JP2017011881A - ステータ - Google Patents

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清隆 古賀
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Abstract

【課題】外観検査における溶接部の視認性を向上させることにより、溶接部の外観検査精度を高くすることが可能なステータを提供する。
【解決手段】このステータ100は、スロット13を形成する複数のティース11を有するステータコア1と、スロット13に収容されるスロット収容部21と、ステータコア1の軸方向端面14の外側に配置されるコイルエンド部22と、スロット収容部21に接続されてスロット13から突出してステータコア1の径方向外側に向けて延びるリード線部23とを有し、平角導線により構成された複数のコイル2とを備える。一のコイル2のリード線部23の端部24と、他のコイル2のリード線部23の端部24との側面26同士が、ステータコア1の周方向に隣接した状態で溶接されることにより、溶接部25を構成している。
【選択図】図5

Description

本発明は、ステータに関する。
従来、複数のコイルのリード線部の端部同士を溶接したステータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1に記載のステータは、平角導線からなる複数のコイルが装着されており、一のコイルのリード線部の端部と、他のコイルのリード線部の端部とが溶接された複数の溶接部を有している。各リード線部は、ステータの径方向外側に向かって放射状に延びるように形成されており、互いに溶接される一対のリード線部の端部同士は、ステータの軸方向(上下に)に並んで重なり合うように配置されている。そして、軸方向に重なりあう端部同士が溶接されることにより、溶接部が形成されている。
ここで、ステータの製造時には、溶接部の外観検査が行われる。外観検査では、溶接部が設けられた一対のリード線部の境界部分(境界線)と、溶接部との位置関係から、各リード線部が溶接部によって適切に接合されているか(溶接箇所が境界部分をカバーしているか)否かが判定される。
特開2012−253880号公報
しかしながら、上記特許文献1では、放射状に並ぶリード線部が軸方向に重なり合い、軸方向に重なった一対のリード線部に溶接部が形成されるため、リード線部の端部の合わせ面(境界部分)が軸方向に対して直交する面となる。そのため、外観検査を行う際に、特に軸方向から一対のリード線部の境界部分を外部から視認(撮像)することが困難である。そのため、溶接部の外観検査精度を高くすることが困難であるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、外観検査における溶接部の視認性を向上させることにより、溶接部の外観検査精度を高くすることが可能なステータを提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるステータは、スロットを形成する複数のティースを有するステータコアと、スロットに収容されるスロット収容部と、ステータコアの端面の外側に配置されるコイルエンド部と、スロット収容部に接続されてスロットから突出してステータコアの径方向外側に向けて延びるリード線部とを有し、平角導線により構成された複数のコイルとを備え、一のコイルのリード線部の端部と、他のコイルのリード線部の端部との側面同士が、ステータコアの周方向に隣接した状態で溶接されることにより、溶接部を構成している。
この発明の一の局面によるステータでは、上記のように、スロット収容部に接続されてスロットから突出してステータコアの径方向外側に向けて延びるリード線部を有し、平角導線により構成された複数のコイルを設け、一のコイルのリード線部の端部と、他のコイルのリード線部の端部との側面同士が、ステータコアの周方向に隣接した状態で溶接されることにより構成された溶接部を設ける。これにより、径方向に延びる一対のリード線部を周方向に隣接させて溶接部を形成することができるので、溶接部を形成する一対のリード線部の境界部分を、外部(軸方向)から垂直に視認することができる。その結果、外観検査における溶接部の視認性を向上させることができる。これにより、溶接部の外観検査精度を高くすることができる。
本発明によれば、上記のように、外観検査における溶接部の視認性を向上させることにより、溶接部の外観検査精度を高くすることができる。
一実施形態によるステータの斜視図である。 一実施形態によるステータの平面図である。 一実施形態によるステータに組み付けられる複数のコイルの斜視図である。 コイルの結線方式の例を示した図である。 リード線部の端部同士の溶接部を示した拡大斜視図である。 リード線部の端部同士の溶接部を軸方向から見た場合の拡大平面図である。 リード線部の端部同士の溶接部を径方向から見た場合の拡大側面図である。 動力線接続端子および中性線接続端子を説明するためのステータの部分側面図である。 動力線接続端子および中性線接続端子を説明するためのステータの拡大斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図9を参照して、一実施形態によるステータ100の構造について説明する。
(ステータの全体構成)
図1および図2に示すように、ステータ100は、円環状のステータコア1と、ステータコア1の内周に沿って円環状に配列される複数のコイル2とを含む。ステータ100は、ロータ(図示せず)とともにケーシング(図示せず)内に収容され、回転電機(図示せず)の一部を構成する。ステータ100は、たとえば、自動車などの車両に搭載される。
ステータコア1は、たとえば電磁鋼板を積層して円環状に形成されており、スロット13を形成する複数のティース11と、バックヨーク12とを含む。ステータコア1は、複数のスロット13を有する。また、ステータコア1は、軸方向端面14と、径方向の外周面15とを含む。
複数のティース11は、バックヨーク12から径方向内側(中心軸線Ax側)へ向けて放射状に延びる。ティース11は、ステータコア1の周方向に沿って等間隔で配置されている。また、隣接する2つのティース11の間に、コイル2を保持するスロット13が形成されている。スロット13は、ステータコア1の内周に周状に複数配列されており、径方向に延びる。バックヨーク12は、スロット13の径方向外側端部(ティース11の根元側端部)とステータコア1の外周面15との間の部分であり、円周状に形成されている。軸方向端面14は、平坦面状に形成されている。
なお、以下では、ステータコア1の軸方向(中心軸線Axの延びる方向)をA方向とする。A方向のうち、ステータコア1から離れるA1方向を軸方向外側といい、ステータコア1に近付くA2方向を軸方向内側という。ステータコア1の径方向(半径方向)をR方向とする。R方向のうち、図2に示すR1方向を径方向外側、R2方向を径方向内側という。また、ステータコア1の周方向をC方向とする。
図3に示すように、コイル2は、矩形断面を有する平角導線20により構成されている。コイル2は、1本の平角導線20が複数回巻回されることにより、環形状(同心巻線形状)に形成されている。平角導線20は、銅などの導電性の高い金属により形成されている。また、平角導線20は、外表面に絶縁皮膜が形成され、絶縁被覆されている。
コイル2は、スロット13に収容される一対のスロット収容部21と、ステータコア1の軸方向端面14の外側に配置される一対のコイルエンド部22と、スロット収容部21に接続されてスロット13から突出して延びるリード線部23とを有する。
一対のスロット収容部21は、略直線状に形成され、それぞれ別々のスロット13内に軸方向に沿って配置される。スロット13内には、ティース11の表面に沿って絶縁シート(図示せず)が配置されており、ステータコア1とコイル2(スロット収容部21)との間が絶縁シートによって絶縁されている。コイルエンド部22は、略三角形状をなすように屈曲して形成されている。コイルエンド部22は、ステータコア1に対して、ステータコア1の両側の軸方向端面14から、それぞれ軸方向外側に突出するように配置される。一対のコイルエンド部22が、周方向に離間したスロット収容部21の端部同士を接続している。リード線部23は、それぞれ、複数回巻回された平角導線20の一方端(巻き始め)および他方端(巻き終わり)である。コイル2は、両端にそれぞれリード線部23を有するように形成されている。
図1および図2に示すように、リード線部23は、径方向外側(R1方向)に向かって放射状に延びている。また、ステータ100は、平角導線20(リード線部23)の端部24同士が溶接された複数の溶接部25を備える。
コイル2は、ステータ100の各スロット13に対して周方向(C方向)に複数配置される。複数のコイル2は、全体としてステータコア1の内周に沿って円環形状を成すように周状に配列されている。
コイル2は、たとえば、ステータコア1に対して、同心巻で、かつ、以下の(A)〜(C)を実現するように装着される。
(A)複数のコイル2が、収容されるスロット13を周方向に1つずつずらしながら配置される。(B)互いに周方向に隣接する2つのコイル2同士の平角導線20が、互いに積層方向(径方向)に交互に重なるように組み付けられる。(C)互いに周方向に所定距離離れて配置される同相の2つのコイル2同士は、スロット収容部21の平角導線20が、同じスロット13において積層方向(径方向)に交互に並ぶように組み付けられる。
なお、同相のコイル2とは、ステータ100がたとえば3相交流モータである場合、U相コイル、V相コイル、W相コイルのいずれかのコイル2を意味する。この場合、U相、V相およびW相のそれぞれについて、同相のコイル2が2つずつ周方向に並んで配置される。
各相のコイル2は、たとえば図4に示すY結線(スター結線)で接続される。図4では、各相4並列の構成を示している。たとえば、U相について、直列接続された複数(たとえば8つ)のコイル2の列(コイル列L)が4組、並列接続されている。各組のコイル列Lでは、それぞれ、直列接続される8つのコイル2のリード線部23の端部24同士(図3参照)が互いに溶接されることにより、7個の溶接部25が形成される。なお、図3は、端部24同士が溶接される前の状態のコイル2を示している。
ステータ100は、リード線部23を電源に接続するための動力線接続端子30と、リード線部23を中性点に接続するための中性線接続端子40とをさらに備える。動力線接続端子30および中性線接続端子40は、共に、特許請求の範囲の「接続部材」の一例である。
直列接続されたコイル列Lの一端のリード線部23は、動力線Pとして外部回路に接続されている。コイル列Lの他端のリード線部23は、中性線Nとして中性点に接続されている。複数の動力線Pが接続される各相の外部回路との接続部分が、動力線接続端子30によって構成されている。複数の中性線Nが接続される中性点の部分が、それぞれ中性線接続端子40によって構成されている。
(コイルの端部および溶接部の構造)
図5に示すように、互いに溶接されるリード線部23(平角導線20)の端部24同士は、径方向外側(R1方向)に向けて放射状に配置されるとともに、周方向(C方向)に隣接するように配置されている。本実施形態では、一のコイル2のリード線部23の端部24と、他のコイル2のリード線部23の端部24との側面26同士が、ステータコア1の周方向に隣接した状態で溶接されることにより、溶接部25を構成している。なお、側面26は、リード線部23(平角導線20)の周方向側の外表面であり、リード線部23(平角導線20)の軸方向側の外表面27と略直交する。
より詳細に説明すると、一のコイル2のリード線部23(図5において23Aとする)は、径方向外側(R1方向側)で、スロット13から軸方向(A1方向)に立ち上がるとともに径方向外側(R1方向側)に向けて曲げられている。他のコイル2のリード線部23(図5において23Bとする)は、径方向内側(R2方向側)から、コイルエンド部22を跨ぐようにして、径方向外側(R1方向)に引き出されている。これにより、リード線部23の端部24の側面26同士が、周方向(C方向)に隣接するように並んで配置されている。そして、周方向に隣接する端部24同士に、溶接部25が形成されている。そのため、溶接部25を含む一対の端部24は、両方とも、軸方向外側の外表面(上面)27が露出して軸方向から視認可能となっている。また、溶接部25が形成された一対の端部24の合わせ面(境界部分BP)が、軸方向に平行な面(側面26)となっている。そのため、外部(軸方向)から溶接部25の合わせ面(境界部分BP)を垂直に視認することが可能である。この結果、本実施形態では、外観検査における境界部分BPの外部(軸方向)からの視認性が向上している。
なお、リード線部23(コイル2)を構成する平角導線20としては、矩形断面の長辺/短辺比の大きい長方形状断面のものや、長辺と短辺とが略等しい長さの正方形状断面に近いものがある。本実施形態では、正方形状断面に近い平角導線20がコイル2に採用されている。この場合、コイル2の成形上、エッジワイズとフラットワイズとが略同条件となる(異方性がなくなる)ため、隣接する端部24同士は、エッジワイズおよびフラットワイズのどちら側で隣接していてもよい。
また、図3に示したように、溶接部25(図5参照)は、一のコイル2(図3において2Aとする)の径方向外側(R1方向側)のリード線部23Aの端部24と、隣接する他のコイル2(図3において2Bとする)の径方向内側(R2方向側)のリード線部23Bの端部24とが溶接されることにより構成されている。すなわち、径方向外側のリード線部23を巻き始め側とし、径方向内側のリード線部23を巻き終わり側と仮定すると、各コイル2の巻き始め側のリード線部23と巻き終わり側のリード線部23とを溶接部25を介して順次接続することにより、直列接続されたコイル列L(図4参照)が構成されている。
また、図2および図6に示すように、溶接部25は、ステータ100の周方向の全周にわたって複数配置されている。また、各溶接部25は互いに非接触となるように離間して配置されている。すなわち、溶接部25は、ステータ100の略全周にわたって、ステータ100の周方向(C方向)に略等間隔となるように複数設けられている。図6に示すように、隣接する溶接部25の間の周方向の間隔D1は、溶接部25の周方向の幅Wと略等しい。
また、溶接部25は、径方向(R方向)において、コイル2(リード線部23)の径方向最外部に配置されている(コイル2のうち最もR1方向側に配置されている)。また、リード線部23は、端部24の溶接部25の径方向最外部が、径方向において、ステータコア1の外周面15以内の位置に収まるように設けられている。なお、「外周面15以内」とは、外周面15と同一または外周面15よりも内側の意味である。
なお、リード線部23(平角導線20)の端部24は、平角導線20の絶縁被覆20aが除去されている。つまり、図6においてハッチングを付して示した端部24は、平角導線20の内部の導体線が露出した部分であり、この露出部分に溶接部25が形成されている。本実施形態では、溶接部25が形成される一対のリード線部23は、少なくとも端部24が径方向(R1方向)に沿って直線状に延びるように形成されている。このため、直線状に延びる一対の端部24同士が溶接されることにより、溶接部25が形成されている。これにより、溶接された(溶接部25が形成された)一対の端部24同士の境界部分BPは、軸方向(A方向)から見て、直線状に延びている。
また、図7に示すように、溶接部25は、軸方向端面14から軸方向外側(A1方向)に離間した位置に配置されている。溶接部25は、軸方向端面14から距離D2だけ軸方向外側に離間した位置に配置されている。距離D2は、コイルエンド部22の突出量D3(図8参照)と略等しい。なお、軸方向両側の各コイルエンド部22の突出量は略等しい。
このように溶接部25がステータコア1の軸方向端面14から距離D2だけ離間した位置に配置されることにより、ステータ100の製造時の溶接処理において、リード線部23の端部24と軸方向端面14との間で溶接治具(クランプ装置)が干渉することが抑制されるため、端部24に対してする溶接治具を容易に近づけた状態で溶接することができる。また、溶接および検査後には、溶接部25を含む端部24(絶縁被覆20aが除去された露出部分)に絶縁処理が施され、端部24が樹脂などの絶縁材(図示せず)によって被覆される。絶縁処理としては、粉体塗装により各端部24を一括で絶縁被覆する方法や、端部24を覆う成形型(図示せず)内に樹脂を注入し硬化させる樹脂成形による絶縁被覆方法などがある。この絶縁処理の作業容易性も向上する。
(接続部材の構造)
動力線接続端子30は、コイル2の相数に対応して設けられる。3相交流の場合、動力線接続端子30は、U相、V相、W相の各相に対応して少なくとも3つ設けられる。また、中性線接続端子40は、1または複数設けられている。
図8および図9に示すように、動力線接続端子30は、それぞれ、複数のリード線接続部31と本体部32とを含む。リード線接続部31は、コイル2を構成する平角導線20と近似する矩形断面の角柱形状に形成されている。リード線接続部31は、ステータコア1の軸方向端面14と略平行で、かつ、径方向外側(R1方向)に向けて延びる。本体部32は、板状形状を有し、板厚方向が軸方向端面14と略平行となる(本体部32は軸方向端面14と略直交する)ように配置されている。
中性線接続端子40は、複数のリード線接続部41と、本体部42とを含む。リード線接続部41の形状は動力線接続端子30のリード線接続部31と同様である。本体部42は、板状形状を有し、板厚方向が軸方向(A方向)を向く(本体部42は軸方向端面14に沿う)ように配置されている。つまり、動力線接続端子30の本体部32と、中性線接続端子40の本体部42とは、互いに交差するように配置されている。
図9に示すように、動力線接続端子30および中性線接続端子40は、ステータ100の周方向(C方向)に沿って円弧状に延びるように形成されている。動力線接続端子30および中性線接続端子40は、共に、軸方向(A方向)において、溶接部25と、ステータコア1の軸方向端面14との間に配置されている。また、動力線接続端子30および中性線接続端子40は、共に、ステータコア1の径方向(R方向)におけるコイルエンド部22とステータコア1の外周面15との間に配置されている。
このように、接続部材(動力線接続端子30および中性線接続端子40)は、溶接部25(端部24)とステータコア1の軸方向端面14との間の距離D2分のスペースに配置されている。また、このスペースには、図8において二点鎖線で示すように、ステータ100用の冷却配管50(ウォータジャケット)などが配置可能である。
動力線接続端子30および中性線接続端子40のリード線接続部(31、41)とリード線部23の端部24とは、ステータコア1の周方向に隣接した状態で互いに溶接されている。すなわち、各コイル2のうち、動力線Pまたは中性線Nとしてのリード線部23の端部24と、動力線接続端子30および中性線接続端子40のリード線接続部(31、41)との側面同士が、ステータコア1の周方向に隣接した状態で溶接されることにより、溶接部28を構成している。
(溶接部の外観検査)
次に、溶接部25の外観検査の概要について説明する。
ステータ100の製造時には、図1に示したようにそれぞれの端部24同士が溶接され溶接部25が形成された後、溶接が適正に行われたか否かの外観検査が行われる。外観検査は、たとえば複数台のカメラ(図示せず)を用いて溶接部25を異なる方向から撮像し、得られた画像画像に基づいて行われる。
具体的には、図6に示すように、溶接部25を含む一対の端部24の撮像画像から、溶接された端部24同士の境界部分BPが検出される。そして、境界部分BPの先端を覆うように溶接部25が形成されているか否かが判断される。つまり、2本のリード線部23の境界部分BPを跨ぐように溶接部25が形成され、溶接部25が十分な溶接範囲をカバーしているか否かが判断される。このため、たとえば軸方向(図6参照)および径方向(図7参照)の各方向から、溶接部25の撮像が行われる。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、図5に示したように、スロット収容部21に接続され、スロット13から突出してステータコア1の径方向外側(R1方向側)に向けて延びるリード線部23を有し、平角導線20により構成された複数のコイル2を設ける。そして、一のコイル2のリード線部23(23A)の端部24と、他のコイル2のリード線部23(23B)の端部24との側面26同士が、ステータコア1の周方向(C方向)に隣接した状態で溶接されることにより構成された溶接部25を設ける。これにより、径方向に延びる一対のリード線部23を周方向に隣接させて溶接部25を形成することができるので、溶接部25を形成する一対のリード線部23の境界部分BPを、外部(軸方向)から垂直に視認(図6参照)することができる。その結果、外観検査における溶接部25の視認性を向上させることができる。これにより、溶接部25の外観検査精度を高くすることができる。
また、本実施形態では、図3に示したように、コイル2を、1本の平角導線20が複数回巻回されることにより、両端にそれぞれリード線部23を有するように形成してもよい。これにより、1つのコイルが複数本の導線により構成されるいわゆるセグメントコイルの場合に溶接箇所が多くなるのに比べて、溶接箇所数をリード線部23の端部24のみに低減することができる。その結果、一対のリード線部23の側面26同士を周方向(C方向)に並べて配置する場合にも、溶接処理や絶縁処理のための溶接部25同士の周方向の間隔D1(図6参照)を容易に確保することができる。
また、本実施形態では、図3に示したように、一のコイル2の径方向外側(R1方向側)のリード線部23の端部24と、隣接する他のコイル2の径方向内側(R2方向側)のリード線部23の端部24との溶接により、溶接部25を構成してもよい。これにより、ステータ100の周方向に沿ってリード線部23を長く引き回すことなく、一のコイル2の一端側のリード線部23と、隣接する他のコイル2の他端側のリード線部23とを溶接するだけで済むので、ステータ100の巻線構造を簡素化することができる。また、各リード線部23の配置が簡素になるので、外観検査における視認性も向上する。
また、本実施形態では、図6に示したように、溶接部25を形成する一対のリード線部23を、少なくとも端部24が径方向(R1方向)に沿って直線状に延びるように形成してもよい。これにより、少なくとも溶接部25が形成される絶縁被覆が除去された領域(端部24)において、溶接部25を形成する一対のリード線部23の境界部分BPを直線状にすることができる。その結果、境界部分BPが屈曲するような場合と比較して、外観検査において軸方向視で直線状の境界部分BPを容易かつ精度よく認識することができる。そして、精度よく認識した境界部分BPと溶接部25との位置関係に基づいて、溶接部25の外観検査をより精度よく行うことができる。
また、本実施形態では、図6に示したように、溶接部25を、径方向(R方向)において、ステータコア1の外周面15以内の位置に収まるように設けてもよい。これにより、径方向に延びるリード線部23をステータ100に設ける場合でも、リード線部23の端部24に形成される溶接部25がステータコア1よりも径方向外側に突出することがない。その結果、ステータ100においてリード線部23により径方向に局所的な突出部分が形成されることを抑制できるので、溶接部25が外部構造と接触することを抑制することができる。
また、本実施形態では、図6に示したように、溶接部25は、径方向(R方向)において、コイル2の径方向最外部に配置してもよい。これにより、溶接処理に用いる治具や溶接装置を溶接部25(溶接部25が形成される端部24)に容易に接近させることができるので、溶接処理の作業性を向上させることができる。また、溶接後の外観検査において、溶接部25が最外部に配置されるので、外観検査における視認性を向上させることができる。
また、本実施形態では、図2および図6に示したように、溶接部25を、ステータ100の略全周にわたって、ステータ100の周方向(C方向)に略等間隔となるように複数設けてもよい。これにより、個々の溶接部25の視認性をより向上させることができる。また、ステータ100の外周側では、溶接部25間の周方向の間隔D1を容易に確保できるので、溶接部25の溶接処理や絶縁処理の作業性も向上させることができる。
また、本実施形態では、図8および図9に示したように、リード線部23を電源または中性点に接続するための接続部材(動力線接続端子30および中性線接続端子40)を、溶接部25と、ステータコア1の軸方向端面14との間に配置してもよい。これにより、溶接部25と、ステータコア1の軸方向端面14との間のスペースを利用して、接続部材(動力線接続端子30および中性線接続端子40)を配置することができるので、ステータ100において径方向に局所的な突出部分が形成されることを抑制してステータ100を小型化することができる。また、溶接部25と、ステータコア1の軸方向端面14との間にスペースが確保されるので、接続部材(動力線接続端子30および中性線接続端子40)以外にも、たとえばコイル2の冷却用の冷却配管50(図8参照)なども配置することも可能となる。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、1本の平角導線が複数回巻回された同心巻のコイル2を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、1つのコイルが複数のセグメント導体を溶接することにより形成されたセグメントタイプのコイルであってもよい。ただし、セグメントタイプのコイルの場合、溶接部の数が多くなり、溶接部を周方向に配列する場合のスペースを確保するのが困難になるため、1本の平角導線を巻回して形成したコイル2を用いることが溶接部の数を抑制し得る点で好ましい。
また、上記実施形態では、同心巻のコイル2を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、同心巻以外の重ね巻きのコイルを用いてもよい。
また、上記実施形態では、リード線部23の端部24を径方向に沿って直線状に延びるように形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば端部が周方向に向けて湾曲または屈曲してもよい。ただし、外観検査精度を考慮すると、境界部分BPが直線形状になるように端部24を直線状に形成することが好ましい。
また、上記実施形態では、溶接部25を径方向において、ステータコア1の外周面15以内の位置に収まるように設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、溶接部25がステータコア1の外周面15よりも径方向外側に配置されていてもよい。ただし、ステータ100を機器に搭載した場合に、外部の機器との干渉を抑制する観点からは、溶接部25をステータコア1の外周面15以内の位置に収めることが好ましい。
また、上記実施形態では、溶接部25が形成される全てのリード線部23のペアについて、端部24同士を周方向に隣接するように配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一部のリード線部23のペアについて、端部24同士を周方向以外のたとえば軸方向に隣接するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、溶接部25と、ステータコア1の軸方向端面14との間に、接続部材(動力線接続端子30、中性線接続端子40)を配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続部材を溶接部25と軸方向端面14との間以外の位置に配置してもよい。たとえば、接続部材(動力線接続端子30および中性線接続端子40)をコイルエンド部22の軸方向外側(上側)に配置してもよい。
1 ステータコア
2 コイル
11 ティース
13 スロット
14 軸方向端面
15 外周面
20 平角導線
21 スロット収容部
22 コイルエンド部
23 リード線部
24 端部
25 溶接部
26 側面
30 動力線接続端子(接続部材)
40 中性線接続端子(接続部材)
100 ステータ
A 軸方向
C 周方向
R 径方向

Claims (7)

  1. スロットを形成する複数のティースを有するステータコアと、
    前記スロットに収容されるスロット収容部と、前記ステータコアの端面の外側に配置されるコイルエンド部と、前記スロット収容部に接続されて前記スロットから突出して前記ステータコアの径方向外側に向けて延びるリード線部とを有し、平角導線により構成された複数のコイルとを備え、
    一の前記コイルの前記リード線部の端部と、他の前記コイルの前記リード線部の端部との側面同士が、前記ステータコアの周方向に隣接した状態で溶接されることにより、溶接部を構成している、ステータ。
  2. 前記コイルは、1本の平角導線が複数回巻回されることにより、両端にそれぞれ前記リード線部を有するように形成されている、請求項1に記載のステータ。
  3. 前記溶接部は、一の前記コイルの前記径方向外側の前記リード線部の端部と、隣接する他の前記コイルの前記径方向内側の前記リード線部の端部とが溶接されることにより構成されている、請求項2に記載のステータ。
  4. 前記平角導線は、外表面が絶縁被覆されており、
    前記リード線部の端部は、前記溶接部を形成するために絶縁被覆が除去されており、
    前記溶接部を形成する一対の前記リード線部は、少なくとも前記端部が前記径方向に沿って直線状に延びるように形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステータ。
  5. 前記溶接部は、前記径方向において、前記ステータコアの外周面以内の位置に収まるように設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のステータ。
  6. 前記溶接部は、前記ステータの略全周にわたって、前記ステータの周方向に略等間隔となるように複数設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のステータ。
  7. 前記リード線部を電源または中性点に接続するための接続部材をさらに備え、
    前記接続部材は、前記溶接部と、前記ステータコアの軸方向端面との間に配置されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のステータ。
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