JP2017007219A - プラスチックレンズの製造方法およびプラスチックレンズの再生方法 - Google Patents
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Abstract
Description
プラスチックレンズ成形体は、レンズ内の未反応モノマーの硬化、樹脂の重合度の向上、重合中に生じたレンズ内部の歪の除去などの目的でアニ−ルと呼ばれる加熱処理工程を行った上で眼鏡用レンズ等として供される。
特許文献2および3には、プラスチックレンズ成形体の凸面を下向きにしてレンズ最外周部の水平面を点あるいは線あるいは面によって支持して加熱処理することで、変形を抑制する方法が記載されている。また、この方法は変形したプラスチックレンズの再生方法としても有用であることも記載されている。なお、特許文献2および3に記載の技術は、特に乱視度数のついた眼鏡用のプラスチックレンズ成形体をアニールする方法として検討されてきたものである。
[1] 凸面を備えるプラスチックレンズ成形体の該凸面側および/または該凸面の裏面側から荷重をかけながら、該プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する工程を含む、プラスチックレンズの製造方法。
[2] 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程の前に、
前記プラスチックレンズの凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、重合性組成物を注入する工程と、
前記重合性組成物を硬化する工程と、
硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得る工程と、
を含む、[1]に記載のプラスチックレンズの製造方法。
[3] 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持部材で支持しながら、該凸面が前記支持部材と非接触の状態で行う、[1]または[2]に記載のプラスチックレンズの製造方法。
[4] 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を、上端部により下方から支持する支持部材を備える治具を用い、
該プラスチックレンズ成形体を、前記支持部材の前記上端部に載置し、該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持しながら、該凸面が前記支持部材および前記治具と非接触の状態で行う、[3]に記載のプラスチックレンズの製造方法。
[5] 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、前記凸面側および/または前記裏面側から成形体重量の1〜50倍の荷重をかけながら行う、[1]〜[4]のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
[6] 前記重合性組成物が、イソ(チオ)シアネート化合物と活性水素化合物とを含有する、[2]〜[5]のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
[7] 前記重合性組成物が、イソシアネート化合物と前記活性水素化合物としてチオール化合物とを含有し、
前記プラスチックレンズはチオウレタン樹脂からなるプラスチックレンズである、[6]に記載のプラスチックレンズの製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の工程を含むプラスチック偏光レンズの製造方法であって、
前記重合性組成物を注入する前記工程は、
前記レンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面が前記第1モールド基板または前記第2モールド基板から離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する工程と、
前記偏光フィルムと前記モールド基板との間の空隙に、前記重合性組成物を注入する工程と、を含む、プラスチック偏光レンズの製造方法。
[9] 凸面を備えるプラスチックレンズ成形体の非点収差(アスティグマ)を測定する工程と、
非点収差が0.05D以上のプラスチックレンズ成形体の前記凸面側および/または該凸面の裏面側から荷重をかけながら、該プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する工程を含む、プラスチックレンズの再生方法。
[10] 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持部材で支持しながら、該凸面が前記支持部材と非接触の状態で行う、[9]に記載のプラスチックレンズの再生方法。
[11] 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を、上端部により下方から支持する支持部材を備える治具を用い、
該プラスチックレンズ成形体を、前記支持部材の前記上端部に載置し、該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持しながら、該凸面が前記支持部材および前記治具と非接触の状態で行う、[10]に記載のプラスチックレンズの再生方法。
[12] 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、前記凸面側および/または前記裏面側から成形体重量の1〜50倍の荷重をかけながら行う、[9]〜[11]のいずれかに記載のプラスチックレンズの再生方法。
[13] 前記プラスチックレンズ成形体がハードコートされていないレンズである[9]〜[12]のいずれかに記載のプラスチックレンズの再生方法。
[14] 前記プラスチックレンズ成形体がハードコートされたレンズである[9]〜[12]に記載のプラスチックレンズの再生方法。
[15] [9]〜[14]のいずれかに記載のプラスチックレンズがプラスチック偏光レンズである、プラスチック偏光レンズの再生方法。
なお、本発明におけるプラスチックレンズ成形体とは、注型重合あるいは射出(圧縮)成型の型から離型した直後のプラスチックレンズを意味する。プラスチックレンズ成形体は、生地プラスチックレンズと呼ぶこともできる。
また、本発明のプラスチックレンズの再生方法によれば、アニール工程やハードコート膜形成工程の加熱等による変形や非点収差(アスティグマ)の発生により、規格外となったプラスチックレンズを簡便な方法で再生することができる。これにより、レンズ製品の歩留りを劇的に改善することができる。
特に、プラスチックレンズ内部や表層部に一軸延伸フィルムを組みこんだ構造の偏光レンズの製造方法あるいは再生方法として極めて有用である。
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体の該凸面側および/または該凸面の裏面側から荷重をかけながら、該プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する工程を含む。
ガラス転移温度とは、Tg点とも呼ばれる樹脂の耐熱性の指標であり、TMAペネトレーション法等で測定される。
プラスチックレンズ成形体の製造方法は特に限定されず、当該成形体が熱可塑性樹脂からなる場合は、射出成型、圧縮成型、押出成型、射出圧縮成型等の公知の各種成型方法を挙げることができる。プラスチックレンズ成形体が熱硬化性樹脂からなる場合は、重合性組成物を用いた注型成形等を挙げることができる。
以下の本実施形態においては、重合性組成物を用いた注型成形により説明する。
本実施形態のプラスチックレンズの製造方法は、以下の工程を備える。
工程a:プラスチックレンズ成形体の凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、重合性組成物を注入する。
工程b:レンズ注型用鋳型内で前記重合性組成物を硬化する。
工程c:硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得る。
工程d:プラスチックレンズ成形体の凸面の裏面側から荷重をかけながら、プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する。
工程aで用いられる重合性組成物は、モノマー等の成分を含む。まず、各成分について説明する。
モノマーとしては、注型重合可能なものであれば特に制限を受けないが、(チオ)ウレタン系モノマー、アリル系モノマー、エピスルフィド系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー、ウレタンウレア系モノマー、エポキシ系モノマーなどが挙げられる。これらを混合して用いてもよい。
イソ(チオ)シアネート化合物としては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソシアネート化合物;
1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'− ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;
2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等の複素環ポリイソシアネート化合物;等を挙げることができる。
また、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。
イソホロンジイソチオシアネート、ビス(イソチオシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソチオシアネート、シクロヘキサンジイソチオシアネート、メチルシクロヘキサンジイソチオシアネート、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソチオシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソチオシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソチオシアネート化合物;
トリレンジイソチオシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソチオシアネート、ジフェニルジスルフィド−4,4−ジイソチオシアネート等の芳香族ポリイソチオシアネート化合物;
2,5−ジイソチオシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)チオフェン、2,5−イソチオシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソチオシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソチオシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソチオシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソチオシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等の含硫複素環ポリイソチオシアネート化合物;等を挙げることができる。
また、これらの塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。
1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール等の芳香族ポリチオール化合物;
2−メチルアミノ−4,6−ジチオール−sym−トリアジン、3,4−チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン等の複素環ポリチオール化合物;等が挙げられる。
ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
ビス(2,3−エピチオプロピル)エーテル、ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物;および、
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ビフェニル等の芳香族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物;等が挙げられる。
エピスルフィド系モノマーは、ポリチオールなどの活性水素化合物と一緒に使用されることもある。
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(メタ)アクリル系モノマーは、ポリチオールなどの活性水素化合物やアリル系モノマーと一緒に使用されることもある。
エポキシ系モノマーは、ポリチオールやポリアミンなどの活性水素化合物と一緒に使用されることもある。
また、これらのモノマーを複数含んでいてもよい。
例えば、(チオ)ウレタン系モノマーの場合、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート等の錫系化合物、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のアミン系化合物等が好んで用いられる。
アリル系モノマーや(メタ)アクリル系モノマーの場合は、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド等の光重合開始剤等が用いられる。
エピスルフィド系モノマーの場合は、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−イソプロピルモルホリン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、β−ピコリン、N,N'−ジメチルピペラジン、N−メチルピペリジン、2,2'−ビピリジル、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の3級アミン類、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリn−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン等のホスフィン類、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラクロロ錫、ジブチル錫オキサイド、ジアセトキシテトラブチルジスタノキサン、塩化亜鉛、アセチルアセトン亜鉛、塩化アルミ、フッ化アルミ、トリフェニルアルミ、テトラクロロチタン、酢酸カルシウム等のルイス酸類、2,2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、n−ブチル−4,4'−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のラジカル重合触媒、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ燐酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロ砒酸、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモン、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロ硼酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ燐酸、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロ砒酸等のカチオン重合触媒やこれらの混合物が挙げられる。
触媒の添加量は、通常は、1ppm〜5%の範囲である。
内部離型剤は、例えば酸性リン酸エステルが挙げられる。リン酸モノエステル、リン酸ジエステルを挙げることができ、それぞれ単独または2種類以上混合して使用することできる。三井化学社製のMR用内部離型剤、STEPAN社製のZelecUN、城北化学工業社製のJPシリーズ、東邦化学工業社製のフォスファノールシリーズ、大八化学工業社製のAP、DPシリーズ等が好ましく、三井化学社製のMR用内部離型剤、STEPAN社製のZelecUNがより好ましい。その添加量は、重合性組成物100重量部に対して、通常は0.001重量部〜3重量部、好ましくは0.01重量部〜0.5重量部の範囲である。
光学材料用重合性組成物の鋳型内への注入は、従来公知の方法により行うことができ、例えば手動で注入を行うことも、または混合・注入機を用いて行うこともできる。
第1モールド基板12および第2モールド基板14の材料としては、ガラス、プラスチック、金属等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。第1モールド基板12および第2モールド基板14には、得られたレンズの離型性を向上させるために予め離型剤を塗付してもよい。また、レンズ材料にハードコート性能を付与するためのコート液を予めモールドに塗付してもよい。
次いで、レンズ注型用鋳型内18に注入された重合性組成物を硬化する。
具体的には、まず、重合性組成物が注入された注型用鋳型をオーブンや温水中等の加熱可能装置内で、加熱、あるいは活性エネルギー線を照射して重合を行うことで重合硬化し、樹脂化する。
通常、0℃から40℃の範囲の温度で開始し、その後徐々に80℃から150℃の範囲にまで昇温させ、その温度で1時間から6時間加熱したのち徐冷するのが一般的である。
重合時間は、重合温度により影響されるが、通常は0.01〜200時間であり、好ましくは、0.05〜100時間である。また必要に応じて、低温や昇温、降温などを行っていくつかの温度を組み合わせて重合を行うことも可能である。
硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型10から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得ることができる。なお、プラスチックレンズ成形体の厚みは通常0.1〜150mm程度である。
プラスチックレンズ成形体は、必要に応じ丸めあるいはエッジダウンと呼ばれる外周切削加工や、洗浄を行うことで、本実施形態のプラスチックレンズ成形体を得ることができる。レンズ注型用鋳型の形状によって、フィニッシュトレンズ、セミフィニッシュトレンズ、球面レンズ、非球面レンズ、多重焦点レンズ、累進焦点レンズなど種々のプラスチックレンズ成形体を得ることができる。
離型されたプラスチックレンズ成形体は、レンズ内の未反応モノマーの硬化、樹脂の重合度の向上、重合中に生じたレンズ内部の歪の除去などの目的でアニ−ルと呼ばれる加熱処理が施される。加熱処理は、プラスチックレンズ成形体に凸面の裏面側から荷重をかけた状態で実施される。
例えば、プラスチックレンズ成形体34の凸面34aの曲率半径よりも小さい曲率半径を有し、かつプラスチックレンズ成形体34の直径より大きい直径を有する凹形状の台座を用いることができる。同様の形状の凹面を上部に持つモールド基板も台座として好ましく用いることができる。台座の材質はアニールの際の加熱に耐えられるものであれば制限はないが、ガラスや金属が好ましい。
重りの材質は、アニールの際の加熱に耐えられるものであれば制限はないが、金属やガラスが好ましい。
重りの重さは、処理するプラスチックレンズ成形体の種類や形状、処理温度、処理時間などによって異なるが、通常は処理するレンズの重量の1〜50倍の範囲、好ましくは処理するレンズの重量の2〜30倍の範囲、更に好ましくは処理するレンズの重量の3〜20倍の範囲である。
具体的な温度は、プラスチックレンズ成形体の種類や形状により異なるが、通常は60〜180℃の範囲、好ましくは80〜150℃の範囲である。処理時間は、本発明の効果の観点から、通常は0.1〜30時間の範囲、好ましくは0.5〜20時間の範囲である。
処理は、プラスチックレンズ成形体を台座と重りをセットしたまま、オーブンに入れて実施するのが好ましい。ベルトコンベアに載せて流すことでも構わない。
球面レンズでは、通常、非点収差0.06D以下が求められ、0.04D以下が好ましいとされている。非点収差が0.07D以上の球面レンズは、規格外とされることが多い。本実施形態の方法で加熱処理を行うことで、非点収差が改善される。
本実施形態で得られるプラスチックレンズは、必要に応じ、片面又は両面にコーティング層を施して用いられる。コーティング層としては、プライマー層、ハードコート層、反射防止膜層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層は、それぞれ単独で使用しても複数のコーティング層を多層化して使用してもよい。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても異なるコーティング層を施してもよい。
プライマー層は、例えば、塗布法や乾式法にて形成される。塗布法では、プライマー組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、固化させることによりプライマー層が形成される。乾式法では、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じて、レンズの表面をアルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行ってもよい。
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。ハードコート層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じて、被覆表面(レンズ基材あるいはプライマー層)に、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行ってもよい。
このようなプラスチックレンズは、メガネ用のレンズ、特に視力補正用レンズとして有用である。
本実施形態のプラスチックレンズの製造方法は、以下の工程を備える。
工程a:プラスチックレンズ成形体の凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、重合性組成物を注入する。
工程b:レンズ注型用鋳型内で前記重合性組成物を硬化する。
工程c:硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得る。
工程d:プラスチックレンズ成形体の凸面側から荷重をかけながら、プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する。
なお、工程a〜工程cは第1の実施形態と同様に実施することができ、説明を省略する。
離型されたプラスチックレンズ成形体は、レンズ内の未反応モノマーの硬化、樹脂の重合度の向上、重合中に生じたレンズ内部の歪の除去などの目的でアニ−ルと呼ばれる加熱処理が施される。加熱処理は、プラスチックレンズ成形体に凸面側から荷重をかけた状態で実施される。
例えば、プラスチックレンズ成形体34の凸面34aの曲率半径よりも小さい曲率半径を有し、かつプラスチックレンズ成形体34の直径より大きい直径を有する凹形状の台座を用いることができる。同様の形状の凹面を上部に持つモールド基板も台座として好ましく用いることができる。台座の材質はアニールの際の加熱に耐えられるものであれば制限はないが、ガラスや金属が好ましい。
静止部材38としては、治具30とプラスチックレンズ成形体34を囲繞する函体の上壁面等を挙げることができる。
なお、プラスチックレンズ成形体への荷重は、例えば、油圧、圧縮空気圧力、ネジ締め付けトルク、バネ圧力によって制御することができる。
具体的な温度は、プラスチックレンズ成形体の種類や形状により異なるが、通常は60〜180℃の範囲、好ましくは80〜150℃の範囲である。処理時間は、本発明の効果の観点から、通常は0.1〜30時間の範囲、好ましくは0.5〜20時間の範囲である。
処理は、プラスチックレンズ成形体34が治具30により函体の上壁面に押圧された状態で、この函体を、オーブンに入れて実施するのが好ましい。ベルトコンベアに載せて流すことでも構わない。
球面レンズでは、通常、非点収差0.06D以下が求められ、0.04D以下が好ましいとされている。非点収差が0.07D以上の球面レンズは、規格外とされることが多い。本実施形態の方法で加熱処理を行うことで、非点収差が改善される。
本実施形態のプラスチックレンズの製造方法は、以下の工程を備える。
工程a:プラスチックレンズ成形体の凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、重合性組成物を注入する。
工程b:レンズ注型用鋳型内で前記重合性組成物を硬化する。
工程c:硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得る。
工程d:プラスチックレンズ成形体の凸面側および該凸面の裏面側から荷重をかけながら、プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する。
なお、工程a〜工程cは第1の実施形態と同様に実施することができ、説明を省略する。
離型されたプラスチックレンズ成形体は、レンズ内の未反応モノマーの硬化、樹脂の重合度の向上、重合中に生じたレンズ内部の歪の除去などの目的でアニ−ルと呼ばれる加熱処理が施される。加熱処理は、プラスチックレンズ成形体に凸面側および該凸面の裏面側から荷重をかけた状態で実施される。
例えば、プラスチックレンズ成形体34の凸面34aの曲率半径よりも小さい曲率半径を有し、かつプラスチックレンズ成形体34の直径より大きい直径を有する凹形状の台座を用いることができる。同様の形状の凹面を上部に持つモールド基板も台座として好ましく用いることができる。台座の材質はアニールの際の加熱に耐えられるものであれば制限はないが、ガラスや金属が好ましい。
なお、プラスチックレンズ成形体への荷重は、例えば、油圧、圧縮空気圧力、ネジ締め付けトルク、バネ圧力によって制御することができる。なお、板状部材42の重量を考慮する必要がある。
具体的な温度は、プラスチックレンズ成形体の種類や形状により異なるが、通常は60〜180℃の範囲、好ましくは80〜150℃の範囲である。処理時間は、本発明の効果の観点から、通常は0.1〜30時間の範囲、好ましくは0.5〜20時間の範囲である。
処理は、プラスチックレンズ成形体34および板状部材42が配設された治具30が狭持部材44で挟み込まれた状態で、オーブンに入れて実施するのが好ましい。ベルトコンベアに載せて流すことでも構わない。
球面レンズでは、通常、非点収差0.06D以下が求められ、0.04D以下が好ましいとされている。非点収差が0.07D以上の球面レンズは、規格外とされることが多い。本実施形態の方法で加熱処理を行うことで、非点収差が改善される。
本発明が特に効果を発揮するのは、レンズ内部や表層部に一軸延伸フィルムを組みこんだ構造のプラスチック偏光レンズの場合である。一軸延伸フィルムは、偏光機能を発現させるために使用する光学フィルムで、通称、偏光フィルムと呼称される。
プラスチック偏光レンズ成形体の製造方法は特に限定されず、当該成形体が熱可塑性樹脂からなる場合は、射出成型、圧縮成型、押出成型、射出圧縮成型、トランスファ成形や張り合わせ等を挙げることができる。
プラスチック偏光レンズ成形体が熱硬化性樹脂からなる場合は、重合性組成物を用いた注型成形等を挙げることができる。
本実施形態においては、重合性組成物を用いた注型成形により説明する。
本実施形態のプラスチック偏光レンズの製造方法は、以下の工程を備える。
工程i:プラスチックレンズ成形体の凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面が前記第1モールド基板または前記第2モールド基板から離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する。
工程ii:前記偏光フィルムと前記モールド基板との間の空隙に、前記重合性組成物を注入する。
工程iii:レンズ注型用鋳型内で前記重合性組成物を硬化する。
工程iv:硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチック偏光レンズ成形体を得る。
工程v:プラスチック偏光レンズ成形体の凸面の裏面側から荷重をかけながら、プラスチック偏光レンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する。
図2に示すように、レンズ注型用鋳型20の空間内に、偏光フィルム22を、フィルム面が対向するフロント側の第1モールド基板12の内面12aと並行となるように設置する。偏光フィルム22と第1モールド基板12または第2モールド基板14との間には、各々空隙部24a,24bが形成される。空隙部24a,24bの最も間隙の狭い離間距離aは、0.1〜3.0mm程度である。偏光フィルム22が固定された注型用鋳型20に、重合性組成物を注入したのち重合硬化させて得られる。なお、本実施形態においては空隙部24a、24bに重合性組成物を注入する例によって説明するが、偏光フィルム22の少なくとも一方の面に樹脂層が積層されるように、空隙24aを備えない注型用鋳型20を用いることもできる。
さらに、偏光フィルム22は、プラスチックレンズ基材樹脂との密着性を向上させるために、プライマーコーティング処理、薬品処理(ガス又はアルカリ等の薬液処理)、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、粗面化処理、火炎処理などから選ばれる1種又は2種以上の前処理を行った上で使用してもよい。このような前処理のなかでも、プライマーコーティング処理、薬品処理、コロナ放電処理、プラズマ処理から選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
プラスチック偏光レンズ成形体は、ハードコート処理の本硬化工程によって、変形やアスティグマ値により規格外のプラスチック偏光レンズが製造される場合が多い。したがって、仮硬化工程においてレンズの変形や非点収差(アスティグマ)が規格内と判断された場合であっても、本硬化工程において、プラスチック偏光レンズ成形体の加熱処理(第1の実施形態における工程d)を行うことにより、変形やアスティグマ値における規格外製品の発生を抑制することができる。
本実施形態のプラスチック偏光レンズの製造方法は、以下の工程を備える。
工程i:プラスチックレンズ成形体の凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面が前記第1モールド基板または前記第2モールド基板から離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する。
工程ii:前記偏光フィルムと前記モールド基板との間の空隙に、前記重合性組成物を注入する。
工程iii:レンズ注型用鋳型内で前記重合性組成物を硬化する。
工程iv:硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得る。
工程v:プラスチックレンズ成形体の凸面側から荷重をかけながら、プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する。
本実施形態のプラスチック偏光レンズの製造方法は、以下の工程を備える。
工程i:プラスチックレンズ成形体の凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面が前記第1モールド基板または前記第2モールド基板から離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する。
工程ii:前記偏光フィルムと前記モールド基板との間の空隙に、前記重合性組成物を注入する。
工程iii:レンズ注型用鋳型内で前記重合性組成物を硬化する。
工程iv:硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得る。
工程v:プラスチックレンズ成形体の凸面側および該凸面の裏面側から荷重をかけながら、プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する。
公知のアニール方法、例えば、オーブンの中にレンズ成形体を並べて加熱する方法などで製造されたプラスチックレンズは、時に変形を起こし、非点収差が規格外となるため製品の歩留まりが低下することがある。
また、プラスチックレンズは耐擦傷性向上のため、通常はハードコート処理を施すが、ハードコート膜を硬化するために加熱を行うのが一般的である。アニールによる加熱においてレンズの変形を防止できても、その後の、ハードコート膜硬化の際の加熱においてレンズが変形して不良品になることもある。
特に、プラスチックレンズ内部や表層部に一軸延伸フィルムを組みこんだ構造の偏光レンズではその傾向が強く、変形による不良率は一般に高い。
本実施形態における再生方法(加熱処理)は、プラスチックレンズの製造方法において記載された、プラスチックレンズ成形体の加熱処理(第1、第2または第3の実施形態における工程d)あるいは、プラスチック偏光レンズの製造方法において記載された、プラスチック偏光レンズ成形体の加熱処理(第1、第2または第3の実施形態における工程v)と同様に行うことができる。
本発明の加熱処理方法は、全てのプラスチックレンズ(プラスチック偏光レンズ)の製造方法におけるアニール工程として採用することができる。または、アニール工程は公知の方法で実施して、非点収差が規格外のレンズに対して、本発明の加熱処理方法をレンズに再生方法として採用することができる。この選択は、公知のアニール方法での非点収差の不良率、生産性、その他の品質項目(色など)などを総合的に勘案して決定される。
例えば、プラスチックレンズ成形体やプラスチック偏光レンズ成形体が熱可塑性樹脂からなる場合は、射出成型、圧縮成型、押出成型、射出圧縮成型、トランスファ成形や張り合わせ等により得ることができる。
プラスチック偏光レンズ成形体を製造する場合、偏光フィルムは通常は所定の形状に曲げ加工したのち、射出(圧縮)成型金型内にセットされる。そして、加熱溶融した原料プラスチックを射出(圧縮)成型により金型内へ押出したのち離型することでレンズ内部や表層部に一軸延伸フィルム(偏光フィルム)を組みこんだ構造のプラスチック偏光レンズ成形体を得ることができる。
メガネレンズとしての性能から、特に、ポリカーボネートやポリアミドが好ましい。
特に、混練工程や製品製造工程での溶融混練時に異物が発生するのを防止する目的で、リン系熱安定剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加するのが好ましい。
必要に応じて離型剤を配合することもできる。離型剤としては脂肪酸エステルが好適に用いられる。例えばステアリン酸モノグリセライド類、ステアリン酸ステアレート等の低級脂肪酸エステル類、セバシン酸ベヘネート等の高級脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトールテトラステアレート等のエリスリトールエステル類が使用される。
さらに、熱可塑性樹脂からなる、プラスチックレンズ成形体またはプラスチック偏光レンズ成形体は、上述の熱硬化性樹脂からなる場合と同様に、規格外であっても本実施形態の再生方法により製品として再生させることができる。
なお、樹脂のガラス転移温度は、THERMOMECHANICAL ANALYZER TMA−60(島津社製)を用いTMAペネトレーション法(50g荷重、ピン先0.5mmφ、昇温速度10℃/分)にて測定し、接線の交点をガラス転移温度とした。
アスティグマ値の測定は、FOCOVISION SR−2(Automation&Robotics社製)を使用して25℃にて行った。
ポリエチレンテレフタレート(PET)製偏光フィルム(厚み140ミクロン)を予めオーブン中140℃で15分熱処理を行い、次いで、熱プレス法にて附形温度160℃で4C(カーブ)の湾曲形状に附形した。偏光フィルムをモールドの大きさに合わせて切断した後、プラズマ照射表面改質装置(PS−601SW型:ウエッジ株式会社製)を用いて偏光膜の表面と裏面を各20秒間プラズマ照射し、メタノールで洗浄後風乾した。
このポリエチレンテレフタレート製偏光フィルムの両面にファウンデーション#123LLR−2コート剤(ソテック社製)をコートし、およそ50〜60℃で乾燥させた。これを、偏光レンズ成型用の鋳型(前面4C/後面5.5Cガラスモールドセット。口径78mm、中心厚12mm)内に挟み込んで設置した。
次に、m−キシリレンジイソシアネート50.6重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンの混合物49.4重量部、硬化促進剤としてジブチル錫ジクロライド0.01重量部、離型剤としてZelec UN(登録商標、Stepan社製)0.1重量部、および紫外線吸収剤としてSeesorb 709(シプロ化成社製)0.05重量部を攪拌して溶解させた後、減圧下で脱泡処理して、注入用モノマー混合物とした。
この注入用モノマー混合物を偏光フィルムを設置したレンズ成形用の鋳型に注入し、オーブン中16時間かけて25℃から110℃まで昇温し、その後110℃で5時間維持し、除冷の後、オーブンからレンズ注型用鋳型を取り出した。レンズ注型用鋳型からレンズを離型し、コバ削り機にて外周切削したのち洗浄して、口径75mmのプラスチック偏光レンズ成形体を得た。プラスチック偏光レンズ成形体の重量は72.2gであり、成形体を構成する樹脂のガラス転移温度は99℃であった。
上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上にプラスチック偏光レンズ成形体を、凸面を下にして設置した。その上に500gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。
乾燥炉の温度を120℃まで1時間かけて上昇し、120℃で2時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチック偏光レンズを得た。
プラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
注入用モノマー混合物を、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン混合物50.6重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)23.9重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン25.5重量部、硬化促進剤としてジブチル錫ジクロライド0.02重量部、離型剤としてZelec UN(登録商標、Stepan社製)0.13重量部、および紫外線吸収剤としてSeesorb 709(シプロ化成社製)0.05重量部を攪拌して溶解させた後減圧下で脱泡処理したものに、成型用の鋳型の後面を6Cガラスモールドに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って、プラスチック偏光レンズ成形体を得た。
プラスチック偏光レンズ成形体の重量は70.7gであり、成形体を構成する樹脂のガラス転移温度は109℃、アニール後のプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
偏光レンズ成型用の鋳型内に設置する曲げ加工された偏光フィルムを、ポリビニルアルコール(PVA)製偏光フィルムを附形温度50℃で4C(カーブ)の湾曲形状に附形したものに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って、プラスチック偏光レンズ成形体を得た。
プラスチック偏光レンズ成形体の重量は72.1gであり、成形体を構成する樹脂のガラス転移温度は99℃、アニール後のプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.01Dであった。
注入用モノマー混合物を、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタンと2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン混合物50.6重量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)23.9重量部、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン25.5重量部、硬化促進剤としてジブチル錫ジクロライド0.02重量部、離型剤としてZelec UN(登録商標、Stepan社製)0.13重量部、および紫外線吸収剤としてSeesorb 709(シプロ化成社製)0.05重量部を攪拌して溶解させた後減圧下で脱泡処理したものに変えた以外は、実施例3と同様の操作を行って、プラスチック偏光レンズを得た。
プラスチック偏光レンズ成形体の重量は68.7gであり、成形体を構成する樹脂のガラス転移温度は109℃、アニール後のプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
偏光レンズ成型用の鋳型に使用するガラスモールドセットを前面2C/後面4.5Cのものに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って、プラスチック偏光レンズを得た。
プラスチック偏光レンズ成形体の重量は75.8gであり、成形体を構成する樹脂のガラス転移温度は99℃、アニール後のプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
偏光レンズ成型用の鋳型に使用するガラスモールドセットを前面6C/後面6Cのものに変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って、プラスチック偏光レンズを得た。
プラスチック偏光レンズ成形体の重量は66.4gであり、成形体を構成する樹脂のガラス転移温度は99℃、アニール後のプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.03Dであった。
m−キシリレンジイソシアネート50.6重量部、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンと4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカンの混合物49.4重量部、硬化促進剤としてジブチル錫ジクロライド0.01重量部、離型剤としてZelec UN(登録商標、Stepan社製)0.1重量部、および紫外線吸収剤としてSeesorb 709(シプロ化成社製)0.05重量部を攪拌して溶解させた後、減圧下で脱泡処理して、注入用モノマー混合物とした。
この注入用モノマー混合物をレンズ成形用の鋳型(前面4C/後面6Cガラスモールドセット。口径78mm、中心厚12mm)に注入し、オーブン中16時間かけて25℃から110℃まで昇温し、その後110℃で5時間維持し、除冷の後、オーブンからレンズ注型用鋳型を取り出した。レンズ注型用鋳型からレンズを離型し、コバ削り機にて外周切削したのち洗浄して、口径75mmのプラスチックレンズ成形体を得た。プラスチックレンズ成形体の重量は74.1gであり、成形体を構成する樹脂のガラス転移温度は99℃であった。
上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上にプラスチックレンズ成形体を凸面を下にして設置した。その上に500gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。
乾燥炉の温度を120℃まで1時間かけて上昇し、120℃で2時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチックレンズを得た。
プラスチックレンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
FOCOVISION SR−2(Automation&Robotics社製)にて測定したアスティグマ値が0.07Dのノンコートセミフィニッシュト偏光レンズ(口径75mm、フロントカーブ4.00D、PET偏光フィルム含有、屈折率1.67、チオウレタン系素材、重量76.0g)を上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上に凸面を下にして設置した。その上に500gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。なお、偏光レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は100℃であった。
乾燥炉の温度を105℃まで1時間かけて上昇し、105℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチック偏光レンズを得た。
得られたプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
アスティグマ値が0.13Dのハードコートセミフィニッシュト偏光レンズ(口径75mm、フロントカーブ4.00D、PET偏光フィルム含有、屈折率1.67、チオウレタン系素材、重量76.0g、シリコン系ハードコート塗工)を上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上に凸面を下にして設置した。その上に500gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。なお、偏光レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は100℃であった。
乾燥炉の温度を105℃まで1時間かけて上昇し、105℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチック偏光レンズを得た。
得られたプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.04Dであった。
アスティグマ値が0.07Dのハードコートフィニッシュト偏光レンズ(口径75mm、フロントカーブ2.00D、度数S:−2.00D、PET偏光フィルム含有、屈折率1.67、チオウレタン系素材、重量17.3g、シリコン系ハードコート塗工)を上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上に凸面を下にして設置した。その上に200gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。なお、偏光レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は100℃であった。
乾燥炉の温度を105℃まで1時間かけて上昇し、105℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチック偏光レンズを得た。
得られたプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.04Dであった。
アスティグマ値が0.10Dのハードコートセミフィニッシュト偏光レンズ(口径75mm、フロントカーブ4.00D、PVA偏光フィルム含有、屈折率1.67、チオウレタン系素材、重量76.0g、シリコン系ハードコート塗工)を上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上に凸面を下にして設置した。その上に500gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。なお、偏光レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は100℃であった。
乾燥炉の温度を105℃まで1時間かけて上昇し、105℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチック偏光レンズを得た。
得られたプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
アスティグマ値が0.17Dのハードコートフィニッシュト偏光レンズ(口径75mm、フロントカーブ4.00D、度数S:−2.00D、PVA偏光フィルム含有、屈折率1.60、チオウレタン系素材、重量16.8g、シリコン系ハードコート塗工)を上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上に凸面を下にして設置した。その上に200gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。なお、偏光レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は114℃であった。
乾燥炉の温度を115℃まで1時間かけて上昇し、115℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチック偏光レンズを得た。
得られたプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.03Dであった。
アスティグマ値が0.08Dのノンコートセミフィニッシュトレンズ(口径75mm、フロントカーブ4.00D、バックカーブ6.00D、屈折率1.67、チオウレタン系素材、重量78.2g)を上部に外径90mm、7.00Dの凹面を持った金属製台座の上に凸面を下にして設置した。その上に500gの円盤型の金属製の重りを乗せ、アニール用乾燥炉内に収納した。なお、レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は100℃であった。
乾燥炉の温度を105℃まで1時間かけて上昇し、105℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出し、重りと台座を取り除いてプラスチックレンズを得た。
得られたプラスチックレンズのアスティグマ値は0.02Dであった。
実施例1と同様の方法で得たプラスチック偏光レンズ成形体をトレイ上に凹面が下になるように置き、トレイをアニール用乾燥炉内に収納した。
乾燥炉の温度を120℃まで1時間かけて上昇し、120℃で2時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出しプラスチック偏光レンズを得た。
プラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.15Dであった。
実施例2と同様の方法で得たプラスチック偏光レンズ成形体をトレイ上に凹面が下になるように置き、トレイをアニール用乾燥炉内に収納した。
乾燥炉の温度を120℃まで1時間かけて上昇し、120℃で2時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出しプラスチック偏光レンズを得た。
プラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.12Dであった。
実施例3と同様の方法で得たプラスチック偏光レンズ成形体をトレイ上に凹面が下になるように置き、トレイをアニール用乾燥炉内に収納した。
乾燥炉の温度を120℃まで1時間かけて上昇し、120℃で2時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出しプラスチック偏光レンズを得た。
プラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.08Dであった。
実施例7と同様の方法で得たプラスチックレンズ成形体をトレイ上に凹面が下になるように置き、トレイをアニール用乾燥炉内に収納した。
乾燥炉の温度を120℃まで1時間かけて上昇し、120℃で2時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出しプラスチックレンズを得た。
プラスチックレンズのアスティグマ値は0.09Dであった。
アスティグマ値が0.07Dのノンコートセミフィニッシュト偏光レンズ(口径75mm、フロントカーブ4.00D、PET偏光フィルム含有、屈折率1.67、チオウレタン系素材、重量76.0g)をトレイ上に凹面が下になるように置き、トレイをアニール用乾燥炉内に収納した。なお、偏光レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は100℃であった。
乾燥炉の温度を105℃まで1時間かけて上昇し、105℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出しプラスチック偏光レンズを得た。
得られたプラスチック偏光レンズのアスティグマ値は0.10Dであった。
アスティグマ値が0.08Dのノンコートセミフィニッシュトレンズ(口径75mm、フロントカーブ4.00D、バックカーブ6.00D、屈折率1.67、チオウレタン系素材、重量78.2g)をトレイ上に凹面が下になるように置き、トレイをアニール用乾燥炉内に収納した。なお、レンズを構成する樹脂のガラス転移温度は100℃であった。
乾燥炉の温度を105℃まで1時間かけて上昇し、105℃で1時間保持したのち、3時間かけて冷却した。冷却後乾燥炉から取出しプラスチックレンズを得た。
得られたプラスチックレンズのアスティグマ値は0.06Dであった。
12 第1モールド基板
12a 凹面
14 第2モールド基板
16 固定部材
18 レンズ注型用鋳型内
20 レンズ注型用鋳型
22 偏光フィルム
24a,24b 空隙部
a 最も間隙の狭い離間距離
30 治具
32 支持部材
32a 上端部
34 プラスチックレンズ成形体
34a 凸面
34b 裏面
34c 外周縁端部
36 重り
38 静止部材
42 板状部材
44 狭持部材
Claims (15)
- 凸面を備えるプラスチックレンズ成形体の該凸面側および/または該凸面の裏面側から荷重をかけながら、該プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する工程を含む、プラスチックレンズの製造方法。
- 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程の前に、
前記プラスチックレンズの凸状の対物面を形成するための凹面を有する第1モールド基板と、対向して配置される第2モールド基板と、前記第1モールド基板および前記第2モールド基板の外縁を覆い、これらを所定距離離間して固定する固定部材と、からなるレンズ注型用鋳型内に、重合性組成物を注入する工程と、
前記重合性組成物を硬化する工程と、
硬化した樹脂をレンズ注型用鋳型から離型し、凸面を備えるプラスチックレンズ成形体を得る工程と、
を含む、請求項1に記載のプラスチックレンズの製造方法。 - 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持部材で支持しながら、該凸面が前記支持部材と非接触の状態で行う、請求項1または2に記載のプラスチックレンズの製造方法。 - 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を、上端部により下方から支持する支持部材を備える治具を用い、
該プラスチックレンズ成形体を、前記支持部材の前記上端部に載置し、該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持しながら、該凸面が前記支持部材および前記治具と非接触の状態で行う、請求項3に記載のプラスチックレンズの製造方法。 - 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、前記凸面側および/または前記裏面側から成形体重量の1〜50倍の荷重をかけながら行う、請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記重合性組成物が、イソ(チオ)シアネート化合物と活性水素化合物とを含有する、請求項2〜5のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法。
- 前記重合性組成物が、イソシアネート化合物と前記活性水素化合物としてチオール化合物とを含有し、
前記プラスチックレンズはチオウレタン樹脂からなるプラスチックレンズである、請求項6に記載のプラスチックレンズの製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の工程を含むプラスチック偏光レンズの製造方法であって、
前記重合性組成物を注入する前記工程は、
前記レンズ注型用鋳型内に、偏光フィルムの少なくとも一方の面が前記第1モールド基板または前記第2モールド基板から離隔した状態で、該偏光フィルムを固定する工程と、
前記偏光フィルムと前記モールド基板との間の空隙に、前記重合性組成物を注入する工程と、を含む、プラスチック偏光レンズの製造方法。 - 凸面を備えるプラスチックレンズ成形体の非点収差(アスティグマ)を測定する工程と、
非点収差が0.05D以上のプラスチックレンズ成形体の前記凸面側および/または該凸面の裏面側から荷重をかけながら、該プラスチックレンズ成形体を構成する樹脂のガラス転移温度−20℃以上の温度下で加熱する工程を含む、プラスチックレンズの再生方法。 - 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持部材で支持しながら、該凸面が前記支持部材と非接触の状態で行う、請求項9に記載のプラスチックレンズの再生方法。 - 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、
該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を、上端部により下方から支持する支持部材を備える治具を用い、
該プラスチックレンズ成形体を、前記支持部材の前記上端部に載置し、該プラスチックレンズ成形体の前記凸面の外周縁端部を支持しながら、該凸面が前記支持部材および前記治具と非接触の状態で行う、請求項10に記載のプラスチックレンズの再生方法。 - 前記プラスチックレンズ成形体を加熱する前記工程は、前記凸面側および/または前記裏面側から成形体重量の1〜50倍の荷重をかけながら行う、請求項9〜11のいずれかに記載のプラスチックレンズの再生方法。
- 前記プラスチックレンズ成形体がハードコートされていないレンズである請求項9〜12のいずれかに記載のプラスチックレンズの再生方法。
- 前記プラスチックレンズ成形体がハードコートされたレンズである請求項9〜12に記載のプラスチックレンズの再生方法。
- 請求項9〜14のいずれかに記載のプラスチックレンズがプラスチック偏光レンズである、プラスチック偏光レンズの再生方法。
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