JP2017021681A - 指滑り層形成用樹脂組成物、指滑りフィルム及びそれを用いた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
0.06≦Ra≦0.13・・・式(I)
0.02≦Sm≦0.05・・・式(II)
指滑り層形成用樹脂組成物は、タッチパネル等の画像表示装置の表面に設けられる指滑りフィルムの表面に形成される指滑り層を形成するための樹脂組成物であり、(a)シリカ微粒子、(b)透光性有機微粒子、(c)紫外線硬化型樹脂、(d)フッ素含有紫外線硬化型樹脂、(e)アクリル基を有するポリジメチルシロキサン及び(f)光重合開始剤を含む。
(a)シリカ微粒子は、平均粒子径が0.01μm以上0.10μm以下である。シリカ微粒子は、典型的には球形である。シリカ微粒子の平均粒子径が0.01μm未満の場合、粒子が凝集しやすく、均一な指滑り性を発現しにくいことがある。一方、平均粒子径が0.10μmを越えると可視光が散乱しやすいため、ヘイズが上昇することがある。
(b)透光性有機微粒子は、平均粒子径が0.5μm以上1.3μm以下である。透光性有機微粒子は、球形であり、平均粒子径が0.01μm以上0.10μm以下である(a)シリカ微粒子に比べて粒子径が大きい。平均粒子径が0.5μm以上1.3μm以下である透光性有機微粒子により指滑りフィルムの表面に凹凸形状が形成される。平均粒子径Pdiaが0.5μm未満の場合、表面凹凸(≒Ra)が小さくなりすぎるため、指滑り性が悪化する。一方、平均粒子径Pdiaが1.3μmを超えると、表面の凹凸間隔(≒Sm)が大きくなるため、指との接触面積が大きくなるので指滑り性が低下する。0.5μm≦Pdia≦1.3μmに制御すると、表面凹凸(≒Ra)の大きさと表面の凹凸間隔(≒Sm)を適度に調整することができる。
(c)紫外線硬化型樹脂としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性官能基や、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーを単独で、または適宜混合した組成物が用いられる。モノマーの例としては、アクリル酸メチル、メチルメタクリレート、メトキシポリエチレンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、多官能ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキットアクリレート、メラミンアクリレート、シリコーンアクリレート等のアクリレート化合物、不飽和ポリエステル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を挙げることができる。これらは単独、もしくは複数混合して使用することができる。
(d)フッ素含有紫外線硬化型樹脂は、防汚性機能を発現するためのものであり、指滑り層表面を触った際に付着する指紋の付着性を弱めることができる。(d)フッ素含有紫外線硬化型樹脂の例としては、具体的には、下記化学式(1)で示されるものや下記化学式(2)に示されるものが挙げられる。
(e)アクリル基を有するポリジメチルシロキサンは、指滑り層表面に付着した指紋の拭取り性を向上するためのものである。
(f)光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により指滑り層形成用樹脂組成物を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。(f)光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
指滑りフィルムは、透明基材フィルムをベースとし、その少なくとも一方の面にハードコート層及び指滑り層がこの順で積層されている。
透明基材フィルムは、無色透明であれば特に制限されない。そのような透明基材フィルムを形成する材料としては、例えばトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート樹脂、又はポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォンなどがある。これらのうち、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレートが、汎用性が高い点で好ましい。これらの透明基材フィルムの589nmの光に対する屈折率は、概ね1.47〜1.70である。
透明基材フィルムと指滑り層の間には、指すべりフィルムの表面硬度を高めるために、ハードコート層が設けられる。
指滑り層は、指滑り層形成用樹脂組成物を紫外線によって硬化させて形成されたものである。指すべり層は、表面に微細な凹凸を有し、その凹凸により指の接触面積を低下させて摩擦力を低減するとともに、指滑り性を高める。また、指滑り層は、表面自由エネルギーが低く設計されているため、付着した指紋が拭取りやすいという機能も有している。
0.06≦Ra≦0.13・・・式(I)
0.02≦Sm≦0.05・・・式(II)
Ra<0.06の場合、指の接触面積が高くなるため、指滑り性が悪くなる。Ra>0.13の場合、クリア感が無くなる傾向が見られる。Sm<0.02の場合、ヘイズが高くなるため、クリア感がなくなる傾向が見られる。Sm>0.05の場合、指の接触面積が高くなるため、指滑り性が悪くなる。
指滑り層及びハードコート層の形成方法は特に制限されず、例えば、ウェットコーティング法の塗布方法により、各層形成用樹脂組成物を適宜溶剤で希釈して調整した各塗液を透明基材フィルムに、塗布し、硬化させる方法を採用することができる。塗布方法としては、生産性や生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、ダイコート法、スピンコート法、そしてディップコート法等が代表的なものとして挙げられる。これらの中では、ロールコート法等、連続的に塗膜を形成できる方法が生産性の点より好ましい。形成された塗膜は、加熱や紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射によって硬化反応を行うことにより硬化被膜を形成することができる。
上記指滑りフィルムを画面の表面に備える画像表示装置は、画面にてクリア感を保ちつつフリック時の指の滑り易さを良好にすることができ、また、付着した指紋を拭取りやすくすることができる。画像表示装置としては、例えば、カーナビ、スマートフォン、モバイルPC、電子黒板のディスプレイなどが挙げられる。指滑りフィルムは、OCA(optical clear adhesive)を介して画像表示装置の観察側の表面に貼り合わせたり、偏光フィルムとして観察側の表面に装着される。指滑りフィルムを偏光フィルムとして使用する場合の形態について説明すると、偏光フィルムは一般に、ヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の少なくとも片面に、保護フィルムが積層された形のものが多いが、このような偏光フィルムの一方の面に、上記指滑りフィルムを貼合すれば、指滑り効果のある偏光フィルムとなる。また、上記指滑りフィルムを保護フィルムと兼用し、その指滑り層が積層された一方の面が外側となるよう偏光子の片面に貼合することによっても、指滑り効果のある偏光フィルムとすることができる。
〔指滑り層形成用樹脂組成物〕
指滑り層形成用樹脂組成物として次の原料を使用し、各原料を下記表1及び表2に記載した組成にて、(a)シリカ微粒子、(b)透光性有機微粒子、(c)紫外線硬化型樹脂、(d)フッ素含有紫外線硬化型樹脂、(e)アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、(f)光重合開始剤、とを混合し、実施例と、比較例の指滑り層形成用樹脂組成物を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。
(a)シリカ微粒子
シリカ超微粒子(粒子径100nm)CIKナノテック(株)製「SIMIBK15WT%-H58」
シリカ超微粒子(粒子径15nm)日産化学工業(株)製「MIBK-ST」
比較例1−1では、シリカ微粒子に替えてジルコニア微粒子(粒子径15nm)CIKナノテック(株)製「ZRMEK25wt%−F47」
(b)透光性有機微粒子
架橋アクリル重合樹脂の微粒子〔綜研化学(株)製、MX80H3wT、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径は0.8μm〕
アクリル重合樹脂の微粒子〔日本ペイント(株)製、FS-501、平均粒子径は0.5μm〕
架橋アクリル重合樹脂の微粒子〔積水化学工業(株)製、SSX-101、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径は1.0μm〕
ポリスチレンの微粒子〔綜研化学(株)製、SX-130H、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径は1.3μm〕
架橋アクリル重合樹脂の微粒子〔綜研化学(株)製、MX-150、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径は1.5μm〕
(c)紫外線硬化型樹脂
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」
多官能ウレタンアクリレート 日本合成化学工業(株)製「紫光UV−7600B」
(d)フッ素含有紫外線硬化型樹脂
ダイキン工業(株)製「オプツールDAC−HP」
DIC(株)製「メガファックRS−75」
(e)アクリル基を有するポリジメチルシロキサン
ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK−UV 3570」アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン
ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK−UV 3500」アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
(f)光重合開始剤
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE907(I−907)」
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE2959(I−2959)」
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE184(I−184)」
〔透明基材フィルム〕
各実施例及び比較例において、透明基材フィルムとしては、以下のものを使用した。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET):
東レ(株)製「U403」 厚み100μm
HC−1:アクリル基を有する紫外線硬化型ハードコート剤「アイカアイトロンZ735HSL」(アイカ工業(株)製)
HC−2:アクリル基を有する紫外線硬化型ハードコート剤ハードコート剤「オプスターZ7503」(JSR(株)製)
HC−3:4級アンモニウム塩及びアクリル基を有する紫外線硬化型ハードコート剤「リオデュラスLAS1303NL」(東洋インキ(株)製)
東レ(株)製ポリエチレンテレフタレートフィルム「U403、100μm」の一面に、アクリル基を有するアイカ工業(株)製ハードコート剤「アイカアイトロンZ735HSL」(HC−1)をバーコーターにて塗布、乾燥、硬化し、硬化後の膜厚(粒子を避けて測定した膜厚)が4μmとなるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させ、表面抵抗率が1E+9Ωとなるハードコート層をポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成した。
指滑り層形成用樹脂組成物として表3及び表4に記載した組成、及び構成にて実施例2−1と同様に、ハードコート層及び指滑り層を形成し指滑りフィルムを作製した。
(1)反射分光膜厚計〔FE3000,大塚電子(株)製〕によって、粒子による突出(凸)のない部分の反射スペクトルを測定し、下記<硬化後の各層組成物屈折率>に記載の手順にて求めたハードコート層の硬化後の膜の屈折率を基に、得られた反射スペクトルからピークバレイ法によってハードコート層及び指滑り層の合計膜厚(ii)を算出し、下式(A)にて指滑り層の膜厚を算出した。
指滑り層の膜厚(iii)=(ハードコート層及び指滑り層の合計膜厚(ii)−ハードコート層の膜厚(i))× ハードコート層の屈折率/指滑り層の屈折率 (式A)
(1)PETフィルム〔商品名「A4100」、東洋紡(株)製〕の易接着層が無い面上に、バーコーターにより、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜1000nmになるように層の厚さを調整して塗布した。乾燥後、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して硬化し、屈折率測定用フィルムを作製した。
(2)作製したフィルムの裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔FE3000、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c (式1)
なお、指滑り層の屈折率は、指滑り層を構成する組成物のうち、大径粒子を除く組成物を硬化して硬化膜を形成し、その硬化膜の反射スペクトルを測定することで算出した。
反射分光膜厚計(FE3000、大塚電子製)によって、粒子による突出(凸)のない部分の反射スペクトルを測定し、<硬化後の各層組成物屈折率>に記載の手順にて求めたハードコート層の硬化後の膜の屈折率を基に、得られた反射スペクトルからピークバレイ法によって算出した。
(株)小坂研究所製、表面粗さ測定機、サーフコーダSE500を使用し、走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B 0601−1994の規定に準拠して算術平均粗さRa(μm)、凹凸の平均間隔Sm(mm)を測定した。
JISK7125−1999に準拠した測定方法にてウレタンエラストマー素材の人工皮膚モデル(商品名:バイオスキンプレート プレート#BSカラー1、ビューラックス株式会社製)に対する動摩擦係数を測定した。
(1)<透過像鮮明度、45°反射像鮮明度>
JIS K 7105−1981に基づく像鮮明度測定装置〔スガ試験機(株)製の写像性測定器、ICM−1T〕を用いて1mmの幅を有する光学くしを通して像鮮明度の値(透過像鮮明度)(%)及び45°反射で測定される像鮮明度の値(45°反射像鮮明度)(%)を測定した。透過像鮮明度及び45°反射像鮮明度は、数値が大きいほどクリア感に優れる。
ヘイズメーター〔日本電色工業(株)製、NDH2000〕を使用し、光学特性としてのヘイズ値(%)を測定した。
付着した指紋に対して、東レ製トレシーにより200gf/cm2の荷重にて空拭きを実施し、指紋が目視にて見えなくなるのに必要な空拭き回数をカウントした。
○:20往復以下、×:21往復以上 として判定した。
荷重は750gとし、JIS K 5600に準拠し評価した。
Claims (4)
- (a)平均粒子径が0.01〜0.10μmであるシリカ微粒子8.0〜74.0質量%、
(b)平均粒子径(Pdia)が0.5〜1.3μmである透光性有機微粒子1.0〜9.0質量%、
(c)紫外線硬化型樹脂8.0〜74.0質量%、
(d)フッ素含有紫外線硬化型樹脂1.5〜15.0質量%、
(e)アクリル基を有するポリジメチルシロキサン0.8〜11.0質量%、
(f)光重合開始剤0.1〜12.0質量%
(但し、(a)(b)(c)(d)(e)(f)の合計は、100質量%である。)
を含み、
(e)の質量%が、(d)の質量%より少ないことを特徴とする指滑り層形成用樹脂組成物。 - 透明基材フィルムにハードコート層、指滑り層がこの順で積層されており、前記指滑り層は、請求項1に記載の指滑り層形成用樹脂組成物を硬化させてなり、前記指滑り層の膜厚tと前記透光性有機微粒子の平均粒子径Pdiaの比t/Pdiaが0.1≦t/Pdia≦0.9であることを特徴とする指滑りフィルム。
- 表面形状において、JIS B0601−1994に定義される算術平均粗さRa及び凹凸の平均間隔Smが下式(I)及び(II)を満足することを特徴とする請求項2に記載の指滑りフィルム。
0.06≦Ra≦0.13・・・式(I)
0.02≦Sm≦0.05・・・式(II) - 請求項2または請求項3に記載の指滑りフィルムを表面に備える画像表示装置。
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