JP2017014648A - 吸収性シート - Google Patents
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Abstract
Description
請求項3に係る発明では、表面の表面粗さと、裏面の表面粗さとの差が0.4μm以上である。これにより、吸収性シートを食品用トレーに並べる際の作業性がより改善される。
請求項4に係る発明では、表面の表面粗さが1.5〜2.5μmで、裏面の表面粗さが2.0〜3.5μmである。これにより、吸収性シートを食品用トレーに並べる際の作業性がより改善される。
請求項5に係る発明では、裏面の静摩擦係数が0.18〜0.26である。これにより、吸収性シートを食品用トレーに並べる際の作業性がより改善され、さらに食材及びシートが食品用トレーからズレ落ちることが有効に防止される。
請求項6に係る発明では、少なくとも裏面に、鞘がランダムプロピレン共重合体の芯鞘繊維30〜70質量%と、鞘がポリエチレンの芯鞘繊維70〜30質量%とからなる不織布が配置される。これにより、吸収性シートを食品用トレーに並べる際の作業性がより改善され、さらに食材及びシートが食品用トレーからズレ落ちることが有効に防止される。
本実施形態に係る吸収性シート1は、ランダムプロピレン共重合体(以下、ランダムPPと記す)を含む複合繊維30〜70質量%と、ポリエチレン(以下、PEと記す)を含む複合繊維70〜30質量%とからなる不織布が含まれる単層の不織布であり、吸収性シート1の表面2側の表面粗さより裏面3側の表面粗さの方が高い。表面2側と裏面3側との間の表面粗さの差は、0.4μm以上であることが好ましく、表面2側の表面粗さが1.5〜2.5μmで、裏面3側の表面粗さが2.0〜3.5μmであることが好ましい。なお、本願で言う吸収性シート1の表面2側は、吸収性シート1に食品が置かれる面に相当し、本願で言う吸収性シート1の裏面3側は、吸収性シート1が食品トレーに対向する面に相当する。
吸液性シート1の使用時における滑り性及び作業性を、次のようにして評価した。
電子天秤を使用して50×50mmの不織布のサンプルを1/100グラムの単位まで秤量し、秤量した結果を1m2当たりの値に換算した。
50×50mm以上の大きさの不織布のサンプルを用意した。測定器には、直径44mmの測定子を有するダイアルシックネスゲージを使用し、測定圧が3g/cm2となるようにダイアルシックネスゲージを調整して、1/10mmの単位までの厚さを測定した。
不織布の静摩擦係数は、新東科学株式会社製のHEIDONトライボギアμs(ミューズ)TYPE:94iを用いて次の手順で測定した。
装置に付属しているステンレス製のスライダーを測定器本体にセットした。次に、平らな机の上に、100×100mmの不織布のサンプルをしわや浮きのないように広げた。次いで、定器をサンプル表面のMD方向に静かに置き測定を開始した後、測定値を記録した。サンプルの裏面についても同様に測定した。なお、サンプルの表面と裏面の静摩擦係数は、別々のサンプルで測定した。
市販の発泡スチロール製の食品トレー(中央化学株式会社製、商品名トレーC−13(L)、縦166mm×横97mm×深さ20mm)に、150mm×80mmの吸収性シート1を表面粗さが大きい面が下になるようにして敷いたサンプルを10個準備した。200gの肉片(縦120mm×横80mm、厚さは適宜調整)を吸収性シート1に載せ、トレーごと傾斜角度30°の棚板に置き、シート1の滑りの有無を10分間観察した。シート1の滑りが1件でも発生した場合は不良とし、シート1の滑りが全く発生しない場合を良とした。
表面粗さは、カトーテック社の表面試験機KES FB-4Sを用いて次の手順で測定した。
先ず、100×100mmの不織布のサンプルを採取した。次に、測定機のゼロあわせを行い、左右のSENSは2×5に設定した。次いで、MD方向に摩擦子が滑る様サンプルをセットし測定を開始した後、SMD(表面荒さの変動)の値を記録した。TD方向についても同様に測定し、下記式でSMDを算出した。
SMD(μm)=(MD方向SMD値+TD方向SMD値)/2
縦(MD方向)160mm×横(TD方向)70mmの吸液性シート1のサンプル20枚を用意した。20枚の吸液性シート1の束を熟練作業者が片手に持ち、吸液性シート1の一枚ずつ速やかに繰り出してもう一方の手で速やかに取り出すことができるか否かにより、吸液性シート1の作業性の良否を判定した。作業性は、良と不良の2ランクに分類した。良は吸液性シート1を一枚ずつ繰り出すことが容易であったことを意味し、不良は吸液性シート1を常に一枚ずつ繰り出すことは困難で、複数枚の吸液性シート1が一体となって同時に繰り出されることがあったことを意味している。
図3を参照して、本発明の吸収性シート1の原材料となる不織布の製造方法を説明する。
鞘がPEの芯鞘繊維と鞘がランダムPPの芯鞘繊維をカード機10に供給し、得られたカードウエブ11を無端ベルト12に載せて機械方向MDへ送り熱風処理室13を通過させて芯鞘繊維どうしを溶着させ、エアスルー不織布14とした。熱風処理室13の温度は、芯鞘繊維の鞘成分のPE及びランダムPPを溶融し得る温度に保った。さらに、得られたエアスルー不織布14の一面のみを、芯鞘繊維の鞘成分のPE及びランダムPPを溶融し得る温度に保たれた加熱ロール15の周面に密着させた。これにより、エアスルー不織布14の一面、すなわち加熱ロール15に密着させた面の表面粗さを、加熱ロール15に密着させなかった面の表面粗さよりも小さくした。その後、エアスルー不織布14を冷却ロール16に接触させた後、巻き取った。このようして得られたエアスルー不織布14から、所定の大きさの評価用のサンプルを採取した。
鞘がランダムPPの芯鞘繊維A(繊度3.3dtex)を30〜70質量%含む実施例1〜3、及び鞘がランダムPPの芯鞘繊維B(繊度2.2dtex)を30〜70質量%含む実施例4〜6の吸収性シート1は、良好な作業性及びトレーに対する滑り性を示した。すなわち、芯鞘繊維の繊度に関わらず、鞘がランダムPPの芯鞘繊維を30〜70質量%含む吸収性シート1は、良好な作業性及びトレーに対する滑り性を示した。一方、鞘がランダムPPの芯鞘繊維が100質量%である吸収性シート1(比較例1)は、静摩擦係数が大きいため作業性が不良であった。また、鞘がPEの芯鞘繊維が100質量%である吸収性シート1(比較例2)は、静摩擦係数が小さいためトレーに対する滑り性が不良であった。さらに、鞘がPEで芯がポリエステルの芯鞘繊維100質量%の不織布から成る市販の吸収性シート1についても評価したところ(比較例3)、作業性は良好であったが、静摩擦係数が小さいためトレーに対する滑り性は不良であった。
第1実施形態では、吸収性シート1を1枚の不織布で構成する場合を例に説明した。しかし、本発明の吸収性シート1を2枚以上の不織布を含む積層体にすることもできる。この場合、吸収性シート1の裏面に鞘がランダムPPの芯鞘繊維30〜70質量%と、鞘がPEの芯鞘繊維70〜30質量%とからなる不織布を配置することが好ましい。例えば、図4に示すように、吸収性シート1を表面シート21と、裏面シート23と、表面シート21と裏面シート23の間に挟まれる中間シート22の3層で構成し、裏面シート23に、鞘がランダムPPの芯鞘繊維30〜70質量%と、鞘がPEの芯鞘繊維70〜30質量%とからなる不織布を配置することができる。表面シート21には、裏面シート23より表面粗さの小さい不織布を用いる。表面シート21は、裏面シート23と同一種の不織布であってもよいし、裏面シート23より静摩擦係数が小さい不織布であってもよい。中間シート22は、食品からの浸出液を吸収可能なシート材であればよく、例えばティッシュペーパ等のセルロース繊維の集合体、スポンジ、親水化処理された不織布、及び親水化処理されていない不織布のいずれかを用いることができる。また、中間シート22を省略して、表面シート21と裏面シート23の2層で吸収性シート1を構成することもできる(図示せず)。本発明の吸収性シート1を2枚以上の不織布を含む積層体にする場合、各層の接合は公知の方法で行うことができ、例えば接着または溶着により行うことができる。
2 表面
3 裏面
10 カード機
11 カードウエブ
12 無端ベルト
13 熱風処理室
14 エアスルー不織布
15 加熱ロール
16 冷却ロール
21 表面シート
22 中間シート
23 裏面シート
Claims (6)
- 不織布製の食品用の吸収性シートであって、
前記不織布に、ランダムプロピレン共重合体を含む複合繊維30〜70質量%と、ポリエチレンを含む複合繊維70〜30質量%とからなる不織布が含まれ、
前記吸収性シートの表面の表面粗さより裏面の表面粗さの方が大きいことを特徴とする、前記吸収性シート。 - 前記ランダムプロピレン共重合体を含む複合繊維が、鞘がランダムプロピレン共重合体の芯鞘繊維であり、前記ポリエチレンを含む複合繊維が、鞘がポリエチレンの芯鞘繊維である、請求項1に記載の吸収性シート。
- 前記表面の表面粗さと、前記裏面の表面粗さとの差が0.4μm以上である、請求項1または2に記載の吸収性シート。
- 前記表面の表面粗さが1.5〜2.5μmで、前記裏面の表面粗さが2.0〜3.5μmである、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性シート。
- 前記裏面の静摩擦係数が0.18〜0.26である、請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性シート。
- 少なくとも裏面に、鞘がランダムプロピレン共重合体の芯鞘繊維30〜70質量%と、鞘がポリエチレンの芯鞘繊維70〜30質量%とからなる不織布が配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性シート。
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