JP2017020621A - ボルトナット構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボルトナット構造1は、外周22aに雄ねじ部221を有するボルト2と、内周31aに雌ねじ部311を有し、ボルト2に螺合されるナット3とを含む。雄ねじ部221には、軸方向Xに沿って延びる第1の縦溝222が複数設けられている。雄ねじ部221には、第1の縦溝222が周方向Yに密集して並べられた縦溝密集部225が設けられている。雌ねじ部311には、軸方向Xに沿って延びる第2の縦溝312が設けられている。ボルト2にナット3を螺合した状態で、複数の前記第1の縦溝222のうちの一つと第2の縦溝312とによって区画される筒状空間に、座金付きピン4の挿入ピン部42が圧入される。
【選択図】図1
Description
下記特許文献1に開示された緩み止め構造は、ナットの雌ねじ部内周に長手方向に延びる凹所を形成し、かつボルトの雄ねじ部に円筒面を削ぎ落として形成した平面からなる回り止め部を形成している。雌雄のねじ部の螺合状態において、回り止めピンを凹所に挿入することにより、雌雄のねじ部の緩み方向への回動時に凹所に保持されている回り止めピンが回り止め部の周方向端部に係合し、これにより、ナットのボルトに対する回動が規制され、ボルトとナットとがそれ以上緩むことが防止される。
この構成によれば、縦溝密集部の周方向角度幅は、互いに隣り合う第2の縦溝同士の周方向角度間隔よりも長く設けられている。そのため、ボルトにナットを螺合した状態では、いずれかの第1の縦溝が第2の縦溝に確実に対向している。したがって、ボルトとナットとの相対回転姿勢によらずに筒状空間を設けることができ、ボルトおよびナットの締め込み位置においても筒状空間を設けることができる。そのため、ボルトおよびナットの緩み止めを、ボルトおよびナットの締め込み位置で行うことができる。これにより、締め込み位置でボルトおよびナットの緩み止めを確実に実現できるボルトナット構造を提供できる。
この構成によれば、第2の縦溝は断面半円形をなし、各第1の縦溝は断面円弧状をなしているので、互いに対向する第1および第2の縦溝によって、略円筒形の筒状空間が形成される。この略円筒形の筒状空間に、断面円形の外周を有する挿入ピンが挿入されることにより緩み止めが達成される。挿入ピンの外周が断面円形であるので、挿入ピンを挿入する際に、その回転姿勢を合わせる必要がない。これにより、ボルトおよびナットの緩み止めを、より簡単に行うことができる。
請求項4に記載の発明は、各第1の縦溝(222;312)は断面半円形をなしている、請求項3に記載のボルトナット構造である。
この構成によれば、各第1の縦溝が断面半円形をなしているので、各第1の縦溝の溝深さが深い。そのため、挿入ピンと第1の縦溝とを確実に係合させることができる。これにより、ボルトおよびナットの緩み止めをより強固に実現できる。
この構成によれば、各第1の縦溝が、断面半円よりも狭い角度幅を有する断面円弧状をなしているので、第1の縦溝を断面半円形とする場合と比較して、第1の縦溝一つ当りの周方向角度幅が短い。しかも、請求項5では、周方向に隣り合う第1の縦溝が、その間に隙間を空けずに配置されている。したがって、縦溝密集部に多数個の第1の縦溝を設けることができる。
請求項6に記載の発明は、前記ボルトと前記ナットとの間に介装される座金(41)をさらに含み、前記挿入ピンは、挿入側と反対側の端部(42b)が前記座金に接続されている挿入ピン部(42)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のボルトナット構造である。
請求項7に記載の発明は、前記ボルトには、当該ボルトの内部を軸方向に交差する方向に沿って貫通し、前記挿入ピンが挿通する貫通穴(223)が形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のボルトナット構造(1D)である。
前記座金は、前記ボルトおよび前記ナットを軸方向に押し付ける反発力を発生するスプリングワッシャ(43)を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のボルトナット構造(1C)である。
この構成によれば、スプリングワッシャによってボルトおよびナットを軸方向に押し付ける。そのため、雌雄のねじ部の緩み止め位置が、所期の締め込み位置から緩み方向に微小量ずれる場合であっても、ボルトとナットとの間の締め付け力を強く確保できる。
この構成によれば、挿入ピンを筒状空間に圧入できるので、挿入後に筒状空間に係止される。そのため、挿入ピンがボルトおよびナットから離脱するおそれがない。
請求項10に記載のように、前記第1の縦溝(222;222A)は、前記雄ねじ部に形成されており、前記第2の縦溝(312)は、前記雌ねじ部に形成されていてもよい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るボルトナット構造1の構成を示す分解斜視図である。図2Aは、ボルト2の軸部22の断面図である。図2Bは、図2Aを矢視IIBから見た図である。図3は、ナット3の平面図である。図4は、座金付きピン4を説明するための斜視図である。
図1に示すように、ボルトナット構造1は、ボルト2と、ボルト2に螺合されるナット3と、ボルト2とナット3との間に介装される座金付きピン4とを含む。
ボルト2は、頭部21と軸部22とを有する一体物である。軸部22の外周22aには、雄ねじ部221が形成されている。雄ねじ部221は、軸部22の外周22aの全域に設けられている。ボルト2の材質は、鋼材等の金属材料であってもよいし、樹脂材料であってもよい。
図5は、被締結部材5を挿通したボルト2にナット3を螺合している第1の状態を示す断面図である。図6は、第1の状態における、第1の縦溝222と第2の縦溝312との間の位置関係を示す断面図である。
したがって、ボルト2とナット3との相対回転姿勢によらずに筒状空間SPを設けることができ、ボルト2およびナット3の締め込み位置においても筒状空間SPを設けることができる。これにより、ボルト2およびナット3の締め込み位置でボルト2およびナット3の緩み止めを達成することができる。以上により、締め込み位置でボルト2およびナット3の緩み止めを確実に実現できるボルトナット構造1を提供できる。ゆえに、ボルトナット構造1を被締結部材5に取り付けた状態で、ボルトナット構造1が被締結部材5に対してガタつくことを防止できる。
これに対し、この実施形態では、ボルト2にナット3を螺合した状態でいずれかの第1の縦溝222が第2の縦溝312に確実に対向するために、第2の縦溝312を目印として、当該第2の縦溝312に挿入ピン部42を挿入できる。そのため、第1および第2の縦溝222,312同士の周方向Yの位置合わせを行う等の煩雑な作業を行う必要がない。これにより、ボルト2およびナット3の緩み止めを簡単な作業で実現できる。
また、第1および第2の縦溝222,312が断面略半円形をなしているので、互いに対向する第1および第2の縦溝222,312によって、略円筒形の筒状空間SPが形成される。この略円筒形の筒状空間SPに、円形の外周を有する挿入ピン部42が挿入されることにより緩み止めが達成される。挿入ピン部42の外周が円形であるので、挿入ピン部42を挿入する際に、その回転姿勢を合わせる必要がない。これにより、ボルト2およびナット3の緩み止めを、より簡単に行うことができる。
また、金属材料からなる挿入ピン部42が可撓性を有しかつ剛性を有しているので、挿入ピン部42は塑性変形可能である。また、挿入ピン部42が座金部41に一体的に設けられており、かつ座金部41はボルト2の頭部21とナット3との間に固定されている。したがって、挿入ピン部42の収容空間SPへの挿入状態においては、挿入ピン部42が当該挿入に適した挿入姿勢に塑性変形する。換言すると、この挿入状態においては、挿入ピン部42が前記の挿入姿勢に塑性変形し、かつ、挿入ピン部42が座金部41によって静止状態で保持されている。
図10は、本発明の第2の実施形態に係るボルト2Aの軸部22の断面図である。
本発明の第2の実施形態に係るボルトナット構造1Aが、第1の実施形態に係るボルトナット構造1と相違する点は、第1の縦溝の形状である。
図10に示すように、ボルト2Aの軸部22には、縦溝密集部225が形成されている。縦溝密集部225は、複数の第1の縦溝222Aを含む。周方向Yに隣り合う前記第1の縦溝222Aは、その間に隙間を空けずに配置されており、各第1の縦溝222Aは、断面半円よりも狭い角度幅を有する断面円弧状をなしている。より具体的には、第1の縦溝222Aの断面形状は、図10に破線で示すように、同径を有する円を周方向Yに、互いに重なり合うように並べ(当該円の直径よりも狭い間隔で当該複数の円を並べ)、その重複部分を切り取ったような形状を有している。
この第2の実施形態によれば、第1の縦溝222A同士の間隔を短く設けることができるので、雌雄のねじ部221,311のより厳密に締め込み位置に近い層位置で、ボルト2およびナット3の緩み止めを実現できる。
第3の実施形態において、前述の第1の実施形態に示された各部に対応する部分には、図1〜図9の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。なお、図11では、座金付きピン4の図示を省略している。
ボルト2Bの軸部22Bの外周の全域には、雄ねじ部221が形成されている。ボルト2の雄ねじ部221には、軸方向Xに沿って延びる第2の縦溝222Bが複数(たとえば6つ)設けられている。複数の第2の縦溝222Bは、周方向Yに等間隔に配置されている。各第2の縦溝222Bは断面略半円形をなしている。第2の縦溝222Bは、第1の実施形態の第2の縦溝312と同様の機能を有する。
複数の第1の縦溝312は、密集して設けられている。隣り合う第1の縦溝312は、互いに周方向Yに連続している。換言すると、ナット3の雌ねじ部311には、第1の縦溝312が周方向Yに密集して並べられた縦溝密集部313が、周方向Yの一箇所に偏って配置されている。周方向Yに隣り合う第1の縦溝312は、その間に微小隙間を空けて配置されている。各第1の縦溝312は、第2の縦溝222Bと略同径の断面略半円形をなしている。第1の縦溝312Bは、第1の実施形態の第1の縦溝222と同様の機能を有し、縦溝密集部313は、縦溝密集部225と同様の機能を有する。
筒状空間に挿入される、挿入ピン部42(図4等参照。少なくとも他端部42a)の外径は、円筒状の当該筒状空間の径と、同じかやや大きく設定されている。そのため、挿入ピン部42の他端部42aが当該筒状空間に圧入状態で挿入され、当該筒状空間内に係止される。
第4の実施形態において、前述の第1の実施形態に示された各部に対応する部分には、図1〜図9の場合と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
本発明の第4の実施形態に係るボルトナット構造1Cが、第1の実施形態に係るボルトナット構造1と相違する点は、座金付きピン4に代えて、座金付きピン4Cを設けた点である。座金付きピン4Cは、座金部としてスプリングワッシャ部43を備える点で座金付きピン4と相違している。
図13は、本発明の第5の実施形態に係る挿入ピン42Dの構成を示す図である。図14は、本発明の第5の実施形態に係るボルトナット構造4Dの構成を示す斜視図である。図15は、本発明の第5の実施形態に係るボルト2Dの軸部22Dの要部の断面図である。
本発明の第5の実施形態に係るボルトナット構造1Dが、第1の実施形態に係るボルトナット構造1と相違する一の点は、挿入ピン42Dが座金に接続されていない点である。この点を除き、挿入ピン42Dは、挿入ピン部42と同様の構成を有している。なお、図示は省略しているが、ボルトナット構造1Dは、ボルト2Dとナット3との間に介装される座金を含んでいる。
たとえば、前述の第1および第3〜第5の実施形態において、周方向Yに隣り合う第1の縦溝222,312Bが、その間に隙間を空けて配置されているとして説明したが、隣り合う第1の縦溝222,312Bが、その間に隙間を空けずに配置されていてもよい。
また、前述の各実施形態では、挿入ピン42,42Dが筒状空間SPに圧入状態で挿入されるとして説明したが、圧入されずに単に挿入されるものであってもよい。
また、前述の各実施形態では、第1の縦溝222,222A,312Bは断面円弧状をなし、第2の縦溝312,222Bは断面略半円形をなしているとして説明したが、これらが、矩形等の他の断面形状を有していてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
2、2A、2B、2D:ボルト
22a :外周
221 :雄ねじ部
222、222A:第1の縦溝
222B :第2の縦溝
223 :貫通穴
225 :縦溝密集部
3、3B :ナット
31a、31Ba :内周
311 :雌ねじ部
312 :第2の縦溝
312B :第1の縦溝
313 :縦溝密集部
4、4C :座金付きピン
41 :座金部(座金)
42 :挿入ピン部(挿入ピン)
42D :挿入ピン
42b、42Db:一端部(挿入側と反対側の端部)
42a、42Da:他端部(挿入側の端部)
43 :スプリングワッシャ部(座金)
SP :筒状空間
W1 :周方向角度幅
W2 :周方向角度間隔
X :軸方向
Y :周方向
Claims (11)
- 外周に雄ねじ部を有するボルトと、内周に雌ねじ部を有し、前記ボルトに螺合されるナットとを含むボルトナット構造であって、
前記ボルトの前記雄ねじ部および前記ナットの前記雌ねじ部の一方には、軸方向に沿って延びる第1の縦溝が複数設けられ、当該一方には、前記第1の縦溝が密集して並べられた縦溝密集部が周方向に偏在配置されており、
前記ボルトの前記雄ねじ部および前記ナットの前記雌ねじ部の他方には、軸方向に沿って延びる第2の縦溝が設けられており、
前記ボルトナット構造は、前記ボルトに前記ナットを螺合した状態で、複数の前記第1の縦溝のうちの一つと前記第2の縦溝とによって区画される筒状空間に挿入される挿入ピンをさらに含む、ボルトナット構造。 - 前記第2の縦溝は、周方向に間隔を空けて複数設けられており、
前記縦溝密集部の周方向角度幅は、互いに隣り合う前記第2の縦溝同士の周方向角度間隔と同じか、あるいは当該周方向角度間隔よりも長く設けられている、請求項1に記載のボルトナット構造。 - 各第1の縦溝は断面円弧状をなし、
前記第2の縦溝は断面半円形をなし、
前記挿入ピンは外周円形をなしている、請求項1または2に記載のボルトナット構造。 - 各第1の縦溝は断面半円形をなしている、請求項3に記載のボルトナット構造。
- 前記周方向に隣り合う前記第1の縦溝は、その間に隙間を空けずに配置されており、
各第1の縦溝は、断面半円よりも狭い角度幅を有する断面円弧状をなしている、請求項3に記載のボルトナット構造。 - 前記ボルトと前記ナットとの間に介装される座金をさらに含み、
前記挿入ピンは、挿入側と反対側の端部が前記座金に接続されている挿入ピン部を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のボルトナット構造。 - 前記ボルトには、当該ボルトの内部を軸方向に交差する方向に沿って貫通し、前記挿入ピンが挿通する貫通穴が形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のボルトナット構造。
- 前記ボルトと前記ナットとの間に介装される座金をさらに含み、
前記座金は、前記ボルトおよび前記ナットを軸方向に押し付ける反発力を発生するスプリングワッシャを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のボルトナット構造。 - 前記挿入ピンは、前記筒状空間に圧入状態で挿入されるように設けられている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のボルトナット構造。
- 前記第1の縦溝は、前記雄ねじ部に形成されており、
前記第2の縦溝は、前記雌ねじ部に形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のボルトナット構造。 - 前記第1の縦溝は、前記雌ねじ部に形成されており、
前記第2の縦溝は、前記雄ねじ部に形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のボルトナット構造。
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