JP2017021945A - 固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形電気化学セルの製造方法、固体酸化物形燃料電池、及び高温水蒸気電気分解装置 - Google Patents

固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形電気化学セルの製造方法、固体酸化物形燃料電池、及び高温水蒸気電気分解装置 Download PDF

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Abstract

【課題】固体電解質層内での短絡を抑制し高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セル及びその製造方法、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを有する固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置の提供。
【解決手段】固体電解質層2と燃料極3と空気極4とを有し、燃料極3はMn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有し、空気極4はMn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有し、固体電解質層2は自身の厚さが100μm以下であり、Gaを含有するペロブスカイト型酸化物aを有し、燃料極3に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下であり、かつ、空気極4に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下である第1領域を有し、その厚さが5μm以上である固体酸化物形電気化学セル1。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形電気化学セルの製造方法、固体酸化物形燃料電池、及び高温水蒸気電気分解装置に関し、さらに詳しくは、固体電解質層内での短絡を抑制すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セル、固体酸化物形電気化学セルの製造方法、並びに前記固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池及び高温水蒸気電気分解装置に関する。
水素と酸素とを用いて発電することのできる固体酸化物形燃料電池、又は水を分解して水素と酸素とを発生させる高温水蒸気電気分解装置を構成する部材として、固体酸化物形電気化学セルが用いられる。固体酸化物形電気化学セルは、酸素極と固体電解質層と燃料極とを有する。固体電解質層は、高性能を目論んでペロブスカイト型酸化物からなることがある。燃料極は、触媒機能及び電子電導性等を得るために、Ni等の遷移元素を含有する。空気極は、触媒機能及び電子電導性等を得るために、Co、及びFe等の遷移元素を含有する。
固体酸化物形電気化学セルを作製する際には、固体電解質層の焼成前駆体と、燃料極の焼成前駆体とを、積層した後に焼成する方法が用いられることがある。焼成の過程において、燃料極の焼成前駆体に含有されるNi等が、固体電解質層の焼成前駆体へと拡散する。また、空気極は、燃料極と固体電解質層との同時焼成体の固体電解質層の表面に空気極の焼成前駆体を積層した後に焼成する方法が用いられることがある。空気極の焼成過程において、空気極の焼成前駆体に含有されるCo等が、固体電解質層の焼成前駆体へと拡散する。これらNi等とCo等とが固体電解質層へと深く拡散及び進入した場合、固体電解質層の燃料極から空気極までの電子伝導パスが形成され、空気極と燃料極との間における電気的な内部短絡が起こり、固体酸化物形電気化学セルの起電力低下や性能低下等を引き起こすことがある。特に、固体電解質層がGaを含むペロブスカイト型酸化物を有する場合、比較的高価なGaの使用量を減らすために、固体電解質層の厚さを薄くするように設計される。固体電解質層の厚さを薄くすればするほど、燃料極からのNi等の拡散と空気極からのCo等の拡散とによる前記短絡の問題が引き起こされやすくなるという問題がある。
従来、燃料極におけるNiが固体電解質層側へと拡散することを抑制する技術が知られている。例えば、特許文献1には、「前記燃料極は、Ni及びNiOの少なくとも一方を含み、前記固体電解質層は、La及びGaを少なくとも含むペロブスカイト型複合酸化物とMgOとを含み、前記固体電解質層において前記MgOは粒子状のMgO粒子となって前記一側面側に偏在することを特徴とする固体酸化物形燃料電池」(特許文献1の請求項1参照)が開示されている。特許文献1に開示された発明によると、固体電解質層の燃料極側に偏在するMgOとNiとが反応することにより、Niが固体電解質層におけるペロブスカイト型酸化物と反応することを抑制することができる。
一方で、空気極の含有元素が固体電解質層側へと拡散することを抑制する技術が知られている。例えば、特許文献2には、「前記固体電解質と、前記アノード側電極又は前記カソード側電極の少なくともいずれか一方との間に、セリア系酸化物を含有する焼結体からなる中間層が介在し、前記中間層は、さらに、焼結助剤由来のAl、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Ni、Znの群の少なくともいずれか1種を合計で0.5〜5mol%含有するとともに、厚みが0.5〜3μm、且つ相対密度が70〜100%であることを特徴とする電解質・電極接合体」(特許文献2の請求項1参照)が開示されている。特許文献2には、焼結助剤の存在下に比較的低温でセリア系酸化物を含有する中間層を焼成することにより中間層が緻密化され、それによってカソード側電極(空気極)と固体電解質との間での元素拡散が回避されることが開示されている(特許文献2の0028欄〜0040欄等)。
特開2012−156007号公報 特開2008−258064号公報
特許文献1に開示された発明において、MgOは絶縁体であり、固体電解質層における電気特性を低下させるので、特許文献1に開示された固体酸化物形燃料電池は、発電性能が低下してしまうという問題がある。
また、特許文献2に開示された発明において、中間層を空気極と固体電解質層との間に設ける手段は、電気抵抗が増加する問題、並びに構造が複雑になり、コストが増加する等の問題がある。
本発明の課題は、固体電解質層内での短絡を抑制することにより、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することである。
本発明の別の課題は、固体電解質層内での短絡を抑制することにより、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルの製造方法を提供することである。
本発明のまた別の課題は、固体電解質層内での短絡を抑制することにより、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形燃料電池を提供することである。
本発明のさらに別の課題は、固体電解質層内での短絡を抑制することにより、水の分解能力に優れた高温水蒸気電気分解装置を提供することである。
前記課題を解決するための手段は、
(1)固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、前記固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極とを有する固体酸化物形電気化学セルであって、
前記燃料極は、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有し、
前記空気極は、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有し、
前記固体電解質層は、自身の厚さが100μm以下であり、Gaを含有するペロブスカイト型酸化物aを有し、前記固体電解質層の切断面を電子線プローブマイクロアナライザーに付属の波長分散型X線分光器により点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、前記燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下であり、かつ、前記空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下である第1領域を有し、前記固体電解質層の膜厚方向における前記第1領域の厚さが5μm以上であることを特徴とする固体酸化物形電気化学セルである。
前記(1)の固体酸化物形電気化学セルの好ましい態様は、以下の通りである。
(2)前記(1)に記載の固体酸化物形電気化学セルにおいて、前記ペロブスカイト型酸化物aは、(La1−αSrα)(Ga1−βMgβ)O3−δ(0.05≦α<0.2、0.05≦β<0.2)である。
(3)前記(1)又は前記(2)に記載の固体酸化物形電気化学セルにおいて、前記固体電解質層は、前記固体電解質層の切断面を電子線プローブマイクロアナライザーに付属の波長分散型X線分光器により点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、前記燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%を超える第2領域を有し、前記固体電解質層の膜厚方向における前記第2領域の厚さが20μm以下である。
(4)前記(1)〜前記(3)のいずれか一つに記載の固体酸化物形電気化学セルにおいて、前記燃料極に含まれる遷移元素のうち、少なくとも1つは、Niである。
(5)前記(1)〜前記(4)のいずれか一つに記載の固体酸化物形電気化学セルにおいて、前記固体電解質層は、前記固体電解質層の切断面を電子線プローブマイクロアナライザーに付属の波長分散型X線分光器により点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、前記空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%を超える第3領域を有し、前記固体電解質層の膜厚方向における前記第3領域の厚さが20μm以下である。
(6)前記(1)〜前記(5)のいずれか一つに記載の固体酸化物形電気化学セルにおいて、前記空気極に含まれる遷移元素のうち、少なくとも1つは、Coである。
前記別の課題を解決するための手段は、
(7)前記(1)〜前記(6)のいずれか一つに記載の固体酸化物形電気化学セルの製造方法であって、前記燃料極となる未焼成燃料極の表面に前記固体電解質層となる未焼成固体電解質層を形成し、1320℃以下の温度で焼成して同時焼成体を形成する工程を有することを特徴とする固体酸化物形電気化学セルの製造方法である。
前記(7)の固体酸化物形電気化学セルの製造方法の好ましい態様は、
(8)前記(7)に記載の固体酸化物形電気化学セルの製造方法において、前記同時焼成体の表面に前記空気極となる未焼成空気極を形成し、1100℃以下の温度で焼成する工程を有する。
前記別の課題を解決するための手段は、
(9)前記(1)〜前記(6)のいずれか一つに記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池である。
前記別の課題を解決するための手段は、
(10)前記(1)〜前記(6)のいずれか一つに記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする高温水蒸気分解装置である。
(1)Gaを有するペロブスカイト型酸化物aは、酸化物イオンの伝導性が高い固体電解質材料である。一方で、前記固体電解質層は遷移元素の元素拡散性が高いため、固体電解質層の厚さが薄く、100μm以下である場合、焼成時に燃料極から拡散したNi等の遷移元素と空気極から拡散したCo等の遷移元素とにより、固体電解質層において燃料極から空気極までの電子伝導パスが形成され、固体電解質層内で短絡が起こる場合がある。しかしながら、この発明によると、ペロブスカイト型酸化物aを含む固体電解質層の厚さが100μm以下であっても、前記燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下であり、かつ、前記空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下である第1領域を有し、固体電解質層の膜厚方向における第1領域の厚さが5μm以上であるので、電気的な短絡を抑制することができ、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(2)(La1−αSrα)(Ga1−βMgβ)O3−δ(0.05≦α<0.2、0.05≦β<0.2)は、Gaを含有するペロブスカイト型酸化物の中でも、特に酸化物イオンの伝導率が高い。また、βが小さくなるほど固体電解質中のMgOの偏析が少なくなる。MgOが固体電解質層中に偏析していると、MgOは燃料極及び空気極に含有される遷移元素と反応して固溶体を形成し易いため、燃料極及び空気極から固体電解質層へと遷移元素が拡散し易くなる。しかしながら、前述した一般式で示されるペロブスカイト型酸化物aは、βが0.2より小さいことからMgOの偏析が少ないので、燃料極及び空気極から固体電解質層への遷移元素の拡散がより一層抑制される。したがって、この発明によると、固体電解質層の厚さを薄く形成しつつ短絡を抑制することができ、また、固体電解質層における酸化物イオンの伝導性に優れ、その結果として高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(3)この発明における固体電解質層は、燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%を超える第2領域を有し、固体電解質層の膜厚方向における第2領域の厚さが20μm以下である。したがって、この発明によると、固体電解質層内での電気的な短絡をより一層抑制することができ、高い起電力及び発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(4)この発明によると、燃料極に含まれる遷移元素のうち、少なくとも1つがNiであるので、高い反応活性と電子伝導性を有する燃料極を備えた高性能な固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(5)この発明における固体電解質層は、空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%を超える第3領域を有し、固体電解質層の膜厚方向における第3領域の厚さが20μm以下である。したがって、この発明によると、固体電解質層内での電気的な短絡をより一層抑制することができ、高い起電力及び発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(6)この発明によると、空気極に含まれる遷移元素のうち、少なくとも1つがCoであるので、高い反応活性と酸化物イオン伝導性を有する空気極を備えた高性能な固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
(7)前記(7)に記載の固体酸化物形電気化学セルの製造方法によると、燃料極となる未焼成燃料極の表面に固体電解質層となる未焼成固体電解質層を形成し、1320℃以下の温度で焼成して同時焼成体を形成するので、燃料極から固体電解質層へのNi等の遷移元素の拡散を低減することができ、それによって電気的な短絡を抑制することができ、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを製造することができる。
(8)前記(8)に記載の固体酸化物形電気化学セルの製造方法によると、前記同時焼成体の表面に空気極となる未焼成空気極を形成し、1100℃以下の温度で焼成するので、空気極から固体電解質層へのCo等の遷移元素の拡散を低減することができ、それによって電気的な短絡を抑制することができ、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを製造することができる。
(9)前記(9)に係る発明によると、電気的な短絡を起こし難く、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形燃料電池を提供することができる。

(10)前記(10)に係る発明によると、電気的な短絡を起こし難く、水の分解能力に優れた高温水蒸気電気分解装置を提供することができる。
図1は、本発明に係る固体酸化物形電気化学セルの一例を示す円筒型の固体酸化物形電気化学セルの横断面図である。 図2は、本発明に係る固体酸化物形電気化学セルを備えた固体酸化物形燃料電池スタックの一例を示す斜視図である。 図3は、図2のA−A´断面概略図であり、固体酸化物形電気化学セルの軸線長手方向における略中央部において、固体酸化物形電気化学セルの軸線長手方向とは垂直方向に切断した際の固体酸化物形燃料電池スタックの断面概略図である。 図4は、図2に示す固体酸化物形燃料電池スタックのB−B´断面において、固体酸化物形電気化学セルを取り出して観察した際の断面図である。 図5は、図3に示す絶縁性多孔体の一例を示す斜視図である。 図6は、図2に示す固体酸化物形燃料電池スタックのB−B´断面図である。 図7は、固体酸化物形電気化学セルの切断面において、第1領域及び第2領域の厚さの測定位置を示す断面説明図である。
固体酸化物形電気化学セル(以下、「単セル」と称することがある。)は、固体電解質層と、固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極と、を有する。
燃料極は、固体電解質層の空気極が形成されている面とは反対側の面に設けられる。燃料極は、酸化還元反応についての触媒機能、電子伝導性、ガス透過性、及び高温条件下における安定性等を有する材料によって形成されていればよい。燃料極は、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有する。これらの中でもNi、及びCuが好ましく、Niがより好ましい。燃料極がNiを含有すると、高い反応活性と電子伝導性とを有する燃料極を備えた高性能な固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。燃料極は、前記遷移元素の他に、Sc、Y等の希土類元素のうちの少なくとも1種により安定化されたジルコニア等のZrO含有セラミック、及びCeO含有セラミック等のセラミックのうちの少なくとも1つを含有する。空気極は、前記遷移元素を金属として含有してもよいし、2種以上の合金として含有してもよいし、金属の酸化物又は複合酸化物として含有してもよい。また、燃料極は、前記遷移元素と前記セラミックとの混合物であるサーメットにより形成されてもよい。
空気極は、固体電解質層の燃料極が形成されている面とは反対側の面に設けられる。空気極は、触媒機能、電子伝導性、酸化物イオン伝導性、ガス透過性、及び高温条件下における安定性等を有する材料によって形成されていればよい。空気極は、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有する。これらの中でもMn、Fe、及びCoが好ましく、Fe、及びCoがより好ましい。空気極がCoを含有すると、高い反応活性と酸化物イオン伝導性とを有する空気極を備えた高性能な固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。空気極は、前記遷移元素を金属として含有してもよいし、2種以上の合金として含有してもよし、金属の酸化物又は複合酸化物として含有してもよい。空気極を形成する材料として、例えば、La1−xSrCoFe1−y3−δ(0<x<0.5、0<y<0.4)、La1−xSrMnO3−δ(0<x<0.3)、La1−xSrCoO3−δ(0<x<0.5)(以下、「LSC」と称されることがある。)、Sm1−xSrCoO3−δ(0<x<0.6)、Ba1−xLaCoO3−δ(0<x<0.6)等を挙げることができる。また、空気極には必要に応じてAg等のその他の材料が含有されてもよい。
固体電解質層は、燃料極と空気極との間に設けられる。固体電解質層は、ペロブスカイト型の結晶構造を有し、少なくともGaを含有するペロブスカイト型酸化物aを含有する。ペロブスカイト型酸化物aは、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質である。ペロブスカイト型酸化物aとしては、例えば、La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物等を挙げることができる。La及びGaを含有するペロブスカイト型酸化物aは、Laの一部及びGaの一部がCa、Sr、Mg等の別の元素で置換されているのが好ましい。ペロブスカイト型酸化物aに含まれるCa、Sr、Mgによる置換率は特に制限されないが、例えば、La及びGaがそれぞれA元素及びB元素により置換されている場合(A元素はCa及びSrのうちの少なくとも一つ、B元素はMg)、ペロブスカイト型の結晶構造におけるAサイトの原子数(Laの原子数とA元素の原子数との合計)を1としたときに、0.05以上0.2未満の原子数のLaがA元素に置換され、Bサイトの原子数(Gaの原子数とB元素の原子数との合計)を1としたときに、0.05以上0.2未満の原子数のGaがB元素に置換されているのが好ましい。ペロブスカイト型酸化物aの好適例は、以下の一般式(I)で示すことができる。
(La1−αSrα)(Ga1−βMgβ)O3−δ(0.05≦α<0.2、0.05≦β<0.2)・・・一般式(I)
一般式(I)で示されるペロブスカイト型酸化物aは、ペロブスカイト型酸化物aの中でも、特に酸化物イオンの伝導率が高いので、固体電解質層が一般式(I)で示されるペロブスカイト型酸化物aを含有すると、発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
また、一般式(I)において、βが0.2より小さくなるほど固体電解質中のMgOの偏析が少なくなる。MgOが固体電解質層中に偏析していると、MgOは燃料極及び空気極に含有される遷移元素と反応して固溶体を形成し易いため、燃料極及び空気極から固体電解質層へと遷移元素が拡散し易くなる。しかしながら、一般式(I)で示されるペロブスカイト型酸化物aは、βが0.2より小さいことからMgOの偏析が少ないので、燃料極及び空気極から固体電解質層への遷移元素の拡散がより一層抑制される。したがって、固体電解質層が一般式(I)に示されるペロブスカイト型酸化物aにより形成されていると、固体電解質層の厚さを薄く形成しても短絡を抑制することができ、また、固体電解質層における酸化物イオンの伝導性に優れ、その結果として高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
固体電解質層がペロブスカイト型酸化物aを有することは、燃料極と固体電解質層と空気極との配列方向に切断したときの切断面において、X線回折装置(XRD)にて分析し、固体電解質層に含まれる物質の同定を行うことにより確認することができる。また、ペロブスカイト型酸化物aに含有される元素の原子数比は、固体電解質層の前記切断面における中央付近において、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)に付属の波長分散型X線分光器(WDS)を用いて元素分析を行うことにより、求めることができる。
固体電解質層の厚さは100μm以下である。固体電解質層の厚さが薄いほど内部抵抗が小さくなり、それによって発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。一方で、固体電解質層の厚さが薄過ぎると破損し易くなり、固体電解質層の内部で短絡が生じやすくなる。したがって、固体電解質層の厚さは20μm以上であるのが好ましい。ペロブスカイト型酸化物aを含む固体電解質層は、その厚さが薄く、100μm以下である場合、焼成時に燃料極から拡散したNi等の遷移元素と空気極から拡散したCo等の遷移元素とにより、固体電解質層において燃料極から空気極までの電子伝導パスが形成され、固体電解質層内で短絡が起こる場合がある。そのため、ペロブスカイト型酸化物aを含む固体電解質層を備えた固体酸化物形電気化学セルは、起電力並びに発電能力が低下する場合がある。しかしながら、この発明における固体電解質層は、その厚さが100μm以下と薄くても、後述するように第1領域の厚さが5μm以上であるので、電気的な短絡を抑制することができ、高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
固体電解質層は、自身の切断面を電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)に付属の波長分散型X線分光器(WDS)により点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、前記燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下であり、かつ、前記空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下である第1領域を有し、固体電解質層の膜厚方向における第1領域の厚さが5μm以上である。すなわち、固体電解質層は、焼成時に燃料極及び空気極からこれらに含まれる遷移元素が固体電解質層に拡散したとしても、固体電解質層の中央部に、ほとんど遷移元素が拡散していない領域が存在し、その領域の厚さが5μm以上である。第1領域の厚さは大きいほど好ましいが、その上限値は固体電解質層の厚さである。固体電解質層は、第1領域の厚さが5μm以上であるので、固体電解質層内での短絡を抑制することができる。
固体電解質層は、自身の切断面をEPMAに付属のWDSにより点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合Rfが0.5質量%を超える第2領域を有し、固体電解質層の膜厚方向における第2領域の厚さが20μm以下であるのが好ましい。すなわち、固体電解質層は、焼成時に燃料極から固体電解質層に遷移元素が拡散したとしても、遷移元素の拡散領域の厚さは、20μm以下であるのが好ましい。固体電解質層は、第2領域の厚さが20μm以下であると、固体電解質層内での電気的な短絡をより一層抑制することができる。また、遷移元素の拡散が進むほどペロブスカイト型酸化物aの酸化物イオン伝導率が低下する傾向にあるが、第2領域の厚さが20μm以下であると、酸化物イオン伝導率の低下を抑制することができ、より一層高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
固体電解質層は、自身の切断面をEPMAに付属のWDSにより点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合Raが0.5質量%を超える第3領域を有し、固体電解質層の膜厚方向における第3領域の厚さが20μm以下であるのが好ましい。すなわち、固体電解質層は、焼成時に空気極から固体電解質層に遷移元素が拡散したとしても、遷移元素の拡散領域の厚さは、20μm以下であるのが好ましい。固体電解質層は、第2領域の厚さが20μm以下であると、固体電解質層内での電気的な短絡をより一層抑制することができ、また、酸化物イオン伝導率の低下を抑制することができ、より一層高い起電力を有すると共に発電能力に優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。
固体電解質層の厚さは、単セルを燃料極と固体電解質層と空気極とが配列されている方向に切断したときの切断面を研磨して研磨面を形成し、この研磨面において、図7に示すように、固体電解質層2と燃料極3との界面Fと、固体電解質層2と空気極4との界面Fとの距離dを電子顕微鏡等により測定することにより求めることができる。
第2領域の厚さは、以下のようにして求めることができる。固体電解質層2の厚さを求めるときと同様にして研磨面を形成し、この研磨面において、燃料極3と固体電解質層2との界面Fから空気極4と固体電解質2との界面Fに向かって、界面Fに垂直な直線L上を一定間隔例えば1μm間隔で点分析を行う。燃料極3に含まれるNi等の遷移元素が固体電解質層に拡散した場合には、界面F上の分析点を始点として直線L上を界面Fに向かって点分析を進めるにしたがって、Ni等の遷移元素の合計質量の割合Rfが小さくなる。前記割合Rfが0.5質量%以下となる分析点に到達したとき、その分析点の前の分析点から界面F上の分析点までの距離を測定し、これを第2領域の厚さdとする。第3領域の厚さは、第2領域の厚さと同様にして、界面F上の分析点を始点として直線L上を界面Fに向かって点分析することにより求めることができる。第1領域の厚さdは、界面Fと界面Fとの距離dと、第2領域の厚さd及び第3領域の厚さdの合計との差(d−(d+d))により求めることができる。
なお、点分析は、EPMAに付属のWDSにより、加速電圧15kV、照射電流50nA、スポット径1μmで行う。また、EPMAのWDS分析では、軽元素の分析精度が低いので、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除いた元素の合計質量を基準として、Ni等の遷移元素の合計質量の割合Rf及びRaを算出する。
次に、図面を用いて、本発明に係る単セルの一例について説明する。
図1に示すように、この実施形態の単セル1は筒状である。単セル1は、筒状体の軸線長手方向に垂直な平面で切断したときの断面形状が円形である。単セル1の断面形状において、半径方向における最も内側には、円筒形状の燃料極3が設けられる。燃料極3の前記半径方向における外側には、それぞれ同心円状に、円筒形状の固体電解質層2、及び円筒形状の空気極4がこの順に設けられる。単セル1において、燃料極3の外側面と固体電解質層2の内側面とが面接合し、固体電解質層2の外側面と空気極4の内側面とが面接合する。燃料極3は、単セル1におけるその他の層よりも、半径方向において肉厚の形状に形成され、単セル1を機械的に支持する支持体としての機能を有する。
なお、筒型の単セルの断面形状は、円形に制限されず、楕円形、多角形等であってもよい。また、本発明における単セルの形状は筒型には制限されず、平板型であってもよい。平板型の単セルは、板状の固体電解質層の一方の面に燃料極が設けられ、燃料極が設けられている面の反対側の面に空気極が設けられる。
次に、本発明に係る単セルの製造方法の一例について説明する。
本発明に係る単セルの製造方法は、燃料極となる未焼成燃料極の表面に固体電解質層となる未焼成固体電解質層を形成し、1320℃以下の温度で焼成して同時焼成体を形成する工程と、同時焼成体の表面に空気極となる未焼成空気極を形成し、1100℃以下の温度で焼成する工程とを有する。
(1)未焼成燃料極の作製
酸化ニッケルと、ZrO含有セラミック等のセラミックとの混合粉末に、バインダー及び造孔材の粉末を加え、十分に混合した後に、水を添加することにより粘土状の混合物を得る。この粘土状の混合物を押出成形機に投入し、所定の形状に形成することにより、未焼成燃料極が得られる。
(2)固体電解質層形成用スラリーの作製
ペロブスカイト型酸化物aの粉末、又は焼成によりペロブスカイト型酸化物aが形成されるよう配合された各種酸化物の粉末の混合物に、ポリビニルブチラール等に代表されるバインダー、分散剤、可塑剤、及び溶媒を混合し、固体電解質層形成用スラリーが得られる。
(3)未焼成固体電解質層の作製
次に、前記未焼成燃料極の表面を必要に応じてマスキングした後に、固体電解質層形成用スラリーに未焼成燃料極を浸漬させ、ゆっくりと引き上げることにより、未焼成燃料極の表面に未焼成固体電解質層の被膜が形成された未焼成電解質成形体が得られる。
(4)同時焼成体の作製
その後、未焼成電解質成形体を、1320℃以下、好ましくは1300℃〜1320℃の条件下で、未焼成固体電解質層及び未焼成燃料極を同時焼成する。焼成後に、固体電解質層及び燃料極からなる同時焼成体が得られる。
未焼成電解質成形体を同時焼成する際に、未焼成燃料極に含有されるNi等の遷移元素が固体電解質層に向かって拡散する。しかしながら、この発明の単セルの製造方法では、未焼成電解質成形体を、1320℃以下という比較的低い温度で焼成して同時焼成体を形成しているので、遷移元素の拡散が抑制される。
また、ペロブスカイト型酸化物aの粉末が、前記一般式(I)に示されるペロブスカイト型酸化物である場合、又は焼成により一般式(I)に示されるペロブスカイト型酸化物aが形成されるように配合された各種酸化物の粉末の混合物である場合には、酸化物イオン伝導率が高くなるので、発電能力により一層優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。また、一般式(I)におけるβは0.2より小さいので、焼成中に固体電解質層中にMgOが偏析し難く、MgOと固溶し易いNi等の遷移元素が固体電解質層に拡散することがより一層抑制される。
(5)空気極形成用スラリーの作製
LSC等の空気極を形成する材料に、必要に応じてAg等の他の粉末を混合し、バインダー、分散剤、可塑剤、及び溶媒を混合し、空気極形成用スラリーを作製する。
(6)未焼成空気極の作製
前記同時焼成体の表面を必要に応じてマスキングした後に、この同時焼成体を前記空気極形成用スラリーに浸漬させ、その後ゆっくりと引き上げることにより、同時焼成体における固体電解質層の表面に未焼成空気極の被膜が形成された未焼成空気極成形体が得られる。
(7)空気極の作製
その後、未焼成空気極成形体を、1100℃以下の条件下、好ましくは900℃〜1100℃の条件下で、未焼成空気極の被膜を焼き付けることにより、空気極が形成される。これにより、空気極、固体電解質層、及び燃料極を有する単セルが得られる。
未焼成空気極成形体を焼成する際に、未焼成空気極に含有されるCo等の遷移元素が固体電解質層に向かって拡散する。しかしながら、この発明の単セルの製造方法では、未焼成空気極成形体を、1100℃以下という比較的低い温度で焼成して単セルを形成しているので、遷移元素の拡散が抑制される。
また、ペロブスカイト型酸化物aの粉末が、前記一般式(I)に示されるペロブスカイト型酸化物である場合、又は焼成により一般式(I)に示されるペロブスカイト型酸化物aが形成されるように配合された各種酸化物の粉末の混合物である場合には、酸化物イオン伝導率が高くなるので、発電能力により一層優れた固体酸化物形電気化学セルを提供することができる。また、一般式(I)におけるβは0.2より小さいので、焼成中に固体電解質層中にMgOが偏析し難く、MgOと固溶し易いCo等の遷移元素が固体電解質層に拡散することがより一層抑制される。
前記単セルの製造方法によると、前述したように、燃料極及び空気極から固体電解質層への拡散を抑制することができるので、燃料極から空気極までの電子伝導パスの形成が抑制され、固体電解質層における第1領域の厚さが5μm以上である単セルを製造することができる。よって、短絡が抑制された単セルを製造することができる。また、前記単セルの製造方法において、ペロブスカイト型酸化物aの粉末として、一般式(I)に示されるペロブスカイト型酸化物を用いること等により、固体電解質層の酸化物イオン伝導率が向上され、また、燃料極及び空気極から固体電解質層への拡散をより一層抑制することにより電子伝導性の高い高伝導領域の形成が抑制された単セルを製造することができる。
次に、この発明の固体酸化物形燃料電池の一例について説明する。
図2に示すように、この実施形態の固体酸化物形燃料電池スタック31(以下、単に「燃料電池スタック」と称することがある。)は、直方体形状のブロックであり、この燃料電池スタック31では、多数の円筒形状の単セル1が軸方向に平行となるように配置される。例えば、図2では、単セル1が水平方向に3本、垂直方向に8本配置されている。図3に示すように、水平方向に並んだ3本の単セル1と絶縁性多孔体34と導電性集積用材料からなる導電性集積用材料層35の一部とによって、リアクターセル層状部43が形成される。また、単セル1の軸線方向の両側には、ガスのリークを防止するガスシール層33が形成される。
図3に示されるように、前記リアクターセル層状部43は、図の上下方向に平行に複数形成される。図3のリアクターセル層状部43における単セル1は、その周囲に配置された導電性集積用材料層35により電気的に接続されるとともに一体化される。また、導電性集積用材料層35は、絶縁性多孔体層34を間に挟みながら、上下方向に複数配置される。
図2及び図3に示されるように、単セル1は、細径及び長尺の円筒型の部材であり、中心部において燃料ガスが流される燃料ガス導通孔39が形成される。単セル1の断面形状における大きさは、特に制限されず、例えば、0.5mm以上2.0mm以下の外径を有する円形であればよい。
単セル1の一端部、例えば図4に示される単セル1の右側では、燃料極3が露出するまで固体電解質層2の一部が帯状に除去されている。この固体電解質層2が除去された部分には、燃料極3の露出部分を覆うように、金属シール層41が形成される。この金属シール層41は、ガスの流通を阻止するとともに燃料極3の集電用端子となる緻密な金属層であり、導電性シール材料によって帯状に形成される。
図5に示されるように、絶縁性多孔体34は、空気の流通が可能な板状の多孔質のセラミック部材である。この絶縁性多孔体34の上面には、単セル1が嵌め込まれる多数の配列溝25が平行に形成され、その下面には、他の絶縁性多孔体34の配列溝25に嵌り込んで位置決めする位置決め用凸部27が形成される。また、各配列溝25には、絶縁性多孔体の上下面を貫いて電気を導通するために、図6で示される電気接続パス42が設けられる連通孔32が形成される。なお、燃料電池スタック31の最上層の絶縁性多孔体34には配列溝25はなく、最下層の絶縁性多孔体34には位置決め用凸部27はない。
図2における矢印FGで示されるように、燃料電池スタック31を用いて固体酸化物形燃料電池の発電を行う際には、燃料ガス導通孔39の内部を、水素を含む燃料ガスが導通する。燃料ガス導通孔39において、燃料ガスは燃料極3と接触し、燃料ガス中の水素が固体電解質層から運ばれてくる酸化物イオンと反応し、水が発生する。また、図2における矢印AGで示されるように、燃料電池スタック31による発電時には、絶縁性多孔体34の外部から、単セル1の積層方向とは垂直な方向に、酸素を含む空気ガスが供給される。空気ガスは、絶縁性多孔体34、及び導電性集積用材料層35を透過して空気極4と接触する。空気極4において、酸素ガスに含まれる酸素分子から酸化物イオンが発生する。
図6に示されるように、燃料電池スタック31は、同図上側が負極であり、下側が正極となるように、リアクターセル層状部43が上下方向に組み付けられる。具体的に、単セル1は、絶縁性多孔体34の配列溝25の中に収容されるとともに、その周囲には導電性集積用材料層35が形成され、更に、導電性集積用材料層35は、絶縁性材料層40により図6における左右方向に分離されている。図6の左方向には、第1導電性集積用材料層35aが形成され、図6の右方向には、第2導電性集積用材料層35bが形成される。
図6に示されるように、導電性集積用材料層35は、金属シール層41の周囲に配置されて、金属シール層41と他の絶縁性多孔体34の電気接続パス42とを電気的に接続している。図6の左側に配置された第1導電性集積用材料層35aは、空気極4の周囲に配置され、図6の単セル1の下方向において空気極4と他の絶縁性多孔体34における電気接続パス42とを電気的に接続している。図6における矢印で示されるように、それぞれの単セル1において燃料極3から空気極4へと電子が伝達され、さらに電気接続パス42を通って隣り合う単セル1へと電子が流れることになる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池として、前述の燃料電池スタック31を用いることができる。より具体的には、燃料電池スタック31の正極側と負極側には集電部材が設けられ、集電部材に接続された導線等を通して、外部へと電力が取り出される。また、複数の燃料電池スタック31を所定方向に配列することにより電気的に接続した固体酸化物形燃料電池モジュールを、本発明に係る固体酸化物形燃料電池として用いることもできる。
前述したように、本発明の単セルは、Ni及びCo等の遷移元素の固体電解質層への拡散が抑制され、固体電解質層における第1領域の厚さが5μm以上あり、電子伝導性を有する領域の形成が抑制されている。したがって、前記単セルを有する燃料電池スタックによって発電を行う際に、空気極と燃料極との間における短絡の発生が抑制され、短絡による燃料電池スタックの起電力及び発電能力の低下が抑制される。
次に、燃料電池スタック31の製造方法の一例について説明する。
(1)絶縁性多孔体34の作製
例えば、酸化マグネシウム粉末と、セルロース系バインダーと、造孔材とを混ぜ、水を加えて混合して粘土状体を得る。この粘土状体を押出成形機に投入し、絶縁性多孔体34において配列溝や位置決め凸部27となる部分が形成されるようにシートを成形する。このシートを約1500℃の温度で焼成を行った後に、所定の寸法に切断し、連通孔を開けることによって、燃料電池スタック31を作製するのに適した形状の絶縁性多孔体34が形成される。
(2)導電性集積用材料層成形用ペーストの作製
例えば、LSCF粉末、α−テルピネオール、及びアミン系分散剤を混合することにより導電性集積用材料層成形用ペーストが得られる。
(3)絶縁性材料層成形用ペーストの作製
例えば、酸化マグネシウム、α−テルピネオール、及びアミン系分散剤を混合することにより絶縁性材料層成形用ペーストが得られる。
(4)燃料電池スタック31の組立
絶縁性多孔体34における所定の位置に、絶縁性材料層成形用ペーストを塗布する。次に、絶縁性材料層成形用ペーストの表面における所定の位置に、導電性材料層成形用ペーストを塗布する。さらに、絶縁性多孔体34の配列溝25に、単セル1を配置する。具体的には、単セル1には所定の位置に金属シール層41を設けておき、この金属シール層41の位置と絶縁性多孔体34における連通孔32の位置とが対応するように、単セル1を配置すればよい。単セル1が埋め込まれた絶縁性多孔体34同士を、多数積層することにより積層体が得られる。この積層体を、大気中において約1000℃で2時間焼成することにより、スタック体が得られる。
(5)ガスシール層33の形成
例えば、軟化点が700℃であり、平均粒子径が4μmの硼珪酸系ガラス粉末に、ポリビニルブチラール、アミン系分散剤、及び可塑剤を適量添加し、エタノールとトルエンを溶媒としてスラリーが得られる。得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法により厚さ約300μmのガラスシートを成形する。このガラスシートに、打ち抜き加工を行い、単セルが貫挿される多数の貫通孔が形成される。
また、前記ガラス粉末と、所定量、例えばガラスに対して10体積%の前記マグネシア粉末とに、エチルセルロース、アミン系分散剤を適量添加し、ブチルカルビトールを溶媒としてペーストを作製する。このペーストを、前記ガラスシートの一方の平面に塗布し、ペースト層が形成される。このペースト層を備えたガラスシートを、ペースト層をスタック体側に向けながら、貫通孔に単セルを通して、スタック体の端面に接合させる。その後、このスタック体をガラスの軟化点よりも高い温度で約2時間程度加熱し、ペースト層を軟化させて、ガラスシートをスタック体に強固に接合させることにより、スタック体の端面にガスシール層が接合された燃料電池スタック31が得られる。
次に、この発明の高温水蒸気分解装置の一例について説明する。
本発明の固体酸化物形燃料電池において、電池の発電時とは逆方向に電流を通電可能な外部電源を、燃料電池の正極及び燃料電池の負極に接続することによって、高温水蒸気電気分解装置が得られ、それぞれ陽極及び陰極として機能する。高温水蒸気電気分解装置では、約900℃前後の高温条件下において、水蒸気を吹き込みながら外部電源によって燃料極及び空気極に通電することにより、水分子が分解される。具体的には、燃料極において水分子由来の水素ガスが取り出され、空気極において水分子由来の酸素ガスが取り出される。
本発明に係る高温水蒸気電気分解装置は、第1領域の厚さが5μm以上である固体電解質層を備えた単セルを有するので、水蒸気の分解中において短絡による高温水蒸気電気分解装置の水素製造ロス等が抑制されると共に、水蒸気の分解能に優れる。
(実施例1)
<試験体の作製>
酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニア(以下、「YSZ」と称することがある。)との混合粉末を、製造後の燃料極が還元された状態においてNi:YSZ=50:50(体積%)の比率となるように、酸化ニッケルとYSZとを秤量し、混合することにより作製した。この秤量した混合粉末に、セルロース系バインダーと、造孔材としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)のビーズ粉末とを加え、十分に混合した後、水を添加して粘土体を得た。前記ビーズ粉末の添加量は、製造後の燃料極において、NiO及びYSZの体積に対し気孔の体積が60%となるように調節した。粘土体を、押出成形機に投入して、外径12.5mmの円筒状の未焼成燃料極を作製した。
一方、固体電解質層を形成するために、表1に示すペロブスカイト型酸化物aの粉末と、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤とを、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、固体電解質層形成用スラリーを作製した。
前記未焼成燃料極を所定の長さに切断し、固体電解質層を形成しない位置にマスキングを行った後、固体電解質層形成用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、未焼成燃料極の表面に未焼成固体電解質層の被膜を形成した。その後、表1に示す1320℃〜1350℃の温度範囲の所定の温度にて、未焼成燃料極及び未焼成固体電解質層を同時焼成することにより、燃料極及び固体電解質層からなる同時焼成体を得た。
次に、空気極を形成するために、La0.6Sr0.4CoO3−δ(以下、「LSC」と称することがある。)の粉末に、ポリビニルブチラールと、アミン系分散剤と、可塑剤とを、メチルエチルケトン及びエタノールを溶媒として混合し、空気極形成用スラリーを作製した。
空気極を形成しない位置にマスキングを行った後、空気極形成用スラリーに浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、同時焼成体における固体電解質層の表面に未焼成空気極の被膜を形成した。その後、表1に示す1100℃〜1150℃の温度範囲の所定の温度にて、未焼成空気極の被膜を焼き付けることにより、燃料極、固体電解質層、及び空気極を有する単セルを得た。
得られた単セルの燃料極の露出部分に銀線を巻き付け、アノード端子を形成した。次に、単セルの空気極のみを白金網で覆い、白金網上に銀線を接続し、白金網上に集電用の導電性ペーストを塗布して電気炉で焼付け、カソード端子を形成し、発電評価形態の試験体を作製した。
<試験体の起電力及び発電能力の測定>
作製した発電評価形態の試験体を、電気炉内に設置後、アノード端子とカソード端子を電圧計及びインピーダンス測定装置(solartron製SI1287、1255B)に接続した。次に、燃料極側に窒素ガス、空気極側に空気を連続して流した状態で、電気炉の炉内温度を700℃まで昇温した後、燃料極側の窒素ガスを水素ガスに切り替えて燃料極の還元処理を行った。還元処理後、炉内温度を500℃まで降温し、500℃における開回路起電力及び電流を50mA/cmで通電したときの発電出力を測定した。これらの結果を表1に示す。
開回路起電力及び発電出力を測定後、燃料極側に水素ガスを流した状態で、炉内温度を室温まで降温した。
<ペロブスカイト型酸化物aの同定>
電気炉から取り出した試験体をエポキシ樹脂に埋めて、単セルの軸線に直交する方向に切断し、燃料極、固体電解質層、及び空気極が露出する切断面を形成した。この切断面に機械研磨を施した後、クロスポリッシャー加工にて平滑な面を形成した。得られた平滑面において、固体電解質層をX線回折装置(XRD)にて分析したところ、ペロブスカイト型酸化物aが同定された。
<固体電解質層、及び第1領域〜第3領域の厚さの測定>
前記平滑面にカーボン蒸着を施すことにより、元素分析をするための分析面を得た。元素分析には、波長分散型X線分光器(WDS)を搭載した電子プローブマイクロアナライザ(FE−EPMA)を使用し(日本電子株式会社製、JXA−8500F)、加速電圧15kV、照射電流50nAにて元素分析を行った。
試験番号3〜6の試験体について前記分析面における固体電解質層の中央付近において元素分析を行ったところ、原料として使用したペロブスカイト型酸化物aに含まれる元素の原子数比と、ほぼ同じであった。
燃料極から固体電解質層へのNiの拡散距離を示す第2領域の厚さdは、前述したように、燃料極と固体電解質層との界面Fから空気極と固体電解質層との界面Fに向かって、前記界面Fに垂直な直線L上を1μm間隔でWDSにより点分析を行った。Niの質量の割合Rfは、直線L上を界面Fから界面Fに向かって分析を進めるにつれて減少し、0.5質量%以下となる分析点に到達したとき、その分析点の前の分析点から界面F上の分析点までの距離を測定し、これを第2領域の厚さdとした。
空気極から固体電解質層へのCoの拡散距離を示す第3領域の厚さdは、第2領域の厚さdと同様にして界面F上の分析点から直線L上を界面Fに向かって点分析を行った。Coの質量の割合Raが0.5質量%以下となる分析点に到達したとき、その分析点の前の分析点から界面F上の分析点までの距離を測定し、これを第3領域の厚さdとした。
なお、前記割合Rf及びRaは、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量を基準にして算出した。
第1領域の厚さdは、界面Fと界面Fとの距離dと、第1領域の厚さd及び第2領域の厚さdの合計との差(d=d−(d+d))により求めた。これらの結果を表1に示す。
Figure 2017021945
表1に示すように、本発明の範囲内にある試験番号1〜7の試験体は、通常要求される1.00V以上の開回路起電力が得られると共に、10mW/cm以上の発電出力が得られた。
一方、本発明の範囲外にある試験番号8の試験体は、開回路起電力が1.00Vより低く、また、発電出力も測定不能であった。試験番号8の試験体は、同時焼成温度が1320℃より高いため、燃料極からNiが拡散して第2領域の厚さが大きくなり、また、空気極焼成温度が1100℃より高いため、空気極からCoが拡散して第3領域の厚さが大きくなったことから、第1領域の厚さが0μmとなり、固体電解質層内で短絡が発生し、それによって開回路起電力が小さくなっていることが分かる。また、固体電解質層内での短絡の発生によって発電出力の測定が不能となっている。
また、本発明の範囲外にある試験番号9の試験体は、1.00V以上の開回路起電力が得られている一方で、発電出力が他の試験体に比べて小さかった。試験番号9の試験体は、試験番号8の試験体と同様に、第2領域及び第3領域の厚さが大きいが、それ以上に固体電解質層の厚さが大きいので、第1領域の厚さが5μm以上ある。そのため、固体電解質層内で短絡が発生せずに高い開回路起電力が得られている。一方、試験番号9の試験体は、固体電解質層の厚さが100μmより大きく、他の試験体に比べて抵抗が大きいこと、及び第2領域及び第3領域の厚さが大きく酸化物イオン伝導性が低下することから発電出力が小さくなっていることが分かる。
試験番号1及び試験番号2の試験体は、固体電解質層を構成するペロブスカイト型酸化物aにおけるMgの原子数がGaとMgとの原子数の合計を1としたときに0.2であり、前記一般式(I)を満たしていない。熱処理条件下においてNi及びCoはMgOと固溶するため、Mgの含有率の大きい試験番号1及び試験番号2の試験体は、固体電解質層中にMgOが偏析し易く、Ni及びCoを引き寄せる力が大きくなる。そのため、第2領域及び第3領域それぞれの厚さが、前記一般式(I)を満たす試験番号3〜6に比べて大きいと考えられる。
試験番号7の試験体は、固体電解質層を構成するペロブスカイト型酸化物aがMgを含有しないため、Ni及びCoを引き寄せる力が小さく、第2領域及び第3領域それぞれの厚さが小さい。一方で、ペロブスカイト型酸化物aがMgを含有しないため、酸化物イオン伝導性が低下し、その結果、発電出力が試験番号1〜6に比べて小さい。
試験番号3〜6の試験体は、固体電解質層を構成するペロブスカイト型酸化物aが前記一般式(I)を満たしているので、Ni及びCoの拡散が抑制され、第2領域及び第3領域それぞれの厚さが20μm以下である。したがって、試験番号3〜6の試験体は、短絡を抑制しつつ固体電解質層をより薄く形成することができ、高い開回路起電力と発電出力とを得ることができる。
試験番号1と2とを比較すると、試験番号2に比べて試験番号1の同時焼成時の温度が低いことから、Niの拡散が抑制され、第2領域の厚さが小さくなっている。したがって、同時焼成時の温度の低い試験番号1の試験体は、短絡を抑制しつつ固体電解質層をより薄く形成することが可能であり、また、電子伝導性の高い高伝導領域の形成を抑制することができ、高い発電出力が得られる。
試験番号4と5とを比較すると、試験番号5に比べて試験番号4の空気極焼成時の温度が低いことから、Coの拡散が抑制され、第3領域の厚さが小さくなっている。したがって、空気極焼成時の温度の低い試験番号4の試験体は、短絡を抑制しつつ固体電解質層をより薄く形成することが可能であり、また、電子伝導性の高い高伝導領域の形成を抑制することができ、高い発電出力が得られる。
1 単セル
2 固体電解質層
3 燃料極
4 空気極
25 配列溝
27 位置決め用凸部
31 固体酸化物形燃料電池スタック
32 連通孔
33 ガスシール層
34 絶縁性多孔体
35 導電性集積用材料層
35a 第1導電性集積用材料層
35b 第2導電性集積用材料層
39 燃料ガス導通孔
40 絶縁性材料層
41 金属シール層
42 電気接続パス
43 リアクターセル層状部

Claims (10)

  1. 固体電解質層と、前記固体電解質層の一方の側に形成されてなる燃料極と、前記固体電解質層の他方の側に形成されてなる空気極とを有する固体酸化物形電気化学セルであって、
    前記燃料極は、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有し、
    前記空気極は、Mn、Fe、Co、Ni、及びCuのうちの少なくとも1つの遷移元素を含有し、
    前記固体電解質層は、自身の厚さが100μm以下であり、Gaを含有するペロブスカイト型酸化物aを有し、前記固体電解質層の切断面を電子線プローブマイクロアナライザーに付属の波長分散型X線分光器により点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、前記燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下であり、かつ、前記空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%以下である第1領域を有し、前記固体電解質層の膜厚方向における前記第1領域の厚さが5μm以上であることを特徴とする固体酸化物形電気化学セル。
  2. 前記ペロブスカイト型酸化物aは、(La1−αSrα)(Ga1−βMgβ)O3−δ(0.05≦α<0.2、0.05≦β<0.2)であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  3. 前記固体電解質層は、前記固体電解質層の切断面を電子線プローブマイクロアナライザーに付属の波長分散型X線分光器により点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、前記燃料極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%を超える第2領域を有し、前記固体電解質層の膜厚方向における前記第2領域の厚さが20μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  4. 前記燃料極に含まれる遷移元素のうち、少なくとも1つは、Niであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  5. 前記固体電解質層は、前記固体電解質層の切断面を電子線プローブマイクロアナライザーに付属の波長分散型X線分光器により点分析したときに、検出された全元素のうち原子番号1〜8の元素を除く元素の合計質量に対する、前記空気極に含まれる遷移元素と同じ種類の遷移元素の合計質量の割合が0.5質量%を超える第3領域を有し、前記固体電解質層の膜厚方向における前記第3領域の厚さが20μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  6. 前記空気極に含まれる遷移元素のうち、少なくとも1つは、Coであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セル。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルの製造方法であって、前記燃料極となる未焼成燃料極の表面に前記固体電解質層となる未焼成固体電解質層を形成し、1320℃以下の温度で焼成して同時焼成体を形成する工程を有することを特徴とする固体酸化物形電気化学セルの製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルの製造方法であって、前記同時焼成体の表面に前記空気極となる未焼成空気極を形成し、1100℃以下の温度で焼成する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の固体酸化物形電気化学セルの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  10. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形電気化学セルを有することを特徴とする高温水蒸気分解装置。
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