JP2017024094A - ロボットシステムおよびケーブル - Google Patents

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武馬 山崎
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Abstract

【課題】ケーブルにおいて、伝導性ノイズの電流を小さくする。
【解決手段】複数の駆動部と、前記駆動部を駆動する電力をスイッチングで制御する制御部と、前記駆動部と前記制御部とを接続するケーブルと、を備え、前記ケーブルは、複数のパワー線と、複数のフレームグラウンド線と、シールドと、を有し、前記複数のパワー線と前記シールドとの間に第1介在物を有し、前記ケーブルの断面で見た場合、前記複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が前記複数のパワー線のそれぞれの中心よりも前記シールドに近い、ロボットシステムである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロボットシステムおよびケーブルに関する。
ロボットシステムでは、制御部とロボットとがケーブルを介して接続され、当該制御部が当該ケーブルを介して当該ロボットを制御する。当該ケーブルとして、例えば、モーター駆動用のケーブルが用いられる。
モーター駆動用のケーブルに関し、従前より開発が為されてきた(特許文献1〜2参照。)。
特開2005−267873号公報 国際公開第2008/041708号
モーター駆動用のケーブルは、パワー線と、フレームグラウンド(FG)の線を有する。パワー線とFGとの間に寄生する静電容量を介して、伝導性のノイズの電流が流れる。当該電流は、特に、コモンモードのスイッチングノイズの電流である。なお、モーター駆動用のスイッチングにより伝導性ノイズが発生する仕組みについては、例えば、特許文献1に記載されている(特許文献1参照。)。通常、ケーブルの長さに比例して、寄生静電容量が増加する。
特許文献1では、電力変換装置を用いてモーターを駆動させる際に電源から前記電力変換装置へ、または前記電力変換装置から前記モーターへ電力を供給する電力ケーブルにおいて、各々絶縁された各相の電力線(パワー線)を一括に束ね、前記電力線の周りを磁性材料のコア材を含有する絶縁物で覆うことなどが記載されている(特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、複数のモーターを駆動するモーター駆動用ケーブルにおける伝導性のコモンモードノイズの対策として不十分であった。
特許文献2では、複数条からなる駆動用絶縁心線と1条ないし複数条からなる高周波漏れ電流リターン線を近傍に密接して隣接させることによって高周波漏れ電流リターン線のインダクタンスを低減すると同時に、前記駆動用絶縁心線と前記高周波漏れ電流リターン線を長さ方向にほぼ平行に配列して撚り合わせ、当該撚り合わせ線の外側にはシールドを介さずにシースを施した高周波漏れ電流リターン線付きモーター駆動ケーブルなどが記載されている(特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2に記載された技術では、主に、ケーブルに寄生するインダクタンスに着目しており、伝導性ノイズより高い周波数のノイズ(放射性ノイズ)の対策であり、伝導性ノイズの対策不十分であった。
上記課題の少なくとも一つを解決するために本発明の一態様は、複数の駆動部と、前記駆動部を駆動する電力をスイッチングで制御する制御部と、前記駆動部と前記制御部とを接続するケーブルと、を備え、前記ケーブルは、複数のパワー線と、複数のフレームグラウンド線と、シールドと、を有し、前記複数のパワー線と前記シールドとの間に第1介在物を有し、前記ケーブルの断面で見た場合、前記複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が前記複数のパワー線のそれぞれの中心よりも前記シールドに近い、ロボットシステムである。
この構成により、ロボットシステムでは、駆動部と制御部とを接続するケーブルにおいて、複数のパワー線とシールドとの間に第1介在物を有し、ケーブルの断面で見た場合、複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が複数のパワー線のそれぞれの中心よりもシールドに近い。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、このようなパワー線、フレームグラウンド線、シールドおよび第1介在物によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記複数のパワー線と前記複数のフレームグラウンド線との間に第2介在物を有する、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、複数のパワー線と複数のフレームグラウンド線との間に第2介在物を有する。これにより、第2介在物によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記第1介在物および前記第2介在物の少なくとも一方は、絶縁物である、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、第1介在物および第2介在物の少なくとも一方は、絶縁物である。これにより、当該絶縁物によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記パワー線は、導線と絶縁物を含む、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、パワー線は、導線と絶縁物を含む。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、導線と絶縁物を含むパワー線が用いられる場合に、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記フレームグラウンド線は、導線と絶縁物を含み、前記フレームグラウンド線の前記絶縁物の厚さは、前記パワー線の前記絶縁物の厚さよりも薄い、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、フレームグラウンド線は、導線と絶縁物を含み、フレームグラウンド線の絶縁物の厚さは、パワー線の絶縁物の厚さよりも薄い。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、導線と絶縁物を含むフレームグラウンド線が用いられる場合、フレームグラウンド線の絶縁物の厚さがパワー線の絶縁物の厚さよりも薄いことによって、例えば、第1介在物を厚くする余地ができ、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記絶縁物は、空気、綿、または、プラスチックの少なくとも一つである、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、絶縁物は、空気、綿、または、プラスチックの少なくとも一つである。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、当該絶縁物によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記第1介在物および前記第2介在物の少なくとも一方は、前記パワー線と前記フレームグラウンド線を除く他の線材である、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、第1介在物および第2介在物の少なくとも一方は、パワー線とフレームグラウンド線を除く他の線材である。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、このような介在物によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記複数のパワー線は、束になっており、前記束は、前記ケーブルの断面で見た場合、円形状である、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、複数のパワー線は、束になっており、当該束は、ケーブルの断面で見た場合、円形状である。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、複数のパワー線の当該束によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記複数のパワー線のそれぞれの間には、前記フレームグラウンド線は挟まれない、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、複数のパワー線のそれぞれの間には、フレームグラウンド線は挟まれない。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、複数のパワー線のそれぞれの間にはフレームグラウンド線が挟まれないことによって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記フレームグラウンド線の径は、前記フレームグラウンド線以外の線材の径よりも太い、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、フレームグラウンド線の径は、フレームグラウンド線以外の線材の径よりも太い。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、フレームグラウンド線の径が太いことによって、例えば、パワー線とシールドとの距離を大きくすることが可能であり、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記フレームグラウンド線は、等間隔で配置されている、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、フレームグラウンド線は、等間隔で配置されている。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、断面を円形(または、略円形)にすることが可能であり、曲げのストレスのかかり方が曲げの方向に依存しないようにすることが可能である。
また、本発明の一態様は、ロボットシステムにおいて、前記シールドは、導体の編組チューブのみで構成されている、構成が用いられてもよい。
この構成により、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、シールドは、導体の編組チューブのみで構成されている。これにより、ロボットシステムでは、ケーブルにおいて、このようなシールドによって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
上記課題の少なくとも一つを解決するために本発明の一態様は、複数のパワー線と、複数のフレームグラウンド線と、シールドと、を有し、前記複数のパワー線と前記シールドとの間に第1介在物を有し、ケーブルの断面で見た場合、前記複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が前記複数のパワー線のそれぞれの中心よりも前記シールドに近い、ケーブルである。
この構成により、ケーブルでは、複数のパワー線とシールドとの間に第1介在物を有し、ケーブルの断面で見た場合、複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が複数のパワー線のそれぞれの中心よりもシールドに近い。これにより、ケーブルでは、このようなパワー線、フレームグラウンド線、シールドおよび第1介在物によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
以上のように、本発明に係るロボットシステムおよびケーブルによれば、ケーブルにおいて、複数のパワー線とシールドとの間に第1介在物を有し、ケーブルの断面で見た場合、複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が複数のパワー線のそれぞれの中心よりもシールドに近い。これにより、本発明に係るロボットシステムおよびケーブルでは、ケーブルにおいて、このようなパワー線、フレームグラウンド線、シールドおよび第1介在物によって、伝導性ノイズの電流を小さくすることができる。
本発明の一実施形態に係るロボットシステムの概略的な構成例を示す図である。 本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るケーブルの概略的な構成例を示す断面図である。 本発明の一実施形態(第2実施形態)に係るケーブルの概略的な構成例を示す断面図である。 導体間の静電容量を説明するための図である。 パワー線とシールドの配置と静電容量との関係を説明するための図である。 材料と比誘電率との対応を示す図である。
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
[ロボットシステムの概要]
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットシステム1の概略的な構成例を示す図である。
ロボットシステム1は、制御部11と、ロボット12と、ケーブル13を備える。
制御部11は、N(Nは1以上の整数)個のスイッチング回路21−1〜21−Nを備える。
ロボット12は、N個の駆動部31−1〜31−Nを備える。
制御部11のN個のスイッチング回路21−1〜21−Nとロボット12のN個の駆動部31−1〜31−Nとは、それぞれ1対1で対応している。制御部11のそれぞれのスイッチング回路21−1〜21−Nと、ロボット12のそれぞれの駆動部31−1〜31−Nとが、ケーブル13を介して接続されている。ケーブル13は、スイッチング回路21−1〜21−Nと駆動部31−1〜31−Nとの組み合わせのそれぞれごとに、互いを接続する複数の線を有する。なお、図1では、ケーブル13の詳細な構成については省略して概略化してある。
制御部11は、ロボット12を制御する。本実施形態では、制御部11のスイッチング回路21−1〜21−Nからケーブル13を介してロボット12の駆動部31−1〜31−Nに駆動のための電力を送る制御について詳しく説明する。
なお、制御部11は、電力を送る制御以外にも、ロボット12の動作に関する様々な制御を行うが、本実施形態では、その詳しい説明を省略ないし簡易化する。一例として、制御部11は、ロボット12との間で、各種の情報を含む信号を通信する。当該信号を通信するケーブルは、例えば、電力を送るケーブル13とは別に備えられる。例えば、当該信号を通信するケーブルと比べて、電力を送るケーブル13では、大きい電圧が印加される。
本実施形態では、制御部11がロボット12とは別体で備えられるが、他の構成例として、制御部11がロボット12と一体として内蔵されてもよく、この場合、例えば、ロボット12は、制御部11およびケーブル13を含む。
ロボット12は、様々なロボットであってもよい。ロボット12は、例えば、1本のアーム(腕)を備える単腕ロボットであってもよく、あるいは、2本のアームを備える双腕ロボットであってもよい。また、ロボット12は、例えば、パラレルリンクロボットであってもよく、直交軸ロボットであってもよく、単軸ロボットであってもよく、あるいは、スカラロボットであってもよい。
スイッチング回路21−1〜21−Nと駆動部31−1〜31−Nとの組み合わせの個数(N)は、様々な数であってもよい。本実施形態では、ロボット12は6個の軸を有する多関節ロボットであり、N=6であり、各駆動部31−1〜31−Nにより各軸の動作を行う。
各スイッチング回路21−1〜21−Nは、スイッチングを行う回路であり、本実施形態では、インバーターである。
各駆動部31−1〜31−Nは、駆動する構成部であり、本実施形態では、モーターである。
ここで、本実施形態では、ロボット12の制御にケーブル13が用いられる場合を示すが、他の構成例として、ICハンドラーなどの制御にケーブルが用いられる場合に適用されてもよい。例えば、複数のモーターを駆動するシステムなどに適用されてもよい。
また、制御部11における任意の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体(記憶媒体)に記録(記憶)し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disk)−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM:Random Access Memory)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
[ケーブルの説明]
図2は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係るケーブル13の概略的な構成例を示す断面図である。
図2には、ケーブル13の断面の構成例を示してある。当該断面は、ケーブル13の中心線に対して垂直な断面である。
ケーブル13の断面は、円状である。
ケーブル13は、外側がシース131により覆われている。シース131は、例えば、ゴム、または、塩化ビニルを用いて構成されている。
ケーブル13の内部には、複数の太いパワー線101と、複数の細いパワー線102と、複数のフレームグラウンド線(FG線)103と、複数の他の線(その他の線であり、以下で、説明の便宜上「別線」という。)104と、シールド111と、ドレインワイヤー(ドレイン線)112と、介在物121と、介在層122を備える。
なお、図2では、太いパワー線101、細いパワー線102、FG線103、別線104については、それぞれ1本のみに符号を付してある。
本実施形態では、太いパワー線101は9本あり、細いパワー線102は9本ある。スイッチング回路21−1〜21−Nと駆動部31−1〜31−Nとの組み合わせごとに、3本の太いパワー線101、または、3本の細いパワー線102を用いて接続される。本実施形態では、6個の駆動部31−1〜31−N(N=6)のうち、ロボット12を構成するマニピュレーターの根元の方の3個の軸については太いパワー線101が用いられており、当該マニピュレーターの手先の方の3個の軸については細いパワー線102が用いられている。太いパワー線101の方が、細いパワー線102よりも、大きい電力(例えば、大きい電流、または、大きい電圧)を伝送することが可能である。本実施形態では、3本のパワー線(U、V、W)により、3相モーターの動作が行われる。
なお、本実施形態では、3相モーターが用いられるが、他の構成例として、2相モーターあるいは単相モーターが用いられてもよい。また、モーターとして、例えば、ステッピングモーターが用いられてもよい。
本実施形態では、FG線103は6本ある。本実施形態では、6個の駆動部31−1〜31−N(N=6)のそれぞれごとに、1本のFG線103が用いられている。各FG線103は、各駆動部31−1〜31−Nのシャーシー(本実施形態では、各モーターのシャーシー)に接続され、ロボット12のシャーシーに接続される。また、スイッチング回路21−1〜21−Nの側で、FG線103はアースに接続される。
なお、他の構成例として、スイッチング回路21−1〜21−Nの側の代わりに、駆動部31−1〜31−Nの側でFG線103がアースに接続される構成が用いられてもよい。
本実施形態では、別線104は、12本ある。本実施形態では、6個の駆動部31−1〜31−N(N=6)のそれぞれごとに、2本の別線104が用いられている。
別線104は、様々なものであってもよく、例えば、所定の電流を伝送する線が用いられてもよく、または、ダミーの線が用いられてもよい。
上述のように、本実施形態では、スイッチング回路21−1〜21−Nと駆動部31−1〜31−Nとの組み合わせごとに、3本のパワー線(3本の太いパワー線101、または、3本の細いパワー線102)と、1本のFG線103と、2本の別線104が用いられて、接続されている。なお、この構成は一例であり、他の構成が用いられてもよい。
ケーブル13の断面において、円状の中心部に介在物121が配置されている。その周囲に6本の太いパワー線101が対称に配置されている。その周囲に3本の太いパワー線101が対称に配置されているとともに9本の細いパワー線102が対称に配置されている。その周囲に円筒状(断面は円状)の介在層122が配置されている。その周囲に6本のFG線103が対称に配置されているとともに12本の別線104が対称に配置されている。その周囲に円筒状(断面は円状)のシールド111が配置されている。その周囲に円筒状(断面は円状)のシース131が配置されている。ドレインワイヤー112はシールド111に設けられている。
ここで、中心の介在物121は、ケーブル13の形状を整える役割を有している。
また、シース131の内部において、介在物121、パワー線101、102、介在層122、FG線103、別線104、シールド111、ドレインワイヤー112が存在しないところには、空気が存在する。他の構成例として、空気が存在するところの一部または全部に、空気以外の物質が配置されてもよい。
また、6本の太いパワー線101の周囲に3本の太いパワー線101および9本の細いパワー線102が配置されているところでは、3本の太いパワー線101と比べて、9本の細いパワー線102をシールド111から離すことが可能である。
本実施形態に係るケーブル13に関して、特徴的な構成を説明する。
本実施形態では、ケーブル13は、複数の駆動部31−1〜31−Nと制御部11とを接続する。制御部11は、駆動部31−1〜31−Nを駆動する電力をスイッチングで制御する。
一例として、制御部11は、複数の駆動部31−1〜31−Nを駆動する電力を、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)を用いて、生成するモジュール(本実施形態では、インバーター)を有する。パルス幅変調は、スイッチングを用いて波形を生成する手法の一例である。ケーブル13は、生成された電力を複数の駆動部31−1〜31−Nに伝送する。ケーブル13は、例えば、シールドケーブルである。
本実施形態では、ケーブル13は、複数のパワー線101、102と、複数のFG線103と、シールド111と、を有する。複数のパワー線101、102とシールド111との間に第1介在物(本実施形態では、介在層122、FG線103、別線104、および空気の各々)を有する。ケーブル13の断面で見た場合、複数のFG線103のそれぞれの中心が複数のパワー線101、102のそれぞれの中心よりもシールド111に近い。
ここで、ケーブル13は、複数の心線を備える。これら複数の心線は、束ねられている。
複数の心線には、少なくとも、パワー線101、102が含まれている。
複数の心線には、少なくとも、FG線103が含まれている。
本実施形態では、複数のパワー線101、102と複数のFG線103との間に第2介在物(本実施形態では、介在層122)を有する。
このような構成により、例えば、パワー線101、102の領域とFG線103の領域との距離を離すことができ、これにより、パワー線101、102とFG線103との静電容量を低減することが可能である。
一構成例として、パワー線101、102の被覆とFG線103の被覆とが接触しない配置とする。
本実施形態では、前記した第1介在物および前記した第2介在物の少なくとも一方は、絶縁物である。
本実施形態では、パワー線101、102は、導線と絶縁物を含む。
本実施形態では、FG線103は、導線と絶縁物を含む。FG線103の絶縁物の厚さは、パワー線101、102の絶縁物の厚さよりも薄い。
このような構成により、例えば、ケーブル13の外径を太くしないで、介在層122を厚くすることができる。
本実施形態では、絶縁物(例えば、前記した第1介在物、前記した第2介在物、パワー線101、102の絶縁物、または、FG線103の絶縁物など)は、空気、紙、綿、または、プラスチックの少なくとも一つである。プラスチックとしては、様々なものが用いられてもよく、例えば、ポリエチレン、または、ポリプロピレンが用いられてもよい。
ここで、絶縁物は、例えば、値段あるいは硬さなどを考慮して選択されてもよい。一例として、ポリエチレンは、ケーブル被覆の絶縁材料として一般的に使用されるものであり、その中でも、比較的、比誘電率が低く、安価なものである。
本実施形態では、前記した第1介在物および前記した第2介在物の少なくとも一方は、パワー線101、102とFG線103を除く他の線材である。
本実施形態では、複数のパワー線101、102は、束になっている。当該束は、ケーブル13の断面で見た場合、円形状である。
ここで、通常、当該束が円形状に近い方が、表面積が小さくなり、これにより、FG線103との間の浮遊容量(静電容量)が小さくなる。
本実施形態では、複数のパワー線101、102のそれぞれの間には、FG線103は挟まれない。
ここで、例えば、複数のパワー線101、102以外の線が、複数のパワー線101、102に挟まれない構成が用いられてもよい。
このように、複数のパワー線101、102の間に挟まれる他の線を少なくする(本実施形態では、ゼロにする)ことにより、複数のパワー線101、102が存在する領域の表面積を小さくすることができ、これにより、複数のパワー線101、102と他の物との静電容量を低減することが可能である。
本実施形態では、FG線103の径は、FG線以外の線材(例えば、パワー線101、102を含む。)の径よりも太い。
このように、FG線103の径が他の線の径より太い構成により、例えば、心線の中でFG線103を最も外の周(最外周)に配置した場合に、最外周の層が厚くなり、パワー線101、102とシールド111との距離を大きく離すことが可能である。
本実施形態では、FG線103は、等間隔で配置されている。
このように、複数のFG線103のそれぞれが等間隔で配置される構成により、ケーブル13の断面を円形に近くすることが可能であり、例えば、ケーブル13に対する曲げのストレスのかかり方が曲げの方向に依存しないようになる。
本実施形態では、シールド111は、導体の編組チューブのみで構成されている。
このような構成により、例えば、アルミテープなどの箔が用いられる場合と比べて、表面積を小さくすることが可能であり、これにより、複数のパワー線101、102とシールド111との静電容量を低減することが可能である。アルミテープなどの箔が用いられる場合と比べて、編組が用いられる場合には、空洞ができて、比誘電率が低くなる。比誘電率を低くする点では、当該空洞が粗い方が良い。
一構成例として、複数のFG線103は、複数のFG線103以外の心線に対して、コルデル構造で配置されている。これにより、例えば、ケーブル13の断面が円形に近くなり、ケーブル13に対する曲げのストレスのかかり方が曲げの方向に依存しないようになる。
なお、コルデル構造としては、一般に知られる構造が用いられてもよく、これにより、ケーブル13において、空気絶縁に近い状態とすることが可能である。
ここで、パワー線101、102は、シールド111と離れている。
FG線103は、シールド111と近接している。本実施形態では、FG線103は、シールド111と接触している。
FG線103、シールド111およびドレインワイヤー112は、FGの電位となっている。
例えば、パワー線101、102とFG線103の表面積を低減すると、パワー線101、102とFG線103との静電容量を低減することができて良い。
[物理的な特性の説明]
図4〜図6を参照して、物理的な特性を説明する。当該特性は、本実施形態に係るロボットシステム1のケーブル13を設計する場合に考慮されてもよい。
図4は、導体間の静電容量を説明するための図である。
図4には、導体である第1の電極板301と、導体である第2の電極板302と、第1の電極板301と第2の電極板302との間に存在する誘電体303を示してある。第1の電極板301と第2の電極板302は、面の形状が互いに同一であり、同じ形状の面どうしが一定の間隔で対向している。誘電体303は、第1の電極板301と第2の電極板302との間の空間の形状と同一の形状であり、第1の電極板301と第2の電極板302との間の空間を埋めている。
第1の電極板301の面の面積および第2の電極板302の面の面積がS(Sは0より大きい値)であり、第1の電極板301と第2の電極板302との間の間隔(導体間の距離)がd(dは0より大きい値)であり、誘電体303の誘電率がε(εは0より大きい値)であるとする。この場合、静電容量C(Cは0より大きい値)は、式(1)で表される。
[数1]
C=ε・S/d
・・(1)
このように、導体間の静電容量Cは、主に、導体間の距離d、導体の表面積S、導体間に介在する誘電体(絶縁材)の誘電率εという3つの要素によって決まる。導体間の静電容量Cを小さくするためには、導体間の距離dを大きくすればよく、導体の表面積Sを小さくすればよく、誘電率εを小さくすればよい。
図5は、パワー線(図2の例では、パワー線101、102)とシールド(図2の例では、シールド111)の配置と静電容量との関係を説明するための図である。図5には、ケーブルの長さ方向の断面(図2あるいは図3に示されるものに対して垂直な断面)をモデル化したものが示されている。
図5には、シールド401、402と、パワー線403と、電源411と、接地端412を示してある。
シールド401、402の配置は、図4に示される第1の電極板301と第2の電極板302の配置と同じである。シールド401の面およびシールド402の面の面積は、Sである。シールド401の面とシールド402の面との間の間隔は、dである。シールド401の面とシールド402の面との間の誘電体の誘電率は、εである。
シールド401の面とシールド402の面との間に、導体であるパワー線403が存在する。パワー線403は、シールド401およびシールド402に対して、面の形状が同一である。シールド401、402およびパワー線403は、同じ形状の面どうしが所定の間隔で対向している。
シールド401、402は接地端412と接続されており、パワー線403は電源411を介して接地端412と接続されている。接地端412は接地されている。
シールド401の面とパワー線403の面との間の間隔(導体間の距離)はx(xは0より大きくdより小さい値)であり、シールド402の面とパワー線403の面との間の間隔(導体間の距離)は(d−x)であるとする。この場合、全体の静電容量Ca(Caは0より大きい値)は、式(2)で表される。
[数2]
Ca=ε・S/x+ε・S/(d−x)
=ε・S・d/{x・(d−x)}
=ε・S・d/{−(x−d/2)+d/4}
・・(2)
ここで、式(2)により、x=d/2である場合に、全体の静電容量Caが最小となる。つまり、全体の静電容量Caを最小とするためには、シールド401、402とパワー線403との間隔を等間隔とする。パワー線が束である場合は、パワー線の束の外周と、シールドとの間隔を等間隔にすると、全体の静電容量を最小にできる。
このように、本実施形態に係る図2の例では、例えば、パワー線101が存在する領域が、FG線103が存在する領域に対して、なるべく均等に離れるように配置する方が、静電容量を小さくすることができると考えられる。同様に、例えば、パワー線102が存在する領域が、FG線103が存在する領域に対して、なるべく均等に離れるように配置する方が、静電容量を小さくすることができると考えられる。なお、パワー線101とパワー線102とは、互いに太さが異なり表面積が異なるため、ここでは、別々に述べた。
図6は、材料と比誘電率との対応を示す図である。
具体的には、空気の比誘電率は1であり、ポリエチレンの比誘電率は2.2〜2.4であり、発砲ポリエチレンの比誘電率は1.6〜2.0であり、塩化ビニルの比誘電率は5〜8であり、ポリプロピレンの比誘電率は2.2〜2.3であり、ポリテトラフルオロエチレンの比誘電率は2.0〜2.2であり、ポリエステルの比誘電率は3〜4である。なお、ポリテトラフルオロエチレンは、テフロン(登録商標)の名称で知られる。
[第1実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態に係るロボットシステム1では、ケーブル13において、伝導性ノイズの電流を小さくすること(本実施形態の構成を採用しない場合と比べて、低減すること)ができる。これにより、例えば、電源ラインであるケーブル13から外部に出るノイズを抑制することができる。例えば、スイッチングにより発生する伝導性ノイズを低減することができ、ノイズ対策部品の小型化あるいは削減を実現することができる。例えば、スイッチングにより発生する電力損失の低減を実現することができ、これにより、消費電力の低減あるいは発熱の低減を実現することができる。
具体例として、本実施形態では、複数のモーターを駆動させるために用いられるケーブル13において、モーターに動力を与えるための電力を伝送する心線(パワー線101、102)とFG電位の導体(FG線103、シールド111)との間の静電容量を小さくすることができる。本実施形態に係るロボットシステム1では、このようなケーブル13を用いることにより、複数のモーターを駆動させるときに発生する伝導性ノイズ(特に、伝導性コモンモードノイズ)を小さくすることができる。
また、本実施形態に係るロボットシステム1では、例えば、駆動用のケーブル13以外に、信号通信用などの他のケーブルが備えられる場合に、駆動用のケーブル13に含まれるパワー線101、102と当該他のケーブルとの間の静電容量を小さくすることも可能である。
(第2実施形態)
[ロボットシステムの概要]
本実施形態に係るロボットシステムの概略的な構成例は、第1実施形態に係る図1に示されるロボットシステム1の概略的な構成例と同じである。本実施形態では、第1実施形態に係るロボットシステム1と比べて、ケーブルの構成が異なり、制御部およびロボットの構成は同じである。
このため、以下では、制御部11、ロボット12、スイッチング回路21−1〜21−N、駆動部31−1〜31−Nについては、第1実施形態と同じ符号を付して説明する。また、ロボットシステム、ケーブルについては、ロボットシステム2、ケーブル51という符号を付して説明する。
また、以下では、第1実施形態とは異なる部分を詳しく説明し、第1実施形態と同じ部分については説明を省略ないし簡易化する。
[ケーブルの説明]
図3は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係るケーブル51の概略的な構成例を示す断面図である。
図3には、ケーブル51の断面の構成例を示してある。当該断面は、ケーブル51の中心線に対して垂直な断面である。
ケーブル51の断面は、楕円状である。
ケーブル51は、外側がシース231により覆われている。シース231は、例えば、ゴム、または、塩化ビニルを用いて構成されている。
ケーブル51の内部には、複数の太いパワー線201と、複数の細いパワー線202と、複数の太いFG線203と、複数の細いFG線204と、複数の他の線(その他の線であり、以下で、説明の便宜上「別線」という。)205と、シールド211と、ドレインワイヤー(ドレイン線)212と、介在物221を備える。
なお、図3では、太いパワー線201、細いパワー線202、太いFG線203、細いFG線204、別線205については、それぞれ1本のみに符号を付してある。
本実施形態では、太いパワー線201は9本あり、細いパワー線202は9本ある。スイッチング回路21−1〜21−Nと駆動部31−1〜31−Nとの組み合わせごとに、3本の太いパワー線201、または、3本の細いパワー線202を用いて接続される。本実施形態では、6個の駆動部31−1〜31−N(N=6)のうち、ロボット12を構成するマニピュレーターの根元の方の3個の軸については太いパワー線201が用いられており、当該マニピュレーターの手先の方の3個の軸については細いパワー線202が用いられている。太いパワー線201の方が、細いパワー線202よりも、大きい電力(例えば、大きい電流、または、大きい電圧)を伝送することが可能である。本実施形態では、3本のパワー線(U、V、W)により、3相モーターの動作が行われる。
本実施形態では、太いFG線203は3本あり、細いFG線204は3本ある。本実施形態では、6個の駆動部31−1〜31−N(N=6)のうち、ロボット12を構成するマニピュレーターの根元の方の3個の軸については太いFG線203が用いられており、当該マニピュレーターの手先の方の3個の軸については細いFG線204が用いられている。各FG線203、204は、各駆動部31−1〜31−Nのシャーシー(本実施形態では、各モーターのシャーシー)に接続され、ロボット12のシャーシーに接続される。また、スイッチング回路21−1〜21−Nの側で、FG線203、204はアースに接続される。
なお、他の構成例として、スイッチング回路21−1〜21−Nの側の代わりに、駆動部31−1〜31−Nの側でFG線203、204がアースに接続される構成が用いられてもよい。
本実施形態では、別線205は、15本ある。本実施形態では、6個の駆動部31−1〜31−N(N=6)のそれぞれごとに、2本または3本の別線205が用いられている。
別線205は、様々なものであってもよく、例えば、所定の電流を伝送する線が用いられてもよく、または、ダミーの線が用いられてもよい。
上述のように、本実施形態では、スイッチング回路21−1〜21−Nと駆動部31−1〜31−Nとの組み合わせごとに、3本のパワー線(3本の太いパワー線201、または、3本の細いパワー線202)と、1本のFG線(1本の太いFG線203、または、1本の細いFG線204)と、2本または3本の別線205が用いられて、接続されている。なお、この構成は一例であり、他の構成が用いられてもよい。
ケーブル51の断面において、楕円状の中心部から少しずれたところに介在物221が配置されている。その周囲に6本の太いパワー線201が対称に配置されている。その周囲に3本の太いパワー線201が配置されているとともに9本の細いパワー線202が配置されている。その周囲に15本の別線205が対称に配置されている。その周囲のうちの1/4程度の円弧(または、略円弧)上に3本の太いFG線203および3本の細いFG線204が配置されている。その周囲に楕円筒状(断面は楕円状)のシールド211が配置されている。その周囲に楕円筒状(断面は楕円状)のシース231が配置されている。ドレインワイヤー212はシールド211に設けられている。
ここで、中心部付近の介在物221は、ケーブル51の形状を整える役割を有している。
また、シース231の内部において、介在物221、パワー線201、202、FG線203、204、別線205、シールド211、ドレインワイヤー212が存在しないところには、空気が存在する。他の構成例として、空気が存在するところの一部または全部に、空気以外の物質が配置されてもよい。
また、6本の太いパワー線201の周囲に3本の太いパワー線201および9本の細いパワー線202が配置されているところでは、3本の太いパワー線201と比べて、9本の細いパワー線202をシールド211から離すことが可能である。
本実施形態に係るケーブル51に関して、特徴的な構成を説明する。
本実施形態では、ケーブル51は、複数の駆動部31−1〜31−Nと制御部11とを接続する。制御部11は、駆動部31−1〜31−Nを駆動する電力をスイッチングで制御する。
一例として、制御部11は、複数の駆動部31−1〜31−Nを駆動する電力を、パルス幅変調(PWM)を用いて、生成するモジュール(本実施形態では、インバーター)を有する。パルス幅変調は、スイッチングを用いて波形を生成する手法の一例である。ケーブル51は、生成された電力を複数の駆動部31−1〜31−Nに伝送する。ケーブル51は、例えば、シールドケーブルである。
本実施形態では、ケーブル51は、複数のパワー線201、202と、複数のFG線203、204と、シールド211と、を有する。複数のパワー線201、202とシールド211との間に第1介在物(本実施形態では、FG線203、204、別線205、および空気の各々)を有する。ケーブル51の断面で見た場合、複数のFG線203、204のそれぞれの中心が複数のパワー線201、202のそれぞれの中心よりもシールド211に近い。
ここで、ケーブル51は、複数の心線を備える。これら複数の心線は、束ねられている。
複数の心線には、少なくとも、パワー線201、202が含まれている。
複数の心線には、少なくとも、FG線203、204が含まれている。
本実施形態では、複数のパワー線201、202と複数のFG線203、204との間に第2介在物(本実施形態では、別線205、および空気の各々)を有する。
このような構成により、例えば、パワー線201、202の領域とFG線203、204の領域との距離を離すことができ、これにより、パワー線201、202とFG線203、204との静電容量を低減することが可能である。
一構成例として、パワー線201、202の被覆とFG線203、204の被覆とが接触しない配置とする。
本実施形態では、前記した第1介在物および前記した第2介在物の少なくとも一方は、絶縁物である。
本実施形態では、パワー線201、202は、導線と絶縁物を含む。
本実施形態では、FG線203、204は、導線と絶縁物を含む。FG線203、204の絶縁物の厚さは、パワー線201、202の絶縁物の厚さよりも薄い。
本実施形態では、絶縁物(例えば、前記した第1介在物、前記した第2介在物、パワー線201、202の絶縁物、または、FG線203、204の絶縁物)は、空気、紙、綿、または、プラスチックの少なくとも一つである。プラスチックとしては、様々なものが用いられてもよく、例えば、ポリエチレン、または、ポリプロピレンが用いられてもよい。
ここで、絶縁物は、例えば、値段あるいは硬さなどを考慮して選択されてもよい。一例として、ポリエチレンは、ケーブル被覆の絶縁材料として一般的に使用されるものであり、その中でも、比較的、比誘電率が低く、安価なものである。
本実施形態では、前記した第1介在物および前記した第2介在物の少なくとも一方は、パワー線201、202とFG線203、204を除く他の線材である。
本実施形態では、複数のパワー線201、202は、束になっている。当該束は、ケーブル51の断面で見た場合、円形状である。
ここで、通常、当該束が円形状に近い方が、表面積が小さくなり、これにより、FG線203、204との間の浮遊容量(静電容量)が小さくなる。
本実施形態では、複数のパワー線201、202のそれぞれの間には、FG線203、204は挟まれない。
ここで、例えば、複数のパワー線201、202以外の線が、複数のパワー線201、202に挟まれない構成が用いられてもよい。
このように、複数のパワー線201、202の間に挟まれる他の線を少なくする(本実施形態では、ゼロにする)ことにより、複数のパワー線201、202が存在する領域の表面積を小さくすることができ、これにより、複数のパワー線201、202と他の物との静電容量を低減することが可能である。
本実施形態では、太いFG線203の径は、FG線以外の線材(例えば、パワー線201、202を含む。)の径よりも太い。
このように、太いFG線203の径が他の線の径より太い構成により、例えば、心線の中で太いFG線203を最も外の周(最外周)の一部に配置した場合に、最外周の当該一部の層が厚くなり、当該一部においてパワー線201、202とシールド211との距離を大きく離すことが可能である。
なお、本実施形態では、FG線203、204は、ケーブル51の断面の周で見た場合、当該周のうちの一部のところにまとめて配置されており、当該周の全体としては等間隔で配置されてはいない。
本実施形態では、シールド211は、導体の編組チューブのみで構成されている。
このような構成により、例えば、アルミテープなどの箔が用いられる場合と比べて、表面積を小さくすることが可能である。アルミテープなどの箔が用いられる場合と比べて、編組が用いられる場合には、空洞ができて、比誘電率が低くなる。比誘電率を低くする点では、当該空洞が粗い方が良い。
ここで、パワー線201、202は、シールド211と離れている。
FG線203、204は、シールド211と近接している。本実施形態では、FG線203、204は、シールド211と接触している。
FG線203、204、シールド211およびドレインワイヤー212は、FGの電位となっている。
例えば、パワー線201、202とFG線203、204の表面積を低減すると、パワー線201、202とFG線203、204との静電容量を低減することができて良い。
[第2実施形態のまとめ]
以上のように、本実施形態に係るロボットシステム2では、ケーブル51において、伝導性ノイズの電流を小さくすること(本実施形態の構成を採用しない場合と比べて、低減すること)ができる。これにより、例えば、電源ラインであるケーブル51から外部に出るノイズを抑制することができる。例えば、スイッチングにより発生する伝導性ノイズを低減することができ、ノイズ対策部品の小型化あるいは削減を実現することができる。例えば、スイッチングにより発生する電力損失の低減を実現することができ、これにより、消費電力の低減あるいは発熱の低減を実現することができる。
具体例として、本実施形態では、複数のモーターを駆動させるために用いられるケーブル51において、モーターに動力を与えるための電力を伝送する心線(パワー線201、202)とFG電位の導体(FG線203、204、シールド211)との間の静電容量を小さくすることができる。本実施形態に係るロボットシステム2では、このようなケーブル51を用いることにより、複数のモーターを駆動させるときに発生する伝導性ノイズ(特に、伝導性コモンモードノイズ)を小さくすることができる。
また、本実施形態に係るロボットシステム2では、例えば、駆動用のケーブル51以外に、信号通信用などの他のケーブルが備えられる場合に、駆動用のケーブル51に含まれるパワー線201、202と当該他のケーブルとの間の静電容量を小さくすることも可能である。
(以上の実施形態のまとめ)
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1、2…ロボットシステム、11…制御部、12…ロボット、13、51…ケーブル、21−1〜21−N…スイッチング回路、31−1〜31−N…駆動部、101〜102、201〜202、403…パワー線、103、203、204…FG線、104、205…別線、111、211、401〜402…シールド、112、212…ドレインワイヤー、121、221…介在物、122…介在層、131、231…シース、301〜302…電極板、303…誘電体、411…電源、412…接地端

Claims (13)

  1. 複数の駆動部と、
    前記駆動部を駆動する電力をスイッチングで制御する制御部と、
    前記駆動部と前記制御部とを接続するケーブルと、を備え、
    前記ケーブルは、複数のパワー線と、複数のフレームグラウンド線と、シールドと、を有し、
    前記複数のパワー線と前記シールドとの間に第1介在物を有し、
    前記ケーブルの断面で見た場合、前記複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が前記複数のパワー線のそれぞれの中心よりも前記シールドに近い、
    ロボットシステム。
  2. 前記複数のパワー線と前記複数のフレームグラウンド線との間に第2介在物を有する、
    請求項1に記載のロボットシステム。
  3. 前記第1介在物および前記第2介在物の少なくとも一方は、絶縁物である、
    請求項2に記載のロボットシステム。
  4. 前記パワー線は、導線と絶縁物を含む、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  5. 前記フレームグラウンド線は、導線と絶縁物を含み、
    前記フレームグラウンド線の前記絶縁物の厚さは、前記パワー線の前記絶縁物の厚さよりも薄い、
    請求項4に記載のロボットシステム。
  6. 前記絶縁物は、空気、綿、または、プラスチックの少なくとも一つである、
    請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  7. 前記第1介在物および前記第2介在物の少なくとも一方は、前記パワー線と前記フレームグラウンド線を除く他の線材である、
    請求項2または請求項3のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  8. 前記複数のパワー線は、束になっており、
    前記束は、前記ケーブルの断面で見た場合、円形状である、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  9. 前記複数のパワー線のそれぞれの間には、前記フレームグラウンド線は挟まれない、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  10. 前記フレームグラウンド線の径は、前記フレームグラウンド線以外の線材の径よりも太い、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  11. 前記フレームグラウンド線は、等間隔で配置されている、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  12. 前記シールドは、導体の編組チューブのみで構成されている、
    請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のロボットシステム。
  13. 複数のパワー線と、複数のフレームグラウンド線と、シールドと、を有し、
    前記複数のパワー線と前記シールドとの間に第1介在物を有し、
    ケーブルの断面で見た場合、前記複数のフレームグラウンド線のそれぞれの中心が前記複数のパワー線のそれぞれの中心よりも前記シールドに近い、
    ケーブル。
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