JP2017016773A - リチウムイオン二次電池負極及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】黒鉛材料の破壊を抑制するとともに配向性を適切に制御することにより、エネルギー環境問題解消に関連した各種用途に適用する場合に要求されるエネルギー密度及びサイクル特性を実用上満足できるリチウム二次電池負極を提供する。【解決手段】黒鉛粒子に真比重1.90〜2.16g/cm3の低結晶炭素粒子を95:5〜70:30の質量比で配合された負極活物質を用い、集電体上に該負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を形成して構成されているリチウムイオン二次電池用負極であって、前記負極活物質層の密度が圧密後1.10〜1.40g/cm3であり、かつ、XRD測定による負極活物質中の黒鉛粒子結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比(I110/I004)が0.70〜1.10の間であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。【選択図】なし
Description
本発明は、高容量で耐久性に優れ、ハイブリッド自動車や太陽光発電などのエネルギー環境問題解消に関連した各種用途に利用できるリチウムイオン二次電池負極及び二次電池に関する。
電気エネルギーによって支えられている現代社会において、充放電が可能であり、かつ繰り返し使用が可能な二次電池は今やなくてはならない存在となっている。特に、リチウムイオン二次電池は、作動電位が高いこと、電池容量が大きいこと、及びサイクル寿命が長い等の優れた特徴を活かし、かつ比較的に軽量で環境汚染が少ないことから、従来主流であったニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池に代わって広範囲で用いられている。
リチウムイオン二次電池の主な用途はノートパソコンやスマートフォンに代表される小型携帯電子機器の電源であるが、近年では、エネルギー問題や環境問題に対応するために、電気自動車やモーターとガソリンエンジンとを組み合わせたハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車の大型電池としても多く利用されている。これに加えて、太陽光発電や風力発電のように出力の変動する発電機と併用して、変動の吸収緩和あるいは出力が一定となるように制御する目的、あるいは需要側での変動緩和やピークシフトの目的での定置向け蓄電池としての利用が注目されており、今後これらエネルギー環境問題に関連した各種用途における需要増大に伴い、その要求特性は益々高くなっていくものと予想されている。
リチウムイオン二次電池の負極を構成する負極活物質は、黒鉛をはじめとする炭素材料やチタン酸リチウム、シリコン、スズなどが挙げられるが、安全性及び寿命の面から炭素材料が一般的に用いられている。炭素材料のなかでも黒鉛材料は、高エネルギー密度を持つ優れた材料であることから、小型携帯電子機器の電源だけではなく、現在はハイブリッド電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車の電源、定置用蓄電池としてのリチウムイオン二次電池の負極活物質として採用、及び研究開発が進んでいる。
上記のような大型電池では、エネルギー密度が高いことや、充放電の繰り返しに対する放電容量の劣化が少ない、即ちサイクル特性が優れていることが求められている。ここで、負極活物質として用いられる炭素材料としては非晶質炭素や結晶性の高い黒鉛などが挙げられる。特に高エネルギー密度が要求される用途では、一般に黒鉛が用いられる。
黒鉛は天然黒鉛と人造黒鉛とに大きく分類される。一般に、天然黒鉛は比表面積が大きく電解液との反応性も高く、結晶性も高いため加圧により変形して容易に配向する傾向がある。そのため、天然黒鉛では電気自動車用電池に求められるような高いサイクル特性を得るのが困難であった。そこで、粒子表面に低結晶炭素を被覆することで比表面積を小さくさせ、電解液との反応性を低減させる試みがなされていた。また、天然黒鉛を球形化させることにより配向性を減少させる試みもなされていた。しかし、配向性を制御はすることが未だ不十分であり、黒鉛をリチウムイオン二次電池負極材料に使用する場合において実用上の難点となっている。
一方、人造黒鉛は、天然黒鉛よりも電解液との反応性が低く粒子の配向性も少ないため、サイクル特性に優れていると言われている。しかしながら、人造黒鉛は、その製造方法によって、結晶性、粒子形状、粒子の固さなどの粒子性状が多様であり、その粒子性状に適した電極設計を行わないと人造黒鉛の性能を十分に引き出すことはできない。
例えば、特許文献1では、加圧による変形および配向性が少ない黒鉛材料を用いた際に問題となる電極の導電性の低下を防止することによって、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供する技術が開示されている。しかし、特許文献1の黒鉛材料では、電極を圧密した際に電極密度を十分に高めることが出来ず、体積当たりの容量密度が低下してしまうといった問題があった。高い圧力で無理に電極の密度を高めようとすると、圧密時に黒鉛が平面上に配向するために端面部分に亀裂、破壊が生じてしまい、新たに生じた黒鉛端面で電気化学的副反応が発生するため充放電効率が低下してしまうといった問題があった。
また、特許文献2では、特定の層間距離を有する黒鉛からなる芯材と、ラマン散乱分光法より得られるR値が特定値以上の低結晶性炭素である表層とからなる複合黒鉛粒子を用いることによって、負極の製造における圧密時の黒鉛粒子の結晶配向が抑制された充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池の負極用活物質が開示されている。しかし、特許文献2の複合黒鉛粒子については、低結晶炭素材料を黒鉛表面に被覆して黒鉛粒子の圧縮強度を向上させることで粒子を変形しにくくし、黒鉛結晶の配向を抑制しているが、表面被膜による粒子の補強効果のみでは不十分であることから、電極密度をより向上させようとすると、プレス圧によって被膜が破損してしまい、結果として新たに生じた黒鉛端面で電気化学的副反応が発生するため充放電効率が低下してしまうといった問題があった。
本発明は、黒鉛材料の破壊を抑制するとともに配向性を適切に制御することにより、エネルギー環境問題解消に関連した各種用途に適用する場合に要求されるエネルギー密度及びサイクル特性を実用上満足できるリチウム二次電池負極を提供することを目的とする。
本発明は、黒鉛に特定の低結晶炭素を混合することにより、圧密時の黒鉛の配向を抑制し変形・破壊を防止することによって容量密度、充放電効率を高めつつ、サイクル特性も高めることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、黒鉛粒子に真比重1.90〜2.16g/cm3の低結晶炭素粒子を95:5〜70:30の質量比で配合された負極活物質を用い、集電体上に該負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を形成して構成されているリチウムイオン二次電池用負極であって、前記負極活物質層の密度が圧密後1.10〜1.40g/cm3であり、かつ、XRD測定による負極活物質層の黒鉛粒子結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比(I110/I004)が0.70〜1.10であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極である。
上記リチウムイオン二次電池用負極の負極活物質は、真比重2.13〜2.23g/cm3、タップ密度が0.5g/cm3以上であり、平均粒子径D50=5〜20μmであることが好ましい。
上記リチウムイオン二次電池用負極は、負極活物質中の黒鉛粒子が、真比重2.23〜2.24g/cm3、平均粒子径D50が5〜20μmであり、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)0.50以上の粒子割合が70%以上であることが好ましく、負極活物質中の低結晶炭素粒子が、平均粒子径D50=5〜20μmであり、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)0.50未満の粒子割合が70%以上であることが好ましく、これらの黒鉛粒子及び低結晶性炭素粒子を必須成分とすることが好ましい。
上記リチウムイオン二次電池用負極の負極活物質に用いられる低結晶炭素粒子は、石炭若しくは石油系の生コークスを900〜1500℃で焼成処理したもの、石炭若しくは石油系のか焼コークス、又は該か焼コークスを900〜1500℃で焼成処理したものから選択される一種以上であることが好ましい。
さらに、本発明の他の態様は、上記負極電極を用いたリチウムイオン二次電池である。特に、上記リチウムイオン二次電池負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を形成して構成される負極が、セパレータを介して正極と対向してなるリチウムイオン二次電池であって、前記負極が前記負極の初期容量N(mAh/cm2)と、前記正極の初期容量P(mAh/cm2)との初期容量比(N/P)が1.0〜1.5となるように構成されているリチウムイオン二次電池である。
本発明によれば、黒鉛粒子に特定の低結晶炭素粒子を添加することによる黒鉛粒子の破壊抑制により、充放電効率を高めたリチウムイオン二次電池を提供することができる。また同時に黒鉛粒子の配向を制御することによってサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
黒鉛粒子単独では圧密時に粒子の変形が起きてしまうのに対して、より楕円(板状)な粒子形状を持つ低結晶炭素粒子をある程度添加すると、外力に対してより配向しやすい低結晶性炭素粒子の配向に誘発される形で黒鉛粒子の配向が起きるため、黒鉛粒子が変形することなく圧密され、黒鉛粒子の破壊が抑制されると共に、配向が適正に制御されると推定される。
黒鉛粒子単独では圧密時に粒子の変形が起きてしまうのに対して、より楕円(板状)な粒子形状を持つ低結晶炭素粒子をある程度添加すると、外力に対してより配向しやすい低結晶性炭素粒子の配向に誘発される形で黒鉛粒子の配向が起きるため、黒鉛粒子が変形することなく圧密され、黒鉛粒子の破壊が抑制されると共に、配向が適正に制御されると推定される。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の負極活物質に用いられる黒鉛粒子は、真比重が2.23g/cm3〜2.24g/cm3の高い結晶性を持つ黒鉛であることが好ましい。真比重は炭素材料の結晶構造の発達を示し、一般に結晶構造が発達すればするほど、重量当たりの電気容量密度が向上する。そのため、2.23g/cm3以上であることが望ましい。上記真比重を与える黒鉛としては、人造黒鉛、天然黒鉛が挙げられるが、低コストと電極作製のし易さの点から、天然黒鉛がより好ましい。
黒鉛は、副反応の抑制の面から不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。天然黒鉛としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられるが、これらの天然黒鉛の中で、土壌黒鉛は一般に粒径が小さいうえ、純度が低い。これに対して、鱗片状黒鉛や鱗状黒鉛は、黒鉛化度が高く不純物量が低い等の長所があるため、本発明において好ましく使用することができる。
人造黒鉛としては、例えば、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を焼成し、2500℃〜3200℃の温度で黒鉛化したものが挙げられる。
なお、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いたり、リンおよびリン化合物を添加しても良い。
なお、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いたり、リンおよびリン化合物を添加しても良い。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の活物質に用いる黒鉛は、薄片状、繊維状、不定形粒子などから適宜選択して用いることができるが、球状化されていることが好ましい。黒鉛粒子は一般的に平板状であるがために比表面積が高く、高充填化が難しいほか、リチウムイオンの吸脱着がエッジ面でしか起きないことが課題であった。このため、比表面積の低減と、等方的な結晶構造を取らせることを目的に球状化処理が行われる。ただし、真球状より若干楕円である方が、圧密時に配向し易い利点がある。
球状化処理は機械的な処理であっても良いし、ピッチ等を使用して造粒を行う方法のいずれによっても良いが、球状化処理後の黒鉛粒子の形状が、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)0.50以上の粒子割合が70%以上であることがよい。楕円相当長短比が0.50を下回ると、黒鉛粒子内の結晶構造の異方性が大きくなり、すなわち電極内へ充填された際に面内配向性が大きくなりすぎてしまう。結果、リチウムイオンの吸蔵・放出時に面方向での膨張収縮が大きくなりサイクル特性が著しく低下してしまうため好ましくない。
黒鉛粒子は、BET比表面積が3.0〜8.0m2/gであることが好ましい。このBET比表面積は黒鉛粒子の形状、及び表面コート層の性状によって決まる。BET比表面積が3.0m2/gより小さいとリチウムイオンの充放電速度が遅くなり、8.0m2/gより大きいとタップ密度が上がらず電極密度が十分に上がりにくい。BET比表面積は、リチウムイオンが炭素構造に出入りする際の表面反応の速度に影響するため、適切な値に制御することが重要となる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の負極活物質として黒鉛粒子に配合される低結晶炭素粒子は、真比重が1.90〜2.16g/cm3の範囲にある炭素材料である。このような真比重、与える低結晶炭素は、石炭系の生コークス、石油系の生コークス、石炭系のか焼コークス、又は石油系のか焼コークスを、単独で、あるいは混合したもの、さらには必要に応じてこれらを焼成して得られるものであることが好ましい。なお、石炭系、石油系は、石炭系油と石油系油の混合物から得られるものを含む。
低結晶炭素粒子の真比重が1.90g/cm3に満たないと、リチウムイオン二次電池に適用した場合、充放電の際に副反応が発生し、効率の低下につながり、2.16g/cm3を超えると、電池に適用した場合、放電容量の低下につながる。
さらに、2.16g/cm3を超えると炭素粒子の結晶成長が進むため、粒子内部で積層した黒鉛結晶が外圧により層間で滑りやすくなり、圧密時の耐粒子変形性、即ち負極活物質粒子の変形に対する耐性が低下し、粒子が変形(破壊)し易くなる。本発明では、変形しやすい黒鉛粒子中に黒鉛よりも破壊されにくい低結晶性炭素粒子を添加することにより、圧密時の黒鉛粒子の破壊を抑制している。このため、黒鉛粒子に添加する低結晶炭素粒子の耐粒子変形性が低いと圧密時に負極活物質の粒子破壊を引き起こし、結果として充放電効率を低下させてしまうこととなる。
なお、負極活物質粒子の破壊により負極の充放電効率が低下する理由については、負極で充電に消費された電気容量のうちの一部が、破壊によって新たに生じた活物質表面における副反応及び競争反応に消費され、リチウムが吸蔵される反応に消費されなかったからであるが、これらの副反応及び競争反応は、主に、黒鉛材料の粒子表面に露出する六角網平面積層体のエッジ面における電解液の分解反応によるものである。一般的に、六角網平面積層体のエッジ面には、多数のダングリングボンド、即ち価電子結合が飽和せず結合の相手無しに存在する局在電子が多く存在する。充電過程での負極黒鉛材料の表面、即ち電解液と黒鉛材料が接触している界面では、リチウムが六角網平面の層間に挿入する本来の充電反応の他に、この局在電子が触媒的に作用し、電解液が還元分解されることに起因した副反応・競争反応が生じることによって、負極の充放電効率が低下すると考えられる。
なお、負極活物質粒子の破壊により負極の充放電効率が低下する理由については、負極で充電に消費された電気容量のうちの一部が、破壊によって新たに生じた活物質表面における副反応及び競争反応に消費され、リチウムが吸蔵される反応に消費されなかったからであるが、これらの副反応及び競争反応は、主に、黒鉛材料の粒子表面に露出する六角網平面積層体のエッジ面における電解液の分解反応によるものである。一般的に、六角網平面積層体のエッジ面には、多数のダングリングボンド、即ち価電子結合が飽和せず結合の相手無しに存在する局在電子が多く存在する。充電過程での負極黒鉛材料の表面、即ち電解液と黒鉛材料が接触している界面では、リチウムが六角網平面の層間に挿入する本来の充電反応の他に、この局在電子が触媒的に作用し、電解液が還元分解されることに起因した副反応・競争反応が生じることによって、負極の充放電効率が低下すると考えられる。
本発明に好適な低結晶炭素を得る方法について詳述すれば、最初に、石油系、石炭系等の重質油を、例えばディレードコーカー等のコークス化設備を用い、最高到達温度が400℃〜700℃程度の温度で24時間程度、熱分解・重縮合反応を進めることによって石炭系等の生コークスを得る。
ここで使用される重質油は、石油系重質油であっても石炭系重質油であってもよいが、石炭系重質油の方が芳香属性に富んでおり、硫黄(S)、バナジウム(V)、鉄(Fe)等の不純物が少なく、揮発分も少ないため、石炭系重質油が好ましい。
得られた石炭系等の生コークスは必要に応じて所定の大きさ、例えば5μm〜20μmに粉砕される。粉砕には、工業的に用いられる粉砕機を使用することができる。
次に、上記石炭系等の生コークスを、低酸素雰囲気で最高到達温度800℃〜1500℃でか焼し、石炭系等のか焼コークスを製造する。か焼温度は、好ましくは900℃〜1500℃、より好ましくは1000℃〜1400℃の範囲である。か焼処理は、生コークス中の水分、揮発分を除去するとともに、高分子成分として残存する炭化水素をコークスに転化し結晶の成長を促進する。石炭系等生コークスのか熱処理には、大量熱処理が可能なリードハンマー炉、シャトル炉、トンネル炉、ロータリーキルン、ローラーハースキルンあるいはマイクロウェーブ等の設備を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらのか熱処理設備は、連続式及びバッチ式のどちらでもよい。次いで、得られた石炭系等か焼コークスの塊を、上記同様に、工業的に用いられるアトマイザー等の粉砕機を用いて所定の大きさ、例えば5〜15μmに粉砕する。また、粉砕したコークス粉は分級により微粉をカットしたり、粗粉を篩などで除去するなど所定の粒度に整粒することによって、楕円相当長短比0.50未満の粒子割合が70%以上である低結晶炭素粒子を得ることができる。
本発明で使用する低結晶炭素粒子は、上記石炭系等のか焼コークスであってもよいが、上記石炭系等の生コークス、又は石炭系等のか焼コークスを単独で、あるいは混合して焼成して得られた焼成コークスであることが好ましい。焼成処理は、生コークスやか焼コークスについて、さらに結晶状態を調整したり、表面制御や表面改質などのために実施する。その焼成過程において、リン化合物やホウ素化合物を炭素材料の結晶化を調製するために添加したり、複数回の焼成処理をしてもよい。また、焼成過程において、造粒などの形状制御工程、表面を異なる有機、無機成分で改質、コートする工程、又は異なる金属成分を表面に均一または分散して形成する工程などの工程を一以上付加してもよい。
なお、焼成処理は、最高到達温度で900℃以上1500℃以下とすることがよい。好ましくは950℃〜1450℃、より好ましくは1000〜1400℃である。焼成温度が高すぎると、コークス材料の結晶成長が過剰に促進され、真比重を2.16g/cm3以下とすることが困難となる。焼成温度が高すぎると、コークスの結晶構造が黒鉛のように配向していき、2.16g/cm3以上になり、耐変形性が低下してしまう。結果、黒鉛と低結晶炭素を混合した電極において圧密時に黒鉛が配向すること防止することが出来なくなってしまう。また、焼成温度が低すぎると、結晶構造が未発達となり、真比重が2.00g/cm3以下となるだけでなく、原料由来の官能基(OH基やCOOH基など)がコークス表面に残存し、電池として充放電した際に副反応が発生していまい、初回の効率が低下する。またこの副反応によって表面被膜が形成され、入出力特性が低下することや金属リチウム析出耐性が低下する。なお、焼成処理の最高到達温度での保持時間は特に制限されないが、30分以上が好ましく、焼成雰囲気については、アルゴンあるいは窒素等の不活性ガス雰囲気であることがよい。なお、か焼処理の条件によっては、焼成処理と同様な処理がなされることが可能であるので、この場合は、か焼処理だけでもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の負極活物質に用いられる低結晶炭素粒子は、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)0.50未満の粒子割合が70%以上であるものが好ましい。0.5未満の粒子割合が70%以上であると、圧密前における負極活物質層の黒鉛粒子の配向性を促進して充填することができ、電極圧密時の変形/破壊を抑制することが可能となる。一方、楕円相当長短比0.5未満の粒子割合が70%未満である場合には、圧密前における負極活物質層の黒鉛粒子の充填において配向性が促進されず、電極圧密時に黒鉛粒子に過度なストレスがかかり、変形/破壊が生じ、電池にした際に副反応を引き起こす原因となることや、黒鉛粒子内空隙が閉塞し、反応面積が低下してしまうことによるパワー性能の低下といった現象がみられる。
低結晶炭素粒子は、BET比表面積が1.0〜10.0m2/gであることが好ましい。より好ましくは2.0〜10.0m2/gである。このBET比表面積は炭素材料の結晶状態起因による粉砕時の形状、及び粉砕後の粒度分布によって決まる。BET比表面積が1.0m2/gより小さいと、リチウムイオンの充放電速度が遅くなるため望ましくなく、10.0m2/gより大きいと、タップ密度が上がらず電極密度が上がらないため好ましくない。BET比表面積は、リチウムイオンが炭素構造に出入りする際の表面反応の速度に影響するため、適切な値に制御することが重要となる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極に使用される負極活物質における黒鉛粒子(A)と低結晶炭素粒子(B)の配合量は、黒鉛粒子(A)を95〜70質量%、低結晶炭素粒子(B)を5〜30質量%の範囲にする。すなわち、(A):(B)の質量比で、70:30〜95:5、好ましくは80:20〜90:10である。(B)の配合量が過少であると、低結晶炭素粒子を配合することによる黒鉛粒子の配向抑制効果が不十分となり、黒鉛の破壊による充放電効率の低下を招くほか、黒鉛が平面に配向してしまうことより、充放電に伴う電極膨張を引き起こし、サイクル特性の低下を招いてしまう。一方、(A)が過剰である場合はかえって黒鉛粒子の変形・破壊を引き起こしてしまい、サイクル特性の低下を招くほか、負極活物質の重量当たりの電気容量密度が低下してしまうことや、低結晶炭素粒子そのものが黒鉛粒子と比較して充放電効率が低いため、混合物としての充放電効率も低下してしまうこととなる。
本発明のリチウム二次電池用負極の負極活物質粒子は、黒鉛粒子(A)と低結晶炭素粒子(B)を含む混合物からなるが、その混合物が全体として、真比重2.13〜2.23g/cm3、BET比表面積が3〜6m2/g、平均粒子径D50=5〜15μmの範囲が好適である。D50=5μmを下回るとタップ密度が低下してしまい、D50=15μmを上回るとBET比表面積が小さくなってしまう。負極活物質粒子の真比重が2.13g/cm3に満たないと、充放電の際に副反応が発生して効率の低下につながり、2.23g/cm3を超えると、黒鉛粒子の割合が多くなりすぎていることを示しており、低結晶炭素粒子を添加した効果が十分に得られないこととなる。BET比表面積が3m2/gを下回ると、負極活物質としての反応面積を確保することが難しくなり、低温での入出力特性などが低下する恐れがある。また、6m2/gを超えると、初回充電時に生じる負極活物質表面でのリチウムイオン消費を伴った電解液の還元分解が生じて、正極容量を減らしてしまう恐れがある。更に、BET比表面積が大きいことで、スラリー作製時に必要な必要バインダーが増えてしまい、負極電極中に含まれる活物質割合が低下してしまうことが懸念される。
本発明のリチウム二次電池用負極活物質は、黒鉛粒子(A)と低結晶炭素粒子(B)の平均粒子径D50がそれぞれ5〜20μmの範囲内にあることが好ましい。この粒度範囲を外れた場合、スラリー化した際に低結晶性炭素粒子(B)がうまく黒鉛粒子(A)がうまく配合されないため、負極活物質層で偏在してしまい、狙ったような黒鉛の配向抑制効果が得られないため、適切な粒度に調整することが好ましい。
本発明のリチウム二次電池用負極の負極活物質粒子は、黒鉛と低結晶炭素を所定の割合で混合した場合、その混合物が全体として、タップ密度を0.5g/cm3以上、好ましくは0.5〜1.2g/cm3の範囲とすることがよい。ここで、上記タップ密度は、バインダーを混合する前の状態の混合物として測定される。タップ密度が低いと、電極作製時の粒子同士の接触が不十分となり導通パスの減少となるため電池性能が低下し、また密度を上げるためにプレス圧力を増加させると変形量が大きくなるため粒子が割れたりして、表面積の増加、電極の密着性の低下による更なる導通パスの低減などにつながり、電池性能低下につながる。そのため、プレス前の充填密度をあげるためにタップ密度を指標として0.5g/cm3にしておくことが好ましい。また、タップ密度をより上げるには、例えばD10が1μm未満の微粉の割合を増やしたり、D90付近の粗大粒子の割合を増やしたりする必要があり、その結果粉体の表面積が大きくなったり、粗大粒子の影響で電極の均一性や性能が乱れたりして、電池性能の低下につながるため、タップ密度を1.2g/cm3超にする必要はない。なお、粉体のタップ密度は、タップデンサーKYT−400(セイシン企業社製)の装置を用いて、シリンダー体積100cc、タッピング距離38mm、タップ回数300回での測定値を用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極に用いる負極活物質層は、黒鉛粒子に特定の低結晶炭素粒子を添加することにより、黒鉛粒子の破壊が抑制され配向が制御されるが、さらにこうした負極活物質層の表面に、低結晶性炭素による被膜を設けてもよい。負極活物質層表面を低結晶炭素被膜により被覆することにより、リチウムイオンの吸脱着性能の向上を図れるほか、負極活物質粒子の圧密時の耐粒子変形性を向上させる効果が期待できる。なお、低結晶炭素被膜の形成は、黒鉛粒子および低結晶性炭素粒子の両方に行うことが好ましく、CVDによる気相法やピッチ等を用いた液相法といった従来公知の方法により両者同時もしくは別々に処理したのちに配合を行うこともできる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、集電体(一般的に銅箔)上に、上記リチウム二次電池用負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を形成して構成される。
集電体上への負極活物質層の形成は、上述の負極活物質とバインダーを、溶媒を用いて、スラリーを作製し、集電体(一般的に銅箔)上に塗布、乾燥し、その後、任意の条件で圧密することにより行なわれる。
集電体上への負極活物質層の形成は、上述の負極活物質とバインダーを、溶媒を用いて、スラリーを作製し、集電体(一般的に銅箔)上に塗布、乾燥し、その後、任意の条件で圧密することにより行なわれる。
より具体的には、例えば、負極活物質とバインダーを重量比で93:7〜99:1(負極活物質:バインダー)で混錬し、このスラリーを所定厚みの銅箔上に塗布し、60〜150℃の乾燥条件で溶媒を乾燥し、その後、圧密することによって負極電極とすることができるが、ここで負極活物質の密度(負極密度)は圧密後1.10〜1.40g/cm3の範囲に調整する。ここで、電極密度を十分に上昇させないと、活物質同士の導通がとれず、サイクル試験時に活物質同士が脱離し、容量が低下してしまう。また圧密しすぎると電極の体積密度は高くなるが、黒鉛が配向、破壊され、充放電効率が低下したり、サイクル特性が低下してしまう。そのため、上記の電極密度になるプレス条件を設定することが望ましい。
黒鉛粒子は平板状の結晶が多数積層した構造であるため、外力によって層間ですべりが生じ、容易に変形してしまう。リチウムイオン二次電池の負極は容量密度を上げるために、上述したように集電体上に塗布した活物質をプレスすることで圧密化を行うが、このときのプレス圧によって黒鉛粒子が変形し平面方向に黒鉛結晶層が配向する。プレス圧力は、所定の電極密度になるように適宜調整されるが、最大線圧が例えば600kg/cm程度である。なお、配向は、負極活物質層のXRD(X線回折)測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比(I110/I004)により評価され、ピーク強度比(I110/I004)が小さい場合には、黒鉛結晶層があまり配向していない状態であり、大きいと電極に対して平面方向に黒鉛結晶層が配向していることを示す。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、電極密度を1.10〜1.40に調整した後の負極電極のXRD測定から得られる黒鉛結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比(I110/I004)が070〜1.10であることを特徴とする。ピーク強度比が1.10を超えると、負極活物質中の黒鉛が圧密により平面方向への配向が大きくなりすぎ、繰り返し充放電時に厚み方向への膨張収縮が大きくなり、負極から作製されるリチウムイオン二次電池のサイクル特性は悪化してしまう。また電極密度を1.10〜1.40に調整しているにも関わらずピーク強度比が0.70より小さい場合には電極内で黒鉛が破壊されていることを示し、結果として充放電効率を低下させてしまうこととなる。
本発明のリチウムイオン二次電池で用いられる正極電極としては、通常の二次電池と同様に、正極活物質、結着剤、導電材等を有機溶媒又は水でスラリー化したものを集電体に塗布し、乾燥してシート状にしたものが使用される。正極活物質は、遷移金属とリチウムを含有するものであり、1種の遷移金属とリチウムを含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。上記リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはバナジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等が好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3等のリチウムマンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.80Co0.17Al0.03O2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiMn1.8Al0.2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。また、上記リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、バナジウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO4等のリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
正極電極の結着剤及びスラリー化する溶媒としては、負極電極で用いられるものと同様でよい。正極電極の結着剤の使用量は、正極活物質100質量部に対し、0.001〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部が更に好ましく、0.02〜8質量部が最も好ましい。正極電極の溶媒の使用量は、正極活物質100質量部に対し、30〜300質量部が好ましく、50〜200質量部が更に好ましい。
正極電極の導電材としては、グラファイトの微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素の微粒子等、カーボンナノファイバー等が使用されるが、これらに限定されない。正極電極の導電材の使用量は、正極活物質100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部が更に好ましい。
正極電極の集電体としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
正極電極の集電体としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
このようにして製造された負極及び正極を用いて本発明のリチウムイオン二次電池とすることができる。本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した負極と正極間に分離膜が存在するように配置されている。
負極の初期容量N(mAh/cm2)と、正極の初期容量P(mAh/cm2)との初期容量比(N/P)が1.0〜1.5が好ましく、1.0〜1.2が最も好ましい。通常、リチウムイオン二次電池は、リチウムを保有する正極電極に対し、リチウムを受け入れる負極電極が多めに搭載される。すなわち、正極に比べて負極活物質量を多くした負極電極を使用する。これは負極電極が低温充電時にリチウムイオンを受け入れられず、電極上にリチウム金属が析出してしまうことを防止するための措置である。しかし、N/Pが1.5を超えて負極電極を搭載し過ぎると、負極の厚みが増してしまい、電極自体の出力及び入力特性が低下してしまう問題や、負極を過剰に搭載することによるコストアップや全体的な体積容量密度の低下という問題がある。一方で、負極電極の過剰搭載分が小さすぎると、負極が様々な環境で劣化した際に実効容量として正極を下回り、充電時に負極上に金属リチウムが析出してしまう可能性があるため、N/Pが1.2以上であることが望ましい。
また、正極と負極との間には、通常電解質と非水系電解液を含む電解液が満たされる。電解質としては、従来公知のものを使用することができ、例えばLiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiB(CF3SO3)4、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiSbF6、LiSiF5、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlF4、LiAlCl4、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC(CF3SO2)3並びにLiCF3SO3の誘導体及びLiC(CF3SO2)3の誘導体からなる群から選ばれる1種以上を用いることが電気特性に優れるので好ましい。
また、非水系電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ―ブチロラクタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル‐1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル‐2−オキサゾリドン、エチレングリコール、サルファイト、ジメチルサルファイト等の単独溶媒もしくは2種類以上の混合溶媒を使用できる。
本発明のリチウムイオン二次電池では、正極電極と負極電極との間に分離膜を用いることが好ましく、分離膜としては、通常用いられる高分子の微多孔フィルムを特に限定なく使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等の種々のセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸及びその種々のエステル類等を主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物からなるフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、単独で用いてもよいし、これらのフィルムを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。更に、これらのフィルムには、種々の添加剤を用いてもよく、その種類や含有量は特に制限されない。これらのフィルムの中でも、本発明のリチウムイオン二次電池には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンからなるフィルムが好ましく用いられる。
これらのフィルムは、電解液が浸み込んでイオンが透過し易いように、微多孔化がなされている。この微多孔化の方法としては、高分子化合物と溶剤の溶液をミクロ相分離させながら製膜し、溶剤を抽出除去して多孔化する「相分離法」と、溶融した高分子化合物を高ドラフトで押し出し製膜した後に熱処理し、結晶を一方向に配列させ、更に延伸によって結晶間に間隙を形成して多孔化をはかる「延伸法」等が挙げられ、用いられるフィルムによって適宜選択される。
本発明のリチウムイオン二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状とすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜6
黒鉛(A)として真比重2.24g/cm3、平均粒子径(D50)=8.5μm、楕円相当長短比0.5以上の粒子の割合が74%である球状化天然黒鉛を用い、球状化天然黒鉛を用い、低結晶炭素(B)として石炭系生コークスを最高到達温度800℃、1300℃、1600℃にてそれぞれ窒素ガス雰囲気下で焼成して得られたものを用い、表1に示す配合比で配合し、負極活物質(C1〜9)を調製した。なお、低結晶炭素(B)および黒鉛(A)は、表1に記載されている性状のものを使用した。
黒鉛(A)として真比重2.24g/cm3、平均粒子径(D50)=8.5μm、楕円相当長短比0.5以上の粒子の割合が74%である球状化天然黒鉛を用い、球状化天然黒鉛を用い、低結晶炭素(B)として石炭系生コークスを最高到達温度800℃、1300℃、1600℃にてそれぞれ窒素ガス雰囲気下で焼成して得られたものを用い、表1に示す配合比で配合し、負極活物質(C1〜9)を調製した。なお、低結晶炭素(B)および黒鉛(A)は、表1に記載されている性状のものを使用した。
負極活物質C1〜9のそれぞれ94.5質量部に、導電材としてアセチレンブラック1.0重量部、及びバインダーとしてスチレンブタジエンゴム 2.0質量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース 1.5質量部を混合し、水50質量部に分散させてスラリー状とした。このスラリーを銅製の負極集電体に塗布し、乾燥後、電極密度が1.10〜1.40g/cm3となるよう圧密した。した。その後、この負極電極を所定の大きさにカットし、負極電極を作製した。
正極活物質としてLi(NiMnCo)O2(以下、NMCと呼称)88質量部、導電材としてアセチレンブラック5質量部、及びバインダーとしてポリフッ化ビニリデン7質量部を混合した後、N−メチルピロリドン50質量部に分散させてスラリー状とした。このスラリーをアルミニウム製の集電体に塗布し、乾燥後、プレス成型した。その後、この正極電極を所定の大きさにカットして正極電極を作製した。
エチレンカーボネート30体積%、エチルメチルカーボネート40体積%、及びジメチルカーボネート30体積%からなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解し電解質溶液を調製した。
得られた負極電極と正極電極を、厚さ25μmのポリプロピレン製の微多孔フィルム(分離膜)を挟んでアルミパック内に保持した。その後、上記で調整した非水電解液をアルミパック内に注入し、パックを密閉、封止して、実施例1〜5及び比較例1〜6のリチウムイオン二次電池を製作した。
なお、特に断わりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
平均粒径D50の測定は、LA−920(HORIBA社製)の装置を用いて、分散媒は水+活性剤を用いて測定を行った。粒子の存在比率の基準としては、レーザー回折・散乱法を用いて体積分布を測定した。
楕円相当長短比はCP(Cross−section Polisher)法により電極断面を作製し、走査型電子顕微鏡(FE-SEM S4700日立ハイテク社製)を用いて500倍の倍率にて観察した。観察した粒子について、粒子の分布のバラつきなどがあるため100個以上の観察が好ましい。粒子の楕円相当長短比の測定については画像解析ソフト(WinRooF:三谷商事株式会社製)用いて解析した。
真比重は、液相置換法(別名ピクノメータ法)により、測定する。具体的にはピクノメータに負極活物質の粉体を入れ、蒸留水などの溶媒液を加え、真空脱気などの方法により粉体表面の空気と溶媒液を置換し、正確な粉体重量と体積を求めることで真比重値を算出する。
負極密度(圧密後)は、負極活物質層の厚みと単位面積当たりの負極活物質層の重量から算出する。
具体的には得られた負極を所定の大きさにカットし、精密天秤にて重量測定およびマイクロゲージにて厚み測定を行う。また、負極の塗工基材に用いられた集電体についても同様の面積で測定をおこない、次式にて算出する。
負極密度(圧密後) = (負極重量 −集電体重量)/ 体積
具体的には得られた負極を所定の大きさにカットし、精密天秤にて重量測定およびマイクロゲージにて厚み測定を行う。また、負極の塗工基材に用いられた集電体についても同様の面積で測定をおこない、次式にて算出する。
負極密度(圧密後) = (負極重量 −集電体重量)/ 体積
配向度は、リガク社製 X線回折装置機種RINT−TTRIII、X線管球:CuKα、管電流:300mA、管電圧:50kVを用いた。バックグラウンド除去後の(110)面に相当する77.2°付近のピークの高さと(004)面に相当する54.0°付近のピークの高さの比から求められる。バックグラウンドの除去は線形近似によりベースラインを引き、そのピークでのベースラインの値を差し引いて行うことができる。XRDスペクトルには集電体(Cu)のスペクトルも観測されるが、ピーク強度比には影響は与えない。
配向度 = (110)面強度 / (004)面強度
配向度 = (110)面強度 / (004)面強度
初期容量比N/Pは、正極及び負極についてそれぞれ単独に充電容量を測定し、負極の充電容量N(mAh)を正極の充電容量P(mAh)で割った値である。具体的には、上記正極の充電容量P(mAh)及び負極の充電容量N(mAh)は、例えば次のようにして算出することができる。 まず、正極活物質の充電容量p(mAh/g)及び負極活物質の充電容量n(mAh/g)を測定する。正極活物質の充電容量p(mAh/g)は、対極をリチウム金属とし、活物質1gあたり、30mAの電流密度の定電流で2.5Vから4.2Vまで充電したときの活物質1gあたりの充電容量である。負極活物質の充電容量n(mAh/g)は、対極をリチウム金属とし、活物質1gあたり、30mAの電流密度の定電流で1.5Vから0Vまで充電し、90分間定電圧充電した際の活物質1gあたりの充電容量である。
初期容量比N/P =n(mAh/g) / p(mAh/g)
初期容量比N/P =n(mAh/g) / p(mAh/g)
充放電効率の測定は、対極をリチウム金属とし、活物質1gあたり、30mAの電流密度の定電流で1.5Vから0Vまで充電し、その後90分間定電圧充電する。30分間休止した後に活物質1gあたり、30mAの電流密度の定電流で0Vから1.5Vまで放電を行い、初回充電容量に対しての初回放電容量の割合であり、次式にて表される。
充放電効率 =100 × 初回放電容量 / 初回充電容量
充放電効率 =100 × 初回放電容量 / 初回充電容量
実施例及び比較例のリチウムイオン二次電池を用い、サイクル性能の試験を行った。45℃の恒温槽にて試験を実施した。まず1Cレートにて充電終始電圧を4.2Vとし、その後1Cレートにて2.5Vまで放電を繰り返した。1回目の放電容量を100%とし、200回目の放電容量が80%を下回る場合に×、上回る場合に○とした。
負極の電極密度、配向度に対して得られた電池性能をまとめて表2に示した。
Claims (6)
- 黒鉛粒子に真比重1.90〜2.16g/cm3の低結晶炭素粒子を95:5〜70:30の質量比で配合された負極活物質を用い、集電体上に該負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を形成して構成されているリチウムイオン二次電池用負極であって、前記負極活物質層の密度が圧密後1.10〜1.40g/cm3であり、かつ、XRD測定による負極活物質中の黒鉛粒子結晶の(110)面のピーク強度(I110)と(004)面のピーク強度(I004)の比(I110/I004)が0.70〜1.10の間であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記負極活物質が、真比重2.13〜2.23g/cm3、タップ密度が0.5g/cm3以上であり、平均粒子径D50=5〜20μmである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記負極活物質中の低結晶炭素粒子が、平均粒子径D50=5〜20μmであり、かつ、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)0.50未満の粒子割合が70%以上である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記負極活物質中の黒鉛粒子が、真比重2.23〜2.24g/cm3、平均粒子径D50が5〜20μmであり、かつ、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)0.50以上の粒子割合が70%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 前記負極活物質中の低結晶炭素粒子が、石炭若しくは石油系の生コークスを900〜1500℃で焼成処理したもの、石炭若しくは石油系のか焼コークス、又は該か焼コークスを900〜1500℃で焼成処理したものから選択される一種以上であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の負極が、セパレータを介して正極と対向してなるリチウムイオン二次電池であって、負極の初期容量N(mAh/cm2)と、正極の初期容量P(mAh/cm2)との初期容量比(N/P)が1.0〜1.5となるように構成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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