JP2006215217A - 眼鏡レンズの製造方法及び眼鏡レンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】環境保護を図るとともに、眼鏡レンズのコストの低減を図ることができる眼鏡レンズの製造方法及び眼鏡レンズを提供すること。
【解決手段】トーリック面であり凸面状の第一面41と、累進面形状に応じた形状を有するととともに凹面形状となった第二面42を有するレンズ成形体4を用意する。レンズ成形体4の第一面41を受け台5の受け面51上に設置し、レンズ成形体4をガラス転移点以上に加熱する。レンズ成形体4の第一面41は、重力により変形し第一面41が第一面41の全面が受け台5の受け面51に当接することとなる。これにより、第一面41は、トーリック面から球面形状に変形し、第一面41の乱視矯正特性形状が、第二面42に転移することとなる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、眼鏡レンズの製造方法及び眼鏡レンズに関する。
近年、老眼等により、目の調節力が低下した場合に、遠近両用の眼鏡レンズが使用されている。この眼鏡レンズは、一枚のレンズに異なる度数を持たせたものである。例えば、上側部分が遠くを見るための遠用部、下側部分が近くを見るための近用部、遠用部から近用部にかけては屈折力が累進的に変化する累進部となっており、眼球側の面又は物体側の面に前記遠用部、近用部、累進部を構成する累進面が付加されている。
また、使用者が乱視である場合には、眼球側の面又は物体側の面に、前記累進面に加えて、乱視矯正特性に応じた形状が付与される。
このような眼鏡レンズを製造する方法としては、眼鏡レンズの眼球側の面及び物体側の面の形状に応じた一対の成形型を用意し、この成形型を組み合わせて形成される空間内に原料を注入する方法が考えられる。しかしながら、眼鏡レンズの累進面に乱視矯正特性を加えた形状は、約1000万種類あり、このような数の成形型を用意することは不可能である。
そこで、この問題を解決するために、使用者の個々の処方(度数、乱視の角度等)に従って眼球側の面又は物体側の面を切削、研磨することにより形状創成することが提案されている。
なお、ここでは、眼球側の面に累進面及び乱視矯正特性が付与された眼鏡レンズの製造方法について説明するが、物体側の面に累進面及び乱視矯正特性が付与された眼鏡レンズも同様の方法で製造できる。
まず、あらかじめ、使用者の度数に対応する曲面を物体側の面に形成したセミフィニッシュレンズを製造しておく。次に、NC制御装置等により、乱視の角度やプリズム角等の処方データに合わせてセミフィニッシュレンズの眼球側の面を切削、研磨し、眼鏡レンズを仕上げる(特許文献1参照)。
また、使用者が乱視である場合には、眼球側の面又は物体側の面に、前記累進面に加えて、乱視矯正特性に応じた形状が付与される。
このような眼鏡レンズを製造する方法としては、眼鏡レンズの眼球側の面及び物体側の面の形状に応じた一対の成形型を用意し、この成形型を組み合わせて形成される空間内に原料を注入する方法が考えられる。しかしながら、眼鏡レンズの累進面に乱視矯正特性を加えた形状は、約1000万種類あり、このような数の成形型を用意することは不可能である。
そこで、この問題を解決するために、使用者の個々の処方(度数、乱視の角度等)に従って眼球側の面又は物体側の面を切削、研磨することにより形状創成することが提案されている。
なお、ここでは、眼球側の面に累進面及び乱視矯正特性が付与された眼鏡レンズの製造方法について説明するが、物体側の面に累進面及び乱視矯正特性が付与された眼鏡レンズも同様の方法で製造できる。
まず、あらかじめ、使用者の度数に対応する曲面を物体側の面に形成したセミフィニッシュレンズを製造しておく。次に、NC制御装置等により、乱視の角度やプリズム角等の処方データに合わせてセミフィニッシュレンズの眼球側の面を切削、研磨し、眼鏡レンズを仕上げる(特許文献1参照)。
しかしながら、このような眼鏡レンズの製造方法では、セミフィニッシュレンズの眼球側の面を切削等することにより乱視矯正特性形状、累進面形状を形成しているため、切削等により大量の切削屑等が生じることとなる。例えば、セミフィニッシュレンズの重量が約55g/枚である場合、加工後の眼鏡レンズの重量は、約25g/枚であり、セミフィニッシュレンズの約半分が切削屑等となっていることがわかる。このような大量の切削屑等は廃棄されており、環境保護、及び眼鏡レンズの製造コスト低減の観点から、眼鏡レンズの原料の廃棄量の低減を図ることが望まれている。
近年、眼鏡レンズの原料の高屈折率化に伴い、眼鏡レンズの原料のコストが高くなっているため、眼鏡レンズの原料の廃棄量の低減が特に望まれているのである。
近年、眼鏡レンズの原料の高屈折率化に伴い、眼鏡レンズの原料のコストが高くなっているため、眼鏡レンズの原料の廃棄量の低減が特に望まれているのである。
本発明の目的は、環境保護を図るとともに、眼鏡レンズのコストの低減を図ることができる眼鏡レンズの製造方法及び眼鏡レンズを提供することである。
本発明の眼鏡レンズの製造方法は、物体側の面、或いは眼球側の面の何れか一方の面が、遠用部、近用部及びこれらの間で屈折力が累進的に変化する累進部を有する累進面に対し乱視矯正特性が付与された面であり、他方の面が略球面形状である眼鏡レンズの製造方法であって、物体側の面、或いは眼球側の面の何れか一方の面が、前記乱視矯正特性が付与された面であり、他方の面が前記累進面であるレンズ成形体を製造するレンズ成形体製造工程と、略球面状の受け面を有する受け台の前記受け面上に、前記レンズ成形体の前記乱視矯正特性が付与された面が位置するように、前記レンズ成形体を設置する設置工程と、前記レンズ成形体を、このレンズ成形体のガラス転移点以上に加熱し、前記レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の略全面を前記受け台の受け面に当接させて、前記乱視矯正特性が付与された面を略球面に整形するとともに、前記乱視矯正特性が付与された面の乱視矯正特性に応じた形状を前記累進面に転移させる整形工程とを備えることを特徴とする。
ここで、本発明の眼鏡レンズの原料としては、例えば、アリル系、メタクリレート系、チオウレタン系、チオエポキシ系の樹脂組成物があげられる。また、眼鏡レンズの原料として、ガラスを使用してもよい。
また、本発明の眼鏡レンズの製造方法で製造する眼鏡レンズは、眼球側の面が累進面に対し乱視矯正特性が付与された形状である、いわゆる内面累進多焦点レンズであってもよく、物体側の面が、累進面に対し乱視矯正特性が付与された形状である、いわゆる外面累進多焦点レンズであってもよい。
また、本発明の眼鏡レンズの製造方法で製造する眼鏡レンズは、眼球側の面が累進面に対し乱視矯正特性が付与された形状である、いわゆる内面累進多焦点レンズであってもよく、物体側の面が、累進面に対し乱視矯正特性が付与された形状である、いわゆる外面累進多焦点レンズであってもよい。
このような本発明によれば、乱視矯正特性が付与された面及び累進面を有するレンズ成形体を、受け面が略球面となった受け台の受け面上に設置し、ガラス転移点以上に加熱し、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の略全面を受け台の受け面に当接させて、乱視矯正特性が付与された面を略球面に整形し、乱視矯正特性に応じた形状をレンズ成形体の累進面に転移させている。
本発明では、レンズ成形体を切削加工等することなく、眼鏡レンズの物体側の面、或いは眼球側の面の何れか一方の面に累進面と乱視矯正特性とが付与された曲面を形成することができる。
これにより、従来のように大量の切削屑等が生じることがないので、環境保護を図ることができる。
また、本発明の眼鏡レンズの製造方法は、従来のように、セミフィニッシュレンズを切削等して、形状を整えるものではないので、大量の切削屑等が生じることがなく、廃棄する眼鏡レンズの原料を低減させることができるので、一枚の眼鏡レンズに使用する原料の量を低減させることができ、眼鏡レンズにかかるコストの低減を図ることができるのである。
なお、レンズ成形体製造工程でのレンズ成形体の製造方法としては、成形型を対向配置し、この成形型を組み合わせて構成される空間内に眼鏡レンズの原料を注入してレンズ成形体を成形する方法が例示できる。この場合には、乱視矯正特性に応じた成形面を有する成形型と、累進面の形状に応じた成形面とする成形型とが必要になるが、成形型の種類は、限られており、従来のような膨大な数とならない。
例えば、乱視矯正特性に応じた形状の成形面を有する成形型は、525種類(C度数25種(0〜―6Dの0.25Dピッチ)×S度数21種(+8〜―12Dの1Dピッチ)=525)、累進面の形状に応じた成形面を有する成形型は、52650種類(S度数81種×C度数25種×加入度13種×R/L2種=52650)必要となり、合計53175種の成形型が必要となるが、従来のような膨大な数とならない。
本発明では、レンズ成形体を切削加工等することなく、眼鏡レンズの物体側の面、或いは眼球側の面の何れか一方の面に累進面と乱視矯正特性とが付与された曲面を形成することができる。
これにより、従来のように大量の切削屑等が生じることがないので、環境保護を図ることができる。
また、本発明の眼鏡レンズの製造方法は、従来のように、セミフィニッシュレンズを切削等して、形状を整えるものではないので、大量の切削屑等が生じることがなく、廃棄する眼鏡レンズの原料を低減させることができるので、一枚の眼鏡レンズに使用する原料の量を低減させることができ、眼鏡レンズにかかるコストの低減を図ることができるのである。
なお、レンズ成形体製造工程でのレンズ成形体の製造方法としては、成形型を対向配置し、この成形型を組み合わせて構成される空間内に眼鏡レンズの原料を注入してレンズ成形体を成形する方法が例示できる。この場合には、乱視矯正特性に応じた成形面を有する成形型と、累進面の形状に応じた成形面とする成形型とが必要になるが、成形型の種類は、限られており、従来のような膨大な数とならない。
例えば、乱視矯正特性に応じた形状の成形面を有する成形型は、525種類(C度数25種(0〜―6Dの0.25Dピッチ)×S度数21種(+8〜―12Dの1Dピッチ)=525)、累進面の形状に応じた成形面を有する成形型は、52650種類(S度数81種×C度数25種×加入度13種×R/L2種=52650)必要となり、合計53175種の成形型が必要となるが、従来のような膨大な数とならない。
さらに、本発明では、整形工程において、球面の受け面を有する受け台を使用している。レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の形状を球面形状に整形する際に、ガラス転移点以上に加熱したレンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の略全面を、受け台の球面状の受け面に当接させているので、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の形状を正確な球面形状とすることが可能となる。
本発明では、前記レンズ成形体製造工程では、物体側の面が前記乱視矯正特性が付与された面であり、眼球側の面が前記累進面であるレンズ成形体を成形し、前記設置工程では、前記レンズ成形体の物体側の面を受け台の受け面上に設置し、前記整形工程では、前記レンズ成形体の物体側の面の略全面を前記受け台の受け面に当接させて、物体側の面を略球面に整形するとともに、乱視矯正特性に応じた形状を眼球側の面に転移させることが好ましい。
このような本発明によれば、眼球側の面が累進面に対し、乱視矯正特性が付与された面となり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズ、いわゆる内面累進多焦点レンズを製造することができる。
このような本発明によれば、眼球側の面が累進面に対し、乱視矯正特性が付与された面となり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズ、いわゆる内面累進多焦点レンズを製造することができる。
本発明では、前記レンズ成形体は、プラスチック製であり、前記整形工程で、前記レンズ成形体をガラス転移点5℃以上、ガラス転移点+60℃以下に加熱することが好ましい。なかでも、ガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+30℃以下とすることが特に好ましい。
整形工程において、レンズ成形体をガラス転移点+5℃未満に加熱した場合には、十分に整形できない可能性がある。すなわち、レンズ成形体製造工程で成形したレンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面を略球面とするとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができない場合がある。
また、整形工程において、レンズ成形体をガラス転移点+60℃を超えて加熱した場合には、レンズ成形体が変色等を起こし、劣化する可能性がある。
本発明では、整形工程において、レンズ成形体をガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下に加熱しているため、このような問題が生じない。
整形工程において、レンズ成形体をガラス転移点+5℃未満に加熱した場合には、十分に整形できない可能性がある。すなわち、レンズ成形体製造工程で成形したレンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面を略球面とするとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができない場合がある。
また、整形工程において、レンズ成形体をガラス転移点+60℃を超えて加熱した場合には、レンズ成形体が変色等を起こし、劣化する可能性がある。
本発明では、整形工程において、レンズ成形体をガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下に加熱しているため、このような問題が生じない。
さらに、本発明では、前記整形工程において、前記レンズ成形体に対し、累進面側から乱視矯正特性が付与された面側に向かう外力をかけることが好ましい。
このような本発明によれば、レンズ成形体に対し、累進面側から乱視矯正特性が付与された面側に向かう外力をかけることで、よりスムーズに乱視矯正特性が付与された面を受け台の受け面に当接させることができ、乱視矯正特性が付与された面を確実に略球面に整形することができるとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができる。
このような本発明によれば、レンズ成形体に対し、累進面側から乱視矯正特性が付与された面側に向かう外力をかけることで、よりスムーズに乱視矯正特性が付与された面を受け台の受け面に当接させることができ、乱視矯正特性が付与された面を確実に略球面に整形することができるとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができる。
また、本発明では、前記整形工程において、前記レンズ成形体の累進面全面に気体を吹き付けて、累進面全面に略均等に外力をかけることが好ましい。
ここでは、累進面の累進形状が崩れない程度に気体を累進面に吹き付ける必要がある。
このような本発明によれば、レンズ成形体の累進面全面に気体を吹き付けることで、より確実にレンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面を受け台の受け面に当接させて、乱視矯正特性が付与された面を略球面に整形するとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができる。
ここでは、累進面の累進形状が崩れない程度に気体を累進面に吹き付ける必要がある。
このような本発明によれば、レンズ成形体の累進面全面に気体を吹き付けることで、より確実にレンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面を受け台の受け面に当接させて、乱視矯正特性が付与された面を略球面に整形するとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができる。
本発明では、前記整形工程において、前記受け台の受け面は、前記レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面よりも大きく、前記整形工程では、設置工程で、レンズ成形体を受け台上に設置した際に、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の外周部のうち、前記受け台の受け面に当接していない部分を受け面に当接させるように、レンズ成形体の累進面の外周部に荷重をかけてもよい。
このような本発明によれば、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の外周部のうち、受け台の受け面に当接していない部分を受け面に当接させるように、レンズ成形体の外周部に荷重をかけることで、レンズ成形体の変形を促進させることができる。すなわち、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面を確実に受け台の受け面に当接させることができ、乱視矯正特性が付与された面を略球面に整形することができるとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができる。
なお、レンズ成形体の外周部にかける荷重は、レンズ成形体の累進面の累進形状を崩さない程度の荷重としなければならない。
このような本発明によれば、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の外周部のうち、受け台の受け面に当接していない部分を受け面に当接させるように、レンズ成形体の外周部に荷重をかけることで、レンズ成形体の変形を促進させることができる。すなわち、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面を確実に受け台の受け面に当接させることができ、乱視矯正特性が付与された面を略球面に整形することができるとともに、乱視矯正特性に応じた形状を累進面に転移させることができる。
なお、レンズ成形体の外周部にかける荷重は、レンズ成形体の累進面の累進形状を崩さない程度の荷重としなければならない。
本発明の眼鏡レンズは、上述した何れかの製造方法により製造されたことを特徴とする。
このような本発明によれば、本発明の眼鏡レンズは、上述した眼鏡レンズの製造方法により製造されたものであるため、環境保護を図ることができるとともに、製造コストが低減された眼鏡レンズとなる。
このような本発明によれば、本発明の眼鏡レンズは、上述した眼鏡レンズの製造方法により製造されたものであるため、環境保護を図ることができるとともに、製造コストが低減された眼鏡レンズとなる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の眼鏡レンズLが示されている。この眼鏡レンズLは、目の調節力が低下した場合等に使用される遠近両用の内面累進多焦点レンズである。図1(A)は、眼鏡レンズLの眼球側の面L4を示す平面図であり、図1(B)は、眼鏡レンズLの断面図である。
眼鏡レンズLの眼球側の面L4は、異なる屈折力を備えた遠用部L1及び近用部L2と、これらの間で屈折力が累進的に変化する累進部L3を備えた累進面に対し、乱視矯正特性が付与された形状となっている。
また、この眼鏡レンズLの物体側の面L5は、球面形状となっている。
図1には、本発明の眼鏡レンズLが示されている。この眼鏡レンズLは、目の調節力が低下した場合等に使用される遠近両用の内面累進多焦点レンズである。図1(A)は、眼鏡レンズLの眼球側の面L4を示す平面図であり、図1(B)は、眼鏡レンズLの断面図である。
眼鏡レンズLの眼球側の面L4は、異なる屈折力を備えた遠用部L1及び近用部L2と、これらの間で屈折力が累進的に変化する累進部L3を備えた累進面に対し、乱視矯正特性が付与された形状となっている。
また、この眼鏡レンズLの物体側の面L5は、球面形状となっている。
このような眼鏡レンズLは、以下のようにして製造される。
(1.レンズ成形体製造工程)
まず、図2(A)及び図2(B)に示すように、型2を用意する。この型2は、一対のガラス製の成形型21,22を対向配置させ、その外周面を粘着テープ23で固定したものである。成形型21,22の対向配置された成形面211,221及び粘着テープ23で構成される空間Pに眼鏡レンズLの原料が注入される。
粘着テープ23は、テープ基材231に重合に影響を与えない粘着剤232が塗布されたものである。
一対の成形型21,22のうち、一方の成形型21は、凹面状の成形面211を有する。この凹面状の成形面211は、眼鏡レンズLの乱視矯正特性形状に応じた形状となっている。
また、一対の成形型21,22のうち、他方の成形型22は、凸面状の成形面221を有する。この凸面状の成形面221は、前記眼鏡レンズLの累進面形状に応じた形状となっている。
なお、一対の成形型の成形面211,221は、鏡面研磨されている。
(1.レンズ成形体製造工程)
まず、図2(A)及び図2(B)に示すように、型2を用意する。この型2は、一対のガラス製の成形型21,22を対向配置させ、その外周面を粘着テープ23で固定したものである。成形型21,22の対向配置された成形面211,221及び粘着テープ23で構成される空間Pに眼鏡レンズLの原料が注入される。
粘着テープ23は、テープ基材231に重合に影響を与えない粘着剤232が塗布されたものである。
一対の成形型21,22のうち、一方の成形型21は、凹面状の成形面211を有する。この凹面状の成形面211は、眼鏡レンズLの乱視矯正特性形状に応じた形状となっている。
また、一対の成形型21,22のうち、他方の成形型22は、凸面状の成形面221を有する。この凸面状の成形面221は、前記眼鏡レンズLの累進面形状に応じた形状となっている。
なお、一対の成形型の成形面211,221は、鏡面研磨されている。
成形型21,22を対向配置させる際には、眼鏡レンズLの使用者の眼鏡処方から乱視軸の角度を取得し、乱視軸が所望の角度となるようにする。また、成形型21,22を対向配置させる際には、眼鏡レンズLが所望の厚さとなるようにする。
このような型2の粘着テープ23に注入針3を貫通させ、この注入針3から、眼鏡レンズLの原料となる樹脂組成物を充填する。粘着テープ23に注入針3を貫通させる方法としては、注入針3を粘着テープ23に直接差し込んでもよく、熱風を吹き付けて粘着テープ23に注入口を形成し、この注入口に注入針3を差し込んでもよい。
本実施形態では、粘着テープ23を使用したが、これに限らず、ガスケットを用いて、一対の成形型21,22を固定してもよい。
このような型2の粘着テープ23に注入針3を貫通させ、この注入針3から、眼鏡レンズLの原料となる樹脂組成物を充填する。粘着テープ23に注入針3を貫通させる方法としては、注入針3を粘着テープ23に直接差し込んでもよく、熱風を吹き付けて粘着テープ23に注入口を形成し、この注入口に注入針3を差し込んでもよい。
本実施形態では、粘着テープ23を使用したが、これに限らず、ガスケットを用いて、一対の成形型21,22を固定してもよい。
眼鏡レンズの原料としては、紫外線等の光により重合し硬化する光硬化性樹脂組成物、熱により重合して硬化する熱硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物は、光硬化性モノマーと、光重合開始剤とを含有するものであり、熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性モノマーと、熱重合開始剤とを含有するものである。
このような原料としては、例えば、アリル系のモノマーを含有する樹脂組成物、メタクリレート系のモノマーを含有する樹脂組成物、チオウレタン系のモノマーを含有する樹脂組成物、チオエポキシ系のモノマーを含有する樹脂組成物が挙げられる。
なかでも、ガラス転移点において、2mm厚のサンプルに50gの荷重をかけた際、撓み量が14μm以上となる樹脂組成物を使用することが好ましい。特に好ましくは、撓み量が14μm以上、30μm以下となる樹脂組成物である。
本実施形態では、ガラス転移点において、2mm厚のサンプルに50gの荷重をかけた際、撓み量が14μm以上となるチオウレタン系の樹脂組成物を使用する。
また、眼鏡レンズの原料は、後段の整形工程での整形しやすさを考慮すると、ガラス転移点が120℃以下であることが好ましい。
さらに、眼鏡レンズの原料は、屈折力が1.5以上であることが好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、光硬化性モノマーと、光重合開始剤とを含有するものであり、熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性モノマーと、熱重合開始剤とを含有するものである。
このような原料としては、例えば、アリル系のモノマーを含有する樹脂組成物、メタクリレート系のモノマーを含有する樹脂組成物、チオウレタン系のモノマーを含有する樹脂組成物、チオエポキシ系のモノマーを含有する樹脂組成物が挙げられる。
なかでも、ガラス転移点において、2mm厚のサンプルに50gの荷重をかけた際、撓み量が14μm以上となる樹脂組成物を使用することが好ましい。特に好ましくは、撓み量が14μm以上、30μm以下となる樹脂組成物である。
本実施形態では、ガラス転移点において、2mm厚のサンプルに50gの荷重をかけた際、撓み量が14μm以上となるチオウレタン系の樹脂組成物を使用する。
また、眼鏡レンズの原料は、後段の整形工程での整形しやすさを考慮すると、ガラス転移点が120℃以下であることが好ましい。
さらに、眼鏡レンズの原料は、屈折力が1.5以上であることが好ましい。
眼鏡レンズLの原料の注入が終了したら、型2の空間P内に充填された眼鏡レンズLの原料の重合を開始し、原料を硬化させる。
その後、型2を解体して、レンズ成形体4を取り出す(図3参照)。
取り出したレンズ成形体4は、平面略円形形状であり、眼鏡レンズLの乱視矯正特性に応じた形状の面、すなわち、乱視矯正特性が付与された面(以下、第一面という。)41と、第一面41に対向配置され、眼鏡レンズLの累進面形状に対応した累進面(以下、第二面という。)42を有する。この第一面41は、物体側の面であり、第二面42は眼球側の面である。
その後、型2を解体して、レンズ成形体4を取り出す(図3参照)。
取り出したレンズ成形体4は、平面略円形形状であり、眼鏡レンズLの乱視矯正特性に応じた形状の面、すなわち、乱視矯正特性が付与された面(以下、第一面という。)41と、第一面41に対向配置され、眼鏡レンズLの累進面形状に対応した累進面(以下、第二面という。)42を有する。この第一面41は、物体側の面であり、第二面42は眼球側の面である。
(2.設置工程)
次に、このようなレンズ成形体4を図3〜図6に示すように、受け台5上に設置する。
この受け台5は、平面略円形形状であり、径がレンズ成形体4の外径よりも大きくなっている。受け台5の材料は、後段の整形工程でレンズ成形体4をガラス転移点以上に加熱した際に、変形しない材料であれば任意である。
この受け台5の上面、すなわち、レンズ成形体4を受ける受け面51は、凹状に窪んでいる。この受け面51は、眼鏡レンズLの度数に対応した所定の曲率の球面となっている。本実施形態では、レンズ成形体4の第一面41のベースカーブよりも大きく、クロスカーブよりも小さな曲率の球面となっている。
レンズ成形体4の第一面41が受け台5側に向くように、レンズ成形体4を受け台5上に設置すると、図4(A)に示すように、レンズ成形体4の第一面41の外周部の一部(ベースカーブ上の外周部)が受け台5の受け面51に接触する。
なお、レンズ成形体4の第一面41の前記外周部の一部以外の部分は、受け台5の受け面51には接触していない。
次に、このようなレンズ成形体4を図3〜図6に示すように、受け台5上に設置する。
この受け台5は、平面略円形形状であり、径がレンズ成形体4の外径よりも大きくなっている。受け台5の材料は、後段の整形工程でレンズ成形体4をガラス転移点以上に加熱した際に、変形しない材料であれば任意である。
この受け台5の上面、すなわち、レンズ成形体4を受ける受け面51は、凹状に窪んでいる。この受け面51は、眼鏡レンズLの度数に対応した所定の曲率の球面となっている。本実施形態では、レンズ成形体4の第一面41のベースカーブよりも大きく、クロスカーブよりも小さな曲率の球面となっている。
レンズ成形体4の第一面41が受け台5側に向くように、レンズ成形体4を受け台5上に設置すると、図4(A)に示すように、レンズ成形体4の第一面41の外周部の一部(ベースカーブ上の外周部)が受け台5の受け面51に接触する。
なお、レンズ成形体4の第一面41の前記外周部の一部以外の部分は、受け台5の受け面51には接触していない。
(3.整形工程)
その後、レンズ成形体4を加熱する。この工程では、レンズ成形体4は、ガラス転移点以上に加熱する。好ましくは、ガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下、特に好ましくは、ガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+30℃以下にレンズ成形体4を加熱する。
加熱されたレンズ成形体4は、重力により変形し、図4(B)に示すように第一面41が下方に下がり、第一面41の全面が受け台5の受け面51に当接することとなる。
これにより、第一面41は、トーリック面から球面形状に変形し、これに伴い、第一面41の乱視矯正特性形状が、第二面42に転移することとなる。
その後、レンズ成形体4を冷却し、受け台5から取り外す。以上の工程により、累進面に対し、乱視矯正特性が付与された形状の眼球側の面L4と、球面形状の物体側の面L5とを有する眼鏡レンズLを得ることができる。
その後、レンズ成形体4を加熱する。この工程では、レンズ成形体4は、ガラス転移点以上に加熱する。好ましくは、ガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下、特に好ましくは、ガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+30℃以下にレンズ成形体4を加熱する。
加熱されたレンズ成形体4は、重力により変形し、図4(B)に示すように第一面41が下方に下がり、第一面41の全面が受け台5の受け面51に当接することとなる。
これにより、第一面41は、トーリック面から球面形状に変形し、これに伴い、第一面41の乱視矯正特性形状が、第二面42に転移することとなる。
その後、レンズ成形体4を冷却し、受け台5から取り外す。以上の工程により、累進面に対し、乱視矯正特性が付与された形状の眼球側の面L4と、球面形状の物体側の面L5とを有する眼鏡レンズLを得ることができる。
従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)眼鏡レンズLの乱視矯正特性に応じた形状の第一面41及び眼鏡レンズLの累進面の形状に応じた第二面42を有するレンズ成形体4を、受け面51が略球面となった受け台5の受け面51上に設置し、ガラス転移点以上に加熱し、レンズ成形体4の第一面41の略全面を受け台5の受け面51に当接させて、第一面41を球面に整形し、眼鏡レンズLの物体側の面L5を形成するとともに、乱視矯正特性に応じた形状をレンズ成形体4の第二面42に転移させて、眼鏡レンズの眼球側の面L4を形成している。
このように、本実施形態では、レンズ成形体4を切削加工等することなく、眼球側の面L4に累進面と乱視矯正特性とが付与された曲面を形成することができる。
これにより、従来のように大量の切削屑等が生じることがないので、環境保護を図ることができる。
(1)眼鏡レンズLの乱視矯正特性に応じた形状の第一面41及び眼鏡レンズLの累進面の形状に応じた第二面42を有するレンズ成形体4を、受け面51が略球面となった受け台5の受け面51上に設置し、ガラス転移点以上に加熱し、レンズ成形体4の第一面41の略全面を受け台5の受け面51に当接させて、第一面41を球面に整形し、眼鏡レンズLの物体側の面L5を形成するとともに、乱視矯正特性に応じた形状をレンズ成形体4の第二面42に転移させて、眼鏡レンズの眼球側の面L4を形成している。
このように、本実施形態では、レンズ成形体4を切削加工等することなく、眼球側の面L4に累進面と乱視矯正特性とが付与された曲面を形成することができる。
これにより、従来のように大量の切削屑等が生じることがないので、環境保護を図ることができる。
(2)本実施形態の眼鏡レンズLの製造方法は、従来のように、セミフィニッシュレンズを切削等して、形状を整えるものではないので、大量の切削屑等が生じることがなく、廃棄する眼鏡レンズLの原料を低減させることができるので、一枚の眼鏡レンズLに使用する原料の量を低減させることができる。これにより、眼鏡レンズLにかかるコストの低減を図ることができる。
(3)本実施形態では、整形工程において、球面の受け面51を有する受け台5を使用している。レンズ成形体4の第一面41の形状を球面形状に整形する際に、ガラス転移点以上に加熱したレンズ成形体4の第一面41の略全面を、受け台5の球面状の受け面51に当接させているので、レンズ成形体4の第一面41の形状を正確な球面形状とすることが可能となる。
(3)本実施形態では、整形工程において、球面の受け面51を有する受け台5を使用している。レンズ成形体4の第一面41の形状を球面形状に整形する際に、ガラス転移点以上に加熱したレンズ成形体4の第一面41の略全面を、受け台5の球面状の受け面51に当接させているので、レンズ成形体4の第一面41の形状を正確な球面形状とすることが可能となる。
(4)レンズ成形体製造工程では、成形型21,22を対向配置し、この成形型21,22を組み合わせて構成される空間P内に眼鏡レンズLの原料を注入してレンズ成形体4を成形している。この場合には、乱視矯正特性に応じた形状の成形面211を有する成形型21と、累進面の形状に応じた形状の成形面221を有する成形型22とが必要になるが、成形型21,22の種類は、従来のような膨大な数とならない。
(5)整形工程において、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃未満に加熱した場合には、十分に整形できない可能性がある。すなわち、整形工程において、レンズ成形体製造工程で成形したレンズ成形体4の第一面41を略球面とするとともに、乱視矯正特性に応じた形状をレンズ成形体4の第二面42に転移させることができない場合がある。
また、整形工程において、レンズ成形体4をガラス転移点+60℃を超えて加熱した場合には、レンズ成形体4が変色等を起こし、劣化する可能性がある。
本実施形態では、整形工程において、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下に加熱しているため、このような問題が生じることがない。
また、整形工程において、レンズ成形体4をガラス転移点+60℃を超えて加熱した場合には、レンズ成形体4が変色等を起こし、劣化する可能性がある。
本実施形態では、整形工程において、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下に加熱しているため、このような問題が生じることがない。
(6)本実施形態では、眼鏡レンズLの原料として、ガラス転移点において、2mm厚のサンプルに50gの荷重をかけた際、撓み量が14μm以上となるチオウレタン系の樹脂組成物を使用しており、ガラス転移点において変形しやすい原料を使用しているので、整形工程において、レンズ成形体4を重力により変形させ、第一面41をトーリック面から球面形状に変形させることができる。このように、レンズ成形体4を重力で変形させることができるので、レンズ成形体4の変形に手間を要さず、眼鏡レンズLの製造を簡便に行なうことができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、眼球側の面L4に累進面に乱視矯正特性形状が付与された、いわゆる内面累進多焦点レンズである眼鏡レンズLを製造したが、例えば、物体側の面を累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状とし、眼球側の面を球面形状の形状としてもよい。
このような場合には、レンズ成形体製造工程では、乱視矯正特性が付与された面である眼球側の面41’(第一面)と、累進面である物体側の面(第二面)42’を有するレンズ成形体4’を製造する(図5参照)。そして、整形工程では、凸面状の受け面51’を有する受け台5’を用意する。なお、受け面51’は、球面形状である。
この受け面51’にレンズ成形体4’を設置し、レンズ成形体4’をガラス転移点以上に加熱して、図5に示すように、眼球側の面41’の全面を受け面51’に当接させる。
これにより、累進面に乱視矯正特性形状が付与された凸面形状の物体側の面と、球面形状の凹面である眼球側の面とを有する眼鏡レンズを製造することができる。
例えば、前記実施形態では、眼球側の面L4に累進面に乱視矯正特性形状が付与された、いわゆる内面累進多焦点レンズである眼鏡レンズLを製造したが、例えば、物体側の面を累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状とし、眼球側の面を球面形状の形状としてもよい。
このような場合には、レンズ成形体製造工程では、乱視矯正特性が付与された面である眼球側の面41’(第一面)と、累進面である物体側の面(第二面)42’を有するレンズ成形体4’を製造する(図5参照)。そして、整形工程では、凸面状の受け面51’を有する受け台5’を用意する。なお、受け面51’は、球面形状である。
この受け面51’にレンズ成形体4’を設置し、レンズ成形体4’をガラス転移点以上に加熱して、図5に示すように、眼球側の面41’の全面を受け面51’に当接させる。
これにより、累進面に乱視矯正特性形状が付与された凸面形状の物体側の面と、球面形状の凹面である眼球側の面とを有する眼鏡レンズを製造することができる。
また、前記実施形態では、整形工程で、レンズ成形体4が重力により変形し、第一面41が下方に下がり、第一面41の全面が受け台5の受け面51に当接するとしたが、これに限られるものではない。第二面42から第一面41側に向かう外力をかけて、第一面41の全面を受け面51に当接させてもよい。
例えば、第二面42の全面に気体を吹き付け、第二面42に均等に外力を加えることで、第一面41の全面を受け面51に当接させてもよい。この場合には、第二面42の累進面形状が崩れない程度に気体を吹き付ける必要がある。
また、図6(A)及び図6(B)に示すように、整形工程において、第二面42,42’の外周部(特に、受け面51に接触していない第一面41,41’の外周部に対応する部分)に重りGを載せ、荷重をかけて、第一面41,41’が受け面51,51’に当接するのを促進させてもよい。なお、レンズ成形体4,4’の外周部にかける荷重は、レンズ成形体4,4’の第二面42,42’の累進形状を崩さない程度の荷重としなければならない。このような手法により、レンズ成形体4,4’の整形にかかる時間を短縮することができる。
例えば、第二面42の全面に気体を吹き付け、第二面42に均等に外力を加えることで、第一面41の全面を受け面51に当接させてもよい。この場合には、第二面42の累進面形状が崩れない程度に気体を吹き付ける必要がある。
また、図6(A)及び図6(B)に示すように、整形工程において、第二面42,42’の外周部(特に、受け面51に接触していない第一面41,41’の外周部に対応する部分)に重りGを載せ、荷重をかけて、第一面41,41’が受け面51,51’に当接するのを促進させてもよい。なお、レンズ成形体4,4’の外周部にかける荷重は、レンズ成形体4,4’の第二面42,42’の累進形状を崩さない程度の荷重としなければならない。このような手法により、レンズ成形体4,4’の整形にかかる時間を短縮することができる。
さらには、整形工程において、第二面42側から第一面41側に向かって遠心力がかかるようにしてもよい。
また、図7(A)及び図7(B)に示すように、受け台6の受け面61に達する貫通孔611を形成し、この貫通孔611内の気体を吸引することで、レンズ成形体4に第二面42から第一面41側に向かう外力をかけ、第一面41の全面を受け面61に当接させてもよい。
図7(A)は、受け台6の斜視図であり、図7(B)は、受け台6にレンズ成形体4を設置した状態を示す断面図である。
受け台6は、球面状に窪んだ受け面61を備えており、この受け面61全面に渡って貫通孔611が形成されている。貫通孔611の径は例えば、1mm程度である。
貫通孔611の径は、レンズ成形体4の第一面41の形状が球面となるのを阻害しないような大きさであれば、任意である。
このように、外力をかけて、レンズ成形体4を変形させることで、重力のみで変形させる場合に比べ、レンズ成形体4の整形にかかる時間を短縮することができる。
また、外力をかけて、レンズ成形体4を変形させることで、レンズ成形体4がガラス転移点以上の温度で変形しにくいような原料から構成されている場合であっても、レンズ成形体4を変形させることが可能となり、レンズ成形体4の第一面41をトーリック面から球面形状に確実に変形させることができる。
また、図7(A)及び図7(B)に示すように、受け台6の受け面61に達する貫通孔611を形成し、この貫通孔611内の気体を吸引することで、レンズ成形体4に第二面42から第一面41側に向かう外力をかけ、第一面41の全面を受け面61に当接させてもよい。
図7(A)は、受け台6の斜視図であり、図7(B)は、受け台6にレンズ成形体4を設置した状態を示す断面図である。
受け台6は、球面状に窪んだ受け面61を備えており、この受け面61全面に渡って貫通孔611が形成されている。貫通孔611の径は例えば、1mm程度である。
貫通孔611の径は、レンズ成形体4の第一面41の形状が球面となるのを阻害しないような大きさであれば、任意である。
このように、外力をかけて、レンズ成形体4を変形させることで、重力のみで変形させる場合に比べ、レンズ成形体4の整形にかかる時間を短縮することができる。
また、外力をかけて、レンズ成形体4を変形させることで、レンズ成形体4がガラス転移点以上の温度で変形しにくいような原料から構成されている場合であっても、レンズ成形体4を変形させることが可能となり、レンズ成形体4の第一面41をトーリック面から球面形状に確実に変形させることができる。
前記実施形態では、眼鏡レンズLをプラスチック製としたが、これに限らず、眼鏡レンズはガラス製であってもよい。
さらに、前記実施形態では、レンズ成形体製造工程において、ガラス製の成形型21,22を対向配置させて形成される空間Pに眼鏡レンズLの原料を注入する方法で、レンズ成形体4を成形したが、レンズ成形体4の成形方法はこれに限られるものではない。
さらに、前記実施形態では、レンズ成形体製造工程において、ガラス製の成形型21,22を対向配置させて形成される空間Pに眼鏡レンズLの原料を注入する方法で、レンズ成形体4を成形したが、レンズ成形体4の成形方法はこれに限られるものではない。
また、前記実施形態では、整形工程において、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下に加熱したが、レンズ成形体4をガラス転移点以上に加熱すればよく、ガラス転移点+60℃を超える温度にレンズ成形体4を加熱してもよい。例えば、ガラス転移点+60℃を超える温度でレンズ成形体4を加熱しても、劣化しにくい原料でレンズ成形体が構成されている場合には、ガラス転移点+60℃を超える温度にレンズ成形体4を加熱することが可能である。
さらには、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃未満に加熱してもよい。例えば、レンズ成形体4が非常に変形しやすいような原料で構成されている場合には、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃未満に加熱して変形させることが可能である。
さらには、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃未満に加熱してもよい。例えば、レンズ成形体4が非常に変形しやすいような原料で構成されている場合には、レンズ成形体4をガラス転移点+5℃未満に加熱して変形させることが可能である。
さらに、前記実施形態では、受け台5の受け面51の外径(受け台5を平面視した場合の外径)は、レンズ成形体4の外径よりも大きいとしたが、これに限らず、受け面の外径をレンズ成形体4の外径と略同じとしてもよく、さらには、受け面の外径をレンズ成形体4の外径よりも小さいものとしてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
前記実施形態と同様の方法で眼鏡レンズを製造した。
(レンズ成形体製造工程)
乱視矯正特性形状に対応した凹面状の成形面を有するガラス製の成形型と、累進面に対応した凸面状の成形面を有するガラス製の成形型を用意した。
凹面状の成形面を有する成形型の前記成形面は、0°−180°方向の面屈折力が4.00D、かつ、90°−270°方向の面屈折力が3.00Dである。
凸面状の成形面を有する成形型の前記成形面は、90°方向に遠用部があり、270°方向に近用部が配置され、遠用部の面屈折力4.00D、加入度2.50Dである。
この一対の成形型の成形面の0°方向を合わせて、対向配置させ、外周部を粘着テープで固定した。
この成形型の成形面及び粘着テープで形成された空間に、ガラス転移点96℃のチオウレタン系のモノマーを含有する樹脂組成物を注入し、加熱して重合を行なった。
その後、一対の成形型を分離し、レンズ成形体を取り出した。レンズ成形体の物体側の面は、乱視矯正特性形状、すなわち、トーリック面となっており、0°−180°方向の面屈折力が4.01D、90°−270°方向の面屈折力が3.02D、乱視量0.99Dであった。
また、レンズ成形体の眼球側の面は、累進形状となっていた。
(実施例1)
前記実施形態と同様の方法で眼鏡レンズを製造した。
(レンズ成形体製造工程)
乱視矯正特性形状に対応した凹面状の成形面を有するガラス製の成形型と、累進面に対応した凸面状の成形面を有するガラス製の成形型を用意した。
凹面状の成形面を有する成形型の前記成形面は、0°−180°方向の面屈折力が4.00D、かつ、90°−270°方向の面屈折力が3.00Dである。
凸面状の成形面を有する成形型の前記成形面は、90°方向に遠用部があり、270°方向に近用部が配置され、遠用部の面屈折力4.00D、加入度2.50Dである。
この一対の成形型の成形面の0°方向を合わせて、対向配置させ、外周部を粘着テープで固定した。
この成形型の成形面及び粘着テープで形成された空間に、ガラス転移点96℃のチオウレタン系のモノマーを含有する樹脂組成物を注入し、加熱して重合を行なった。
その後、一対の成形型を分離し、レンズ成形体を取り出した。レンズ成形体の物体側の面は、乱視矯正特性形状、すなわち、トーリック面となっており、0°−180°方向の面屈折力が4.01D、90°−270°方向の面屈折力が3.02D、乱視量0.99Dであった。
また、レンズ成形体の眼球側の面は、累進形状となっていた。
(設置工程、整形工程)
このレンズ成形体の物体側の面を下にして、前記実施形態と同様の受け台上に設置した。受け台の受け面は球面形状であり、面屈折力3.55Dの面である。そして、レンズ成形体を120℃で4時間加熱し、熱整形した。この際、レンズ成形体の物体側の面は、重力により下方に下がり、物体側の面の略全面が受け台の受け面に当接した。
その後、レンズ成形体を冷却した。
このレンズ成形体の物体側の面を下にして、前記実施形態と同様の受け台上に設置した。受け台の受け面は球面形状であり、面屈折力3.55Dの面である。そして、レンズ成形体を120℃で4時間加熱し、熱整形した。この際、レンズ成形体の物体側の面は、重力により下方に下がり、物体側の面の略全面が受け台の受け面に当接した。
その後、レンズ成形体を冷却した。
(結果)
このようにして得られた眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表1参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.03D、C=−0.98D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
このようにして得られた眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表1参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.03D、C=−0.98D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
以上より、従来のような切削等を行なわずに、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状であり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズを得ることができることが確認された。
(実施例2)
整形工程において、101℃、10時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。他の条件は、実施例1と同じである。
(結果)
眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈力が3.63D、90°−270°方向の面屈力が3.54D、乱視量が0.09Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表2参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
整形工程において、101℃、10時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。他の条件は、実施例1と同じである。
(結果)
眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈力が3.63D、90°−270°方向の面屈力が3.54D、乱視量が0.09Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表2参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
以上より、従来のような切削等を行なわずに、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状であり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズを得ることができることが確認された。
(実施例3)
整形工程において、156℃、2時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。
(結果)
眼鏡レンズの眼球側の面は、0°−180°方向の面屈力が3.61D、90°−270°方向の面屈力が3.55D、乱視量が0.06Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表3参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
整形工程において、156℃、2時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。
(結果)
眼鏡レンズの眼球側の面は、0°−180°方向の面屈力が3.61D、90°−270°方向の面屈力が3.55D、乱視量が0.06Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表3参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
以上より、従来のような切削等を行なわずに、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状であり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズを得ることができることが確認された。
(実施例4)
整形工程において、166℃、2時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。
整形工程において、166℃、2時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。
(結果)
眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈力が3.61D、90°−270°方向の面屈力が3.55D、乱視量が0.06Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表4参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈力が3.61D、90°−270°方向の面屈力が3.55D、乱視量が0.06Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表4参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
以上より、従来のような切削等を行なわずに、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状であり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズを得ることができることが確認された。なお、眼鏡レンズは、やや黄色みを帯びていた。
(実施例5)
実施例1と同様の成形型を用意し、成形型を組み合わせる際に、凹面状の成形面を有する一方の成形型の成形面の0°方向と、凸面状の成形面を有する他方の成形型の成形面の30°方向とを合わせて固定した。
他の点は、実施例1と同じである。
(結果)
このようにして得られた眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表5参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.03D、C=−0.98D、乱視軸30°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
実施例1と同様の成形型を用意し、成形型を組み合わせる際に、凹面状の成形面を有する一方の成形型の成形面の0°方向と、凸面状の成形面を有する他方の成形型の成形面の30°方向とを合わせて固定した。
他の点は、実施例1と同じである。
(結果)
このようにして得られた眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表5参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.03D、C=−0.98D、乱視軸30°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
以上より、従来のような切削等を行なわずに、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状であり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズを得ることができることが確認された。
(実施例6)
整形工程において、図7(A)及び図7(B)に示すような受け台を使用した。受け台の受け面全面にΦ1mm程度の貫通孔を5mmピッチに開けた受け面にレンズ成形体を乗せて、レンズ成形体の物体側の面である第一面側から吸引を行ない、120℃、2時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。
(結果)
このようにして得られた眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表6参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.03D、C=−0.98D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
整形工程において、図7(A)及び図7(B)に示すような受け台を使用した。受け台の受け面全面にΦ1mm程度の貫通孔を5mmピッチに開けた受け面にレンズ成形体を乗せて、レンズ成形体の物体側の面である第一面側から吸引を行ない、120℃、2時間で熱成形を行なった。他の条件は、実施例1と同じである。
(結果)
このようにして得られた眼鏡レンズの物体側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表6参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.03D、C=−0.98D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
以上より、従来のような切削等を行なわずに、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状であり、物体側の面が略球面となった眼鏡レンズを得ることができることが確認された。
(実施例7)
実施例1〜6では、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状である、いわゆる内面累進多焦点レンズを製造したが、実施例7では、物体側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となった外面累進多焦点レンズを製造した。
(レンズ成形体製造工程)
乱視矯正特性形状に対応した凸面状の成形面を有するガラス製の成形型と、累進面に対応した凹面状の成形面を有するガラス製の成形型を用意した。
凸面状の成形面を有する成形型の成形面は、0°−180°方向の面屈折力が4.00D、かつ、90°−270°方向の面屈折力が3.00Dである。
また、凹面状の成形面を有する成形型の成形面は、90°方向に遠用部があり、270°方向に近用部が配置され、遠用部の面屈折力4.00D、加入度2.50Dである。
この一対の成形型の成形面の0°方向を合わせて、対向配置させ、外周部を粘着テープで固定した。
この成形型の成形面及び粘着テープで形成された空間に、ガラス転移点96℃のチオウレタン系のモノマーを含有する樹脂組成物を注入し、加熱して重合を行なった。
その後、一対の成形型を分離し、レンズ成形体を取り出した。レンズ成形体の眼球側の面は、乱視矯正特性形状、すなわち、トーリック面となっており、0°−180°方向の面屈折力が4.01D、90°−270°方向の面屈折力が3.02D、乱視量0.99Dであった。
また、レンズ成形体の物体側の面は、累進形状となっていた。
実施例1〜6では、眼球側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状である、いわゆる内面累進多焦点レンズを製造したが、実施例7では、物体側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となった外面累進多焦点レンズを製造した。
(レンズ成形体製造工程)
乱視矯正特性形状に対応した凸面状の成形面を有するガラス製の成形型と、累進面に対応した凹面状の成形面を有するガラス製の成形型を用意した。
凸面状の成形面を有する成形型の成形面は、0°−180°方向の面屈折力が4.00D、かつ、90°−270°方向の面屈折力が3.00Dである。
また、凹面状の成形面を有する成形型の成形面は、90°方向に遠用部があり、270°方向に近用部が配置され、遠用部の面屈折力4.00D、加入度2.50Dである。
この一対の成形型の成形面の0°方向を合わせて、対向配置させ、外周部を粘着テープで固定した。
この成形型の成形面及び粘着テープで形成された空間に、ガラス転移点96℃のチオウレタン系のモノマーを含有する樹脂組成物を注入し、加熱して重合を行なった。
その後、一対の成形型を分離し、レンズ成形体を取り出した。レンズ成形体の眼球側の面は、乱視矯正特性形状、すなわち、トーリック面となっており、0°−180°方向の面屈折力が4.01D、90°−270°方向の面屈折力が3.02D、乱視量0.99Dであった。
また、レンズ成形体の物体側の面は、累進形状となっていた。
(設置工程、整形工程)
このレンズ成形体の眼球側の面を下にして、図5に示したような凸状の受け面を有する受け台上に設置した。受け台の受け面は球面形状であり、面屈折力3.55Dの面である。そして、レンズ成形体を120℃で2時間加熱し、熱整形した。この際、レンズ成形体の物体側の面側から物体側の面全面に均等にエアを吹き付けた。これにより、物体側の面側から眼球側の面側に向かう外力がレンズ成形体に加わることとなった。これにより、レンズ成形体の眼球側の面の略全面が受け面に当接した。
その後、レンズ成形体を冷却した。
このレンズ成形体の眼球側の面を下にして、図5に示したような凸状の受け面を有する受け台上に設置した。受け台の受け面は球面形状であり、面屈折力3.55Dの面である。そして、レンズ成形体を120℃で2時間加熱し、熱整形した。この際、レンズ成形体の物体側の面側から物体側の面全面に均等にエアを吹き付けた。これにより、物体側の面側から眼球側の面側に向かう外力がレンズ成形体に加わることとなった。これにより、レンズ成形体の眼球側の面の略全面が受け面に当接した。
その後、レンズ成形体を冷却した。
(結果)
このようにして得られた眼鏡レンズの眼球側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表7参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの物体側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
このようにして得られた眼鏡レンズの眼球側の面は、0°−180°方向の面屈折力が3.55D、90°−270°方向の面屈折力が3.56D、乱視量が0.01Dであり、略球面形状となっていることが確認された(表7参照)。
また、眼鏡レンズの度数は、S=0.02D、C=−0.99D、乱視軸180°、加入度2.48Dであった。
これにより、眼鏡レンズの物体側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状となっていることが確認できた。
以上より、従来のような切削等を行なわずに、物体側の面が累進面に乱視矯正特性形状が付与された形状であり、眼球側の面が略球面となった眼鏡レンズを得ることができることが確認された。
本発明は、いわゆる内面累進多焦点レンズ、外面累進多焦点レンズの製造に利用することができる。
4…レンズ成形体、4’…レンズ成形体、5…受け台、5’…受け台、6…受け台、41…乱視矯正特性が付与された面、41’…乱視矯正特性が付与された面、42…累進面、42’…累進面、51…受け面、51’…受け面、61…受け面、211…成形面、221…成形面、L…眼鏡レンズ、L1…遠用部、L2…近用部、L3…累進部、L4…眼球側の面、L5…物体側の面
Claims (7)
- 物体側の面、或いは眼球側の面の何れか一方の面が、遠用部、近用部及びこれらの間で屈折力が累進的に変化する累進部を有する累進面に対し乱視矯正特性が付与された面であり、他方の面が略球面形状である眼鏡レンズの製造方法であって、
物体側の面、或いは眼球側の面の何れか一方の面が、前記乱視矯正特性が付与された面であり、他方の面が前記累進面であるレンズ成形体を製造するレンズ成形体製造工程と、
略球面状の受け面を有する受け台の前記受け面上に、前記レンズ成形体の前記乱視矯正特性が付与された面が位置するように、前記レンズ成形体を設置する設置工程と、
前記レンズ成形体を、このレンズ成形体のガラス転移点以上に加熱し、前記レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の略全面を前記受け台の受け面に当接させて、前記乱視矯正特性が付与された面を略球面に整形するとともに、前記乱視矯正特性が付与された面の乱視矯正特性に応じた形状を前記累進面に転移させる整形工程とを備えることを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。 - 請求項1に記載の眼鏡レンズの製造方法において、
前記レンズ成形体製造工程では、物体側の面が前記乱視矯正特性が付与された面であり、眼球側の面が前記累進面であるレンズ成形体を成形し、
前記設置工程では、前記レンズ成形体の物体側の面を受け台の受け面上に設置し、
前記整形工程では、前記レンズ成形体の物体側の面の略全面を前記受け台の受け面に当接させて、物体側の面を略球面に整形するとともに、乱視矯正特性に応じた形状を眼球側の面に転移させることを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。 - 請求項1又は2に記載の眼鏡レンズの製造方法において、
前記レンズ成形体は、プラスチック製であり、
前記整形工程で、前記レンズ成形体をガラス転移点+5℃以上、ガラス転移点+60℃以下に加熱することを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。 - 請求項1から3の何れかに記載の眼鏡レンズの製造方法において、
前記整形工程では、前記レンズ成形体に対し、累進面側から乱視矯正特性が付与された面側に向かう外力をかけることを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。 - 請求項4に記載の眼鏡レンズの製造方法において、
前記整形工程では、前記レンズ成形体の累進面全面に気体を吹き付けて、累進面全面に略均等に外力をかけることを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。 - 請求項4に記載の眼鏡レンズの製造方法において、
前記受け台の受け面は、前記レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面よりも大きく、
前記整形工程では、設置工程で、レンズ成形体を受け台上に設置した際に、レンズ成形体の乱視矯正特性が付与された面の外周部のうち、前記受け台の受け面に当接していない部分を受け面に当接させるように、前記レンズ成形体の累進面の外周部に荷重をかけることを特徴とする眼鏡レンズの製造方法。 - 請求項1から6の何れかに記載の眼鏡レンズの製造方法により製造されたことを特徴とする眼鏡レンズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005027062A JP2006215217A (ja) | 2005-02-02 | 2005-02-02 | 眼鏡レンズの製造方法及び眼鏡レンズ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005027062A JP2006215217A (ja) | 2005-02-02 | 2005-02-02 | 眼鏡レンズの製造方法及び眼鏡レンズ |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006215217A true JP2006215217A (ja) | 2006-08-17 |
Family
ID=36978511
Family Applications (1)
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JP2005027062A Withdrawn JP2006215217A (ja) | 2005-02-02 | 2005-02-02 | 眼鏡レンズの製造方法及び眼鏡レンズ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006215217A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017007219A (ja) * | 2015-06-23 | 2017-01-12 | 株式会社ホプニック研究所 | プラスチックレンズの製造方法およびプラスチックレンズの再生方法 |
-
2005
- 2005-02-02 JP JP2005027062A patent/JP2006215217A/ja not_active Withdrawn
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