JP2017008040A - 粒子、混合物、混練物、成形体および粒子の製造方法 - Google Patents

粒子、混合物、混練物、成形体および粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂と混練しても、作業者に刺激を与えることを抑制して、混練作業を確実に実施することのできる、粒子およびその製造方法と、それから得られる混合物、混練物および成形体とを提供すること。
【解決手段】粒子1は、カプサイシン類と、疎水性の第1重合性ビニルモノマーとを含有するコア原料成分をミニエマルション重合することにより得られるコア2と、疎水性の第2重合性ビニルモノマーを含有するシェル原料成分を、コア2をシードとするシード乳化重合することにより得られるシェル3であって、コア2を被覆するシェル3とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、粒子、混合物、混練物、成形体および粒子の製造方法、詳しくは、カプサイシン類を含有する粒子、混合物、混練物、成形体および粒子の製造方法に関する。
従来、粒子にカプサイシン類を含有させることにより、カプサイシン類が有する辛味性に基づく防鼠性(鼠に対する忌避性)を、粒子に付与することが知られている。
例えば、メラミン樹脂からなる壁膜と、その壁膜に被覆されるカプサイシンとを含有するマイクロカプセル製剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1において、上記したマイクロカプセル製剤を得るには、まず、カプサイシンを水に難溶性の溶剤で溶解してカプサイシン溶液を調製する。その後、カプサイシン溶液を、分散剤を含有する水中に分散し、その後、メラミンプレポリマー(メラミン・ホルムアルデヒド初期縮合物)を加え、in−situ重合することにより、カプサイシン溶液を被覆するメラミン樹脂を合成する。
特開平4−9303号公報
しかるに、カプサイシン類を含有する粒子を、樹脂に分散させて、種々の成形体に成形する場合がある。しかし、特許文献1に記載のマイクロカプセル製剤を樹脂と混合、とりわけ混練すると、カプサイシン類の辛味性に基づく刺激を作業者が受け、そのため、混合作業、とりわけ混練作業を実施することが困難になるという不具合がある。
本発明の目的は、樹脂に分散させても、作業者に刺激を与えることを抑制して、混合作業、とりわけ混練作業を確実に実施することのできる、粒子およびその製造方法と、それから得られる混合物、とりわけ混練物および成形体とを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、
[1] カプサイシン類と、疎水性の第1重合性ビニルモノマーとを含有するコア原料成分をミニエマルション重合することにより得られるコアと、疎水性の第2重合性ビニルモノマーを含有するシェル原料成分を、前記コアをシードとするシード乳化重合することにより得られるシェルであって、前記コアを被覆する前記シェルとを備えることを特徴とする、粒子、
[2] 前記第1重合性ビニルモノマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に1つ含有する第1モノマーを主成分として含有し、前記第2重合性ビニルモノマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に1つ含有する第2モノマーを主成分として含有し、前記カプサイシン類の前記第2モノマーに対する溶解性は、前記カプサイシン類の前記第1モノマーに対する溶解性に比べて、低いことを特徴とする、上記[1]に記載の粒子、
[3] 前記第1重合性ビニルモノマーは、種類が異なる複数の官能基を有する架橋性モノマーを含有することを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の粒子、
[4] 前記シェルは、ポリビニルアルコールにグラフトし、および/または、ポリビニルアルコールを吸着していることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の粒子、
[5] 前記ポリビニルアルコールを前記コアを含有する乳濁液に配合するとともに、前記シェル原料成分を前記乳濁液に配合することにより、前記シェルが前記ポリビニルアルコールにグラフトすることを特徴とする、上記[4]に記載の粒子、
[6] 前記シェル原料成分、前記ポリビニルアルコールおよび前記乳濁液が配合された液を、75℃以上に加熱することを特徴とする、上記[5]に記載の粒子、
[7] 疎水性の第1重合性ビニルモノマーの重合により得られる第1重合体と、カプサイシン類とを含有し、平均粒子径が1μm未満であるコアと、疎水性の第2重合性ビニルモノマーの重合により得られる第2重合体からなるシェルであって、前記コアを被覆する前記シェルとを備えることを特徴とする、粒子、
[8] カプサイシン類と、疎水性の第1重合性ビニルモノマーとを含有するコア原料成分をミニエマルション重合してコアを調製するコア調製工程、および、疎水性の第2重合性ビニルモノマーを含有するシェル原料成分を、前記コアをシードとするシード乳化重合により得られるシェルであって、前記コアを被覆する前記シェルを調製するシェル調製工程を備えることを特徴とする、粒子の製造方法、
[9] ポリビニルアルコールを配合するポリビニルアルコール配合工程をさらに備えることを特徴とする、上記[8]に記載の粒子の製造方法、
[10] 前記ポリビニルアルコール配合工程では、前記シェル調製工程において、前記ポリビニルアルコールを前記コアを含有する乳濁液に配合することを特徴とする、上記[9]に記載の粒子の製造方法。
[11] 前記ポリビニルアルコールおよび前記乳濁液が配合された液を、75℃以上に加熱することを特徴とする、上記[10]に記載の粒子の製造方法、
[12] 上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の粒子を樹脂に分散させることにより得られることを特徴とする、混合物、
[13] 上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の粒子と、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーとを混練することにより得られることを特徴とする、混練物、
[14] 上記[12]に記載の混合物から成形されることを特徴とする、成形体、
[15] 上記[13]に記載の混練物から成形されることを特徴とする、成形体
である。
本発明の粒子の製造方法およびそれにより得られる粒子は、作業者に刺激を与えることを抑制できながら、樹脂に確実に分散させて混合物を得ることができる。また、粒子と、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーとを確実に混練して混練物を得ることができる。
そのため、上記した混合物から成形体を確実に成形することができる。また、上記した混練物から成形体を確実に成形することができる。
図1は、本発明の粒子の一実施形態の概略断面図を示す。 図2は、図1に示す粒子の変形例の概略断面図を示す。 図3は、実施例17の粒子のTEM写真の画像処理図を示す。 図4は、図3に示す粒子におけるコアのTEM写真の画像処理図を示す。 図5は、実施例14の粒子のTEM写真の画像処理図を示す。 図6は、図5に示す粒子におけるコアのTEM写真の画像処理図を示す。 図7は、スプレードライされた実施例5の凝集粒子(粉剤)の断面のSEM写真の画像処理図を示す。 図8は、風乾された実施例5の粒子のSEM写真の画像処理図を示す。 図9は、実施例5の混練物のSEM写真の画像処理図を示す。 図10は、比較例1のマイクロカプセルのSEM写真の画像処理図を示す。 図11は、比較例1の混練物の破断面のSEM写真の画像処理図を示す。 図12は、比較例1の混練物の破断面のSEM写真の画像処理図を示す。
本発明の粒子の一実施形態を説明する。
1. 粒子
この粒子は、カプサイシン類と、疎水性の第1重合性ビニルモノマーとを含有するコア原料成分をミニエマルション重合することにより得られるコアと、疎水性の第2重合性ビニルモノマーを含有するシェル原料成分を、コアをシードとするシード乳化重合することにより得られるシェルであって、コアを被覆するシェルとを備える。
以下、カプサイシン類、第1重合性ビニルモノマーおよび第2重合性ビニルモノマーについて順次説明する。
1.1. カプサイシン類
カプサイシン類は、粒子に、有害動物に対する忌避性を付与する成分である。忌避の対象となる有害動物として、例えば、鼠、猪、鹿、もぐら、あらいぐま、熊などが挙げられ、好ましくは、鼠が挙げられる。
カプサイシン類としては、例えば、カプサイシン(N−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチル]−8−メチル−6−ノネンアミド)、および、カプサイシン誘導体が挙げられる。カプサイシン誘導体としては、例えば、N−バニリルノナンアミド(VNA)、ノニリックアシドバニリルアミド、デシリックアシドバニリルアミド、ノルジヒドロカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシンなどが挙げられる。
カプサイシン類は、単独使用または併用することができる。
カプサイシン類として、好ましくは、カプサイシン、VNAが挙げられ、より好ましくは、VNAが挙げられる。
カプサイシン類の融点は、例えば、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、また、例えば、80℃以下、好ましくは、70℃以下である。
また、カプサイシン類は、実質的に疎水性であって、例えば、水に対する室温(25℃)における溶解度が極めて小さく、具体的には、室温(25℃)における溶解度が、例えば、1.00g/水1L以下、好ましくは、0.50g/水1L以下である。
なお、カプサイシン類は、後で詳述するが、後述する第1モノマー(A)に対する溶解性が高い一方、後述する第2モノマー(B)に対する溶解性が低い。
1.2. 第1重合性ビニルモノマー
第1重合性ビニルモノマーは、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合(具体的には、エチレン性不飽和二重結合、より具体的には、ビニル基など)を少なくとも1つ分子内に有する。
第1重合性ビニルモノマーとしては、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に1つ含有する第1ビニルモノマー、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に2つ以上含有する第2ビニルモノマーなどが挙げられる。
1.2.1. 第1ビニルモノマー
第1ビニルモノマーは、第1重合性ビニルモノマーに主成分として含有される主モノマーである。なお、第1重合性ビニルモノマーに主成分として含有される第1ビニルモノマーは、第1モノマー(A)と称される。
第1ビニルモノマー(第1モノマー(A))としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、芳香族ビニルモノマー、ビニルエステル系モノマー、マレイン酸エステル系モノマー、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、窒素含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルであって、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル(具体的には、メタクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸メチル。以下、同様の意義。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸iso−ノニル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル(ラウリル)、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル(ステアリル)、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのアルキル部分が直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜20のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜8のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、さらに好ましくは、メタクリル酸メチルが挙げられる。
芳香族系ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。好ましくは、スチレンが挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸エステル系モノマーとしては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
ハロゲン化ビニルとしては、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニルなどが挙げられる。
ハロゲン化ビニリデンとしては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
窒素含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ビニルピリジンなどが挙げられる。
第1ビニルモノマーとして、好ましくは、カプサイシン類の溶解性が高いモノマーが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、窒素含有ビニルモノマーが挙げられ、より好ましくは、メタクリル酸メチル、アクリロニトリルが挙げられる。
第1ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独使用または2種以上併用、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーおよび窒素含有ビニルモノマーの併用が挙げられる。
第1ビニルモノマーの配合割合は、第1重合性ビニルモノマーに対して、例えば、50質量%超過、好ましくは、55質量%以上、さらに好ましくは、60質量%以上であり、また、100質量%以下である。
1.2.2. 第2ビニルモノマー
第2ビニルモノマーは、第1ビニルモノマーと任意的に併用される副モノマーであって、第1ビニルモノマーと共重合可能な架橋性モノマーである。第2ビニルモノマーとしては、例えば、種類が同一の複数の官能基を有する第1架橋性モノマー、例えば、種類が異なる複数の官能基を有する第2架橋性モノマーが挙げられる。
第1架橋性モノマーに有される官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などが挙げられる。第1架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、トリアリルイソシアヌレートなどのポリアリルイソシアヌレート系モノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどのジビニル系モノマーなどが挙げられる。第1架橋性モノマーとして、好ましくは、モノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、より好ましくは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
第2架橋性モノマーに有される官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基と、アルケニル基とが挙げられる。第2架橋性モノマーとしては、例えば、ビニル(メタ)メタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロペニル(メタ)メタクリレート、ブテニル(メタ)メタクリレート、ペンテニル(メタ)メタクリレート、ヘキセニル(メタ)メタクリレート、オクテニル(メタ)メタクリレートなどの、アルケニル基と(メタ)アクリロイル基とを有するアルケニル(メタ)アクリレート系モノマーなどが挙げられる。第2架橋性モノマーとして、好ましくは、アリル(メタ)アクリレートが挙げられる。より好ましくは、アリルメタクリレートが挙げられる。
第2ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、第1架橋性モノマーの単独使用、第1架橋性モノマーおよび第2架橋性モノマーの併用が挙げられ、より好ましくは、第1架橋性モノマーおよび第2架橋性モノマーの併用が挙げられる。第1架橋性モノマーおよび第2架橋性モノマーを併用すれば、コアにおいて、第1ビニルモノマーから生成される第1重合体を第1架橋性モノマーおよび第2架橋性モノマーにより架橋構造を形成しつつ、第2架橋性モノマーにおいて残存する重合性の炭素−炭素二重結合(具体的には、アルケニル基における重合性の炭素−炭素二重結合)が、シェルにおいて、第2重合性ビニルモノマーから生成される第2重合体と化学結合してグラフト構造を形成することができる。
とりわけ、アリル(メタ)アクリレート(好ましくは、アリルメタクリレート)は、(メタ)アクリロイル基(好ましくは、メタクリロイル基)が(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとして共重合する。一方、アリル基は、ポリマーラジカルが連鎖移動(破壊的連鎖移動)して生成するアリルラジカルが共鳴安定化により安定であることから、重合性炭素炭素二重結合を含有するモノマーとして共重合(架橋構造を形成)するより、他のポリマーラジカルとカップリングしてグラフト構造を形成する確率が高いモノマー(グラフト性モノマー)である。
第2ビニルモノマーの配合割合は、第1重合性ビニルモノマーに対して、例えば、0.5質量%以上し、好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。また、第2ビニルモノマーの配合割合は、第1ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、2質量部以上であり、また、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
第2ビニルモノマーが第1架橋性モノマーおよび第2架橋性モノマーを含有する場合には、第1架橋性モノマーの含有割合は、第1重合性ビニルモノマーに対して、0.5質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下であり、第2架橋性モノマーの含有割合が、例えば、0.05質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。また、第1架橋性モノマーおよび第2架橋性モノマーの総量に対して、第1架橋性モノマーの含有割合が、例えば、40質量%以上、好ましくは、60質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下であり、第2架橋性モノマーの含有割合が、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
1.2.3. 第1重合性ビニルモノマーにおける各モノマーの組合せ
第1重合性ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、第1ビニルモノマーと第2ビニルモノマーとの組合せが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、モノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとの組合せ、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、窒素含有ビニルモノマーと、モノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートとの組合せ、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、モノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートと、アルケニル(メタ)アクリレート系モノマーとの組合せ、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、窒素含有ビニルモノマーと、モノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートと、アルケニル(メタ)アクリレート系モノマーとの組合せが挙げられる。
上記した第1重合性ビニルモノマーは、実質的に疎水性であって、例えば、水に対する室温(25℃)における溶解度が極めて小さく、具体的には、室温(25℃)における溶解度が、例えば、80g/水1L以下、好ましくは、50g/水1L以下、さらに好ましくは、30g/水1L以下である。なお、重合性ビニルモノマーは、異なる種類が併用される場合には、第1重合性ビニルモノマー全体(つまり、異なる種類の重合性ビニルモノマーの混合物)として実質的に疎水性である。
1.3. 第2重合性ビニルモノマー
第2重合性ビニルモノマーとしては、上記で例示した第1重合性ビニルモノマーと同一の重合性ビニルモノマーが挙げられる。具体的には、第2重合性ビニルモノマーとして、第1ビニルモノマー、第2ビニルモノマーが挙げられる。
また、第2重合性ビニルモノマーに主成分として含有される第1ビニルモノマーは、第2モノマー(B)と称される。
第1ビニルモノマー(第2モノマー(B))として、好ましくは、カプサイシン類の溶解性が低いモノマーが挙げられる。第1ビニルモノマー(第2モノマー(B))として、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、芳香族系ビニルモノマーが挙げられ、より好ましくは、芳香族系ビニルモノマーが挙げられる。
第1ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができ、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの単独使用、芳香族系ビニルモノマーの単独使用、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーおよび芳香族系ビニルモノマーの併用が挙げられ、より好ましくは、芳香族系ビニルモノマーの単独使用が挙げられる。具体的には、メタクリル酸メチルの単独使用、メタクリル酸iso−ブチルの単独使用、スチレンの単独使用、スチレンおよびメタクリル酸iso−ブチルの併用が挙げられ、より好ましくは、スチレンの単独使用が挙げられる。
また、カプサイシン類の第2モノマー(B)に対する溶解性は、例えば、カプサイシン類の第1モノマー(A)に対する溶解性に比べて、低い。具体的には、第2モノマー(B)および第1モノマー(A)の組合せとして、例えば、芳香族ビニルモノマー(より具体的には、スチレン)と、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(より具体的には、メタクリル酸メチル)との組合せ、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(より具体的には、メタクリル酸メチル)と、窒素含有ビニルモノマー(より具体的には、アクリロニトリル)と(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(より具体的には、アクリル酸エチル)の共重合体との組合せが挙げられ、好ましくは、芳香族ビニルモノマー(より具体的には、スチレン)と、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(より具体的には、メタクリル酸メチル)との組合せが挙げられる。なお、上記したカプサイシン類の、第2モノマー(B)および第1モノマー(A)に対する溶解性は、後の実施例で確認される。
第2重合性ビニルモノマーは、単独使用または併用することができる。好ましくは、第1ビニルモノマーおよび第2ビニルモノマーの併用が挙げられる。
第1ビニルモノマーおよび第2ビニルモノマーが併用される場合において、それらの総量に対する、第1ビニルモノマーの配合割合は、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上であり、例えば、99質量%以下、好ましくは、98質量%以下であり、第2ビニルモノマーの配合割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上であり、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
1.4.第1重合性ビニルモノマーおよび第2重合性ビニルモノマーの組合せ
第2架橋性モノマーが第1重合性ビニルモノマーに含有されれば、例えば、第2架橋性モノマーが第2重合性ビニルモノマーに含有されず、第1ビニルモノマーさえ第2重合性ビニルモノマーに含有されていればよい。このような組合せによれば、第1重合性ビニルモノマーに含有される第2架橋性モノマーの重合体を介して、シェル3(後述、図1参照)をコア2(後述、図1参照)に化学結合させることができる。具体的には、第2架橋性モノマーにより、後述するグラフト構造および界面層(バリヤー層)を形成することができる。
好ましくは、第2架橋性モノマーが第1重合性ビニルモノマーに含有されれば、第1架橋性モノマーが第2重合性ビニルモノマーに含有されなくてもよい。より好ましくは、アルケニル(メタ)アクリレート系モノマーが第1重合性ビニルモノマーに含有されれば、モノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが第2重合性ビニルモノマーに含有されなくてもよい。さらに好ましくは、アリル(メタ)アクリレートが第1重合性ビニルモノマーに含有されれば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが第2重合性ビニルモノマーに含有されなくてもよい。
2. 粒子の製造方法
そして、この粒子の製造方法は、カプサイシン類と、疎水性の第1重合性ビニルモノマーとを含有するコア原料成分をミニエマルション重合することにより、コアを調製するコア調製工程、および、疎水性の第2重合性ビニルモノマーを含有するシェル原料成分を、コアをシードとしてシード乳化重合することにより、コアを被覆するシェルを調製するシェル調製工程を備える。また、コア調製工程では、コア原料成分からミニエマルションを調製するために、別途、第1乳化剤水溶液を調製する。粒子の製造方法は、好ましくは、PVAをコアを含有する乳濁液に配合するPVA配合工程をさらに備える。
2.1.コア原料成分、第1乳化剤水溶液およびシェル原料成分の調製と、PVA
まず、コア原料成分、第1乳化剤水溶液およびシェル原料成分の調製と、PVAとについて順次説明する。
2.1.1. コア原料成分の調製
コア原料成分を調製するには、例えば、カプサイシン類と第1重合性ビニルモノマーとを配合する。好ましくは、カプサイシン類を第1重合性ビニルモノマーで溶解する。これによって、カプサイシン類および第1重合性ビニルモノマーを含有するコア原料成分を調製する。
カプサイシン類のコア原料成分100質量部に対する配合割合は、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、40質量部以下、好ましくは、25質量部以下である。
また、コア原料成分に、好ましくは、油溶性重合開始剤およびハイドロホーブを配合する。
油溶性重合開始剤としては、例えば、ジラウロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキシドなどの油溶性有機過酸化物、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの油溶性アゾ化合物などが挙げられる。油溶性重合開始剤として、好ましくは、油溶性有機過酸化物が挙げられる。
油溶性重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
油溶性重合開始剤は、実質的に疎水性であり、具体的には、25℃の水に対する溶解度は、例えば、0.1g/L以下、さらには、0.01g/L以下である。
油溶性重合開始剤の配合割合は、第1重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
なお、水溶性重合開始剤(後述)は、好ましくは、コア調製工程において、配合(使用)されない。つまり、好ましくは、コア調製工程において、水溶性重合開始剤ではなく、油溶性重合開始剤が配合(使用)される。水溶性重合開始剤をコア調製工程において配合(使用)すれば、水溶性重合開始剤の分解切片であるイオンラジカルなどの親水性ラジカルにより、微量の新粒子が発生するので、重合安定性が低下し、凝集物を生成する場合がある。一方、油溶性重合開始剤であれば、上記した凝集物の生成を抑制することができる。
ハイドロホーブは、オストワルド熟成を防止して、コアの肥大化(コアの粒子径の増大)を抑制するために、コア原料成分に配合される。ハイドロホーブとしては、例えば、n−ヘキサデカンなどの炭素数8以上の脂肪族化合物、例えば、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)などの炭素数8以上の1価アルコールなどが挙げられる。
ハイドロホーブの配合割合は、第1重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
また、カプサイシン類(とりわけ、カプサイシン、VNA)は、水にほとんど溶解しない(疎水性である)ので、ハイドロホーブとしての役割を果たす。カプサイシン類の添加量は、上記の通りである。
2.1.2. 第1乳化剤水溶液の調製
第1乳化剤水溶液を調製するには、水と乳化剤とを配合する。具体的には、水と乳化剤とを配合して、それらを均一に攪拌する。
乳化剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ノニルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤が挙げられる。
また、乳化剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアラルキルアリールエーテル、例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどのポリオキシアルキレンブロックコポリマー、例えば、ポリオキシエチレンアリールエーテルなどのポリオキシアルキレンアリールエーテルなどのノニオン系乳化剤も挙げられる。
乳化剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
乳化剤として、好ましくは、アニオン系乳化剤が挙げられる。
乳化剤の配合割合は、例えば、コア原料成分を第1乳化剤水溶液に乳化する時に、ミセルを生成しないように、設定される。詳しくは、乳化剤の配合割合は、コア原料成分を第1乳化剤水溶液に乳化する時に、乳化剤固有の単位質量あたりの占有面積から算出されるミニエマルション粒子を被覆するのに必要な乳化剤量と、第1乳化剤水溶液中における臨界ミセル濃度となる乳化剤量との和を超えないように設定される。乳化剤の配合割合は、第1乳化剤水溶液に対して、乳化剤の有効成分量として、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.2質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。また、乳化剤の配合割合を、コア原料成分に対して、乳化剤の有効成分量として、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.2質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下となるように調整する。乳化剤の配合割合が上記した上限以下であれば、ミセルの生成に基づく新粒子の発生を抑えることができ、粒子の数が一定で重合が進行するため、コアが確実にカプサイシン類を内包することができる。
第1乳化剤水溶液は、例えば、分散剤を含有することもできる。
分散剤は、好ましくは、乳化剤と併用され、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩、ポリカルボン酸型オリゴマー、ヒドロキシセルロースなどのセルロース系分散剤などが挙げられ、好ましくは、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩が挙げられる。
芳香族スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。好ましくは、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸などのナフタレンスルホン酸が挙げられる。
塩を形成するためのカチオンとしては、例えば、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンなどの1価のアルカリ金属カチオン、例えば、アンモニウムカチオンなどが挙げられる。好ましくは、1価のアルカリ金属カチオンが挙げられる。
芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩としては、具体的には、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩(ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩)が挙げられる。芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩として、市販品を用いることができ、具体的には、デモールNL(β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩の41%水溶液、花王社製)などが挙げられる。
これら分散剤は、単独使用または2種以上併用することができる。分散剤として、好ましくは、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩の単独使用、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩およびPVAの併用が挙げられ、好ましくは、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物の塩の単独使用が挙げられる。
分散剤の配合割合は、有効成分量として、コア原料成分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、8質量部以下である。
2.1.3. シェル原料成分の調製
シェル原料成分を調製するには、例えば、疎水性の第2重合性ビニルモノマーをそのままシェル原料成分として用意する。または、疎水性の第2重合性ビニルモノマーを乳化して、シェル原料成分を含有するシェル原料乳化液を調製する。好ましくは、疎水性の第2重合性ビニルモノマーを乳化して、シェル原料乳化液を調製する。
シェル原料乳化液を調製するには、例えば、乳化剤および分散剤の存在下、好ましくは乳化剤の存在下、第2重合性ビニルモノマーを水中に乳化させる。具体的には、まず、水に乳化剤および分散剤を配合して、第2乳化剤水溶液を調製し、次いで、第2重合性ビニルモノマーを、第2乳化剤水溶液中に乳化させる。
乳化剤としては、上記した乳化剤と同一のものが挙げられ、好ましくは、第1乳化剤水溶液に配合されたアニオン系乳化剤が挙げられる。分散剤としては、好ましくは、PVAが挙げられる。
乳化剤の配合割合は、第2重合性ビニルモノマーを第2乳化剤水溶液に乳化する時に、ミセルを生成しないように、設定される。乳化剤の配合割合は、具体的には、第2重合性ビニルモノマーに対して、乳化剤の有効成分量として、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。
第2重合性ビニルモノマーの乳化において、単に第2乳化剤水溶液中に第2重合性ビニルモノマーが分散していればよく、第2重合性ビニルモノマーの粒子径は任意である。
第2重合性ビニルモノマーの配合割合は、第2乳化剤水溶液100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、180質量部以下である。また、第2重合性ビニルモノマーの配合割合を、コア100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、300質量部以下となるように、調整する。
シェル原料乳化液の調製とは別に、例えば、重合開始剤水溶液を調製する。
重合開始剤水溶液を調製するには、水溶性重合開始剤を水に溶解させる。
水溶性重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物などの水溶性アゾ化合物、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩化合物、例えば、過酸化水素などの水溶性無機過酸化物、例えば、tert−ブチルパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどの水溶性有機過酸化物などが挙げられる。さらに、水溶性重合開始剤として、例えば、水溶性アゾ化合物を除く水溶性重合開始剤と、アスコルビン酸、次亜硫酸水素ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトルム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガリット)、二酸化チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、2価鉄塩、1価銅塩、アミン類などの水溶性還元剤とを組み合わせたレドックス系水溶性重合開始剤なども挙げられる。
水溶性重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
水溶性重合開始剤として、好ましくは、過硫酸塩化合物が挙げられる。
水溶性重合開始剤の25℃の水に対する溶解度は、例えば、20g/L超過、さらには、50g/L超過である。
水溶性重合開始剤の配合割合は、第2重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、3質量部以下、好ましくは、1質量部以下である。
2.1.4. PVA
PVAは、分散剤であって、シェルに吸着されるポリマーおよび/またはシェルによってグラフトされるポリマーである。
PVAは、例えば、酢酸ビニルを主成分とするビニルモノマーを適宜の方法で重合して得られるポリ酢酸ビニル系重合体を部分的にけん化させることにより、得ることができる。
PVAのけん化度は、例えば、70%以上、好ましくは、80%以上であり、また、例えば、99%以下、好ましくは、90%以下である。PVAの平均重合度は、例えば、300以上、好ましくは、400以上であり、また、例えば、4000以下、好ましくは、2500以下である。PVAは、4%水溶液の20℃における粘度が、例えば、3mPa・sec以上、好ましくは、5mPa・sec以上であり、また、例えば、100mPa・sec以下、好ましくは、50mPa・sec以下である。PVAの粘度は、20℃において、その4%水溶液をB型粘度計を用いて測定することができる。
2.2. コア調製工程、シェル調製工程およびPVA配合工程
次に、コア調製工程、シェル調製工程およびPVA配合工程について順次説明する。
2.2.1. コア調製工程
コア調製工程では、コア原料成分をミニエマルション重合する。コア原料成分をミニエマルション重合するには、まず、コア原料成分を第1乳化剤水溶液中に乳化する。
具体的には、コア原料成分を第1乳化剤水溶液に配合し、それらに高い剪断力を与えることにより、コア原料成分を第1乳化剤水溶液中に乳化させて、ミニエマルションを調製する。
コア原料成分の乳化では、例えば、ホモミキサー(ホモミクサー)、超音波ホモジナイザー、加圧式ホモジナイザー、マイルダー、多孔膜圧入乳化機などの乳化機が用いられ、好ましくは、ホモミキサーが用いられる。
攪拌条件は、適宜設定され、ホモミキサーを用いる場合には、その回転数を、例えば、6000rpm以上、好ましくは、8000rpm以上、さらに好ましくは、10000rpm以上に、例えば、30000rpm以下に設定する。攪拌時間は、例えば、1分間以上、好ましくは、2分間以上であり、また、1時間以下である。
コア原料成分の配合割合は、第1乳化剤水溶液100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、25質量部以上であり、また、例えば、100質量部以下、好ましくは、90質量部以下である。
上記の方法により、コア原料成分のミニエマルションを調製する。なお、コア原料成分のミニエマルションは、乳化剤が、ミニエマルション粒子(コア原料成分の乳化液滴)に吸着しており、水媒体中に、平均粒子径1μm未満のコア原料成分のミニエマルション粒子が形成されている。
ミニエマルション粒子の平均粒子径は、メジアン径として算出され、例えば、1μm未満、好ましくは、750nm以下、さらに好ましくは、500nm以下、とりわけ好ましくは、400nm以下に、また、例えば、100nm以上に調節される。
なお、ミニエマルション粒子は、ハイドロホーブがコア原料成分に配合される場合には、オストワルド熟成が抑制され、コアの肥大化(粒子径の増大)が抑制される。そのため、乳化した時の粒子径が維持されており、さらに、このミニエマルション粒子の表面には、乳化剤が吸着されており、それによって、ミニエマルションが分散安定化されている。つまり、ミニエマルションの水分散安定性が確保されている。
その後、乳化された第1重合性ビニルモノマーを、油溶性重合開始剤の存在下、加熱により、ミニエマルション重合して、第1重合体からなるコアを生成する。
このミニエマルション重合は、原料となる第1重合性ビニルモノマーがすべてミニエマルション粒子(疎水性液相)のみにあることから、インサイチュ(in−situ)重合である。すなわち、ミニエマルション重合は、ミニエマルションを攪拌しながら加熱することにより、第1重合性ビニルモノマーがそのまま、ミニエマルション粒子中で重合を開始し、第1重合体を生成する。
ミニエマルションの撹拌における攪拌羽根の周速は、例えば、10m/分以上、好ましくは、20m/分以上であり、また、400m/分以下、好ましくは200m/分以下である。
加熱条件は、油溶性重合開始剤や第1重合性ビニルモノマーの種類によって適宜選択され、加熱温度が、例えば、カプサイシン類の融点以上であり、具体的には、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上であり、また、例えば、100℃以下であり、加熱時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、また、例えば、8時間以下、好ましくは、6時間以下である。
ミニエマルション重合によって、第1重合体およびカプサイシン類を含有するコアを含有する乳濁液が得られる。乳濁液では、コアが、分散されている。
また、コアは、第1重合性ビニルモノマーの重合により得られる第1重合体中にカプサイシン類が分散する相分離構造を有する。
その後、例えば、反応後の乳濁液を冷却することなく、シード乳化重合温度に維持し、続いて、シード乳化重合を実施する。
あるいは、乳濁液を、例えば、一旦、室温(20〜30℃、より具体的には、25℃))に冷却してもよい。
このようにして得られるコアの平均粒子径は、メジアン径として算出され、1μm未満、好ましくは、750nm以下、さらに好ましくは、500nm以下、とりわけ好ましくは、400nm以下であり、また、例えば、100nm以上である。
これにより、コアが分散された乳濁液を得る。
第1重合性ビニルモノマーは、第2架橋性モノマーを含有すれば、コアにおいて、第2架橋性モノマーにおける一方の官能基が第1ビニルモノマーのビニル基と共重合しつつ、第2架橋性モノマーにおける他方の官能基がグラフト構造を形成することができる。具体的には、第2架橋性モノマーがアルケニル(メタ)アクリレート系モノマー、好ましくは、アリル(メタ)アクリレートであれば、(メタ)アクリロイル基における重合性の炭素−炭素二重結合が、第1ビニルモノマーのビニル基と共重合しつつ、アルケニル基における炭素−炭素二重結合によるグラフト構造を形成することができる。そのため、コアおよびシェルの界面が化学結合された界面層となり、カプサイシン類がコアからシェルを介して外側に発散することを、より一層防止することができる。そして、上記した界面層は、シェル調製工程におけるシード乳化重合において、次に説明する第2重合体が、第1重合体より疎水性であっても、第2重合体がコア中に潜り込むことを抑制するバリヤー層となる。さらに、シード乳化重合において、第2重合性ビニルモノマーが第2ビニルモノマー(架橋性モノマー)を含有しない場合においても、粒子を樹脂と溶融混練を行う時に、シェルが溶融してコアから脱離することを抑制して、カプサイシン類のバリヤー層としての役割を果たす。
2.2.2. シェル調製工程
シェル調製工程では、シェル原料成分をシード乳化重合する。シェル原料成分をシード乳化重合するには、例えば、まず、乳濁液の温度を、シード乳化重合の重合温度となるように調整する。具体的には、シェル原料成分またはシェル原料乳化液、および、重合開始剤水溶液が配合される(直前の)乳濁液の温度(すなわち、重合温度)を、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上、より好ましくは、70℃以上、また、例えば、100℃以下に調整する。
乳濁液の温度の調整後、シェル原料成分またはシェル原料乳化液を、コアを含有する乳濁液に対して供給する。好ましくは、シェル原料乳化液を、上記した乳濁液に対して供給する。
シェル原料成分またはシェル原料乳化液を乳濁液に対して供給を開始する時に、好ましくは、上記したミニエマルション重合が終了しており、具体的には、ミニエマルション重合における第1重合性ビニルモノマーの転化率が、例えば、75.0%以上、好ましくは、95.0%以上、より好ましくは、99.0%以上の時に、シェル原料成分またはシェル原料乳化液を乳濁液に対して供給する。第1重合性ビニルモノマーの転化率は、コアにおける第1重合性ビニルモノマーの転化率であって、HPLCにより測定される。シェル原料成分またはシェル原料乳化液を乳濁液に対して供給を開始する時に、第1重合性ビニルモノマーの転化率が上記下限以上であれば、粒子がコアシェル構造を確実に有することができる。
シェル原料成分またはシェル原料乳化液を乳濁液に対して供給するのに要する時間は、例えば、10分間以上、好ましくは、30分間以上、より好ましくは、60分間以上かけて、また、例えば、240分間以下、好ましくは、180分間以下である。
シェル原料乳化液の配合割合は、コア(コア原料成分)100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、300質量部以下である。また、シェル原料成分の配合割合が、コア(コア原料成分)100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上、また、例えば、1000質量部以下、好ましくは、150質量部以下となるように、調整される。
また、シェル原料成分またはシェル原料乳化液の乳濁液に対する供給とともに、重合開始剤水溶液を乳濁液に対して供給する。
重合開始剤水溶液を乳濁液に対して供給するには、例えば、連続供給、分割供給、一括供給が採用され、好ましくは、連続供給が採用される。連続供給であれば、分割供給または一括供給時の供給(添加)ショック(具体的には、重合中の粒子が乳濁液中で不安定となり、凝集すること)を軽減することができるとともに、コアとシェルとの境界面を一層明確にすることができる。
連続供給では、重合開始剤水溶液を乳濁液に対して、連続して供給し、具体的には、重合開始剤水溶液を、シェル原料乳化液を乳濁液に対して供給するのに要する時間と同一の時間をかけて、供給する。
その後、シェル原料成分(好ましくは、シェル原料乳化液)、重合開始剤(好ましくは、重合開始剤水溶液)、乳濁液および好ましくはPVAが配合された液を、加熱して熟成する。
熟成時間は、例えば、10分間以上、好ましくは、30分間以上、より好ましくは、60分間以上であり、また、例えば、180分間以下である。熟成温度は、例えば、75℃以上、好ましくは、80℃以上であり、また、100℃以下であり、また、例えば、95℃以下である。
PVAが乳濁液に配合されている場合、重合温度および熟成温度が上記した下限以上であれば、PVAに対するシェル(第2重合体)のグラフトをより促進させることができる。すなわち、シェル調製工程では、シード乳化重合が進行してシェルが形成されるとともに、PVAが乳濁液に予め配合されている場合、その後の熟成によっても、PVAに対するシェル(第2重合体)のグラフト効率が上昇する。
そして、コアをシード(種粒子)として、コアの表面において第2重合性ビニルモノマーがシード乳化重合することにより、コアを被覆し、第2重合体からなるシェルが生成される。なお、PVAが乳濁液に配合されている場合、PVAはシェルに吸着、および/または、シェル(第2重合体)によってグラフトされている。
シェルの厚みは、最大厚みで、例えば、2nm以上、好ましくは、5nm以上であり、また、例えば、250nm以下、好ましくは、200nm以下である。
粒子の平均粒子径は、メジアン径として算出され、1μm未満、好ましくは、750nm以下、より好ましくは、500nm以下、さらに好ましくは、400nm以下、また、例えば、100nm以上である。
このような製造方法によって、図1の断面図で示すように、コア2と、コア2を被覆するシェル3とを備える粒子1を含む乳濁液が得られる。
つまり、この粒子1は、球状粒子として形成されており、具体的には、粒子1は、コア2と、シェル3とからなるコアシェル構造を有している。
コア2は、第1重合体からなるマトリクス5と、マトリクス5中に分散し、カプサイシン類からなるドメイン6とから形成される相分離構造(2相構造)を有している。この相分離構造では、マトリクス5と、ドメイン6とが互いに分離している。
マトリクス5は、媒体あるいは連続相を形成する重合体相である。
ドメイン6は、マトリクス5中に分散され、カプサイシン類からなる相(カプサイシン類相)である。「ドメイン6」は、マトリクス5から、50nm以下の大きさで分離(ミクロ相分離)する相を意味する。ドメイン6の形状は特に限定されず、そのため、ドメイン6は、球状ドメイン、棒状ドメイン、不定形ドメインなどを含んでいる。
シェル3は、コア2の表面に形成されている。具体的には、シェル3は、例えば、コア2の表面を完全に被覆する膜状に形成されている。なお、図1に示すように、シェル3は、コア2の表面に沿って、均一な厚みを有していてもよく、あるいは、図3に示すように、シェル3は、コア2の表面に沿って、不均一な厚み(例えば、波形状または山形状)を有していてもよい。
シェル3は、疎水性の第2重合性ビニルモノマーの重合により生成される第2重合体を含有する。シェル3は、好ましくは、カプサイシン類を含まず、上記した第2重合体のみからなる。
コア2のシェル3に対する比(コア2/シェル3)は、質量基準で、例えば、25/75以上、好ましくは、40/60以上であり、また、例えば、90/10以下、好ましくは、75/25以下である。
そして、シード乳化重合の後、重合後の乳濁液を、例えば、放冷などによって冷却し、必要により、PVAを添加し、100目の濾布などで濾過することにより、粒子の乳濁液(水分散液)を得る。
そして、粒子を含む乳濁液に、例えば、必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、微生物増殖抑制剤などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
このようにして得られた粒子は、そのままの状態(乳濁液)、つまり、乳濁剤として用いられる。また、粒子は、スプレードライ、凍結融解・脱水・乾燥、塩析・脱水・乾燥などによって固液分離した後に、例えば、粉剤などの公知の剤型に製剤化して用いることができる。そのような粉剤は、例えば、粒子が凝集した粉剤として調製されていてもよい。
2.2.3. PVA配合工程
PVAは、カプサイシン類の蒸気透過性を制御する役割を果たす。PVAは、シェルの表面に吸着し、および/または、シェルの表面にグラフトしている。そのため、シェルの表面に吸着したPVA、および/または、シェルの表面にグラフトされたPVAは、カプサイシン類のバリヤー層となる。シェルの表面にグラフトされたPVAは、洗浄、融解、溶融混練などの物理的な履歴によっても脱離しないため、より強固なバリヤー層となる。従って、PVAのグラフト率の高い粒子は、溶融混練などのカプサイシン類の沸点以上においても、カプサイシン類蒸気の発散をより一層防止することができる。
PVA配合工程では、例えば、PVAを第1乳化剤水溶液に予め配合する第1の態様、コア調製工程におけるミニエマルション重合の終了時、すなわち、シェル調製工程開始時にコアを含有する乳濁液にPVAを配合する第2の態様、シェル調製工程におけるシード乳化重合において、シェル原料成分またはシェル原料乳化液、および、重合開始剤(好ましくは、重合開始剤水溶液)の乳濁液への配合の開始から終了までPVAを供給する第3の態様、シェル調製工程におけるシード乳化重合において、シェル原料成分またはシェル原料乳化液の配合終了時、すなわち、熟成に移行する時にPVAを配合する第4の態様、熟成後、乳濁液を冷却後にPVAを配合する第5の態様が用いられる。好ましくは、第2の態様、第3の態様、第4の態様が用いられる。第2の態様、第3の態様、第4の態様であれば、PVAがシェル(第2重合体)にグラフトされる効率を高くすることができる。
また、重合温度が高いほどグラフト効率が高く、PVAと重合粒子とが共存している時間が長いほどグラフト効率が高い。そのため、グラフトの効率は、第4の態様、第3の態様、第2の態様の順に高くなる(これら3つ様態中、第2の様態が最もグラフト効率が高く、第3様態、第4様態の順にグラフト効率は低下する)。
一方、第5の態様では、PVAは、シェルによってグラフトされず、単にシェルに吸着している。
他方、第1の態様は、コア(第1重合体)がPVAにグラフトすることにより、コア(第1重合体)の一部が親水性となって、シェル調製工程において、シェル表面にPVAが移行する可能性があり、そうすると、コアシェル構造の形成が損なわれる可能性があり、そのため、上記した第1〜第5の態様の中では、好ましくない態様である。
上記した第1〜第5の態様のうち、一態様のみを実施することができ、または、複数の態様を組み合わせて実施することもできる。
PVAは、好ましくは、PVA水溶液で配合する。PVA水溶液におけるPVAの含有割合は、例えば、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下である。
PVA(好ましくは、PVA水溶液)を供給するには、第1の態様、第2の態様、第4の態様、第5の態様では、例えば、一括供給が採用され、第3の態様では、例えば、連続供給、分割供給が採用される。
PVAの配合割合が、コア(コア原料成分)とシェル原料成分との合計100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上、また、例えば、25質量部以下、好ましくは、10質量部以下となるように、PVA(好ましくは、PVA水溶液)を配合する。上記のPVAの配合割合は、上記した第1〜第5の態様に関係なく、合計のPVAの配合割合を意味する。
3.粒子の使用および効果
この粒子は、コアがカプサイシン類を含有するので、有害動物が粒子に噛み付いたときに、カプサイシン類が粒子から放出されることによって、動物に対する忌避効果を奏する。そのため、粒子は、忌避性粒子、具体的には、有害動物忌避性粒子、好ましくは、鼠忌避性粒子(防鼠性粒子)として用いられる。
また、カプサイシン類は、抗菌作用、防虫作用などもさらに有するので、そのようなカプサイシン類を含有する粒子は、例えば、抗菌剤、防虫剤などとしても用いられる。
このような粒子は、各種の工業製品に適用することができ、例えば、屋内外の塗料、樹脂(熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂)、ゴム(熱可塑性エラストマーを含む)、繊維、パテ、接着剤、目地剤、シーリング剤、建材、コーキング剤、木材処理剤、土壌処理剤、製紙工程における白水、顔料、印刷版用処理液、冷却用水、インキ、切削油、化粧用品、不織布、紡糸油、皮革などに、添加して混合することができる。なお、これらの工業製品に対するカプサイシン類の含有量は、例えば、10mg/kg〜100g/kg(製品質量)である。
また、粒子を、熱可塑性樹脂と混練(具体的には、溶融混練)して、成形材料(混練物)を調製し、次いで、調製した成形材料から成形体を成形し、かかる成形体に、有害動物忌避性(鼠忌避性)、抗菌性や防虫性を付与することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)など)、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)など)、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。樹脂は、単独使用または併用することができる。熱可塑性樹脂として、好ましくは、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、より好ましくは、ポリエチレン樹脂が挙げられる。
粒子と熱可塑性樹脂とを溶融混練して、成形体を成形するには、まず、粒子と熱可塑性樹脂とを、必要により、公知の添加剤とともに、ドライブレンドする。
カプサイシン類の、熱可塑性樹脂100質量部に対する含有割合が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、また、例えば、5.0質量部以下、好ましくは、2.0質量部以下となるように、粒子と熱可塑性樹脂とをドライブレンドして、混合物を調製する。その後、混合物を、例えば、押出機、ニーダー、加熱ロールなどの混練機に投入して、粒子と熱可塑性樹脂とを溶融混練する。あるいは、ドライブレンドを行わず、粒子と熱可塑性樹脂を別々に、定量フィーダーで混練機に供給して溶融混練を実施することもできる。混練の温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、また、例えば、250℃以下、好ましくは、230℃以下であり、混練滞留時間は、例えば、1分間以上、好ましくは、3分間以上であり、また、例えば、20分間以下、好ましくは、10分間以下である。
混練後、混練物をペレット状に成形した後、例えば、これを射出成形機、押出成形機、ブロー成形機、インフレーション成形機などの成形機に供給して、所望の形状に成形する。なお、成形機に混練機能が具備されていれば、上記した溶融混練を省くこともできる。
また、押出機・射出成形機が併設された押出・射出成形機を用いて、混練および成形を連続して実施することもできる。
また、熱可塑性樹脂と同様にして、粒子を、熱可塑性エラストマーと混練(具体的には、溶融混練)して、成形材料(混練物)を調製し、次いで、調製した成形材料から成形体を成形し、かかる成形体に、有害動物忌避性(鼠忌避性)、抗菌性や防虫性を付与することができる。熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、アクリル系エラストマー、スチレン系エラスマーなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーは、単独使用または併用することができる。熱可塑性エラストマーの配合割合は、上記した熱可塑性樹脂の配合割合と同様である。
また、粒子を熱硬化性樹脂に配合、分散させて、混合物を調製し、混合物から成形体を成形し、かかる成形体に、有害動物忌避性(鼠忌避性)、抗菌性や防虫性を付与することができる。
熱硬化性樹脂としては、具体的には、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。樹脂は、単独使用または併用することができる。
粒子を熱硬化性樹脂に配合、分散させて、成形体を成形するには、まず、粒子を、必要により、公知の添加剤とともに、硬化前の樹脂に、各種ミキサー、ニーダーあるいはブレンダーを用いて混合して、混合物を調製する。次に、混合物を、圧縮成形、トランスファー成形、注型、積層成形、射出成形などの成形方法により成形体に成形する。粒子の配合割合は熱可塑性樹脂の場合と同様である。
つまり、粒子を、上記した熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂などの樹脂に分散させて混練物、混合物を調製し、次いで、混練物、混合物から成形体を得ることができる。
そして、この粒子では、平均粒子径が1μm以下と小さく、コア(第1重合体)がカプサイシン類を確実に含有するとともに、コアがシェル(第2重合体)によって被覆されている。そのため、粒子は、強度に優れており、具体的には、溶融混練時の剪断強度、個々の粒子の耐圧壊性に優れる。
また、この粒子は、強度に優れるので、樹脂に分散させる際に、粒子が崩壊することを抑制して、カプサイシン類が粒子から外側に漏出することを抑制することができる。また、粒子は、熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーと混練する際にも、粒子が崩壊することを抑制して、カプサイシン類が粒子から外側に漏出することを抑制することができる。そのため、混練などの混合において、作業者に刺激を与えることを抑制することができる。
そのため、混練作業などの混合作業を確実に実施して、混練物などの混合物を調製することができる。
その結果、混合物などの混合物から成形体を確実に成形することができる。
これに対して、特許文献1に記載されるマイクロカプセル製剤は、耐圧壊性(機械強度)、および/または、溶融混練における剪断強度が低く、樹脂との溶融混練時において、マイクロカプセル製剤が崩壊するため、カプサイシン類が粒子から放出してしまい、そのため、混練などの混合において、作業者に刺激を与える。
また、カプサイシン類の第2モノマー(B)に対する溶解性は、カプサイシン類の第1モノマー(A)に対する溶解性に比べて低く、カプサイシン類とシェルとの相溶性が低いので、カプサイシン類の蒸気がコアからシェルを介して外側に発散することを、より一層防止することができる。そのため、混練などの混合において、作業者に刺激を与えることを、より一層抑制することができる。
4.変形例
変形例において、一実施形態と同様の成分、層および製造工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上記した一実施形態では、図1に示すように、シェル3は、第2重合体からなる。
しかし、図2に示すように、シェル3では、本発明の効果を阻害しない範囲で、カプサイシン類の含有が許容される。
シェル3は、疎水性の第2重合性ビニルモノマーの重合により得られる第2重合体からなるマトリクス7と、マトリクス7中に分散され、カプサイシン類からなるドメイン6とから形成される相分離構造(2相構造)を有している。
具体的には、シェル3では、第2重合体100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、5質量部以下、また、例えば、0.1質量部以上のカプサイシン類の含有が許容される。また、シェル3では、コア2におけるカプサイシン類100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下、また、例えば、0.1質量部以上のカプサイシン類の含有が許容される。
このような変形例によっても、上記した一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
(原料の詳細)
以下の記載において用いられる原料の詳細を次に記載する。
VNA:N−バニリルノナンアミド、融点57〜61℃、水に不溶、和光純薬社製
MMA:メタクリル酸メチル、商品名「ライトエステルM」、水への溶解度:16g/L、共栄社化学製
EA:アクリル酸エチル、25℃の水に対する溶解度:20g/L
AN:アクリロニトリル、25℃の水に対する溶解度:70g/L
Sty:スチレン、25℃の水に対する溶解度:0.3g/L、出光興産社製
n−BA:アクリル酸n−ブチル、25℃の水に対する溶解度:1.4g/L
i−BMA:メタクリル酸iso−ブチル、25℃の水に対する溶解度:0.6g/L
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート、商品名「ライトエステルEG」、25℃の水に対する溶解度:0.58g/L、共栄社化学社製
AlMA:アリルメタクリレート、25℃の水に対する溶解度:4.0g/L、和光純薬社製
HD:n−ヘキサデカン、和光純薬社製
パーロイルL:商品名、ジラウロイルパーオキシド、油溶性重合開始剤、25℃の水に対する溶解度:0.002g/L、日油社製
PVA205:商品名、ポリビニルアルコール、けん化度:87.0〜89.0%、重合度:500、粘度(4%水溶液、20℃):5.0〜6.0mPa・sec、クラレ社製
PVA217:商品名、ポリビニルアルコール、けん化度:87.0〜89.0%、重合度:500、粘度(4%水溶液、20℃):21〜25mPa・sec、クラレ社製
ネオコールSW−C:商品名、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系乳化剤)の70質量%イソプロパノール溶液、第一工業製薬社製
デモールNL:商品名、β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩の41質量%水溶液、アニオン系分散剤、花王社製
過硫酸ナトリウム:水溶性重合開始剤、20℃の水に対する溶解度:556g/1L、和光純薬社製
実施例1
(コア調製工程)
100mLのビーカーに、VNA 5.0部、HD 0.90部、MMA 63.7部、EGDMA 1.3部、および、パーロイルL 0.50部を仕込み、室温で攪拌することにより、均一なコア原料成分を調製した。
別途、500mLのビーカーに、脱イオン水163.7部、PVA205の10%水溶液40部、ネオコールSW−C 1.2部、および、デモールNL 0.24部を仕込み、室温で攪拌することにより、均一な第1乳化剤水溶液を調製した。
次いで、1000mLビーカーの第1乳化剤水溶液に、コア原料成分を加え、T.K.ホモミクサーMARK2.5型(プライミクス社製)により回転数10000rpmで10分間攪拌することにより、ミニエマルションを調製した。その後、調製したミニエマルションを、攪拌器、還流冷却器、温度計および窒素導入管を装備した500mLの4口フラスコに移し、窒素気流下、3cm径の攪拌羽により回転数150rpmで攪拌しながら、4口フラスコをウォーターバスにより、昇温して、ミニエマルション重合を実施した。
ミニエマルション重合は、55℃到達時点を重合開始とし、その後、60±1℃で昇温時間を含めて2時間、70±1℃で昇温時間を含めて4時間、連続して実施した。これにより、コア粒子を含有する乳濁液を調製した。
(シェル調製工程)
別途、100mLビーカーに、脱イオン水18.5部に、ネオコールSW−C 0.13部を仕込んで、第2乳化剤水溶液を調製した。次いで、100mLビーカーに、Sty 28.5部、EGDMA 1.5部を加え、マグネチックスターラーで30分間攪拌することにより、StyおよびEGDMAを第2乳化剤水溶液中で乳化して、シェル原料乳化液を調製した。
さらに、シェル原料乳化液の調製とは別に、過硫酸ナトリウム(水溶性重合開始剤)を水に溶解させて、過硫酸ナトリウムの4%水溶液(重合開始剤水溶液)3.0部を調製した。
ミニエマルション重合後の500mLの4口フラスコの撹拌速度を250rpmに上げ、予め調製しておいたシェル原料乳化液および重合開始剤水溶液のそれぞれを、チュービングポンプ(ATTO製ペレスタポンプ)を用いて、70℃の乳濁液に滴下することにより、シード乳化重合を開始した。
シード乳化重合では、重合温度を70±1℃とし、シェル原料乳化液の滴下時間および重合開始剤水溶液の滴下時間は、ともに、1時間30分(90分)であり、シェル原料乳化液の滴下および重合開始剤水溶液の滴下の終了後に、熟成を70±1℃で2時間(120分)実施した。その後、乳濁液を30℃以下に冷却することにより、VNAを含有(内包)するコアと、コアを被覆するシェルとを備える粒子の乳濁液を得た。
なお、シード乳化重合開始時において、ミニエマルション重合における第1重合性ビニルモノマーの転化率が、99.7%であった。転化率は、HPLCによる残存モノマー量から算出した。以降の実施例および比較例の転化率も上記の方法によって算出した。
得られた乳濁液を100目の濾布で濾過した後、濾液中の粒子のメジアン径を動的光散乱法(大塚電子社製FPAR−1000)により測定した。その結果を、表1に記載する。以下の各実施例および各比較例についても同様である。
(粉剤への製剤化)
その後、乳濁液を、スプレードライヤー(大川原化工機社製L−8型)で、噴霧乾燥して、粒子からなる粉剤を得た。
実施例2〜17
配合処方および重合条件を、表1および表2の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粒子の乳濁液を得、続いて、粒子からなる粉剤を得た。
なお、実施例2〜9は、実施例1と同じくPVA水溶液を第1乳化剤水溶液に配合した(PVA水溶液を第1の態様で配合)。
実施例10では、PVAを配合しなかった。
実施例11では、PVA水溶液を第2乳化剤水溶液に配合した(PVA水溶液を第3の態様で配合)。
実施例12では、PVA水溶液をシェル原料の連続供給終了時、すなわち、熟成開始時に乳濁液に一括添加した(PVA水溶液を第4の態様で配合)。
実施例13では、PVA水溶液を、冷却が終了した乳濁液に一括添加した(PVA水溶液を第5の態様で配合)。
実施例14〜17では、PVA水溶液を、コアの重合終了時、すなわち、シード重合開始時に一括添加した(PVA水溶液を第2の態様で配合)。
比較例1
(in−situ重合による、メラミン樹脂からなる壁膜と、壁膜に被覆されるVNAとを有するマイクロカプセルの調製)
攪拌器、還流冷却器、および温度計を装備した500mLの4口フラスコに水酸化ナトリウム0.5%水溶液390gを仕込み、撹拌下にSMA1000P(スチレン−無水マレイン酸共重合体、分散剤、川原油化株式会社製)10g添加して60℃に昇温し、分散溶解させることにより、スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体(SMA−Na)3%水溶液400gを調製した。
次いで、200mLのビーカーに、フタル酸ジオクチル(溶媒)67.5g、VNA 64gを仕込み、室温で撹拌することにより、VNA溶液131.5gを調製した。
1000mLのビーカーに、上記で調製したSMA−Na3%水溶液150g、VNA溶液131.5gを仕込み、T.K.ホモミクサーMARK2.5型(プライミクス社製)により回転数3000rpmで10分間攪拌することにより、分散液を調製した。その後、調製した分散液を、攪拌器、還流冷却器および温度計を装備した500mLの4口フラスコに移し、9cm径の攪拌器により回転数120rpmで攪拌した。
併行して、攪拌器、還流冷却器および温度計を装備した100mL4口コルベンに脱イオン水15g、ホルムアルデヒド37%水溶液99g、メラミン36gを仕込み、撹拌下、水酸化ナトリウム(10%)水溶液約0.7mLを添加して、pH9〜10に調整した。70℃に昇温後10分反応させ、メラミンプレポリマー50%水溶液150gを調製した。このメラミンプレポリマー水溶液150gを上記の500mLの4口フラスコに加え、クエン酸10%水溶液でpH4.5に調整した。次いで70℃に昇温、4時間反応を行うことにより、メラミン樹脂からなる壁膜と、壁膜に被覆されるVNAとを有する、メジアン径11μmのマイクロカプセルを含有する懸濁液を得た。
(粉剤への製剤化)
マイクロカプセルを含有する懸濁液を、実施例1と同様に処理(スプレードライヤーによる噴霧乾燥)して、メラミン樹脂からなる壁膜と、壁膜に被覆されるVNAとを有するマイクロカプセル粉剤を得た。VNAのマイクロカプセルにおける含有割合は、32%であった。
(評価)
(1)溶解性
VNAの、AN、MMA、EA、n−BA、i−BMAおよびStyのそれぞれに対する溶解性を以下の手順に従って、評価した。
手順:ガラス瓶にVNA約1gを精秤し、これに、上記したモノマーをそれぞれ1.5g加え、ガラス瓶を密栓して室温で1日放置した。その後、ガラス瓶を振り混ぜて、VNAの溶解状態を観察した。さらに、ガラス瓶を40℃の湯浴に浸けて、VNAをモノマーに溶解させ、その後、室温で1日放置し、その後、VNAの溶解状態を観察した。
そして、VNAの溶け残り量を目視にて判断して、以下の結果となった。
(溶解性が高い):AN>MMA≧EA>n−BA>i−BMA>Sty:(溶解性が低い)
(2)混練評価
実施例1〜17の粒子の粉剤および比較例1のマイクロカプセルの粉剤のそれぞれの混練における機械耐性
各実施例の粉剤と、高密度ポリエチレン(HDPE)(商品名「ハイゼックス6300M、メルトフローレート0.11g/10分、プライムポリマー社製)とを、VNAの含有割合がHDPE 100質量部に対して0.5質量部となるようにドライブレンドし、それらを二軸押出・射出成形併設機(DSM Xplore MC15M、DSM社製)に投入して、220℃、5分間で、溶融混練してストランドを押出し、続いて、溶融状態のままで射出成形により短冊型成形体(寸法:10mm×76mm×4mm)を得た。
一方、比較例1の粉剤についても、上記した各実施例と同様に操作しようとした。しかし、溶融混練時に、フタル酸ジオクチル(溶媒)の霧化および霧化に伴う激しい刺激を確認した。つまり、溶融混練時に、マイクロカプセルが破壊された。
そして、ストランド押出時の刺激性を下記の基準に従って評価した。その結果を、表1および表2に示す。
5 VNA蒸気の外側への発散による刺激を作業者が感じなかった。
4 VNA蒸気の外側への発散による刺激を作業者がほとんど感じなかった。
3 VNA蒸気の外側への発散による刺激を作業者が若干感じた。しかし、作業者が目鼻に異常を訴えることはなかった。
2 VNA蒸気の外側への発散による刺激を作業者がかなり感じた。くしゃみなどの症状が現れるなど、作業者の一部が目鼻に異常を訴えた。
1 VNA蒸気の外側への発散による刺激を作業者が強く感じた。くしゃみなどの症状が現れるなど、目鼻に異常を作業者が訴えた。
0 VNA蒸気の外側への発散が著しく、作業を中断せざるを得なかった。
なお、表1および表2の「混練時の刺激」欄中、「2.5」は、「評価2」と「評価3」との中間に位置する評価であり、「3.5」、「4.5」については、上記と同様である。また、「4.25」は、「評価2」と「評価3」との間であって、「評価2」に近い位置に位置する評価である。
(3)TEM(透過型電子顕微鏡、TransmissionElectronMicroscope)の観察
実施例14および実施例17のそれぞれの粒子をビスフェノール型液状エポキシ樹脂に分散して、アミンで硬化させた。これをウルトラミクロトームで切断することにより断面を出し、四酸化オスミウムによって染色し、これをウルトラミクロトームで超薄切片に切り出しサンプルを調製した。調製したサンプルを、透過型顕微鏡(日本電子社製、JEM−1400Plus型、加速電圧 110kV)で、TEM観察した。
実施例17の粒子1のTEM写真の画像処理図を図3に示し、図3に示す粒子1におけるコア2のTEM写真の画像処理図を図4に示す。
実施例14の粒子1のTEM写真の画像処理図を図5に示し、図5に示す粒子1におけるコア2のTEM写真の画像処理図を図6に示す。
図3から分かるように、実施例17の粒子1は、コア2およびシェル3を備える。図4から分かるように、実施例17の粒子1におけるコア2は、マトリクス(5)と、マトリクス(5)中に分散し、VNAからなるドメイン(6)とからなる相分離構造(2相構造)を有する。一方、図3から分かるように、実施例17の粒子1におけるシェル(3)は、ポリスチレンを含む。
図5から分かるように、実施例14の粒子1は、コア2およびシェル3を備える。図6から分かるように、実施例14の粒子1におけるコア2は、マトリクス(5)と、マトリクス(5)中に分散し、VNAからなるドメイン(6)とからなる相分離構造(2相構造)を有する。一方、図5から分かるように、シェル3は、スチレンおよびEGDMAの共重合体からなるマトリクス(7)と、マトリクス(7)中に分散し、VNAからなるドメイン(6)とからなる相分離構造を有する。
(4)SEM(走査型電子顕微鏡)観察
(i)実施例5の粉剤、および、それとポリエチレンとからなる混練物
実施例5のスプレードライ後の球状凝集体を割った状態で金を蒸着し、その後、走査型電子顕微鏡日立TM−100(日立ハイテクノロジーズ社製)で、SEM観察した。その画像処理図を図7に示す。
また、実施例5の乳濁液を、試料台に滴下し、その後、水を留去した後、得られた粒子を、上記と同様にして、SEM観察した。その画像処理図を図8に示す。
さらに、上記した混練評価で得た実施例5の混練成形体の破断面を、SEM観察した。その画像処理図を図9に示す。
図9から明らかなように、実施例5の混練成形体では、粒子1が、その外形形状を維持した状態で、存在していることが分かる。
(ii)比較例1のマイクロカプセル、および、混練成形体
比較例1の懸濁液について、上記の実施例1のSEM観察と同様に処理して、SEM観察した。その画像処理図を図10に示す。
また、上記した混練耐性の評価で得た比較例1の混練成形体の破断面を、上記と同様にして、SEM観察した。その画像処理図を図11および図12に示す。
図10から分かるように、比較例1のマイクロカプセルは、SEM観察の真空状態においては、破壊され、球状のカプセルが観察されなかった。
図11および図12から分かるように、比較例1の混練成形体では、マイクロカプセルが全く観察されず、また、マイクロカプセルがかつて存在していた痕跡のみが凹部として観察された。
そのため、比較例1のマイクロカプセルは、実施例5の粒子に比べて、強度が低いことが分かる。
(5)VNAを含有するパテの調製
実施例1で得られた粒子の懸濁液を60目濾布で濾過後、室温で1日乾燥して、粒子からなる粉剤を得た。
その後、得られた粉剤とエアコン配管用パテ(因幡電工製)とを、VNAの含有割合がパテ100質量部に対して0.3質量部となるようにドライブレンドし、それらを130℃程度で混練して、VNAを含有するパテ(混練物)を得た。
粒子は、有害動物忌避性粒子として用いられる。
1 粒子
2 コア
3 シェル

Claims (15)

  1. カプサイシン類と、疎水性の第1重合性ビニルモノマーとを含有するコア原料成分をミニエマルション重合することにより得られるコアと、
    疎水性の第2重合性ビニルモノマーを含有するシェル原料成分を、前記コアをシードとするシード乳化重合することにより得られるシェルであって、前記コアを被覆する前記シェルと
    を備えることを特徴とする、粒子。
  2. 前記第1重合性ビニルモノマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に1つ含有する第1モノマーを主成分として含有し、
    前記第2重合性ビニルモノマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に1つ含有する第2モノマーを主成分として含有し、
    前記カプサイシン類の前記第2モノマーに対する溶解性は、前記カプサイシン類の前記第1モノマーに対する溶解性に比べて、低いことを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
  3. 前記第1重合性ビニルモノマーは、種類が異なる複数の官能基を有する架橋性モノマーを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の粒子。
  4. 前記シェルは、ポリビニルアルコールにグラフトし、および/または、ポリビニルアルコールを吸着していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒子。
  5. 前記ポリビニルアルコールを前記コアを含有する乳濁液に配合するとともに、前記シェル原料成分を前記乳濁液に配合することにより、前記シェルが前記ポリビニルアルコールにグラフトすることを特徴とする、請求項4に記載の粒子。
  6. 前記シェル原料成分、前記ポリビニルアルコールおよび前記乳濁液が配合された液を、75℃以上に加熱することを特徴とする、請求項5に記載の粒子。
  7. 疎水性の第1重合性ビニルモノマーの重合により得られる第1重合体と、カプサイシン類とを含有し、平均粒子径が1μm未満であるコアと、
    疎水性の第2重合性ビニルモノマーの重合により得られる第2重合体からなるシェルであって、前記コアを被覆する前記シェルと
    を備えることを特徴とする、粒子。
  8. カプサイシン類と、疎水性の第1重合性ビニルモノマーとを含有するコア原料成分をミニエマルション重合してコアを調製するコア調製工程、および、
    疎水性の第2重合性ビニルモノマーを含有するシェル原料成分を、前記コアをシードとするシード乳化重合により得られるシェルであって、前記コアを被覆する前記シェルを調製するシェル調製工程
    を備えることを特徴とする、粒子の製造方法。
  9. ポリビニルアルコールを配合するポリビニルアルコール配合工程
    をさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載の粒子の製造方法。
  10. 前記ポリビニルアルコール配合工程では、前記シェル調製工程において、前記ポリビニルアルコールを前記コアを含有する乳濁液に配合することを特徴とする、請求項9に記載の粒子の製造方法。
  11. 前記ポリビニルアルコールおよび前記乳濁液が配合された液を、75℃以上に加熱することを特徴とする、請求項10に記載の粒子の製造方法。
  12. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒子を樹脂に分散させることにより得られることを特徴とする、混合物。
  13. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒子と、
    熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーと
    を混練することにより得られることを特徴とする、混練物。
  14. 請求項12に記載の混合物から成形されることを特徴とする、成形体。
  15. 請求項13に記載の混練物から成形されることを特徴とする、成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109456446A (zh) * 2017-12-05 2019-03-12 西北工业大学 一种高比表面积聚合物微胶囊的制备方法

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