JP2017014365A - ファルネセン重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

ファルネセン重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2017014365A
JP2017014365A JP2015131237A JP2015131237A JP2017014365A JP 2017014365 A JP2017014365 A JP 2017014365A JP 2015131237 A JP2015131237 A JP 2015131237A JP 2015131237 A JP2015131237 A JP 2015131237A JP 2017014365 A JP2017014365 A JP 2017014365A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
farnesene
mass
rubber
polymer
monomer unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015131237A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6478407B2 (ja
Inventor
大輔 香田
Daisuke Koda
大輔 香田
恵 平田
Megumi Hirata
恵 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Amyris Inc
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Amyris Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd, Amyris Inc filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2015131237A priority Critical patent/JP6478407B2/ja
Publication of JP2017014365A publication Critical patent/JP2017014365A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6478407B2 publication Critical patent/JP6478407B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】高い流動性を有し、成形加工性に優れ、かつ、得られるタイヤの制動性能に優れるファルネセン重合体、該ファルネセン重合体を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供する。
【解決手段】[1]ファルネセン由来の単量体単位(a)を含むファルネセン重合体であって、該ファルネセン重合体を構成する単量体単位の総量中における、単量体単位(a)の含有量が50質量%以上であり、ガラス転移温度が−90〜−26℃であるファルネセン重合体、[2]前記[1]に記載のファルネセン重合体を含むゴム成分(A)、及びフィラー(B)を含有するゴム組成物、及び[3]前記[2]に記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ファルネセン重合体、該ファルネセン重合体を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
ファルネセン重合体は、架橋することでゴム弾性を示すため、ファルネセン重合体を含有するゴム組成物は、架橋してタイヤとして用いられている。
タイヤにおいては、ウェットグリップ性能といった湿潤路面での制動性能や、アイスグリップ性能といった低温時や氷雪路面での制動性能等の広範な条件下での高いレベルの制動性能が要求される。
制動性能を向上させるには、ガラス転移温度(Tg)が高いゴム、例えば、スチレン−ブタジエンゴムを使用したり、平均粒径が5〜100nm程度のカーボンブラックを多量に配合したりする方法が知られている。しかし、これらの方法では、ゴム組成物の粘度が高くなって製造時の成形加工性が低下するという問題がある。
例えば、特許文献1では、ファルネセン重合体を含有するゴム組成物が記載され、該ゴム組成物のムーニー粘度が低下し、成形加工性に優れるものの、タイヤ用ゴム組成物のゴム成分として用いる場合には制動性能が未だ不十分であるという問題がある。
また、特許文献2では、ファルネセン共重合体、及びゴム成分として該ファルネセン共重合体を用いたタイヤ用ゴム組成物が記載され、制動性能は改善されるものの、前記ファルネセン共重合体のガラス転移温度は−25℃以上であり、流動性及び成形加工性が不十分であるという問題がある。
このようにタイヤ用ゴム組成物において、製造時の成形加工性及び制動性能をバランスよく改良することは困難とされていた。
国際公開第2013/047348号 国際公開第2013/115010号
本発明は、上記の現状を鑑みてなされたものであり、高い流動性を有し、成形加工性に優れ、かつ、得られるタイヤのアイスグリップ性能、ウェットグリップ性能等の制動性能(以下、単に「制動性能」とも称する)に優れるファルネセン重合体、該ファルネセン重合体を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ファルネセン由来の単量体単位を特定量含むファルネセン重合体であって、該ファルネセン重合体のガラス転移温度を特定の範囲とすることによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記[1]〜[3]に関する。
[1] ファルネセン由来の単量体単位(a)を含むファルネセン重合体であって、該ファルネセン重合体を構成する単量体単位の総量中における、単量体単位(a)の含有量が50質量%以上であり、ガラス転移温度(Tg)が−90〜−26℃である、ファルネセン重合体。
[2] 上記[1]に記載のファルネセン重合体を含むゴム成分(A)、及びフィラー(B)を含有するゴム組成物であって、ゴム成分(A)総量中における前記ファルネセン重合体の含有量が5〜50質量%であり、ゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有する、ゴム組成物。
[3] 上記[2]に記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
本発明によれば、高い流動性を有し、成形加工性に優れ、かつ、得られるタイヤの制動性能に優れるファルネセン重合体、該ファルネセン重合体を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
[ファルネセン重合体]
本発明のファルネセン重合体は、ファルネセン由来の単量体単位(a)(以下、単に「単量体単位(a)」とも称する)を含むファルネセン重合体であって、該ファルネセン重合体を構成する単量体単位の総量中における、単量体単位(a)の含有量が50質量%以上であり、ガラス転移温度(Tg)が−90〜−26℃である。
〔単量体単位(a)〕
単量体単位(a)は、α−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、また、下記式(I)で表されるβ−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、α−ファルネセン由来の単量体単位とβ−ファルネセン由来の単量体単位とを含むものでもよいが、製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位を含有することが好ましい。
β−ファルネセン由来の単量体単位の含有量は、製造容易性の観点から、単量体単位(a)中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%であること、すなわち単量体単位(a)のすべてがβ−ファルネセン由来の単量体単位であることが更に好ましい。
本発明のファルネセン重合体を構成する単量体単位の総量中における単量体単位(a)の含有量は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは55〜100質量%、更に好ましくは60〜100質量%の範囲である。
〔単量体単位(b)〕
本発明のファルネセン重合体は、ファルネセン由来の単量体単位(a)とファルネセン以外の他の単量体に由来する単量体単位(b)(以下、単に「単量体単位(b)」とも称する)の共重合体であってもよい。
かかる単量体単位(b)を形成できるファルネセン以外の他の単量体としては、ファルネセンと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば芳香族ビニル化合物、ファルネセン以外の共役ジエン化合物、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、並びにアクリロニトリル等が挙げられる。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、及びα−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン誘導体;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。これらの中でもスチレン及びその誘導体が好ましく、スチレンがより好ましい。これらの芳香族ビニル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの中でもブタジエン、イソプレン及びミルセンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル酸の誘導体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸トリプロピレングリコール、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
上記メタクリル酸の誘導体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記アクリルアミドの誘導体としては、ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩、ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
上記メタクリルアミドの誘導体としては、ジメチルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、イソプロピルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド等が挙げられる。
これら他の単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体単位(b)は、成形加工性及び制動性能の向上の観点から、ファルネセン以外の共役ジエン化合物由来の単量体単位(b1)(以下、単に「単量体単位(b1)」とも称する)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)(以下、単に「単量体単位(b2)」とも称する)から選ばれる1種以上であることが好ましく、ブタジエン、並びにスチレン及びその誘導体から選ばれる1種以上の化合物由来の単量体単位であることがより好ましく、ブタジエン及びスチレンから選ばれる1種以上の化合物由来の単量体単位が更に好ましい。
本発明のファルネセン重合体を構成する単量体単位(a)及び(b)の総量中における単量体単位(b)の含有量は、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%、より更に好ましくは15〜40質量%の範囲である。
本発明のファルネセン重合体を構成する単量体単位(a)及び(b)の総量中における単量体単位(b1)の含有量は、好ましくは3〜50質量%以下、より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%、より更に好ましくは15〜40質量%の範囲である。
本発明のファルネセン重合体を構成する単量体単位(a)及び(b)の総量中における単量体単位(b2)の含有量は、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%、より更に好ましくは15〜40質量%、より更に好ましくは15〜35質量%の範囲である。
本発明のファルネセン重合体は、成形加工性及び制動性能の向上の観点から、該ファルネセン重合体の複素粘度(η)と絶対温度(T)との関係を示す下記式(1)から求めた活性化エネルギー(E)が、30〜65kJ/molであることが好ましい。
一般に、架橋していない高分子量の重合体は熱可塑性を示し、適切な温度で流動する領域を持っており、熱分解や変性反応等が起こらない限り高温になるにしたがって粘度は低下する。粘度の温度分散挙動については下記式(1)で示されるアンドレードの式が提案されており、下記式(1)より活性化エネルギー(E)を求めることができる。
η=Aexp(−E/RT) (1)
[式(1)中、ηは複素粘度、Aは頻度因子、Eは活性化エネルギー(J/mol)、Rは気体定数〔J/(mol・K)〕、Tは絶対温度(K)を表す。]
なお、本発明における複素粘度ηは、後述する実施例に記載の方法によるものである。
一般に、活性化エネルギー(E)は、ポリマー鎖の分子構造と粘度の温度依存性との関係を表わすパラメーターであり、線状ポリマーと分岐ポリマーとを比較した場合、分岐ポリマーのほうが温度によるポリマー鎖同士の絡み合いの変化が大きいことが知られており、活性化エネルギー(E)は高くなる。例えば高密度ポリエチレン(HDPE)の場合には、活性化エネルギーは約27kJ/molであるのに対し、低密度ポリエチレン(LDPE)では約56kJ/molであることが知られている。
活性化エネルギー(E)が30kJ/mol以上であると、例えば100℃における粘度に対する150℃における粘度の比〔η(150℃)/η(100℃)〕が1/3以下となり、高温化による良好な粘度低減効果が発現する。一方、活性化エネルギーが65kJ/mol以下であると、例えば100℃における粘度に対する150℃における粘度の比〔η(150℃)/η(100℃)〕は1/10以上となるため、加工安定性の観点から好ましい。
したがって、活性化エネルギー(E)は、粘度低減化の観点から、好ましくは32kJ/mol以上、より好ましくは35kJ/mol以上であり、そして、加工安定性の観点から、好ましくは60kJ/mol以下、より好ましくは50kJ/mol以下、より更に好ましくは40kJ/mol以下である。
ファルネセンは、側鎖を有する共役ジエン化合物の単量体である。そのため、ファルネセン重合体を構成する単量体単位の総量中におけるファルネセン由来の単量体(a)の含有量が、50質量%以上であると、適度な分岐構造をファルネセン重合体に導入することができ、活性化エネルギーを適正な値とすることができる。さらにファルネセン由来の単量体単位(a)の含有量を上記の範囲内とすることで、分岐構造によりポリマー鎖の絡み合いが抑制され、流動性の高い重合体を得ることができ、成形加工性向上の効果を得ることができる。
本発明のファルネセン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50〜300万、より好ましくは70〜200万、更に好ましくは80〜150万、より更に好ましくは85〜120万である。重量平均分子量(Mw)が上記の範囲内であると、優れた機械強度、並びに流動性及び成形加工性を得ることができる。
本発明のファルネセン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜8.0であり、より好ましくは1.0〜5.0であり、更に好ましくは1.0〜3.0である。Mw/Mnが上記の範囲内であると、ファルネセン重合体の粘度のばらつきが小さくなる。
本発明における重量平均分子量及び分子量分布は、後述する実施例に記載の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算によるものである。
本発明のファルネセン重合体の示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、結合様式(ミクロ構造)やファルネセン由来の単量体単位(a)及び必要に応じて用いられるファルネセン以外の他の単量体単位(b)の含有量によっても変化するが、−90〜−26℃であり、好ましくは−80〜−26℃であり、より好ましくは−75〜−30℃、更に好ましくは−70〜−35℃、より更に好ましくは−65〜−40℃である。上記の範囲内であると、柔軟な重合体が得られ、成形加工性及び制動性能が向上する。
本発明におけるガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法によるものである。
[ファルネセン重合体の製造方法]
本発明のファルネセン重合体は、ファルネセンを含有する単量体(X)を、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法又は国際公開第2010/027463号、国際公開第2010/027464号に記載の方法等により製造することができる。これらの中でも、乳化重合法又は溶液重合法が好ましく、溶液重合法がより好ましい。
本発明の製造方法に用いる単量体(X)に含まれるファルネセンは、α−ファルネセンであってもよく、また、前記式(I)で表されるβ−ファルネセンであってもよく、α−ファルネセンとβ−ファルネセンとを混合して用いてもよい。本発明の製造方法に用いるファルネセンは、製造容易性の観点から、β−ファルネセンを含有することが好ましく、該ファルネセン全量中のβ−ファルネセンの含有量は、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%が更に好ましい。
本発明の製造方法に用いる単量体(X)中のファルネセンの含有量は、50〜100質量%の範囲が好ましく、55〜100質量%の範囲がより好ましく、60〜100質量%の範囲が更に好ましい。
単量体(X)は、さらにファルネセン以外の他の単量体を含有してもよい。かかる他の単量体としては、前述した単量体単位(b)を形成できる単量体が挙げられる。
本発明の製造方法に用いる単量体(X)中の他の単量体の含有量は、3質量〜50質量%の範囲が好ましく、5〜45質量%の範囲がより好ましく、10〜40質量%の範囲が更に好ましく、15〜40質量%の範囲がより更に好ましい。
(乳化重合法)
本発明の製造方法として用いる乳化重合法は、公知の方法を適用できる。例えば、所定量のファルネセンを含む単量体(X)を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られる重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合の重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃、好ましくは0〜60℃の範囲である。重合様式は連続式あるいは回分式のいずれでもよい。
重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、ファルネセン重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによってファルネセン重合体を回収する。次いで水洗及び脱水後、乾燥することで、本発明のファルネセン重合体が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展の重合体として回収してもよい。
(溶液重合法)
本発明の製造方法として用いる溶液重合法は、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、ファルネセンを含む単量体(X)を重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。これらの中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。アルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物が更に好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これらの中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は要求されるファルネセン重合体の分子量によって適宜決められるが、単量体(X)100質量部に対して0.002〜0.03質量部が好ましい。
有機アルカリ金属化合物はまた、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
極性化合物は、アニオン重合において反応を失活させず、ファルネセン由来部分又はファルネセン以外の他の共役ジエン化合物由来部分のミクロ構造やランダム構造を制御するために用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;ピリジン;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の第3級アミン;カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1,000モル等量の範囲で使用される。
溶液重合の重合温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。
本発明のファルネセン重合体が、共重合体である場合には、重合系中のファルネセン及びファルネセン以外の他の単量体の組成比が特定の範囲になるように、反応液中にファルネセン及びファルネセン以外の他の単量体を連続的あるいは断続的に供給してもよい。また、予め特定の組成比に調整したファルネセン及びファルネセン以外の他の単量体の混合物を供給することで、ランダム共重合体を製造することができる。さらに、反応液中でファルネセン及びファルネセン以外の他の単量体を特定の組成比となるように順次重合することで、ブロック共重合体を製造することができる。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで共重合体を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより共重合体を単離できる。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、前記ファルネセン重合体を含むゴム成分(A)、及びフィラー(B)を含有するゴム組成物であって、ゴム成分(A)総量中における前記ファルネセン重合体の含有量が5〜50質量%であり、ゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有する。
<ゴム成分(A)>
本発明において、ゴム成分(A)は、前記ファルネセン重合体を含み、ゴム成分(A)総量中におけるファルネセン重合体の含有量が5〜50質量%である。これにより成形加工性及び制動性能が向上する。
前記ファルネセン重合体のゴム成分(A)総量中における含有量は、成形加工性及び制動性能を向上させる観点から、5〜50質量%であり、好ましくは10〜45質量%、より好ましくは20〜40質量%である。
ゴム成分(A)に含まれる前記ファルネセン重合体以外の他のゴム成分としては、例えば天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」とも称する)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、及びクロロプレンゴム等の合成ゴムが挙げられる。これらの中でも、成形加工性及び制動性能を向上させる観点から、天然ゴム;SBR、ブタジエンゴム、及びイソプレンゴム等の合成ゴムから選ばれる1種以上が好ましい。これらのゴムは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ファルネセン重合体以外の他のゴム成分の含有量は、成形加工性、得られるタイヤの機械強度及び制動性能を向上させる観点から、ゴム成分(A)総量中、50〜95質量%であり、好ましくは55〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%である。
〔天然ゴム〕
ゴム成分(A)として用いる天然ゴムは、例えばSMR、SIR、STR等のTSRやRSS等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等が挙げられる。これらの中でも、品質のばらつきが少ない点及び入手容易性の点から、SMR20、STR20やRSS#3が好ましい。これら天然ゴムは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の天然ゴムを混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、またその組み合わせによって、物性値を調整できる。
〔合成ゴム〕
ゴム成分(A)として用いる合成ゴムは、SBR、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、及びクロロプレンゴムから選ばれる1種以上が好ましく、SBR、イソプレンゴム、及びブタジエンゴムから選ばれる1種以上がより好ましい。2種以上の合成ゴムを混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、その組み合わせによって、物性値を調整できる。また、これらの製造方法は特に限定されず、市販されているものを使用できる。
(SBR)
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含有量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましい。また、ビニル含有量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、10万〜250万であることが好ましく、15万〜200万であることがより好ましく、20万〜150万であることが更に好ましい。上記の範囲内である場合、成形加工性と得られるタイヤの機械強度とを両立することができる。
本発明において使用するSBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−95〜0℃であり、より好ましくは−95〜−5℃である。Tgが上記の範囲内であると、ゴム組成物の高粘度化を抑制することができ、取り扱いが容易になる。
本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
乳化重合スチレンブタジエンゴム(以下、「E−SBR」とも称する)は、通常の乳化重合法により製造でき、例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合することにより得られる。また、得られるE−SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら共重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって共重合体をクラムとして回収できる。該クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E−SBRが得られる。
溶液重合スチレンブタジエンゴム(以下、「S−SBR」とも称する)は、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合することにより製造できる。アニオン重合可能な活性金属としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましく、有機アルカリ金属化合物が更に好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これらの中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
溶媒としては、例えばn−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は通常、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
極性化合物としては、アニオン重合において反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の第3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して反応を停止できる。重合停止剤を添加する前に重合末端変性剤を添加してもよい。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
本発明においては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、及びカルボキシル基等が挙げられる。この変性SBRにおいて、重合体中の官能基が導入される位置については重合体末端であってもよく、重合体の側鎖であってもよい。
(イソプレンゴム)
イソプレンゴムとしては、例えばチーグラー系触媒、ランタノイド系希土類金属触媒、有機アルカリ金属化合物等を用いて重合して得られる市販のイソプレンゴムを用いることができる。これらの中でも、シス体含量が高い観点から、チーグラー系触媒を用いて重合して得られるイソプレンゴムが好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
イソプレンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%以下であると転がり抵抗性能が良好になる。ビニル含量の下限は特に限定されない。
イソプレンゴムのガラス転移温度(Tg)はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
イソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は、9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましい。重量平均分子量が上記の範囲内にある場合、成形加工性と得られるタイヤの機械強度が良好となる。
上記イソプレンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
(ブタジエンゴム)
ブタジエンゴムとしては、例えばチーグラー系触媒、ランタノイド系希土類金属触媒、有機アルカリ金属化合物等を用いて重合して得られる市販のブタジエンゴムを用いることができる。これらの中でも、シス体含量が高い観点から、チーグラー系触媒を用いて重合して得られるブタジエンゴムが好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%以下であると転がり抵抗性能が良好になる。ビニル含量の下限は特に限定されない。
ブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)は、ビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましく、25万〜80万であることが更に好ましい。重量平均分子量が上記範囲にある場合、成形加工性と得られるタイヤの機械強度が良好となる。
上記ブタジエンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
<フィラー(B)>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有する。フィラー(B)を用いることにより、機械強度、耐熱性、耐候性等の物性が改善され、硬度の調整、ゴム組成物の増量をすることができる。
本発明で用いるフィラー(B)としては、シリカ、酸化チタン等の酸化物;クレー、タルク、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン等のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;カーボンブラック、炭素繊維等の炭素類等の無機フィラー、樹脂粒子、木粉、コルク粉等の有機フィラー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
フィラー(B)のゴム組成物中の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対するフィラー(B)の含有量は、20〜150質量部であり、25〜130質量部が好ましく、30〜110質量部がより好ましい。フィラー(B)の含有量が上記の範囲であると、成形加工性、制動性能、機械強度、及び耐磨耗性が向上する。
フィラー(B)は、成形加工性、制動性能、機械強度、及び耐摩耗性の向上の観点から、無機フィラーが好ましく、カーボンブラック(B−1)及びシリカ(B−2)から選ばれる1種以上が好ましく、カーボンブラック(B−1)とシリカ(B−2)との併用がより好ましい。
〔カーボンブラック(B−1)〕
カーボンブラック(B−1)としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。これらの中でも、ゴム組成物の加硫速度やその加硫物の機械強度を向上させる観点から、ファーネスブラックが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイアブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」等が挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」が挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ECP600JD」が挙げられる。
カーボンブラック(B−1)は、ゴム成分(A)への濡れ性や分散性を向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000〜3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B、B、B、B等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、BC、BC等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
カーボンブラック(B−1)は、粉砕等により平均粒径を調整できる。カーボンブラック(B−1)の粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
カーボンブラック(B−1)の平均粒径は、カーボンブラックの分散性、タイヤの耐摩耗性及び機械強度の向上の観点から、5〜100nmが好ましく、5〜80nmがより好ましく、10〜70nmが更に好ましい。
なお、カーボンブラック(B−1)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
〔シリカ(B−2)〕
シリカ(B−2)としては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、成形加工性、制動性能、機械強度、及び耐摩耗性の向上の観点から、湿式法シリカが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカ(B−2)の平均粒径は、成形加工性、制動性能、機械強度、及び耐摩耗性の向上の観点から、0.5〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましく、10〜60nmがより更に好ましい。
なお、シリカ(B−2)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
本発明のゴム組成物において、カーボンブラック(B−1)及びシリカ(B−2)を併用する場合、それぞれの成分の配合比は特に制限はなく、所望の性能に合わせて適宜選択することができる。
<任意成分>
(シランカップリング剤)
本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物及びクロロ系化合物等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。
メルカプト系化合物としては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン及び2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系化合物としては、例えばビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、及び3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えばγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、及び3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、及び2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、添加効果が大きい観点及びコストの観点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
前記シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ(B−2)100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記の範囲内であると、分散性、カップリング効果、補強性、及びタイヤの耐摩耗性が向上する。
(カーボンブラック(B−1)及びシリカ(B−2)以外のフィラー)
本発明のゴム組成物は、機械強度の向上、耐熱性や耐候性等の物性の改良、硬度調整、増量剤を含有させることによる経済性の改善等を目的として、必要に応じてカーボンブラック(B−1)及びシリカ(B−2)以外のフィラーを更に含有していてもよい。
本発明のゴム組成物がカーボンブラック(B−1)及びシリカ(B−2)以外のフィラーを含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜120質量部が好ましく、5〜90質量部がより好ましく、10〜80質量部が更に好ましい。前記フィラーの含有量が前記範囲内であると、加硫物の機械強度がより一層向上する。
(架橋剤)
本発明のゴム組成物は、架橋剤を添加して架橋(加硫)させて用いることが好ましい。架橋剤としては、例えば硫黄及び硫黄化合物、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂及びアミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、シランカップリング剤以外のシラン化合物等が挙げられる。これらの中でも硫黄及び硫黄化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤の含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましく、0.8〜5質量部が更に好ましい。
前記架橋剤の中でも、硫黄及び硫黄化合物を用いると、本発明のゴム組成物を加硫させ、加硫ゴムとして利用することもできる。加硫の条件、方法に特に制限はないが、加硫金型を用いて加硫温度120〜200℃及び加硫圧力0.5〜2.0MPaの加圧加熱条件で行うことが好ましい。
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物又はアルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、さらに加硫助剤を含有してもよい。加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸;亜鉛華等の金属酸化物;ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫助剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
(その他の成分)
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、成形加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、及びナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン共重合体、及び低分子量スチレンイソプレン共重合体等の液状重合体を軟化剤として適宜使用することができる。なお、上記共重合体はブロック又はランダム等のいずれの重合形態であってもよい。液状重合体の重量平均分子量は500〜10万であることが成形加工性の観点から好ましい。
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、及び香料等の添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、及びヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えばアミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
(ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、前記各成分を均一に混合すればよい。均一に混合する方法としては、例えばニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式もしくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、ローラー等が挙げられ、通常70〜270℃の温度範囲で行うことができる。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤである。そのため、機械強度、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、アイスグリップ性能等の制動性能が良好である。本発明のゴム組成物は、タイヤの各種部材に使用することができるが、特に乗用車用、トラックバス用、自動二輪車、産業車両用のタイヤトレッドとして好適に使用することができる。
なお、本発明のタイヤには、本発明のゴム組成物を架橋した架橋物を用いてもよい。本発明のゴム組成物あるいは本発明のゴム組成物からなる架橋物を用いたタイヤは、長期間使用した場合でも機械強度、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、アイスグリップ性能等の制動性能等の特性を維持することができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した各成分は以下の通りである。
<ゴム成分(A)>
・天然ゴム:STR20(タイ産)
・スチレンブタジエンゴム(SBR):JSR1500(JSR株式会社製)
重量平均分子量45万、スチレン含有量23.5質量%
<フィラー(B)>
〔カーボンブラック(B−1)〕
・ダイアブラックI(三菱化学株式会社製) 平均粒径20nm
〔シリカ(B−2)〕
・ULTRASIL7000GR(エボニック デグサ ジャパン株式会社製) 湿式シリカ、平均粒径14nm
<任意成分>
(シランカップリング剤)
・Si75(エボニック デグサ ジャパン株式会社製)
(架橋剤)
・硫黄:微粉硫黄200メッシュ(鶴見化学工業株式会社製)
(加硫促進剤)
・加硫促進剤(1):ノクセラーNS−P(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫促進剤(2):ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫促進剤(3):ノクセラーD(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫促進剤(3):ノクセラーTBT−N(大内新興化学工業株式会社製)
(加硫助剤)
・ステアリン酸:ルナックS−20(花王株式会社製)
・亜鉛華 :酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
(その他の成分)
・老化防止剤(1):ノクラック6C(大内新興化学工業株式会社製)
・老化防止剤(2):アンテージRD(川口化学工業株式会社製)
・TDAE :VivaTec500(H&R社製)
・ワックス :サンタイトS(精工化学株式会社製)
(ファルネセン重合体の製造)
実施例1−1
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン2560g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)0.8gを仕込み、50℃に昇温した後、予め調製した640gのβ−ファルネセンを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水2Lを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、ファルネセン重合体A−1を製造した。
実施例1−2
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン2520g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)0.6gを仕込み、50℃に昇温した後、2.8gのテトラヒドロフランを仕込み、更に予め調製した168gのβ−ファルネセンと112gのブタジエンの混合液を10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水2Lを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、ファルネセン重合体A−2を製造した。
実施例1−3
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン2400g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)1.0gを仕込み、50℃に昇温した後、2.8gのテトラヒドロフランを仕込み、更に予め調製した240gのβ−ファルネセンと160gのスチレンの混合液を10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水2Lを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、ファルネセン重合体A−3を製造した。
実施例1−4
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン2600g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)0.6gを仕込み、50℃に昇温した後、3.0gのテトラヒドロフランを仕込み、更に予め調製した308gのβ−ファルネセンと92gのスチレンの混合液を10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水2Lを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、ファルネセン重合体A−4を製造した。
比較例1−1
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン2600g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)1.0gを仕込み、50℃に昇温した後、予め調製した80gのβ−ファルネセンと320gのブタジエンの混合液を10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水2Lを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、ファルネセン重合体AX−1を製造した。
比較例1−2
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン2600g、重合開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)0.7gを仕込み、50℃に昇温した後、0.04gのテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を仕込み、更に予め調製した80gのβ−ファルネセンと228gのブタジエンと92gのスチレンの混合液を10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノール0.1gを添加して重合を停止した後、水2Lを用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間減圧乾燥することにより、ファルネセン重合体AX−2を製造した。
実施例1−1〜1−4及び比較例1−1〜1−2で得られたファルネセン重合体A−1〜A−4及びAX−1〜AX−2を用いて、以下に示す方法に従って評価を行った。結果を表2に示す。
(重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布)
東ソー株式会社製「HLC−8320」を使用し、サンプル/テトラヒドロフラン=5mg/10mLの濃度で調整し、測定した。なお、展開溶液としては和光純薬工業株式会社製テトラヒドロフランを使用した。
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8320」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelSuperHZM−M」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.7ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
(ガラス転移温度)
ファルネセン重合体10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
(ムーニー粘度)
JIS K6300に準拠し、ファルネセン重合体の100℃におけるムーニー粘度(予備加熱1分後、回転開始4分後)を測定した。
(活性化エネルギー)
活性化エネルギー(E)は、温度100℃、130℃、150℃における複素粘度ηを測定し、各絶対温度の逆数(1/T)に対して複素粘度ηの自然対数をプロットし、該プロットの傾きから下記式(1)で示されるアンドレードの式より活性化エネルギー(E)を求めた。
なお、ファルネセン重合体の複素粘度η(Pa・s)は、レオメトリック・サイエンティフィック社製の回転式粘弾性装置(RDAIII)により、直径13φのパラレルプレートを使用し、周波数5Hz、歪み2%で測定した。
η=Aexp(−E/RT) (1)
[式(1)中、ηは複素粘度、Aは頻度因子、Eは活性化エネルギー(J/mol)、Rは気体定数〔J/(mol・K)〕、Tは絶対温度(K)を表す。]
表2より、実施例1−1〜1−4は、比較例1−1及び1−2と比較して、ムーニー粘度が小さく、高い流動性を有し、成形加工性に優れていることが分かる。
実施例2−1〜2―2及び比較例2−1
表3に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)、フィラー(B)、シランカップリング剤、加硫助剤、老化防止剤(1)及び(2)を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、架橋剤(硫黄)及び加硫促進剤(1)を加えて60℃で6分間混練することでゴム組成物を得た。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、30〜35分)して架橋物(加硫ゴム)のシート(厚み2mm)(加硫シート)を作製し、下記の方法に基づき、ムーニー粘度及びウェットグリップ性能を評価した。結果を表3に示す。
実施例2−3〜2―4及び比較例2−2〜2−3
表4に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(A)、フィラー(B)、シランカップリング剤、加硫助剤、老化防止剤(1)、TDAE、及びワックスを、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、架橋剤(硫黄)及び加硫促進剤(1)〜(3)を加えて60℃で6分間混練することでゴム組成物を得た。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(160℃、35〜40分)して架橋物(加硫ゴム)のシート(厚み2mm)(加硫シート)を作製し、下記の方法に基づき、ムーニー粘度及びアイスグリップ性能を評価した。結果を表4に示す。
なお、ゴム組成物の各評価の測定方法は以下のとおりである。
(ムーニー粘度)
ゴム組成物の成形加工性の指標として、JIS K6300に準拠し、実施例2−1〜2−4及び比較例2−1〜2−3で得られたゴム組成物の130℃におけるムーニー粘度(予備加熱1分後、回転開始4分後)を測定した。
表3及び4において、実施例2−1〜2−4の数値は、比較例2−1又は2−2の値を100とした際の相対値であり、数値が小さいほど成形加工性が良好であることを示す。
(ウェットグリップ性能)
タイヤの制動性能の指標として、ウェットグリップ性能を評価した。
実施例2−1〜2−2及び比較例2−1で作製した加硫シートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度0℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、ウェットグリップ性能を評価した。
表3において、実施例2−1及び2−2の数値は、比較例2−1の値を100とした際の相対値であり、この数値が大きいほどウェットグリップ性能が良好であることを示す。
(アイスグリップ性能)
タイヤの制動性能の指標として、アイスグリップ性能を評価した。
実施例2−3〜2−4及び比較例2−2〜2−3で作製した加硫シートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度−20℃、周波数10Hz、静的歪み0.5%、動的歪み0.1%の条件で貯蔵弾性率(E’)を測定し、E’の逆数(1/E’)をアイスグリップ性能として評価した。
表4において、実施例2−3〜2−4及び比較例2−3の数値は、比較例2−2の値を100とした際の相対値であり、この数値が小さいほどアイスグリップ性能が良好であることを示す。
表3より、実施例2−1〜2−2のゴム組成物は、比較例2−1に比べてムーニー粘度が小さく、ウェットグリップ性能に優れていることから、優れた成形加工性と制動性能との両立が達成されていることが分かる。
表4より、実施例2−3〜2−4のゴム組成物は、比較例2−2〜2−3に比べてムーニー粘度が小さく、アイスグリップ性能に優れていることから、優れた成形加工性と制動性能との両立が達成されていることが分かる。
本発明のファルネセン重合体は、高い流動性を有し、成形加工性に優れており、該ファルネセン重合体を含むゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤは、制動性能に優れているため、タイヤ等のゴム組成物に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. ファルネセン由来の単量体単位(a)を含むファルネセン重合体であって、該ファルネセン重合体を構成する単量体単位の総量中における、単量体単位(a)の含有量が50質量%以上であり、ガラス転移温度(Tg)が−90〜−26℃である、ファルネセン重合体。
  2. ゲル浸透クロマトグラフィーで求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が50万〜300万である、請求項1に記載のファルネセン重合体。
  3. 前記ファルネセン重合体が、ファルネセン由来の単量体単位(a)とファルネセン以外の他の単量体に由来する単量体単位(b)の共重合体である、請求項1又は2に記載のファルネセン重合体。
  4. 単量体単位(b)が、ファルネセン以外の共役ジエン化合物由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)から選ばれる1種以上である、請求項3に記載のファルネセン重合体。
  5. 単量体単位(a)が、β−ファルネセン由来の単量体単位である、請求項1〜4のいずれかに記載のファルネセン重合体。
  6. 前記ファルネセン重合体の複素粘度(η)と絶対温度(T)との関係を示す下記式(1)から求めた活性化エネルギー(E)が、30〜65kJ/molである、請求項1〜5のいずれかに記載のファルネセン重合体。
    η=Aexp(−E/RT) (1)
    [式(1)中、ηは複素粘度、Aは頻度因子、Eは活性化エネルギー(J/mol)、Rは気体定数〔J/(mol・K)〕、Tは絶対温度(K)を表す。]
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のファルネセン重合体を含むゴム成分(A)、及びフィラー(B)を含有するゴム組成物であって、ゴム成分(A)総量中における前記ファルネセン重合体の含有量が5〜50質量%であり、ゴム成分(A)100質量部に対し、フィラー(B)を20〜150質量部含有する、ゴム組成物。
  8. 請求項7に記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
JP2015131237A 2015-06-30 2015-06-30 ファルネセン重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ Active JP6478407B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015131237A JP6478407B2 (ja) 2015-06-30 2015-06-30 ファルネセン重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015131237A JP6478407B2 (ja) 2015-06-30 2015-06-30 ファルネセン重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017014365A true JP2017014365A (ja) 2017-01-19
JP6478407B2 JP6478407B2 (ja) 2019-03-06

Family

ID=57829780

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015131237A Active JP6478407B2 (ja) 2015-06-30 2015-06-30 ファルネセン重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6478407B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111886269A (zh) * 2018-03-29 2020-11-03 株式会社可乐丽 嵌段共聚物及其制造方法、使用了该嵌段共聚物的橡胶组合物和轮胎
WO2022025008A1 (ja) * 2020-07-28 2022-02-03 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
WO2023000097A1 (en) * 2021-07-21 2023-01-26 ARLANXEO Canada Inc. Branched poly(isobutylene-co-paramethylstyrene) polymers

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012502135A (ja) * 2008-09-04 2012-01-26 アムイリス ビオテクフノロジエス,インコーポレイテッド ポリファルネセンを含む接着剤組成物
JP2014218631A (ja) * 2013-05-10 2014-11-20 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物及び空気入りタイヤ
WO2015037420A1 (ja) * 2013-09-10 2015-03-19 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012502135A (ja) * 2008-09-04 2012-01-26 アムイリス ビオテクフノロジエス,インコーポレイテッド ポリファルネセンを含む接着剤組成物
JP2014218631A (ja) * 2013-05-10 2014-11-20 住友ゴム工業株式会社 ゴム組成物及び空気入りタイヤ
WO2015037420A1 (ja) * 2013-09-10 2015-03-19 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111886269A (zh) * 2018-03-29 2020-11-03 株式会社可乐丽 嵌段共聚物及其制造方法、使用了该嵌段共聚物的橡胶组合物和轮胎
CN111886269B (zh) * 2018-03-29 2023-11-17 株式会社可乐丽 嵌段共聚物及其制造方法、使用了该嵌段共聚物的橡胶组合物和轮胎
WO2022025008A1 (ja) * 2020-07-28 2022-02-03 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
WO2023000097A1 (en) * 2021-07-21 2023-01-26 ARLANXEO Canada Inc. Branched poly(isobutylene-co-paramethylstyrene) polymers

Also Published As

Publication number Publication date
JP6478407B2 (ja) 2019-03-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6435015B2 (ja) タイヤ
JP6435013B2 (ja) タイヤ
JP5400989B1 (ja) 共重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP5314812B1 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP6457932B2 (ja) 加硫ゴム及びタイヤ
JP6243767B2 (ja) ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ
CN111886269B (zh) 嵌段共聚物及其制造方法、使用了该嵌段共聚物的橡胶组合物和轮胎
JP2017214493A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2017048336A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP6578162B2 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP6478407B2 (ja) ファルネセン重合体、それを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP6733873B2 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2015074699A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP6262487B2 (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2018048349A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2015105276A (ja) ゴム組成物及びタイヤ
JP2018131502A (ja) 乗用車用サマータイヤのトレッド用ゴム組成物
JP2018131501A (ja) 高グリップタイヤトレッド用ゴム組成物
JP2018131498A (ja) タイヤトレッド用ゴム組成物
JP2018131499A (ja) 重荷重タイヤのトレッド用ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171115

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6478407

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250