JP2017015870A - 積層型電子写真感光体、積層型電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

積層型電子写真感光体、積層型電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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賢輔 大川
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明彦 尾形
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【課題】結晶化を抑制し、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性を付与可能な積層型電子写真感光体を提供する。【解決手段】積層型電子写真感光体は、電荷発生層と、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を有する電荷輸送層とを含む。電荷発生剤は、X線回折スペクトルブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニンを含む。正孔輸送剤は、式(1)トリアリールアミン誘導体を含む。正孔輸送剤の質量比率は、バインダー樹脂に対して0.55以下である。バインダー樹脂は、式(2)ポリカーボネート樹脂を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、積層型電子写真感光体、積層型電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター、又は複合機)に用いられる。一般に、電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤(例えば、正孔輸送剤又は電子輸送剤)、及びこれらを結着させる樹脂(バインダー樹脂)を含有することができる。このような感光層を備える電子写真感光体は、電子写真有機感光体と呼ばれる。また、感光層は、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを含むことができる。このような電子写真有機感光体は、積層型電子写真感光体と呼ばれる。
積層型の電子写真有機感光体に適用可能な電荷輸送材料であり、正孔を輸送する正孔輸送剤としては、特許文献1に開示されているブタジエニルベンゼンアミン誘導体が挙げられる。
特開2005−289877号公報
しかしながら、正孔輸送剤として上述したブタジエニルベンゼンアミン誘導体を使用して電子写真感光体の感光層を形成する場合、充分な電気的特性及び耐摩耗性が得られないことがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、結晶化を抑制し、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性を付与可能な積層型電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の目的は、上述の積層型電子写真感光体の製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、上述の積層型電子写真感光体を備えることで、画像不良の発生を抑制することができるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することである。
本発明の積層型電子写真感光体は、感光層を備える。感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とを含む。電荷発生層は、電荷発生剤を有する。電荷輸送層は、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を有する。電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニンを含む。正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体を含む。電荷輸送層において、正孔輸送剤の質量の比率は、バインダー樹脂の質量に対して0.55以下である。バインダー樹脂は、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含む。
Figure 2017015870
Figure 2017015870
一般式(1)中、Ar1は、炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有するアリール基、又は置換基を有してもよいフェノキシ基を少なくとも1つ有するアリール基を表す。Ar2は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有してもよいアリール基を表す。一般式(2)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。ただし、R3とR4とは、互いに結合して環を形成し、シクロアルキリデン基となってもよい。m+n=1であり、0.35<m<0.70である。
本発明の積層型電子写真感光体の製造方法は、上述の積層型電子写真感光体を製造する方法である。積層型電子写真感光体の製造方法は、電荷輸送層形成工程を有する。電荷輸送層形成工程は、電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に塗布し、塗布した電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷輸送層を形成する。電荷輸送形成用塗布液は、少なくともトリアリールアミン誘導体と、バインダー樹脂と、溶剤とを含む。溶剤は、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びo−キシレンのうち少なくとも1種を含有する。
プロセスカートリッジは、上述の積層型電子写真感光体を備える。
画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。像担持体は、上述の積層型電子写真感光体である。帯電部は、像担持体の表面を帯電する。露光部は、像担持体の表面に静電潜像を形成する。現像部は、静電潜像をトナー像として現像する。転写部は、トナー像を像担持体から被転写体へ転写する。
本発明の積層型電子写真感光体によれば、結晶化を抑制し、優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性を付与可能な積層型電子写真感光体を提供することができる。また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法によれば、上述の積層型電子写真感光体を製造することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ、又は画像形成装置によれば、上述の積層型電子写真感光体を備えることで、画像不良の発生を抑制することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、第一実施形態における積層型電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。 第三実施形態に係る画像形成装置の一態様の構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<第一実施形態:積層型電子写真感光体>
第一実施形態は、積層型電子写真感光体(以下、単に「感光体」と記載することがある)に関する。以下、図1を参照して、第一実施形態に係る感光体について説明する。図1は、第一実施形態に係る積層型電子写真感光体の構造を示す概略断面図である。感光体1は、例えば、図1(a)に示すように、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、例えば、図1(a)に示すように、導電性基体2上に直接設けられていてもよい。また、感光体1は、例えば、図1(c)に示すように、導電性基体2と、感光層3と、中間層4とを備える。例えば、図1(c)に示すように、導電性基体2と感光層3との間に中間層(下引き層)4が適宜に設けられていてもよい。感光層3上に保護層が設けられていてもよい。
感光層3は、電荷発生層3aと、電荷輸送層3bとを含む。感光体1においては、図1(b)に示すように導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。ただし、一般に電荷輸送層3bの膜厚は、電荷発生層3aの膜厚に比べ厚いため、電荷輸送層3bは、電荷発生層3aに比べ破損しにくい。このため、感光体1では、図1(a)に示すように、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。
第一実施形態に係る感光体1は、電気的特性(帯電性及び感度特性)及び耐摩耗性に優れる。その理由は、以下のように推測される。第一実施形態に係る感光体1において、感光層3は、電荷発生層3aに電荷発生剤を有し、電荷輸送層3bに正孔輸送剤及びバインダー樹脂を有する。正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体を含む。トリアリールアミン誘導体は、一般式(1)中、Ar1で表されるアリール基を有する。このアリール基は、炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよいフェノキシ基を少なくとも1つ有する。バインダー樹脂は、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含む。このような構造を有するトリアリールアミン誘導体とポリカーボネート樹脂とは、溶媒への分散性、及び相溶性に優れると考えられる。このため、トリアリールアミン誘導体が均一に分散する電荷輸送層用塗布液を調製でき、トリアリールアミン誘導体が均一に分散した電荷輸送層3bを形成できる傾向にある。したがって、第一実施形態に係る感光体1は、結晶化を抑制し、帯電性及び感度特性に優れると考えられる。
また、正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体を含み、バインダー樹脂は、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含む。電荷輸送層3bにおいて、正孔輸送剤の質量(含有量)の比率は、バインダー樹脂の質量(含有量)に対して0.55以下である。このようなトリアリールアミン誘導体とポリカーボネート樹脂とは電荷輸送層3b中でスタッキング構造を形成し易いため、電荷輸送層3bの層密度が高まり電荷輸送層3bの膜強度が向上すると考えられる。したがって、第一実施形態に係る感光体1は、耐摩耗性に優れると考えられる。
以下、導電性基体2、感光層3、及び中間層4について説明する。
[1.導電性基体]
導電性基体2は、感光体1の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体2としては、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成される導電性基体を用いることができる。導電性基体2としては、例えば、導電性を有する材料で構成される導電性基体;及び導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層3から導電性基体2への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体2の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて適宜選択することができる。例えば、シート状の導電性基体、又はドラム状の導電性基体を使用することができる。また、導電性基体2の厚みは、導電性基体2の形状に応じて、適宜選択することができる。
[2.感光層]
既に上述したように、感光層3は、電荷発生層3aと、電荷輸送層3bとを含む。以下、電荷発生層3a及び電荷輸送層3bについて説明する。更に、必要に応じて含んでもよい添加剤について説明する。
[2−1.電荷発生層]
電荷発生層3aは、例えば、電荷発生剤と、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)とを有する。電荷発生層3aの厚さは、電荷発生層として十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷発生層3aの厚さは、具体的には、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。以下、電荷発生剤、及びベース樹脂について説明する。
[2−1−1.電荷発生剤]
電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン(以下、Y型チタニルフタロシアニン結晶と記載することがある)を含む。なお、CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークに相当する。Y型チタニルフタロシアニン結晶は、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°以外に、ピークを有していてもよい。
CuKα特性X線回折スペクトルは、X線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)を用いて測定することができる。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の詳細は、後述する。
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、例えば、式(CG−1)で表すことができる。
Figure 2017015870
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有している。このようなY型チタニルフタロシアニン結晶を用いることにより、有機溶媒中において、Y型チタニルフタロシアニン結晶の結晶型がY型からα型やβ型に転移することを抑制し、電荷発生効率を向上させることができる。
示差走査熱量分析スペクトルは、示差走査熱量計(例えば、株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて測定することができる。得られた示差走査熱量分析スペクトルから、吸着水の気化に伴うピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークがあることを確認できる。示差走査熱量分析スペクトルの測定方法の詳細は、後述する。
電荷発生剤は、Y型チタニルフアロシアニン結晶のみを実質的に含むことが好ましい。ただし、Y型チタニルフタロシアニン以外に感光体1用の電荷発生剤を含んでもよい。このような電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンのような無機光導電材料の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、フタロシアニン(例えば、X型無金属フタロシアニン(X−H2Pc))、又はフタロシアニン誘導体が挙げられる。フタロシアニン誘導体としては、例えば、Y型チタニルフタロシアニン以外のチタニルフタロシニン(より具体的には、α型チタニルフタロシアニン、又はβ型チタニルフタロシアニン等)、又は酸化チタン以外が配位したフタロシアニン(例えば、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン)が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電荷発生剤の含有量は、電荷発生層3aにおいてベース樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
[2−1−2.ベース樹脂]
ベース樹脂は、感光体1に適用し得るベース樹脂である限り、特に制限されない。ベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリル酸系樹脂、又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベース樹脂は、後述するバインダー樹脂と同様の樹脂も例示されているが、同一の感光体1においては、通常、バインダー樹脂とは異なる樹脂が選択される。このことは、以下のことによる。感光体1を製造する際、通常、電荷発生層3a、電荷輸送層3bの順に形成するため、電荷発生層3aに、電荷輸送層用塗布液を塗布することになる。電荷輸送層3bの形成時に、電荷発生層3aは、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが求められるからである。そこで、ベース樹脂は、同一の感光体1においては、通常、バインダー樹脂とは異なる樹脂が選択される。
[2−2.電荷輸送層]
電荷輸送層3bは、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂を有する。電荷輸送層3bは、必要に応じて添加剤を含んでもよい。電荷輸送層3bの厚さは、電荷輸送層として十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷輸送層3bの厚さは、具体的には、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。また、電荷輸送層3bは、電子アクセプター化合物を更に有してもよい。以下、正孔輸送剤、バインダー樹脂、及び電子アクセプター化合物について説明する。更に、電荷輸送層3bが必要に応じて有してもよい添加剤について説明する。
[2−2−1.正孔輸送剤]
正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体を含む。
Figure 2017015870
一般式(1)中、Ar1は、炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有するアリール基、又は置換基を有してもよいフェノキシ基を少なくとも1つ有するアリール基を表す。Ar2は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有してもよいアリール基を表す。
一般式(1)中、Ar1又はAr2で表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、2個又は3個のベンゼン環が縮合されることにより形成される基、又は2個若しくは3個のベンゼン環が単結合により連結されることにより形成される基が挙げられる。アリール基に含まれるベンゼン環の数は、1以上3以下であることが好ましく、1であることがより好ましい。
一般式(1)中、Ar1で表されるアリール基は、炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよいフェノキシ基を少なくとも1つ有する。炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基としては、例えば、エトキシ基、n−プロポシキ基、イソプロポシキ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、又はtert−ブトキシ基が挙げられる。これらのアルコキシ基のうち、エトキシ基、イソプロポシキ基、又はn−ブトキシ基が好ましい。フェノキシ基は置換基を有してもよい。フェノキシ基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2以上4以下の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェノキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、又はアリールアルケニル基(例えば、フェニルエテニル基)が挙げられる。これらのフェノキシ基の置換基のうち、炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。置換基を有してもよいフェノキシ基は、フェノキシ基、又はメチルフェノキシ基が好ましい。
Ar1で表されるアリール基の置換基の数は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。Ar1で表されるアリール基がフェニル基を表わす場合、置換基の置換位置は、ベンゼン環が結合する窒素原子に対して、オルト位、メタ位、又はパラ位であってもよく、オルト位、又はパラ位が好ましい。
一般式(1)中、Ar2で表されるアリール基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有してもよい。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、又はtert−ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基のうち、メチル基が好ましい。Ar2で表されるアリール基は、フェニル基、又はメチルフェニル基が好ましい。
一般式(1)中、Ar2は、炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基を有するフェニル基、又はメチル基を有してもよいフェノキシ基を有するフェニル基を表すことが好ましい。Ar2は、メチル基を有してもよいフェニル基を表すことが好ましい。
一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体の具体的な化合物(式(HTM−1)〜式(HTM−9)で表されるトリアリールアミン誘導体)を以下に記載する。
Figure 2017015870
Figure 2017015870
Figure 2017015870
Figure 2017015870
Figure 2017015870
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Figure 2017015870
Figure 2017015870
Figure 2017015870
正孔輸送剤は、上記のトリアリールアミン誘導体以外の正孔輸送剤を含んでもよい。このような正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体);オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール);スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン);カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール);有機ポリシラン化合物;ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン);ヒドラゾン系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラゾール系化合物;トリアゾール系化合物が挙げられる。
電荷輸送層において、正孔輸送剤の質量の比率は、バインダー樹脂の質量に対して0.55以下であり、0.25以上0.55以下であることが好ましい。
電荷輸送剤の含有量は、電荷輸送層3bにおいてバインダー樹脂100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
[2−2−2.バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含む。
Figure 2017015870
一般式(2)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。ただし、R3とR4とは、互いに結合して環を形成し、シクロアルキリデン基となってもよい。m+n=1であり、0.35<m<0.70である。
一般式(2)中、R1〜R4で表されるアルキル基は、一般式(1)中、Ar2で表されるアリール基が有することができる炭素原子数1以上4以下のアルキル基と同義である。これらのアルキル基のうち、メチル基が好ましい。一般式(2)中、R1〜R4で表されるアリール基は、一般式(1)中、Ar1で表されるアリール基と同義である。また、一般式(2)中、R3とR4とは、互いに結合して環を形成し、シクロアルキリデン基(好ましくは、シクロヘキシリデン基等)となってもよい。感光体1の電気的特性及び耐摩耗性を向上させる観点から、一般式(2)中、R1及びR2のうち少なくとも一つがアルキル基を表し、R3とR4とがシクロヘキシリデン基を表すことが好ましい。
一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂は、一般式(4)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(4)」と記載することがある)、及び一般式(5)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(5)」と記載することがある)を有する。
Figure 2017015870
Figure 2017015870
一般式(4)中のR1、及び一般式(5)中のR2〜R4は、それぞれ一般式(2)中のR1〜R4と同義である。
一般式(1)中のm及びnに関し、m+n=1であり、0.35<m<0.70である。mは、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂における繰り返し単位(4)のモル数と、繰り返し単位(5)のモル数との合計モル数に対する、繰り返し単位(4)のモル数の比率を示す。nは、繰り返し単位(4)のモル数と、繰り返し単位(5)のモル数との合計モル数に対する、繰り返し単位(5)のモル数の比率を示す。mが0.35を超え0.70未満であると、感光体1の機械的特性が向上するため、感光体1は耐摩耗性に優れる。
一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂における、繰り返し単位(4)及び繰り返し単位(5)の配列は、特に限定されない。一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂としては、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、又はブロック共重合体が挙げられる。ランダム共重合体としては、例えば、繰返し単位(4)と、繰返し単位(5)とがランダムに配列した共重合体を挙げることができる。交互共重合体としては、例えば、繰返し単位(4)と繰り返し単位(5)とが交互に配列した共重合体を挙げることができる。周期的共重合体としては、例えば、1つ又は複数の繰返し単位(4)と、1つ又は複数の繰返し単位(5)とが周期的に配列した共重合体が挙げられる。ブロック共重合体としては、例えば、複数の繰返し単位(4)からなるブロックと、複数の繰返し単位(5)からなるブロックとが配列した共重合体が挙げられる。
一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂の具体的な化合物(式(Resin−1)〜式(Resin−6)で表されるポリカーボネート樹脂)を以下に記載する。
Figure 2017015870
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Figure 2017015870
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バインダー樹脂の製造方法は、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を製造することができれば、特に限定されない。これらの製造方法として、例えば、ポリカーボネート樹脂の繰返し単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを界面縮重合させる方法(いわゆるホスゲン法)、又はジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法が挙げられる。より具体的には、例えば、繰り返し単位(5)が60mol%(n=0.60)となるように、一般式(6)で表されるジオール化合物及び一般式(7)で表されるジオール化合物を混合して得た混合物と、ホスゲンとを界面縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(6)中のR1及び一般式(7)中のR2〜R4は、それぞれ一般式(2)中のR1〜R4と同義である。
Figure 2017015870
Figure 2017015870
バインダー樹脂は、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂に加え、他のバインダー樹脂を含んでもよい。他のバインダー樹脂としては、例えば、上述のベース樹脂と同様の樹脂が挙げられる。
バインダー樹脂の分子量は、粘度平均分子量が40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、バインダー樹脂の耐摩耗性を十分に高めることができ、感光層3が摩耗しにくくなる。また、バインダー樹脂の分子量が52,500以下であると、感光層3の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層3を形成し易くなる。
[2−2−3.電子アクセプター化合物]
電子アクセプター化合物は、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する電子アクセプター化合物が好ましく、一般式(3)で表される化合物のうち少なくとも1つを含むことがより好ましい。
Figure 2017015870
一般式(3)中、R5〜R29は、各々独立に、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、アリールアルコキシ基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を有してもよいアリール基を表す。
一般式(3)中、R5〜R29で表される炭素原子数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、又はtert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、又はtert−ペンチル基が挙げられる。これらの炭素原子数1以上5以下のアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、又はtert−ペンチル基が好ましい。
一般式(3)中、R5〜R29で表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(3)中、R5〜R29で表されるアリールアルコキシ基は、例えば、一般式(3)中、Ar1で表されるアリール基に、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が結合した置換基である。アリールアルコキシ基は、フェニルメトキシ基が好ましい。
一般式(3)中、R5〜R29で表されるアリール基は、一般式(1)中、Ar1で表されるアリール基と同義である。アリール基は、置換基を有してもよい。アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、炭素原子数1以上3以下のアルキル基又はアルコキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。アリール基が有してもよいアルコキシ基は、一般式(1)中、Ar1で表されるアリール基が有する炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基と同義である。
[2−2−4.添加剤]
感光層3は各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、ラジカル捕捉剤、一重項消光剤、又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、酸化防止剤、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。
増感剤としては、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、又はアセナフチレンが挙げられる。電荷発生層3aが増感剤を含むと、電荷発生層3aの感度が向上し易い。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール構造を有する化合物(フェノール系酸化防止剤)が挙げられる。
[3.中間層]
感光体1において、中間層4(特に、下引き層)は、導電性基体2と感光層3との間に位置することができる。中間層4は、例えば、無機粒子、及び中間層4に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層4の存在により、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体1を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇を抑えることができる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄、又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛)の粒子、又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層4を形成する樹脂として用いることができる樹脂であれば、特に限定されない。
中間層4は、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤の種類は、感光層3の添加剤の種類と同様である。
第一実施形態に係る感光体1は、電子写真方式の画像形成装置の像担持体として用いることができる。また、この画像形成装置としては、電子写真方式のものであれば、特に限定されない。第一実施形態に係る感光体1は、具体的には、例えば、後述の画像形成装置の像担持体として用いることができる。
以上、第一実施形態に係る感光体1を説明した。第一実施形態に係る感光体1は、電荷発生層にY型チタニルフタロシアニンを含む。電荷輸送層に正孔輸送剤として一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体、及びバインダー樹脂として一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含む。正孔輸送剤の質量の比率がバインダー樹脂の質量に対して0.55以下である。したがって、第一実施形態に係る感光体1は、電気的特性及び耐摩耗性に優れる。
<第二実施形態:感光体の製造方法>
[1.感光層形成工程]
次に、図1を参照して、感光体1の製造方法の一例について説明する。第一実施形態に係る感光体1の製造方法は、感光層形成工程を有する。感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と、電荷輸送層形成工程とを有する。
[1−1.電荷発生層形成工程]
電荷発生層形成工程では、電荷発生層用塗布液を、導電性基体2上に塗布し、塗布した電荷発生層用塗布液に含まれる溶剤を除去して電荷発生層3aを形成する。電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤としてY型チタニルフタロシアニン結晶と、ベース樹脂と、溶剤とを含む。電荷発生層用塗布液は、Y型チタニルフタロシアニン結晶、及びベース樹脂を溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷発生層用塗布液には、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
[1−2.電荷輸送層形成工程]
電荷輸送層形成工程では、電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層3a上に塗布し、塗布した電荷輸送層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷輸送層3bを形成する。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体と、バインダー樹脂として一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂と、溶剤とを含む。電荷発生層用塗布液は、上記トリアリールアミン誘導体、及び上記ポリカーボネート樹脂を溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷輸送層用塗布液には、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
以下、電荷発生層形成工程及び電荷輸送層形成工程を例に挙げ、感光層形成工程の詳細を説明する。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、それぞれ電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層用塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できれば、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール)、脂肪族系炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、又はジエチレングリコールジメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル、又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。電荷発生層用塗布液に含有される溶剤としては、これらの溶剤のうち、非ハロゲン系溶剤が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体と、バインダー樹脂として一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂とを均一に溶解又は分散させ易いため、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びo−キシレンのうち、少なくとも1種を含むことは好ましい。このような溶剤に対して、上記トリアリールアミン誘導体と上記ポリカーボネート樹脂とは分散性が優れる。このため、上記トリアリールアミン誘導体が均一に分散した電荷輸送層形成用塗布液を調製し易い。そして、このような電荷輸送層形成用塗布液を用いて電荷輸送層を形成すると、上記トリアリールアミン誘導体が均一に分散した電荷輸送層が形成され易い。
更に、電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤と、異なることが好ましい。感光体1を製造する際、通常、電荷発生層3a、電荷輸送層3bの順に形成するため、電荷発生層3a上に、電荷輸送層用塗布液を塗布することになる。電荷輸送層形成時に、電荷発生層3aは、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが求められるからである。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層形成用塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層形成用塗布液は、各成分の分散性、又は形成されるそれぞれの層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層形成用塗布液を塗布する方法としては、例えば、導電性基体2上に均一に電荷発生層用塗布液を塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
電荷発生層用塗布液及び電荷輸送層形成用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、それぞれ電荷発生層用塗布液中及び電荷輸送層形成用塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に制限されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体1の製造方法は、必要に応じて、中間層4を形成する工程、及び/又は保護層5を形成する工程を更に含んでいてもよい。中間層4を形成する工程、及び保護層5を形成する工程では、公知の方法を適宜選択することができる。
以上、第二実施形態に係る感光体1の製造方法について説明した。第二実施形態に係る感光体1の製造方法は、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びo−キシレンのうち少なくとも1種が含有する溶剤を使用して電荷輸送層を形成し、感光体を製造するため、電気的特性及び耐摩耗性に優れる感光体を製造することができる。
<第三実施形態:画像形成装置>
第三実施形態は、画像形成装置に関する。以下、図2を参照して、第三実施形態に係る画像形成装置の一態様について、説明する。図2は、第三実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。画像形成装置6は、第一実施形態に係る感光体1を備える。感光体1は、像担持体として使用される。
第三実施形態に係る画像形成装置6は、感光体に相当する像担持体1と、帯電装置に相当する帯電部27と、露光装置に相当する露光部28と、現像装置に相当する現像部29と、転写部とを備える。帯電部27は像担持体1の表面を負帯電する。帯電部27の帯電極性は、負極性である。露光部28は、帯電された像担持体1の表面を露光して、像担持体1の表面に静電潜像を形成する。現像部29は、静電潜像をトナー像として現像する。転写部は、トナー像を像担持体1から被転写体(中間転写ベルト20)へ転写する。画像形成装置6が中間転写方式を採用する場合、転写部は、一次転写ローラー33、及び二次転写ローラー21に相当する。像担持体は、第一実施形態に係る感光体1である。
画像形成装置6は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置6は、例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。異なる色のトナーによる各色のトナー像を形成するために、画像形成装置6は、タンデム方式のカラー画像形成装置であってもよい。
以下、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に挙げて、画像形成装置6を説明する。画像形成装置6は、所定方向に並設された複数の感光体1と、複数の現像部29とを備える。複数の現像部29は、それぞれ、感光体1に対向して配置される。複数の現像部29は、それぞれ、現像ローラーを備える。現像ローラーは、トナーを担持して搬送し、対応する像担持体1の表面にトナーを供給する。
図2に示すように、画像形成装置6は、箱型の機器筺体7を有している。機器筺体7内には、給紙部8、画像形成部9、及び定着部10が設けられる。給紙部8は、用紙Pを給紙する。画像形成部9は、給紙部8から給紙された用紙Pを搬送しながら、用紙Pに画像データに基づくトナー像を転写する。定着部10は、画像形成部9で用紙P上に転写された未定着のトナー像を、用紙Pに定着させる。更に、機器筺体7の上面には、排紙部11が設けられる。排紙部11は、定着部10で定着処理された用紙Pを排紙する。
給紙部8には、給紙カセット12と、第一ピックアップローラー13と、給紙ローラー14、15、及び16と、レジストローラー対17とが備えられる。給紙カセット12は、機器筺体7から挿脱可能に設けられる。給紙カセット12には、各種サイズの用紙Pが貯留される。第一ピックアップローラー13は、給紙カセット12の左上方位置に設けられる。第一ピックアップローラー13は、給紙カセット12に貯留されている用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラー14〜16は、第一ピックアップローラー13によって取り出された用紙Pを搬送する。レジストローラー対17は、給紙ローラー14〜16によって搬送された用紙Pを、一時待機させた後に、所定のタイミングで画像形成部9に供給する。
また、給紙部8は、手差しトレイ(不図示)と、第三ピックアップローラー18とを更に備えている。手差しトレイは、機器筺体7の左側面に取り付けられる。第三ピックアップローラー18は、手差しトレイに載置された用紙Pを取り出す。第三ピックアップローラー18によって取り出された用紙Pは、給紙ローラー14〜16によって搬送され、レジストローラー対17によって、所定のタイミングで画像形成部9に供給される。
画像形成部9には、画像形成ユニット19、中間転写ベルト20、及び二次転写ローラー21が備えられる。中間転写ベルト20には、画像形成ユニット19によって、中間転写ベルト20の周面(像担持体1の表面との接触面)に、トナー像が一次転写される。なお、一次転写されるトナー像は、コンピューターのような上位装置から伝送された画像データに基づいて形成される。二次転写ローラー21は、中間転写ベルト20上のトナー像を、給紙カセット12から送り込まれた用紙Pに二次転写する。
画像形成ユニット19には、イエロートナー供給用ユニット25と、マゼンタトナー供給用ユニット24と、シアントナー供給用ユニット23と、ブラックトナー供給用ユニット22とを備える。画像形成ユニット19には、イエロートナー供給用ユニット25を基準として中間転写ベルト20の回転方向の上流側(図2では右側)から下流側に向けて、イエロートナー供給用ユニット25、マゼンタトナー供給用ユニット24、シアントナー供給用ユニット23、及びブラックトナー供給用ユニット22が順次配設されている。ユニット22〜25には、各ユニットの中央位置に、感光体1が配設されている。感光体1は、矢符(時計回り)方向に回転可能に配設されている。なお、ユニット22〜25は、画像形成装置6本体に対して脱着される後述のプロセスカートリッジであってもよい。
そして、各像担持体1の周囲には、帯電部27、露光部28、現像部29が、帯電部27を基準として各像担持体1の回転方向の上流側から順に配置されている。
像担持体1の回転方向における帯電部27の上流側には、除電器(不図示)、及びクリーニング装置(不図示)が設けられてもよい。除電器は、中間転写ベルト20へのトナー像の一次転写が終了した後、像担持体1の周面(表面)を除電する。クリーニング装置及び除電器によって清掃及び除電された像担持体1の周面は、帯電部27へ送られ、新たに帯電処理される。
なお、第三実施形態に係る画像形成装置6は、クリーニング装置に相当するクリーニング部及び/又は除電器に相当する除電部を備えることができる。第三実施形態に係る画像形成装置6がクリーニング部及び除電部を備える場合、各像担持体1の回転方向の上流側から帯電部27を基準として、帯電部27、露光部28、現像部29、転写部、クリーニング部、除電部の順で、配置される。
既に述べたように、帯電部27は、像担持体1の表面を帯電する。具体的には、帯電部27は、像担持体1の表面を均一に帯電する。帯電部27は、像担持体1の表面を均一に帯電できる限り、特に制限されない。帯電部27は、非接触方式の帯電部であってもよいし、接触方式の帯電部であってもよい。このような接触方式の帯電部27としては、例えば、帯電ローラー又は帯電ブラシが挙げられる。帯電部27としては、接触方式の帯電部(より具体的には、帯電ローラー、又は帯電ブラシ等)が好ましい。接触方式の帯電部27を使用することにより、帯電部27から発生する活性ガス(例えば、オゾン、又は窒素酸化物)の排出を抑えることができる。その結果、活性ガスによる感光層3の劣化が抑制されるとともに、オフィス環境に配慮した設計が達成できる。
帯電部27が接触方式の帯電ローラーを備える場合、帯電ローラーは、像担持体1と接触したまま、像担持体1の表面を帯電する。このような帯電ローラーとしては、例えば、像担持体1の表面と接触したまま、像担持体1の回転に従属して回転する帯電ローラーが挙げられる。また、帯電ローラーとしては、例えば、少なくとも表面部が樹脂で構成された帯電ローラーが挙げられる。具体的には、帯電ローラーは、回転可能に軸支された芯金と、芯金上に形成された樹脂層と、芯金に電圧を印加する電圧印加部とを備える。このような帯電ローラーを備えた帯電部27は、電圧印加部が芯金に電圧を印加することによって、樹脂層を介して接触する感光体1の表面を帯電させることができる。
帯電ローラーの樹脂層を構成する樹脂は、像担持体1の周面を良好に帯電させることができる限り特に限定されない。樹脂層を構成する樹脂の具体例としては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、又はシリコーン変性樹脂が挙げられる。樹脂層には、無機充填材を含有させてもよい。
帯電部27が印加する電圧は、特に限定されない。しかし、帯電部27が交流電圧を印加すること、又は直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を印加することよりも、帯電部27が直流電圧のみを印加することが好ましい。帯電部27が直流電圧のみを印加する場合、感光層3の磨耗量が減少する傾向があるためである。その結果、好適な画像を形成することができる。帯電部27が感光体1に印加する直流電圧は、1000V以上2000V以下であることが好ましく、1200V以上1800V以下であることがより好ましく、1400V以上1600V以下であることが特に好ましい。
帯電ローラーの樹脂層を構成する樹脂は、感光体1の表面を良好に帯電させることができる限り特に限定されない。樹脂層を構成する樹脂の具体例としては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、又はシリコーン変性樹脂が挙げられる。樹脂層には、無機充填材を含有させてもよい。
露光部28は、例えば、レーザー走査ユニットである。露光部28は、帯電された像担持体1の表面を露光して、像担持体1の表面に静電潜像を形成する。具体的には、露光部28は、帯電部27によって均一に帯電された像担持体1の周面に、パーソナルコンピューターのような上位装置から入力された画像データに基づくレーザー光を照射する。これにより、像担持体1の周面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。
既に述べたように、現像部29は、静電潜像をトナー像として現像する。具体的には、現像部29は、静電潜像が形成された像担持体1の周面にトナーを供給し、画像データに基づくトナー像を形成する。そして、形成されたトナー像が中間転写ベルト20に一次転写される。なお、トナーの帯電極性は負極性である。
中間転写ベルト20は、無端状のベルト回転体である。中間転写ベルト20は、駆動ローラー30、従動ローラー31、バックアップローラー32、及び複数の一次転写ローラー33に架け渡されている。複数の像担持体1の周面が、それぞれ、中間転写ベルト20の周面に当接するように、中間転写ベルト20は配置されている。
また、中間転写ベルト20は、各像担持体1に対向して配置される一次転写ローラー33によって、像担持体1に押圧される。押圧された状態で、中間転写ベルト20は、駆動ローラー30によって矢符(反時計回り)方向に無端回転する。駆動ローラー30は、ステッピングモーターなどの駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト20を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラー31、バックアップローラー32、及び複数の一次転写ローラー33は、回転自在に設けられる。従動ローラー31、バックアップローラー32、及び一次転写ローラー33は、駆動ローラー30による中間転写ベルト20の無端回転に伴って、従動回転する。従動ローラー31、バックアップローラー32、及び一次転写ローラー33は、駆動ローラー30の主動回転に応じて中間転写ベルト20を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト20を支持する。
一次転写ローラー33は、トナー像を像担持体1から中間転写ベルト20へ転写する。具体的には、一次転写ローラー33は、一次転写バイアス(具体的には、トナーの帯電極性と逆極性のバイアス)を中間転写ベルト20に印加する。その結果、各像担持体1上に形成されたトナー像は、各像担持体1と一次転写ローラー33との間で、周回する中間転写ベルト20に対して、順次転写(一次転写)される。
二次転写ローラー21は、二次転写バイアス(具体的には、トナー像と逆極性のバイアス)を用紙Pに印加する。その結果、中間転写ベルト20上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー21とバックアップローラー32との間で用紙Pに転写される。これにより、未定着のトナー像が用紙Pに転写される。
定着部10は、画像形成部9で用紙Pに転写された未定着トナー像を定着させる。定着部10は、加熱ローラー34と、加圧ローラー35とを備えている。加熱ローラー34は、通電発熱体により加熱される。加圧ローラー35は、加熱ローラー34に対向配置され、加圧ローラー35の周面が加熱ローラー34の周面に押圧される。
画像形成部9で二次転写ローラー21により用紙Pに転写された転写画像は、用紙Pが加熱ローラー34と加圧ローラー35との間を通過する際の加熱による定着処理により用紙Pに定着される。そして、定着処理の施された用紙Pは、排紙部11へ排紙される。また、定着部10と排紙部11との間の適所に、複数の搬送ローラー36が配設されている。
排紙部11は、機器筺体7の頂部が凹没されることによって形成される。凹没した凹部の底部に、排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ37が設けられる。以上、図2を参照して、第三実施形態に係る画像形成装置6について説明した。
図2を参照して中間転写方式を採用する画像形成装置6を説明したが、第三実施形態に係る画像形成装置6は、別の態様として、直接転写方式を採用することもできる。この場合、被転写体は、記録媒体(例えば、用紙P)に相当する。また、転写部は、二次転写ローラー21に相当する。二次転写ローラー21は、対向する像担持体1との間に記録媒体が通るように配置される。
図2を参照して説明したように、第三実施形態に係る画像形成装置6は、像担持体として、電気的特性及び耐摩耗性に優れる第一実施形態に係る感光体1を備えている。このような感光体1を備えることで、第三実施形態に係る画像形成装置6は、画像不良の発生を抑制することができる。
<第四実施形態:プロセスカートリッジ>
第四実施形態は、プロセスカートリッジに関する。第四実施形態に係るプロセスカートリッジは、像担持体として第一実施形態に係る感光体1を備える。プロセスカートリッジは、例えば、像担持体としてユニット化された第一実施形態に係る感光体1を備えることができる。プロセスカートリッジは、第三実施形態に係る画像形成装置6に対して着脱自在に設計されてもよい。プロセスカートリッジには、例えば、像担持体以外に、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部、及び除電部からなる群より選択される少なくとも1つをユニット化した構成を採用することができる。ここで、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部、及び除電部は、それぞれ、第三実施形態で上述した、帯電部27、露光部28、現像部29、転写部、クリーニング部、及び除電部と同様の構成とすることができる。
以上、第四実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明した。第四実施形態に係るプロセスカートリッジは、電気的特性及び耐摩耗性に優れる。更に、このようなプロセスカートリッジは取り扱いが容易であるため、感光体1の感度特性等が劣化した場合に、感光体1を含めて、容易かつ迅速に交換することができる。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
[1.感光体の調製]
電荷発生剤、正孔輸送剤、電子アクセプター化合物、及びバインダー樹脂を用いて、感光体(A−1)〜感光体(A−28)、及び感光体(B−1)〜感光体(B−15)を作製した。
[1−1.電荷発生剤の調製]
感光体(A−1)〜感光体(A−28)、及び感光体(B−1)〜感光体(B−15)の作製には、電荷発生剤として式(CG−1)で表されるY型チタニルフタロシアニン結晶(以下、「電荷発生剤(CG−1)」と記載する場合がある)を用いた。X線回折装置を用いて、このY型チタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを測定した。得られたX線回折スパクトルにおいて、主ピークはブラッグ角2θ±2°=27.2に観測された。示差熱量分析計(株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて、電荷発生剤(CG−1)の示差走査熱量分析スペクトルを測定した。得られた示差走査熱量分析スペクトルから、吸着水の気化に伴うピーク以外に、270℃以上400℃以下の範囲に1つのピークを有することが確認された。
[1−2.正孔輸送剤の調製]
感光体(A−1)〜感光体(A−28)、及び感光体(B−1)〜感光体(B−15)の作製には、正孔輸送剤として、式(HTM−1)〜式(HTM−16)で表される化合物(以下、「正孔輸送剤(HTM−1)〜正孔輸送剤(HTM−16)」と記載する場合がある)を用いた。なお、正孔輸送剤(HTM−1)〜正孔輸送剤(HTM−9)は、既に第一実施形態にて説明した。
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[1−3.電子アクセプター化合物の調製]
感光体(A−1)〜感光体(A−28)、及び感光体(B−1)〜感光体(B−15)の作製には、電子アクセプター化合物として、式(EA−1)〜式(EA−11)で表される化合物(以下、「電子アクセプター化合物(EA−1)〜電子アクセプター化合物(EA−11)」と記載する場合がある)を用いた。
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[1−4.バインダー樹脂の調製]
感光体(A−1)〜感光体(A−28)、及び感光体(B−1)〜感光体(B−15)の作製には、バインダー樹脂として式(Resin−1)〜式(Resin−6)で表されるポリカーボネート樹脂、式(Resin−7)〜式(Resin−8)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂、式(Resin−9)〜式(Resin−10)で表されるポリカーボネート樹脂、及び式(Resin−11)〜式(Resin−12)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜ポリカーボネート樹脂(Resin−12)と記載することがある)を用いた。なお、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜ポリカーボネート樹脂(Resin−6)は、既に第一実施形態にて説明した。
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[2.感光体の作製]
(2−1.下引き層の形成)
[実施例1]
始めに、下引き層用塗布液を調製した。具体的には、アルミナとシリカで表面処理後、湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面処理した酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、数平均一次粒子径10nm)(2質量部)と、6,12,66,610四元共重合ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」)(1質量部)とをメタノール(10質量部)、ブタノール(1質量部)及びトルエン(1質量部)からなる混合溶剤にビーズミルを用いて混合して5時間分散させた。
次に、下引き層を形成した。具体的には、得られた下引き層用塗布液を5μmのフィルターにてろ過後、導電性基体として直径30mm、全長246mmのアルミニウム製のドラム状支持体にディップコート法にて塗布した。130℃で30分間熱処理し、膜厚2μmの下引き層を形成した。
(2−2.電荷発生層の形成)
次に、電荷発生層用塗布液を調製した。具体的には、電荷発生剤(CG−1)(1.5質量部)と、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社「エスレックBX−5」)(1質量部)と、分散媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)と、テトラヒドロフラン(40質量部)とを混合し、ビーズミルにて2時間分散させた。次に、得られた電荷発生層用塗布液を3μmのフィルターにてろ過後、上記で作製した下引き層上にディップコート法にて塗布し、50℃で5分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(2−3.電荷輸送層の形成)
次に、電荷輸送層用塗布液を調製した。具体的には、正孔輸送剤(HTM−1)(41質量部)と、電子アクセプター化合物(ETM−1)(2質量部)と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(Resin−1)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)と、添加剤として酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製「イルガノックス(登録商標)1010」、フェノール系酸化防止剤)(0.5質量部)と、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF、560質量部)と、トルエン(140質量部)とを混合溶解した。THFとトルエンとの質量の比率(THF/トルエン)は、8/2(すなわち4)であった。
調製した電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様の方法で電荷発生層上に塗布し、120℃にて40分間乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を作製した。
[実施例2]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−2)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−2)を製造した。
[実施例3]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−3)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−3)を製造した。
[実施例4]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−4)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−4)を製造した。
[実施例5]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−5)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−5)を製造した。
[実施例6]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−6)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−6)を製造した。
[実施例7]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−7)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−7)を製造した。
[実施例8]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−8)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−8)を製造した。
[実施例9]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)45質量部を正孔輸送剤(HTM−9)41質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−9)を製造した。
[実施例10]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−2)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−10)を製造した。
[実施例11]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−3)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−11)を製造した。
[実施例12]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−4)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−12)を製造した。
[実施例13]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−2)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−13)を製造した。
[実施例14]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−3)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−14)を製造した。
[実施例15]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−4)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−15)を製造した。
[実施例16]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−5)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−16)を製造した。
[実施例17]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−6)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−17)を製造した。
[実施例18]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−7)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−18)を製造した。
[実施例19]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−8)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−19)を製造した。
[実施例20]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−9)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−20)を製造した。
[実施例21]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−10)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−21)を製造した。
[実施例22]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)2質量部を電子アクセプター化合物(EA−11)2質量部に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(A−22)を製造した。
[実施例23]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)の含有量を45質量部から55質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−23)を製造した。
[実施例24]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)の含有量を45質量部から35質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−24)を製造した。
[実施例25]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)の含有量を45質量部から28質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−25)を製造した。
[実施例26]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した電子アクセプター化合物(EA−1)の含有量を2質量部から0質量部に変更した以外(感光体の作製において電子アクセプター化合物を使用しなかった以外)は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−26)を製造した。
[実施例27]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−5)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−27)を製造した。
[実施例28]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−6)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(A−28)を製造した。
[比較例1]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)41質量部を正孔輸送剤(HTM−10)60質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−1)を製造した。
[比較例2]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)41質量部を正孔輸送剤(HTM−11)60質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−2)を製造した。
[比較例3]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)41質量部を正孔輸送剤(HTM−12)60質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−3)を製造した。
[比較例4]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)41質量部を正孔輸送剤(HTM−13)60質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−4)を製造した。
[比較例5]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)41質量部を正孔輸送剤(HTM−14)60質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−5)を製造した。
[比較例6]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)41質量部を正孔輸送剤(HTM−15)60質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−6)を製造した。
[比較例7]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)41質量部を正孔輸送剤(HTM−16)60質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−7)を製造した。
[比較例8]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−7)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(B−8)を製造した。
[比較例9]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−8)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(B−9)を製造した。
[比較例10]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)の含有量を45質量部から64質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−10)を製造した。
[比較例11]
電荷輸送層用塗布液に混合溶解した正孔輸送剤(HTM−1)の含有量を45質量部から80質量部に変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様にして、感光体(B−11)を製造した。
[比較例12]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−9)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(B−12)を製造した。
[比較例13]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−10)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(B−13)を製造した。
[比較例14]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−11)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(B−14)を製造した。
[比較例15]
電荷輸送用塗布液に混合溶解したポリカーボネート樹脂(Resin−1)(100質量部)をポリカーボネート樹脂(Resin−12)(粘度平均分子量50,500)(100質量部)に変更した以外は、感光体(A−4)の製造と同様にして、感光体(B−15)を製造した。
得られた感光体(A−1)〜感光体(A−28)及び感光体(B−1)〜感光体(B−15)の構成をそれぞれ表1及び表2に示す。なお、表1及び表2において、「樹脂に対する質量」は、電荷輸送層におけるバインダー樹脂の質量に対する正孔輸送剤の質量を表す。例えば、電荷輸送層がバインダー樹脂100質量部と正孔輸送剤41質量部とを含む場合、樹脂に対する質量は、0.41となる。溶剤欄には、用いた溶剤の種類に加え、複数の異なる溶剤を混合した混合溶剤を用いた場合、「溶剤の質量の比率」を記載した。
Figure 2017015870
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[3.感光体の測定方法]
(3−1.X線回折スペクトル)
試料(Y型チタニルフタロシアニン結晶)をX線回折装置(株式会社リガク製「RINT(登録商標) 1100」)のサンプルホルダーに充填して、下記の条件でX線回折スペクトルを測定した。
X線管球:Cu
管電圧 :40kV
管電流 :30mA
CuKα特性X線の波長:1.542Åの条件
測定範囲(2θ):3°以上40°以下(スタート角:3°、ストップ角:40°)
走査速度:10°/分
得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取った。
(3−2.示差熱量分析スペクトル)
サンプルパンに結晶粉末(チタニルフタロシアニン)の評価用試料を載せて、示差走査熱量計(株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて、下記の条件で示差走査熱量分析スペクトルを測定した。
測定範囲:40℃以上400℃以下
昇温速度:20℃/分
[4.感光体の性能評価]
(4−1.感光体の電気的特性の評価)
(帯電電位V0の測定)
評価機として、電気特性試験機(GENTEC社製)を用いた。感光体を電気特性試験機にセットした。電気特性試験機を用いて、低温低湿環境(温度:10℃、湿度20%RH)下で、回転数31rpm及びドラム流れ込み電流−10μA時の表面電位を測定した。得られた表面電位を帯電電位V0とした。
(感度電位VLの測定)
電気特性試験機(GENTEC社製)を用いて、低温低湿環境(温度:10℃、湿度20%RH)下で、電圧600Vで感光体を帯電し、露光波長780nm及び露光量0.26μJ/cm2で露光した後の感光体の表面電位を測定した。得られた表面電位を、感度電位VLとした。
(4−2.結晶化の評価)
得られた積層型電子写真感光体の表面における結晶化の有無を評価した。具体的には、光学顕微鏡を用いて、積層型電子写真感光体の表面における結晶の有無を確認し、評価した。詳しくは、ドラム外観を4つに分けた。「問題なし」では、感光体表面において結晶化が観察されなかった。「わずかに結晶化」では、感光体表面において結晶化領域がわずかに観察された。「結晶化」では、感光体表面おいて結晶化領域が観察された。「重度結晶化」では、感光体表面において結晶化領域が明確に観察され、かつ多くの結晶化領域が観察された。
(4−3.感光体の耐摩耗性の評価(摩耗試験))
電荷輸送層用塗布液をφ78アルミパイプに巻きつけたPPシート(厚さ0.3mm)に塗布した。塗布膜を120℃で40分乾燥し、PPシート上に膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。得られた電荷輸送層をPPシートから剥離し、ウイールS−36(テーバー社製)に貼り付け、摩擦評価用試料を作製した。作製した試料をロータリーアブレージョンテスタ(株式会社東洋精機製)を用いて、摩耗輪C−10(テーバー社製)、荷重500gf、及び回転速度60rpmの条件にて、1,000回転摩耗試験を実施した。摩耗試験前後の試料の質量を測定した。これらの質量の差(=摩耗試験前の電荷輸送層の質量−摩耗試験後の電荷輸送層の質量)から、1,000回転あたりの摩耗減量(mg)を求めた。
感光体の電気的特性評価及び耐摩耗性評価の結果を表3及び表4に示す。
Figure 2017015870
Figure 2017015870
表1に示すように、感光体(A−1)〜感光体(A−28)は、電荷発生層において電荷発生剤(CG−1)を有していた。また、感光体(A−1)〜感光体(A−28)は、電荷輸送層において、正孔輸送剤(HTM−1)〜正孔輸送剤(HTM−9)のうち何れか一つを有し、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)〜ポリカーボネート樹脂(Resin−6)のうち何れか一つを有していた。感光体(A−1)〜感光体(A−28)は、電荷輸送層において正孔輸送剤の質量の比率はバインダー樹脂の質量に対して0.55以下であった。
表2に示すように感光体(B−1)〜感光体(B−11)は、電荷発生層において電荷発生剤(CG−1)を有していた。また、感光体(B−1)〜感光体(B−11)は、電荷輸送層において正孔輸送剤(HTM−1)、正孔輸送剤(HTM−4)、及び正孔輸送剤(HTM−10)〜正孔輸送剤(HTM−16)のうち何れか一つを有し、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)及びポリカーボネート樹脂(Resin−7)〜ポリカーボネート樹脂(Resin−12)のうち何れか一つを有していた。感光体(B−1)〜感光体(B−11)は、電荷輸送層において正孔輸送剤の質量の比率がバインダー樹脂の質量に対して0.41以上0.80以下であった。詳しくは、感光体(B−1)〜感光体(B−7)は、正孔輸送剤(HTM−10)〜正孔輸送剤(HTM−16)は、一般式(1)で表される正孔輸送剤ではなかった。感光体(B−8)〜感光体(B−9)及び感光体(B−12)〜感光体(B−15)は、ポリカーボネート樹脂(Resin−7)〜ポリカーボネート樹脂(Resin−12)が、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂ではなかった。感光体(B−10)〜感光体(B−11)は、正孔輸送剤の質量の比率がバインダー樹脂の質量に比べ0.55超であった。
表3に示すように、感光体(A−1)〜感光体(A−28)は、電気的特性の評価において帯電電位V0が−776V以上−712V以下であり、感度電位VLが−77V以上−54V以下であった。また、感光体(A−1)〜感光体(A−28)は、結晶化の評価において、ドラム外観がすべて「問題なし」であった。感光体(A−1)〜感光体(A−28)は、耐摩耗性の評価において摩耗減量が4.5mg以上6.9mg以下であった。
表4に示すように、感光体(B−1)〜感光体(B−15)は、電気的特性の評価において帯電電位V0が−768V以上−717V以下であり、感度電位VLが−313V以上−45V以下であった。感光体(B−1)〜感光体(B−15)は、結晶化の評価において、ドラム外観が「問題なし」、「わずかに結晶化」、「結晶化」又は「重度結晶化」であった。感光体(B−1)〜感光体(B−15)は、耐摩耗性の評価において、摩耗減量が3.9mg以上12.1mg以下であった。なお、ドラム外観が「結晶化」又は「重度結晶化」となった感光体では、摩耗減量の測定ができなかった。
以上から、感光体(A−1)〜感光体(A−28)(実施例の感光体)は、感光体(B−1)〜感光体(B−15)(比較例の感光体)に比べ、結晶化を抑制し、電気的特性及び耐摩耗性に優れていた。
本発明によれば、結晶化を抑制し、感光体全体として優れた電気的特性を維持しつつ、耐摩耗性を付与可能な積層型電子写真感光体を提供できる。このような積層型電子写真感光体は、複合機等の画像形成装置に好適に適用される。
1 積層型電子写真感光体
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層

Claims (9)

  1. 電荷発生剤を有する電荷発生層と、正孔輸送剤及びバインダー樹脂を有する電荷輸送層とを含む感光層を備え、
    前記電荷発生剤は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニンを含み、
    前記正孔輸送剤は、一般式(1)で表されるトリアリールアミン誘導体を含み、
    前記電荷輸送層において、前記正孔輸送剤の質量の比率は、前記バインダー樹脂の質量に対して0.55以下であり、
    前記バインダー樹脂は、一般式(2)で表されるポリカーボネート樹脂を含む、積層型電子写真感光体。
    Figure 2017015870
    Figure 2017015870
    (前記一般式(1)中、Ar1は、炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有するアリール基、又は置換基を有してもよいフェノキシ基を少なくとも1つ有するアリール基を表す。Ar2は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有してもよいアリール基を表す。前記一般式(2)中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。ただし、R3とR4とは、互いに結合して環を形成し、シクロアルキリデン基となってもよい。m+n=1であり、0.35<m<0.70である。)
  2. 前記一般式(1)中のAr1は、炭素原子数2以上4以下のアルコキシ基を少なくとも1つ有するフェニル基、又はメチル基を有してもよいフェノキシ基を有するフェニル基を表し、Ar2は、メチル基を有してもよいフェニル基を表す、請求項1に記載の積層型電子写真感光体。
  3. 前記一般式(2)中、R1及びR2のうち少なくとも一つがアルキル基を表し、R3とR4とがシクロヘキシリデン基を表す、請求項1又は2に記載の積層型電子写真感光体。
  4. 前記電荷輸送層は、電子アクセプター化合物を更に有し、
    前記電子アクセプター化合物は、ケトン構造又はジシアノメチレン構造を有する、請求項1〜3の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体。
  5. 前記電子アクセプター化合物は、一般式(3)で表される化合物のうち、少なくとも1つを含む、請求項4に記載の積層型電子写真感光体。
    Figure 2017015870
    (前記一般式(3)中のR5〜R29は、各々独立に、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、アリールアルコキシ基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基若しくはアルコキシ基を有してもよいアリール基を表す。)
  6. 前記一般式(3)中のR5〜R29は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フェニルメトキシ基、又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表す、請求項5に記載の積層型電子写真感光体。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体の製造方法であって、
    少なくとも前記トリアリールアミン誘導体と、前記バインダー樹脂と、前記溶剤とを含む電荷輸送層形成用塗布液を、前記電荷発生層上に塗布し、塗布した前記電荷輸送層用塗布液に含まれる前記溶剤の少なくとも一部を除去して前記電荷輸送層を形成する電荷輸送層形成工程を有し、
    前記溶剤が、トルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、及びo−キシレンのうち少なくとも1種を含有する、積層型電子写真感光体の製造方法。
  8. 請求項1〜6の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体を備えた、プロセスカートリッジ。
  9. 像担持体と、
    前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
    前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
    前記トナー像を前記像担持体から被転写体へ転写する転写部と
    を備える画像形成装置であって、
    前記像担持体は、請求項1〜6の何れか一項に記載の積層型電子写真感光体である、画像形成装置。
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