JP2017011560A - 水晶発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水晶振動子と水晶振動子を支持する支持部材との配置関係を考慮しつつ、温度変化によって発生する歪み応力が水晶振動子に集中することを抑制でき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる水晶発振器を提供する。【解決手段】 本発明の水晶発振器10は、線熱膨張係数に異方性を有する長方形型の水晶振動子20、水晶振動子20を片持ち支持する支持部材30、水晶振動子20の一方の面に所定方向で塗布され、水晶振動子20を支持部材30に固定する接着部材40、および、所定方向の熱膨張係数が水晶振動子20の所定方向の線熱膨張係数と略等しく、水晶振動子20の他方の面の接着部材40が塗布された領域と対応する領域に配置された応力調整部材50、を備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、水晶発振器に関し、特に、高い安定度が要求されるTCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)、OCXO(Oven Controlled Cristal Oscillator)等に用いられる水晶発振器に関する。
通信機器や携帯端末等の水晶発振器を使用する機器からの水晶発振器に対する小型化の要求が高まっている。5032型などの小型水晶発振器、特に、総合安定度±4.6ppmで使用温度範囲における安定度±0.28ppmのストラタム3規格に準拠したTCXO等において、水晶発振器の小型化の阻害要因の一つに、何も対策を施さない時は温度特性のヒステリシスが0〜5ppm程度発生することがある。
温度特性のヒステリシスとは、温度上昇時と下降時において水晶振動子の周波数温度依存性が異なることを意味する。この原因は、温度変化に対する水晶振動子の歪み応力の変化が実際の温度変化に追従できないことや、発振器中の支持構造・接着剤・溶着合金・電極等の熱歪変化等によるもので、水晶振動子を小型化するほど顕著に現れる。
そこで、例えば、特許文献1、2には、水晶振動子と水晶振動子の支持部材との間に、水晶によって形成された歪み応力低減用部材を配置することが提案されている。また、特許文献3には、水晶振動子と水晶振動子の支持部材との間に、水晶振動子の線熱膨張係数と水晶の支持部材の熱膨張係数との差を小さくするための金属膜(熱膨張係数調整膜)を配置することが提案されている。
特許文献1−3の技術は、水晶振動子と水晶振動子の支持部材との間に、同材料(水晶)または水晶振動子の線熱膨張係数と水晶の支持部材の熱膨張係数との差を小さくするための金属膜を配置することでいずれも、ヒステリシスを低減させることができる。しかしながら、水晶発振器の小型化や回路設計等により、水晶振動子と水晶振動子の支持部材との配置が変更された場合等には十分な効果が得られなくなる可能性がある。また、水晶振動子と水晶振動子の支持部材との間に、水晶振動子の線熱膨張係数と水晶の支持部材の熱膨張係数との差を小さくするための金属膜を配置する場合、金属膜には内部応力(残留応力)が存在することから、高精度に制御が求められる水晶発振器に適用することは困難である。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、水晶振動子と水晶振動子を支持する支持部材との配置関係を考慮しつつ、温度変化によって発生する歪み応力が水晶振動子に集中することを抑制でき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる水晶発振器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る水晶発振器は、線熱膨張係数に異方性を有する長方形型の水晶振動子と、前記水晶振動子を片持ち支持する支持部材と、前記水晶振動子の一方の面に所定方向で塗布され、前記水晶振動子を前記支持部材に固定する接着部材と、前記所定方向の熱膨張係数が前記水晶振動子の前記所定方向の線熱膨張係数と略等しく、前記水晶振動子の他方の面の前記接着部材が塗布された領域と対応する領域に配置された応力調整部材と、を備える。
上述した本発明の態様によれば、水晶振動子と水晶振動子を支持する支持部材との配置関係を考慮しつつ、温度変化によって発生する歪み応力が水晶振動子に集中することを抑制でき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る水晶発振器の側面図を図1に示す。図1に示すように、水晶発振器10は、水晶振動子20、支持部材30、接着部材40および応力調整部材50によって構成される。
本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態に係る水晶発振器の側面図を図1に示す。図1に示すように、水晶発振器10は、水晶振動子20、支持部材30、接着部材40および応力調整部材50によって構成される。
水晶振動子20は、線熱膨張係数に異方性を有する長方形型の薄板状の水晶片であり、電圧が印加されることにより、所定の周波数を発振する。水晶振動子20は、上面に上面電極が、下面に下面電極が配置され、一方の面に所定方向で塗布された接着部材40によって支持部材30に片持ち支持される。本実施形態においては、水晶振動子20の一方の短辺側領域に接着部材40が塗布され、接着部材40を介して支持部材30に中空状態に保持される。
ここで、水晶振動子20は、例えば、Y方向の線熱膨張係数がAY、Z方向の線熱膨張係数がAZの水晶材からZ軸から回転角度θ(Z’方向)で切り出された、X軸と並行な面を有するATカットの水晶片を適用することができる。長辺がX方向に伸び、短辺がZ’方向に伸びている場合、水晶振動子20の短辺方向(Z’方向)の線熱膨張係数AZ’は、AZ’=AZcos2θ+AYsin2θで求められる。
支持部材30は、水晶振動子20の接着部材40の塗布方向の線熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する箱型部材であり、例えば、セラミックによって形成される。本実施形態においては、支持部材30は、水晶振動子20の短辺方向の線熱膨張係数AZ’と異なる熱膨張係数を有する。支持部材30の水晶振動子20の配置面には所定の配線が施されており、箱型部材である支持部材30の内部に水晶振動子20が中空状態に片持ち保持される。
接着部材40は、導電性の接着剤であり、水晶振動子20の一方の面に所定方向に長く塗布されることによって、水晶振動子20を支持部材30へ接着固定する。本実施形態に係る接着部材40は、水晶振動子20の一方の面の短辺側領域にZ’方向に長く塗布される。接着部材40はさらに、水晶振動子20に配置されている上面電極および下面電極を、支持部材30の配線に電気的に接続させる。
応力調整部材50は、水晶振動子20の他方の面の、接着部材40が塗布されている領域と対応する領域に配置される。応力調整部材50の接着部材40の塗布方向の熱膨張係数は、水晶振動子20の接着部材40の塗布方向の線熱膨張係数と略等しくなるように設定される。本実施形態に係る応力調整部材50は、水晶振動子20の短辺方向の熱膨張係数が、水晶振動子20の短辺方向の線熱膨張係数AZ’と等しくなるように設定されている。
以上のように、本実施形態に係る水晶発振器10は、熱膨張係数に差がある水晶振動子20と支持部材30との接続状態に応じて、最も熱歪応力が大きくなる方向の水晶振動子20の線熱膨張係数と略等しい線熱膨張係数を有する応力調整部材50を、水晶振動子20の熱歪応力の発生領域に配置した。これにより、水晶発振器10の使用温度の変化により発生する熱歪応力を、応力調整部材50、水晶振動子20および支持部材30に分散させることができ、水晶振動子20へ集中することを抑制することができる。従って、本実施形態に係る水晶発振器10は、温度変化によって発生する歪み応力が水晶振動子20に集中することを抑制でき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる。
なお、本実施形態では、最も熱歪応力が大きくなる方向として、水晶振動子20の短辺方向(Z’方向)のみを挙げたが、水晶振動子20と支持部材30との接続方法により、例えば、Y方向等の他の方向になる場合もある。この場合、応力調整部材50のY方向の熱膨張係数が、水晶振動子20のY方向の線熱膨張係数と略等しくなるように設計すればよい。
さらに、本実施形態では、応力調整部材50の数が1つである場合について説明したが、水晶振動子20に複数箇所の領域において熱歪み応力が発生する場合、熱歪み応力が発生している領域ごとに、水晶振動子20の該熱歪み応力方向の線熱膨張係数に応じた熱膨張係数を有する応力調整部材50を配置することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る水晶発振器において、機密封止のためのふたを取り除き、内部構造を見えるようにした時の上面図を図2(a)に、図2(a)の水晶発振器100をA−A’線で切断した時の断面図を図2(b)に示す。図2(a)、(b)において、水晶発振器100は、セラミックケース200、IC(Integrated Circuit)チップ300、水晶振動子400および応力調整材500によって構成される。本実施形態に係る水晶発振器100は、水晶振動子400とセラミックケース200の熱膨張係数の差に起因して発生する熱歪応力が水晶振動子400への集中することを抑制する応力調整材500を、所定の領域に配置することを特徴とする。具体的には、水晶振動子400の線熱膨張係数の異方性を考慮した材料を応力調整材500の材料として決定し、この応力調整材500を水晶振動子400とセラミックケース200との接続領域に接触配置する。以下、各構成要素について詳細に説明する。
第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る水晶発振器において、機密封止のためのふたを取り除き、内部構造を見えるようにした時の上面図を図2(a)に、図2(a)の水晶発振器100をA−A’線で切断した時の断面図を図2(b)に示す。図2(a)、(b)において、水晶発振器100は、セラミックケース200、IC(Integrated Circuit)チップ300、水晶振動子400および応力調整材500によって構成される。本実施形態に係る水晶発振器100は、水晶振動子400とセラミックケース200の熱膨張係数の差に起因して発生する熱歪応力が水晶振動子400への集中することを抑制する応力調整材500を、所定の領域に配置することを特徴とする。具体的には、水晶振動子400の線熱膨張係数の異方性を考慮した材料を応力調整材500の材料として決定し、この応力調整材500を水晶振動子400とセラミックケース200との接続領域に接触配置する。以下、各構成要素について詳細に説明する。
セラミックケース200の内部に、ICチップ300および水晶振動子400が配置される。本実施形態に係るセラミックケース200は、主にアルミナセラミックで形成され、その熱膨張係数は7.1×10−6(7.1ppm)である。セラミックケース200の底面には、図2には図示しない所定の配線が形成され、該配線に、ICチップ300、水晶振動子400の上面電極410および下面電極420が電気的に接続されている。
ICチップ300は、図示しない接着剤によってセラミックケース200の底面に接着固定され、金ワイヤ610を介してセラミックケース200に形成された配線と接続される。
水晶振動子400は、後述するランバート水晶原石から所定のカットで切り出された方形の振動片である。本実施形態に係る水晶振動子400は、ランバート水晶原石からATカットによって幅3.5mm、長さ6mm、厚さ83μm程度に切り出され、電圧が印加されることにより、基本波で20MHzの振動周波数を発振する。上記のように形成された水晶振動子400は、下面の一方の短辺側領域(本実施形態においては幅3.5mm×端部からの長さ1mm程度の領域)が、導電性接着材710、720によってセラミックケース200の底面に接着固定されることにより、セラミックケース200に片持ち固定される(片持ち梁構造)。ここで、本実施形態では、セラミックケース200の水晶振動子400が配置される領域に凹部を形成することにより、水晶振動子400を中空状態で片持ち固定する。
導電性接着材710、720としては、例えば、エポキシ樹脂に銀粒子を混合したものを適用することができる。そして、水晶振動子400の上面に形成された上面電極410が導電性接着材710を介して、水晶振動子400の下面に形成された下面電極420が導電性接着材720を介して、セラミックケース200に形成された配線とそれぞれ接続される。
応力調整材500は、水晶振動子400に発生する歪応力および水晶振動子400の線熱膨張係数の異方性を考慮して選択された材料によって形成された部材である。本実施形態では、応力調整材500として、幅3.5mm、長さ1mm、厚さ1mmのATカットの水晶片を適用する。応力調整材500は、水晶振動子400の上面の、導電性接着材710、720に対応する領域に、非導電性接着剤810によって接着固定される。本実施形態においては、導電性接着材710、720が水晶振動子400の下面の短辺側領域(3.5mm×端部からの長さ1mm程度の領域)内に短辺方向に並列に塗布されていることから、応力調整材500を、水晶振動子400の線熱膨張係数と一致する向きで、水晶振動子400の上面の短辺側領域に配置する。これにより、応力調整材500が配置された領域内に、熱歪が発生する領域(すなわち、導電性接着材710、720が塗布された領域)が包含される。応力調整材500の材料の選択方法および配置方法については後述する。
次に、水晶振動子400の線熱膨張係数の異方性について説明する。水晶振動子400が切り出されるランバート水晶原石の斜視図の一例を図3に示す。結晶軸のX面とZ面を出したランバート水晶原石から、水晶発振器に使用される各種のカットが切り出される。ランバート水晶原石から切り出した各種カットの角度を図3に合せて示す。ここで、ランバート水晶原石の各面のミラー指数は、Z面が(0001)、X面が(2−1−10)、Y面が(01−10)である。
図3に示したように、斜線で示したATカット面は、右水晶の場合、Z軸から反時計まわりに35°15′回転されると共に、X軸と平行な面を持つカット面である。ランバート水晶原石は六方晶系の結晶であり、線熱膨張係数に異方性を持っている。水晶のZ軸方向の線熱膨張係数は、1.337×10−5(13.37ppm)、Z軸に垂直な方向の線熱膨張係数は、7.97×10−6(7.97ppm)である時、ATカット(θ=35°15′)により切り出された水晶振動子400のZ’方向の線熱膨張係数は、1より十分小さい場合は下記の近似式、式(1)で求められる。
AZ’=AZcos2θ+AYsin2θ 式(1)
本実施形態においては、ATカットを適用し、水晶振動子400を角度35°15′で切り出した。従って、AZにZ軸方向の線熱膨張係数(13.37ppm)、AYにZ軸に垂直な方向の線熱膨張係数(7.97ppm)、θに切り出し角度(35°15′)を挿入することにより、Z’軸方向の線熱膨張係数は、11.57×10−6(11.57ppm)となる。
本実施形態においては、ATカットを適用し、水晶振動子400を角度35°15′で切り出した。従って、AZにZ軸方向の線熱膨張係数(13.37ppm)、AYにZ軸に垂直な方向の線熱膨張係数(7.97ppm)、θに切り出し角度(35°15′)を挿入することにより、Z’軸方向の線熱膨張係数は、11.57×10−6(11.57ppm)となる。
上記のATカットの水晶振動子400を水晶発振器100内で使用する時の、水晶振動子400の結晶軸を図4に示す。図4に導電性接着材710、720が塗布される領域を点線で示す。図4に示すように、本実施形態に係る水晶振動子400は、Z’方向に並列配置された導電性接着材710、720によって、セラミックケース200に接着固定される。
図4の水晶振動子400においては、水晶発振器100の周囲温度が変化することにより、セラミックケース200の線熱膨張係数と水晶振動子400の線熱膨張係数とが一致しない場合、セラミックケース200と水晶振動子400との接触領域内に熱歪が発生する。水晶振動子400は、セラミックケース200に比べて相対的に薄いため、発生した熱歪応力は水晶振動子400に集中し易い。上述のように、セラミックケース200の熱膨張係数は7.1×10−6(7.1ppm)、水晶振動子400のZ軸に垂直な方向(ここでは、X方向)の線熱膨張係数は7.97×10−6(7.97ppm)、水晶振動子400のZ’方向の線熱膨張係数は11.57×10−6(11.57ppm)である。従って、水晶発振器100の周囲温度が変化することにより、水晶振動子400とセラミックケース200との接続領域内にZ’方向の熱歪応力が生じる。
そこで、本実施形態においては、水晶振動子400の熱歪応力が発生する領域に、水晶振動子400の線熱膨張係数の異方性を考慮して選択した材料で形成された応力調整材500を配置することにより、発生した熱歪応力を応力調整材500で吸収する。すなわち、本実施形態においては、図2(a)、(b)に示すように、水晶振動子400上面の、導電性接着材710、720を内包する領域に、水晶振動子400の熱歪方向(Z’方向)の線熱膨張係数と略等しい熱膨張係数を有する応力調整材500を配置する。具体的には、幅3.5mm、長さ1mm、厚さ1mmのATカットの水晶片を適用した応力調整材500を、Z’軸方向およびX方向が水晶振動子400のZ’軸方向およびX方向と一致するようにして、非導電性接着剤810を用いて水晶振動子400の上面に接着固定する。
上記のように、本実施形態に係る水晶発振器100において、水晶振動子400の歪応力方向の線熱膨張係数を考慮して応力調整材500の材料を選択し、該選択した材料によって形成した応力調整材500を、水晶振動子400の熱歪応力が発生する領域に熱歪応力の方向に沿って配置した。これにより、水晶発振器100の使用温度の変化により発生する熱歪応力を、応力調整材500、水晶振動子400およびセラミックケース200に分散させることができ、水晶振動子400に集中することを抑制できる。従って、本実施形態に係る水晶発振器100は、温度変化によって発生する熱歪み応力が水晶振動子400に集中することを抑制でき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる。
なお、水晶振動子400として図3に示したランバート水晶原石のその他のカットを適用する場合も、(1)式を用いて熱歪応力がもっとも大きくなる方向の線熱膨張係数を求めることにより、応力調整材500の材料を最適に選択することができ、ヒステリシス特性の小さい水晶発振器を作ることができる。
また、応力調整材500を配置する位置は、水晶振動子400とセラミックケース200の熱膨張係数の差に起因して発生する熱歪応力を吸収できる位置であれば良く、水晶振動子400とセラミックケース200との間、水晶振動子400の上側、下側およびその両方等、水晶発振器100の構造や水晶発振器100の製造方法等に応じて適宜決定することができる。
<第2の実施形態の変形例>
第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態では、導電性接着材710、720を水晶振動子400の結晶軸の方向(Z’方向)に並べて塗布した場合の応力調整材500の線熱膨張係数および配置方法について説明した。本実施形態においては、導電性接着材710、720を水晶振動子400の結晶軸に対して角度φ方向に並べて塗布する場合の応力調整材500の線熱膨張係数および配置方法について考える。
第2の実施形態の変形例について説明する。第2の実施形態では、導電性接着材710、720を水晶振動子400の結晶軸の方向(Z’方向)に並べて塗布した場合の応力調整材500の線熱膨張係数および配置方法について説明した。本実施形態においては、導電性接着材710、720を水晶振動子400の結晶軸に対して角度φ方向に並べて塗布する場合の応力調整材500の線熱膨張係数および配置方法について考える。
この時の水晶発振器100Bの上面図を図5(a)に、図5(a)の水晶発振器100BをA−A’線で切断した時の断面図を図5(b)に示す。以下、第2の実施形態で説明した図2の水晶発振器100と異なる点を中心に説明する。
図5(a)に示すように、本実施形態に係る水晶振動子400Bは、第2の実施形態で説明した図2の水晶振動子400と同様に、ランバート水晶原石からATカットによって幅3.5mm、長さ6mm、厚さ83μmに切り出され、基本波で20MHzの振動周波数を有する。本実施形態に係る水晶振動子400Bは、上面電極410Bと下面電極420Bとの端部が、結晶軸の方向(Z’方向)に対して角度φだけずれていることから(Z”方向)、Z”方向に並列に塗布された導電性接着材730、740によって、セラミックケース200Bに片持ち固定される。
この場合、水晶発振器100Bの周囲温度が変化することにより、セラミックケース200Bと水晶振動子400Bとの接続領域には、Z”方向の熱歪応力が発生する。従って、本実施形態においては、水晶振動子400BのZ”方向の線熱膨張係数と略等しい熱膨張係数を有する応力調整材500Bを、水晶振動子400Bの上面の導電性接着材730、740が配置された領域に対応する領域に配置する。
応力調整材500Bとしては、例えば、図6に示すように、ATカットの水晶から角度φずらした水晶片を切り出して用いることができる。なお、図6に第2の実施形態で用いた応力調整材500を合せて示す。
さらに、応力調整材500Bの熱膨張係数を第2の実施形態で説明した式(1)を用いて算出することもできる。具体的には、水晶振動子400BのZ’軸方向の線熱膨張係数をAZ’、Z’軸に垂直な方向(ここではX方向)の線熱膨張係数をAx、Z’方向およびZ”方向が成す角度をφとすると、水晶振動子400BのZ”方向の線熱膨張係数AZ”の近似式は下記の式(2)となる。
AZ”=AZ’cos2φ+Axsin2φ 式(2)
すなわち、式(2)を用いて算出した線熱膨張係数AZ”の略等しい熱膨張係数を有する材料を用いて応力調整材500Bを形成すれば良い、
上記のように、水晶振動子400Bの導電性接着材730、740に対応する領域に、水晶振動子400BのZ”方向の線熱膨張係数と略等しい熱膨張係数を有する応力調整材500Bを、Z”方向が一致するように配置することにより、温度変化によって発生する歪み応力が水晶振動子400Bに集中することを抑制でき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる。
すなわち、式(2)を用いて算出した線熱膨張係数AZ”の略等しい熱膨張係数を有する材料を用いて応力調整材500Bを形成すれば良い、
上記のように、水晶振動子400Bの導電性接着材730、740に対応する領域に、水晶振動子400BのZ”方向の線熱膨張係数と略等しい熱膨張係数を有する応力調整材500Bを、Z”方向が一致するように配置することにより、温度変化によって発生する歪み応力が水晶振動子400Bに集中することを抑制でき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る水晶発振器において、機密封止のためのふたを取り除き、内部構造を見えるようにした時の上面図を図7(a)に、図7(a)の水晶発振器100をA−A’線で切断した時の断面図を図7(b)に示す。図7(a)、(b)において、水晶発振器100Cは、セラミックケース200C、ICチップ300C、水晶振動子400Cおよび応力調整材500Cによって構成される。
第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る水晶発振器において、機密封止のためのふたを取り除き、内部構造を見えるようにした時の上面図を図7(a)に、図7(a)の水晶発振器100をA−A’線で切断した時の断面図を図7(b)に示す。図7(a)、(b)において、水晶発振器100Cは、セラミックケース200C、ICチップ300C、水晶振動子400Cおよび応力調整材500Cによって構成される。
セラミックケース200Cは、上方と下方にそれぞれ空間が形成された配置面210Cを備える箱体である。セラミックケース200Cの配置面210Cの上面には応力調整材500Cを介して水晶発振器100Cが片持ち固定され、配置面210Cの下面にはICチップ300Cが接着固定されている。
応力調整材500Cは、セラミックケース200Cの配置面210Cの上面に、非導電性接着剤830を用いて接着固定されている。そして、応力調整材500Cの上面に、水晶振動子400Cが片持ち固定されている(片持ち梁構造)。本実施形態に係る水晶振動子400Cは、導電性接着材750および非導電性接着剤840によって、応力調整材500Cに片持ち固定される。具体的には、上面電極410Cが配置されている領域に対応する水晶振動子400Cの下面は非導電性接着剤840によって、水晶振動子400Cの下面電極420Cは導電性接着材750によって、応力調整材500Cの上面にそれぞれ接着固定されている。
ここで、セラミックケース200Cの配置面210Cの上面および下面にはそれぞれ、図7(a)、(b)には図示されない所定の配線が形成されている。そして、セラミックケース200Cの配置面210Cの下面に形成された配線は、金ワイヤ610Cを介してICチップ300Cと接続されている。一方、セラミックケース200Cの配置面210Cの上面に形成された配線は、金ワイヤ620を介して水晶振動子400Cの上面電極410Cと、金ワイヤ630および電性接着材750を介して水晶振動子400Cの下面電極420Cと、それぞれ接続されている。
なお、本実施形態に係る水晶振動子400Cは、第2の実施形態で説明した水晶振動子400をそのまま用いることができる。すなわち、水晶振動子400Cは、幅3.5mm、長さ6mm、厚さ83μmに形成され、基本波で20MHzの振動周波数を有する。また、水晶振動子400CのZ軸に垂直な方向の線熱膨張係数は7.97×10−6(7.97ppm)、Z’軸方向の線熱膨張係数は11.57×10−6(11.57ppm)である。
一方、本実施形態においては、応力調整材500Cとして、鉄材の表面にニッケルメッキと金フラッシュメッキを付けた部材を適用する。鉄の熱膨張係数は、11.7×10−5(11.7ppm)であり、水晶振動子400CのZ’軸方向の線熱膨張係数11.57×10−6(11.57ppm)と近い値になっている。
上記のように構成された水晶発振器100Cは、水晶振動子400Cにおいて熱歪応力が大きくなるZ’方向の線熱膨張係数と近い熱膨張係数を有する部材(鉄材の表面にニッケルメッキと金フラッシュメッキを付けた部材)で応力調整材500Cを形成し、この応力調整材500Cをセラミックケース200Cと水晶振動子400Cとの接続領域(導電性接着材750および非導電性接着剤840を内包する領域)に貼り付けた。応力調整材500Cの熱膨張係数と、水晶振動子400の熱歪方向(Z’方向)の線熱膨張係数とはほぼ一致するため、水晶発振器100Cの使用温度の変化により発生する熱歪応力を、応力調整材500C、水晶振動子400Cおよびセラミックケース200Cに分散させることができ、水晶振動子400Cへ集中することを抑制することができる。
従って、本実施形態に係る水晶発振器100Cも第2の実施形態で説明した図2の水晶発振器100と同様に、周波数温度特性のヒステリシスの原因の一つである支持構造の熱歪変化を小さくでき、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる。
上述のように、水晶振動子400、400B、400Cの、発生する熱歪方向の線熱膨張係数と略等しい熱膨張係数を有する部材で応力調整材500、500B、500Cを形成し、この応力調整材500、500B、500Cを水晶振動子400、400B、400Cの熱歪応力が発生する領域に熱歪応力の方向に沿って配置することにより、周波数温度特性のヒステリシスを低減させることができる。本技術は、水晶発振器の中でも高い安定度が要求されるTCXO、OCXO等に使われる水晶発振器に適用されることが有効である。
本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
10 水晶発振器
20 水晶振動子
30 支持部材
40 接着部材
50 応力調整部材
100 水晶発振器
200 セラミックケース
300 ICチップ
400 水晶振動子
410 上面電極
420 下面電極
500 応力調整材
610、620、630 金ワイヤ
710、720、730、740、750 導電性接着材
810、820、830、840 非導電性接着剤
20 水晶振動子
30 支持部材
40 接着部材
50 応力調整部材
100 水晶発振器
200 セラミックケース
300 ICチップ
400 水晶振動子
410 上面電極
420 下面電極
500 応力調整材
610、620、630 金ワイヤ
710、720、730、740、750 導電性接着材
810、820、830、840 非導電性接着剤
Claims (8)
- 線熱膨張係数に異方性を有する長方形型の水晶振動子と、
前記水晶振動子を片持ち支持する支持部材と、
前記水晶振動子の一方の面に所定方向で塗布され、前記水晶振動子を前記支持部材に固定する接着部材と、
前記所定方向の熱膨張係数が前記水晶振動子の前記所定方向の線熱膨張係数と略等しく、前記水晶振動子の他方の面の前記接着部材が塗布された領域と対応する領域に配置された応力調整部材と、
を備える水晶発振器。 - 前記支持部材は、前記水晶振動子の前記所定方向の線熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する、請求項1に記載の水晶発振器。
- 前記所定方向が前記水晶振動子の短辺方向であり、
前記水晶振動子が、Y方向の線熱膨張係数がAY、Z方向の線熱膨張係数がAZの水晶材からZ軸から回転角度θで切り出された、X軸と並行な面を有する水晶片である場合、
前記水晶振動子の前記所定方向の線熱膨張係数AZ’は、AZ’=AZcos2θ+AYsin2θである、
請求項1または2に記載の水晶発振器。 - 前記応力調整部材は、Y方向の線熱膨張係数がAY、Z方向の線熱膨張係数がAZの水晶材からZ軸から回転角度θで切り出され、X軸と並行な面を有するATカットの水晶部材である、請求項3に記載の水晶発振器。
- 前記応力調整部材は、鉄材によって形成される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水晶発振器。
- 前記接着部材は前記所定方向に並列配置された導電性の第1接着部材および第2接着部材を含み、
前記支持部材には所定の配線が形成され、
前記水晶振動子の上面には上面電極が、下面には下面電極が配置され、
前記上面電極は前記第1接着部材を介して前記配線と接続され、前記下面電極は前記第2接着部材を介して前記配線と接続される、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水晶発振器。 - 前記応力調整部材は、前記水晶振動子の他方の面に配置される代わりに、前記接着部材と前記支持部材との間に配置される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水晶発振器。
- 前記接着部材は前記所定方向に並列配置された非導電性の第3接着部材および導電性の第4接着部材を含み、
前記支持部材には所定の配線が形成され、
前記水晶振動子の上面には上面電極が、下面には下面電極が配置され、
前記上面電極は接続部材を介して前記配線と接続され、前記下面電極は前記第4接着部材および前記応力調整部材を介して前記配線と接続される、
請求項7に記載の水晶発振器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015126511A JP2017011560A (ja) | 2015-06-24 | 2015-06-24 | 水晶発振器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015126511A JP2017011560A (ja) | 2015-06-24 | 2015-06-24 | 水晶発振器 |
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JP2017011560A true JP2017011560A (ja) | 2017-01-12 |
Family
ID=57764154
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015126511A Pending JP2017011560A (ja) | 2015-06-24 | 2015-06-24 | 水晶発振器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017011560A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108023566A (zh) * | 2016-10-28 | 2018-05-11 | 日本电波工业株式会社 | 压电元件 |
-
2015
- 2015-06-24 JP JP2015126511A patent/JP2017011560A/ja active Pending
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