以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本発明の実施の形態にかかるリモコン装置は、例えば、トイレ室、浴室、キッチン、およびシャワーブースなどの水回り設備(機器)に使用される。以下では、トイレに設置される衛生洗浄装置用のリモコン装置を例に挙げ説明する。つまり、リモコン装置により操作される機器が衛生洗浄装置である場合を例に挙げ説明する。但し、本発明の実施の形態にかかるリモコン装置は、衛生洗浄装置用のリモコン装置には限定されない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る衛生洗浄装置用のリモコン装置を表す模式的斜視図である。
図1に表したように、本実施形態にかかる衛生洗浄装置用のリモコン装置(以下、単に「リモコン装置」と称する)10は、例えばトイレ室の壁面200に設置され、トイレ装置100とともに用いられる。
トイレ装置100は、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」と称する)110と、便器110の上に設けられた衛生洗浄装置120と、を備える。
衛生洗浄装置120は、例えば、衛生洗浄機能と、局部乾燥機能と、便座暖房機能と、音発信機能と、ノズル洗浄機能と、を有する。衛生洗浄機能は、便座124に座った使用者の「おしり」などをノズル128により洗浄する洗浄動作を行う機能である。局部乾燥機能は、便座124に座った使用者の「おしり」などに温風を吹き付けることにより、衛生洗浄によって濡れた「おしり」などを乾燥させる乾燥動作を行う機能である。便座暖房機能は、便座124の着座面を適温に温める便座加熱動作を行う機能である。音発生機能は、例えば水洗音などを擬似的に発する機能である。ノズル洗浄機能は、ノズル128の外側および内側に洗浄水(除菌水)を流すことで、ノズル128を洗浄する機能である。
衛生洗浄装置120は、リモコン装置10から送信された無線信号に基づいて、例えば衛生洗浄機能、局部乾燥機能、便座暖房機能、音発信機能およびノズル洗浄機能のいずれかの動作を実行する。また、衛生洗浄装置120の上述の機能の設定状態は、使用者によって変更可能である。例えば、衛生洗浄装置120は、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢い、洗浄位置(ノズル128の位置)、発せられる音の音量、または、着座面の温度、などの設定状態を変更することができる。
リモコン装置10は、衛生洗浄装置120を遠隔操作するための操作ボタン12と、衛生洗浄装置の設定状態を変更するための変更部13と、を有する。
リモコン装置10は、操作ボタン12の操作を検出し、操作された操作ボタン12に基づいた無線信号を衛生洗浄装置120に送信する。衛生洗浄装置120は、リモコン装置10から送信された無線信号を受信し、その無線信号に応じた動作を実行する。また、リモコン装置10は、変更部13の操作を検出し、検出された変更部13の操作に基づいた無線信号を衛生洗浄装置120に送信する。衛生洗浄装置120は、この無線信号を受信し、無線信号に応じて設定状態を変更する。このように、リモコン装置10は、使用者の操作に応じて、所定の動作の実行および設定の変更を衛生洗浄装置120に指示する。
図2は、第1の実施形態に係るリモコン装置を例示する模式的正面図である。
図2に表したように、リモコン装置10は、複数の操作ボタン12と、変更部13と、各操作ボタン12及び変更部13を支持するリモコン本体14(筐体)と、を備える。
複数の操作ボタン12は、例えば、操作ボタン12a〜12eを含む。操作ボタン12aは、おしり洗浄の開始を指示するためのボタンである。操作ボタン12bは、ビデ洗浄の開始を指示するためのボタンである。操作ボタン12cは、音発生の開始を指示するためのボタンである。操作ボタン12eは、ノズル洗浄の開始を指示するためのボタンである。操作ボタン12dは、衛生洗浄機能や音発生機能の停止を指示するためのボタンである。
操作ボタン12は、例えば、押し操作(押圧操作)が可能な、いわゆる押しボタンである。操作ボタン12は、定常位置と最下点位置とに移動可能であり、押し操作に応じて定常位置から最下点位置に移動する。また、操作ボタン12は、図示しないバネなどにより、操作されていない状態において定常位置に保持される。操作ボタン12は、押し操作によって最下点位置に移動した後、押し操作の解除によって定常位置に戻る。
変更部13は、操作部131と、表示部132と、を有する。操作部131は、リモコン本体14に対して摺動(スライド)可能に設けられている。例えば、操作部131は、リモコン本体14に設けられた溝141に沿って、左右にスライドすることができる。
表示部132は、例えば、操作部131の可動範囲に沿って設けられた目盛である。表示部132は、リモコン本体14上に、溝141に沿って設けられる。この例では、表示部132は、左から順に1〜5の数値を示す目盛である。なお、数字以外の記号等が印字されていてもよい。
使用者は、操作部131の位置を変更すること(スライド操作)によって、衛生洗浄装置120の設定状態を変更することができる。衛生洗浄装置120の設定状態は、操作部131の位置によって使用者に表示される。
例えば、操作部131の位置を変更することによって、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢い(衛生洗浄機能の設定状態)を変更することができる。操作部131の位置を目盛の数値のいずれかの位置に移動させることで、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いを設定する指示が、衛生洗浄装置120に入力される。
例えば、より大きい数値に対応した位置に操作部131を移動させることで、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いが、より強い状態に設定される。逆に、目盛のより小さい数値に対応した位置に操作部131を移動させることで、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いが、より弱い状態に設定される。
このように、衛生洗浄装置120の設定状態は、変更部130の位置によって表示される。このため、変更部130は、電力を消費せずに衛生洗浄装置120の設定状態を使用者に表示可能である。
なお、変更部13によって変更される衛生洗浄装置120の設定状態は、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いでなくてもよい。例えば、洗浄位置(ノズル128)の位置が変更されてもよい。この場合には、操作部131の位置を変更することで、ノズル128を前進させる指示またはノズル128を後退させる指示が、衛生洗浄装置120に入力される。その他、変更部13によって変更される衛生洗浄装置120の設定は、音発生機能によって発せられる音の音量や、便座暖房機能の着座面の温度であってもよい。
図2に表した例では、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いは、目盛の数値に対応して5種類の設定状態(設定1〜設定5)を有する。すなわち、操作部131の位置は、5段階すなわち5つの設定位置(第1〜第5位置P1〜P5)のいずれかに設定される。この第1〜第5位置P1〜P5は、それぞれ、設定1〜設定5に対応する。
但し、変更部130によって変更される衛生洗浄装置120の設定状態の数は、5(5段階)には限られない。実施形態においては、変更部130によって変更される衛生洗浄装置120の設定状態の数は、例えば3以上である。変更部130の操作によって、衛生洗浄装置120の設定状態を、少なくとも3以上の設定状態のいずれか1つとすることができる。
図3は、第1の実施形態に係るリモコン装置を例示するブロック図である。
図3に表したように、変更部13は、複数の検出部21と、伝達部30と、をさらに有する。伝達部30は、複数の第1部材31と、第2部材32と、を有する。
また、リモコン装置10は、複数の検出部20と、第3部材33と、発電部22と、電源部24と、制御部26と、をさらに有する。
複数の検出部20は、複数の操作ボタン12のそれぞれに対応して設けられる。複数の検出部20のそれぞれは、複数の操作ボタン12のそれぞれの押し操作を検出する。各検出部20には、例えば、ホール素子が用いられる。各検出部20は、例えば、機械式のスイッチなどでもよい。
複数の検出部21は、衛生洗浄装置120の設定状態(設定1〜設定5)のそれぞれに対応して設けられる。すなわち、複数の検出部21は、操作部131の設定位置(第1位置P1〜P5)のそれぞれに対応して設けられる。これにより、複数の検出部21を用いて、操作部131のスライド操作および操作部131がスライドした設定位置(移動した先の設定位置)を検出することができる。各検出部21には、例えば、ホール素子が用いられる。各検出部21は、例えば、機械式のスイッチなどでもよい。
発電部22は、複数の操作ボタン12のいずれかの押し下げ操作、および、操作部131の操作に応じて発電を行う。発電部22には、例えば、モータが設けられている。発電部22は、操作ボタン12の押し下げ操作または操作部131のスライド操作にともなう操作力をモータの回転軸に伝達し、回転軸を回転させる。これにより、発電部22は、モータから交流の電力を発生させる。発電部22の発電方式は、モータに限ることなく、必要な電力を供給できる任意の方式でよい。また、発電部22から出力される電力は、直流でもよいし、脈流でもよい。
第1部材31、第2部材32および第3部材33は、操作力を発電部22へ伝達する伝達機構38を構成する。伝達部30(複数の第1部材31および第2部材32)は、操作部131のスライド操作にともなう操作力を発電部22に伝達する。
複数の第1部材31は、操作部131の5つの位置(第1〜第5位置P1〜P5)のそれぞれに対応して設けられる。各第1部材31は、操作部131のスライド操作にともなう操作力を受け、その操作力を第2部材32に伝達する。第2部材32は、各第1部材31からの操作力を受け、その操作力を発電部22に伝達する。これにより、操作部131を第1〜第5位置P1〜P5のいずれの位置にスライド操作しても、そのスライド操作に応じて第2部材32が発電部22を押圧し、発電が行われる。
第2部材32および第3部材33は、各操作ボタン12の押し操作にともなう操作力を発電部22に伝達する。第3部材33は、各操作ボタン12の操作力を受け、その操作力を第2部材32に伝達する。第2部材32は、第3部材33からの操作力を受けるとともに、その操作力を発電部22に伝達する。これにより、各操作ボタン12のいずれを押し操作しても、そのスライド操作に応じて第2部材32が発電部22を押圧し、発電が行われる。
制御部26は、リモコン本体14に収納され、複数の検出部20のそれぞれと電気的に接続されている。制御部26は、複数の検出部20のそれぞれの検出結果に基づいて、押し下げ操作された操作ボタン12を判別する。そして、制御部26は、判別した操作ボタン12に対応した無線信号を衛生洗浄装置120に送信することにより、衛生洗浄装置120を遠隔操作する。
さらに、制御部26は、複数の検出部21のそれぞれと電気的に接続されている。制御部26は、複数の検出部21の検出結果に基づいて、操作部131がスライドした設定位置(第1〜第5位置P1〜P5)を判別する。そして、制御部26は、判別した設定位置に応じて、設定状態を変更する信号を衛生洗浄装置120に送信する。これにより、衛生洗浄装置120の設定が変更される。
制御部26は、例えば、マイコン40と、高周波発生回路43と、送信部44と、を含む。マイコン40は、押し操作された操作ボタン12の判別、及び、判別した操作ボタン12に基づいて衛生洗浄装置120を遠隔操作する信号を生成する。また、マイコン40は、操作部131がスライドした設定位置の判別、及び、判別した設定位置に基づいて衛生洗浄装置120の設定を変更する信号を生成する。高周波発生回路43は、マイコン40の生成した信号を高周波信号に変換する。高周波信号の周波数は、例えば、2.4GHzである。送信部44は、アンテナを含み、高周波発生回路43の生成した高周波信号を無線信号に変換して衛生洗浄装置120に送信する。
なお、マイコン40、高周波発生回路43及び送信部44を、1つのチップ内に納めてもよいし、異なる素子として分けてもよい。リモコン装置10と衛生洗浄装置120との間の通信は、上記に限ることなく、任意でよい。制御部26の構成は、上記に限ることなく、操作ボタン12の判別や衛生洗浄装置120との無線通信などが可能な任意の構成でよい。
電源部24は、発電部22によって発電された電力を蓄積する蓄電素子50を含む。電源部24は、蓄電素子50の電圧が所定値以上になった際に、蓄電素子50に蓄積された電力を制御部26に供給して制御部26を起動させる。蓄電素子50には、例えば、コンデンサや蓄電池などが用いられる。
ここで、「蓄電素子50の電圧が所定値以上になった際」とは、例えば、制御部26の起動及び無線信号の送信に必要な電力が蓄電素子50に蓄積された際である。制御部26が無線信号を複数回送信する場合には、制御部26の起動及び無線信号の複数回の送信に必要な電力が蓄電素子50に蓄積された際である。このように、蓄電素子50の電圧の前記所定値は、制御部26での消費電力に応じて設定される。所定値は、例えば、3.5Vである。「蓄電素子50の電圧が所定値以上になった際」とは、換言すれば、発電部22の発電の積算量が所定値以上になった際である。
また、蓄電素子50の容量は、例えば、制御部26の起動及び無線信号の送信に必要な電力を蓄積できる最低限の容量に設定される。これにより、例えば、蓄電素子50の大型化を抑制できる。また、蓄電素子50に残った余剰の電力によって、制御部26が誤動作を起こすことなどを抑制できる。
図4は、第1の実施形態に係るリモコン装置の内部構造を例示する模式図である。
図4に表したように、発電部22は、リモコン本体14に収納され、本体モジュール22aと、可動部22bと、を含む。可動部22bは、本体モジュール22aから突出した突出位置と、本体モジュール22a内に押し込まれた押し込み位置と、に移動する。可動部22bは、図示を省略したバネなどにより、操作されていない状態において突出位置に保持される。可動部22bを突出位置から押し込み位置に移動させる。発電部22は、この可動部22bの移動にともなう操作力により、発電を行う。
複数の第1部材31のそれぞれは、操作部131の設定位置のそれぞれに対応して設けられた部材である。第2部材32は、例えば棒状の部材であり、長手方向において発電部22の可動部22bと対向する位置に配置されている。第3部材33は、例えば棒状の部材であり、複数の操作ボタン12(操作ボタン12a〜12d)と対向するように設けられている。
第2部材32及び第3部材33は、図中矢印で表すように、長手方向にスライド可能に取り付けられている。すなわち、第2部材32及び第3部材33は、いわゆるスライドバーである。また、第2部材32及び第3部材33は、連結部材34によって互いに接続されている。これにより、第1部材31及び第2部材32は、互いに連動してスライド移動する。
操作部131をスライド操作すると、その操作力が、操作部131のスライドした位置に応じて複数の第1部材31のいずれかに伝わり、第2部材32がスライド移動する。スライド移動した第2部材32は、可動部22bに当接し、可動部22bを突出位置から押し込み位置に移動させる。これにより、操作部131の操作に応じて、発電部22が発電を行う。
操作ボタン12a〜12dのいずれかを押し操作すると、その操作力が第3部材33に伝わり、第3部材33がスライド移動する。第3部材33がスライド移動すると、連結部材34を介して第2部材32がスライド移動し、可動部22bに当接して可動部22bを突出位置から押し込み位置に移動させる。これにより、各操作ボタン12の押し操作によって、発電部22が発電を行う。
リモコン装置10は、クリック機構28をさらに備える。クリック機構28によって、操作ボタン12の押し操作、および、操作部131のスライド操作は、使用者にクリック感を生じさせる。クリック感によって、衛生洗浄装置120の設定状態が変更されたことを確実に使用者に知らせることができる。
この例において、クリック機構28は、発電部22に設けられている。発電部22では、例えば、バネなどの弾性力に抗して可動部22bを押し込むと、可動部22bに係合した連動部材が移動する。そして、可動部22bが押し込み位置まで移動すると、クリック機構28により、連動部材と可動部22bとの係合状態が一時的に解除され、連動部材が弾性力によって初期位置に戻る。この時に、操作ボタン12の操作力が弱まり、使用者にクリック感として伝わる。
また、連動部材は、ギヤなどを介してモータの回転軸に連結されており、連動部材が初期位置に戻る際の勢いで回転軸が回転し、発電が行われる。発電部22では、可動部22bを押し込み位置に移動させることによって発電が行われる。そして、発電部22が発電する時に、押し下げ操作された操作ボタン12又はスライド操作された操作部131にクリック感が付与される。この構成では、例えば、使用者の押し下げ操作の速度などに依存せず、連動部材に加える弾性力によって発電量を制御することができる。これにより、例えば、操作毎の発電量のバラツキを抑制することができる。発電部22において、安定した発電量を得ることができる。
この例において、クリック機構28は、発電部22の発電機構の一部を兼ねている。クリック機構28は、必ずしも発電部22に設ける必要はなく、発電部22と別に設けてもよい。
図5(a)〜図5(d)は、第1の実施形態に係るリモコン装置の一部を例示する模式図である。図5(a)〜図5(d)は、操作ボタン12の押し操作の一例を模式的に表す。
図5(a)は、操作ボタン12が定常位置にある状態を表している。図5(b)は、検出部20が押し操作を検出する操作ボタン12の位置を表している。図5(c)は、操作ボタン12が最下点位置にある状態を表している。図5(d)は、検出部20が押し操作の検出状態を解除する操作ボタン12の位置を表している。
図5(a)〜図5(d)に表したように、検出部20は、例えば、ホール素子20aと、磁石20bと、を含む。ホール素子20aは、例えば、リモコン本体14内の所定の位置に保持されている。磁石20bは、操作ボタン12に取り付けられている。検出部20は、操作ボタン12の押し操作に応じてホール素子20aと磁石20bとの間の距離が近づくことにより、操作ボタン12の押し操作を検出する。このように、検出部20は、例えば、非接触で操作ボタン12の押し操作を検出する。ホール素子20aの位置及び磁石20bの位置は、上記と反対でもよい。すなわち、ホール素子20aを操作ボタン12に設け、磁石20bをリモコン本体14内に設けてもよい。押し操作の検出方法は、これに限ることなく、任意の方法でよい。
第3部材33には、傾斜面状のスライドカム33aが設けられている。操作ボタン12には、スライドカム33aと対向する位置に、スライドカム33aに対応した傾斜面12pが設けられている。これにより、操作ボタン12を押し操作すると、スライドカム33aの傾斜に従って垂直方向の力が水平方向の力に変換され、第3部材33がスライド移動する。なお、図示は省略するが、第2部材32も第3部材33と同様に、スライドカムによってスライド移動する。
図5(b)に表したように、操作ボタン12を押し操作してホール素子20aと磁石20bとの間の距離を近づける。これにより、検出部20によって操作ボタン12の押し操作が検出される。
図5(c)に表したように、操作ボタン12をさらに押し、最下点位置に移動させる。これにより、発電部22の可動部22bが押し込み位置に移動し、発電部22によって発電が行われる。
このように、複数の検出部20は、発電部22の発電よりも前に、対応する各操作ボタン12の押し操作を検出する。すなわち、複数の検出部20は、制御部26の起動よりも前に押し操作を検出する。
また、発電部22は、検出部20の検出位置(図5(b)に表した位置)よりも最下点位置側の発電位置に操作ボタン12が移動した際に、蓄電素子50の電圧を所定値以上にする。これにより、発電部22は、押し操作のみで制御部26からの無線信号の送信を可能にする。
この例では、最下点位置が、発電位置である。発電位置は、これに限ることなく、検出位置と最下点位置との間の任意の位置でもよい。すなわち、発電位置は、検出位置と最下点位置との間の位置、または、最下点位置である。また、この例では、可動部22bが押し込み位置に移動した時に、発電部22で発電が行われる。発電が行われる可動部22bの位置は、押し込み位置に限ることなく、突出位置と押し込み位置との間の任意の位置でもよい。
操作ボタン12の押し操作を解除すると、弾性力によって発電部22の可動部22bが突出位置に戻る。可動部22bが突出位置に戻ると、伝達機構を介して弾性力が操作ボタン12に伝わり、操作ボタン12が定常位置に戻る。なお、操作ボタン12は、発電部22内に設けられた弾性体(バネやゴムなど)からの弾性力のみで定常位置に戻してもよいし、伝達機構や操作ボタン12に別の弾性体をさらに設けて定常位置に戻してもよい。
図5(d)に表したように、複数の検出部20は、押し操作の解除にともなって操作ボタン12が発電位置から定常位置に戻るまでの間に、押し操作の検出状態を解除する。この時、検出部20は、ホール素子20aのヒステリシス性により、磁石20bとの距離が検出時よりも離れた状態で検出を解除する。これにより、複数の検出部20のそれぞれにおいて、検出状態が解除される操作ボタン12の位置は、検出位置よりも定常位置に近くなる。
図6(a)〜図6(e)は、第1の実施形態に係るリモコン装置の一部を例示する模式図である。図6(a)〜図6(e)は、操作部131のスライド操作の一例を模式的に表す。
図6(a)〜図6(e)に表したように、検出部21は、例えば、ホール素子21aを含む。ホール素子21aは、例えば、リモコン本体14内に保持されている。複数のホール素子21aは、それぞれ、操作部131の設定位置(第1〜第5位置P1〜P5)に対応して、略直線状に配置されている。
操作部131には、磁石21bが設けられている。操作部131のスライド操作に応じて、磁石21bは、複数のホール素子21aのいずれかに近づく。これにより、操作部131がスライドした設定位置を検出する。なお、操作部131にホール素子を設け、操作部131の設定位置のそれぞれに磁石を設けてもよい。スライド操作の検出方法は、これに限ることなく、任意の方法でよい。
操作部131は、例えば、傾斜面131aと傾斜面131bとを有する。傾斜面131aと傾斜面131aとは、互いに異なる方向に傾斜している。
各第1部材31は、操作部131がスライドする方向において、互いに隣接するホール素子21a同士の中間に設けられる。第1部材31は、傾斜面131aに対応したスライドカム31aと、傾斜面131bに対応したスライドカム31bと、を有する。スライドカム31aとスライドカム31bとは、例えば、互いに異なる方向に傾斜した面を有している。さらに、第1部材31は、傾斜面31cを有する。
第2部材32は、第1部材31の傾斜面31cに対応する複数のスライドカム32aを有する。各スライドカム32aは、例えば傾斜面状である。
図6(a)は、操作部131が第1位置P1にある状態を表している。すなわち、図6(a)の状態は、衛生洗浄装置120の設定が、設定1の状態である。このとき、磁石21bは、第1位置P1に対応して設けられたホール素子21aの検出範囲内に位置する。なお、ホール素子21aの検出範囲とは、磁石21bが検出範囲内に位置するときに、ホール素子21aの磁気検出値が所定の閾値を超える範囲をいう。所定の閾値は、ホール素子の磁電変換特性等によって定まる。
図6(b)は、操作部131のスライド操作を開始した状態を表している。この例では、操作部131を第1位置P1から第2位置P2に移動させるスライド操作を示す。すなわち、衛生洗浄装置120の設定を、設定1から設定2へ変更する。
図6(b)に表したように、操作部131をスライドさせると、操作部131の傾斜面131aがスライドカム31aに接する。これにより、スライドカム31aの傾斜に従って、操作部131をスライドさせる操作力の方向が変換され、第1部材31が移動する。第1部材31が移動すると、第1部材31の傾斜面31cは、第2部材32のスライドカム32aに接する。これにより、スライドカム32aの傾斜に従って、第2部材32に操作力が伝達され、第2部材32がスライド移動する。
図6(c)に表したように、操作部131をさらにスライドさせると、第2部材32がさらにスライド移動する。これにより、第2部材32は、発電部22の可動部22bを押し込み、発電が行われる。
図6(d)は、操作部131をさらスライドさせて、操作部131が第2位置P2に近づいた状態を表す。この状態では、第2位置P2に対応するホール素子21aと磁石21bとの距離は、第1位置P1に対応する素子21aと磁石21bとの距離よりも短い。このとき、操作部131の傾斜面131bがスライドカム31bと接する。ここで、前述のように、傾斜面131bの傾斜方向は、傾斜面131aの傾斜方向と異なり、スライドカム31bの傾斜方向は、スライドカム31aの傾斜方向と異なる。このため、弾性力によって、第1部材31および第2部材32は、例えば、図6(b)における移動方向とは逆の方向に移動する。なお、このときの弾性力は、発電部22内に設けられた弾性体からの弾性力であってもよいし、伝達機構38に別途設けられた弾性体の弾性力であってもよい。
図6(d)に表した状態において、蓄電素子50の電圧が所定値以上になり、制御部26(マイコン40)が起動する。例えば、この後の一定の期間、制御部26は起動した状態となり、検出部からの信号を待っている状態となる。
図6(e)は、操作部131の第2位置P2へのスライド操作が終了した状態を表す。このとき、発電部22の可動部22bは、弾性力によって突出位置に戻っている。そして、第1部材31および第2部材32は、それぞれ元の位置(図6(a)の状態と同じ位置)に戻っている。このとき、磁石21bは、第2位置P2に対応するホール素子21aの検出範囲内に位置する。これにより、第2位置P2に対応するホール素子21aからの検出結果に基づいて、制御部26は、衛生洗浄装置120の設定状態を設定2とする信号を送る。
図7(a)〜図7(c)は、第1の実施形態に係るリモコン装置の動作を例示する模式図である。
図7(b)および図7(c)は、リモコン装置10の一部の模式的正面図であり、図7(a)は、図7(b)のA1−A2線における模式的断面図である。
図7(a)および図7(b)に表したように、操作部131が設定位置(第1〜第5位置P1〜P5)のそれぞれに位置するとき、磁石21bは、ホール素子21aの検出範囲21r内に位置する。例えば、リモコン装置10の正面から見たときに、磁石21bは、ホール素子21aと重なる。
図7(c)に表したように、リモコン装置10では、ホール素子21aの検出範囲21rの外に磁石21bが位置するときに、発電部22の発電が開始する。検出範囲21r内に磁石21bが位置するときに発電部22の発電が開始されると、操作部131がスライド操作を行う際の初期位置に位置すると判定され、意図しない信号が送信されるおそれがある。これに対して、実施形態に係るリモコン装置10では、磁石21bが検出範囲21r内に位置するときには、発電部22の発電が開始されないように、ホール素子21aや伝達機構38が設けられる。これにより、衛生洗浄装置120の設定状態を変更する信号を正確に送信することができる。
図6および図7では、第1位置P1から第2位置P2へのスライド操作について説明した。但し、操作部131を他の設定位置から右側へスライドさせる際の動作も図6および図7に関して説明した動作と同様である。また、操作部131を左側へスライド(例えば第2位置P2から第1位置P1へ)させる場合には、伝達機構の動作は、図6(a)〜図6(e)に示した動作の逆の動作となる。これにより、右側へのスライド操作と同様にして、発電部22の発電、操作部131の設定位置の検出、および、制御信号の送信等が行われる。
操作部131の設定位置の検出方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。例えば、ホール素子を用いずに操作部131の設定位置を検出してもよい。
図8は、第1の実施形態に係る他の設定位置の検出方法を例示する模式図である。
この例では、変更部13の検出部21は、各設定状態に対応して設けられた回路である。すなわち、操作部131の各設定位置(第1〜第5位置P1〜P5)のそれぞれに対応して、配線(配線W1〜W5)が設けられている。
例えば、操作部131は、導電性の材料からなる導電部を含む。そして、操作部131の位置に対応した配線と、配線W0と、の間に導電部を介して電流が流れる。
図8に表した例では、操作部131は、設定2に対応する第2位置P2に位置する。このとき、設定2に対応する配線W2は、操作部131を介して配線W0と導通した状態となる。このような電気的な接点スイッチによって、操作部131の設定位置を検出してもよい。なお、スライド操作による操作力の伝達機構や発電部22における発電等は、図6に関する説明と同様とすることができる。
以上説明したように、実施形態に係るリモコン装置10は、操作ボタン12の押し操作や操作部131のスライド操作によって発電を行う自己発電タイプのリモコン装置である。これにより、トイレ装置100との配線が不要となり、設置を容易にすることができる。また、電池等を用いる必要がないため、管理者のメンテナンスの手間を低減することができる。
一方、従来の衛生洗浄装置のリモコンにおいては、衛生洗浄装置の設定状態の通知手段として、LEDや液晶が搭載されている。しかしながら、自己発電タイプのリモコン装置では、操作ボタン等の操作によって発電される電力は限られたものである。発電された電力は、制御部における信号の生成や送信に用いられるため、LEDや液晶等を駆動する電力を賄うことが困難な場合がある。
これに対して、実施形態に係るリモコン装置10においては、電力を消費せずに、変更部13によって衛生洗浄装置120の設定状態を表示することができる。また、変更部13の操作によって発電が行われ、この電力によって、衛生洗浄装置120の設定状態を変更するための信号が送信される。これにより、省電力動作を実現しつつ、衛生洗浄装置120の設定状態の表示を行うことができる。
また、本実施形態においては、設定状態を表示する操作部131自体をスライド操作することで、衛生洗浄装置120の設定状態を変更することができる。このため、使用者は、直感的に設定状態の確認および変更を行うことができる。また、操作部131は、設定状態の表示と変更との双方に用いられているため、設定状態の変更用の部材と、設定状態の表示用の部材と、を別々に設ける必要がない。これにより、例えば部材数の増加を抑制できる。したがって、簡易な構成によって、省電力動作および設定状態の表示を実現することができる。
また、衛生洗浄装置の機能は、3以上の設定状態を有することが多いため、使用者に設定状態を確実に通知することが望ましい。実施形態に係るリモコン装置によれば、使用者は、電力を消費せずに、3以上の設定状態の確認を容易に行うことができる。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係るリモコン装置を例示する模式的正面図である。
本実施形態に係るリモコン装置10aは、衛生洗浄装置の設定状態を変更するための変更部において、第1の実施形態と異なる。本実施形態に係るリモコン装置10aにおいても、複数の操作ボタン12、複数の検出部20、発電部22、電源部24および制御部26等が設けられる。これらについては、第1の実施形態に係るリモコン装置と同様である。例えば、操作ボタン12の押し操作の検出、発電部22の発電、制御部26における信号処理等は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態に係るリモコン装置10aは、衛生洗浄装置120の設定状態を変更するための変更部13aを備える。変更部13aは、第1部材51を有する。第1部材51は、例えば、操作ボタン12と同様に、押しボタンである。第1部材51には、開口部134(表示窓)が設けられている。
図10(a)および図10(b)は、第2の実施形態に係るリモコン装置の内部構造を例示する模式図である。
図10(a)は、リモコン装置10aの内部構造を例示する。図10(a)に示すように、変更部13aは、第2部材32(伝達部)と、回転部133と、回転制御部135と、をさらに有する。
図10(b)は、第1部材51の模式的側面図である。第1部材51は、回転部133と係合する凸部71と、第2部材32と係合する凸部72と、を有する。
回転部133および回転制御部135は、リモコン装置10aの内部(第1部材51の背面側)に配置されている。回転部133には、衛生洗浄装置120の設定状態に応じて、複数の数値(1〜5)が記されている。この数値のいずれかが、開口部134を介して、使用者に表示される。これにより、使用者は、衛生洗浄装置120の設定状態を確認することができる。
また、第1部材51を押し操作することによって、回転部133を回転させることができる。これにより、設定状態の表示が変更される。また、第1部材51の押し操作にともなう操作力によって、発電部22が発電を行う。そして、検出部21(ホール素子)によって、表示された設定状態が検出される。制御部26は、回転部133の回転に応じて、衛生洗浄装置120の設定状態を変更する信号を送る。
なお、図10(a)の例のように、各操作ボタンと第2部材32との間、および、各操作ボタンと第3部材33との間に、回転カム36を設けてもよい。回転カム36は、操作ボタンが押し操作された操作力を、第2部材32または第3部材33に伝達する。これにより、操作ボタンを押した際の操作力の方向を、効率よく変換することができる。但し、実施形態に係る伝達機構は、これに限られず、任意の構成でよい。回転カム36は、必ずしも設けられなくともよい。
図11(a)〜図11(e)は、第2の実施形態に係る回転部を例示する模式図である。
図11(a)は、回転部133を例示する模式的正面図であり、図11(b)は、回転部133を例示する模式的斜視図である。回転部133は、表示部81と傾斜部82と基材83と歯車部84とを有する。
図11(c)は、表示部81を例示する模式的正面図である。図11(d)は、基材83を例示する模式的正面図である。図11(e)は、歯車部84を例示する模式的正面図である。
表示部81は、例えば円板状の形状を有する。表示部81の略円形の面には、円周にそって、数値が記されている。各数値(1〜5)は、衛生洗浄装置120の各設定状態(設定1〜設定5)に対応する。
基材83は、例えば円板状の形状を有する。図11(b)に示すように、基材83の略円形の面83p上に表示部81が配置される。
また、複数の傾斜部82は、基材83の面83p上に、円周に沿って設けられる。傾斜部82は、面83pに対して傾斜した面を有する。
歯車部84は、基材83から見て、表示部81とは反対側に配置される。歯車部84は、表示部81に記された数値(1〜5)の位置に対応した歯84tを有する。この例では、設定状態(設定1〜設定5)に対応して、歯車部84は、5つの歯84tを有する。
表示部81、傾斜部82、基材83および歯車部84は、回転軸133aを中心として一体となって回転する。回転軸133aは、例えば基材83の面83pに対して略垂直に延在する軸である。
回転部133が回転した角度に応じて、開口部134から使用者に表示される数値が変化する。すなわち、衛生洗浄装置120の設定状態の表示は、回転部133の回転に応じて変更される。
衛生洗浄装置120の設定状態を検出する検出部21は、図11(d)に示したように、複数のホール素子21dを有する。そして、基材83に磁石21cが設けられる。磁石21cは、基材83の回転と共に回転する。
ホール素子21dは、リモコン本体14内の所定の位置に保持されている。ホール素子21dは、例えば、平面視において基材83の円周に沿って配置される。ホール素子21dの配置は、表示部81に記された数値に対応している。すなわち、複数のホール素子21dは、それぞれ、衛生洗浄装置120の各設定状態(設定1〜設定5)に対応する。この例では、設定1〜設定5に対応して、5つのホール素子21dが設けられている。
回転部133が回転すると、磁石21cは、複数のホール素子21dのいずれかに近づく。これにより、回転部133の回転に応じて表示されている設定を検出することができる。
図11(e)に表したように、回転制御部135は、リモコン本体14内に保持されており、歯車部84と係合する。回転制御部135は、可動部35を有する。歯車部84が回転すると、可動部35は、歯84tによって定常位置から持ち上げられる。このとき、例えばバネなどの弾性力によって、可動部35には、図中矢印の方向に、定常位置に戻ろうとする力が働く。これにより、可動部35は、回転部133の回転を補助し、且つ回転を制御するストッパとして機能する。
次に、図12〜図14を参照して、本実施形態に係る変更部13aの動作について説明する。ここでは、一例として、衛生洗浄装置120の設定状態を設定1から設定2へ変更する場合の動作について説明する。
図12(a)〜図12(f)、図13(a)〜図13(f)、および、図14(a)〜図14(c)は、第2の実施形態に係る変更部の一部を例示する模式図である。
図12(a)〜図12(c)は、第1部材51の押し操作が行われていない状態を表す。この状態は、衛生洗浄装置120の設定が、設定1の状態である。このとき、磁石21cは、設定1に対応して設けられたホール素子21dの検出範囲内に位置する。例えば、この状態で使用者が操作ボタン12を押すと、制御部26から衛生洗浄装置120へ設定1に対応する信号が送られる。
図12(d)〜図12(f)は、第1部材51の押し操作を開始した状態を表す。
図12(f)に表したように、第1部材51の押し操作を行うと、凸部71は、回転部133の傾斜部82と接する。これにより、傾斜部82の傾斜面に従って、第1部材51を押す操作力の方向が変換され、回転部133が回転する。これにより、図12(d)に表したように、歯車部84が回転し、歯84tによって可動部35が持ち上げられる。また、図12(e)に表したように、表示部81が回転する。
第1部材51の押し操作を行うと、凸部72は、第2部材32のスライドカム32aに接する。これにより、スライドカム32aの傾斜面に従って、第2部材32に操作力が伝達され、第2部材32がスライド移動する。第2部材32が移動することで、発電部22の可動部22bに操作力が伝達される。
図13(a)〜図13(c)は、さらに第1部材51を押し込み、第1部材51が最下点位置にある状態を表す。
第1部材51の押し操作にともなって、第2部材32は、さらにスライド移動する。これにより、第2部材32は、発電部22の可動部22bをさらに押し込み、発電が行われる。発電部22から供給される電力によって、制御部26(マイコン40)が起動し、検出部からの信号を待っている状態となる。なお、この時点では、磁石21cは設定2に対応するホール素子21dの検出範囲外に位置するため、制御部26から設定状態を変更する信号は送信されない。
また、第1部材51の押し操作にともなって、歯車部84がさらに回転する。そして、第1部材51が最下点位置に達した際には、図13(a)のように可動部35を押し上げる歯84tが可動部35を乗り越えた状態となる。前述のように、押し上げられた可動部35には定常位置に戻ろうとする力が働くため、この力によって歯車部84は、さらに回転する。
図13(d)〜図13(f)は、それぞれ、回転部133がさらに回転した状態であり、図13(a)〜図13(c)の後の状態である。この状態では、発電部22における発電が完了し、第1部材51の押し操作が解除されている。このとき、弾性力によって、発電部22の可動部22bは、突出位置に戻るように移動する。これにより、可動部22bと連動して第1部材51も定常位置に戻るように移動する。なお、この時点でも、磁石21cは設定2に対応するホール素子21dの検出範囲外に位置する。図13(a)の状態と同様に、可動部35が定常位置に戻ろうとする力によって、歯車部84がさらに回転する。
図14(a)〜図14(c)は、第1部材51の押し操作による、回転部133の回転が完了した状態を表す。
図13(d)に表した状態から歯車部84がさらに回転すると、図14(a)に表したように歯84tが可動部35に当接する。これにより、回転部133の回転が停止する。このとき、図14(b)に表したように、歯車部84の回転にともなって回転した表示部81によって、使用者に設定2が表示される。また、可動部22bは突出位置に戻っており、第1部材51は定常位置に戻っている。そして、磁石21cは、設定2に対応するホール素子21dの検出範囲内に位置する。設定2に対応するホール素子21dからの検出結果に基づいて、制御部26は、衛生洗浄装置120の設定状態を設定2とする信号を送ることができる。
以上説明したようにして、第1部材51(押しボタン)の押し操作によって、回転部133を回転させて、衛生洗浄装置120の設定状態の表示が変更される。この際、押し操作の操作力によって、回転部133の回転と連動して、第2部材32が発電部22を押圧する。そして、表示に対応する設定状態が検出され、発電された電力によって、検出結果に基づく制御信号が衛生洗浄装置120に送信される。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に電力を消費せずに衛生洗浄装置120の設定状態を表示することができる。このとき、変更部13aの操作によって発電が行われる。これにより、省電力動作を実現しつつ、衛生洗浄装置120の設定状態の表示が可能となる。
さらに、第2の実施形態においては、回転部の回転を用いることによって、スイッチを左右にスライドさせて設定状態を変更する場合に比べて、変更部13aの幅を狭くすることができる。したがって、コンパクトな構成によって、設定状態の表示と省電力動作と、を実現することができる。また、変更部13aでは第1部材51(操作ボタン)の押し操作という簡易な操作によって、回転部133の回転と発電部22の発電とを行うことができるため、操作性が高い。さらに、可動部である回転部133は、リモコン本体に収納されており、リモコン装置の表面に露出しないため、意匠性や清掃性を向上させることができる。
リモコン装置10aについて説明した変更部13aの構成は、上記に限ることなく、任意でよい。例えば、回転部133の各部材の形状や配置などは、適宜変更可能である。
上述したリモコン装置10aは、回転部133の回転方向が1方向(+方向)に固定された比較的簡易な構造を有する。但し、本実施形態に係るリモコン装置は、回転部が2方向(+方向および−方向)に回転できる構造を有していてもよい。以下、回転部が2方向に回転できる例について、説明する。
図15(a)〜図15(c)は、第2の実施形態に係る他のリモコン装置を例示する模式図である。
図15(a)は、リモコン装置10bの内部構造を例示する正面図である。リモコン装置10bは、衛生洗浄装置120の設定状態を変更するための変更部の構成において、上述のリモコン装置10aと異なる。これ以外については、リモコン装置10bの構成は、リモコン装置10aの構成と同様である。
図15(a)に表したように、リモコン装置10bは、変更部13bを備える。変更部13bは、操作ボタン91と、操作ボタン92と、第2部材32(伝達部)と、回転部137と、回転制御部139と、伝達部材41と、伝達部材42と、を有する。
伝達部材41、伝達部材42、回転部137および回転制御部139は、リモコン装置10bの内部に配置される。伝達部材41は、回転部137と操作ボタン91との間に設けられ、伝達部材42は、回転部137と操作ボタン92との間に設けられる。
回転部137には、衛生洗浄装置120の設定状態に応じて、設定状態を表す数値が記されている。また、この例では、リモコン本体に開口部136(表示窓)が設けられている。この開口部136を介して、設定状態を表す数値が表示される。
操作ボタン91および操作ボタン92は、操作ボタン12と同様の押しボタンである。図15(b)、図15(c)は、それぞれ、操作ボタン91、操作ボタン92を例示する模式図である。図15(b)は、操作ボタン91の正面図および断面図を示し、図15(c)は、操作ボタン92の正面図および断面図を示す。
操作ボタン91は、凸部73および凸部74を有する。凸部73は、伝達部材41を介して回転部137と係合する。凸部74は、第2部材32と係合する。
操作ボタン92は、凸部75および凸部76を有する。凸部75は、伝達部材42を介して回転部137と係合する。凸部76は、第2部材32と係合する。
操作ボタン91または操作ボタン92を押し操作することで、回転部137が回転する。例えば、操作ボタン91を押し操作すると、回転部137は、−方向(時計回り)に回転する。操作ボタン92を押し操作すると、回転部137は、+方向(反時計回り)に回転する。これにより、設定状態が変更される。
操作ボタン91の押し操作による操作力、または、操作ボタン92の押し操作による操作力によって、発電部22が発電を行う。このとき、検出部21(例えばホール素子)を用いて、表示された設定状態が検出される。制御部26は、検出部21の検出結果に基づいて、衛生洗浄装置120の設定状態を変更する信号を送る。
図16(a)〜図16(c)は、第2の実施形態に係る他の変更部を例示する模式図である。
図16(a)は、回転部137を例示する模式的斜視図である。回転部137は、円板88と、円板89と、歯車部86(羽根車)と、を有する。
円板88の片面には、円周に沿って、数値が記されている。各数値は、衛生洗浄装置120の各設定状態に対応する。円板89は、円板88とほぼ同じ形状を有している。
歯車部86は、円板89と円板88との間に挟まれている。図16(b)には、回転部137を例示する模式的正面図を示す。歯車部86は、円板88に表示された数値の位置に対応した複数の歯86t(羽)を有する。円板88、円板89および歯車部86は、歯車の回転軸137aを中心として、一体となって回転することができる。回転軸137aは、円板の主面に対して略垂直な軸である。
伝達部材41の一端は、歯車部86と係合しており、伝達部材41の他端は、操作ボタン91と係合する。また、伝達部材42の一端は、歯車部86と係合しており、伝達部材42の他端は、操作ボタン92と係合する。伝達部材41および伝達部材42は、図中矢印の方向にスライド可能に設けられており、回転部137を回転させる「押し棒」として機能する。
回転制御部139は、リモコン本体に保持されており、歯車部86と係合する可動部39を有する。可動部39は、バネ等の弾性体を介してリモコン本体に保持されている。バネ等の弾性力によって、可動部39には回転軸137aへ向かう力が働く。
衛生洗浄装置120の設定状態を検出する検出部21には、ホール素子21fが用いられる。また、円板89には磁石21eが設けられる。磁石21eは、回転部137の回転と共に回転する。
図16(c)は、ホール素子21fの配置を例示する模式的正面図である。各ホール素子21fは、例えば、リモコン本体内の基板上に設けられ、平面視において円板89の円周に沿って配置される。各ホール素子21dの配置は、円板88に記された設定状態を表す数値の位置に対応している。
回転部137が回転すると、磁石21eは、複数のホール素子21fのいずれかに近づく。これにより、回転部137の回転に応じて表示されている設定を検出することができる。
次に、図17および図18を参照して、本実施形態に係る変更部13bの動作について説明する。ここでは、一例として、衛生洗浄装置120の設定状態を設定1から設定2へ変更する場合の動作について説明する。
図17(a)〜図17(f)、図18(a)〜図18(f)は、第2の実施形態に係る他の変更部の一部を例示する模式図である。
図17(a)および図17(b)は、操作ボタン91および操作ボタン92の押し操作が行われていない状態を表す。この状態は、衛生洗浄装置120の設定が設定1の状態である。このとき、磁石21eは、設定1に対応して設けられたホール素子21fの検出範囲内に位置する。
図17(c)および図17(d)は、それぞれ、図17(a)および図17(b)の後の状態を表す。この状態は、操作ボタン92の押し操作を開始した状態である。
図17(d)に表したように、操作ボタン92の押し操作を行うと、凸部75は、伝達部材42の端部に形成された傾斜面と接する。これにより、伝達部材42の傾斜面に従って、操作ボタン92を押す操作力の方向が変換され、伝達部材42がスライドし、回転部137が回転する。これにより、図17(c)に表したように、歯86tによって可動部39が持ち上げられ、回転制御部139のバネが縮む。また、歯車部86とともに円板88および円板89が回転する。
操作ボタン92の押し操作を行うと、凸部76は、第2部材32のスライドカム32aに接する。これにより、スライドカム32aの傾斜面に従って、第2部材32に操作力が伝達され、第2部材32がスライドする。
図17(e)および図17(f)は、さらに操作ボタン92を押し込み、操作ボタン92が最下点位置にある状態を表す。図17(e)および図17(f)に表した状態は、それぞれ、図17(c)および図17(d)の後の状態である。
操作ボタン92の押し操作にともなって、第2部材32は、さらにスライド移動する。これにより、第2部材32は、発電部22の可動部22bをさらに押し込み、発電が行われる。発電部22から供給される電力によって、制御部26(マイコン40)が起動し、検出部からの信号を待っている状態となる。なお、この時点では、磁石21eは設定2に対応するホール素子21fの検出範囲外に位置するため、制御部26から設定状態を変更する信号は送信されない。
また、操作ボタン92の押し操作にともなって、歯車部86がさらに回転する。そして、操作ボタン92が最下点位置に達した際には、図17(e)の領域R1に表したように、歯86tが点線L1を通過した状態となる。
図18(a)および図18(b)は、それぞれ、図17(e)および図17(f)の後の状態を表す。この状態では、発電部22における発電が完了し、操作ボタン92の押し操作が解除されている。このとき、弾性力によって、発電部22の可動部22b、第2部材32および伝達部材42は、それぞれ、元の位置に戻る方向に移動する。この時点では、磁石21eは設定2に対応するホール素子21fの検出範囲外に位置する。
図18(c)および図18(d)は、それぞれ、図18(a)および図18(b)の後の状態を表す。この状態では、回転制御部139の縮んでいたバネ等の弾性力が、可動部39を介して歯86tに伝達される。この力によって歯車部86は、さらに回転する。この時点でも、磁石21eは設定2に対応するホール素子21fの検出範囲外である。
図18(e)および図18(f)は、それぞれ、図18(c)および図18(d)の後の状態を表す。この状態は、回転部137の回転が完了した状態である。歯車部86がさらに回転すると、図18(e)に表したように、可動部39が歯86t同士の間に収まり、回転が停止する。このとき、歯車部86と共に回転した円板88によって、使用者に設定2が表示されている。そして、磁石21eは、設定2に対応するホール素子21fの検出範囲内に位置する。設定2に対応するホール素子21fからの検出結果に基づいて、制御部26は、衛生洗浄装置120の設定状態を設定2とする信号を送る。
以上説明したように、操作ボタン92の押し操作によって、回転部137を反時計回りに回転させて、衛生洗浄装置120の設定状態を変更することができる。操作ボタン91を押し操作した場合は、伝達部材41によって、操作力が回転部137に伝達され回転部137が時計回りに回転する。この場合の回転部137の動作は、回転方向が図17および図18に関する説明と逆方向であること以外は、上述の操作ボタン92の押し操作を行った場合と実質的に同様であるから、詳細な説明は省略する。
なお、回転部が回転した角度によって表示される設定状態の検出方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。例えば、回転部として、接点スイッチ、ダイアルスイッチ、ロータリスイッチ等を用いて設定状態を検出してもよい。
図19(a)〜図19(d)は、第2の実施形態に係る他の設定状態の検出方法を例示する模式図である。
図19(a)は、回転部210を例示する模式的平面図であり、図19(b)は、回転部210を例示する模式的斜視図である。回転部210は、表示部211と接点部222と操作軸223とを有する。表示部211には、操作軸223の周りに、衛生洗浄装置120の各設定状態に対応する数値が記される。これにより、表示部211によって、衛生洗浄装置120の設定状態が表示される。接点部222には、導電性の部材が用いられる。使用者は、操作軸223を回転させることで、表示部211と接点部222とを共に回転させることができる。また、使用者は、表示部211に直接触れて、回転させてもよい。言い換えると、操作軸223を操作せずに、表示部211を直接操作して、回転させる。
図19(c)および図19(d)は、上記の回転部210を用いた検出方法を例示する模式的回路図である。検出部21として、衛生洗浄装置120の各設定状態に対応して回路(配線W11〜W15)が設けられている。
図19(c)に表した状態では、配線W10と配線W11とが接点部222を介して電気的に接続されている。これにより、配線W11に対応した衛生洗浄装置120の設定状態が検出される。ここで、操作軸223または表示部211を回転操作する。操作軸223及び表示部211の回転動作によって、接点部222を回転させる。これにより、図19(d)に表したように、配線W10と配線W12とが接点部222を介して電気的に接続される。これにより、配線W12に対応した衛生洗浄装置120の設定状態が検出される。
上記以外については、回転部210を用いた設定状態の変更方法は、前述の変更部13aの場合と実質的に同様である。例えば、変更部13aと同様にカム等の部材を用いて、操作軸の回転操作の操作力を第2部材32に伝達する伝達部を設けることができる。これにより、前述の変更部13aと同様に発電部22が発電する電力によって、制御部26は、設定状態を判別し、設定状態を変更する信号を衛生洗浄装置120に送ることができる。使用者は、操作軸223を回転させることで、衛生洗浄装置の設定状態を変更することができるため、リモコン装置の使用感を向上させることができる。また、回転部の構成を簡易にすることができる。
なお、操作軸223の形状は、任意に変更可能であり、例えば、操作用のつまみ等を適宜設けてもよい。また、回転部210に操作軸223を設けず、使用者が表示部211を直接回転させる構造を用いてもよい。また、以上説明した回転部においては、回転軸がリモコン装置の前面に対して略垂直であるが、回転軸をリモコン装置の前面に対して略平行としてもよい。例えば、回転部として、ドラム式の表示部を指などで回転させる、いわゆるサムホイールを用いてもよい。この場合、衛生洗浄装置の設定状態を表示する数値が記される箇所や操作力の伝達機構等は、適宜変更可能である。
以上説明したリモコン装置においては、電力を消費せずに衛生洗浄装置120の設定状態を表示するため、変更部の一部に印字された数字を用いている。ここで、「電力を消費せずに表示する」とは、表示中に電力を消費しないことをいい、表示を変更する際には電力が消費されてもよい。例えば、電力を消費しない表示方法として、表示中には電力を消費しないが、表示の書き換え時には電力を消費する電子ペーパー等を用いてもよい。電子ペーパーでは、帯電した粒子に電界を印加して移動させることで、文字等を表示することができる。移動した粒子は、電界の印加を止めると移動しにくいため、表示中に電力を消費せずに、設定状態の表示が可能である。実施形態においては、衛生洗浄装置の設定状態を表示する方法は、上記に限られず、表示中に電力を消費しない任意の方法でよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、操作ボタン、変更部、制御部、発電部、および伝達部などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや操作ボタン、変更部、制御部、発電部、および伝達部の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。