JP2017007306A - 金属樹脂接合部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造が容易であると共に接合強度が高い金属樹脂接合部材を提供する。
【解決手段】本発明の金属樹脂接合部材は、非晶質膜で被覆された金属体と、非晶質膜を介して金属体と接合された樹脂体とからなる。非晶質膜は、OまたはNを含み、さらにはC、Siを含むと好ましい。樹脂体は、官能基中または主鎖中にOまたはNを含み、例えば、エポキシ樹脂、無水マレイン酸を含有した樹脂等である。いずれの場合でも、非晶質膜と樹脂体の間で、非晶質膜のOまたはNを介した共有結合が生じることにより、非晶質膜で被覆された金属体と樹脂体は強固に接合される。本発明の金属樹脂接合部材は、ドライプロセス等により容易に製造可能であり、高信頼性とコスト低減を両立させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属と樹脂を接合した金属樹脂接合部材とその製造方法に関する。
近年、自動車分野や航空機分野における軽量化ニーズ等に伴い、高信頼性の金属と樹脂の接合部材が求められている。また、電子機器やパワーデバイスの多くは、樹脂で封止されてパッケージ化されるため、配線層や筐体などの金属と封止樹脂との間でも、高温耐久性等に優れた接合が求められている。接着剤を用いた金属と樹脂の接合も考えられるが、接着剤の使用は経年劣化による剥離等を生じるため信頼性に欠け、また環境負荷物質である接着溶剤の使用等を伴うことも多いため、好ましくない。そこで、接着剤を用いないで金属と樹脂を接合する提案が種々なされており、例えば、下記の特許文献に関連する記載がある。
特開2013−52671号公報 特許第5253416号公報 特許第4776515号公報 特許第4766176号公報
特許文献1および特許文献2は、接合界面となる金属表面を粗面化し、いわゆるアンカー効果によって、金属と樹脂を物理的または機械的に接合することを提案している。アンカー効果によって高い接合強度を確保するには、相応な大きさの凹凸を確保することが必要となる。
特許文献3は、ビルドアップ多層プリント配線板を構成する導体金属と層間樹脂との密着性を向上させるために、特定のトリアジン化合物を用いて形成される密着層を導体金属の表面に設けることを提案している。このような方法は複雑な湿式プロセスを必要とし、種々の接合部材へ簡易に適用できない。
特許文献4は、ゴムとDLC膜で被覆された金属とを、そのDLC膜とゴムとの間で硫黄架橋またはパーオキサイド架橋させることにより接合することを提案している。この場合、化学的な結合力に起因した高い接合強度が得られると考えられる。しかし、特許文献4の接合方法は、金属に被覆された炭素主体のDLC膜([0019]、[0034]等)に対してゴムが架橋を生じる場合に適用範囲が限られる。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、種々の分野で比較的簡易に利用し得る金属樹脂接合部材と、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、従来とは異なるメカニズムによって金属と樹脂を強固に接合し得ることを見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《金属樹脂接合部材》
(1)本発明の金属樹脂接合部材は、非晶質膜で被覆された金属体と、該非晶質膜を介して該金属体と接合された樹脂体とからなる金属樹脂接合部材であって、前記非晶質膜は、OまたはNを含み、前記樹脂体は、官能基中または主鎖中にOまたはNを含むことを特徴とする。
(2)本発明の金属樹脂接合部材(単に「接合部材」という。)は、金属体と樹脂体が非晶質膜を介して強固に接合され、ドライプロセスにより比較的容易に製造可能であるため、適用範囲が広く、各種分野の様々な部材に利用され得る。
また非晶質膜が金属体と樹脂体の間で生じる拡散(特に金属体から樹脂体への金属元素の拡散)を抑止する遮蔽膜(バリヤー層)として機能する場合、その拡散に起因した接合界面の破壊や剥離も抑止される。こうして本発明の接合部材は、高い接合強度を長期に渡って維持する耐久性または信頼性に優れたものとなる。
さらに、非晶質膜が金属体の酸化や腐食等を抑止する保護膜として機能する場合、本発明の接合部材は耐食性等にも優れたものとなる。
(3)ところで本発明の接合部材が、非晶質膜と樹脂体の間で高い接合強度を発揮するメカニズムは必ずしも定かではないが、本発明者が鋭意研究したところ、現状では次のように考えられる。
本発明の接合部材は、従来のアンカー効果等のような物理的な結合力に依るまでもなく、高い接合強度を発揮する。このことから非晶質膜と樹脂体との間には化学的な結合力が生じていると考えられる。化学的な結合力を生じる要因(化学的要因)には、ファンデルワールス力、水素結合、共有結合等が考えられるが、接合強度が格段に大きいことから、非晶質膜と樹脂体の間では共有結合が生じていると考えられる。
具体的にいうと、非晶質膜中に含まれるOまたはNが、非晶質膜を構成する主成分(例えばCまたはSi)と共有結合していると共に、樹脂体中の骨格(主鎖)または官能基を構成する元素(例えばC)と共有結合して、非晶質膜と樹脂体が強固に接合されていると考えられる。このような共有結合を生じるためには、非晶質膜中にOまたはNが含まれると共に、樹脂体がそのような非晶質膜と反応して共有結合を生じる樹脂からなる必要がある。
このような樹脂は、種々考えられるが、本発明者の調査研究によれば、少なくとも接合界面近傍の官能基中または主鎖中にOまたはNを含むものが好ましい。より具体的にいうと、例えば、主鎖に置換した官能基を有し、非晶質膜中のOまたはNを含む官能基(適宜、Oを含む官能基を「酸素官能基」、Nを含む官能基を「窒素官能基」という。)と直接的に共有結合を形成し得る樹脂(特定樹脂)である。
いずれにしろ、官能基中または主鎖中にOまたはNを含む樹脂体と、OまたはNを含む非晶質膜とが界面で共有結合が生じることにより、本発明の接合部材は高い接合強度を発揮するようになったと考えられる。
《金属樹脂接合部材の製造方法》
本発明は接合部材としてのみならず、その製造方法としても把握できる。すなわち本発明は、非晶質膜で被覆された金属体の該非晶質膜上へ、軟化または溶融した樹脂を供給する供給工程と、該樹脂を固化させて樹脂体とする固化工程とを備え、上述した金属樹脂接合部材が得られることを特徴とする製造方法としても把握できる。また本発明は、非晶質膜を介して金属体と樹脂体を加熱しつつ加圧する圧着工程を備え、上述した金属樹脂接合部材が得られることを特徴とする金属樹脂接合部材の製造方法でもよい。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
非晶質膜と樹脂体の間で共有結合を生じる反応を説明する模式図である。 強度評価試験後の各試料の剥離面または破面を示す写真である。
本明細書で説明する内容は、本発明の接合部材のみならず、その製造方法にも適宜該当し得る。製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスクレームとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《非晶質膜》
(1)本発明に係る非晶質膜はOまたはNを含む。OまたはNは、通常、非晶質膜単体中で、−OH(ヒドロキシ基)、−NH(イミノ基)、−NH (アミノ基)等の官能基として存在していると考えられる。このため非晶質膜は、多かれ少なかれ、OまたはNの終端等に結合するHを含むと考えられる。なお、原料ガス等の他、チャンバー内に含まれる僅かな水分等もHの供給源となり得る。
非晶質膜は、O、N、H以外にも、種々の元素を含有し得る。例えば、非晶質膜はCまたはSiを含有していると、化学的に安定していて好ましい。これにより接合界面も安定化し、高い接合強度が長期的に維持され得る。また、このような非晶質膜で被覆された金属体は、優れた耐食性等を発揮し得る。特に、非晶質膜の主成分がCまたはSiであると、より好ましい。なお、ここでいう「主成分」とは、非晶質膜全体を100at%(適宜、単に「%」という。)として、当該元素の含有量が最も多いことを意味する。
非晶質膜の構成元素または成分組成は種々考えられる。各元素は、例えば、非晶質膜全体を100at%として、N:0.1〜10%さらには0.2〜5%、O:1〜40%さらには5〜35%、H:5〜40%さらには10〜35%、C:20〜95%さらには25〜85%、Si:0.05〜45%さらには0.1〜30%のいずれかであるとよい。
非晶質膜の膜厚は、例えば、0.01〜10μm、0.1〜5μmさらには0.5〜3μm程度でよい。金属体と樹脂体の接合性、金属体の防食性等を確保できれば十分だからである。なお、非晶質膜は、金属体と樹脂体の接合界面にあれば十分であるが、金属体の他面にも保護膜等として非晶質膜が形成されていてもよい。
(2)非晶質膜は、種々の方法で成膜され得る。例えば、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などにより成膜され得る。プラズマCVD法を用いると、金属体の形状等に関わらず、均一的な成膜が可能となり、また、複雑な成膜装置を用いる必要もないため、非晶質膜を低コストで成膜できる。なお、スパッタリング法等のPVD法を用いれば、指向性のある非晶質膜を容易に成膜できる。
プラズマCVD法を用いる場合、例えば、金属体の成膜面を予めイオン衝撃法により粗面化(凹凸形成)処理しておくと好ましい。これにより金属体と非晶質膜の密着性を高めることができる。
プラズマCVD法は、例えば、次のようにしてなされる。基材を設置した容器(チャンバー)内を真空雰囲気とする。この容器内に前処理ガス(例えば、アルゴン(Ar)、水素(H)、窒素(N))を容器導入する。次に、グロー放電またはイオンビームにより金属体の表面にイオン衝撃を与える。こうして金属体の接合界面を粗面化する。その後、反応ガス(およびキャリアガス)を容器内へ導入し、放電によりプラズマを生成させて、粗面化した処理面に所望の非晶質膜を成膜する。
例えば、Nを含む非晶質炭素膜(DLC−N膜)を形成する場合なら、炭素含有ガスと窒素ガスを含む反応ガスを用いるとよい。炭素含有ガスは、炭素環式化合物ガス、Nを含む複素環式化合物から選ばれる一種以上を用いるとよい。炭素環式化合物は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等の芳香族炭化水素化合物である。Nを含む複素環式化合物は、例えば、アニリン、アゾベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピロール、イミダゾールおよびピラゾール等である。さらに、窒素(N)の他、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等の窒素化合物を複素環式化合物に混合してもよい。
Siを含む非晶質膜を形成する場合なら、反応ガスとして、フェニルシラン、フェニルメチルシラン等のSiを含む芳香族化合物ガスの他、Si(CH、Si(CHH、Si(CH)H、SiH、Si(OC、SiCl、SiH等の珪素化合物ガスを用いるとよい。
反応ガスとともに導入するキャリアガスには、水素(H)、窒素(N)、アルゴン、酸素(O)を用いることができる。
非晶質膜は、表面に−OH、−NH、−NH 等の官能基を予め有することが好ましいが、これらの官能基は成膜後の非晶質膜が大気と反応してその表面に生成されたものでもよい。
《金属体》
本発明の接合部材は、非晶質膜を介して樹脂体と接合される。このため本発明に係る金属体は、非晶質膜の形成および密着性(耐剥離性)を確保できる限り、その材質、形態等を問わない。金属体は、例えば、純銅・銅合金、純チタン・チタン合金、純アルミニウム・アルミニウム合金、純鉄・鉄合金等のいずれの金属からなってもよい。
金属体と非晶質膜の密着性は、成膜前における機械的または化学的な前処理(例えば、スパッタリング、ショットピーニング、エッチング等)により高めることができる。非晶質膜を成膜する金属体の表面形態は問わないが、金属体の表面粗さまたは表面積を調整することにより、非晶質膜との密着性の向上を図れる。また非晶質膜の膜厚は、通常、高々数〜数十μmであるため、金属体の表面粗さを調整することにより、非晶質膜の表面粗さの調整または表面積の拡張等も可能となる。非晶質膜の表面粗さ等が適切に調整されると、非晶質膜と樹脂体との接合界面の面積が増大して、両者の接合強度の向上も図れる。この際、化学的な接合力(共有結合力)の他、物理的な接合力(アンカー効果)の寄与があってもよい。
《樹脂体》
非晶質膜と強固に接合する樹脂体は、少なくとも金属体との接合界面近傍において、官能基中または主鎖中にOまたはNを含む樹脂からなるとよい。このような樹脂として、現状、次のような特定樹脂が考えられる。
特定樹脂は、主鎖に置換した官能基を有し、非晶質膜中のOまたはNを含む官能基(酸素官能基、酸素官能基)と直接的に共有結合を形成し得る樹脂である。例えば、エポキシ基若しくはイソシアネート基を有する樹脂、または無水マレイン酸を含む樹脂である。なお、本発明に係る樹脂体は、非晶質膜との反応(共有結合)を介して金属体と接合される。このため、ここでいう特定樹脂は金属体との接合前の状態を指す。例えば、樹脂体が特定樹脂の一つであるエポキシ樹脂からなる場合であれば、その樹脂体は金属体との接合前において、加熱・硬化前の状態を指す。このタイプの樹脂は、官能基のCが非晶質膜の表面に存在するルイス塩基(−OH、−NH、−NH等)により攻撃され、そのCと非晶質膜中のOまたはNとが共有結合をする。こうして共有結合が生じる反応例を、模式的に図1の(Ia)または(Ib)、(Ic)に示した。
なお、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フェノール樹脂、メラミン樹脂などの樹脂は、変性していないと、非晶質膜と接合(結合)し難い。しかし、それらの樹脂でも変性して、エポキシ基、イソシアネート基、無水マレイン酸などを有すると、上述した特定樹脂の場合と同様に非晶質膜と共有結合を形成して、強固に接合されるようになる。
《製造方法》
接合部材の製造方法は種々考えられる。例えば、非晶質膜で被覆された金属体を収容した成形型内へ、軟化または溶融した樹脂を注入し(供給工程)、その樹脂を冷却して固化させる(固化工程)。この場合、樹脂成形と接合が一工程でなされ、効率的である。樹脂成形は、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、トランスファー成形、圧縮成形等のいずれによりなされてもよい。接合部材の仕様、使用する樹脂の特性等に適した成形方法が適宜選択される。その他、接合部材は、非晶質膜を介して金属体と樹脂体を加圧さらには加熱することにより行ってもよい(圧着工程)。
なお、非晶質膜と樹脂の接合は、非晶質膜の成膜後の短時間内(例えば、成膜後30分間以内)になされると好ましい。非晶質膜は、成膜後に大気中等で長時間曝されると、最表面近傍にあるOまたはN(酸素官能基または窒素官能基)の活性度が低下し、樹脂との共有結合性が低下し得る。
《接合部材》
本発明の接合部材は、例えば、各種の電子機器、電池部品、及びそれらの筐体、コネクター等に用いられると、低コストで高い信頼性を確保できて好ましい。具体例を挙げると、配線金属(金属体)と封止樹脂(樹脂体)とを有する制御装置(ECU)やパワーモジュール等に、本発明の接合部材は好適である。その他、気密、防水、断熱を保持するためのシール部にも本発明の接合部材は好適である。
種々の非晶質膜で被覆された金属と樹脂とを一体成形した接合体(供試材)を製造し、それぞれの接合強度を評価した。これらを通じて、本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
《非晶質膜の成膜》
金属体として無酸素銅板(三菱伸銅株式会社製)を用意した。この無酸素銅板(単に「銅板」という。)の表面に、プラズマCVD法により、表1に示す各種の非晶質膜を成膜した。具体的には、次のようにして成膜した。
銅板をチャンバー内にセットし、チャンバー内を真空排気した。このチャンバー内へ水素(H)とアルゴンを導入した。チャンバー内の銅板に直流電圧を印加し、放電を生じさせ、銅板をイオン衝撃により所定の成膜温度(400〜600℃)まで昇温させると共に粗面化した(前処理工程)。
次に、チャンバー内へ反応ガスを導入し、プラズマCVD法により成膜した。いずれの膜厚も200nm程度とした。反応ガスにはテトラメチルシラン、ピリジン、トルエン、テトラエトキシシランを用いた。反応ガスの種類または濃度を調整して、表1に示す各非晶質膜を成膜した。
《膜分析》
各非晶質膜の表面近傍組成を次のようにして分析した。先ず、ダイナミックSIMS(二次イオン質量分析法)により、膜中のH量(平均値)を求めた。このH量を膜表面のH量とした。次に、膜中に含まれるC、N、OおよびSiをXPS(X線光電子分光法)により検出した。これらの検出結果と、先に求めたH量とに基づいて、膜中におけるC、N、OおよびSiの組成(原子比)を求めた。こうして特定した膜表面(最表面から数nm領域)における組成を表1に示した。
表1から明らかなように、いずれの非晶質膜もOおよびHを含み、試料2および試料3はNも含んでいた。なお、各膜が非晶質膜であることは、別途行ったXRD(X線回折)により確認している。
《接合部材の製造》
樹脂体の原料として、半導体封止用である未硬化状態のエポキシ樹脂(住友ベークライト株式会社製E500)を用意した。非晶質膜で被覆された銅板をインサート成形型(金型)内にセットした。金型および銅板を加熱して成形温度(170〜180℃)まで昇温した。金型内にセットした銅板の非晶質膜上へ175℃に加熱して溶融させたエポキシ樹脂を注入した後、冷却・固化させた。こうして銅板を被覆する非晶質膜上にプリンカップ状の樹脂体が成形・接合された供試材(接合部材)を得た。
《強度評価》
各供試材の接合強度を次のように測定した。樹脂体に治具を押し当てて、非晶質膜と樹脂体の間に剪断力を加える。接合界面で剥離するか、樹脂体が破壊されたときの剪断力を測定した。こうして得られた剪断力を、樹脂体と非晶質膜の接合面積で割って求めた剥離強度を表1に併せて示した。
いずれの場合も、樹脂体の凝集破壊が先に起こり、十分な接合強度が得られることが確認された。ちなみに、非晶質膜で被覆していない銅板(但し、自然に形成された酸化膜で被覆されている。)を用いて、同様に製作した供試材の剥離強度(接合強度)も測定した(比較例)。この比較例では、銅板と銅の酸化膜間で剥離することを確認した。
以上から、OまたはNを含む非晶質膜を接合界面に介在させることにより、金属体と樹脂体を強固に接合し得ることが明らかとなった。
[実施例2]
《成膜および膜分析》
純チタン板(単に「Ti板」という。)の表面に、実施例1の場合と同様にして、厚さ15nm程度の非晶質薄膜を成膜した。この非晶質薄膜の表面近傍組成も、既述した方法により同様に分析した。その結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本実施例に係る非晶質薄膜もO、NおよびHを含んでいることが確認できた。なお、この膜が非晶質膜であることは、別途行ったXRD(X線回折)により確認している。
《接合部材の製造》
上記の非晶質薄膜によって被覆された2枚のTi板(40mm×10mm×厚さ0.6mm)で、無水マレイン酸含有ポリプロピレンシート(10mm×10mm×厚さ1.0mm/単に「PPシート」という。)を挟持した。この際、各非晶質薄膜とPPシートが接触するようにした。
このような積層状態のTi板とPPシートを、各Ti板の外側面から2MPaで加圧した。この加圧は、150℃に加熱した大気雰囲気中で行った(圧着工程)。この処理を、全体に対する無水マレイン酸の含有量が異なる複数のPPシートに対して行った(試料21〜23)。
《強度評価》
こうして得られた各供試材(接合部材)のTi板を両端側から20mm/minで引張り、剥離または破断したときの測定荷重から、各試料に係る接合強度(剪断強度)を求めた。このときの結果を表2に併せて示した。また、この強度評価試験後の各試料の様子を図2にそれぞれ示した。
これらから、無水マレイン酸の含有量が適切であると、接合強度が大きくなり、破面が非晶質薄膜(金属体側)とPPシート(樹脂体側)との界面剥離から、PPシート(樹脂体)自体の凝集破壊へ移行することが明らかとなった。具体的にいうと、図2に示すように、試料21では片側(図2の左側)のTi板にPP残部が殆ど無く、非晶質薄膜とPPの間で界面剥離が生じていることがわかる。一方、試料22および試料23では、片側のTi板にPP残部が有り、PPシート自体が破壊(凝集破壊)していることがわかる。そして無水マレイン酸の含有量(比率)が多い試料23ほど、片側のTi板にPPが多く残っており、非晶質薄膜とPPシートの接合強度が高くなっていることがわかる。
以上のことから、樹脂体側に含まれるOと、金属体側を被覆する非晶質膜の表面に存在する酸素官能基または窒素官能基とが反応することにより、樹脂体と金属体が強固に接着されることが確認できた。

Claims (7)

  1. 非晶質膜で被覆された金属体と、該非晶質膜を介して該金属体と接合された樹脂体とからなる金属樹脂接合部材であって、
    前記非晶質膜は、OまたはNを含み、
    前記樹脂体は、官能基中または主鎖中にOまたはNを含むことを特徴とする金属樹脂接合部材。
  2. 前記非晶質膜は、Hを含む請求項1に記載の金属樹脂接合部材。
  3. 前記非晶質膜は、CまたはSiを含む請求項1または2に記載の金属樹脂接合部材。
  4. 前記樹脂体は、エポキシ基若しくはイソシアネート基を有するかまたは無水マレイン酸を含む樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の金属樹脂接合部材。
  5. 非晶質膜で被覆された金属体の該非晶質膜上へ、軟化または溶融した樹脂を供給する供給工程と、
    該樹脂を固化させて樹脂体とする固化工程とを備え、
    請求項1〜4のいずれかに記載の金属樹脂接合部材が得られることを特徴とする金属樹脂接合部材の製造方法。
  6. 非晶質膜を介して金属体と樹脂体を加熱しつつ加圧する圧着工程を備え、
    請求項1〜4のいずれかに記載の金属樹脂接合部材が得られることを特徴とする金属樹脂接合部材の製造方法。
  7. 前記非晶質膜は、プラズマCVD法により前記金属体上に成膜されてなる請求項5または6に記載の金属樹脂接合部材の製造方法。
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