JP2017005046A - 接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、特に信頼性試験(熱衝撃試験やパワーサイクル試験)を厳しい条件下で実施したとしても、信頼性の高い接合を実現できる接合体を提供する。【解決手段】本発明の接合体1は、加熱接合材料を用い、無加圧下または加圧下での加熱により、一の基材2を他の基材3に接合してなり、一の基材2と加銅含有焼結体4との接合部を形成する、一の基材2の表面側部分2aおよび銅含有焼結体4の表面側部分4aのうち、少なくとも一方の表面側部分2a,4aが合金部5であり、合金部5は、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在し、かつ、Au-Cu合金の不規則相とAuCu3相の少なくとも一方が、所定の割合で存在する接合部を形成することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体パッケージ、半導体チップ等の電子部品の被着体(基材)を、加熱接合材料を用い、無加圧下または加圧下での加熱により、基板等に接合してなる接合体に関し、より詳細には、信頼性試験(熱衝撃試験やパワーサイクル試験)を厳しい条件下で実施したとしても、被着体(基材)と銅含有焼結体(加熱接合材料)との接合部での信頼性の高い接合を実現する。
最近、半導体チップ等の電子部品の大電力化、モジュール化、高集積化、高信頼性化等が急速に進んでいる。このような電子部品を実装した実装機器は、大電力化、高集積化等を実現するため、使用可能な電流密度の上限値を高く設定する必要があり、電流密度が高くなると、電子部品の発熱量も増加する結果、動作温度が上昇して高温になりやすい。従来は、ダイボンド材料等に高温での使用に耐えうる、高温鉛はんだが使用されてきた。しかしながら、近年では、環境問題から高温鉛はんだの使用が抑制される傾向にあることから、高温での使用に耐えうる、他のダイボンド材料として、鉛を使用せずにバルク体の銅よりも低温の条件下で接合が可能になる、銅ナノ粒子が配合された導電性ペーストによる接合が着目されるようになってきた。
電子部品(例えば半導体チップ)を基板等に接合する従来の接合方法としては、金属粒子を配合した加熱接合用のペーストや板状の成形体を用いて、電子部品(例えば半導体チップ)を加圧下で加熱・焼結して基板等に接合する方法が知られている。例えば、特許文献1には、更なる高集積・高密度化を図るため、平均直径が100nm程度以下のAg、 Auまたは Pdの金属核の周囲を有機物で結合・被覆した複合型金属ナノ粒子を主材とする、Pbを含まない接合材料が開示されている。また、特許文献2には、高融点かつ良導電性の銅等の金属粉末と、それらを連結する銀の結合材とで形成された、半導体部品と導体部材との接続部間に形成される接合層(接続材料)が開示されている。
特許文献1及び2に記載されているように、金属粒子を含む加熱接合材料を、被着体間に配置し、加熱・加圧して接合部を形成する接合方法は、通常、フリップチップボンダーやプレスなどの装置を用いて、電子部品(例えば半導体チップ)を加圧加熱して基板に実装する技術を採用するのが一般的である。
しかしながら、電子部品を基板等に接合する場合、上記の接合方法を用いて単に接合しただけでは、十分な信頼性が得られない場合があった。特に高い電圧、大きな電流を扱う半導体であるパワー半導体では、その使用環境が厳しいことから、信頼性試験(熱衝撃試験やパワーサイクル試験)を厳しい条件下で実施したとしても、高い信頼性を有することが必要とされるが、上記の接合方法を用いて単に接合しただけでは、厳しい条件下で実施される信頼性試験において、満足レベルの信頼性を得ることは難しい。
特許文献1および特許文献2は、金属粒子を含む加熱接合材料を用い、上記した一般的な接合方法で単に接合する構成を採用し、接合部(接合界面)での微視的な結晶状態や合金組成等の状態には何ら着目していないため、厳しい条件下で実施した信頼性試験では、良好な接合状態が安定して得られないという問題があった。
さらに、特許文献3には、極性溶媒中に、第一の金属を含む粒子を分散させるとともに、第二の金属を溶解させることにより、使用時に高温環境下となるパワーデバイスの接合部に金属粒子ペーストを適用した場合であっても、劣化が抑制された硬化物を得ることができる金属粒子ペーストが開示されている。しかしながら、特許文献3は、極性溶媒中に溶解できる第二の金属の限界量(溶解度)が限られていて、必ずしも所期した量の第二の金属を溶解できるとは限らず、加えて、加熱中に分解反応が生じたり、他の物質に変わってしまうおそれもあり、焼結後に形成される接合部に所期した量を含有できるとは限らない。
また、引用文献3もまた、引用文献1及び2と同様、接合部(接合界面)での微視的な結晶状態や合金組成等の状態には何ら着目していないため、厳しい条件下で実施した信頼性試験では、良好な接合状態が安定して得られないという問題があった。
特開2004−128357号公報 特開2009−94341号公報 特開2015−56238号公報
本発明の目的は、基材と銅含有焼結体(加熱接合材料)との接合部に存在する特定のAu-Cu相の存在割合の適正化を図ることにより、特に信頼性試験(熱衝撃試験やパワーサイクル試験)を厳しい条件下で実施したとしても、信頼性の高い接合を実現できる接合体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、一の基材(例えばチップ電極)の表面側部分および銅含有焼結体の表面側部分のうち、少なくとも一方の表面側部分が、合金部であることにより、信頼性が格段に向上する場合があることを見出した。
また、本発明者らがさらに検討を進めたところ、前記合金部が、複数の異なる結晶状態、合金組成の領域の集合体で有ることが判明し、この合金部が、接合部となったときに、Au-Cu合金の不規則相と、銅の比率が高いAuCu3相との双方が存在するとともに、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相の少なくとも一方が、所定割合以上存在している場合に、信頼性が格段に向上することがわかった。
この信頼性が向上するメカニズムとしては、定かではないが、以下に示す理由が考えられる。すなわち、金と銅からなる2元系合金の一つの相であるAuCu(I)相は、信頼性試験を行う200℃付近では、0(零)に近い熱膨張係数を有することが知られており、従来の接合体は、基材(例えば半導体チップ)や銅ナノ焼結体(加熱接合材料)が熱膨張する際に、接合部に存在するAuCu(I)相が熱膨張しないことに伴って、他の相との間で大きな熱応力が発生する結果、接合部にクラックが発生しやすくなって、信頼性の高い接合を得ることができなかったものと考えられ、このため、接合部に存在する、Au-Cu合金の不規則相の割合を多くすれば、接合部内の相間での熱応力の発生を抑制することができ、また、接合部に存在する、銅比率の高い合金相であるAuCu3相の割合を多くすることにより、接合部中に存在するAu-Cu合金相の格子定数が銅の格子定数との差が小さくなって、熱膨張係数が銅と近似してくることから、信頼性試験の一つである冷熱サイクル試験において、接合部に発生する熱応力を抑制することができる結果として、接合部に発生するクラックが有効に防止され、信頼性が向上したものと考えられる。
接合部にAu-Cu合金の不規則相を出現させるための手段としては、合金領域(合金部)を、Au-Cu合金の規則相の発生を防ぐ元素、例えばPt、Ag、Pd、Ir、Auなどの元素を添加した合金とする方法が挙げられる。このような合金を作製する方法としては、例えば、(I)基材(半導体チップの裏面電極)の表面側部分(の最表層)を、予めAu成分と、Pt、Ag、Pd、Cuなどの成分とを同時に堆積させて単一の合金層として形成するか、あるいはこれらの成分を別々に堆積(積層)した多層構造として形成する場合と、(II)加熱接合材料を構成する、銅または銅合金ナノ粒子を含有する銅含有ペースト内に、Pt、Ag、Pd、Ir、Auなどの金属微粒子を添加する方法が挙げられる。
また、銅比率の高いAuCu3相を形成する手段としては、例えば、Ca、Mg、Sr、Siなどの成分を、銅ナノ粒子中に予め含有させて銅合金ナノ粒子とし、この銅合金ナノ粒子をペースト内に添加する方法が挙げられる。
加熱接合材料を構成するペースト内に、銅合金ナノ粒子として、あるいは銅ナノ粒子とは別個にSi、Ca、Mg、Sr等の成分を添加することによって、接合部でAuCu3相が形成されやすくなる理由は、定かではないが、添加したSi、Ca、Mg、Sr等の成分が、銅の拡散を促進する効果があることによるものと考えられる。また、Si成分は、銅含有焼結体の表面に、銅シリサイドを形成し、この銅シリサイドが銅のエレクトロマイグレーションを抑止する効果もあることから、さらに信頼性を向上させる効果も有しているものと考えられる。
以上のことから、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)加熱接合材料を用い、無加圧下または加圧下での加熱により、一の基材を他の基材に接合してなる接合体であって、前記一の基材と前記加熱接合材料からなる銅含有焼結体との接合部を形成する、前記一の基材の表面側部分および前記銅含有焼結体の表面側部分のうち、少なくとも一方の表面側部分が、合金部であり、該合金部は、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在し、かつ、下記に示す条件(i)および条件(ii)の少なくとも一方を満足する前記接合部を形成することを特徴とする接合体。

条件(i):前記Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対する前記Au-Cu合金の不規
則相の存在割合が、X線回折法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.23以上であること。
条件(ii):前記AuCu3相とAu3Cu相の総和に対する前記AuCu3相の存在割合が、X線回折
法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.67以上であること。
(2)前記銅含有焼結体の前記表面側部分が、前記合金部であり、前記銅含有焼結体は、銅含有ペーストを焼結してなり、該銅含有ペーストが、金属粒子を含有し、該金属粒子が、Ca:0.003〜15質量%、Mg:0.001〜16質量%、Sr:0.003〜3質量%およびSi:0.003〜6質量%の群から選択される少なくとも一種の成分を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金ナノ粒子からなることを特徴とする上記(1)に記載の接合体。
(3)前記銅含有焼結体の前記表面側部分が、前記合金部であり、前記銅含有焼結体は、銅含有ペーストを焼結してなり、該銅含有ペーストが、金属粒子を含有し、該金属粒子が、銅ナノ粒子と、該銅ナノ粒子を残部として、Pt:1〜20質量%、Ag:1〜10質量%、Pd:1〜20質量%、Ir:1〜21質量%およびAu:1〜50質量%のいずれかの金属微粒子との混合粒子からなることを特徴とする上記(1)に記載の接合体。
(4)前記銅含有焼結体の前記表面側部分が、前記合金部であり、前記銅含有焼結体は、銅含有ペーストを焼結してなり、該銅含有ペーストが、金属粒子を含有し、該金属粒子が、Ca:0.003〜15質量%、Mg:0.001〜16質量%、Sr:0.003〜3質量%およびSi:0.003〜6質量%の群から選択される少なくとも一種の成分を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金ナノ粒子と、該銅合金ナノ粒子を残部として、Pt:1〜20質量%、Ag:1
〜10質量%、Pd:1〜20質量%、Ir:1〜21質量%およびAu:1〜50質量%のいずれかの金属微粒子との混合粒子からなることを特徴とする上記(1)に記載の接合体。
(5)前記一の基材の前記表面側部分が、前記合金部であり、前記合金部が、Pt:1〜20質量%、Ag:1〜75質量%もしくはPd:1〜10質量%、Cu:1〜99質量%、Ca:0.003〜3質量%、Mg:0.001〜4質量%およびSi:0.003〜3質量%のいずれかを含有し、残部がAuおよび不可避的不純物からなることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の接合体。
本発明の接合体は、加熱接合材料を用い、無加圧下または加圧下での加熱により、一の基材を他の基材に接合してなる接合体であって、前記一の基材と前記加熱接合材料からなる銅含有焼結体との接合部を形成する、前記一の基材の表面側部分および前記銅含有焼結体の表面側部分のうち、少なくとも一方の表面側部分が、合金部であり、この合金部は、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在し、かつ、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相との少なくとも一方の存在割合が、所定値以上であるような接合部となるように、合金組成および合金状態を制御することによって、特に信頼性試験(熱衝撃試験やパワーサイクル試験)を厳しい条件下で実施したとしても、信頼性の高い接合を実現できる接合体を提供することが可能になった。
図1は、本発明に従う代表的な接合体の要部断面図である。 図2は、本発明の接合体を構成する、一の基材と銅含有焼結体との接合部において、X線回折を行なったときの代表的なX線回折チャートである。
次に、本発明に従う接合体の実施形態を以下で説明する。
図1は、本発明の代表的な接合体の要部断面を模式的に示したものであって、図中の符号1は接合体、2は一の基材、2aは一の基材の表面側部分、3は他の基材、4は銅含有焼結体、4aは銅含有焼結体の表面側部分、5は合金部である。
図1に示す接合体1は、加熱接合材料Mを用い、無加圧下または加圧下での加熱により、一の基材2を他の基材3に接合してなる接合体1であって、一の基材2と加熱接合材料Mからなる銅含有焼結体4との接合部を形成する、一の基材2の表面側部分2aおよび銅含有焼結体4の表面側部分4aのうち、少なくとも一方の表面側部分、図1では一の基材2の表面側部分2aおよび銅含有焼結体4の表面側部分4aの双方が、合金部5であり、この合金部5は、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在し、かつ、下記に示す条件(i)および条件(ii)の少なくとも一方を満足する前記接合部を形成することを特徴とする接合体である。

条件(i):前記Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対する前記Au-Cu合金の不規
則相の存在割合が、X線回折法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.23以上であること。
条件(ii):前記AuCu3相とAu3Cu相の総和に対する前記AuCu3相の存在割合が、X線回折
法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.67以上であること。
以下に本発明について説明する。
〔1〕加熱接合材料(M)からなる銅含有焼結体の表面側部分が合金部である場合
本発明の加熱接合材料(M)は、金属粒子(P)が有機分散媒(S)中に分散している
、常温でシート形状の加熱接合成形体(T1)、又は加熱接合ペースト状物(T2)とすることができる。加熱接合材料(M)は、被接合面(例えば、銅貼りセラミック板(C)表面)に、加熱接合材料(M)からなるパターン化物を配置し、更にパターン化物上に半導体チップ(K)を配置して、金属粒子(P)が焼結する温度の範囲で加熱すると多価アルコール(A1)が金属粒子(P)表面を還元して活性化し、金属粒子(P)同士の焼結を促進する。その結果、ナノサイズの銅ナノ粒子を含む金属粒子(P)を含有させたペーストを用いた場合と同様に、電極と基板を電気的、機械的に接合することが可能になる。尚、加熱接合材料(M)を加熱焼結すると、有機分散媒(S)は、分解、蒸発等により除去される。
加熱接合材料(M)は、焼結性を有し、平均一次粒子径が2〜500nmである、銅ナノ粒子(P1)、または、Ca:0.003〜15質量%、Mg:0.001〜16質量%、Sr:0.003〜3質量%およびSi:0.003〜6質量%の群から選択される少なくとも一種の成分を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金ナノ粒子(P2)を含有する金属粒子(P)と、分子中に2以上の水酸基を有する1種または2種以上の多価アルコールを含む有機分散媒(S)とを主成分として含有するものであって、後述するように、シート形状の加熱接合成形体、又は加熱接合ペースト状物として形成することができる。
(1)金属粒子(P)
金属粒子(P)は、銅ナノ粒子(P1)もしくは銅合金ナノ粒子(P2)だけで構成してもよく、または、銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)と、平均一次粒子径0.5〜50μmである金属微粒子(P3)との混合粒子で構成することもできる。
(1−a)銅ナノ粒子(P1)
一般に、はんだペーストの場合、実装対象である他の基材(例えば基板)の銅パッド部分の酸化を取り除くためにフラックス(有機成分)を含有しており、更に銅材料に含まれる不可避的不純物として少量ではあるが、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、砒素(As)等の金属が含まれることが多いが、本発明で用いる加熱接合材料(M)中の銅ナノ粒子(P1)は、はんだペーストの場合と異なり、少なくとも1種以上の高純度銅ナノ粒子をそのまま使用することができるので、接合強度と導電性に優れる接合体を得ることが可能になる。
銅ナノ粒子(P1)は、一次粒子の平均粒子径が2〜500nmのナノ粒子であれば特に制限されるものではない。銅ナノ粒子(P1)の一次粒子の平均粒子径が2nm未満の
ものは製造上の困難性を伴い、一方、一次粒子の平均粒子径が500nm以上では、焼結時
に融点が下がらなくなり、焼結性が悪化するおそれがあるからである。
(1−b)銅合金ナノ粒子(P2)
銅合金ナノ粒子(P2)は、Ca:0.003〜15質量%、Mg:0.001〜16質量%、Sr:0.003
〜3質量%およびSi:0.003〜6質量%の群から選択される少なくとも一種の成分を含有し
、残部がCuおよび不可避的不純物からなっている。銅合金ナノ粒子(P2)は、Ca、Mg、Sr、Siをあらかじめ添加した出発原料を使用する。アルカリ土類金属が銅中に添加された銅合金ナノ粒子(P2)をペースト中に含有させることによって、接合部でAuCu3相の存
在割合が増加する理由は、定かではないが、アルカリ土類金属が銅の中に添加されていると、銅(Cu)より融点の低い金属間化合物ができるので、電極である金(Au)の中を銅(Cu)が拡散しやすくなって、銅リッチな合金化が進みやすくなるという現象が生じるものと考えられる。また、ケイ素(Si)も銅と金属間化合物をつくると融点が下がることから、同様の現象が生じるものと考えられる。
Cuの拡散が進むと、AuCu3相ができやすくなるので、熱膨張係数などの物性値が銅の物
性値に近づいてくる結果、熱応力が小さくなる。また、AuCu(I)の規則合金相は、AuとCu
の原子割合が等しい場合に発生しやすくなるが、Cuの拡散が進むことにより、Cuの原子割合が多くなって、AuCu(I)の規則合金相が生じにくくなる結果として、熱応力がさらに小
さくなる。そのため、熱衝撃試験で行なった熱衝撃性の結果が良好になる。
ただし、Ca、Mg、Sr、Si成分(合金元素)の添加量が少ないと、生成される金属間化合物の量が少なく、十分なAuCu3相が生成できるほどのCuの拡散が進行せず、また、Ca、Mg
、Sr、Si成分(合金元素)の添加量が多くなると、生成される金属間化合物の量が過剰に増えてしまう結果として、銅含有焼結体自体が脆くなって信頼性が低下することから、Ca、Mg、Sr、Si成分(合金元素)の添加量は、下記に示す範囲に調整することが好ましい。なお、Ca、SrおよびSiはいずれも、銅ナノ粒子(P1)中に不可避的不純物として、通常0.001質量%程度含まれており、また、Mgの不可避的不純物レベルは、0.001質量%よりも少ないことから、本発明では、Ca、SrおよびSiの不可避的不純物レベルを0.001質量%以
下とし、Mgの不可避的不純物レベルを0.0005質量%以下とした。
・Ca:0.003〜15質量%
Ca添加量は、0.003質量%未満であるとAu3Cu相が生成しやすく、十分な量のAuCu3相が
生成しづらく、一方、15質量%超えだと、生成した金属間化合物の大部分がCu5Ca相とな
ってしまい、信頼性が低下するおそれがある。このため、Ca 添加量は0.003〜15質量%とすることが好ましい。なお、Ca 添加量が5.5質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Caを5.5質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾
向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Ca添加量は5.5質量以下とすることがより好適である。
・Mg:0.001〜16質量%
Mg添加量は、0.001質量%未満であると、Au3Cu相が発生しやすく、十分な量のAuCu3
が生成しづらく、一方、16質量%超えだと、生成した金属間化合物の大部分がCu5Mg相と
なってしまい、信頼性が低下するおそれがある。このため、Mg添加量は0.001〜16質量%
とすることが好ましい。なお、Mg添加量が7.5質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Mgを7.5質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Mg添加量は7.5質量以下とすることがより好適である。
・Sr:0.003〜3質量%
Sr添加量は、0.003質量%未満であると、Au3Cu相が発生しやすく、十分な量のAuCu3
が生成しづらく、一方、3質量%超えだと、生成した金属間化合物の大部分がCu5Sr相となってしまい、信頼性が低下するおそれがある。このため、Sr添加量は0.003〜3質量%とすることが好ましい。なお、Sr添加量が1.1質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Srを1.1質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Sr添加量は1.1質量以下とすることがより好適である。
・Si:0.003〜6質量%
Si添加量は、0.003質量%未満であると、Au3Cu相が発生しやすく、十分な量のAuCu3
が生成しづらく、一方、6質量%超えだと、Cu7Siの金属間化合物が生成されやすくなって、信頼性が低下するおそれがある。このため、Si添加量は0.003〜6質量%とすることが好ましい。なお、Si添加量が2.5質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Siを2.5質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向にあり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Si添加量は2.5質量以下とすることがより好適である。
銅合金ナノ粒子(P2)は、銅ナノ粒子(P1)と同様、一次粒子の平均粒子径が2〜500nmのナノ粒子であることが好ましいが、特に制限されるものではない。金属微粒子(P1、P2)の平均一次粒子径が2nm未満だと、製造が困難であり、また、500nmを超えると、焼成が困難になるおそれがある。ここで、「一次粒子径」とは、二次粒子を構成する個々の粒子の一次粒子の直径の意味である。一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定することができる。また、平均一次粒子径とは、一次粒子の数平均粒子径を意味する。
(1−c)金属微粒子(P3)
金属微粒子(P3)は、さらに、銅含有ペースト作製時に、銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)に加えて、さらに添加することができる。
金属微粒子(P3)としては、特に制限はないが、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、及びアルミニウム(Al)から選択される1種もしくは2種以上の金属微粒子を使うことができるが、特に、AuCu(I)の規則相の発生を有効に防ぐ観点から、Pt、Ag、Pd、IrおよびAuのいずれかの金属微粒子あることが好ましい。これらの金属微粒子(P3)を加えると、Au-Cu(I)の規則相(結晶格子)中に入ることにより、AuCuAuCuAuCuの並び(配列)を乱すことにより不規則化することができ、これにより、熱応力を小さくすることができる結果、熱衝撃性が良好になる。Pt、Ag、Pd、IrおよびAu成分(合金元素)の添加量は、銅ナノ粒子(P1)または銅ナノ合金粒子(P2)を残部として、下記に示す範囲に調整することが好ましい。
・Pt:1〜20質量%
Pt添加量は、1質量%未満であると、規則合金を不規則化する効果が十分に得られず、また、20質量%超えだと、Cu3Ptの金属間化合物が生成するようになって、信頼性が低下する恐れがある。このため、Pt添加量は1〜20質量%とすることが好ましい。なお、Pt添加量が13質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Ptを13質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Pt添加量は13質量以下とすることがより好適である。
・Ag:1〜10質量%
Ag添加量は、1質量%未満であると、規則合金を不規則化する効果が十分に得られず、また、10質量%超えだと、AgとCuの共晶が発生し、融点が下がり信頼性が低下する恐れがある。このため、Ag添加量は1〜10質量%とすることが好ましい。なお、Ag添加量が8質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Agを8質量%よりも多く添加しても、融点の低い相が出現しかえって信頼性が悪化する傾向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Ag添加量は8質量以下とすることがより
好適である。
・Pd:1〜20質量%
Pd添加量は、1質量%未満であると、規則合金を不規則化する効果が十分に得られず、また、20質量%超えだと、Cu3Pdの金属間化合物が生成するようになって、信頼性が低下する恐れがある。このため、Pd添加量は1〜20質量%とすることが好ましい。なお、Pd添加量が12質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Pdを12質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Pd添加量は12質量以下とすることがより好適である。
・Ir:1〜21質量%
Ir添加量は、1質量%未満であると、規則合金を不規則化する効果が十分に得られず、また、21質量%超えだと、CuとIrは包晶型なので、Irが析出して硬くなりすぎて信頼性が低下する。このため、Ir添加量は1〜21質量%とすることが好ましい。なお、Ir添加量が15質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Irを15質量%よりも多く添加しても、温度が低い領域で徐々にIrが析出してきてえって信頼性が悪化する傾向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Ir添加量は15質量以下とすることがより好適である。
特に、金属粒子(P)が、平均一次粒子径が2〜500nmの銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)に、更に平均一次粒子径が0.5〜50μmの金属微粒子(P3)を混合した混合粒子として使用すると、金属微粒子(P2)間に、銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)が分散して、加熱処理する際に銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)の自由な移動を効果的に抑制することができ、銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)の分散性と安定性を向上するので、その結果、加熱焼成でより均質な粒子径と空孔を有する多孔質体を形成することが可能になる。
金属粒子(P)中の銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)と金属微粒子(P3)との配合割合([P1/P3またはP2/P3]質量比)は、90〜10/10〜90であるが、銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)が金属微粒子(P3)間を接合する効果を考慮すると、90〜40/10〜60がより好ましい。
金属微粒子(P3)が過剰であると、銅含有焼結体と基材(チップ電極)との接点が減少するため、その部分に応力が集中して、信頼性が低下する傾向があるからである。逆に少ないと予備乾燥時にクラックが発生する可能性が高くなる。
金属微粒子(P3)の平均一次粒子径は、0.5〜50μmが好ましい。金属微粒子(P3)の平均一次粒子径が0.5μm未満では、金属微粒子(P3)の添加効果が発現せず、また、50μmを超えると、P3粒子の数が少なくなりすぎて添加効果が発現しなくなる。また、一次粒子径は例えばレーザー回折、散乱法により測定することが出来る。
(2)有機分散媒(S)
有機分散媒(S)には、分子中に2以上の水酸基を有する1種または2種以上の多価アルコール(A1)が含まれるが、他の有機溶媒として、アミド基を有する化合物(A2)、アミン化合物(A3)、低沸点有機溶媒(A4)等を含有させることができる。
(イ)多価アルコール(A1)
多価アルコール(A1)としては、分子中に2以上の水酸基を有する、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、オクタンジオ−ル、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリトリト−ル、ペンタエリスリト−ル、ペンチト−ル、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシト−ル、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデヒド、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコ−ス、フルクト−ス、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクト−ス、イソマルト−ス、グルコヘプト−ス、ヘプト−ス、マルトトリオース、ラクツロース、及びトレハロースの中から選択される1種又は2種以上を上げることができる。これらは還元性を有するので金属粒子(P)表面が還元され、更に加熱処理を行うことで多価アルコール(A1)が連続的に蒸発して、その液体および蒸気が存在する雰囲気で還元・焼成されると金属粒子(P)の焼結が促進される。尚、加熱接合材料(M)の焼結性を考慮すると、多価アルコール(A1)が有機分散媒(S)中に40質量%以上含有されていることが好ましい。
(ロ)アミド基を有する化合物(A2)
アミド基を有する化合物(A2)としては、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルプロパンアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、及びアセトアミドの中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。アミド基を有する化合物(A2)は有機分散媒(S)中で10〜80質量%となるように配合することができる。
(ハ)アミン化合物(A3)
アミン化合物(A3)としては、脂肪族第一アミン、脂肪族第二アミン、脂肪族第三アミン、脂肪族不飽和アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、及びアルカノールアミンの中から選択される1種又は2種以上のアミン化合物が挙げられ、その具体例としてはメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、t−プロピルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、モノ−n−オクチルアミン、モノ−2エチルヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−2エチルヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2エチルヘキシルアミン、トリイソブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソノニルアミン、トリフェニルアミン、ジメチルココナットアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、及び2−(2−アミノエトキシ)エタノールの中から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。アミン化合物(A3)は有機分散媒(S)中で0.3〜30質量%となるように配合することができる。
(ニ)低沸点有機溶媒(A4)
有機溶媒(A4)は、常圧における沸点が60〜120℃(沸点は常圧における沸点をいう。以下同じ)で、比較的沸点の低い有機溶媒である。有機溶媒(A4)としては、分子中に1つのヒドロキシル基を有するアルコール、エーテル、及びケトンから選択される1種又は2種以上が好ましい。前記分子中に1つのヒドロキシル基を有するアルコールとしては、メタノール(64.7℃)、エタノール(78.0℃)、1−プロパノール(97.15℃)、2−プロパノール(82.4℃)、2−ブタノール(100℃)、2−メチル2−プロパノール(83℃)の中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。前記エーテルとしては、ジエチルエーテル(35℃)、メチルプロピルエーテル(31℃)、ジプロピルエーテル(89℃)、ジイソプロピルエーテル(68℃)、メチル−t−ブチルエーテル(55.3℃)、t−アミルメチルエーテル(85℃)、ジビニルエーテル(28.5℃)、エチルビニルエーテル(36℃)、アリルエーテル(94℃)の中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。また、前記ケトンとしては、アセトン(56.5℃)、メチルエチルケトン(79.5℃)、ジエチルケトン(100℃)の中から選択される1種又は2種以上を例示することができる。有機分散媒(S)中に低沸点有機溶媒である有機溶媒(A4)が含まれることで、有機分散媒(S)の粘度を調整してパターン形成の精度を向上することができる。有機分散媒(S)中の有機溶媒(A4)の含有割合は1〜30質量%程度配合することができる。
加熱接合材料(M)における、有機分散媒(S)/金属粒子(P)の割合(質量比)は、パターニングと焼結性を考慮し、安定した接合力を得るためには10/90〜70/30が望ましいが、シート形状の加熱接合成形体(T1)、又は加熱接合ペースト状物(T2)のいずれを選択するかによって、その割合も決められる。加熱接合材料(M)は、公知の混合機、捏和機等を使用して、金属粒子(P)を有機分散媒(S)に分散させることにより得ることができる。加熱接合材料(M)は、はんだペーストに含まれるような不純物を含まない、高純度の銅ナノ粒子(P1)を使用することが可能であるので、接合強度と導電率を向上することが可能になる。なお、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在する接合部を形成する銅含有焼結体4の表面側部分4aの厚さは、一の基材2の表面側部分2aの厚さに対し、最大で3倍程度とすることが好ましく、具体的には、最大で1μmとすることが好適である。
〔2〕一の基材の表面側部分が合金部である場合
一の基材(例えば半導体チップ)の(接合されるべき)表面側部分(例えばチップ電極層)が合金部である場合には、合金部は、半導体チップの表面に形成された1又は複数の金属層で構成される。接合前の合金部は、厚さが20nm〜250nmであることが好ましく、より好ましくは20nm〜200nmである。なお、後述する実施例では、(焼結)接合前の合金部の厚さを200nm(一定)として実験を行ったが、接合前の合金部の厚さは200nmに限られないのは言うまでもない。なお、合金部は、1層の金属層ではその層のことを意味し、また、複数の金属層で構成されている場合には、複数の金属層のうち、接合後に合金部を構成する全ての金属層を意味する。
接合前の合金部の厚さは、比較的薄い方が良好であると考えられる。ただし、接合前の合金部が薄すぎると、合金部にピンホールが生じ、合金部に接する下層(または下面)を酸化させてしまうため、実装やウェハレベルのテストにおいて不具合を起こす恐れがある。このため、合金部の厚さとしては20〜200nmが好ましいと考えられる。
合金部は、金合金で形成される。合金部の組成は、Pt:1〜20質量%、Ag:1〜75質量%もしくはPd:1〜10質量%、Cu:1〜99質量%、Ca:0.003〜3質量%、Mg:0.001〜4質量%およびSi:0.003〜3質量%のいずれかを含有することが好ましい。
・Pt:1〜20質量% Pt含有量は、1質量%未満だと、規則合金を不規則化する効果が十
分に得られず、また、20質量%超えだと、AuとPtが電極内で分離してしまうおそれがあるからである。このため、Pt含有量は、1〜20質量%とすることが好ましい。なお、Pt含有量が15質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Ptを15質量%よりも多く添加しても、局所的に相分離する可能性があり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Pt含有量は15質量以下とすることがより好適である。
・Ag:1〜75質量% Ag含有量は、1質量%未満だと、規則合金を不規則化する効果が十
分に得られず、また、75質量%超えだと、電極組成の大半が銀となり、接合温度では銅と銀の固溶度が低い為、合金化が阻害されるおそれがある。このため、Ag含有量は1〜75質量%とすることが好ましい。なお、Ag含有量が25質量%と50質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Agを25質量%よりも多く添加しても、局所的に接合が弱い部分が出現してかえって信頼性が悪くなる可能性があり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Ag含有量は25質量以下とすることがより好適である。
・Pd:1〜10質量% パラジウム含有量は、1質量%未満だと、規則合金を不規則化する効果が十分に得られず、また、10質量%超えだと、Au3Pdの金属間化合物が生成するようになって、信頼性が低下する恐れがある。このため、Pd含有量は1〜10質量%とすることが好ましい。なお、Pd含有量が7質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Pdを7質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向にあり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Pd含有量は7質量以下とすることがより好適である。
・Cu:1〜99質量%銅含有量は、1質量%未満だと、規則合金を不規則化する効果が十分に得られないおそれがあり、また、99質量%超えだと、表面の酸化が進むおそれがある。このため、Cu含有量は1〜99質量%とすることが好ましい。なお、Cu含有量が20質量%以上であるときに信頼性が格段に向上し、99%のときに最も優れた信頼性を有することから、Cu含有量は20質量%以上とすることがより好適である。
・Ca:0.003〜3質量%
カルシウム含有量は、0.003質量%未満だと、Au3Cu相が生成しやすく、AuCu 3相が生成しづらい傾向があり、また、1.8質量%超えだと、Au5Caの金属間化合物が生成するようになって、信頼性が低下する恐れがある。このため、Ca含有量は0.003〜3質量%とすることが好ましい。なお、Ca含有量が1.8質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Caを1.8質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向になり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Ca含有量は1.8質量以下とすることがより好適である。
・Mg:0.001〜4質量% マグネシウム含有量は、0.001質量%未満だと、Au3Cu相が生成しやすく、AuCu3相が生成しづらい傾向があり、また、4質量%超えだと、MgAu6の金属間化合物が生成しやすくなって、信頼性が低下する恐れがある。このため、Mg含有量は0.001〜4質量%とすることが好ましい。なお、Mg含有量が0.001質量%以上であるときに信頼性が格段に向上し、1.5質量%と3質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Mgを1.5質量%よりも多く添加しても、金属間化合物が増加しかえって信頼性が悪化する傾向にあり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Mg含有量は1.5質量以下とすることがより好適である。
・Si:0.003〜3質量%
ケイ素含有量は、0.003質量%未満だと、Au3Cu相が生成しやすく、また、3質量%超えだと、融点の低いAuSi共晶が出現する傾向がある。このため、Si含有量は0.003〜3質量%とすることが好ましい。なお、Si含有量が2質量%のときに最も優れた信頼性を有し、Siを2質量%よりも多く添加しても、AuSi共晶が出現しその割合が多くなるので、むしろ信頼性は低下する傾向にあり、信頼性の更なる向上効果は期待できず、単にコストの上昇を招くにすぎないことから、Si含有量は2質量以下とすることがより好適である。
合金部の厚さは、断面をへき開、研磨、集束イオンビーム(FIB)、イオンミリングなどにより形成したあと、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して測定する。合金部の組成分析は、二次イオン質量分析(SIMS)により行う。
また、合金部である(一の)基材の表面側部分を構成する最表層に接する層(下層)は、Ni、Ti、W、Taの単体あるいはその窒化物、又はTiWで形成されるのが好ましい。最表層がAu層である場合、最表層に接する層としては、銅の拡散速度が遅く、バリアメタルとして機能する層が望ましい。
合金部(例えば半導体チップの電極部)を構成する層(薄膜)の形成方法としては、例えばスパッタ法や真空蒸着法が挙げられる。スパッタ法では、所望の合金が形成できるように予め成分調整された合金ターゲットを用いることにより、所望の合金組成で(一の)基材の表面に堆積させて層(薄膜)を形成することができる。また、合金ターゲットではなく、所望の合金になるように、一の合金構成元素の材料上に他の合金構成元素の材料を貼り合わせた複合ターゲットでも良い。また、複数のターゲットを用いて同時スパッタしても良い。真空蒸着では、ボードを用いた抵抗加熱、電子ビーム加熱などで、合金構成元素を蒸発させて、所望の合金組成で(一の)基材の表面に蒸着(堆積)させて層(薄膜)を形成しても良いし、複数の合金構成元素を同時に蒸発させても良い。また、合金部は、Auと他の金属との割合が所定の割合になるように、2層以上の複層構造にしても良い。
なお、本発明は、一の基材を、加熱接合材料を用いて他の基材に接合したときの、一の基材と、銅含有焼結体(接合前の加熱接合材料)との接合部における信頼性の向上を図ることにあって、銅含有焼結体と他の基材との接合部分については良好な信頼性を有していることを前提としているため、他の基材については特に限定はしない。
本発明において、一方の基材としては、例えば半導体チップが挙げられ、また、他方の基材としては、例えばリードフレーム、銅貼りセラミック基板等などの実装基板が挙げられる。
〔3〕合金部は、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在し、かつ、下記に示す条件(i)および条件(ii)の少なくとも一方を満足する前記接合部を形成すること

条件(i):前記Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対する前記Au-Cu合金の不規則相の存在割合が、X線回折法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.23以上であること。
条件(ii):前記AuCu3相とAu3Cu相の総和に対する前記AuCu3相の存在割合が、X線回折法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.67以上であること。
本発明では、合金部は、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在する接合部を形成することが必要である。すなわち、Au-Cu合金の不規則相が、接合部に所定割合以上存在することによって、AuCu(I)相の存在割合が低くなって、各相間の熱膨張差が起こりにくくなって、信頼性が良好になるなるからであり、また、Cuリッチな相であるAuCu3相が、接合部に所定割合以上存在することによって、Cuの熱膨張係数に近くなって、信頼性が良好になるからである。
具体的には、本発明では、合金部は、Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対するAu-Cu合金の不規則相の存在割合が、X線回折法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.23以上であること(条件(i))、および、AuCu3相とAu3Cu相の総和に対するAuCu3相の存在割合が、X線回折法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.67以上であること(条件(ii))の少なくとも一方を満足する前記接合部
を形成する。Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対するAu-Cu合金の不規則相の存在割合が0.23以上だと、接合部に存在するAu-Cu合金の不規則相によって、熱膨張差が起こりにくくなって、信頼性(TCTの回数)が良好になるからである。また、AuCu3相とAu3Cu相の総和に対するAuCu3相の存在割合が0.67以上だと、Cuリッチな相が増え、Cuと熱膨張係数が近くなって、信頼性(TCTの回数)が良好になる。
接合は、他の基材(例えば基板)、加熱接合材料、および一の基材(例えば半導体チップ)をこの順番で配置したのち、真空中でプレスできる装置に導入して行なう。なお、加熱接合材料がペースト状の場合は、塗布や印刷法を用いることができる。その後、ヒータを内蔵したプレス板で挟んだ後、真空引きを行い十分に減圧にする。このとき、大気圧分の圧力がかかっているので、それを考慮しながら油圧や空圧により圧力を加える。プレス条件は、加熱温度が190〜400℃程度、プレス時間を10〜120分間程度とすることが好まし
い。
これにより、基板、加熱接合材料および半導体チップが、接触させた状態で、加圧下で加熱され、加熱接合材料(M)中の金属粒子(P)が焼結されて、加熱接合材料(M)が銅含有焼結体に状態変化し、多孔質状の接合部(L)が形成されることにより、基板と半導体チップとが銅含有焼結体を介して接合される。なお、この多孔質状の銅含有焼結体の粒径は、10〜5000nmとすることが好ましい。10nm未満では、粒の焼結が十分に進んでおらず機械強度が低く、信頼性に乏しくなる傾向があり、一方、5000nmを超えると、粒子がその粒の部分のみに集まってしまい、大きな空孔が発生して粒の部分から割れてしまい、信頼性が確保できなくなるおそれがあるからである。なお、粒子の大きさは、銅含有焼結体の断面をFIBで加工し、20個の粒子を走査イオン顕微鏡(SIM)で観察し、粒の大きさ(粒は不定形であるので、粒外周の一番離れている部分を粒の大きさとする)の平均を粒径とした。
加熱焼結後は、プレスをやめて接合体を取り出す。このあと、190〜400℃の大気ないしは不活性雰囲気、水素等の還元雰囲気下で1〜30時間程度のアニール処理すると、更に信頼性が向上する点で好ましい。
この方法により形成される接合部(L)の厚みは、0.005〜0.500mmであることが好ましい。この厚みが0.005mm未満では、導電性金属板(K)上に大きな熱を発する部品(パワーデバイス)を実装した場合、部品から発生した熱を下の金属板に伝える際の熱抵抗は小さくなるが接合信頼性が低下する。一方、0.500mmよりも厚いと、熱抵抗が大きくなるという不都合を生ずるおそれがあるからである。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例において使用した材料、及び評価方法を以下に記載する。
(1)使用した材料
(イ)金属粒子(P)の調製
銅ナノ粒子(P1)は、表1の比較例1に示す成分組成を有する銅ナノ粒子を使用し、また、銅合金ナノ粒子(P2)は、銅の拡散を促進するSi、Ca、Mg、Sr等を、表1の比較例1に示す成分組成を有する銅ナノ粒子(P1)を作る原料中にあらかじめ合金元素として表1に示す添加量で加えて調整し、そして、金属微粒子(P3)は、Pt、Ag、Pd、Ir、Au等の市販の金属微粒子を使用し、表2に示す添加量で銅ナノ粒子(P1)とともに混合して金属粒子(P)を調整した。
(ロ)加熱接合材料の調製
実施例において、グリセリン20gからなる分散媒に、平均一次粒子径50nmで80gの銅ナノ粒子(P1)または銅合金ナノ粒子(P2)と、必要に応じて規則合金化を防止するPt、Ag等の金属(粉末)微粒子(P3)を配合し、乳鉢によって十分混合することで加熱接合材料を得た。得られた加熱接合材料をプレスして厚み0.5mmの加熱接合シート体を得、この加熱接合シート体を所定の寸法に切断して、加熱接合成形体を作製した。
(ハ)一の基材(電子部品)と他の基材(基板)の選択
(i)一の基材(電子部品)
電子部品は、サイズ7×7×0.23(厚)mmのシリコンチップに、エッチド面にスパッタによりTi(下層)/Au(上層)=100/200nmを形成したチップを用いた。また、上層のAu層に代えて、表3に示す成分組成を有する合金層に変更する場合は、スパッタターゲットに合金ターゲットを用いる方法や、多元スパッタにより作製するか、あるいは、真空蒸着法で合金層を作製した。
(ii)他の基材(基板)
実施例において、基板は調質が半硬質の無酸素銅板を用いた。厚さは1.2mmである。
(2)評価方法
(イ)信頼性の評価 作製したシリコン(Si)チップ実装サンプルについて、−55℃、30
分と、200℃、30分の冷熱衝撃試験(TCT)を行った。20、50、75、100回、以後は100回ごとに取り出し、割れや剥離が無いか目視にて検査したのち、超音波顕微鏡により観察を行い、剥離面積が10%を超えたサンプルを故障と判定した。なお、本発明では、故障が生じないTCTの最大回数が100回以上である場合を合格レベルとし、故障が生じないTCTの最大回数が100回未満である場合を不合格とした。また、接合部に存在する各合金相の評価はXにより行った。Au-Cu合金では、不規則相と規則相の結晶構造は、ともに面心立方構造であるが、不規則相では金と銅がランダムに配置されているのに対し、規則相では金原子層と銅原子層が交互に積層している。そのため、両者は、結晶としては異なり、X線ピークが違う角度に出てくるので、各々のピークから不規則相と規則相の割合を特定することが可能となる。さらに、透過型電子顕微鏡(TEM)でも、構造を特定することが可能である。X線源のターゲットはCoないしはCuを用いた。サンプルは、冷熱衝撃試験(TCT)により割れや剥離が生じたSiチップを回収して、このSiチップの裏面電極側を測定するか、銅板に実装した状態のSiチップを10μm程度まで研磨で薄くして、Siチップを透過させて測定を行った。X線回折装置は、ブルカー・エイエックスエス株式会社製D8 DISCOVERを用いて、薄くしたSi表面よりX線が入射するようにして、θ−2θ法で測定した。なお、X線の線源はCoを使用した。測定で得られた結果をブルカー・エイエックスエス株式会社製のX線解析ソフトDIFFRAC.SUITE EVAを用いて解析した。この時、粉末X線回折のデータベースはICDDのデータベースPDF-2リリース2012を使用して解析した。解析の際に、Au-Cu不規則相、AuCu(I)相、Au3Cu相、AuCu3相を仮定し、各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度から、Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対する前記Au-Cu合金の不規則相の存在割合、および、AuCu3相とAu3Cu相の総和に対する前記AuCu3相の存在割合を算出した。なお、Au-Cu合金相は、Vegardの法則が成り立つ系であり、格子定数(すなわちピーク波長)よりAuとCuの比率を決定することができる。その後、X線回折パターンを解析してAu-Cu合金の各相の有無および割合を求めた。
図2は、本発明の接合体を構成する、一の基材と銅含有焼結体との接合部において、X線回折を行なったときの代表的なX線回折チャートを示したものである。図2から、本発明の接合体の接合部には、Au-Cu不規則相、AuCu(I)相、Au3Cu相、AuCu3相が存在し、2θが約38°〜42°の範囲に、Au-Cu不規則相、AuCu(I)相、Au3Cu相、AuCu3相のそれぞれのピーク強度の最大値が存在するのがわかる。
上記の方法によりサンプルを作製し、冷熱衝撃試験(TCT)試験を行い、サンプルの寿命を測定した。また、X線回折により、接合部における、Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対するAu-Cu合金の不規則相の存在割合((Au-Cu合金の不規則相)/(AuCu(I)相+Au-Cu合金の不規則相)の比率)と、AuCu3相とAu3Cu相の総和に対するAuCu3相の存在割合((AuCu3相)/(Au3Cu相+AuCu3相)の比率)を算出した。なお、前記存在割合は各相のピーク強度の最大値の比率とした。
Figure 2017005046
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(3)評価結果
表1〜表5に示す結果から、実施例1〜115は、いずれも(Au-Cu合金の不規則相)
/(AuCu(I)相+Au-Cu合金の不規則相)の比率と、(AuCu3相)/(Au3Cu相+AuCu3相)の比率の少なくとも一方が、本発明の適正範囲内であり、故障が生じないTCTの回数が100回以上であり、良好な信頼性が得られているのが分かる。一方、比較例1〜12は、いずれも(Au-Cu合金の不規則相)/(AuCu(I)相+Au-Cu合金の不規則相)の比率と、(AuCu3相)/(Au3Cu相+AuCu3相)の比率の双方が、本発明の適正範囲外であり、故障が生じないTCTの回数が50回以下であり、信頼性が劣っていた。
本発明によれば、特に信頼性試験(熱衝撃試験やパワーサイクル試験)を厳しい条件下で実施したとしても、信頼性の高い接合を実現できる接合体を提供することができる。
1 接合体
2 一の基材
2a 一の基材の表面側部分
3 他の基材
4 銅含有焼結体
4a 銅含有焼結体の表面側部分
5 合金部

Claims (5)

  1. 加熱接合材料を用い、無加圧下または加圧下での加熱により、一の基材を他の基材に接合してなる接合体であって、
    前記一の基材と前記加熱接合材料からなる銅含有焼結体との接合部を形成する、前記一の基材の表面側部分および前記銅含有焼結体の表面側部分のうち、少なくとも一方の表面側部分が、合金部であり、
    該合金部は、Au-Cu合金の不規則相と、AuCu3相とが少なくとも存在し、かつ、下記に示す条件(i)および条件(ii)の少なくとも一方を満足する前記接合部を形成することを特徴と
    する接合体。

    条件(i):前記Au-Cu合金の不規則相とAuCu(I)相の総和に対する前記Au-Cu合金の不規
    則相の存在割合が、X線回折法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.23以上であること。
    条件(ii):前記AuCu3相とAu3Cu相の総和に対する前記AuCu3相の存在割合が、X線回折
    法により測定した各相のピーク強度群の中からそれぞれ選択される最大ピーク強度の比から算出した値で0.67以上であること。
  2. 前記銅含有焼結体の前記表面側部分が、前記合金部であり、
    前記銅含有焼結体は、銅含有ペーストを焼結してなり、
    該銅含有ペーストが、金属粒子を含有し、
    該金属粒子が、Ca:0.003〜15質量%、Mg:0.001〜16質量%、Sr:0.003〜3質量%およびSi:0.003〜6質量%の群から選択される少なくとも一種の成分を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金ナノ粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
  3. 前記銅含有焼結体の前記表面側部分が、前記合金部であり、
    前記銅含有焼結体は、銅含有ペーストを焼結してなり、
    該銅含有ペーストが、金属粒子を含有し、
    該金属粒子が、銅ナノ粒子と、該銅ナノ粒子を残部として、Pt:1〜20質量%、Ag:1〜10質量%、Pd:1〜20質量%、Ir:1〜21質量%およびAu:1〜50質量%のいずれかの金属
    微粒子との混合粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
  4. 前記銅含有焼結体の前記表面側部分が、前記合金部であり、
    前記銅含有焼結体は、銅含有ペーストを焼結してなり、
    該銅含有ペーストが、金属粒子を含有し、
    該金属粒子が、Ca:0.003〜15質量%、Mg:0.001〜16質量%、Sr:0.003〜3質量%およびSi:0.003〜6質量%の群から選択される少なくとも一種の成分を含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金ナノ粒子と、該銅合金ナノ粒子を残部として、Pt:1〜20質量%、Ag:1〜10質量%、Pd:1〜20質量%、Ir:1〜21質量%およびAu:1〜50質量%
    のいずれかの金属微粒子との混合粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
  5. 前記一の基材の前記表面側部分が、前記合金部であり、
    前記合金部が、Pt:1〜20質量%、Ag:1〜75質量%もしくはPd:1〜10質量%、Cu:1〜99質量%、Ca:0.003〜3質量%、Mg:0.001〜4質量%およびSi:0.003〜3質量%のいずれかを含有し、残部がAuおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合体。
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