JP2017013286A - シャープペンシル - Google Patents

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Abstract

【課題】筆記芯の折損を確実に回避することができると共に、筆記感が滑らかなシャープペンシルを提供すること。
【解決手段】本発明は、軸筒と、撓み変形可能あるいは軸筒に対して傾動可能なグリップ部と、芯繰出ユニットと、口金と、芯繰出ユニットと口金または軸筒との間に圧縮状態で配置された伸縮可能な弾性体と、を備え、芯繰出ユニットは前方領域の外周面に被押圧部を有し、グリップ部は前方領域に押圧部を有し、被押圧部と押圧部との少なくとも一方は軸方向後方に向かって次第に大径となるテーパ面であり、グリップ部が撓み変形あるいは軸筒に対して傾動する前においては、押圧部と被押圧部とが互いに当接しており、グリップ部が撓み変形あるいは軸筒に対して傾動する際には、押圧部が被押圧部を軸筒に対して軸方向後方に相対移動させるようになっていることを特徴とするシャープペンシルである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ノック操作等により筆記芯を所定量だけ口金部の先端から繰り出すことにより筆記が可能なシャープペンシルに関する。
従来より、シャープペンシルを用いて筆記を行う際に筆記芯に高い筆圧が加えられると、口金部の先端から露出された筆記芯が容易に折損してしまう、という問題があった。筆記芯の折損は、筆圧が一定であれば、シャープペンシルの軸筒の軸方向と紙面とのなす角度が小さくなるほど(軸筒を寝かせるほど)、あるいは、口金の先端から露出される筆記芯の長さが長くなるほど、顕著である。
このような問題に対し、非特許文献1には、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に、筆圧の軸方向の成分と筆圧の当該軸方向に垂直な成分とをそれぞれ異なる機構により吸収して筆記芯の折損を低減させる、というシャープペンシルが記載されている。
具体的には、非特許文献1のシャープペンシルは、口金が弾性体(コイルバネ)を介して軸筒に支持されており、当該口金は、軸方向後方に向かって次第に小径となるテーパ面を有している。また、軸筒には、テーパ面を軸方向前方に押圧する押圧部が形成されている。このような構成により、筆圧の軸方向に垂直な成分に起因して、口金のテーパ面が軸筒の押圧部によって軸方向前方に押圧されて、軸筒の先端から口金が前方にスライドする(飛び出す)。これにより、口金の先端から露出される筆記芯の長さが減少されるようになっている
更に、非特許文献1のシャープペンシルは、筆記芯を繰り出す芯繰出ユニットが、弾性体(コイルバネ)によって軸方向前方(軸方向における口金の先端方向)に付勢された状態で、軸方向に相対移動可能に軸筒に支持されている。そして、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動することによって、筆圧の軸方向の成分が吸収される。この結果、口金の先端から露出される筆記芯の長さが一層減少されて、筆記芯の折損が低減されるようになっている。
ゼブラ株式会社公式サイト インターネット〈URL:http://www.zebra.co.jp/pro/del_guard/〉
非特許文献1に記載されているシャープペンシルでは、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に、軸筒に対して口金が前方にスライドできる最大の長さ(ストローク)に亘って当該口金が一気にスライドする(飛び出す)ようになっている。
これに対して、本件発明者は、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に、口金に対して筆記芯が後方にスライドする構成を開発し、そのような構成の方が筆記感が滑らかであると感じる使用者が多いことを確認した。
本発明は、以上のような知見に基づいており、その目的は、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に当該筆記芯の折損を確実に回避することができると共に、筆記感が滑らかなシャープペンシルを提供することである。
本発明は、軸筒と、前記軸筒の前方領域に取り付けられた、撓み変形可能あるいは当該軸筒に対して傾動可能なグリップ部と、前記軸筒内に支持された、筆記芯を繰り出すための芯繰出ユニットと、内部に筆記芯の通路を有し前記軸筒に固定された口金と、前記芯繰出ユニットの前端領域の外周面に設けられた張出部と、前記口金または前記軸筒の前記張出部よりも軸方向後方の内周面に設けられた突出部と、前記張出部と前記突出部との間に圧縮状態で配置された伸縮可能な弾性体と、を備え、前記芯繰出ユニットは、前方領域の外周面に被押圧部を有しており、前記グリップ部は、前方領域に押圧部を有しており、前記被押圧部と前記押圧部との少なくとも一方は、軸方向後方に向かって次第に大径となるテーパ面であり、前記グリップ部が撓み変形あるいは前記軸筒に対して傾動する前においては、前記押圧部と前記被押圧部とが互いに当接しており、前記グリップ部が撓み変形あるいは前記軸筒に対して傾動する際には、前記押圧部が前記被押圧部を前記軸筒に対して軸方向後方に相対移動させるようになっていることを特徴とするシャープペンシルである。
本発明によれば、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に、筆圧の軸方向に垂直な成分によってグリップ部が撓み変形あるいは軸筒に対して傾動し、当該グリップ部の押圧部が芯繰出ユニットの被押圧部を弾性体の付勢力に対抗して軸筒に対して軸方向後方に相対移動させるため、口金の先端から露出される筆記芯の長さが減少される。更に、筆圧の軸方向の成分によって、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動されるため、口金の先端から露出される筆記芯の長さが一層減少される。これらのことにより、筆記芯に高い筆圧が加えられた際の筆記芯の折損を確実に回避することができる。また、この時、口金が軸筒に対して軸方向前方に相対移動される(飛び出す)のではなく、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動されることによって、当該口金から露出される筆記芯の長さが減少される。このことにより、筆記感が滑らかなシャープペンシルを提供することができる。
好ましくは、前記グリップ部の前記押圧部が前記テーパ面であり、当該テーパ面は、前記軸筒の軸方向に対して20°〜60°の間のいずれかの角度を有しており、前記弾性体は、コイルバネであり、前記コイルバネによる付勢力に対抗して前記被押圧部を前記軸筒に対して軸方向後方に相対移動させるために必要な荷重は、0.5N〜8Nの間のいずれかの値である。
この場合、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に確実に相対移動され得るため、筆記芯の折損が確実に回避される。一方、筆記芯に適正な筆圧が加えられている際に、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に実質的に相対移動されないため、書き味を損ねることが無い。
また、好ましくは、前記芯繰出ユニットは、前記軸筒の内部で当該軸筒の軸方向に延在する芯パイプと、前記芯パイプの前端部に固定され外周面に突部が形成されたコネクタと、前記コネクタの前端部に固定されたチャックと、前記チャックの前方領域に外嵌された締めリングと、前記コネクタを軸方向後方に付勢するリターンスプリングと、前記軸筒と前記芯パイプとの間に形成された空間部において当該芯パイプの外周に遊嵌するように配設された重量体と、を有しており、前記重量体は、前記軸筒が前後に振られた際に前記空間部の内部を前後動して、前方において前記コネクタの前記突部に当接するようになっている。
この場合、軸筒を前後に振ることにより重量体の慣性力によってチャックが軸方向に前進させられるため、ノック操作を行うことなく迅速に筆記芯を繰り出すことができる。
本発明によれば、筆記芯に高い筆圧が加えられた際に、筆圧の軸方向に垂直な成分によってグリップ部が撓み変形あるいは軸筒に対して傾動し、当該グリップ部の押圧部が芯繰出ユニットの被押圧部を弾性体の付勢力に対抗して軸筒に対して軸方向後方に相対移動させるため、口金の先端から露出される筆記芯の長さが減少される。更に、筆圧の軸方向の成分によって、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動されるため、口金の先端から露出される筆記芯の長さが一層減少される。これらのことにより、筆記芯に高い筆圧が加えられた際の筆記芯の折損を確実に回避することができる。また、この時、口金が軸筒に対して軸方向前方に相対移動される(飛び出す)のではなく、筆記芯を含む芯繰出ユニットが軸筒に対して軸方向後方に相対移動されることによって、当該口金から露出される筆記芯の長さが減少される。このことにより、筆記感が滑らかなシャープペンシルを提供することができる。
本発明の一実施の形態のシャープペンシルの概略縦断面図である。 筆記芯に筆圧が加えられていない場合の、図1のシャープペンシルの前方領域の概略縦断面図である。 筆記芯に軸方向に垂直な筆圧が加えられている場合の、図1のシャープペンシルの前方領域の概略縦断面図である。 筆記芯に軸方向の筆圧が加えられている場合の、図1のシャープペンシルの前方領域の概略縦断面図である。
以下に、添付の図面を参照して本発明の一実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態のシャープペンシル100の概略縦断面図であり、図2は、筆記芯70に筆圧が加えられていない場合の、図1のシャープペンシル100の前方領域の概略縦断面図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態のシャープペンシル100は、ポリカーボネート製の軸筒20と、当該軸筒20の前方領域に取り付けられた、撓み変形可能なグリップ部30と、軸筒10内に支持された、筆記芯70を繰り出すための芯繰出ユニット40と、内部に筆記芯70の通路を有し軸筒20の前端領域に固定(螺着)された黄銅製の口金52と、を備えている。本実施の形態の口金52は、軸筒20に固定された状態で、芯繰出ユニット40の前端領域に固定されたポリアセタール樹脂製の筒状のベース部材51の前方領域の周囲を軸方向に相対移動可能に取り囲んでおり、当該ベース部材51と共に口金ユニット50を構成している。
本実施の形態のグリップ部30は、ヤング率が1.5GPaの材料から構成されている。このグリップ部30は、後方領域が軸筒20内に固定(螺着)された筒状のガイド部材21に外嵌されて固定されている。具体的には、ガイド部材21は、軸方向前方(図1及び図2における左方)の小径部21aと、外周面に雄ねじ部が設けられた軸方向後方(図1及び図2における右方)の大径部21bと、により構成されている。また、軸筒20は、前方領域の内周面に、雌ねじ部を有している。そして、大径部21bの雄ねじ部が雌ねじ部に螺着されることによって、軸筒20に対してガイド部材21が固定されている。更に、小径部21aの後方領域の外周面に、グリップ部30の後方領域の内周面が固定されている。
また、本実施の形態では、ガイド部材21の小径部21aは、軸方向後方から軸方向前方に向かって外径が次第に小さくなっていて、小径部21aの外周面とグリップ部30の内周面との間に隙間が形成されている。このことにより、グリップ部30の適度な撓み変形が許容されている。
本実施の形態の小径部21aは、前方領域に、周方向に等間隔で配置された6つの矩形の開口21cを有している。また、グリップ部30は、前端領域の内周面に径方向内側に張り出した6つの押圧部32を有しており、小径部21aの6つの開口21cに対応する位置に、周方向に等間隔で配置されている。各押圧部32の径方向内方の領域は、対応する開口21c内に位置している。また、各押圧部32は、図1及び図2に示すように、軸方向後方に向かって次第に大径となるテーパ面であり、このテーパ面は、軸筒20の軸方向に対して35°の角度を有している。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の口金ユニット50のベース部材51は、前方領域の外周面に張出部としてのフランジ部53を有している。また、ガイド部材21の小径部21aは、このフランジ部53よりも軸方向後方であって開口21cよりも軸方向前方の内周面に、突出部21dを有している。この突出部21dとフランジ部53との間に、伸縮可能なコイルバネ55が圧縮状態で配置されている。このような構成により、本実施の形態のベース部材51は、コイルバネ55の付勢力に対抗して軸筒20(ガイド部材21)に対して軸方向後方に例えば4mmの相対移動が可能となっている。
また、本実施の形態の芯繰出ユニット40は、前方領域の外周面に被押圧部45を有しており、グリップ部30の撓み変形前においては、この被押圧部45とグリップ部30の押圧部32とが互いに当接している。具体的には、本実施の形態の被押圧部45は、ベース部材51に固定された、径方向外方に突出した6つの突出部であり、小径部21aの6つの開口21c及びグリップ部30の6つの押圧部32に対応する位置に、周方向に等間隔で設けられている。そして、各被押圧部45の径方向外方の領域は、対応する開口21c内に位置していると共に、コイルバネ55の付勢力によって、対応する押圧部32のテーパ面に軸方向後方から当接している。このような構成により、被押圧部45は、グリップ部30が撓み変形する際に、押圧部32によってベース部材51と共に軸筒20に対して軸方向後方に相対移動されるようになっている。本実施の形態では、コイルバネ55による付勢力に対抗して被押圧部45を軸筒20に対して軸方向後方に相対移動させるために必要な荷重は、2.5Nである。
また、本実施の形態の芯繰出ユニット40は、軸筒20の内部で当該軸筒20の軸方向に延在するポリプロピレン製の芯パイプ41と、芯パイプ41の前端部に固定され外周面に突部49aが形成されたポリアセタール樹脂製のコネクタ49と、コネクタ49の前端部に固定された黄銅製のチャック43と、チャック43の前方領域に外嵌された黄銅製の締めリング42と、コネクタ49を軸方向後方に付勢するリターンスプリング44と、軸筒20と芯パイプ41との間に形成された空間部において芯パイプ41の外周に遊嵌するように配設された重量体90と、を有している。重量体90としては、例えば軸線周りにワイヤを巻回して円筒状に形成された重さ2.3gのものが採用され得る。
また、ベース部材51は、前端部に内鍔57を有しており、この内鍔57とコネクタ49の前端部との間にリターンスプリング44が圧縮状態で配置されている。これにより、ベース部材51に対して芯繰出ユニット40が軸方向後方に付勢されている。この時、チャック43は、締めリング42を介して軸方向前方側から内鍔57に当接しており、当該締めリング42によって締められて筆記芯70を後退しないように挟持している。
口金52は、円筒状の内部空間を有しており、チャック43及び締めリング42を含む芯繰出ユニット40の前端領域が当該内部空間に収容されている。この内部空間は、内周面に締めリング42の前進を途中で規制する当接段部56を有している。すなわち、前記内部空間の内径は、当接段部56よりも軸方向後方において締めリング42の外径よりも大きく、当接段部56よりも軸方向前方において締めリング42の外径よりも小さくなっている。
また、図1に示すように、芯繰出ユニット40は、芯パイプ41の後端に取り付けられ芯パイプ41を軸筒20に対して軸方向前方に押圧するためのノック部48を、更に有している。本実施の形態のノック部48は、ABS樹脂製であり、軸方向前方に芯パイプ41の後端領域に外嵌されるスリーブ部48aを、軸方向後方に円柱状の消しゴム80を取外可能に保持するホルダ部48bを、それぞれ有している。スリーブ部48aの内部空間とホルダ部48bの内部空間とは、開口によって連通されており、消しゴム80をホルダ部48bから取り外すことによって、当該開口から筆記芯70を芯ホルダ41内に投入できるようになっている。また、ホルダ部48bには、消しゴム80の後方を覆うドーム状のノブ81が取外可能に外嵌されている。
また、図1に示すように、本実施の形態の軸筒20は、後方領域の内周面に突出部22を有しており、この突出部22とコネクタ49との間に重量体90が配置されている。軸筒20の内径は、この突出部22において重量体90の外径よりも小さくなっている。
また、本実施の形態では、軸筒20の後端領域に頭冠23が固定されている。頭冠23の内周面には段部23aが設けられており、この段部23aよりも軸方向後方における頭冠23の内径は、当該段部23aよりも軸方向前方における頭冠23の内径よりも大きくなっている。また、ノック部48のホルダ部48bの外周にフランジ部48cが形成されており、このフランジ部48cと段部23aとの間に、伸縮可能なスプリング48dが圧縮状態で配置されている。これにより、ノック部48(ノブ81)が押圧される際に、適度な抵抗感がもたらされるようになっている。
次に、図3及び図4を参照して、本発明の一実施の形態のシャープペンシル100の作用について説明する。
図3は、筆記芯70に軸方向に垂直な筆圧が加えられている場合の、図1のシャープペンシル100の前方領域の概略縦断面図であり、図4は、筆記芯70に軸方向の筆圧が加えられている場合の、図1のシャープペンシル100の前方領域の概略縦断面図である。
まず、紙面に対して筆記を行うに先立ち、必要に応じて、ノブ81と消しゴム80とがホルダ部48bから取り外され、スリーブ部48aとホルダ部48bとを連通する開口を介して筆記芯70が芯パイプ41内に投入される。そして、消しゴム80とノブ81とがホルダ部48bに取り付けられ、口金52の前端が下方に向けられた状態でノック部48(ノブ81)が軸方向前方に向かって押圧(ノック)される。これにより、芯パイプ41、コネクタ49、チャック43及び締めリング42がリターンスプリング44の付勢力に対抗して前進させられる。この前進の途中で、締めリング42のみが口金52に形成された当接段部56に当接する。これにより、チャック43から締めリング42が後方に外され、当該チャック43が開放されて筆記芯70が繰り出される。
そして、ノック部48(ノブ81)の押圧状態が解除されると、芯パイプ41、コネクタ49及びチャック43がリターンスプリング44の付勢力によって後退させられる。これに伴って、締めリング42が再びチャック43の前方領域に外嵌され、チャック43が締められる。これにより、筆記芯70が後退しないように挟持されて筆記芯70が繰り出された状態が維持される。そして、この一連の押圧操作が適宜繰り返されることにより、口金52の先端から筆記芯70が所望の長さ露出される(繰り出される)(図1及び図2参照)。
あるいは、本実施の形態のシャープペンシル100は、軸筒20を前後に振ることによっても筆記芯70が繰り出される。すなわち、軸筒20が前後に振られることで、重量体90が軸筒20と芯パイプ41との間に形成された空間部内を軸方向前方においてはコネクタ49の突部49aに当接するまで、軸方向後方においては軸筒20の突出部22に当接するまで、前後動される。そして、重量体90が前進した際には、重量体90の慣性力でコネクタ49、チャック43及び締めリング42がリターンスプリング44の付勢力に対抗して前進させられる。この前進の途中で、締めリング42のみが口金52に形成された当接段部56に当接する。これにより、チャック43から締めリング42が軸方向後方に外され、当該チャック43が開放されて筆記芯70が繰り出される。
そして、コネクタ49に対する重量体90の慣性力の影響が無くなると、コネクタ49がリターンスプリング44の付勢力によって後退させられる。これに伴って、コネクタ49に係合されたチャック43も後退し、再び締めリング42がチャック43の前方領域に外嵌され、チャック43が締められる。これにより、筆記芯70が後退しないように挟持され、筆記芯70が繰り出された状態が維持される。そして、以上のような軸筒20の前後動が適宜繰り返されることにより、口金52の先端から筆記芯70が所望の長さ露出される(繰り出される)(図1及び図2参照)。
そして、使用者によってグリップ部30が把持され、紙面に対して筆記芯70を当接させつつ軸筒20を所望に移動させることによって、筆記が行われる。
筆記の際、軸筒20は、その軸方向が紙面に対して鋭角をなすように把持されることが一般的である。このため、筆記芯70には、軸筒20の軸方向に垂直な成分と当該軸方向の成分とを含む筆圧が加えられる。本実施の形態のシャープペンシル100は、筆記時に筆記芯70に高い筆圧が加えられると、筆圧の軸方向に垂直な成分と軸方向の成分とをそれぞれ吸収して、口金52の先端から露出された筆記芯70の折損を回避する。
具体的には、図3に示すように、筆圧の軸方向に垂直な成分によってグリップ部30が撓み、グリップ部30の押圧部32(テーパ面)によって芯繰出ユニット40の被押圧部45が軸筒20(ガイド部材22)に対して軸方向後方に押圧される。一方、口金52はガイド部材22の先端領域に固定されているため、軸方向後方へは移動されない。これにより、コイルバネ55の付勢力に対抗して、ベース部材51を含む芯繰出ユニット40が口金52に対して軸方向後方に相対移動される。すなわち、口金52の先端から露出される筆記芯70の長さが減少される。
これと同時に、筆圧の軸方向の成分によって、筆記芯70が軸筒20に対して軸方向後方に押圧される。これにより、図4に示すように、コイルバネ55の付勢力に対抗して、筆記芯70及びベース部材51を含む芯繰出ユニット40が軸筒20の軸方向後方に相対移動される。すなわち、口金52の先端から露出される筆記芯70の長さが一層減少され、当該筆記芯70の折損が回避される。なお、図4は、筆記芯70に軸筒20の軸方向の筆圧のみが加えられた場合を示している。
そして、筆記芯70に加えられている筆圧が弱められると、コイルバネ55の付勢力によって、筆記芯70及びベース部材51を含む芯繰出ユニット40が軸筒20に対して軸方向前方に押し戻される。これにより、初期状態(図1及び図2参照)が復元される。
筆圧の軸方向に垂直な成分を吸収する機構と筆圧の軸方向の成分を吸収する機構とは互いに独立して作用し得る。このため、筆記芯70に対して軸方向に垂直な方向のみに高い筆圧が加えられた場合には、前者の機構のみが作用し、筆記芯70に対して軸方向のみに高い筆圧が加えられた場合には、後者の機構のみが作用する。
以上のような本実施の形態によれば、筆記芯70に高い筆圧が加えられた際に、筆圧の軸方向に垂直な成分によってグリップ部30が撓み変形し、グリップ部30の押圧部32が芯繰出ユニット40の被押圧部45をコイルバネ55の付勢力に対抗して軸筒20に対して軸方向後方に相対移動させるため、口金52の先端から露出される筆記芯70の長さが減少される。更に、筆圧の軸方向の成分によって、筆記芯70を含む芯繰出ユニット40が軸筒に対して軸方向後方に相対移動されるため、口金52の先端から露出される筆記芯70の長さが一層減少される。これらのことにより、筆記芯70に高い筆圧が加えられた際の筆記芯70の折損を確実に回避することができる。また、この時、口金52が軸筒20に対して軸方向前方に相対移動される(飛び出す)のではなく、筆記芯70を含む芯繰出ユニット40が口金52に対して軸方向後方に相対移動されることによって、口金52から露出される筆記芯70の長さが減少される。このことにより、筆記感が滑らかなシャープペンシル100を提供することができる。
また、グリップ部30の押圧部32がテーパ面であり、当該テーパ面は、軸筒20の軸方向に対して35°の角度を有しており、コイルバネ55による付勢力に対抗して被押圧部45を軸筒20に対して軸方向後方に相対移動させるために必要な荷重は、2.5Nである。このため、筆記芯70に高い筆圧が加えられた際には、筆記芯70を含む芯繰出ユニット40が軸筒20に対して軸方向後方に確実に相対移動され得るため、筆記芯70の折損が確実に回避される。一方、筆記芯70に適正な筆圧が加えられている際には、筆記芯70を含む芯繰出ユニット40が軸筒20に対して軸方向後方に実質的に相対移動されないため、書き味を損ねることが無い。
また、本実施の形態の芯繰出ユニット40は、軸筒20の内部で軸筒20の軸方向に延在する芯パイプ41と、芯パイプ41の前端部に固定され外周面に突部49aが形成されたコネクタ49と、コネクタ49の前端部に固定されたチャック43と、チャック43の前方領域に外嵌された締めリング42と、コネクタ49を軸方向後方に付勢するリターンスプリング44と、軸筒20と芯パイプ41との間に形成された空間部において芯パイプ41の外周に遊嵌するように配設された重量体90と、を有しており、重量体90は、軸筒20が前後に振られた際に前記空間部の内部を前後動して、前方においてコネクタ49の突部49aに当接するようになっている。このことにより、軸筒20を前後に振ることにより重量体90の慣性力によってチャック43が軸方向に前進させられるため、ノック操作を行うことなく迅速に筆記芯70を繰り出すことができる。
なお、グリップ部30が撓み変形するのではなく、当該グリップ部30が軸筒20に対して傾動することによって、筆記芯70及びベース部材51を含む芯繰出ユニット40を軸筒20に対して軸方向前方に相対移動させるようになっていても良い。本実施の形態では、前述の通りガイド部材21の小径部21aの外周面とグリップ部30の内周面との間に隙間が形成されている。このため、例えば、ガイド部材21の小径部21aの外周面に被係合部を設けると共に、グリップ部30の後方領域に当該被係合部にわずかな遊びを伴って係合可能な係合部を設けることにより、グリップ部30の軸筒20に対する傾動が実現され得る。
また、本実施の形態では、グリップ部30の内周面に、軸方向後方に向かって次第に大径となるテーパ面が押圧部32として設けられていたが、このようなテーパ面が被押圧部45の径方向外方の領域に形成されていても良い。この場合、押圧部32は、径方向内側に張り出した張出部として形成されても良いし、本実施の形態のように軸方向後方に向かって次第に大径となるテーパ面として形成されても良い。
また、本実施の形態ではコイルバネ55の前端が当接する突出部21dがガイド部材21に設けられているが、ベース部材51に設けられたフランジ部53よりも軸方向後方であれば、例えば口金52の内周面に設けられていても良い。
20 軸筒
21 ガイド部材
21a 小径部
21b 大径部
21c 開口
21d 突出部
22 突出部
23 頭冠
23a 段部
30 グリップ部
32 押圧部
40 芯繰出ユニット
41 芯パイプ
42 締めリング
43 チャック
44 リターンスプリング
45 被押圧部
48 ノック部
48a スリーブ部
48b ホルダ部
48c フランジ部
48d スプリング
49 コネクタ
49a 突部
50 口金ユニット
51 ベース部材
52 口金
53 フランジ部
55 コイルバネ
56 当接段部
57 内鍔
70 筆記芯
80 消しゴム
81 ノブ
90 重量体
100 筆記具

Claims (3)

  1. 軸筒と、
    前記軸筒の前方領域に取り付けられた、撓み変形可能あるいは当該軸筒に対して傾動可能なグリップ部と、
    前記軸筒内に支持された、筆記芯を繰り出すための芯繰出ユニットと、
    内部に筆記芯の通路を有し前記軸筒に固定された口金と、
    前記芯繰出ユニットの前端領域の外周面に設けられた張出部と、
    前記口金または前記軸筒の前記張出部よりも軸方向後方の内周面に設けられた突出部と、
    前記張出部と前記突出部との間に圧縮状態で配置された伸縮可能な弾性体と、
    を備え、
    前記芯繰出ユニットは、前方領域の外周面に被押圧部を有しており、
    前記グリップ部は、前方領域に押圧部を有しており、
    前記被押圧部と前記押圧部との少なくとも一方は、軸方向後方に向かって次第に大径となるテーパ面であり、
    前記グリップ部が撓み変形あるいは前記軸筒に対して傾動する前においては、前記押圧部と前記被押圧部とが互いに当接しており、前記グリップ部が撓み変形あるいは前記軸筒に対して傾動する際には、前記押圧部が前記被押圧部を前記軸筒に対して軸方向後方に相対移動させるようになっている
    ことを特徴とするシャープペンシル。
  2. 前記グリップ部の前記押圧部が前記テーパ面であり、当該テーパ面は、前記軸筒の軸方向に対して20°〜60°の間のいずれかの角度を有しており、
    前記弾性体は、コイルバネであり、
    前記コイルバネによる付勢力に対抗して前記被押圧部を前記軸筒に対して軸方向後方に相対移動させるために必要な荷重は、0.5N〜8Nの間のいずれかの値である
    ことを特徴とする請求項1に記載のシャープペンシル。
  3. 前記芯繰出ユニットは、前記軸筒の内部で当該軸筒の軸方向に延在する芯パイプと、前記芯パイプの前端部に固定され外周面に突部が形成されたコネクタと、前記コネクタの前端部に固定されたチャックと、前記チャックの前方領域に外嵌された締めリングと、前記コネクタを軸方向後方に付勢するリターンスプリングと、前記軸筒と前記芯パイプとの間に形成された空間部において当該芯パイプの外周に遊嵌するように配設された重量体と、を有しており、
    前記重量体は、前記軸筒が前後に振られた際に前記空間部の内部を前後動して、前方において前記コネクタの前記突部に当接するようになっている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のシャープペンシル。
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