以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図面は、模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。便宜上、層上の部分(すなわち断面でない面)にハッチングを付すことがある。
本開示の水晶デバイスおよび水晶素子は、いずれも上方または下方とされてよいものであるが、以下では、図1および図2の紙面の情報を上方とし、上面または下面等の用語を用いることがある。また、単に平面視という場合において、特に断りがない限りは、上記のように便宜的に定義した上下方向においてみることとする。
<実施形態>
図1〜図8は、本実施形態に係る図である。図1〜図3は、水晶デバイスに関する図であり、図1は、水晶デバイスの斜視図であり、図2は、図1のA−A断面におおける段目図である。また、図3は、水晶デバイスの分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る水晶デバイスで用いる水晶素子の平面図である。図5は、本実施形態に係る水晶デバイスで用いる介在部の平面図である。図6は、本実施形態に係る水晶デバイスにおいて、基体に介在部を実装した状態を示す図である。図7は、本実施形態に係る水晶デバイスにおいて、介在部に水晶素子を実装した状態を示す図であり、図8は、金属パターンを設けていない水晶素子(水晶片)を介在部に実装した状態を示す図である。
水晶デバイスは、全体として、略直方体形状となっている電子部品である。水晶デバイスは、例えば、長辺または短辺の長さが、0.6mm〜10.0mmであり、上下方向の厚みが、0.2mm〜3.2mmとなっている。
水晶デバイスは、例えば、凹部が形成さえている基体110と、基体110に収容される水晶素子120および介在部150と、凹部を塞ぐ蓋体130と、を主に備えている。また、水晶デバイスは、搭載部材141により基体110に介在部150が実装されており、接続部材142により介在部150上に水晶素子120が実装されている。
(基体の説明)
基体110は、例えば、基体110の主体となる基板部110aと、基板部110aの上面の縁部に沿って設けられている枠部110bと、一対の搭載パッド111と、複数の実装端子112と、を有している。
基板部110aは、介在部150を実装するためのものである。基板部110aは、略薄型直方体形状となっている。基板部110aは、上面に一対の搭載パッド111が設けられており、下面に複数の実装端子112が設けられている。また、基板部110aには、特に図示しない内部配線(基板部110aの表面に露出しているものも含む)が複数設けられており、内部配線のうち所定の二つは、基板部110aの上面に設けられている搭載パッド111と基板部110aの下面に設けられている所定の二つの実装端子112とをそれぞれ電気的に接続している。
ここで、基板部110aの上面とは、介在部150が実装される面のことをさし、基板部110aの下面とは、基板部110aの上面と反対側を向く基板部110aの面をさす。
枠部110bは、水晶素子120および介在部150を基体110内に収容する空間を形成するためのものであり、基板部110aの上面の縁部に沿って枠状に設けられている。また、枠部110bは、基板部110aと一体的に形成されている。
搭載パッド111は、枠部110b内であって基板部110aの上面に設けられている。このとき、搭載パッド111は、例えば、基板部110aの一方の短辺の縁部に沿って二つ並んで設けられている。
実装端子112は、水晶デバイスを付図示の回路基板等に実装するためのものであり、基板部110aの下面に複数設けられている。実装端子112は、例えば、四つ設けられており、基板部110aの下面の四隅に配置されている。
内部配線(図示せず)は、基板部110aに複数設けられている。内部配線のうち所定の二つは、基板部110aの上面に設けられている一対の搭載パッド111と基板部110aの下面に設けられている所定の二つの実装端子112とをそれぞれ電気的に接続させている。なお、内部配線は、基板部110aの表面に露出していてもよい。また、内部配線が基板部110aに二つしか設けられていない場合には、一対の搭載パッド111と所定の二つの実装端子112とを電気的に接続している。内部配線が三つ以上ある場合には、所定の他の一つの内部配線は、枠部110b内にまで延設され、基板部110aの下面に設けられている所定の他の一つの実装端子112と、枠部110bの上面に接合される蓋体130とを電気的に接続している。
(介在部の説明)
図5は、本実施形態に係る水晶デバイスで用いる介在部150の平面図である。図5(a)は、本実施形態に係る水晶デバイスで用いる介在部150の上面の平面図であり、図5(b)は、本実施形態に係る水晶デバイスで用いる介在部150の下面を上面側から平面透視した平面図である。従って。図5(a)は、水晶素子120が実装される介在部150の面であり、図5(b)は、基板部110aに実装される介在部150の面である。図6は、介在部150と基体110との状態をわかりやすく説明するための図であり、図7および図8は、介在部150と水晶素子120との状態をわかりやすく説明するための図である。
介在部150は、互いに直交しているX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸)からなる結晶軸を有している水晶部材が用いられ、略薄型平板状となっている。介在部150の主面は、水晶素子120の水晶片121の主面と同じカットアングルとなっており、例えば、水晶において、X軸、Y軸およびZ軸からなる直交座標系を、X軸回りに30°以上50°以下(一例として、35°15′)回転させて、直交座標系XY´Z´系を定義したとき、XZ´平面をと平行となっている。介在部150の主面は、例えば、短辺がZ´軸に平行となっており長辺がX軸に平行となっている矩形となっている。
また、介在部150の主面の大きさは、後述する水晶素子120の主面の大きさと異なっており、介在部150の主面は水晶素子120の主面よりも大きくなっている。このため、図8に示したように、介在部150の他方の短辺の縁部に設けられている接続パッド152に水晶素子120の接続部124aを接続部材142によって電気的に接続しつつ固着し、介在部150の上面に水晶素子120を実装し、水晶素子120の上面側から平面視すると、介在部150の面中心C150が水晶素子120の面中心C120と重ならない。また、このとき、水晶素子120の面中心C120は、介在部150の面中心C150と介在部150の接続パッド152との間に位置している。
このように、介在部150の主面と水晶素子120の主面の大きさを異なるようにし、水晶素子120の面中心C120が介在部150の面中心C150と介在部150の接続パッド152との間に位置させることで、介在部150と水晶素子120の固有周波数を異なるようにすることが可能となる。この結果、水晶素子120の金属パターン122に交番電圧が印可されたときに生じる水晶素子120の振動が、接続部材142を介し介在部150へ伝搬したとしても、介在部150と水晶素子120の固有振動数が異なるため、介在部150と水晶素子120の固有振動数が同じことによる介在部150の共振を低減させることが可能となる。従って、介在部150と水晶素子120とが共振することによる水晶デバイスの電気的特性が低下することを抑制させることができる。なお、介在部150の固有振動数および水晶素子120の固有振動数には、水晶素子120の金属パターン122に交番電圧を印可したときに生じる、主振動である厚みすべり振動の周波数、副次的な振動である輪郭振動の周波数および別の副次的な振動である屈曲振動の周波数などがあり、上記のようにすることで、それぞれの固有振動周波数を異なるものとしている。
また、介在部150の上下方向の厚みは、例えば、水晶素子120の水晶片121の上下方向の厚みより厚くなっている。このようにすることで、本実施形態に係る水晶デバイスでは、介在部150の下面であって介在部150の一方の短辺の両端部を搭載部材141によって固着し片持ち保持しつつ、介在部150の上面であって介在部150の他方の短辺の両端部に接続部材142によって水晶素子120を片持ち保持した状態にしているので、このようにすることで、水晶素子120の自重による撓みにより介在部150の下面であって介在部150の他方の短辺が基体110の基板部110aに接触することを低減させることができる。この結果、介在部150の下面であって介在部150の他方の短辺が基体110の基板部110aに接触することで介在部150から水晶素子120に意図しない応力が加わり水晶デバイスの電気的特性が低下することを抑制することが可能となる。
介在部150の主面とは、介在部150において最も広い面積を有する面のことをさす。また、介在部150を基体110の基板部110a上に実装したとき、基板部110a側を向く介在部150の主面を介在部150の下面とし、介在部150の下面と反対側を向く介在部150の主面を介在部150の上面とする。
また、介在部150の上面を平面視、および、介在部150の下面を上面側から平面透視した場合に、介在部150の面中心C150(具体的には、介在部150を平面して対角線の交点)を通過する介在部150の短辺に平行な仮想線CL1に対して、介在部150の一方の短辺を含む部分を第一領域A1とし、介在部150の他方の短辺を含む部分を第二領域A2とする。ここで、介在部150の一方の短辺とは、一対の搭載端子151が並んで設けられている短辺のことをさす。
介在部150は、介在部150の下面に一対の搭載端子151が設けられており、介在部150の上面に一対の接続パッド152が設けられている。また、介在部150には、搭載端子151と接続パッド152とを電気的に接続するための導電部153が設けられている。また、介在部150には、溝部154が形成されている。
搭載端子151は、基板部110aの上面に設けられている搭載パッド111と対向する位置であって、介在部150の下面の一方の短辺に沿って設けられている。従って、搭載端子151は、介在部150の第一領域A1に設けられている。また、搭載端子151は、搭載部材141によって基板部110aの上面に設けられている搭載パッド111と電気的に接続されている。
また、介在部150の下面を平面透視したとき、介在部150の面中心C150を通過する介在部150の長辺に平行な仮想線CL2に対して、一対の搭載端子151は、線対称となるように位置している。従って、一対の搭載端子151は、介在部150の短辺に平行、別の観点では、Z´軸に平行になるように二つ並んで配置されている。
接続パッド152は、介在部150の上面に水晶素子120を実装するためのものであり、水晶素子120の接続配線部124の一部、具体的には、接続部124aと対向する位置に設けられている。また、接続パッド152は、接続部材142によって水晶素子120の接続部124aと電気的に接続されている。
このとき、接続パッド152が並んでいる軸方向と水晶素子120の接続部124aが並んでいる軸方向とは、同じ方向となっている。具体的には、一対の接続パッド152が並んでいる方向がZ´軸に平行となっている場合、水晶素子120の接続部124aが並んでいる方向もZ´軸に平行となっている。水晶素子120の水晶片121のカットアングルと介在部150のカットアングルとは同じとなっているので、Z´軸は平行となっている。接続パッド152は、例えば、介在部150の上面であって、介在部150の他方の短辺の縁部に沿って二つ並んで設けられている。
また、介在部150の上面を平面視したとき、介在部150の面中心C150を通過する介在部150の長辺に平行な仮想線CL2に対して、一対の接続パッド152は、線対称となるように位置している。また、介在部150の下面を上面側から平面透視したとき、介在部150の面中心C150を通過する介在部150の長辺に平行な仮想線CL2に対して、一対の搭載端子151は、線対称となるように位置している。
導電部153は、搭載端子151と接続パッド152とを電気的に接続するためのものであり、一端が搭載端子151に接続されており、他端が接続パッド152に接続されている。また、例えば、導電部153の一部は、介在部150の下面と介在部150の上面とを電気的に接続させるための、特に図示しないが、ビアまたはスルーホールとなっている。なお、本実施形態では、介在部150の下面に設けられている導電部153と介在部150の上面に設けられている導電部153とを電気的に接続させるためにビアまたはスルーホールが設けられている場合について説明しているが、介在部150の下面に設けられている導電部153と介在部150の下面に設けられている導電部153とを電気的に接続させることができれば、介在部150の側面に導電部153の一部を設けてもよい。
溝部154は、介在部150を平面視して、搭載端子151と接続パッド152と間の、第二領域A2に形成されている。従って、溝部154は、介在部150を平面視したとき、仮想線CL1と接続パッド152との間に形成されているといえる。
溝部154は、介在部150の上面側に形成されており、その上下方向の深さは、介在部150の上下方向の厚みの半分以上の深さ、または、介在部150の上面から下面へ貫通している。
水晶素子120が介在部150に実装されているとき、水晶素子120の上面から平面視したとき、介在部150に形成されている溝部154と水晶片121とが重なっている溝部154の形状は、X軸に平行な二辺とZ´軸に平行な二辺からなる略矩形形状となっている。このとき、所定の二辺の長さは、水晶素子120の水晶片121の短辺の長さの0.3倍以上0.5倍未満の長さとなっている。
ここで、水晶素子120が介在部150の上面に実装されているとき、水晶素子120の上面から平面視して、介在部150に形成されている溝部154と水晶片121とが重なっている溝部154の部分を、溝部154の重なっている部分と説明することがある。
溝部154は、例えば、介在部150に二つ形成されている。水晶素子120が介在部150に実装されているとき、それぞれの溝部154の重なっている部分は、ほぼ同じ形状となっている。また、水晶片121の面中心(水晶片121の対角線の交点)を通過する水晶片121の長辺に平行な中心線CL2に対して線対称となっている。
このような介在部150は、基体110の基板部110aの上面に、搭載部材141によって実装されており、そして、この介在部150の上面に接続部材152によって水晶素子120が実装されている。別の観点では、介在部150は、基体110の基板部110aと水晶素子120との間に配置されているといえる。
(搭載部材の説明)
搭載部材141は、介在部150を基体110の基板部110a上に実装するためのものであり、図2に示すように、基体110の基板部110aの上面と介在部150の下面との間に位置している。このとき、図6に示すように、介在部150の上面側から平面透視した場合、搭載部材141は、介在部150の第一領域A1内に設けられている。
搭載部材141は、例えば、第一搭載部材141a、第二搭載部材141bおよび第三搭載部材141cからなる。
第一搭載部材141aおよび第二搭載部材141bは、図示したように、介在部151を基体110の基板部110a上に実装しつつ、介在部150の下面に設けられている搭載端子151と基板部110aの上面に設けられている搭載パッド111とを電気的に接続している。従って、第一搭載部材141aおよび第二搭載部材141bは、第一領域A1内であって介在部150の搭載端子151と基板部110aの搭載パッド111との間に位置している搭載部材141である。
第一搭載部材141aおよび第二搭載部材141bは、例えば、導電性接着剤またはバンプが用いられる。導電性接着剤は、導電性フィラーが熱硬化性樹脂に混ぜ込まれたものである。バンプは、例えば、金、半田等が用いられる。
第三搭載部材141cは、介在部150を基板部110a上に実装したとき、介在部150の下面と基板部110aの上面とが略平行となるようにするためのものである。第三搭載部材141cは、例えば、図示しているように、基板部110aの上面と介在部150の下面との間であって、平面視したとき、介在部150の第一領域A1内であって介在部150の面中心に近い位置に位置している。
第三搭載部材141cは、例えば、導電性接着剤、絶縁性接着剤またはバンプが用いられる。導電性接着剤は、導電性フィラーが熱硬化性樹脂に混ぜ込まれたものであり、絶縁性接着剤は、導電性フィラーが混ぜ込まれていない熱硬化性樹脂である。バンプは、例えば、金、半田等が用いられる。
従って、第一搭載部材141a、第二搭載部材141bおよび第三搭載部材141cからなる搭載部材141は、介在部150が基体110の基板部110a上に実装されているとき、介在部150の下面であって介在部150の第一領域A1と、基板部110aの上面との間に位置している。
なお、本実施形態では、搭載部材141が第一搭載部材141a、第二搭載部材141bおよび第三搭載部材141cからなる場合について説明しているが、基板部110a上に介在部150を実装することができ、介在部150の下面であって介在部150の第一領域A1に位置していれば、例えば、搭載部材141が四つからなっていてもよい。
また、本実施形態では、第一搭載部材141aおよび第二搭載部材141bが搭載パッド111と搭載端子151との間に位置している場合について説明しているが、搭載端子151と搭載パッド111とを電気的に接続することができれば、例えば、搭載端子151が介在部150の上面に設けられており、この搭載端子151と搭載パッド111とがワイヤ等により電気的に接続させることができる状態になっていれば、第一搭載部材141aおよび第二搭載部材141bは、絶縁性接着剤であっても構わない。
(水晶素子の説明)
図4は、本実施形態に係る水晶デバイスで用いる水晶素子に関する図である。図4(a)は、本実施形態に係る水晶デバイスで用いる水晶素子の上面を平面視した平面図である。図4(b)は、本実施形態で係る水晶デバイスで用いる水晶素子の下面を上面側から平面透視した平面図である。従って、図4(a)は、介在部150上に水晶素子120を実装したとき、介在部150の上面と反対側を向く水晶素子120の面であり、図4(b)は、介在部150側を向く水晶素子120の面である。
水晶素子120は、介在部150の上面に実装されている。本実施形態では、基体110の基板部110aの上面と略平行となっている水晶素子120の面を水晶素子120の主面とする。また、水晶素子120から基板部110aへ向かう向きを下方向とし、基板部110aから水晶素子120へ向かう向きを上方向とする。
また、介在部150の上面を向く水晶素子120の主面を水晶素子120の下面とし、水晶素子120の下面と反対側を向く水晶素子120の主面を水晶素子120の上面とする。また、本実施形態では、水晶素子120の主面を水晶片121の主面と同一の意味で用いている。同様に、水晶素子120の下面と水晶片121の下面とを同一の意味で用いており、水晶素子120の上面と水晶片121の上面とを同一の意味で用いている。
水晶素子120は、発振信号が生成される振動を生じさせる部分である。また、水晶素子120は、前述したように、介在部150の上面に実装されており、基体110および蓋体130により形成される空間内に、真空または適当なガス(例えば、窒素)雰囲気中に封入されている。
水晶素子120は、水晶片121と金属パターン122とから構成されている。
水晶片121は、例えば、いわゆるATカット板である。すなわち、水晶において、X軸(電気軸)、Y軸(機械軸)およびZ軸(光軸)からなる直交座標系XYZ系を、X軸回りに30°以上50°以下(一例として、35°15′)回転させて、XY´Z´系を定義したとき、水晶片121の主面は、XZ´平面と平行となっている。水晶片121の平面における形状は、例えば、矩形となっている。このとき、水晶片121は、長辺がX軸に平行となっており、短辺がZ´軸と平行となっている。
水晶片121の上下方向の厚みは、厚みすべり振動について所望の固有周波数に基づいて設定される。例えば、基本波振動を用いる場合において、固有振動数をF(MHz)とすると、この固有振動数Fに対応する水晶片121の厚みt(μm)を求める基本式は、t=1670/Fである。なお、実際には、水晶片121の厚みは、励振電極部123の重さ等も考慮して、基本式の値から微調整された値となる。
水晶片121の各種寸法は、等価直列抵抗値の低減等の種々の観点から、シミュレーションレーション計算および実験等に基づいて適宜設定されてよい。一例をあげると、例えば、長辺または短辺の長さが、0.5(mm)〜9.0(mm)であり、厚さが40(μm)〜100(μm)である。
このような水晶片121に設けられている金属パターン122は、水晶素子120の外部から交番電圧を印可するためのものである。金属パターン122は、一層となっていてもよいし、複数の金属層が積層されていてもよい。金属パターン122は、特に図示しないが、例えば、第一金属層および第一金属層上に積層されている第二金属層とからなる。
第一金属層は、水晶と密着性のよい金属が用いられる。例えば、ニッケル、クロム、ニクロムまたはチタンのいずれか一つが用いられる。このように水晶と密着性のよい金属を用いることで、水晶と密着しにくい金属材料を第二金属層に用いることができる。
第二金属層は、金属材料の中で、電気抵抗率が低く、安定した材料が用いられる。第二金属層は、例えば、金、金を主成分とする合金、銀または銀を主成分とする合金のいずれか一つが用いられる。電気抵抗率が低い金属を第二金属層に用いることで、金属パターン122自身の抵抗率を小さくすることができ、この結果、水晶素子120の等価直列抵抗値が大きくなることを低減させることが可能となる。また、安定した金属材料を第二金属層に用いることで、水晶素子120が存在する周囲の空気と金属パターン122とが反応し、金属パターン122の重さが変化することを低減させることができる。この結果、金属パターン122の重さが変化することで生じる水晶素子120の周波数の変化を抑制することができ、電気的特性を安定させることが可能となる。
金属パターン122は、励振電極部123と接続配線部124とからなる。そして、この接続配線部124は、接続部124aおよび配線部124bを有している。
励振電極部123は、水晶片121に交番電圧を印可するためのものである。励振電極部123は、一対となっており、水晶片121の両主面の中央付近に、互いが対向するように設けられている。また、励振電極部123は、平面視して、例えば、略矩形となっている。
接続配線部124は、水晶素子120の外部から励振電極部123へ交番電圧を印可するためのものである。また、接続配線部124は、前述したように、接続部124aと配線部124bとからなる。
接続部124aは、水晶素子120を水晶デバイスとして用いる場合、介在部150に実装するためのものであり、介在部150の上面に設けられている接続パッド152と接続部材142によって電気的に接続される。従って、接続部124aは、介在部150の搭載パッド152と対向する位置に設けられている。また、接続部124aは、例えば、平面視して、水晶片121の一方の短辺の縁部に沿って二つ並んで設けられている。
上述したように、接続部124aが介在部150の接続パッド152と対向する位置に設けられているので、水晶素子120を介在部150の上面に実装した状態で、水晶素子120の上面側から平面透視したとき、接続部124aおよび接続パッド152は、介在部150の第二領域A2に位置しているといえる。
一対の接続部124aが並んでいる方向と水晶片121の結晶軸との位置関係は、一対の接続パッド152が並んでいる方向と介在部150における結晶軸との位置関係と同じとなっている。具体的には、一対の接続パッド152が並んでいる方向がZ´軸に平行となっている場合、水晶素子120の接続部124aが並んでいる方向もZ´軸に平行となっている。水晶素子120の水晶片121のカットアングルと介在部150のカットアングルとは同じとなっているので、Z´軸は平行となっている。
配線部124bは、接続部124aと励振電極部123とを電気的に接続するためのものであり、一端が接続部124aに接続されており、他端が励振電極部123に接続されている。
(接続部材の説明)
接続部材142(142a、142b)は、図2および図7に示すように、水晶素子120の介在部150の上面に実装しつつ、水晶素子120の接続部124aと介在部150の接続パッド152とを電気的に接続するためのものである。従って、接続部材142は、介在部150の上面に設けられている接続パッド152と、水晶素子120の接続部124aとの間に位置している。前述したように、接続パッド152は、介在部150の第二領域A2に設けられているの、別の観点では、接続部材142は、介在部150の第二領域A2に設けられているといえる。
また、接続部材142は、第一接続部材142aおよび第二接続部材142bからなる。第一接続部材142aは、介在部150の上面であって介在部150の他方の短辺の一端側に設けられている接続パッド152と、水晶素子120の一対の接続部124aのうち一方の接続部124aとの間に設けられている。第二接続部材142bは、介在部150の上面であって介在部150の他方の短辺の他端側に設けられている接続パッド152と、水晶素子120の接続部124aのうち他方の接続部124aとの間に設けられている。
第一接続部材142aおよび第二接続部材142bは、例えば、導電性接着剤またはバンプが用いられる。導電性接着材は、導電性フィラーが熱硬化性樹脂に混ぜこまれたものである。バンプは、例えば、金、半田等が用いられる。
(蓋体の説明)
蓋体130は、基体110の凹部空間内に収容されている介在部150および水晶素子120を気密封止するためのものであり、基体110の上面にシーム溶接等により接合されている。また、蓋体130は、例えば、金属から構成されており、薄型直方体形状となっている。
このように構成された水晶デバイスは、例えば、不図示の回路基板の実装面に基体110の下面を対向させて配置され、実装端子112が半田などにより回路基板の実装パッド(図示せず)に接合されることによって回路基板に実装される。回路基板には、例えば、発振回路が構成されている。発振回路によって、実装端子112、内部配線(図示せず)、搭載パッド111、搭載部材141、搭載端子151、導電部153、接続パッド152、接続部材142および接続配線部124を介して励振電極部123に交番電圧を印可し、発振信号を生成する。この際、発振回路は、例えば、水晶片121の厚みすべり振動のうち基本波振動を利用する。オーバートーン振動が利用されてもよい。
以上のことから、本実施形態に係る水晶デバイスは、平板状に形成されている水晶片121と、水晶片121の両主面に設けられている一対の励振電極部123および励振電極部123から水晶片121の縁部まで延設されている接続配線部124からなる金属パターン122と、金属パターン122の接続配線部124の一部に接続される接続パッド152が上面に設けられ、接続パッド152と電気的に接続されている搭載端子151が下面に設けられている介在部150と、介在部150の搭載端子151に接続される搭載パッド111が上面に設けられている基板部110aを主体とする基体110と、基体110に接合される蓋体130と、を備え、平面視して、介在部150の面中心C150が、搭載端子151と接続パッド154との間に位置しており、水晶素子120の面中心C120が、介在部150の面中心C150と接続パッド152との間に位置している。
水晶素子120の水晶片121の主面の大きさを一定とした場合、このようにすることで、介在部150の搭載端子151と(基体110の)基板部110aの搭載パッド111とが搭載部材141により電気的に接続されつつ固着される部分から、介在部150の接続パッド152と水晶素子120の接続部124aとが接続部材142によって電気的に接着されつつ固着される部分までの距離を、より長くすることができる。この結果、基体110の基板部110aと介在部150の一方の短辺の縁部側を搭載部材141により固着したことが原因で生じる介在部150の他方の短辺の縁部側の歪、具体的には、基板部110aと介在部150の熱膨張率の差や搭載部材141の硬化時の収縮における介在部150の他方の短辺の縁部側の歪を低減させることができ、水晶素子120に意図しない応力や歪が加わることを低減させ、水晶デバイスの電気的特性を向上させることが可能となる。
また、介在部150上に水晶素子120を実装し、水晶素子120の上面側から平面視して、介在部150の面中心C150が、水晶素子120の面中心C120と重ならないようにすることで、水晶素子120の振動により介在部150が意図しない振動をすることを抑制させることができる。この結果、介在部150の意図しない振動により水晶素子120に意図しない歪が加わることを低減させることが可能となるので、水晶デバイスの電気的特性を向上させることが可能となる。
また、このように、介在部150の主面と水晶素子120の主面の大きさを異なるようにし、水晶素子120の面中心C120が介在部150の面中心C150と介在部150の接続パッド152との間に位置させることで、介在部150と水晶素子120の固有周波数を異なるようにすることが可能となる。この結果、水晶素子120の金属パターン122に交番電圧が印可されたときに生じる水晶素子120の振動が、接続部材142を介し介在部150へ伝搬したとしても、介在部150と水晶素子120の固有振動数が異なるため、介在部150と水晶素子120の固有振動数が同じことによる介在部150の共振を低減させることが可能となる。従って、介在部150と水晶素子120とが共振することによる水晶デバイスの電気的特性が低下することを抑制させることができる。なお、介在部150の固有振動数および水晶素子120の固有振動数には、水晶素子120の金属パターン122に交番電圧を印可したときに生じる、主振動である厚みすべり振動の周波数、副次的な振動である輪郭振動の周波数および別の副次的な振動である屈曲振動の周波数などがあり、上記のようにすることで、それぞれの固有振動周波数を異なるものとしている。
また、別の観点では、本実施形態に係る水晶デバイスは、平面視して、水晶素子120の面中心C120から介在部150の接続パッド152までの距離D2が、水晶素子120の面中心C120から介在部150の搭載端子151までの距離D1と比較して短くなっているといえる。
水晶素子120の水晶片121の主面の大きさを一定とした場合、このようにすることで、介在部150の搭載端子151と(基体110の)基板部110aの搭載パッド111とが搭載部材141により電気的に接続されつつ固着される部分から、介在部150の接続パッド152と水晶素子120の接続部124aとが接続部材142によって電気接着接続されつつ固着される部分までの距離と、介在部150の接続パッド152と水晶素子120の接続部124aとが接続部材142によって電気的に接続されつつ固着される部分から水晶素子120の面中心C120までの距離と、を合計した距離を、より長くすることができる。水晶素子120は、前述したように、金属パターン122に交番電圧を印可したとき、励振電極部123の中心、つまり、水晶素子120の面中心C120付近で最も振動している。このようにすることで、最も振動している水晶素子120の面中心C120を、介在部150と基体110の基板部110aとを固着している位置からより遠ざけることができる。さらに、基体110の基板部110aと介在部150の一方の短辺の縁部側を搭載部材141により固着したことが原因で生じる、水晶素子120の振動阻害を低減させることができ、水晶素子120に意図しない応力や歪が加わることを低減させ、水晶デバイスの電気的特性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る水晶デバイスは、平面視して、介在部150および水晶片121が略矩形となっており、水晶素子120の面中心C120が、介在部150の面中心C150を通過する介在部150の長辺に平行な仮想線CL2上に位置している。
また、別の観点では、本実施形態に係る水晶デバイスは、搭載端子151は、介在部150の面中心C150を通過しつつ介在部150の長辺に平行な仮想線CL2に対して線対称となる位置に設けられており、接続パッド152は、介在部150の面中心C150を通過しつつ介在部150の長辺に平行な仮想線CL2に対して線対称となる位置に設けられているといえる。
このようにすることで、搭載部材141により介在部150を基体110の基板部110a上に実装した場合に生じる水晶素子120への応力や歪に着目したとき、一対となっている水晶素子120の(金属パターン122の)接続部124aにおいて、発生する応力や歪の量をほぼ一定にすることが可能となる。この結果、水晶素子120の保持状態が一定となり、水晶片121で生じる厚みすべり振動が阻害されず、電気的特性が低下することを抑制することが可能となる。
本発明は、以下の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
水晶素子を有する水晶デバイスは、水晶振動子に限定されない。例えば、水晶素子に加えて水晶素子に電圧を印可し発振信号を生成する集積回路素子(IC)を有する水晶発振器であってもよい。また、例えば、水晶でアイスは、水晶素子の他にサーミスタ等の電子素子を有する水晶デバイスであってもよい。また、例えば、水晶デバイスは、恒温槽付きのものであってもよい。水晶デバイスにおいて、水晶素子を実装する基体の構造は、適宜構成されてもよい。例えば、基体は、上面および下面に凹部を有する断面H型形状であってもよい。
水晶素子は、AT板であってもよいし、SC板であってもよい。
また、励振電極部の形状は限定されず、例えば、楕円または円形であってもよい。