JP2017008835A - エンジンバルブ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 断熱性が高く、エンジンバルブの傘裏に形成されたガラスコート層が金属基材から剥離しにくいエンジンバルブを提供する。【解決手段】 傘部と軸部とからなるエンジンバルブであって、前記エンジンバルブを構成する金属基材と、前記金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分に形成され、その一部が露出した状態のガラスコート層と、前記ガラスコート層の表面の一部に、前記ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されたセラミック部材とからなることを特徴とする、エンジンバルブ。【選択図】 図1

Description

本発明は、エンジンバルブ及びその製造方法に関する。
エンジンを搭載した自動車等の車両では、エンジン部分で大きな熱が発生するが、発生した熱はエンジン部材を介して周囲に拡散し易く、必ずしも発生した熱を充分に利用しきれていないのが現状である。
そこで、エンジンに発生する熱を有効に利用し、燃費等の特性をより向上させようとする研究が盛んに行われており、熱ロスの低減に向け、エンジンバルブの断熱化を図る試みが行われている。
特許文献1には、エンジンバルブの断熱を図る技術であってバルブの傘表面及び傘裏面にセラミックスや合金を溶射して皮膜を形成する技術が開示されている。特許文献2には、断熱性を図る技術であって金属からなる基材に塗布するための排気系部品用塗料が開示されている。
特開2003−307105号公報 国際公開第2014/034395号
しかしながら、特許文献1では、溶射により皮膜を形成しているので、金属のエンジンバルブと皮膜との間の密着力が充分とはいえなかった。エンジン作動中に、エンジンバルブは、大きな熱的及び物理的衝撃を受けることになる。このようなエンジンバルブが使用される過酷な環境下では、特許文献1の技術では、皮膜がエンジンバルブから剥離するという問題があった。
特許文献2の排気系部品用塗料を用いて金属からなる基材に皮膜を形成する場合、金属からなる基材にガラス成分を焼き付けることになるので、金属成分とガラス成分とが化学結合し充分な密着性を確保することができる。しかしながら、特許文献2の技術では、ガラス成分を含む塗料を焼き付けて皮膜を形成する際に、塗料が収縮するという問題があった。これは金属と塗料の熱膨張率が異なることが原因で起こる現象であり、この収縮の現象は、皮膜の膜厚が大きいときに顕著になる。この収縮によって、形成された皮膜の端部が皮膜の中心部分に向かって引けて(後退して)、皮膜の厚みが端部で薄くなるという問題があった。従って、断熱性を高める目的で、エンジンバルブの傘部の側面に上記皮膜を形成しても、例えば皮膜の傘裾側の端部は軸部側に向かって引けて、該端部の皮膜が薄くなってしまう。このように皮膜に薄い部分があると、その部分の断熱性能が劣るため、充分な断熱性能を発揮することができなくなる。
本発明は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、断熱性が高く、エンジンバルブの傘裏に形成されたガラスコート層が金属基材から剥離しにくいエンジンバルブを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のエンジンバルブは、傘部と軸部とからなるエンジンバルブであって、上記エンジンバルブを構成する金属基材と、上記金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分に形成され、その一部が露出した状態のガラスコート層と、上記ガラスコート層の表面の一部に、上記ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されたセラミック部材とからなることを特徴とする。
本発明のエンジンバルブの傘裏面は、上記ガラスコート層が形成されていない傘裾部と、上記ガラスコート層が形成された傘裾部以外の部分とからなる。なお、本明細書において、「傘裏面」とは、傘部の側面のことである。本発明のエンジンバルブをエンジンに用いた場合、その傘裏面は、エンジンバルブの傘部において、エンジンバルブを閉じた状態で、エンジン燃焼室を臨まない方の面である。エンジンバルブの傘表面はエンジンバルブの傘部において、エンジンバルブを閉じた状態で、エンジン燃焼室を臨む面のことである。
傘裏面の傘裾部とは、傘裏面の傘裾から軸部に向かう所定の領域である。傘裾とは、傘表面側の傘裏面の端部である。
傘裏面の傘裾部以外の部分とは、該傘裾部の軸部側の端部からエンジンバルブの軸部までの傘裏面である。
本発明のエンジンバルブをエンジンに用いた場合、上記ガラスコート層が形成されていない傘裾部は、シリンダーと接触する部分となる。
本発明においては、エンジンバルブの傘裏面の傘裾部以外の部分には、ガラスコート層が形成されているので、エンジンバルブの断熱性を高めることができる。
本発明のエンジンバルブは、金属基材の上に形成されたガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うようにセラミック部材が配置されていることにより、ガラスコート層を形成するための焼成工程において傘裾部に隣接したガラスコート層(ガラスペースト層)がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしても、セラミック部材の重みによって収縮が阻害される。このため、製造時にガラスコート層を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面においてガラスコート層の傘裾部側の端部に引けが発生しない。このため、傘裏面のガラスコート層の厚みが傘裾部側の端部で薄くなるという問題が発生せず、その結果高い断熱性能を発揮できる。
また、本発明のエンジンバルブにおいては、ガラスコート層を焼結により形成する際に、金属基材とガラスコート層との間及びガラスコート層とセラミック部材との間に強い密着力が発現する。このためエンジンバルブが使用される過酷な環境下においても、エンジンバルブの傘裏面に形成されたガラスコート層が金属基材から剥離しにくく、高い断熱性能を発揮できることになる。
さらに、本発明のエンジンバルブにおいては、ガラスコート層の一部が表面に露出している(ガラスコート層が、セラミック部材で覆われていない部分がある)ので、セラミック部材とガラスコート層とが接着している部分が、これらの密着に必要な最小面積となる。これにより、セラミック部材とガラスコート層の熱膨張係数の違いによる応力を極力緩和することが可能となり、ガラスコート層の靱性が低い場合であっても、焼結工程においてガラスコート層が割れる等して破損することが防止される。
本発明のエンジンバルブは断熱性が高い。そのため、以下の効果を奏する。
本発明のエンジンバルブをエンジンに用いる際、本発明のエンジンバルブは、吸気側のエンジンバルブとしても、排気側のエンジンバルブとしても用いることができる。
本発明のエンジンバルブを吸気側のエンジンバルブとして用いる場合、本発明のエンジンバルブは断熱性が高いので、エンジンバルブの熱が吸気に伝わりにくい。そのため、吸気効率を低下させることなくエンジンを作動させることができる。
また、本発明のエンジンバルブを排気側のエンジンバルブとして用いる場合、本発明のエンジンバルブは断熱性が高いので、排気の熱がエンジンバルブに伝達されにくい。そのため、排ガスの温度が低下しにくい。エンジンからの排ガスは、エンジンの下流に設置された排ガス浄化装置に設置された担体により浄化されることになるが、排ガスの温度が低下していない場合、排ガスは速やかに担体の温度を上昇させ、担体の排ガス浄化機能を好適に発揮させることができる。つまり、本発明のエンジンバルブを排気側のエンジンバルブとして用いると、排ガス浄化効率が向上する。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記セラミック部材は、気孔を有することが好ましい。
セラミック部材が気孔を有すると、エンジンバルブの断熱性能がより向上する。また、ガラスコート層を形成する際の焼結工程において、ガラスコート層とセラミック部材との間に熱膨張差による応力が発生しても、気孔によりその応力が緩和される。このため、ガラスコート層の靱性が低い場合であっても、焼結の際にガラスコート層が割れる等して破損することがより防止される。
また、上記セラミック部材の気孔中にガラスコート層の成分が浸透していることが好ましい。焼結工程においてガラスコート層の原料が気孔に拡散してアンカー効果を発揮することで、ガラスコート層とセラミック部材のより強い密着が可能となる。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記ガラスコート層は、気孔を有することが好ましい。
ガラスコート層が気孔を有すると、エンジンバルブの断熱性能がより向上する。また、ガラスコート層を形成する際の焼結工程において、ガラスコート層とセラミック部材との間に熱膨張差による応力が発生しても、気孔によりその応力が緩和される。このため、ガラスコート層の靱性が低い場合であっても、焼結工程においてガラスコート層が割れる等して破損することがより防止される。
本発明のエンジンバルブにおいては、上記ガラスコート層の厚さが、1〜1000μmであることが好ましい。
ガラスコート層の厚さが1μm未満であると、エンジンバルブの断熱性が充分に向上しにくい場合がある。ガラスコート層の厚さが1000μmを超えると、ガラスコート層に熱衝撃等が加わった際に、クラックが発生しやすくなることがある。
本発明のエンジンバルブにおいては、上記傘裾部の幅は、上記傘裏面の傘裾からエンジンバルブの軸部に向かう方向において、上記傘裏面の幅の3〜20%であることが好ましい。
傘裾面の幅が上記範囲であると、本発明のエンジンバルブがエンジンに用いられた際に、シリンダーと接触するエンジンバルブの部分を充分に大きくすることができ、エンジンバルブと、シリンダーとが繰り返し衝突することにより生じる衝撃によりエンジンバルブが破壊されることを防ぐことができる。また、ガラスコート層で被覆される傘裏面の割合を充分に大きくすることができるので、充分な断熱効果を得ることができる。
傘裾部の幅が、傘裏面の幅の3%未満であると、本発明のエンジンバルブがエンジンに用いられた際に、シリンダーと接触するエンジンバルブの部分が小さくなり、エンジンバルブと、シリンダーとは繰り返し衝突することになるので、傘裾面における単位面積当たりにかかる衝撃が強くなり、エンジンバルブが破壊されやすくなる。一方、傘裾部の幅が、傘裏面の幅の20%を超えると、ガラスコート層で被覆される傘裏面の割合が小さくなり、充分な断熱効果を得られにくくなる。
なお、本明細書において、「傘裏面の傘裾からエンジンバルブの軸部に向かう方向」とは、傘裾のある一点から軸部までを最短距離となるように結ぶ直線の方向のことを意味する。
また、傘裏面における傘裾部の面積は、該傘裏面の面積の5〜50%であることが好ましい。
傘裾部の面積が、傘裏面の面積の5%未満であると、本発明のエンジンバルブがエンジンに用いられた際に、シリンダーと接触するエンジンバルブの部分が小さくなる。エンジンバルブと、シリンダーとは繰り返し衝突することになるので、傘裾部が小さくなると、傘裾部における単位面積当たりにかかる衝撃が強くなる。従って、傘裾部の面積が、傘裏面の面積の5%未満であると、エンジンバルブが破壊されやすくなる。
傘裾部の面積が、傘裏面の面積の50%を超えると、ガラスコート層で被覆される傘裏面の割合が小さくなる。従って、充分な断熱効果を得られにくくなる。
上記ガラスコート層は、非晶質無機材と結晶性無機材とからなることが好ましい。
非晶質無機材はエンジンバルブを被覆するガラス層として機能する。また、結晶性無機材が耐熱性を向上させる部材としての役割を担う。さらにガラスコート層に非晶質無機材と結晶性無機材が存在することでガラスコート層の強度が高くなる。
本発明のエンジンバルブにおいては、上記非晶質無機材は、軟化点が300〜1000℃である低軟化点ガラスであることが好ましい。
非晶質無機材が上記低軟化点ガラスであると、軟化点を超える温度で加熱することにより非晶質無機材が軟化溶融しエンジンバルブの表面に広がってガラスコート層となる。
本発明のエンジンバルブにおいては、上記結晶性無機材は、アルミナ、ジルコニア、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア及びハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。
これらの耐熱性能に優れた結晶性無機材を含むガラスコート層は、耐熱性が向上する。また、断熱性能も向上する。
本発明のエンジンバルブにおいては、上記セラミック部材は、ジルコニアからなることが好ましい。
ジルコニアからなるセラミック部材は、耐熱性に優れるため好ましい。また、ジルコニアは、ガラスコート層との密着性が良好であるため好ましい。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記セラミック部材は、リング状であり、上記傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、凹部が形成され、上記凹部には、ガラスコート層の端部が入り込んでおり、上記リング状のセラミック部材は、上記ガラスコート層が形成された凹部に嵌合されてなることが望ましい。
本発明のエンジンバルブが上記のように構成されていると、ガラスコート層を形成するための焼成の際に、金属基材がセラミック部材よりも大きく膨張することにより、室温に戻した際に強い嵌合状態になる、いわゆる「焼き嵌め」が起こり、セラミック部材の金属基材への密着力が向上する。
上記凹部の断面形状は、円弧形状であるか、直角V字形状であることが望ましい。
本発明のエンジンバルブの製造方法は、
上記エンジンバルブの製造方法であって、
軸部と傘部とからなる金属基材の傘部の側面である傘裏面の、傘裾部以外の部分にガラスペーストを塗布してガラスペースト層を形成する工程、
上記ガラスペースト層の表面の一部に、上記ガラスペースト層の傘裾部側の端部を覆うようにセラミック部材を配置する工程、及び、
上記ガラスペースト層を焼結することにより、ガラスコート層を形成するとともに、上記セラミック部材と上記金属基材とをガラスコート層を介して接着する工程を含むことを特徴とする。
本発明の製造方法では、金属基材の傘裏面の、傘裾部以外の部分に塗布したガラスペースト層の傘裾部側の端部を覆うようにセラミック部材を配置することにより、ガラスコート層を形成するための焼結を経ても、傘裏面においてガラスコート層の傘裾部側の端部に引けが発生しない。このため、傘裏面のガラスコート層の厚みが傘裾部側の端部で薄くなるという問題が発生せず、その結果高い断熱性能を発揮できるエンジンバルブを製造することができる。
本発明の製造方法では、ガラスペースト層の表面の一部にセラミック部材を配置するため、ガラスペースト層の一部が表面に露出している。このためガラスペースト層から形成されるガラスコート層とセラミック部材とが接している部分が、これらの密着に必要な最小面積となる。これにより、セラミック部材とガラスコート層の熱膨張係数の違いによる応力を極力緩和することが可能となり、ガラスコート層の靱性が低い場合であっても、焼結工程においてガラスコート層が割れる等して破損することが防止される。
さらに、エンジンバルブの製造において、ガラスペースト層の上にセラミック部材を配置し、その後ガラスペースト層を焼結することにより、金属基材とガラスコート層との間及びガラスコート層とセラミック部材との間に強い密着力が発現する。このため本発明のエンジンバルブの製造方法によれば、断熱性が高く、エンジンバルブの傘裏に形成されたガラスコート層が金属基材から剥離しにくいエンジンバルブを製造することができる。
エンジンバルブに用いられるセラミック部材は、本発明のエンジンバルブであることを特徴とする。
このため、上記セラミック部材が用いられたエンジンバルブは、高い断熱性能を発揮することができる。
図1(a)は、本発明のエンジンバルブの一例を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すエンジンバルブのA−A線断面図である。 図2(a)は、本発明のエンジンバルブの他の一例を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すエンジンバルブのB−B線断面図である。 図3は、本発明のエンジンバルブのさらに他の一例を示す縦断面図である。 図4は、本発明のエンジンバルブのさらに他の一例を示す縦断面図である。 図5は、本発明のエンジンバルブのさらに他の一例を示す縦断面図である。 図6は、本発明のエンジンバルブが用いられたエンジン燃焼室の構造の一例を模式的に示す断面図である。 図1(b)に示したA−A線断面図をさらに拡大した断面図である。 図8は、コート層強度測定用試料の模式的な断面図である。 図9は、引張試験機による引張試験の外観図である。
以下、本発明のエンジンバルブについて詳述する。
[発明の詳細な説明]
本発明のエンジンバルブは、
傘部と軸部とからなるエンジンバルブであって、
上記エンジンバルブを構成する金属基材と、上記金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分に形成されたガラスコート層と、上記ガラスコート層の表面の一部に、上記ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されたセラミック部材とからなることを特徴とする。
本発明のエンジンバルブとして、以下のような構成のものが挙げられる。
すなわち、本発明のエンジンバルブの一例であるエンジンバルブは、棒状の軸部と略円錐形上の傘部とからなり、軸部は、金属基材からなる。一方、傘部においては、金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分にガラスコート層が形成されている。また、傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、切削加工により凹部(座ぐり部)が形成されており、ガラスコート層の端部は、凹部の内部に入り込んでいる。そして、その断面が略直角三角形で、立体的形状がリング状のセラミック部材が、凹部内に収容され、ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層の端部とセラミック部材とが接着されている。
上記構成のエンジンバルブでは、傘部の傘裏面には、凹部が形成されており、ガラスコート層の端部は、凹部の内部に入り込んでいる。セラミック部材は、凹部に収容され、ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層の端部とセラミック部材とが接着されている。このため、焼成工程において傘裾部に隣接したガラスコート層を形成するためのガラスペースト層がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしても、セラミック部材の重みによって収縮が阻害され、製造時にガラスコート層を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面においてガラスコート層の傘裾部側の端部に引けが発生しない。
上記した本発明のエンジンバルブの形状、構造について、さらに詳述する。
図1(a)は、本発明のエンジンバルブの一例を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すエンジンバルブのA−A線断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、本発明のエンジンバルブの一例であるエンジンバルブ10は、棒状の軸部11と略円錐形上の傘部12とからなり、軸部11は、金属基材からなる。一方、傘部12においては、金属基材の傘部22の側面である傘裏面22aの傘裾部220以外の部分にガラスコート層13が形成されている。また、傘裏面22aの傘裾部220に隣接する部分には、切削加工により凹部(座ぐり部)220aが形成されており、ガラスコート層13の端部は、凹部220aの内部に入り込んでいる。そして、その断面が略直角三角形(図1(b)参照)で、立体的形状がリング状のセラミック部材15が、凹部220a内に収容され、ガラスコート層13の傘裾部220側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層13の端部とセラミック部材15とが接着されている。
図1(a)及び(b)に示すエンジンバルブ10では、傘部22の傘裏面22aには、凹部220aが形成されており、ガラスコート層13の端部は、凹部220aの内部に入り込んでいる。セラミック部材15は、凹部220aに収容され、ガラスコート層13の傘裾部220側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層13の端部とセラミック部材15とが接着されている。このため、焼成工程において傘裾部に隣接したガラスコート層13を形成するためのガラスペースト層がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしても、セラミック部材15の重みによって収縮が阻害され、製造時にガラスコート層13を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面22aにおいてガラスコート層13の傘裾部側の端部に引けが発生しない。
本発明のエンジンバルブでは、ガラスコート層の一部が表面に露出しており、セラミック部材とガラスコート層とが接着している部分が、これらの密着に必要な最小面積となる。これにより、セラミック部材とガラスコート層の熱膨張係数の違いによる応力を極力緩和することが可能となり、ガラスコート層の靱性が低い場合であっても、焼結工程においてガラスコート層が割れる等して破損することが防止される。
本発明のエンジンバルブを構成する金属基材の材質は特に限定されるものではないが、従来からエンジンバルブに使用されている金属を適用することができる。
例えば、ステンレス鋼、耐熱鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、インコネル、ハステロイ、インバー等が挙げられる。また、各種鋳造品(例えば、鋳鉄、鋳鋼、炭素鋼等)等が挙げられる。
本発明のエンジンバルブを構成する金属基材の傘部の材質としては、耐熱鋼(SUH)が挙げられる。具体的には、マルテンサイト系耐熱鋼(SUH3、SUH11等)、オーステナイト系耐熱鋼(SUH35等)、フェライト系耐熱鋼(SUH446等)等が挙げられる。また、インコネル(NCF751等)のNi基耐熱合金も挙げられる。
本発明のエンジンバルブにおいて、金属基材とガラスコート層との密着性を良好にするため、サンドブラスト処理や化学薬品による粗化処理を、金属基材の傘裾部以外の傘裏面に施してもよい。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記粗化処理により形成される金属基材の傘裏面の表面粗さRzJISは、0.3〜20μmが望ましい。上記した表面粗さRzJISは、JIS B 0601(2001)で定義される十点平均粗さである。
金属基材の傘裏面の表面粗さRzJISが0.3μm未満であると、金属基材の傘裏面の表面積が小さくなるため、金属基材の傘裏面とガラスコート層との密着性が充分に得られにくくなる。一方、金属基材の傘裏面の表面粗さRzJISが20μmを超えると、金属基材の傘裏面にガラスコート層が形成されにくくなる。これは、金属基材の傘裏面の表面粗さRzJISが大きすぎると、金属基材の傘裏面に形成された凹凸の谷の部分にスラリー(ガラスコート層を形成するための組成物)が入り込まず、この部分に空隙が形成されるためであると考えられる。
なお、金属基材の傘裏面の表面粗さRzJISは、東京精密製、ハンディサーフE−35Bを用いてJIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。
測定は、25℃、大気圧で行うこととする。
本発明のエンジンバルブを構成する軸部の形状は、特に限定されるものではないが、円柱形状であることが好ましい。また、傘部の形状は、略円錐形状であることが好ましい。
本発明のエンジンバルブでは、傘裾部の幅は、傘裏面の傘裾からエンジンバルブの軸部に向かう方向において、傘裏面の幅の3〜20%であることが好ましい。また、傘裏面における傘裾部の面積は、該傘裏面の面積の5〜50%であることが好ましい。
本発明のエンジンバルブでは、上記セラミック部材は、リング状であり、上記傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、凹部が形成され、上記凹部には、ガラスコート層の端部が入り込んでおり、上記リング状のセラミック部材は、上記ガラスコート層が形成された凹部に嵌合されてなることが望ましい。
本発明のエンジンバルブが上記のように構成されていると、ガラスコート層を形成するための焼成の際に、金属基材がセラミック部材よりも大きく膨張することにより、室温に戻した際に強い嵌合状態になる、いわゆる「焼き嵌め」が起こり、セラミック部材の金属基材への密着力が向上する。
上記エンジンバルブでは、傘裏面には凹部が形成されているが、凹部は必ずしも形成される必要はなく、セラミック部材を、凹部のない円錐状の傘部の傘裏面の傘裾部に隣接する部分に、ガラスコート層の端部とセラミック部材とが接着され、かつ、ガラスコート層と金属基材の傘裏面が接着されるように配置してもよい。しかし、セラミック部材の形状や金属基材の傘裏面への固定し易さを考慮すると、金属基材の傘裏面の傘裾部に隣接した部分に凹部を形成し、凹部にセラミック部材が収容された構造のエンジンバルブが製造しやすく、好ましい。凹部の断面形状は、直角三角形に限定されるものではなく、円弧形状であるか、直角V字形状であることが望ましい。なお、ガラスコート層は、金属基材の軸部にも形成されていてもよく、金属基材の傘表面にも形成されていてもよい。
図7は、図1(b)に示したA−A線断面図をさらに拡大した断面図である。
図7に示すエンジンバルブ10において、傘裾部の幅(w)は、傘裏面の傘裾からエンジンバルブの軸部に向かう方向における傘裏面の幅(w)の3〜20%であることが好ましい。なお、傘表の直径をD、凹部220aの最も短い部分の直径をD、凹部の幅をd、凹部の深さをdとすると、傘表の直径Dは、20〜40mmが望ましく、D/Dは、0.35〜0.85が望ましい。また、凹部の幅dは、2.0〜4.0mmが望ましく、d/dは、0.5〜2.0が望ましい。
本発明のエンジンバルブを構成するセラミック部材は、セラミック原料からなることが好ましく、上記セラミック原料としては、結晶性無機材が好ましい。
上記結晶性無機材は、アルミナ、ジルコニア、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア、及び、ハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。これらのなかでは、ジルコニアがより好ましい。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記セラミック部材の形状は特に限定されず、金属基材の傘裏面において、傘裾部以外の部分に形成されたガラスコート層の端部を覆うことができる形状であればよい。
セラミック部材の形状としては、例えば、リング形状、スカート形状等が挙げられる。これらのなかでは、リング形状が好ましい。セラミック部材の断面の形状は、図1に示した三角形状に限定されず、四角、円、半円、楕円等が挙げられ、好ましくは、三角形状である。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記セラミック部材は、気孔を有することが好ましく、セラミック部材の気孔率は、10〜60%が好ましい。上記セラミック部材に気孔があると望ましい理由は、焼成の際にガラスコート原料の一部がセラミック部材の気孔に浸透してアンカー効果を発揮するので、ガラスコート層とセラミック部材の密着力が強くなるからである。
セラミック部材の気孔率が10%未満であると、金属基材との熱膨張率の違いによる大きさの変化に追従しにくくなり、温度変化により発生する応力により破壊されやすくなり、一方、セラミック部材の気孔率が60%を超えると、機械的強度が低下し、破壊され易くなる。
本発明のエンジンバルブにおいて、セラミック部材の気孔率は、アルキメデス法により測定するが、具体的には、以下の方法を用いて測定することができる。
まず、前処理として、気孔率測定の対象となる試料を、イオン交換水及びアセトンを用いて超音波で洗浄を行った後、100℃で乾燥する。
次に、前処理を終了した資料をイオン交換水とともに3時間煮沸して飽水試料を作製する。続いて、飽水試料を水中にて糸で吊るして飽水試料の浮力(W1)を電子天秤で測定する。また、飽水試料の質量(W2)を電子天秤で測定し、120℃、60分間乾燥した後、乾燥資料の質量(W3)を測定する。
上記方法により得られた結果を用い、以下の計算式により、気孔率を算出する。
{[飽水試料の質量(W2)−乾燥資料の質量(W3)]/飽水試料の浮力(W1)}×100(%)
本発明のエンジンバルブにおいて、セラミック部材の大きさは特に限定されないが、セラミック部材が配置されるガラスコート層は、金属基材の傘裏面に形成されたガラスコート層の傘裾部側の端部から、エンジンバルブの軸部に向かう方向において、傘裏面に形成されたガラスコート層の幅の3〜20%であることが好ましい。
また、セラミック部材が配置されるガラスコート層の面積は、金属基材の傘裏面に形成されたガラスコート層の面積の5〜50%であることが好ましい。
セラミック部材が配置されるガラスコート層が上記のような範囲であると、ガラスコート層を形成するための焼成工程において傘裾部に隣接したガラスコート層(ガラスペースト層)がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしてもセラミック部材の重みによって収縮が阻害される。このため、製造時にガラスコート層を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面においてガラスコート層の傘裾部側の端部に引けが発生しない。このため、傘裏面のガラスコート層の厚みが傘裾部側の端部で薄くなるという問題が発生せず、その結果高い断熱性能を発揮できる。
本発明のエンジンバルブを構成するガラスコート層は、非晶質無機材と結晶質無機材とからなることが好ましい。
上記非晶質無機材は、ガラスからなることが好ましく、軟化点が300〜1000℃である低軟化点ガラスであることがより好ましい。
軟化点が300〜1000℃の低軟化点ガラスとしては、例えば、SiO−B−ZnO系ガラス、SiO−B−Bi系ガラス、SiO−PbO系ガラス、SiO−PbO−B系ガラス、SiO−B−PbO系ガラス、B−ZnO−PbO系ガラス、B−ZnO−Bi系ガラス、B−Bi系ガラス、B−ZnO系ガラス、BaO−SiO系ガラス、SiO−B−RO系ガラス、SiO−B−RO系ガラス(Rは遷移金属)等が挙げられる。
なお、軟化点は、JIS R 3103−1:2001に規定される方法に基づいて、例えば、有限会社オプト企業製の硝子自動軟化点・歪点測定装置(SSPM−31)を用いて測定することができる。測定は、大気圧で行うこととする。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記結晶性無機材としては、アルミナ、ジルコニア、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア、及び、ハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。
また、結晶性無機材は、マンガン、鉄、コバルト、銅、クロム、及び、ニッケルのうち少なくとも一種の金属の酸化物であることも好ましい。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層に含まれる結晶性無機材の含有量は、ガラスコート層の重量に対して、1〜50重量%であることが望ましく、10〜45重量%であることがより望ましい。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記ガラスコート層の厚さは、1〜1000μmであることが好ましい。
ガラスコート層の厚さの測定には、株式会社フィッシャーインストルメンツ社製、デュアルスコープMP40を用いることができる。ガラスコート層の任意の30点において、デュアルスコープMP40の膜厚測定における膜厚補正を実施したのち、膜厚測定をガラスコート層の任意の10点に対して行い、その測定値の平均をとることによりガラスコート層の厚さを測定することができる。膜厚測定を10点に対して行う場合、測定領域内で測定部位の偏りがないようにすることが望ましく、例えば、測定を1mmの等間隔おきに行う等の方法が挙げられる。
ガラスコート層の厚さが上記範囲であると、インバルブの熱が吸気に伝わることなく吸気効率の低下を防止することができる。また、排気の熱がエキバルブに伝達されにくく、その分排ガスの温度が低下しにくいので、排ガスが担体に到達した際に充分に担体を暖めて排ガスを浄化することが可能となる。ガラスコート層の厚さが1μm未満であると、例えばガラスコート層に気孔を形成しようとする場合に、気泡がガラスコート層外に抜けやすくなり、その結果ガラスコート層表面の表面粗さが大きくなる。傘裏面は気流と接するので表面粗さが大きくなると気流とガラスコート層の熱伝達が上がり、ガラスコート層の断熱性能が低下するという問題がある。一方、ガラスコート層の厚さが1000μmを超えると、ガラスコート層に熱衝撃等が加わった際に、ガラスコート層にクラックが発生しやすくなることがある。また吸気又は排気経路が狭くなるという問題もある。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層は、気孔を有することが好ましい。ガラスコート層内に形成された気孔の平均気孔径は0.5〜15μmであることが好ましい。
平均気孔径は、より好ましくは3〜13μmであり、さらに好ましくは5〜10μmである。
気孔の平均気孔径が0.5〜15μmであれば、気孔がガラスコート層の中に独立気孔として存在し、断熱性を高める構造として有効に機能する。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の気孔率は10〜60%であることが好ましい。
気孔率は、より好ましくは15〜50%であり、さらに好ましくは20〜40%である。
気孔率が10〜60%であると、気孔による充分な断熱性が保持される。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の気孔の平均気孔径は、エンジンバルブの傘部のガラスコート層が形成された部分を切断し、SEM等を用いて断面を観察することによって測定することができる。
具体的には、SEM画像をガラスコート層の厚さ方向の全域が入るように撮影して、全ての気孔についての気孔径を測定し、平均値を求めることにより平均気孔径が得られる。気孔の形状が略球状でない場合、その気孔の直径は、投影面積円に相当する直径(ヘイウッド径)とする。
SEMの測定倍率は、ガラスコート層の厚さが1μm以上5μm未満の場合は3000倍、5μm以上50μm未満の場合は2000倍、50μm以上100μm未満の場合は1000倍、100μm以上300μm未満の場合は500倍、300μm以上500μm未満の場合は200倍、500μm以上1000μm以下の場合は150倍とする。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の気孔率は、ガラスコート層の重量と膜厚計(デュアルスコープ)で測定したガラスコート層の厚さから嵩密度を算出し、ピクノメータで算出した真密度との比を算出し、その値を1から引いて、百分率とした値を気孔率として算出することができる。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の室温での熱伝導率は0.1〜1.0W/m・Kであることが好ましい。
熱伝導率が0.1W/m・K未満であると、上記熱伝導率を達成するために必要な気孔率が高くなるため、形成されたガラスコート層の機械的強度が低下しすぎることがある。一方、熱伝導率が1.0W/m・Kを超えると、充分な断熱の効果が得られないという問題がある。所望の断熱効果を得るためには、ガラスコート層の厚さを厚くする必要があるため、ガラスコート層の熱容量が大きくなってしまう。
なお、ガラスコート層等の熱伝導率の測定が必要な部材の25℃における熱伝導率は、レーザーフラッシュ法によって測定することができる。以下においては、ガラスコート層の熱伝導率を測定する場合について説明する。
レーザーフラッシュ法による熱伝導率の測定は、熱拡散係数(α)を測定することにより行う。熱伝導率(k)は、測定した熱拡散係数(α)と、比熱容量(Cp)と密度(ρ)から算出される値である。
熱拡散係数の測定は下記条件で行うことができる。
測定装置:NETZSCH製 LFA467
表面処理:グラファイトスプレー
測定温度:25℃
測定雰囲気:N
サンプルサイズ:φ10mm、厚さ=2mm
ガラスコート層の熱拡散係数を測定する際は、基材と一体の状態で測定し、多層解析によりガラスコート層のみの熱拡散係数を算出する。また、ガラスコート層の熱拡散係数を測定する時は、ガラスコート層に垂直にレーザーが照射されるようにサンプルを設置する。
熱伝導率(k)は下記式から算出する。
k=ρ・Cp・α[W/mK]
<かさ密度(ρ)の測定>
ガラスコート層のかさ密度を求める場合、まずは基材の重量を測定し、その後に基材の上にガラスコート層を形成してガラスコート層付き基材の重量の測定から、引き算でガラスコート層の重量(=A)を測定する。その後、ガラスコート層の膜厚から、ガラスコート層の体積(=B)を算出し、A/Bをかさ密度とする。
<比熱容量(Cp)の測定>
比熱容量の測定は下記条件で行うことができる。
測定装置:セイコー電子工業製 DSC210型
測定温度:25℃
測定方法:DSC法
測定雰囲気:Ar
ガラスコート層の比熱容量を測定する際は、ガラスコート層をφ4mm、厚さ1mmのバルク体に成形して測定を実施することができる。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の熱抵抗は1〜10000mm・K/Wであることが好ましく、500〜5000mm・K/Wであることがより好ましい。
熱抵抗が1mm・K/W未満であると断熱性が充分でなく、熱抵抗が10000mm・K/Wを超えるガラスコート層を作製することは技術的に難しい。
ガラスコート層の熱抵抗は、「熱抵抗=ガラスコート層の厚さ/ガラスコート層の熱伝導率」の式により算出することができる。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の皮膜強度は15〜50MPaであることが好ましい。
皮膜強度は、以下の方法で測定することができる。
図8は、コート層強度測定用試料の模式的な断面図である。
ガラスコート層付きエンジンバルブ300のガラスコート層320の表面に、クリップを用いてスタッドピン330を取り付け、150℃で1時間加熱して固着させることにより、測定用試料を作製する。スタッドピン330としては、QUAD GROUP社製 P/N901106(2.7mmエポキシ接着剤Al製スタッドピン)を使用することができる。
図9は、引張試験機による引張試験の外観図である。
引張試験機1000を使用して、ガラスコート層320と固着したスタッドピン330を引っ張る。スタッドピン330と接しているガラスコート層320がエンジンバルブ300を構成する基材310から剥離するまでに加わった力の最大値とスタッドピン330の断面積とからコート層強度を算出する。引張試験機1000としては、(株)島津製作所製 オートグラフAGS50Aを使用することができる。測定は、25℃、大気圧で行うこととする。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の比熱は650〜900J/kgKであることが好ましい。
比熱はDSC(示差走査熱量測定)により測定することができる。
また、ガラスコート層の熱容量(単位面積当たりの熱容量)は、200〜2500[J/m・K]であることが好ましい。ガラスコート層の熱容量は、ガラスコート層の比熱と密度と膜厚を乗ずることによって算出することができる。
本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の表面粗さRzJISは0.05〜5μmであることが望ましい。
ガラスコート層の表面粗さRzJISが0.05μm未満のガラスコート層を作製することは技術的に難しい。一方、ガラスコート層の表面粗さRzJISが5μmを超えると、吸気又は排気とガラスコート層の熱伝達係数が上がり、断熱性能が低下するという問題がある。
また、本発明のエンジンバルブとして、以下のような構成のものも挙げられる。
すなわち、本発明のエンジンバルブの別の一例であるエンジンバルブでは、棒状の軸部と略円錐形上の傘部とからなり、軸部は、金属基材からなる。一方、傘部においては、金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分にガラスコート層が形成されている。また、傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、その断面が矩形で、立体的形状がリング状のセラミック部材が、ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層の端部にセラミック部材が接着されている。
上記した本発明のエンジンバルブの一例では、傘部の傘裏面には、凹部が形成されておらず、セラミック部材は、平面状の傘裏面に配置されている。このため、焼成工程において傘裾部に隣接したガラスコート層(ガラスペースト層)がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしても、セラミック部材の重みによって収縮が阻害され、製造時にガラスコート層を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面においてガラスコート層の傘裾部側の端部に引けが発生しない。
この例では、凹部を形成せずに、セラミック部材を配置できるので、製造工程を簡略化することができる。しかし、セラミック部材の内側が、三角錐状の傘裏面と略平行になるようにセラミック部材を製造する必要があり、セラミック部材の製造方法が難しくなる。そのため、金属基材の傘裏面に凹部を形成して、凹部に収容されるような形状のハニカム構造体を製造し、凹部に収容されるように、ハニカム構造体を配置する方法の方が好ましい。その際、ガラスコート層は、凹部にその端部が入り込むように形成されている必要がある。
上記した本発明のエンジンバルブについて、さらに詳述する。
図2(a)は、本発明のエンジンバルブの他の一例を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すエンジンバルブのB−B線断面図である。本発明のエンジンバルブを構成する部材の材料やその特性等については、図1に示すエンジンバルブの項において説明したので、以下においては、その説明を省略する。
図2(a)及び(b)に示すように、本発明のエンジンバルブの一例であるエンジンバルブ30は、棒状の軸部31と略円錐形上の傘部32とからなり、軸部31は、金属基材からなる。一方、傘部32においては、金属基材の傘部42の側面である傘裏面42aの傘裾部420以外の部分にガラスコート層33が形成されている。また、傘裏面42aの傘裾部420に隣接する部分には、その断面が矩形(図2(b)参照)で、立体的形状がリング状のセラミック部材35が、ガラスコート層33の傘裾部420側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層33の端部にセラミック部材35が接着されている。
この図2(a)及び(b)に示すエンジンバルブ30では、傘部42の傘裏面42aには、凹部が形成されておらず、セラミック部材35は、平面状の傘裏面42aに配置されている。このため、焼成工程において傘裾部に隣接したガラスコート層33(ガラスペースト層)がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしても、セラミック部材35の重みによって収縮が阻害され、製造時にガラスコート層33を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面においてガラスコート層33の傘裾部側の端部に引けが発生しない。
この例では、凹部を形成せず、セラミック部材35を配置できるので、製造工程を簡略化することができる。しかし、セラミック部材35の内側が、三角錐状の傘裏面42aと略平行になるようにセラミック部材を製造する必要があり、セラミック部材35の製造方法が難しくなる。そのため、金属基材の傘裏面に凹部を形成して、凹部に収容されるような形状のハニカム構造体を製造し、凹部に収容されるように、ハニカム構造体を配置する方法の方が好ましい。その際、ガラスコート層は、凹部にその端部が入り込むように形成されている必要がある。
本発明のエンジンバルブとして、以下のような構成のものも挙げられる。
上記エンジンバルブにおいて、このエンジンバルブの軸部は、棒状で、金属基材からなる。
このエンジンバルブの傘部では、金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分にガラスコート層が形成されている。また、傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、切削加工により凹部が形成されており、ガラスコート層の端部は、凹部の内部に入り込んでいる。そして、その断面が矩形で、立体的形状がリング状のセラミック部材が、凹部内に収容され、ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層の端部にセラミック部材が接着されている。また、凹部の形状は、直角V字形状である。
上記エンジンバルブについて、さらに詳述する。
図3は、本発明のエンジンバルブのさらに他の一例を示す縦断面図である。図3に示す縦断面図は、図2(b)に示したエンジンバルブのB−B線断面図と同じ断面を示す断面図である。
このエンジンバルブ50の軸部51は、図2(a)に示すエンジンバルブ30の軸部31と同様に構成されているので、ここでは、図示を省略する。
図3に示すように、このエンジンバルブ50の傘部52においては、金属基材の傘部62の側面である傘裏面62aの傘裾部620以外の部分にガラスコート層53が形成されている。また、傘裏面62aの傘裾部620に隣接する部分には、切削加工により凹部620aが形成されており、ガラスコート層53の端部は、凹部620aの内部に入り込んでいる。そして、その断面が矩形(図3参照)で、立体的形状がリング状のセラミック部材55が、凹部620a内に収容され、ガラスコート層53の傘裾部620側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層53の端部にセラミック部材55が接着されている。また、凹部620aの形状は、直角V字形状である。
このエンジンバルブ70の軸部51は、図2(a)に示すエンジンバルブ30の軸部31と同様に構成されているので、ここでは、図示を省略する。
図4に示すように、このエンジンバルブ70の傘部72においては、金属基材の傘部82の側面である傘裏面82aの傘裾部820以外の部分にガラスコート層73が形成されている。また、傘裏面82aの傘裾部820に隣接する部分には、切削加工により凹部820aが形成されており、ガラスコート層73の端部は、凹部820aの内部に入り込んでいる。そして、その断面が円形(図4参照)で、立体的形状がリング状のセラミック部材75が、凹部820a内に収容され、ガラスコート層73の傘裾部820側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層73の端部にセラミック部材75が接着されている。
本発明のエンジンバルブとして、以下のような構成のものも挙げられる。
このエンジンバルブの軸部は、棒状で、金属基材からなる。このエンジンバルブの傘部においては、金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分にガラスコート層が形成されている。また、傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、切削加工により凹部が形成されており、ガラスコート層の端部は、凹部の内部に入り込んでいる。そして、その断面が円形で、立体的形状がリング状のセラミック部材が、凹部内に収容され、ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層の端部にセラミック部材が接着されている。また、凹部の形状は、円弧形状である。
上記した本発明のエンジンバルブについて、さらに詳述する。
図4は、本発明のエンジンバルブのさらに他の一例を示す縦断面図である。図4に示す縦断面図は、図2(b)に示したエンジンバルブのB−B線断面図と同じ断面を示す断面図である。
このエンジンバルブ70の軸部51は、図2(a)に示すエンジンバルブ30の軸部31と同様に構成されているので、ここでは、図示を省略する。
図4に示すように、このエンジンバルブ70の傘部72においては、金属基材の傘部82の側面である傘裏面82aの傘裾部820以外の部分にガラスコート層73が形成されている。また、傘裏面82aの傘裾部820に隣接する部分には、切削加工により凹部820aが形成されており、ガラスコート層73の端部は、凹部820aの内部に入り込んでいる。そして、その断面が円形(図4参照)で、立体的形状がリング状のセラミック部材75が、凹部820a内に収容され、ガラスコート層73の傘裾部820側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層73の端部にセラミック部材75が接着されている。また、凹部820aの形状は、円弧形状である。
本発明のエンジンバルブとして、以下のような構成のものも挙げられる。
このエンジンバルブの軸部は、このエンジンバルブの軸部は、棒状で、金属基材からなる。このエンジンバルブの傘部においては、金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分にガラスコート層が形成されている。また、傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、切削加工により凹部が形成されており、ガラスコート層の端部は、凹部の内部に入り込んでいる。そして、その断面が半円形で、立体的形状がリング状のセラミック部材が、凹部内に収容され、ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層の端部にセラミック部材が接着されている。また、凹部の形状は、円弧形状である。
上記した本発明のエンジンバルブでは、傘部の傘裏面には、凹部が形成されており、ガラスコート層の端部は、凹部の内部に入り込んでいる。セラミック部材は、凹部に収容され、ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層の端部にセラミック部材が接着されている。このため、焼成工程において傘裾部に隣接したガラスコート層(ガラスペースト層)がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしても、セラミック部材の重みによって収縮が阻害され、製造時にガラスコート層を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面においてガラスコート層の傘裾部側の端部に引けが発生しない。
上記した本発明のエンジンバルブについて、さらに詳述する。
図5は、本発明のエンジンバルブのさらに他の一例を示す縦断面図である。図5に示す縦断面図は、図2(b)に示したエンジンバルブのB−B線断面図と同じ断面を示す断面図である。
このエンジンバルブ90の軸部91は、図2(a)に示すエンジンバルブ30の軸部31と同様に構成されているので、ここでは、図示を省略する。
図5に示すように、このエンジンバルブ90の傘部92においては、金属基材の傘部102の側面である傘裏面102aの傘裾部1020以外の部分にガラスコート層93が形成されている。また、傘裏面102aの傘裾部1020に隣接する部分には、切削加工により凹部1020aが形成されており、ガラスコート層93の端部は、凹部1020aの内部に入り込んでいる。そして、その断面が半円形(図5参照)で、立体的形状がリング状のセラミック部材95が、凹部1020a内に収容され、ガラスコート層93の傘裾部1020側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層93の端部にセラミック部材95が接着されている。また、凹部1020aの形状は、円弧形状である。
上記した図3、図4及び図5に示す本発明のエンジンバルブ50、70、90では、傘部62、82、102の傘裏面62a、82a、102aには、凹部620a、820a、1020aが形成されており、ガラスコート層53、73、93の端部は、凹部620a、820a、1020aの内部に入り込んでいる。セラミック部材55、75、95は、凹部620a、820a、1020aに収容され、ガラスコート層53、73、93の傘裾部620、820、1020側の端部を覆うように配置されており、ガラスコート層53、73、93の端部にセラミック部材55、75、95が接着されている。このため、焼成工程において傘裾部620、820、1020に隣接したガラスコート層53、73、93(ガラスペースト層)がエンジンバルブの軸部方向に収縮しようとしても、セラミック部材55、75、95の重みによって収縮が阻害され、製造時にガラスコート層53、73、93を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面62a、82a、102aにおいてガラスコート層53、73、93の傘裾部620、820、1020側の端部に引けが発生しない。
本発明のエンジンバルブは、エンジンに用いられることになる。
ここで、エンジンバルブが用いられたエンジンの構造の一例について説明する。
エンジン燃焼室においては、筒状のシリンダーの上部に、吸気用のエンジンバルブ及び排気用のエンジンバルブ(エキバルブ)が配置されている。また、シリンダーの上部の頂点に、点火プラグが設けられており、シリンダーの内部にピストンが設けられている。
本発明のエンジンバルブは、このような構成のエンジン燃焼室に最適である。
なお、エンジンバルブの傘裏面とは、エンジンバルブの傘部の側面のことであり、エンジンバルブの傘部において、エンジン燃焼室に臨まない方の面を意味する。また、ガラスコート層が形成されていない傘裏面の傘裾部は、シリンダーと接触する部分である。
吸気用のエンジンバルブ及び排気用のエンジンバルブは同じ構成であるが、以下の説明において、両者を区別する必要がある場合には、吸気用のエンジンバルブをインバルブと記載し、排気用のエンジンバルブをエキバルブと記載し、両者を区別する必要がない場合には、単にエンジンバルブと記載する。
上記エンジンバルブでは、インバルブ及びエキバルブの傘裏面にはガラスコート層が形成されているので断熱性が高い。そのため以下の効果を奏する。
インバルブは断熱性が高いので、インバルブの熱は、吸気される燃料に伝わりにくい。そのため、吸気効率を低下させることなくエンジンを駆動させることができる。
また、エキバルブは断熱性が高いので、排ガスの熱は、エキバルブに伝達されにくい。そのため、排ガスの温度が低下しにくい。排ガスは、エンジンの下流に設置された排ガス浄化装置に設置された担体により浄化されることになるが、排ガスの温度が低下していない場合、排ガスは速やかに担体の温度を上昇させ、担体の排ガス浄化機能を好適に発揮させることができる。つまり、排ガス浄化効率が向上する。
また、エンジンが駆動する場合、燃料が吸気され、排ガスが排出されることになる。この際、エンジンバルブは、シリンダーに繰り返し接触することになる。
本発明のエンジンバルブにおいては、ガラスコート層を焼結により形成する際に、金属基材とガラスコート層との間及びガラスコート層とセラミック部材との間に強い密着力が発現する。このためエンジンバルブが使用される過酷な環境下においても、エンジンバルブの傘裏面に形成されたガラスコート層が金属基材から剥離しにくく、高い断熱性能を発揮できることになる。
本発明のエンジンバルブが用いられるエンジンについてさらに詳述する。
図6は、本発明のエンジンバルブが用いられたエンジン燃焼室の構造の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、エンジン燃焼室150においては、筒状のシリンダー170の上部に、吸気用のエンジンバルブ160(インバルブ160a)及び排気用のエンジンバルブ160(エキバルブ160b)が配置されている。また、シリンダー170の上部の頂点に、点火プラグ180が設けられており、シリンダー170の内部にピストン190が設けられている。
本発明のエンジンバルブは、このような構成のエンジン燃焼室に最適である。
なお、エンジンバルブ160の傘裏面166a、166bとは、エンジンバルブ160の傘部166の側面のことであり、エンジンバルブ160の傘部166において、エンジン燃焼室150に臨まない方の面を意味する。また、ガラスコート層が形成されていない傘裏面の傘裾部1660は、シリンダー170と接触する部分である。なお、ガラスコート層の位置等については、図1〜図5に示すエンジンバルブで示しているので、ここでは、図示していない。
吸気用のエンジンバルブ160及び排気用のエンジンバルブ160は同じ構成であるが、以下の説明において、両者を区別する必要がある場合には、吸気用のエンジンバルブ160をインバルブ160aと記載し、排気用のエンジンバルブ160をエキバルブ160bと記載し、両者を区別する必要がない場合には、単にエンジンバルブ160と記載する。
インバルブ160a及びエキバルブ160bの傘裏面にはガラスコート層が形成されているので断熱性が高い。そのため以下の効果を奏する。
インバルブ160aは断熱性が高いので、インバルブ160aの熱は、吸気される燃料に伝わりにくい。そのため、吸気効率を低下させることなくエンジンを駆動させることができる。
また、エキバルブ160bは断熱性が高いので、排ガスの熱は、エキバルブ160bに伝達されにくい。そのため、排ガスの温度が低下しにくい。排ガスは、エンジンの下流に設置された排ガス浄化装置に設置された担体により浄化されることになるが、排ガスの温度が低下していない場合、排ガスは速やかに担体の温度を上昇させ、担体の排ガス浄化機能を好適に発揮させることができる。つまり、排ガス浄化効率が向上する。
また、エンジンが駆動する場合、燃料が吸気され、排ガスが排出されることになる。この際、エンジンバルブ160は、シリンダー170に繰り返し接触することになる。
本発明のエンジンバルブにおいては、ガラスコート層を焼結により形成する際に、金属基材とガラスコート層との間及びガラスコート層とセラミック部材との間に強い密着力が発現する。このためエンジンバルブが使用される過酷な環境下においても、エンジンバルブの傘裏面に形成されたガラスコート層が金属基材から剥離しにくく、高い断熱性能を発揮できることになる。
次に、本発明のエンジンバルブを製造する方法について説明する。
本発明のエンジンバルブを製造する方法としては、
傘部と軸部とからなる金属基材の傘部の側面である傘裏面の、傘裾部以外の部分にガラスペーストを塗布してガラスペースト層を形成する工程、
上記ガラスペースト層の表面の一部に、上記ガラスペースト層の傘裾部側の端部を覆うようにセラミック部材を配置する工程、及び、
上記ガラスペースト層を焼結することにより、ガラスコート層を形成するとともに、上記セラミック部材と上記金属基材とをガラスコート層を介して接着する工程を含むことを特徴とする製造方法が挙げられる。
上記のエンジンバルブの製造方法も、本発明に包含される。
(a)金属基材の準備
本発明のエンジンバルブの製造方法では、まず、エンジンバルブを構成する金属基材を準備する。
金属基材の形状、材料等としては、本発明のエンジンバルブの説明において説明したものと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。金属基材の傘裾部の隣接する部分にセラミック部材を収納するための凹部を形成してもよい。
金属基材の準備にあたっては、ガラスコート層を形成する面である、傘裏面の不純物を除去すべく洗浄処理を行うことが好ましい。
上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理法を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
金属基材の傘裏面とガラスコート層との密着性をさらに向上させたい場合には、傘裏面に粗化処理を施してもよい。粗化処理の方法としては、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理、高温酸化処理等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。この粗化処理後にさらに洗浄処理を行ってもよい。
なお、粗化処理は、後述するガラスペースト層を形成する工程よりも先に行うことが好ましい。
(b)ガラスペースト層を形成する工程
(b−1)ガラスペースト調製工程
本発明のエンジンバルブの製造方法におけるガラスペースト調製工程では、上記工程に続いて、ガラスペースト層を形成するためのガラスペーストを調製する。
ガラスペーストは、ガラス原料を混合することにより得られる。ガラスペーストに気孔を形成するためのカーボン粒子を添加する場合には、ガラス原料及びカーボン粒子を混合する。
カーボン粒子の量は、ガラスコート層全体の重量100部に対して0.005〜1重量部であることが好ましく、0.008〜1重量部であることがより好ましい。
カーボン粒子としては、加熱処理により気化して気孔を形成することのできる粒子であることが好ましく、エンジンバルブの製造過程においてガラスコート層内に気孔を形成するための材料として配合される材料である。
カーボン粒子の具体例としては、グラファイト粒子が好ましく、具体的には、イビデン株式会社製ET−10、ピッチ、コークス等が好ましく用いられる。
また、カーボン粒子の平均粒子径は0.1〜30μmであることが好ましい。
本発明のエンジンバルブの製造方法において、原料混合物は、例えば、ガラス原料と、水と、所望により添加されるカーボン粒子とを混合し、ボールミル等によって湿式混合することにより得ることができる。上記3成分を混合する順番及び組み合わせは特に限定されず、例えば、まずガラス原料と水とを混合し、さらにカーボン粒子を添加してもよいし、ガラス原料とカーボン粒子を混合した後に水を添加してもよいし、ガラス原料とカーボン粒子と水とを一度に混合してもよい。
ガラスペーストがカーボン粒子を含む場合には、カーボン粒子は続く焼成工程において燃焼してCO及びCOを発生し、気孔を形成する。すなわち、カーボン粒子は造孔剤として機能する。
ガラス原料と水との配合比は、特に限定されるものではないが、ガラス原料100重量部に対して、水100重量部程度が好ましい。このような重量比率でガラス原料と水とを混合すると、エンジンバルブの傘裏面に塗布するのに適した粘度となりやすいからである。また、必要に応じて、上記ガラスペーストには、有機溶剤等の分散媒及び有機結合剤を配合してもよい。
本発明のエンジンバルブの製造方法において、上記分散媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール等の有機溶媒を用いることができる。ガラスペースト中の分散媒の含有量は特に限定されないが、例えば、ガラス原料100重量部に対して、分散媒が50〜150重量部であることが好ましい。このような割合で分散媒を配合することにより、ガラスペーストの粘度が金属基材の傘裏面に塗布するのに適した粘度となるからである。
上記有機結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、分散媒と有機結合剤とを併用してもよい。
本発明のエンジンバルブの製造方法において、ガラスペースト中におけるカーボン粒子の含有量は、ガラス原料100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。
カーボン粒子の含有量は0.005〜8重量部であることがより好ましく、0.008〜5重量部であることがさらに好ましい。
カーボン粒子の含有量をこのような範囲とすることにより、機械的強度及び断熱性能を有するガラスコート層を形成させることができる。
本発明のエンジンバルブの製造方法において、ガラスペーストには、必要に応じて、さらに、結晶性無機材を添加してもよい。
ガラスペーストに結晶性無機材を加える場合、結晶性無機材を添加するタイミングは特に限定されないが、例えば、上述したガラス原料と水と所望により添加されるカーボン粒子とを混合する前に、ガラス原料と結晶性無機材を混合する工程を有していてもよい。
結晶性無機材は、本発明のエンジンバルブの説明において説明したものと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
なお、ガラスペーストとしてさらに結晶性無機材を加える場合、上述したガラス原料と水と所望により添加されるカーボン粒子とを混合する前に、ガラス原料と結晶性無機材を混合する工程を有していてもよい。
(b−2)塗布工程
本発明のエンジンバルブの製造方法における塗布工程として、金属基材の傘裏面の傘裾部以外の部分に、ガラスペースト層を形成するためのガラスペーストを塗布することによりガラスペースト層を形成する。
本発明のエンジンバルブの製造方法において、ガラスペースト層の厚さは特に限定されないが、2〜2000μmの厚さであることが好ましく、1〜1000μmの厚さのガラスコート層を形成することのできる厚さであることが好ましい。
ガラスペースト層の厚さが2μm未満であると、例えばガラスコート層に気孔を形成しようとする場合に、気泡がガラスコート層外に抜けやすくなり、その結果ガラスコート層表面の表面粗さが大きくなる。傘裏面は気流と接するので表面粗さが大きくなると気流とガラスコート層の熱伝達が上がり、断熱性能が低下するという問題がある。一方、形成されるガラスペースト層の厚さが2000μmを超えると、形成されるガラスコート層に熱衝撃等が加わった際に、クラックが発生しやすくなることがある。また吸気又は排気経路が狭くなるという問題もある。
本発明のエンジンバルブの製造方法において、金属基材の傘裏面にガラスペースト層を形成する方法としては、例えば、スプレーコート、静電塗装、ディッピング、インクジェット、スピンコート、スタンプやローラ等を用いた転写、ハケ塗り等の方法が挙げられる。スプレーコート等によりガラスペースト層を形成する際、ガラスペースト層を形成する以外の部分は、テープや樹脂等を覆い、ガラスペースト層を形成した後、テープや樹脂等を除くことにより、所定領域にガラスペースト層を形成することができる。金属基材の傘裏面に凹部を形成した場合には、凹部の内部にもガラスペースト層を形成する。
(c)セラミック部材を配置する工程
本発明のエンジンバルブの製造方法におけるセラミック部材を配置する工程において、ガラスペースト層の表面の一部に、ガラスペースト層の傘裾部側の端部を覆うようにセラミック部材を配置する。
例えばリング状のセラミック部材を用いる場合であれば、ガラスペースト層の傘裾部側の端部を覆うように、金属基材の傘部にセラミック部材を嵌め込めばよい。傘裏面の傘裾部に隣接する部分に、凹部が形成されている場合には、凹部にセラミック部材が収容されるようにセラミック部材を嵌め込む。このとき、凹部の少なくとも一部には、セラミック部材と接着された状態のガラスペースト層が形成されている。
(d)焼結工程
本発明のエンジンバルブの製造方法における焼結工程において、ガラスペースト層を焼結することにより、ガラスコート層を形成するとともに、セラミック部材と上記金属基材とをガラスコート層を介して接着する。
例えばガラスペーストにカーボン粒子が含まれる場合には、焼結工程により、ガラスペースト層内でカーボン粒子を気化、消失させて、ガラスコート層内に気孔を形成することができる。
本発明のエンジンバルブの製造方法において、上記ガラスペースト層の焼結は、ガラスペースト層が形成されたエンジンバルブに加熱処理を施すことによって行うことができる。また、本発明においては、焼結を行う前に、ガラスペースト層が形成されたエンジンバルブに対して、必要に応じて、ガラスペースト層を乾燥させるための乾燥工程を行ってもよい。乾燥工程は、例えば、50〜150℃程度の温度で行うことができる。
焼結のための加熱処理の条件は、エンジンバルブの材質等を考慮して任意に設定することができるが、エンジンバルブの材質がステンレス鋼である場合は400〜900℃、耐熱鋼である場合は400〜1000℃で加熱処理することが好ましい。加熱時間は3〜120分間とすることが好ましい。
また、焼結のための加熱処理温度は、ガラス原料の軟化点以上とすることが好ましい。加熱温度をガラス原料の軟化点以上の温度とすることにより、塗布されたガラス原料が軟化、溶融し、形成されたガラスコート層と金属基材のエンジンバルブの傘裏面とが強固に密着する。
このとき、ガラスペースト中に含まれるカーボン粒子が、軟化したガラス原料中に分散し、熱分解を起こすことによって気孔が形成される。
以下に、本発明のエンジンバルブの作用効果を列挙する。
(1)本発明のエンジンバルブでは、金属基材の傘裏面に形成されたガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うようにセラミック部材が配置されていることにより、製造時にガラスコート層を形成するための焼結工程を経ても、傘裏面においてガラスコート層の傘裾部側の端部に引けが発生しない。このため、傘裏面のガラスコート層の厚みが傘裾部側の端部で薄くなるという問題が発生せず、その結果エンジンバルブが高い断熱性能を発揮できる。
(2)本発明のエンジンバルブでは、金属基材とガラスコート層との間及びガラスコート層とセラミック部材との間は強く密着している。このためエンジンバルブが使用される過酷な環境下においても、エンジンバルブの傘裏面に形成されたガラスコート層が金属基材から剥離しにくく、高い断熱性能を発揮できる。
(3)本発明のエンジンバルブにおいて、ガラスコート層の一部が表面に露出しているので、セラミック部材とガラスコート層の熱膨張係数の違いによる応力を極力緩和することが可能となり、ガラスコート層の靱性が低い場合であっても、焼結工程においてガラスコート層が割れる等して破損することが防止される。
本発明のエンジンバルブにおいて、上記セラミック部材は、リング状であり、上記傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、凹部が形成され、上記凹部には、ガラスコート層の端部が入り込んでおり、上記リング状のセラミック部材は、上記ガラスコート層が形成された凹部に嵌合されてなると、ガラスコート層を形成するための焼成の際に、金属基材がセラミック部材よりも大きく膨張することにより、室温に戻した際に強い嵌合状態になる、いわゆる「焼き嵌め」が起こり、セラミック部材の金属基材への密着力が向上する。
(実施例)
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(a)エンジンバルブ用基材準備工程
まず。傘部及び軸部からなるエンジンバルブ用金属基材を準備した。エンジンバルブ用基材の構成材料は、ステンレス鋼(SUS430)であった。
エンジンバルブ用基材の軸部の形状は、直径60mm、全長110mmである棒状の形状であった。
エンジンバルブ用基材の傘部の形状は、底面(傘表面)の直径Dが30mmの円であり、高さが7mmである円錐状の形状であった(図7参照)。
次に、エンジンバルブ用基材の傘部の傘裏面の傘裾部に隣接する部分に、切削加工により凹部(座ぐり部)を形成した。凹部の断面形状は、図7に示すような直角V字形状で、平面視すると円形であり、直径の最も短い部分の直径Dが15.6mmで、凹部の幅は、3.1mmであり、凹部の深さは3.1mmであった。
(b)塗布層形成工程
(b−1)原料混合物調製工程
次に、セラミック原料としてバリウムシリケートガラス(軟化点770℃)100重量部と、水100重量部と、有機結合材としてメチルセルロース1重量部と、造孔材として黒鉛化したカーボン粒子を0.23重量部とをボールミル等によって湿式混合することにより、原料混合物を調製した。
(b−2)塗布工程
次に、エンジンバルブ用金属基材の傘裏面の凹部を含む部分であって、傘裾部以外の部分に、原料混合物を塗布することにより、ガラスコート層形成用の塗布層を形成した。塗布層の厚さは、50μmであった。
続いて、形成した凹部の内部に収容されるように、ジルコニア焼結体からなるセラミック部材を凹部に嵌め込んだ。セラミック部材は、断面形状が三角形のリング状であり、最も内側の部分の直径は、15.8mmで、その幅は、3mmであった。また、ジルコニア焼結体からなるセラミック部材の気孔率を上記したアルキメデス法により測定したところ、16%であった。
(c)加熱処理工程
次に、乾燥機内において70℃で20分乾燥した。
さらに、空気中、焼成炉内で800℃、90分間加熱処理することにより、その厚さが40μmのガラスコート層を形成し、エンジンバルブの製造を終了した。
ガラスコート層は、上から見た上面図において、円環状に形成されており、直径5〜30mmまでの部分にガラスコート層が形成されていた。
製造されたガラスコート層には気孔が形成されており、気孔率は25%、平均気孔径は4μmであった。ガラスコート層の厚さは膜厚計(デュアルスコープ)で決定し、平均気孔径は、SEMによりガラスコート層を撮影して得た写真を用いて決定した。
また、ガラスコート層の気孔率は、ガラスコート層の重量と膜厚計(デュアルスコープ)で測定したガラスコート層の厚さから嵩密度を算出し、ピクノメータで算出した真密度との比を算出し、その値を1から引いて、百分率とした値を気孔率として算出した。
真密度をピクノメータで算出する具体的な方法としては、ガラスコート層を粉末状にし、連続自動粉粒体真密度測定器[(株)セイシン企業製 オートトゥルーデンサー MAT−7000]で測定する。測定溶媒は測定対象となる拡散部材と反応しないものであれば特に限定されないが、本実施例1では、n−ブタノールを使用した。
(比較例1)
(a)エンジンバルブ用基材準備工程において、凹部にセラミック部材を配置しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1に係るエンジンバルブを製造した。
(ガラスコート層の評価)
製造された実施例1に係るエンンジンバルブ及び比較例1に係るエンジンバルブに関し、軸部に近い部分で軸部に平行に切断し、断面におけるガラスコート層の厚さを顕微鏡により観察した。その結果、実施例1に係るエンジンバルブでは、ガラスコート層に引けはなく、ガラスコート層は、ほぼ均一な厚さであったのに対し、比較例1に係るエンジンバルブでは、引けが発生しており、5mmの幅で、ガラスコート層に厚さの薄い部分又はガラスコート層が形成されていない部分が観察された。
10、30、50、70、90 エンジンバルブ
11、31、51、71、91 軸部(エンジンバルブ)
12、32、52、72、92 傘部(エンジンバルブ)
13、33、53、73、93 ガラスコート層
15、35、55、75、95 セラミック部材
22、42、62、82、102 傘部(金属基材)
22a、42a、62a、82a、102a 傘裏面
220a、420a、620a、820a、1020a 凹部
220、420、620、820、1020 傘裾部

Claims (15)

  1. 傘部と軸部とからなるエンジンバルブであって、
    前記エンジンバルブを構成する金属基材と、
    前記金属基材の傘部の側面である傘裏面の傘裾部以外の部分に形成され、その一部が露出した状態のガラスコート層と、
    前記ガラスコート層の表面の一部に、前記ガラスコート層の傘裾部側の端部を覆うように配置されたセラミック部材とからなることを特徴とするエンジンバルブ。
  2. 前記セラミック部材は、気孔を有する請求項1に記載のエンジンバルブ。
  3. 前記セラミック部材の気孔中にガラスコート層の成分が浸透している請求項2に記載のエンジンバルブ。
  4. 前記ガラスコート層は、気孔を有する請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンバルブ。
  5. 前記ガラスコート層の厚さは、1〜1000μmである請求項1〜4のいずれかに記載のエンジンバルブ。
  6. 前記傘裾部の幅は、前記傘裏面の傘裾からエンジンバルブの軸部に向かう方向において、前記傘裏面の幅の3〜20%である請求項1〜5のいずれかに記載のエンジンバルブ。
  7. 前記ガラスコート層は、非晶質無機材と結晶性無機材とからなる請求項1〜6のいずれかに記載のエンジンバルブ。
  8. 前記非晶質無機材は、軟化点が300〜1000℃である低軟化点ガラスである請求項7に記載のエンジンバルブ。
  9. 前記結晶性無機材は、アルミナ、ジルコニア、イットリア、カルシア、マグネシア、セリア及びハフニアからなる群から選択される少なくとも一種からなる請求項7に記載のエンジンバルブ。
  10. 前記セラミック部材は、ジルコニアからなる請求項1〜9のいずれかに記載のエンジンバルブ。
  11. 前記セラミック部材は、リング状であり、
    前記傘裏面の傘裾部に隣接する部分には、凹部が形成され、
    前記凹部には、ガラスコート層の端部が入り込んでおり、
    前記リング状のセラミック部材は、前記ガラスコート層が形成された凹部に嵌合されてなる請求項1〜10のいずれかに記載のエンジンバルブ。
  12. 前記凹部の断面形状は円弧形状である請求項11に記載のエンジンバルブ。
  13. 前記凹部の断面形状は直角V字形状である請求項11に記載のエンジンバルブ。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のエンジンバルブの製造方法であって、
    傘部と軸部とからなる金属基材の傘部の側面である傘裏面の、傘裾部以外の部分にガラスペーストを塗布してガラスペースト層を形成する工程、
    前記ガラスペースト層の表面の一部に、前記ガラスペースト層の傘裾部側の端部を覆うようにセラミック部材を配置する工程、及び、
    前記ガラスペースト層を焼結することにより、ガラスコート層を形成するとともに、前記セラミック部材と前記金属基材とをガラスコート層を介して接着する工程を含むことを特徴とするエンジンバルブの製造方法。
  15. エンジンバルブに用いられるセラミック部材であって、
    前記エンジンバルブは、請求項1〜13に記載のエンジンバルブであることを特徴とするセラミック部材。
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