JP2017017368A - 音信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 音信号の再生タイミングを規定するクロックとして高品質なクロックを容易に得られるようにする。【解決手段】 それぞれ音データ及びそれに付随するワードクロックを受信する複数のデジタル音信号受信部200と、デジタル音信号受信部200の各々に対応する複数のPLL回路であって、それぞれ対応する受信部が受信したワードクロックに基づいたクロック信号を生成する複数のマスタPLL回路203と、各デジタル音信号受信部200が受信した音データを信号処理部に供給する供給部204と、複数のマスタPLL回路203により生成された複数のクロック信号の1つを、上記信号処理部による処理後の音データの再生タイミングを規定するサンプリングクロックCKoとして選択するセレクタ220とを設けた。【選択図】 図2

Description

この発明は、音信号処理装置に関する。
従来から、デジタルミキサをはじめとする、デジタルの音信号(「音データ」と呼ぶ)を処理する種々の音信号処理装置において、外部の機器から音データを入力することが行われている。この場合の音データの伝送は、例えばAES−3(商標)、MADI(商標)、ADAT(商標)などのオーディオ伝送ラインを用いた方式や、CobraNet(商標)、Dante(商標)、EtherSound(商標)などのオーディオネットワークを用いた方式で行われる。
ここで、上記の各種伝送方式においては、方式によってフォーマットやプロシージャは異なるが、音データに、その音データの各サンプルをデジタルアナログ変換器(DAC)で再生するタイミング(再生タイミング)を示すワードクロック(タイミング情報)が付随して伝送される点は共通している。なお、ワードクロックの実体は方式により様々であり、電気信号の変化タイミングでサンプルの再生タイミングを示す場合もあるし、タイムスタンプの数値でサンプルの再生タイミングを示す場合もある。この(広義の)ワードクロックは、1サンプル当たり1クロックの「狭義のワードクロック」よりも広い概念である。本明細書において、狭義か広義かを区別せずに「ワードクロック」と述べた場合、この「広義のワードクロック」を示すものとする。
例えば、オーディオ伝送ラインでは、各サンプルの音データが受信側に届くタイミング(ワードクロック)が、そのまま各サンプルの再生タイミングである。オーディオ伝送ラインのケーブルには他のデータが流れないので、各サンプルの受信周期、すなわちワードクロックの周期は安定している。
また、EtherSound(商標)では、受信側装置は音データのサンプルの再生タイミングに同期した周期で定期的(同期定期的)にパケットを受信し、その各パケットに複数ch(チャンネル)の各1サンプル分の音データが入っている。そして、そのパケットが受信側に届くタイミング(ワードクロック)が、そのまま各サンプルの再生タイミングとなる。
CobraNet(商標)では、受信側装置は同期定期的にパケットを受信し、その各パケットに、複数chについてそれぞれ連続するnサンプル分の音データが入っている。そして、そのパケットが受信側に届くタイミング(ワードクロック)は、サンプルの再生タイミングを1/n分周したタイミングとなっており、その受信タイミングの周期を1/nに細分すると、各サンプルの再生タイミングとなる。
なお、これらのようなオーディオネットワークでは、ケーブルに音データ以外のパケットも流れるため、送信側装置での同期定期的な送信に多少の揺らぎが生じ、パケットの受信タイミング、すなわちワードクロックは、オーディオ伝送ラインに比べて不安定となる。
Dante(商標)では、受信側装置は音データのサンプルの再生タイミングとは同期しない周期で定期的(非同期定期的)にパケットを受信し、その各パケットに、複数chについてそれぞれ連続する複数サンプル分の音データと、その各サンプルについてのタイムスタンプ(ワードクロック)が入っている。従って、そのタイムスタンプが示すタイミングが、各サンプルの再生タイミングを1/n分周したものとなっており、タイムスタンプが示すタイミングの周期を1/nに細分したものが、各サンプルの再生タイミングとなる。
なお、このようなオーディオネットワークでも、複数装置間で共有する時刻(タイムスタンプの基準単位)にずれがあったり、パケットの遅れや欠落があったりするため、タイムスタンプに基づいて生成される各サンプルの再生タイミングは、通常、オーディオ伝送ラインの場合より不安定である。
ところで、受信側装置において、受信した音データを再生する場合、その出力を高品質に行うためには、再生タイミングを規定するサンプリングクロックとして、非常に高い周波数安定性を持つクロックが必要とされる。このようなサンプリングクロックは、例えば上述のワードクロックを、遮断周波数が極めて低いマスタPLL(Phase Looked Loop:位相同期)回路に入力することにより生成することができる。
しかし、複数のオーディオ伝送ラインやオーディオネットワークを介して音データを受信する場合、受信側装置は、その伝送ラインあるいはネットワーク毎に、ワードクロックも取得することになる。
このような場合、特許文献1あるいは特許文献2に記載のような従来の装置においては、ユーザの操作に従いあるいは自動的に、取得したワードクロックの1つを選択し、その選択したワードクロックをマスタPLL回路に入力してサンプリングクロックを生成することが行われている。
特許第3760483号公報 特許第3085214号公報
しかしながら、特許文献1あるいは特許文献2に記載のような従来の装置では、選択するワードクロックを変更した場合、新たに選択したワードクロックから生成されるサンプリングクロックが安定するまでにある程度の時間を要するという問題があった。そして、サンプリングクロックが不安定な間は、音データの再生を十分な品質で行えないため、ワードクロックの選択を変更すると、サンプリングクロックが安定するまでのある程度の時間、その装置からの音データの出力をミュート(音が聞こえない程度にレベルを絞ること)しなければならなかった。
また、ワードクロックの選択基準としては、例えばワードクロックの周期やジッタを計測してこれを用いることができる。ワードクロックの周期が安定し、ジッタも小さければ、そのワードクロックに基づいてマスタPLL回路により生成されるサンプリングクロックも、高い周波数安定性を持つことが期待される。しかし、ワードクロックとマスタPLLの間には相性があって、計測される周期やジッタ等が同程度のワードクロックを用いても、生成されるサンプリングクロックの品質が大きく異なることがある。
特許文献1あるいは特許文献2に記載のような従来の装置では、選択候補となっている複数のワードクロックの計測値が同程度であった場合に、そのいずれを選択すれば最もよい特性のサンプリングクロックが得られるのかが判断できないという問題があった。
この発明は、このような問題を解決し、音信号処理装置において、それぞれ音データに付随して受信される複数のワードクロックに基づき、音信号の再生タイミングを規定するクロックとして高品質なクロックを容易に得られるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するため、この発明の音信号処理装置は、それぞれ音データ及びそれに付随するワードクロックを受信する複数の受信部と、上記複数の受信部の各々に対応する複数のPLL回路であって、それぞれ対応する受信部が受信したワードクロックに基づいたクロック信号を生成する複数のPLL回路と、上記複数の受信部が受信した音データを信号処理部に供給する供給手段と、上記複数のPLL回路により生成された複数のクロック信号の1つを、上記信号処理部による処理後の音データの再生タイミングを規定するクロックとして選択する選択手段とを設けたものである。
このような音信号処理装置において、上記複数のPLL回路のいずれかを選択し、そのPLL回路が生成するクロック信号の周期を測定する測定手段を設け、上記選択手段における選択が、その測定結果に基づいて行われるようにするとよい。
あるいは、上記複数のPLL回路の各々に対応する複数の測定手段であって、それぞれ対応するPLL回路が生成するクロック信号の周期を測定する複数の計測手段を設け、上記選択手段における選択は、その測定結果に基づいて行われるようにするとよい。
以上のようなこの発明の構成によれば、音信号処理装置において、それぞれ音データに付随して受信される複数のワードクロックに基づき、音信号の再生タイミングを規定するクロックとして高品質なクロックを容易に得ることができる。
図1は、この発明の音信号処理装置の一実施形態であるデジタルミキサのハードウェア構成例を示す図である。 図1に示した音信号入力部の構成をより詳細に示す図である。 図2に示した指標部の構成をより詳細に示す図である。 図1に示した音信号処理装置のCPUが定期的に実行する処理のフローチャートである。 クロックソース選択画面の表示例を示す図である。 図1に示した音信号処理装置のCPUがサンプリングクロックの選択指示を検出した場合に実行する処理のフローチャートである。 音信号入力部の比較例の構成を示す図である。
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、この発明の音信号処理装置の一実施形態であるデジタルミキサについて説明する。図1は、そのデジタルミキサの構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、デジタルミキサ10は、CPU11、ROM12、RAM13、表示器14、操作子15、音信号入力部20、信号処理部(DSP)21を備え、音信号出力部22を備え、これらがシステムバス16によって接続されている。そして、受信部で受信した音信号に対し、複数の信号処理チャンネル(ch)で種々の信号処理を施して出力する機能を有する音信号処理装置である。
また、CPU11は、このデジタルミキサ10全体の動作を制御する制御手段であり、ROM12に記憶された所要のプログラムを実行して所要のハードウェアを制御する。そして、このことにより、音信号入力部20及び音信号出力部22における音信号及びその他のデータの入出力、表示器14における表示、操作子15の操作検出、その検出した操作に従ったパラメータの値の変更及び表示の変更、といったものをはじめとする種々の機能を実現する。
ROM12は、CPU11が実行する制御プログラム等を記憶する不揮発性記憶手段である。書き換え可能な不揮発性記憶手段であるフラッシュメモリによりROM12を構成してもよい。
RAM13は、一時的に記憶すべきデータを記憶したり、CPU11のワークメモリとして使用したりする記憶手段である。
表示器14は、CPU11による制御に従って種々の情報を表示する表示手段であり、例えば液晶パネル(LCD)や発光ダイオード(LED)によって構成することができる。ここで説明する例では、デジタルミキサ10は、表示器14として少なくとも図4に示すクロックソース選択画面300を表示可能なサイズのLCDを備える。
操作子15は、デジタルミキサ10に対するユーザ操作を受け付けるためのものであり、種々のキー、ボタン、ロータリーエンコーダ、スライダ等によって構成することができる。表示器14であるLCDに積層したタッチパネルを用いることもできる。
音信号入力部20は、少なくとも、外部の機器からデジタルの音データを入力する機能を備え、その音データをその音データに付随するワードクロックとともに受信する複数の受信部を備える。このワードクロックは、背景技術の項で説明したように、音データを含むパケットの受信タイミングやパケット内の音データのサンプルに付されたタイムスタンプ等のタイミング情報であって、音データの各サンプルの再生タイミングを示す。
CobraNet(商標)やDante(商標)のように、1つのパケットで連続する複数サンプルの音データを伝送する場合には、各サンプル毎の再生タイミングではなく、nサンプル毎(nは2以上の整数)の再生タイミングを示すものとなる。
そして、音データの各サンプルは、必要とされる各種の信号処理が施された後、ワードクロックの示す再生タイミングでアナログの音信号に変換され出力される。
また、音信号入力部20は、デジタル音信号の受信部毎に、その受信部で取得されたワードクロックを入力し、そのワードクロックからサンプリングクロックS(サンプリングクロックCKoの候補)を生成するマスタPLL回路203を備える。
サンプリングクロックCKoは、DSP21において信号処理された音信号の再生タイミングを規定するクロックである。例えば、サンプル周波数50kHzのDACで、24ビットのサンプルを4チャンネル分再生するとすると、サンプリングクロックCKoは、音信号のサンプル周波数の128倍の周波数を持つクロックとすればよい。このデジタルミキサ10ではクロックSおよびクロックCKoをサンプルレート変換にも使用するので、より高い精度が必要とされており、サンプリングクロックSとしてサンプル周波数の1024倍の周波数を持つクロックが生成される。
音信号入力部20は、サンプリングクロックSの生成機能に加え、アナログ音信号及び外部のクロック源から供給されるワードクロックを入力する機能や、DSP21及び音信号出力部22に供給するサンプリングクロックCKoを複数の候補から選択する機能などを備えるが、これらの機能については図2を用いて後述する。
DSP21は、音信号入力部20から供給される音データの各サンプルに対し、同じく音信号入力部20から供給されるサンプリングクロックCKoにより規定されるサンプル周期に同期して信号処理を行い、その処理後の音データを音信号出力部22へ出力する機能を備える。なお、DSP21はサンプル周期に厳密に同期して動作する必要はなく、サンプリングクロックCKoの品質でDSP21の信号処理の品質が左右されることもない。
DSP21が実行する信号処理は、例えばデジタルミキサの場合、外部からの複数の音データの何れかを複数の入力chにそれぞれ供給する入力パッチ処理、その供給された音データに対し、レベル調整、周波数特性調整、効果付与等の種々のch信号処理を行う入力ch処理、各入力chの処理後の音データを複数のミキシングバスに供給してミキシングを行うミキシング処理、各ミキシングバスでミキシングされた音データに対し、そのミキシングバスと対応する出力chにて種々のch信号処理を行う出力ch処理、および、出力chと対応付けられた音信号出力部22の出力ポートに出力する出力処理を含む。
音信号出力部22は、DSP21による処理後の音データを、内部のDACにて、サンプリングクロックCKoにより規定される再生タイミングでアナログの音信号に変換して外部へ出力する機能や、内部の送信部にて、サンプリングクロックCKoの示す再生タイミングをワードクロックに変換して付加し、各種伝送方式で外部の機器に送信する機能を備える。なお、音データがデジタルのまま他機器へ送信される場合でも、その送信先の何処かで、最終的にはアナログの音信号に変換される。その点を考慮すると、送信の場合でも、サンプリングクロックCKoは「音データのサンプルの再生タイミングを示す」と言えるのである。また、この音データの出力先ないし送信先としては、パワードスピーカ等の発音装置や、録音装置、さらに別の音信号処理装置など、種々のものが考えられる。オーディオネットワークを用いる場合、音信号入力部20が音信号の受信に用いたものと同じネットワークを介して音信号出力部22が音信号を出力することもできる。
以上の構成を備えるデジタルミキサ10において、特徴的な点の一つは、音信号入力部20の構成である。そこで、以下、図2を用いて音信号入力部20の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、音信号入力部20は、各種伝送方式のケーブルを介して、それぞれ音データ及びそれに付随するワードクロックを受信する複数(ここではn個)のデジタル音信号受信部200−1〜200−n(ハイフンの後ろの個体を特定する番号を「添え字」と呼び、以後、個体を特定する必要がない場合には添え字がない符号を用いる。他の添え字付きの符号についても同様とする。)を備える。また、音信号入力部20は、それぞれアナログ音信号の入力を受け付ける複数(ここではm個)のアナログ音信号入力部230−1〜230−mと、ワードクロック信号(狭義のワードクロック)を受け付けるワードクロック入力部210とを備える。
これらのうち、各i番目(ただし、1≦i≦n)の受信部200−iは、搬送クロック再生部201−iとデータ回復部202−iとを備える。また、音信号入力部20には、各受信部200と対応するマスタPLL回路203−i、供給部204−i及び指標部205−iが設けられる。図中において、これらの各部の符号には、受信部200−iと対応する番号iを添え字として付している。後述する音データD、ワードクロックW及びサンプリングクロックSについても同様である。
これらのうち搬送クロック再生部201−iは、外部から各種伝送方式のケーブルを介して入力する、その伝送方式のビット列信号の波形から、ビット列信号の各ビットに同期する搬送クロックを生成する機能を備える。この搬送クロック再生部201−iは、その伝送方式で規定されるビットレートへの追従性が良いPLL回路により構成することができる。このPLL回路の周波数安定性は余り高くないので、オーディオ伝送ライン以外の伝送方式用のPLL回路で生成される搬送クロックは、サンプリングクロックとしては使用できない。また、オーディオ伝送ライン用のPLL回路で生成される搬送クロックであっても、マスタPLLを通した方が、より品質の高いワードクロックとすることができる。また、搬送クロック再生部201−iは、PLL回路の生成する搬送クロックがビット列にロックしているか否かを検出し、その結果をロック状態として指標部205−iへ供給する機能を備える。
データ回復部202−iは、搬送クロック再生部201−iにより生成された搬送クロックを用いて各伝送方式のビット列信号の波形からビット列を再生し、さらにそのビット列から各サンプルの音データD−iを取り出す機能を備える。より具体的には、搬送クロックが示すタイミングでビット列信号の波形をラッチして、伝送されるビット列の各ビットの値を確定し、そのビット列から、その伝送方式に従ったアルゴリズムで、各サンプルの音データを取り出す。
例えば、オーディオ伝送ラインであれば、ビット列から所定ビット数毎に1サンプル分のビット数のデータを取り出せば、それが各サンプルの音データとなる。また、パケットを使用する伝送方式であれば、まず、ビット列からプリアンブルのビットパターンに基づいてフレームを取り出し、そのフレームからパケットを取り出し、さらに、そのパケットの音信号領域のデータを取り出すことにより、各サンプルの音データを得られる。
そして、データ回復部202−iには、使用する伝送方式に応じた取り出し動作を行うためのFPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路を設けておく。複数の伝送方式から選択した一の伝送方式に従った取り出し動作を行えるようにしてもよい。
そして、データ回復部202−iは、受信した音信号から取り出した音データD−iを対応する供給部204−iに供給する。このとき、複数ch分の音データを取り出していれば、ch毎に区別して音データを供給する。
また、データ回復部202−iは、音データを含むパケットの受信タイミングや音データに付されたタイムスタンプ等を、音データのサンプルの再生タイミングを示すワードクロックW−iとして、マスタPLL回路203−i及び指標部205−iへ供給する。
マスタPLL回路203−iは、入力するワードクロックW−iの位相に追従し、かつ、そのサンプル周波数を1024倍に逓倍した高安定度のサンプリングクロックS−iを生成する機能を備える。マスタPLL回路203−iは、生成したサンプリングクロックSを供給部204−i及びセレクタ220へ供給する。
なお、セレクタ220は、詳細は後述するが、CPU11からの指示に従い、各受信部200−1〜200−nあるいはワードクロック入力部210と対応するマスタPLL回路203にて生成され、セレクタ220に供給される複数のサンプリングクロックSの中から1つを選択し、音データの各サンプルの再生タイミングを規定するサンプリングクロックCKoとして、DSP21及び音信号出力部22へ供給する。また、セレクタ220は、サンプリングクロックCKoを、各受信部200−1〜200−nと対応する供給部204及び指標部205へも供給する。
供給部204−iは、データ回復部202−iから入力される音データの各サンプルを、サンプリングクロックCKoの示す再生タイミングでDSP21へ供給する機能(バッファ機能)を備える。また、ワードクロックW−iとサンプリングクロックCKoが同期しない場合でも、サンプル飛びノイズを発生することなしに、音データD−iをDSP21に渡せるように、入力された音データD−iから、音データD−iのサンプリングクロックCKoの示す再生タイミングの仮想的なサンプルを合成するSRC(Sampling Rate Conversion:サンプリング周波数変換)機能を備える。
このSRC機能は、例えば、入力された音データD−iを複数サンプル分バッファに保存し、それら複数サンプルに対して補間処理を行って、サンプリングクロックCKoが示すタイミングのサンプル値を求めることにより、実現できる。
このSRC機能は、CPU11からの指示に従いオン/オフ(有効/無効)を切り替え可能であり、オフ(無効)の場合、上述した供給部204−iのバッファ機能が有効となり、オン(有効)の場合、SRC機能が有効となる。
ワードクロックW−iとサンプリングクロックCKoのタイミングずれがあると、そのずれ分だけ、所定時間内に供給部204−iへ入力されるサンプル数と供給部204−iが出力するサンプル数が異なることになる。しかし、バッファ機能を有効にしている場合でも、そのバッファがあふれたり、空になったりしない範囲であれば特に問題はない。バッファのあふれやサンプルの枯渇が起こるほどずれが大きい場合にだけ、SRC機能を有効にすることにより、入力された音データからサンプリングクロックCKoのタイミングのサンプルを補間合成してやる必要がある。
なお、データ回復部202−iが複数ch分の音データを取り出す場合、供給部204−iは、バッファ機能やSRC機能をそのch毎に動作させる。ただし、SRC機能のオンオフは、各chに共通でよい。
指標部205−iは、搬送クロック再生部201−iから供給されるロック状態と、データ回復部202−iから供給されるワードクロックW−iと、マスタPLL回路203から供給されるサンプリングクロックS−iと、セレクタ220から供給されるサンプリングクロックCKoとに基づき、各種クロックの状態に関する種々の測定を行い、その結果に基づき種々の指標値の生成を行う機能を備える。
図3に、指標部205−iのより詳細な構成を示す。なお、この図の各ブロックは、その符号への番号iの付加が省略されているが、全て番号iに帰属するものである。
図3に示すように、i番目の指標部205は、周期測定部241、同期検出部242、逸脱量検出部243及び指標値作成部244を備える。
このうちi番目の周期測定部241は、音信号入力部20の動作に用いるシステムクロックを用いて、マスタPLL回路203−iから供給されるサンプリングクロックS−iが示すサンプル周期を測定し、その結果を指標値作成部244へ供給する機能を備える。このシステムクロックは、例えば数百メガヘルツ程度の、サンプリングクロックS−iが示すサンプル周期よりはるかに高い周波数である。
i番目の同期検出部242は、マスタPLL回路203−iから供給されるサンプリングクロックS−iとセレクタ220から供給されるサンプリングクロックCKoとが同期しているか否かを判定し、その結果を同期状態として指標値作成部244へ供給する機能を備える。例えば、サンプリングクロックS−iとサンプリングクロックCKoとの位相差の変化が所定時間以上に亘り閾値以下である場合に「同期」と判定し、それ以外の場合に「非同期」と判定することができる。
対応するマスタPLL回路203−iが生成したサンプリングクロックS−iがセレクタ220で選択されている場合、i番目の同期検出部242の判定結果は必ず「同期」となる。しかし、サンプリングクロックS−iが選択されていない場合、セレクタ220で選択されているサンプリングクロックCKoが追従しているワードクロックと、マスタPLL回路203−iへ供給されるワードクロックW−iとがほぼ同期している場合に限り、判定結果が「同期」となる可能性があり、それ以外の場合は必ず「非同期」になる。また、ほぼ同期している場合であっても、両ワードクロックのゆらぎ等により、「非同期」となることがあり得る。
i番目の逸脱量検出部243は、供給部204−iのバッファ機能が有効とされている場合に、そのバッファに蓄積されている音データのサンプル数の基準値からのずれを検出し、逸脱量として指標値作成部244へ出力する機能を備える。
供給部204−iのバッファに入力されたサンプルの数は、ワードクロックW−iのクロック累算数であり、同バッファから出力されたサンプルの数は、サンプリングクロックCKoのクロック累算数なので、これらの累算数の差分を取ることにより、供給部204のバッファに蓄積されている音データのサンプル数が求められる。
従って、蓄積サンプル数がバッファの基準値であるときに逸脱量をゼロに初期設定し、ワードクロックW−iの1クロック毎にその逸脱量をインクリメントし、サンプリングクロックCKoの1クロック毎にその逸脱量をデクリメントすることにより、現在の逸脱量を求めることができる。
なお、供給部204−iのSRC機能が有効とされている場合には、バッファのサンプル数は問題にならないので、逸脱量の検出および出力は行われない。
i番目の指標値作成部244は、周期測定部241、同期検出部242、逸脱量検出部243から供給される種々の測定及び検出結果と、搬送クロック再生部201−iから供給されるロック状態とに基づき、種々の指標値を作成し、CPU11に提供する機能を備える。指標値作成部244が作成する指標値は、ここでは、ロックフラグ、同期フラグ、逸脱量の最大値と最小値、および周期の最大値と最小値であり、CPU11は、それらの指標値を、指標値作成部244から周期的に読み出す。
ロックフラグは、搬送クロック再生部201−iにおいて搬送クロックが適切に生成できているか否かを示すフラグであり、搬送クロック再生部201−iから供給されるロック状態に基づきその値を作成する。指標値作成部244は、CPU11によりロックフラグの値が読み出されたとき、ロックフラグを「1」に初期設定し、その後、ロック状態がアンロックを示したとき、ロックフラグを「0」に変更する。従って、CPU11による読み出し後、次の読み出しまでにアンロックが生じていなければ、次に読み出されるロックフラグの値は「1」となり、一度でもアンロックが生じていれば、「0」となる。
同期フラグは、サンプリングクロックS−iとサンプリングクロックCKoとが同期しているか否かを示すフラグであり、同期検出部242から供給される同期状態に基づきその値を作成する。指標値作成部244は、CPU11により同期フラグの値が読み出されたとき、同期フラグを「1」に初期設定し、その後、同期状態が非同期を示したとき、ロックフラグを「0」に変更する。従って、CPU11による読み出し後、次の読み出しまでに非同期が生じていなければ、次に読み出されるロックフラグの値は「1」となり、一度でも非同期が生じていれば、「0」となる。
逸脱量の最大値と最小値は、逸脱量検出部243が検出した逸脱量の変動範囲を示す。指標値作成部244は、CPU11によりこれらの値が読み出された場合に、その時点での逸脱量の検出値を、最大値及び最小値双方の初期値として設定する。その後供給された検出値が最大値より大きい場合に、その検出値でその最大値を更新し、最小値より小さい場合に、その検出値でその最小値を更新する。従って、CPU11により読み出される最大値及び最小値は、最大値及び最小値の前回の読み出しから今回の読み出しまでの期間における逸脱量の測定値の最大値及び最小値である。
周期の最大値と最小値は、周期測定部241が測定したサンプリングクロックSの周期の変動範囲を示す点以外は、逸脱量の場合と同様であり、CPU11は、指標値作成部244から、前回の読み出しから今回の読み出しまでの期間における周期の測定値の最大値及び最小値を読み出す。
図2の説明に戻る。
音信号入力部20において、ワードクロック入力部210の波形整形部211は、外部から入力されるワードクロック信号(狭義のワードクロック)の波形を整える機能を備える。この波形整形部211は、フィルタやコンパレータにより構成することができる。
なお、波形を整えられたワードクロック信号は、電圧の反転タイミングがサンプルの再生タイミングを示しており、データ回復部202が出力するワードクロックWと同様に扱われる。このワードクロックは、ここでは添え字「0」を用いてワードクロックW−0と呼ぶことにする。また、ワードクロック入力部210と対応するマスタPLL回路203及び指標部205にも添え字「0」を用いる。
マスタPLL回路203−0の機能は、他のマスタPLL回路203と同様であり、入力するワードクロックWから、安定度の高いサンプリングクロックSを生成する。
指標部205−0の機能も、概ね他の指標部205と同様である。しかし、ワードクロック入力部210には、対応する供給部204がないため、逸脱量検出部243は不要であり、逸脱量に関する指標値も作成しない。また、波形整形部211にはPLL回路が無いので、ロックフラグも作成しない。
また、アナログ音信号入力部230は、それぞれADコンバータ231を備え、セレクタ220から供給されるサンプリングクロックCKoが示すタイミングで、入力するアナログの音信号をAD変換し、この変換で得られる音データDaを、DSP21における信号処理周期毎に1サンプルずつDSP21へ供給する。
次に、以上説明した音信号入力部20の各部の制御のためにCPU11が実行する処理について説明する。
まず、図4に、CPU11が定期的に実行する処理のフローチャートを示す。
CPU11は、所定時間おきの定期的な割り込みタイミングになると、図4に示す処理を実行し、各指標部205−iの指標値作成部244−iから、記憶されている指標値を読み出し(S11)、その指標値に基づいてクロックソース選択画面の表示を更新する(S12)。
図5に、表示器14に表示されるクロックソース選択画面の例を示す。
クロックソース選択画面300は、音信号入力部20が複数の各音データとともに外部の機器から受け取るワードクロックの現在の状態を表示すると共に、セレクタ220におけるサンプリングクロックCKoの選択及び各供給部204−iにおけるSRC機能のオンオフの操作をユーザから受け付けるための画面である。
より具体的には、CPU11の制御により、クロックソース選択画面300には、ワードクロックWの供給源(デジタル音信号受信部200及びワードクロック入力部210)毎に、「ロック」、「同期」、「周波数」、「揺れ幅」、「バッファ」、「SRC」、「選択」の情報が表示される。
このうち、「ロック」は、指標値作成部244−iから読み出したロックフラグの値を表示する欄である。「○」がロック維持を、「×」がアンロック発生を示す。
「同期」は、指標値作成部244−iから読み出した同期フラグの値を表示する欄である。「○」が同期維持を、「×」が非同期発生を示す。ただし、セレクタ220がサンプリングクロックSを選択している供給源(図5の例では第1デジタル入力)については、同期フラグは必ず同期維持を示すため、ユーザに確認させる意味がないことから、図5の例では、「配慮不要」を示す「−」を表示している。また、搬送クロックが検出できない場合には(図5の例では第4デジタル入力)、受信部200−iには音データもワードクロックも届いておらず、同期を検出することに意味がないので、この場合も「−」を表示している。
「周波数」は、指標値作成部244−iから読み出したサンプリングクロックS−iのサンプル周期の最大値と最小値の平均から、その逆数として、サンプリングクロックS−iの周波数推定値を求めて表示する欄である。指標値作成部244−iが周波数推定値を求めるようにしてもよい。
「揺れ幅」は、指標値作成部244−iから読み出したサンプリングクロックS−iの周期の最大値と最小値の逆数の差から、サンプリングクロックS−iの周波数の揺れ幅(ジッタ)を求めて表示する欄である。指標値作成部244−iが周波数の揺れ幅を求めるようにしてもよい。
「バッファ」は、指標値作成部244から読み出した逸脱量の最大値及び最小値に基づき、周波数変換機能がオフされている場合の、供給部204−iのバッファにおける音データの蓄積状態を表示する欄である。ここでは、まず、最大値及び最小値のうち、いずれか絶対値の大きい一方を対象値Xとして選択し、その値Xを3段階の閾値T1〜T3(ただし、0<T1<T2<T3)と比較し、その比較結果に基づいて複数段階の表示を行う。対象値Xが−T1からT1の範囲内にあるときは「良好」、T1からT2の範囲なら「やや多」、T2からT3の範囲なら「多」、−T3からT3の範囲外なら「エラー」、−T3から−T2の範囲なら「少」、−T2から−T1の範囲なら「やや少」と表示する。
サンプリングクロックSとサンプリングクロックCKoの周波数のずれが継続的に大きい場合、そのずれが蓄積されて、逸脱量(絶対値)は正又は負の方向に徐々に大きくなる。ユーザはこの表示を参照して、周波数のずれ量の状況を把握して、供給部204−iの周波数変換機能をオンすべきか否かを判断できる。
なお、ある供給部204−iにてSRC機能を有効にしている場合は、そもそも前記蓄積状態を気にする必要がないので、「バッファ」欄の表示を「SRC中」としてその旨を示す。また、搬送クロックが適切に生成できないなど、音データが供給部204−iへ正常に入力されない場合にも、「バッファ」の欄に「エラー」と表示してもよい。
「選択」は、セレクタ220でどの供給源と対応するマスタPLL回路203−iが出力するサンプリングクロックS−iがサンプリングクロックCKoとして選択されているか表示するとともに、その選択を変更する指示をユーザから受け付けるための欄である。ユーザは、他の各欄の表示を参照しつつ、任意の供給源iの「選択」欄をクリックして、セレクタ200に、その供給源i由来のサンプリングクロックS−iを選択させることができる。
「SRC」は、各供給源と対応する供給部204−iにおけるSRC機能をオンするか否かの指示をユーザから受け付けるための欄である。ユーザは、他の各欄の表示を参照しつつ、任意の供給源iの「SRC」欄をクリックして、その供給源iと対応する供給部204−iにおけるSRC機能のオンオフをトグルで切り替えることができる。ただし、セレクタ220がサンプリングクロックS−iを選択している供給源iについては、サンプリングクロックS−iとサンプリングクロックCKoの同期は常に確保されており、周波数変換を行う必要がないため、周波数変換機能が強制的に「オフ」になるようにしている。図5では、白黒反転によりこれを示している。
次に図6に、ユーザによるクロックソースの選択が検出された場合に、CPU11が実行する処理のフローチャートを示す。
クロックソース選択画面300の何れかの供給源iの「選択」欄に対するユーザのクリック操作、すなわち、サンプリングクロックCKoが追従するワードクロックW−iの供給源iの選択操作が検出されると、CPU11は、図6に示す処理を開始する。
そして、まず音信号出力部22から出力される音データをミュートし(S21)、その後、セレクタ220に、検出した指示に応じたサンプリングクロックS−iを選択させて(S22)、ステップS21で設定した音データのミュートを解除する(S23)。
ここでミュートを行うのは、セレクタ220での選択変更時にはサンプリングクロックCKoに一時的な乱れが生じ、その結果DSP21における信号処理や音信号出力部22からの音信号出力の際に音信号に不快なノイズが入るのを防止するためである。
しかし、セレクタ220で選択し得るサンプリングクロックS−0〜S−nは、いずれもマスタPLL回路203にて周波数を安定させた後の、そのままサンプリングクロックCKoとして使用し得るクロックである。従って、選択変更後、音信号出力部22における再生タイミングとして直ぐに使用できるので、ミュートは速やかに解除できる。このため、サンプリングクロックSの選択変更の際に必要となるミュート時間は極めて短く、ユーザは、クロックソースの選択操作をストレスなく行うことができる。
また、上述したデジタルミキサ10においては、各マスタPLL回路203−iで生成したサンプリングクロックS−iの周期を測定する測定手段である周期測定部241−iを設け、その測定結果をクロックソース選択画面300にてユーザに提示するようにしている。従って、ユーザは、各供給源iから供給されるワードクロックW−iではなく、そのワードクロックW−iに基づき生成されるサンプリングクロックS−iの品質を見た上で、どのサンプリングクロックS−iをサンプリングクロックCKoとして使用するかを選択できる。従って、品質のよいサンプリングクロックCKoを得るための供給源iを容易に選択することができる。
ここで、図7に、従来技術相当の、音信号入力部の比較例の構成を示す。
図7においても、図2と共通する箇所には同じ符号を用いた。
この比較例の音信号入力部500における、各デジタル音信号受信部200−i及びワードクロック入力部210の構成は、図2の音信号入力部20と同じである。しかし、各データ回復部202−iは、受信した音データに付随するワードクロックWを取り出して、セレクタ520へ供給する。波形整形部211についても同様である。セレクタ520は、各データ回復部202−i及び波形整形部211から供給されるワードクロックW−0〜W−nのいずれか1つを選択して、マスタPLL回路503へ供給する。マスタPLL回路503は、入力されるワードクロックに基づき、サンプリングクロックCKoを生成する。
この構成の場合、セレクタ520にてワードクロックの選択を変更すると、マスタPLL回路503が生成するサンプリングクロックCKoが安定するまで、ある程度の時間を要する。従って、その安定するまでの間、音信号出力部22から出力される音データのミュートを維持せざるを得ず、無視できない時間(数秒程度)音が途絶えてしまうことになる。
また、位相比較部505を設け、各供給源iからのワードクロックW−iと、サンプリングクロックCKoとの同期の有無を判定することができるが、各供給源からのワードクロックW−iに基づきサンプリングクロックを生成した場合にどのような品質となるかは、実際にそのワードクロックを選択してマスタPLL回路に供給してみないとわからない。従って、初めに選択したワードクロックWでは好ましい品質のサンプリングクロックCKoが得られなかった場合、別のワードクロックを選択してみる必要が生じる。また、どのワードクロックを選択すれば最もよい品質のサンプリングクロックCKoが得られるかを把握するためは、ユーザは、全てのワードクロックを順次選択して試してみる必要がある。そして、この選択の度に、無視できない時間のミュートが必要となり、操作性が悪い。
これに対し、上述した実施形態の構成であれば、このような問題は発生しない。
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成、画面の表示内容、具体的な処理の手順、使用する伝送方式などが、上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
例えば、上述した実施形態では、指標部205を、各デジタル音信号受信部200−1〜200−n及びワードクロック入力部210に対応付けて設けたが、このようにする必要はない。指標部205を1つのみ設け、ユーザが任意に選択した受信部200あるいはワードクロック入力部210の状態を測定して表示する構成としてもよい。あるいは、自動的に順次各受信部200あるいはワードクロック入力部210を選択し、その選択した箇所の状態を測定して表示するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、クロックソース選択画面300の表示のために、CPU11が定期的に指標値作成部244から指標値を読み出す例について説明した。しかし、逆に、指標値作成部244が生成した指標値に変化があった場合に、CPU11に割り込みをかけて指標値を読み出させ、クロックソース選択画面300の表示を更新させてもよい。
また、CPU11が、ある供給源について、供給部204のバッファ機能を有効にした状態で、「0(非同期発生)」の同期フラグを読み出した場合に、その供給源からDSPへ供給される音データをミュートするようにしてもよい。この場合、音データにサンプル飛びノイズが入る可能性があるためである。
また、セレクタ220にどのサンプリングクロックSを選択させるかを、各指標部205が作成する指標値に基づきCPU11が自動的に決定してもよい。例えば、周波数が所定範囲内にありかつ揺れ幅が最も少ないサンプリングクロックを選択する、あるいは、いくつかの候補に順次切り替えつつ同期フラグの値を参照し、同期可能な他のサンプリングクロックの数が最も多いものを選択する、等である。
また、上述した実施形態において、ワードクロック入力部210やアナログ音信号入力部230を設けることは必須ではない。逆に、ワードクロック入力部210を複数設け、複数の外部装置からワードクロックを入力して、そのワードクロックに基づき生成したサンプリングクロックを、セレクタ220における選択の候補としてもよい。また、デジタル音信号受信部200及びアナログ音信号入力部230の数は、もちろん任意である。
また、この発明は、デジタルミキサ以外にも、それぞれデジタル音信号及びそれに付随するワードクロックのタイミング情報を受信し、そのタイミング情報に基づいたクロック信号を生成して信号処理や音データ出力のタイミング制御に用いる音信号処理装置に適用可能である。例えば、エフェクタ、レコーダ、アンプ、シンセサイザ等に適用可能であるし、外部から音信号の入力を受け付けて特定の装置あるいはネットワークに供給する信号入力装置や、特定の装置あるいはネットワークから受け取った音信号をその外部へ出力する信号出力装置やパワードスピーカにも適用可能である。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
以上の説明から明らかなように、この発明によれば、音信号の再生タイミングを規定するクロックとして高品質なクロック信号を容易に利用可能な音信号処理装置を実現することができる。
10:デジタルミキサ、11:CPU、12:ROM、13:RAM、14:表示器、15:操作子、16:システムバス、20,500:音信号入力部、21:信号処理部(DSP)、22:音信号出力部、200:デジタル音信号受信部、201:搬送クロック再生部、202:データ回復部、203,503:マスタPLL回路、204:供給部、205:指標部、210:ワードクロック入力部、211:波形整形部、220,520:セレクタ、230:アナログ音信号入力部、231:ADコンバータ、241:周期測定部、242:同期検出部、243:逸脱量検出部、244:指標値作成部、300:クロックソース選択画面、505:位相比較部、D,Da:音データ、CKo,S:サンプリングクロック、W:ワードクロック

Claims (3)

  1. それぞれ音データ及びそれに付随するワードクロックを受信する複数の受信部と、
    前記複数の受信部の各々に対応する複数のPLL回路であって、それぞれ対応する受信部が受信したワードクロックに基づいたクロック信号を生成する複数のPLL回路と、
    前記複数の受信部が受信した音データを信号処理部に供給する供給手段と、
    前記複数のPLL回路により生成された複数のクロック信号の1つを、前記信号処理部による処理後の音データの再生タイミングを規定するクロックとして選択する選択手段とを備えることを特徴とする音信号処理装置。
  2. 請求項1に記載の音信号処理装置であって、
    前記複数のPLL回路のいずれかを選択し、そのPLL回路が生成するクロック信号の周期を測定する測定手段を備え、
    前記選択手段における選択は、その測定結果に基づいて行われることを特徴とする音信号処理装置。
  3. 請求項1に記載の音信号処理装置であって、
    前記複数のPLL回路の各々に対応する複数の測定手段であって、それぞれ対応するPLL回路が生成するクロック信号の周期を測定する複数の計測手段を備え、
    前記選択手段における選択は、その測定結果に基づいて行われることを特徴とする音信号処理装置。
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