的には、クランク軸(23)が回転すると、吸入ポート(34)から圧縮室(31)へ冷媒が吸入される。そして、クランク軸(23)の回転に伴い、圧縮室(31)が閉じ切られる。さらに、クランク軸(23)の回転が進むことで、圧縮室(31)の容積が縮小し始め、圧縮室(31)における冷媒の圧縮が開始される。
その後、圧縮室(31)の容積がさらに縮小し、この圧縮室(31)の容積が所定容積まで縮小したときに、吐出ポート(32)が開く。この吐出ポート(32)を通じて、圧縮室(31)で圧縮された冷媒が固定スクロール(40)の吐出室(46)へ吐出される。この吐出室(46)の冷媒は、ケーシング(11)の下部空間部(16)を介して吐出管(19)から吐出される。なお、下部空間部(16)は、排油通路(56)を介してクランク室(54)と連通している。そのため、クランク室(54)は、吐出冷媒の圧力雰囲気となり、このクランク室(54)の圧力によって、可動スクロール(35)が固定スクロール(40)へ押し付けられる。
〈給油動作〉
次に、スクロール圧縮機(10)の給油動作について説明する。
《通常運転時》
ケーシング(11)内の底部の油溜まり部(17)に潤滑油が十分に貯留された通常運転時には、主給油機構(70)によって、油溜まり部(17)の潤滑油がクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面及び圧縮機構(30)の可動スクロール(35)及び固定スクロール(40)のスラスト摺動面に供給される。
具体的には、図2及び図5に示すように、圧縮機構(30)が起動してクランク軸(23)が回転すると、遠心ポンプ作用によって油溜まり部(17)の潤滑油が給油ノズル(73)に吸い込まれ、挿通孔(72)を介して給油通路(71)の本体通路(71a)に吸い上げられる。本体通路(71a)に汲み上げられた潤滑油は、遠心ポンプ作用による圧力によって上方に押し上げられ、本体通路(71a)に繋がる第1〜第3分岐通路(71b〜71d)から押し出されて、クランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面(偏心部(25)とピン軸受部(38)との摺動面、支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面、下部軸部(22)と下部軸受部(28)との摺動面)へ供給される。
本体通路(71a)から第1分岐通路(71b)に流入した潤滑油は、該第1分岐通路(71b)から下部軸受(63)と下部軸部(22)との摺動面に押し出されて該摺動面を潤滑する。本体通路(71a)から第2分岐通路(71c)に流入した潤滑油は、該第2分岐通路(71c)から上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面に押し出されて該摺動面を潤滑する。本体通路(71a)から第3分岐通路(71d)に流入した潤滑油は、該第3分岐通路(71d)からピン軸受(61)と偏心部(25)の摺動面に押し出されて該摺動面を潤滑する。
また、図示は省略するが、可動スクロール(35)には、給油通路(71)の上端が開口するクランク軸(23)の上端面と可動スクロール(35)の下端面とによって形成される隙間空間と、可動スクロール(35)及び固定スクロール(40)のスラスト摺動面とを連通する連通路が形成されている。上記隙間空間には、給油通路(71)を流れる潤滑油が溢れるため、隙間空間は潤滑油と等しい高圧圧力雰囲気となる。一方、可動スクロール(35)及び固定スクロール(40)のスラスト摺動面は、両スクロール(35,40)の外周部に位置しており、低圧圧力雰囲気である。そのため、連通路の両端の圧力差により、給油通路(71)から上記隙間空間に溢れた潤滑油が、可動スクロール(35)及び固定スクロール(40)のスラスト摺動面に供給され、該スラスト摺動面を潤滑する。
ピン軸受部(38)のピン軸受(61)と偏心部(25)との摺動面を潤滑した潤滑油は、荷重を支えるための油膜圧力によって押し出されて、クランク室(54)に流入する。また、上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面を潤滑した潤滑油は、荷重を支えるための油膜圧力によって上方及び下方へ押し出される。上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面から上方に押し出された潤滑油は、直接クランク室(54)に流入する。一方、上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面から下方に押し出された潤滑油は、下方に向かって流れてリング溝(84)に回収され、軸受連通路(85)を介してクランク室(54)に流入する。このようにして、クランク室(54)及びクランク室(54)に連通する予備室(57)からなる油溜室(81)内に、ピン軸受部(38)のピン軸受(61)と偏心部(25)との摺動面及び上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面を潤滑した後の潤滑油が貯留される。
なお、油溜室(81)内の潤滑油の油面が排油通路(56)の開口位置に達すると、クランク室(54)内の潤滑油が排油通路(56)を通って軸受ハウジング(50)外部に排出され、油溜まり部(17)に回収される。
また、下部軸受部(28)の下部軸受(63)と下部軸部(22)との摺動面を潤滑した潤滑油は、荷重を支えるための油膜圧力によって押し出されて流下し、油溜まり部(17)に回収される。
このようにしてクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面及び圧縮機構(30)の可動スクロール(35)及び固定スクロール(40)のスラスト摺動面に供給された後の潤滑油は、一部は油溜室(81)に貯留され、残りは油溜まり部(17)に回収される。
−油切れ時の給油動作−
次に、ケーシング(11)の外部へ吐出される潤滑油量が、ケーシング(11)の内部に戻る潤滑油量よりも多くなり、油溜まり部(17)の油面が給油ノズル(73)の下端よりも低下した油切れ時のスクロール圧縮機(10)の給油動作について説明する。
油溜まり部(17)の油面が給油ノズル(73)の下端よりも低下すると、図6及び図7に示すように、主給油機構(70)によって給油通路(71)に油溜まり部(17)の潤滑油を吸い上げることができなくなる。そのため、本体通路(71a)の潤滑油が第2分岐通路(71c)を介して上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面へ流出しなくなる。上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面へ潤滑油が供給されなくなると、リング溝(84)に至る潤滑油が無くなり、リング溝(84)から軸受連通路(85)へ潤滑油が流入しなくなる。このような状態では、油溜室(81)に貯留された潤滑油が、重力によって、クランク室(54)の底部に繋がる軸受連通路(85)を流下してリング溝(84)に至る。
リング溝(84)には、クランク軸(23)の軸心に対して傾斜する傾斜溝(82)の下端が繋がっている。傾斜溝(82)は、下端が上端よりもクランク軸(23)の回転方向の前側に位置するように形成されている。このような傾斜溝(82)では、クランク軸(23)が回転すると、内部に存在する粘性を有する潤滑油が、回転方向の前側の下端から後側の上端へ向かって搬送される粘性ポンプ作用が生じる。この粘性ポンプ作用により、リング溝(84)の潤滑油が傾斜溝(82)に引き込まれ、下端から上端へ向かって流れる。このとき、傾斜溝(82)を流れる潤滑油の一部が、上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面に溢れ、該摺動面を潤滑する。
また、油切れ時には、油溜まり部(17)の潤滑油が給油通路(71)に汲み上げられなくなるため、潤滑油が給油通路(71)から第2分岐通路(71c)を介して上部軸受(62)と支持軸部(26)との摺動面へ流出しなくなる。そのため、粘性ポンプ作用により、傾斜溝(82)の下端から上端へ向かって搬送される潤滑油の一部が、その押圧力によって第2分岐通路(71c)(連通路(83))から給油通路(71)に押し込まれる。このように粘性ポンプ作用によって第2分岐通路(71c)を介して給油通路(71)へ潤滑油が押し込まれることにより、給油通路(71)の潤滑油が、第1分岐通路(71b)及び第3分岐通路(71d)から溢れ出て、下部軸受(63)と下部軸部(22)との摺動面と、ピン軸受(61)と偏心部(25)との摺動面とに供給され、これらの摺動面を潤滑する。
以上のように、油切れ時であっても、粘性ポンプ作用を利用してしばらくの間、油溜室(81)に貯留された潤滑油が、クランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面に供給され、供給された潤滑油によって各摺動面に境界膜を作る。これにより、焼き付きが防止される。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、給油通路(71)を流れる潤滑油の一部を貯留する油溜室(81)を圧縮機構(30)に形成すると共に、支持軸部(26)の外周面に、油溜室(81)に連通する下端が上端よりもクランク軸(23)の回転方向において前側に位置する傾斜溝(82)を形成することとした。そのため、油溜まり部(17)の潤滑油が不足した際に、クランク軸(23)の回転によって傾斜溝(82)において生じる粘性ポンプ作用により、油溜室(81)から傾斜溝(82)に引き込んだ潤滑油の一部を支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面を潤滑することができる。また、粘性ポンプ作用による押圧力によって傾斜溝(82)を流れる潤滑油を給油通路(71)に押し込むことにより、支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面以外のクランク軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面にも潤滑油を供給することができる。
このように、一時的に油溜まり部(17)の潤滑油が不足したとしても、粘性ポンプ作用を利用してしばらくの間、少量ではあるが、クランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面に潤滑油を供給することができる。この少量の潤滑油により、クランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面に境界膜を作ることができるため、焼き付きを防止することができる。
また、本実施形態1によれば、支持軸部(26)の外周面に環状のリング溝(84)を形成する一方、上部軸受部(27)に軸受連通路(85)を形成し、通常運転時と油切れ時とで、傾斜溝(82)と油溜室(81)との間において潤滑油が逆方向に流れるように構成している。このような構成により、別個の通路を形成することなく、同じ通路を用いて、通常運転時には、支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面を潤滑した潤滑油を油溜室(81)に貯留する一方、油切れ時には、油溜室(81)から支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面に潤滑油を供給することができる。
また、本実施形態1では、連通路(83)を、傾斜溝(82)と給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)によって形成することとした。そのため、傾斜溝(82)と給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)を形成するだけで、傾斜溝(82)と給油通路(71)とを連通させる連通路(83)を容易に形成することができる。
さらに、本実施形態1では、連通路(83)となる貫通孔(71c)を、給油通路(71)の一部である第2分岐通路(71c)によって構成している。そのため、別途、貫通孔を形成することなく、通常運転時に油溜まり部(17)の潤滑油をクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面へ導く給油通路(71)を利用して、油切れ時に傾斜溝(82)から給油通路(71)へ潤滑油を直接押し込むことができる。
また、本実施形態1によれば、連通路(83)を構成する貫通孔を、支持軸部(26)の径方向に対して傾斜した方向に延びるように形成することとした。そのため、油切れ時に、粘性ポンプ作用によって傾斜溝(82)から給油通路(71)へ流れる潤滑油に作用する遠心力による逆向きの力を小さくすることができる。よって、油切れ時における給油通路(71)から支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面以外のクランク軸(23)と軸受部(38,28)との摺動面、即ち、クランク軸(23)とピン軸受部(38)及び下部軸受部(28)との摺動面への潤滑油の供給を促進することができる。
また、本実施形態1によれば、通常運転時に、クランク軸(23)と圧縮機構(30)の各軸受部(38,27)との各摺動面を潤滑した潤滑油が溜まるクランク室(54)を、油切れ時に各摺動面へ供給する潤滑油を貯留する油溜室(81)として用いることとした。よって、容易に油溜室(81)を形成することができる。
さらに、本実施形態1によれば、油溜室(81)をクランク室(54)と予備室(57)とで構成することにより、通常運転時に、比較的多量の潤滑油を蓄えておくことができる。よって、油切れ時に、粘性ポンプ作用を利用したクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面への給油を長く続けることができる。従って、クランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面の焼き付きをより防止することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1のスクロール圧縮機(10)において、傾斜溝(82)と給油通路(71)とを連通させる連通路(83)の構成を変更したものである。
具体的には、図8(A)及び図8(B)に示すように、実施形態2では、連通路(83)は、支持軸部(26)の外周面に形成された横溝(86)と、第2分岐通路(71c)とによって構成されている。
横溝(86)は、支持軸部(26)の外周面において、傾斜溝(82)の一部分からクランク軸(23)の回転方向の後側へ略水平方向に延びるように形成されている。本実施形態2では、横溝(86)は、傾斜溝(82)の上下方向の中央よりもやや上端寄りの位置に形成されている。
第2分岐通路(71c)は、実施形態2では、給油通路(71)の本体通路(71a)から横溝(86)の終端(傾斜溝(82)から最も遠い端部)に向かって水平方向に延びる貫通孔によって形成されている。図8(B)に示すように、第2分岐通路(71c)は、水平断面内において、クランク軸(23)の軸心O(回転軸(O))と本体通路(71a)の中心(C)とを結ぶ直線(L)に直行する方向に延び、支持軸部(26)の外周面において、クランク軸(23)の軸心Oと本体通路(71a)の中心(C)とを結ぶ直線(L)よりもクランク軸(23)の回転方向の前側において開口するように形成されている。
本実施形態2によれば、連通路(83)を、傾斜溝(82)の一部分からクランク軸(23)の回転方向の後側へ延びる横溝(86)と、該横溝(86)と給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(第2分岐通路(71c))とによって形成している。そのため、油切れ時に、油溜室(81)から傾斜溝(82)に流入した潤滑油の一部は、横溝(86)に流入し、該横溝(86)に流入した潤滑油の圧力は、クランク軸(23)の回転により、傾斜溝(82)を流れる潤滑油の圧力よりも高くなる。その結果、横溝(86)に流入した潤滑油は、第2分岐通路(71c)(貫通孔)を介して給油通路(71)に押し込まれることとなる。このような構成によれば、支持軸部(26)と上部軸受部(27)との摺動面に潤滑油を供給するだけでなく、その他の摺動面(クランク軸(23)とピン軸受部(38)及び下部軸受部(28)との摺動面)への潤滑油の供給を促進することができる。
また、本実施形態2によれば、第2分岐通路(貫通孔)(71c)を、水平断面内において、クランク軸(23)の回転軸(O)と給油通路(71)の中心(C)とを結ぶ直線(L)に直交する方向に延び、支持軸部(26)の外周面において、クランク軸(23)の回転軸(O)と給油通路(71)の中心(C)とを結ぶ直線(L)よりもクランク軸(23)の回転方向の前側において開口するように形成することとした。これにより、油切れ時に、粘性ポンプ作用によって傾斜溝(82)から第2分岐通路(71c)を介して給油通路(71)へ流れる潤滑油には、遠心力と逆向きのコリオリの力が作用することとなる。このように、第2分岐通路(71c)を流れる潤滑油に、遠心力と逆向きのコリオリの力が作用するように第2分岐通路(71c)を形成することにより、油切れ時に、粘性ポンプ作用によって傾斜溝(82)の潤滑油が第2分岐通路(71c)を介して給油通路(71)へ押し込まれ易くなる。そのため、油切れ時における給油通路(71)から支持軸部(26)と軸受部(27)との摺動面以外の摺動面、即ち、クランク軸(23)とピン軸受部(38)及び下部軸受部(28)との摺動面への潤滑油の供給を促進することができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、油溜室(81)をクランク室(54)と8つの予備室(57)とによって構成していたが、油溜室(81)の構成はこれに限られない。予備室(57)の数は8つに限られず、また、予備室(57)を形成せず、クランク室(54)のみによって油溜室(81)を構成することとしてもよい。
上記各実施形態では、傾斜溝(82)の下端と油溜室(81)とをリング溝(84)と軸受連通路(85)とを介して連通させていたが、傾斜溝(82)の下端と油溜室(81)とを連通する構成はこれに限られない。
上記各実施形態では、傾斜溝(82)と給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔及び横溝(86)と給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔を、第2分岐通路(71c)によって構成していた。しかしながら、上記貫通孔は、第2分岐通路(71c)のとは別に形成することとしてもよい。また、個数は、1つに限られず、複数形成することとしてもよい。
また、上記各実施形態では、主給油機構(70)を、クランク軸(23)の回転に伴って給油通路(71)において生じる遠心ポンプ作用によって、油溜まり部(17)の潤滑油をクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面へ導くように構成していた。しかしながら、主給油機構(70)の構成はこれに限られない。給油通路(71)の下端部に容積ポンプを設け、クランク軸(23)の回転に伴って生じる容積ポンプによるポンプ作用によって、潤滑油をクランク軸(23)と各軸受部(38,27,28)との各摺動面へ導くようにしてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、回転式圧縮機について有用である。
10 スクロール圧縮機
11 ケーシング
17 油溜まり部
23 クランク軸(駆動軸)
25 偏心部
26 支持軸部
27 上部軸受部(支持軸受部)
30 圧縮機構
35 可動スクロール
40 固定スクロール
50 軸受ハウジング(ハウジング)
54 クランク室
57 予備室
71 給油通路
71c 第2分岐通路(貫通孔)
81 油溜室
82 傾斜溝
83 連通路
84 リング溝(環状溝)
85 軸受連通路
86 横溝

Claims (7)

  1. 底部が潤滑油を貯留する油溜まり部(17)となるケーシング(11)と、
    上記ケーシング(11)内に収容されて流体を圧縮する圧縮機構(30)と、
    上記ケーシング(11)内において上下方向に延び、上記圧縮機構(30)の下部に設けられた支持軸受部(27)に回転自在に支持されて該圧縮機構(30)において流体が圧縮されるように該圧縮機構(30)を回転駆動する駆動軸(23)とを備え、
    上記駆動軸(23)の内部に、該駆動軸(23)の回転に伴って生じるポンプ作用により、上記油溜まり部(17)の潤滑油を上記駆動軸(23)と上記支持軸受部(27)を含む複数の軸受部(38,27,28)との摺動面へ導く給油通路(71)が形成された圧縮機であって、
    上記圧縮機構(30)には、上記複数の軸受部(38,27,28)のうちの上記支持軸受部(27)を含む該圧縮機構(30)の軸受部(38,27)と上記駆動軸(23)との摺動面に供給されて該摺動面を潤滑した後の潤滑油を貯留する油溜室(81)が形成され、
    上記駆動軸(23)の一部であって上記支持軸受部(27)に支持される支持軸部(26)には、
    下端が上記油溜室(81)に連通し、上記支持軸部(26)の外周面において該下端が上端よりも上記駆動軸(23)の回転方向において前側に位置するように上記駆動軸(23)の軸心に対して傾斜した傾斜溝(82)と、
    上記傾斜溝(82)と上記給油通路(71)とを連通させる連通路(83)とが形成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記支持軸部(26)の外周面における下端寄りの位置には、周方向に延びる環状溝(84)が形成され、
    上記支持軸受部(27)には、上記環状溝(84)と上記油溜室(81)とを連通する軸受連通路(85)が形成され、
    上記傾斜溝(82)は、上記下端が上記環状溝(84)に繋がっている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  3. 請求項2において、
    上記連通路(83)は、上記傾斜溝(82)と上記給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)によって形成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  4. 請求項2において、
    上記連通路(83)は、上記支持軸部(26)の外周面において上記傾斜溝(82)の一部分から上記駆動軸(23)の回転方向の後側へ延びる横溝(86)と、該横溝(86)と上記給油通路(71)とを繋ぐ貫通孔(71c)とによって形成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  5. 請求項3又は4において、
    上記給油通路(71)は、上記駆動軸(23)の回転軸(O)からずれた位置に形成され、
    上記貫通孔(71c)は、水平断面内において、上記駆動軸(23)の回転軸(O)と上記給油通路(71)の中心(C)とを結ぶ直線(L)に直交する方向に延び、上記支持軸部(26)の外周面において、上記直線(L)よりも上記駆動軸(23)の回転方向の前側において開口するように形成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
    上記圧縮機構(30)は、固定スクロール(40)と、該固定スクロール(40)の下方に設けられた可動スクロール(35)と、該可動スクロール(35)の下方に設けられた上記支持軸受部(27)を有するハウジング(50)とを備えたスクロール型の圧縮機構(30)によって構成され、
    上記ハウジング(50)には、上面の中央部分が下方に向かって凹む凹部により、上記支持軸受部(27)の上方に、上記可動スクロール(35)が連結される上記駆動軸(23)の偏心部(25)が収容されるクランク室(54)が形成され、
    上記クランク室(54)は、上記油溜室(81)の少なくとも一部を構成する
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
  7. 請求項6において、
    上記ハウジング(50)には、上記クランク室(54)の外周側に、該クランク室(54)に連通して該クランク室(54)と共に上記油溜室(81)を構成する予備室(57)が形成されている
    ことを特徴とする回転式圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109236608A (zh) * 2018-10-08 2019-01-18 杭州钱江制冷压缩机集团有限公司 用于压缩机的曲轴结构
WO2020230294A1 (ja) * 2019-05-15 2020-11-19 三菱電機株式会社 ロータリ圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP7413136B2 (ja) 2020-04-23 2024-01-15 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 冷凍サイクル用圧縮機

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