JP2017004870A - 注水式電池、注水式電池の製造方法 - Google Patents

注水式電池、注水式電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は人体への安全性を確保しつつ大容量化が可能なフレキシブル性を有する注水式電池を提供する。【解決手段】可撓性を有する第1基材20と、第1基材20の一方主面20a上に形成される正電極薄膜部材30と、可撓性を有する第2基材21と、第2基材21の一方主面21a上に形成される負電極薄膜部材40とを有し、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40が向かい合って配置され、かつ、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の間に液通路50が形成されることを特徴とする注水式電池。【選択図】図1

Description

本発明は、注水することによって発電を開始する注水式電池に関するものである。
近年、リストバンド・腕時計・眼鏡等のウェアラブル端末の普及が進んでいるが、これらの端末は薄型化・小型化・軽量化・フレキシブル化の傾向が著しいことから、端末に電源を供給する電池にも同様の特性を備えることが期待されている。また、ウェアラブル端末は人体に接触して用いられるため、人体に無害な材料の電池が使用されることも重要である。
ウェアラブル端末に搭載される電池は種々開発されており、例えば、液体電解質二次電池、全固体二次電池、水電池等がある。特許文献1には、集電体としての正極電極板および負極電極板に略長方形状の金属合金の薄板が用いられ、電解質として水を利用する水電池が開示されている。また、特許文献2には、負極にマグネシウム材料による金属板が用いられ、電解質として水を利用する水電池が開示されている。
特開2011−222236号公報 実用新案登録第3175210号公報
液体電解質二次電池として最も一般的であるリチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため高い出力が得られるのがメリットであるが、電解質として引火性の有機溶媒が使用されるため、電解質が電池の外に漏れる可能性を考慮すると安全面で課題がある。全固体二次電池は電解質が固体であるため電解質が漏れるリスクは少ないがフレキシブル性が十分得られないおそれがある。
特許文献1、2に示された水電池は、電池の使用前に電解質として水を注入するものであるから電池寿命を長期化でき、また電解質が水であるためリチウムイオン電池等と比較して安全性が高いだけでなく電解質の製造に必要なコストを抑えられる。一方、これらの水電池の電極には金属材料で作られた板が用いられているためフレキシブル性が十分ではない。さらに発電容量を大きくするために電極面積を広くすると今度は電池全体の大型化や重量化が懸念される。このように水電池をウェアラブル端末に適用するにあたっては改善の余地がある。
そこで、本発明は人体への安全性を確保しつつ大容量化が可能なフレキシブル性を有する注水式電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成し得た本発明の注水式電池は、可撓性を有する第1基材と、第1基材の一方主面上に形成される正電極薄膜部材と、可撓性を有する第2基材と、第2基材の一方主面上に形成される負電極薄膜部材と、を有し、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材が向かい合って配置され、かつ、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材の間に液通路が形成されることを特徴とする点に要旨を有するものである。本発明の注水式電池は第1基材と第2基材が可撓性を有し、正電極と負電極に薄膜部材を用いていることから、金属板を用いる場合と比較して電極の厚みが抑えられ、電池のフレキシブル性を高めることができる。また、本発明の注水式電池は電解質として水を用いているため、リチウムイオン電池と比較して安全性が高く、電解質の製造に必要なコストを抑えることができる。したがって、本発明の注水式電池は人体表面に接触して使用されるウェアラブル端末に搭載するのに適している。
本発明の注水式電池は、液通路に直接または間接に接続されている注水口を有することが好ましい。これにより注水口から液通路に電解質としての水を注入できるため、注水式電池として作動させることが可能となる。
本発明の注水式電池は、正電極薄膜部材の主面上であって第1基材とは反対側に正電極活物質層が設けられることが好ましい。負電極と対向する正電極薄膜部材の主面上に正電極活物質層が設けられることにより電極反応が効率的に活性化される。また、正電極薄膜部材とは別に正電極活物質が設けられれば、正電極薄膜部材に適した材料と正電極活物質層に適した材料をそれぞれ選択することができる。
本発明の注水式電池は、正電極薄膜部材が正電極活物質を含む、或いは正電極活物質を捕集可能な材料から構成されていることが好ましい。これにより正電極での反応に直接寄与する正電極活物質を正電極薄膜部材に供給することができるため、正電極薄膜部材とは別に正電極活物質層を設ける必要がなくなる。
本発明の注水式電池は、負電極薄膜部材の主面上であって第2基材とは反対側に負電極活物質層が設けられることが好ましい。正電極と対向する負電極薄膜部材の主面上に負電極活物質層が設けられることにより電極反応が効率的に活性化される。また、負電極薄膜部材とは別に負電極活物質層が設けられれば、負電極薄膜部材に適した材料と負電極活物質層に適した材料をそれぞれ選択することができる。
本発明の注水式電池は、負電極薄膜部材が負電極活物質を含む材料から構成されていることが好ましい。これにより負電極での反応に直接寄与する負電極活物質を負電極薄膜部材に供給することができるため、負電極薄膜部材とは別に負電極活物質層を設ける必要がなくなる。
本発明の注水式電池には、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材との間にセパレータが好適に設けられる。セパレータが設けられることによって、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材の短絡が抑止される。
セパレータは、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材の少なくともいずれか一方の主面上に形成される絶縁膜層であることが好ましい。セパレータを絶縁膜層によって形成することにより、セパレータの厚みが増大するのを抑制できる。また絶縁膜層にはパターンが形成されることが好ましい。これにより、絶縁膜層が存在しない部分に電解液が通る液通路が形成される。
本発明の注水式電池には、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材と電解液を収容する外装体が好適に設けられる。これにより電極反応に必要な電解液を電池内に保持することができる。
本発明の注水式電池は、第1基材の端部と第2基材の端部が互いに接合されて電解液収容部が形成されることが好ましい。これにより電解液を収容するための部材を新たに設ける必要がないため、外装体が設けられる場合と比較して、電池の厚みや大きさが増大するのを抑制できる。
本発明の注水式電池において、第1基材と第2基材は折り曲げ部を介して連続的に構成されているものであることが好ましい。これにより、第1基材と第2基材が異なる基材によって構成されている場合と比べて電池を構成する部材数を減らすことができる。
本発明には、上記注水式電池がロール状に巻回された注水式筒形電池も含まれる。本発明の注水式電池は高いフレキシブル性を有していることから、容易に巻回することができるため、一般的な筒形状の電池に加工するのにも適している。
また、上記目的を達成し得た本発明の注水式電池の製造方法は、可撓性を有する第1基材の一方主面上に正電極薄膜部材を形成する工程と、第1基材と正電極薄膜部材の少なくともいずれか一方に正電極活物質層を形成する工程と、可撓性を有する第2基材の一方主面上に負電極薄膜部材を形成する工程と、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材を向かい合わせて配置することにより正電極薄膜部材と負電極薄膜部材との間に液通路を形成する工程と、を含むことを特徴とする点に要旨を有するものである。本発明の注水式電池の製造方法では、正電極および負電極として薄膜部材を形成することから、金属板を用いる場合と比較して電極の厚みが抑えられ、フレキシブル性の高い電池が得られる。
本発明の注水式電池の製造方法において、負電極薄膜部材が負電極活物質を含む材料から構成されていることが好ましい。このような負電極薄膜部材は集電体として機能するだけではなく負電極活物質層も兼ねることができるため、負電極薄膜部材とは別に負電極活物質層を設ける必要がない。
正電極薄膜部材を形成する工程と、負電極薄膜部材を形成する工程において、スパッタリング法または塗布法を用いることが好ましい。スパッタリング法または塗布法を用いれば、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材の膜厚を小さくすることができるため、電池のフレキシブル性をより高められる。
第1基材と第2基材のいずれか一方の上にマスク層を形成してエッチング液に接触させて、一部領域を除去することによって第1基材と正電極薄膜部材と正電極活物質層とセパレータ、または第2基材と負電極薄膜部材とセパレータに開口を形成する工程を含むことが好ましい。このように形成された開口は電解液が通る液通路となる。そして、パターンが形成された側面から電解液を供給すると、液通路を通じて電解液が電極薄膜部材全体に行き渡りやすくなる。
本発明の注水式電池は、第1基材と第2基材が可撓性を有するとともに電極の厚みが抑えられているため、フレキシブル性が高いものである。さらに電解質として水を用いているため、リチウムイオン電池と比較して安全性が高く、電解質の製造に必要なコストを抑えることができる。このため人体表面に接触して使用されるウェアラブル端末に搭載するのに適した電池が得られる。
また、本発明の注水式電池の製造方法によれば、可撓性を有する基材上に正電極と負電極として薄膜部材を形成することから、金属板を用いる場合と比較して電極の厚みが抑えられ、フレキシブル性の高い電池が得られる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る注水式電池の断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係る注水式電池の断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係る注水式電池の断面図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係る注水式電池の断面図である。 図5は、本発明の実施の形態1に係る絶縁膜層の平面図であり、図5(a)はドット状、図5(b)はストライプ状、図5(c)および図5(d)は葉脈状、図5(e)は放射状の絶縁膜層の平面図である。 図6は、本発明の実施の形態1に係る注水式電池に外装体が設けられる構成例を示す斜視図である。 図7は、図6の注水式電池をA方向から見た図である。 図8は、本発明の実施の形態1に係る注水式電池に電解液収容部が形成される構成例を示す斜視図である。 図9は、図8の注水式電池のX−Z面方向における断面図である。 図10は、本発明の実施の形態2に係る注水式電池の断面図である。 図11は、本発明の実施の形態2に係る注水式電池の他の構成例を示す展開図である。 図12は、本発明の実施の形態2に係る注水式電池の他の構成例を示す断面図である。 図13は、本発明の実施の形態3に係る注水式電池の展開図である。 図14は、本発明の実施の形態3に係る注水式電池の断面図である。 図15は、本発明の実施の形態4に係る注水式電池の平面図である。 図16は、図15のXVI−XVI線における断面図である。 図17は、本発明の実施の形態5に係る注水式筒形電池の製造方法を示す斜視図である。 図18は、本発明の注水式電池の製造方法を示す断面図である。 図19は、本発明の注水式電池の製造方法を示す断面図である。 図20は、本発明の注水式電池の製造方法を示す断面図である。 図21は、本発明の注水式電池の製造方法を示す断面図である。
以下、本発明に係る注水式電池に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.注水式電池
本発明の注水式電池は、可撓性を有する第1基材と、第1基材の一方主面上に形成される正電極薄膜部材と、可撓性を有する第2基材と、第2基材の一方主面上に形成される負電極薄膜部材と、を有し、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材が向かい合って配置され、かつ、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材の間に液通路が形成されるものである。本発明の注水式電池は第1基材と第2基材が可撓性を有し、正電極と負電極に薄膜部材を用いていることから、金属板を用いる場合と比較して電極の厚みが抑えられ、電池のフレキシブル性を高めることができる。また、本発明の注水式電池は電解質として水を用いているため、リチウムイオン電池と比較して安全性が高く、電解質の製造に必要なコストを抑えることができる。したがって、本発明の注水式電池は人体表面に接触して使用されるウェアラブル端末に搭載するのに適している。
本発明において、注水式電池は厚み方向と面方向を有する。注水式電池の厚み方向は、第1基材、正電極薄膜部材、第2基材、負電極薄膜部材が積層される方向であり、本発明の図面のZ方向に相当する。注水式電池の面方向は、厚み方向Zと直交する方向X−Yであり、左右方向Xと上下方向Yを有する。
本発明で取り扱う注水式電池は、電池を使用する前に電解液として水を注ぐものである。このため電解液として水が使用される、いわゆる水電池、空気電池、酸素電池は本発明の範囲に含まれる。電解液は水を含むものであればその種類は特に限定されず、例えば、水道水、海水、泥水、砂糖水、食塩水、雨水、尿等が挙げられる。
(実施の形態1)
図1〜図9を用いて、本発明の実施の形態1に係る注水式電池について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る注水式電池10の断面図である。注水式電池10(10A)は、第1基材20と、正電極薄膜部材30と、第2基材21と、負電極薄膜部材40と、を有する。
第1基材20は正電極薄膜部材30を支持するために設けられ、一方主面20aと他方主面20bを有する。第1基材20は可撓性を有しており、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、伸縮性を有するポリウレタン等の高分子フィルムから形成されることが好ましい。これによりフレキシブル性の高い注水式電池が得られる。
第1基材20は透液性を有していることが好ましい。これにより正電極薄膜部材30が形成されない第1基材20の他方主面20b側にも電解液が到達し、正電極薄膜部材30の第1基材20側の面にも電解液が接触しやすくなり、単位時間当たりに受け渡しがされる電子の数を増やすことができるため、電池容量を増大させることができる。
第1基材20の膜厚(厚さ方向Zにおける厚み)が大きすぎると電池全体の厚みが増すことから、第1基材の厚みは1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。他方、第1基材20の膜厚が小さすぎると電池の製造時に基材が折れたり壊れたりするなどして取り扱い難くなるため、第1基材の厚みは10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。
正電極薄膜部材30は、第1基材20の一方主面20a上に形成される薄膜であり、集電体として機能する。正電極薄膜部材30は後述する負電極活物質に対してイオン化傾向が小さい導電性材料を含んでいればよく、例えば、銅、銀、ニッケル等の金属材料、空気中の酸素を捕集可能な活性炭、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン等の炭素材料、二酸化マンガン・酸化鉄・酸化銀等の酸化物、塩化銅・塩化鉛・塩化銀等の塩化物、ヨウ化銅、過硫酸カリウムやこれらの組み合わせを用いることができる。
第1基材20と正電極薄膜部材30を含む正電極において、正電極活物質は電子の授受に直接寄与する。正電極活物質は、負電極から流れてきた電子と電解液中の水素イオンが反応して水素が生成され起電力が低下する分極を防ぐために、発生した水素を酸化する。したがって正電極活物質を得るために空気中の酸素を捕集可能な活性炭、CNT、グラフェン等の炭素材料や、二酸化マンガン・酸化鉄・酸化銀等の酸化物、塩化銅・塩化鉛・塩化銀等の塩化物、ヨウ化銅、過硫酸カリウムを含む正電極活物質層が設けられることが好ましい。
正電極活物質層が設けられる場所は特に限定されないが、正電極薄膜部材30の主面上であって第1基材20とは反対側に正電極活物質層が設けられることが好ましい。図2は正電極活物質層が設けられる注水式電池の構成例を示す断面図である。図2では第1基材20の一方主面20aと正電極薄膜部材30の一方主面30aの両方に正電極活物質層35が設けられている。このように負電極と対向する正電極薄膜部材30の主面(正電極薄膜部材30の一方主面30a)上に正電極活物質層35が設けられることにより、電極反応が効率的に活性化される。また、正電極薄膜部材30とは別に正電極活物質層35が設けられれば、正電極薄膜部材30に適した材料と正電極活物質層35に適した材料をそれぞれ選択することができる。なお、正電極での反応を促進するために、正電極活物質層35を第1基材20の他方主面20b上にも設けることができる。第1基材20または正電極薄膜部材30への正電極活物質層35の形成には蒸着や接着剤による接着を用いることができる。
本発明の注水式電池は、正電極薄膜部材30が正電極活物質を含む、或いは正電極活物質を捕集可能な材料から構成されていることが好ましい。すなわち、正電極薄膜部材30が空気中の酸素を捕集可能な活性炭、CNT、グラフェン等の炭素材料や、二酸化マンガン・酸化鉄・酸化銀等の酸化物、塩化銅・塩化鉛・塩化銀等の塩化物、ヨウ化銅、過硫酸カリウムを含んでいることが好ましい。これにより正電極での反応に直接寄与する正電極活物質を正電極薄膜部材30に供給することができるため、正電極薄膜部材30とは別に正電極活物質層35を設ける必要がなくなる。
正電極薄膜部材30の膜厚が大きすぎると電池全体の厚みが増すことから、正電極薄膜部材30の厚みは100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。他方、正電極薄膜部材30の膜厚が小さすぎると、正電極薄膜部材30における電流密度が制限されるため、正電極薄膜部材の厚みは0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。
第2基材21は負電極薄膜部材40を支持するために設けられ、一方主面21aと他方主面21bを有する。第1基材20と同様に、第2基材21は可撓性を有しており、例えば、PEN、PET、PI、伸縮性を有するポリウレタン等の高分子フィルムから形成されることが好ましい。これによりフレキシブル性の高い注水式電池が得られる。
第2基材21は透液性を有していることが好ましい。これにより負電極薄膜部材40が形成されない第2基材21の他方主面21b側にも電解液が到達し、負電極薄膜部材40の第2基材21側の面にも電解液が接触しやすくなり、単位時間当たりに受け渡しがされる電子の数を増やすことができるため、電池容量を増大させることができる。
第2基材21の膜厚(厚さ方向Zにおける厚み)が大きすぎると電池全体の厚みが増すことから、第2基材21の厚みは1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。他方、第2基材21の膜厚が小さすぎると電池の製造時に基材が折れたり壊れたりするなどして取り扱い難くなるため、第2基材21の厚みは10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。
負電極薄膜部材40は、第2基材21の一方主面21a上に形成される薄膜であり、集電体として機能する。負電極薄膜部材40は導電性を有し、薄膜化が可能な材料であれば特に限定されず、例えば銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛やこれらの組み合わせ等を用いることができる。
本発明において、負電極で電子の授受に直接寄与する負電極活物質は金属である。負電極活物質としてはイオン化傾向の大きい金属材料、例えば、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛等やこれらの組み合わせを用いることができる。
負電極薄膜部材40の主面上であって第2基材21とは反対側に負電極活物質層が設けられていることが好ましい。このように正電極と対向する負電極薄膜部材40の主面上に負電極活物質層が設けられることにより電極反応が効率的に活性化される。また、負電極薄膜部材40とは別に負電極活物質層が設けられることにより、負電極薄膜部材40に適した材料と負電極活物質層に適した材料をそれぞれ選定することができる。第2基材21または負電極薄膜部材40への負電極活物質層の形成には、負電極活物質の蒸着や接着剤による接着を用いることができる。
図2に示すように負電極薄膜部材40は負電極活物質を含む材料から構成されていることが好ましい。これにより負電極での反応に直接寄与する負電極活物質を負電極薄膜部材40に供給することができ、負電極薄膜部材40が負電極活物質を兼ねることができるため、負電極薄膜部材40とは別に負電極活物質層を設ける必要がない。例えば、負電極薄膜部材40としてマグネシウム、アルミニウム、亜鉛等を選択すれば、負電極活物質層を別に設ける必要がない。
本発明の注水式電池10Aは、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40(以下、「電極薄膜部材」と記載することもある)が向かい合って配置され、かつ、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の間に液通路50が形成される。図1および図2では、正電極薄膜部材30の一方主面30aと負電極薄膜部材40の一方主面40aが向かい合って配置されている。液通路50は電解液が流れるための通路であるが、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の短絡抑止機能も有している。
例えば、図2に示す注水式電池10Aにおいて、正電極薄膜部材30に銅、正電極活物質層35として活性炭、負電極活物質を兼ねる負電極薄膜部材30としてマグネシウムを採用し、液通路50に電解液として水を通液させた場合、各電極では(1)〜(2)式に示す反応が、電池全体としては(3)式に示す反応が起こり、水酸化マグネシウムが生成される。
正電極 :O+2HO+(4e)→(4OH) ・・・(1)
負電極 :2Mg→(2Mg2+)+(4e) ・・・(2)
電池全体:2Mg+O+2HO→2Mg(OH)↓・・・(3)
注水式電池10Aは液通路50に水を通液しない限り電極反応が起こらないため、災害時の備蓄用にも好適に使用できる。
図3および図4は本発明の実施の形態1に係る注水式電池の正電極薄膜部材と負電極薄膜部材の絶縁方法を示す断面図である。正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の短絡を抑止するために、図3に示すように正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40との間にセパレータ60が好適に設けられる。図3に示すセパレータ60は透液性と絶縁性を有する材料から構成されている。透液性と絶縁性を有する材料としては、例えば繊維不織布、多孔質の高分子フィルム等を用いることができ、この場合には繊維間隙や連続孔が液通路50を構成する。
図4に示すように、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の間に設けられるセパレータ60には厚み方向に貫通する貫通口60aが形成されていることが好ましい。貫通孔60aが液通路50となって、電解液が液通路50を通じて正電極活物質層35と負電極薄膜部材40の表面に行き渡りやすくなるからである。
セパレータ60は、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の少なくともいずれか一方の主面上に形成される絶縁膜層であることが好ましい。セパレータ60を絶縁膜層によって形成することにより、セパレータ60の厚みが増大するのを抑制できる。絶縁膜層としては例えばシリコン酸化膜や、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等の合成樹脂等の公知の絶縁材料を用いることができる。絶縁膜層の形成には、例えばスピンコート法、真空蒸着法、スパッタリング法を用いることができ、また、第1基材20上、或いは第2基材21上の積層物をロールtoロールにより形成する場合は、塗布法であるスクリーン印刷法、グラビア印刷法、ダイコート法、スプレー法を用いることができる。
図5は本発明の実施の形態1に係る絶縁膜層の平面図である。絶縁膜層61にはパターンが形成されることが好ましい。絶縁膜層61によって正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40は支持される。これに対して絶縁膜層61が存在しない部分は電解液が通る液通路50となる。絶縁膜層61の形成パターンを変えれば液通路50の形状も変えられるため、これにより電解液の流れをコントロールすることが可能である。絶縁膜層61のパターン形成にはフォトリソグラフィ法または印刷法を用いることができる。
図5(a)に示すように、絶縁膜層61をドット状(浮島状)に形成することができる。この場合、左右方向Xおよび上下方向Yの両方に延びた液通路50が設けられるため、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の表面全体に電解液が行き渡りやすくなる。絶縁膜層61がドット状の場合、電解液を図5(a)の上側、下側、右側、左側のいずれの方向から供給しても、電解液と電極薄膜部材が接触しやすくなる。
図5(b)に示すように、絶縁膜層61をストライプ状に形成することができる。ストライプ状の絶縁膜層61はドット状の場合よりも左右方向Xの液通路50の面積が少なく、電極薄膜部材に対して絶縁膜層61の占める面積が大きい。このため、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40が互いに接触しにくくなり、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の短絡を抑制できる。この場合、電解液は図5(b)の上側または下側から注水されることが好ましい。
図5(c)に示すように、絶縁膜層61は液通路50が葉脈状となるパターンに形成されてもよい。これにより正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の短絡を抑制しつつ、電解液を電極薄膜部材全体に行き渡らせることができる。この場合、葉脈形状の出発点である液通路50の下側の中心付近から電解液が注水されることが好ましい。
絶縁膜層は、図5(d)に示すような別の葉脈状のパターンに形成されてもよい。この場合、電解液は葉脈形状の出発点である液通路50の上下方向Yおよび左右方向Xの中心付近から注水されることが好ましい。図5(c)に示す葉脈状のパターンと比較すると、液通路50の最長距離を短くできるため、電解液と電極薄膜部材との接触が速やかに行われやすくなる。
図5(e)に示すように、絶縁膜層61は放射状に形成されてもよい。この場合、電解液は放射状の中心点である液通路50の上下方向および左右方向の中心付近から注水されることが好ましい。図5(d)に示した葉脈状のパターンと比較すると、液通路50の最長距離を短くできるため、電解液と電極薄膜部材との接触がより速やかに行われやすくなる。
本発明の注水式電池は、液通路に接続されている注水口を有することが好ましい。これにより注水口から液通路に電解液としての水を注入することができる。注水口の位置は特に限定されないが、電池外に電解液が漏れるのを抑制するために、注水口は電池の使用時に下方に位置する場所以外に設けられることが好ましい。注水口には、電池内に注入された水が電池外に逆流することを防止する逆止弁が好適に設けられる。
注水口は液通路に直接に接続されてもよく、間接に接続されてもよい。注水口が液通路に直接に接続されている場合、液通路の一部が注水口を兼ねる。注水口が液通路に間接に接続されている場合、注水口と液通路は離間しているため、注水口から電池内に注がれた電解液は液通路以外を通って液通路に到達する。注水口が液通路に間接に接続されている例としては、後述する正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40と電解液を収容する外装体70に注水口81が設けられる場合や、第1基材20と第2基材21の端部が一部接合されない部分に注水口81が形成される場合が挙げられる。
図6は注水式電池に外装体が設けられる構成例を示す斜視図であり、図7は図6の注水式電池をA方向から見た図である。図6に示すように、本発明の注水式電池は、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40と電解液(図示していない)を収容する外装体70が設けられることが好ましい。これにより電極反応に必要な電解液を電池内に保持することができる。
図7の注水式電池10(10A)では直方体状の外装体70内に第1基材20、第2基材21、正電極活物質層35が設けられた正電極薄膜部材30、負電極活物質層を兼ねる負電極薄膜部材40が収容されている。外装体70の形状は特に限定されず、電解液の注水口が設けられた箱状または袋状であればよい。図6では注水式電池10Aの上側面全体が注水口81となっているが、電解液の漏れを抑制するために注水口81には蓋(図示しない)が設けられることが好ましい。
電解液を確実に保持するために外装体70は、液不透過性であることが好ましい。このため外装体70は、例えば、PEN、PET、PI等を用いることができる。これによりフレキシブル性の高い注水式電池が得られる。
図8は、注水式電池に電解液収容部が形成される構成例を示す斜視図であり、図9は、図8の注水式電池のX−Z面方向における断面図である。図8および図9に示すように、第1基材20の端部と第2基材21の端部が互いに接合されて電解液収容部80が形成されることが好ましい。これにより電解液を収容するための部材を新たに設ける必要がないため、外装体70が設けられる場合と比較して電池の厚みや大きさが増大するのを抑制できる。
図8および図9に示す注水式電池10Aでは略同じ大きさの長方形の第1基材20と第2基材21が向かい合うように配置されており、対向する四辺において第1基材20と第2基材21の端部が互いに接合され、袋状に電解液収容部80が形成されている。第1基材20と第2基材21の上辺では、第1基材20と第2基材21の端部が一部接合されない部分に注水口81が形成されている。第1基材20と第2基材21は、例えば、接着剤、熱融着、超音波融着等の接合手段により互いに接合されればよい。
図示していないが、電極間に流れる電流を取り出すために、正電極薄膜部材と負電極薄膜部材にはそれぞれ取り出し配線が接続される。取り出し配線にはビニール線、エナメル線、スズめっき線等の公知の導線や、電極薄膜部材と同様に第1基材や第2基材上に形成されるプリント配線を用いることができる。例えば、取り出し配線として導線を用いる場合には、半田付けやレーザー溶接等により導線の一端を電極薄膜部材に接続することができる。
次に、図1〜図9に示した注水式電池とは異なる態様の注水式電池について、図10〜図17を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同じ構成部分については同一の符号を付して説明を省略する。
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る注水式電池の断面図である。図10に示す注水式電池10(10B)の第1基材20と第2基材21は、折り曲げ部22cを介して連続的に構成されている。詳細には、基材22の一方主面22a上に正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40がそれぞれ形成され、基材22の他方主面22bが外側に位置するように基材22を折り曲げ部22cで折り曲げることによって正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40は向かい合って配置される。これにより、第1基材20と第2基材21が異なる基材によって構成されている場合と比べて電池を構成する部材数を減らすことができる。このように基材22に折り曲げ部22cを適切に設けることによって、正電極と負電極の相対位置を位置決めしやすくなる。
折り曲げ部22cの位置を案内する折り曲げ線22m、22nは、例えば基材22に回転刃等の刃先を押し当てて形成された溝とすることができる。
図11、図12は、それぞれ本発明の実施の形態2に係る注水式電池の他の構成例を示す展開図と断面図である。図11に示すように、基材22の一方主面22a上に正電極活物質層35が設けられた正電極薄膜部材30と、絶縁膜層61が設けられた負電極薄膜部材40が複数配置され、隣り合う正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の間に折り曲げ線22m、22nが設けられている。隣り合う正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40が向かい合って配置されるように、基材22を折り曲げ線22mで谷折りすることによって折り曲げ部22cが形成され、基材22を折り曲げ線22nで山折りすることによって折り曲げ部22dが形成される。その結果、図10に示すような注水式電池が厚み方向Zに複数(図12の場合は3つ)積層された注水式電池10(10B)が得られる。このように電池を厚み方向に複数積層することによって、電池容量を大きくすることができる。
(実施の形態3)
図13、図14は、それぞれ本発明の実施の形態3に係る注水式電池の構成例を示す展開図、断面図である。図13(a)に示すように第1基材20の一方主面20a上に正電極活物質層35が設けられた正電極薄膜部材30が複数形成され、隣り合う2つの正電極薄膜部材30の間に折り曲げ線20m、20nが設けられている。また、図13(b)に示すように第2基材21の一方主面21a上に絶縁膜層61が設けられた負電極薄膜部材40が複数形成され、隣り合う2つの負電極薄膜部材40の間に折り曲げ線21m、21nが設けられている。第1基材20を折り曲げ線20mで谷折りすることによって折り曲げ部20cが形成され、折り曲げ線20nで山折りすることによって折り曲げ部20dが形成される。同様に、第2基材21を折り曲げ線21mで谷折りすることによって折り曲げ部21cが形成され、折り曲げ線21nで山折りすることによって折り曲げ部21dが形成される。第1基材20の折り曲げ部20cの内側に第2基材21の折り曲げ部21dが収納され、第2基材21の折り曲げ部21cの内側に第1基材20の折り曲げ部20dが収納されるように第1基材20と第2基材21が積層される。注水式電池10(10C)では、1つの基材上に少なくとも1種類の電極薄膜部材が形成されればよいため、電極薄膜部材の形成工程を簡素化することができる。
(実施の形態4)
図15は本発明の実施の形態4に係る注水式電池の構成例を示す平面図であり、図16は図15のXVI−XVI線における断面図である。図15および図16に示すように、本発明の注水式電池10(10D)には、第1基材20、正電極薄膜部材30、正電極活物質層35およびセパレータ60に、厚み方向に貫通する開口60bが複数形成されている。このため、第1基材20の一方主面20a側から複数の開口60bを介して電池内に電解液を注入することができる。第1基材20の一方主面20a側から注水された電解液は開口60bを通って、セパレータ60により形成される液通路50に導かれる。
図15および図16では、第1基材20、正電極薄膜部材30、正電極活物質層35およびセパレータ60に開口60bが形成される構成例を示したが、第2基材21、負電極薄膜部材40およびセパレータ60に開口が形成されてもよい。
図15および図16では、開口60bが複数形成される例を示したが、開口は1つでもよい。例えば、第1基材20、正電極薄膜部材30、正電極活物質層35およびセパレータ60の略中央に、厚み方向Zに貫通する開口60bが1つ形成される場合、図5(d)、図5(e)に示すようにセパレータ60の中心付近に電解液の注水口81が設けられる絶縁層61を好適に用いることができる。
なお、本発明の注水式電池10は病人や被介護者の失禁、嘔吐、出血等を検知するためにベッドシーツに組み込まれるセンサ、水着やウェットスーツ等の水中で使用される衣類に組み込まれる生体情報(心拍、体温、脈拍、呼吸数等)の監視センサ等の電源供給用にも好適である。また、このような監視センサを無線センサネットワークと組み合わせることで、電源不要の漏水検知センサとして、さらに停電時には非常用電源としても使用可能である。
(実施の形態5)
図17は本発明の実施の形態5に係る注水式筒形電池の製造方法を示す斜視図である。本発明には実施の形態1〜4の注水式電池10がロール状に巻回された注水式筒形電池も含まれる。実施の形態1〜4に記載の注水式電池10の一辺から対向する辺に向かって、注水式電池10を巻回する。詳細には図17に示すように、注水式電池のP辺からQ辺に向かって注水式電池10が巻き回しされる。そして、Q辺まで巻回された注水式電池10を筒形の外装体(図示しない)に収容することによって、注水式筒形電池が製造される。このように本発明の注水式電池10は高いフレキシブル性を有し容易に巻回することができるため、一般的な筒形の電池に加工するのにも適している。
2.注水式電池の製造方法
本発明の注水式電池の製造方法は、(1)可撓性を有する第1基材の一方主面上に正電極薄膜部材を形成する工程と、(2)第1基材と正電極薄膜部材の少なくともいずれか一方に正電極活物質層を形成する工程と、(3)可撓性を有する第2基材の一方主面上に負電極薄膜部材を形成する工程と、(4)正電極薄膜部材と負電極薄膜部材を向かい合わせて配置することにより正電極薄膜部材と負電極薄膜部材との間に液通路を形成する工程と、を含むものである。
以下、図18〜図21を用いて本発明の実施の形態に係る注水式電池の製造方法の好ましい例について説明する。
(1)可撓性を有する第1基材の一方主面上に正電極薄膜部材を形成する工程
まず、図18に示すように注水式電池10の製造に必要な可撓性を有する第1基材20を準備し、第1基材20の一方主面20a上に正電極薄膜部材30を形成する。
正電極薄膜部材30の形成にはスパッタリング法または塗布法を用いることが好ましい。これらの方法を用いれば正電極薄膜部材30の膜厚を小さくすることができるため、電池のフレキシブル性をより高めることができる。特に、第1基材20上の積層物をロールtoロールにより形成する場合は、塗布法であるスクリーン印刷法、グラビアコーター法、ダイコート法、スプレー法を用いることができる。例えば、スパッタリング法を用いれば正電極薄膜部材30の膜厚を数百nm以下、スクリーン印刷法を用いれば正電極薄膜部材30の膜厚を数十μm以下に抑えることができる。
(2)第1基材と正電極薄膜部材の少なくともいずれか一方に正電極活物質層を形成する工程
次に、第1基材20と正電極薄膜部材30の少なくともいずれか一方に正電極活物質層35を形成する。すなわち、正電極活物質層35は第1基材20にのみ形成されてもよいし、正電極薄膜部材30にのみ形成されてもよいし、図19に示すように第1基材20と正電極薄膜部材30の両方に形成されてもよい。第1基材20または正電極薄膜部材30に対する正電極活物質層35の形成には、正電極活物質の蒸着や接着剤による接着を用いることができる。
(3)可撓性を有する第2基材の一方主面上に負電極薄膜部材を形成する工程
図20に示すように可撓性を有する第2基材21を準備し、第2基材21の一方主面21a上に負電極薄膜部材40を形成する。正電極薄膜部材30の形成方法と同様に、負電極薄膜部材40の形成にはスパッタリング法または塗布法を用いることが好ましい。これらの方法を用いれば負電極薄膜部材40の膜厚を小さくすることができるため、電池のフレキシブル性をより高めることができる。特に第2基材21上の積層物をロールtoロールにより形成する場合は、塗布法であるスクリーン印刷法、グラビアコーター法、ダイコート法、スプレー法を用いることができる。例えば、スパッタリング法を用いれば負電極薄膜部材40の膜厚を数百nm以下、スクリーン印刷法を用いれば負電極薄膜部材40の膜厚を数十μm以下に抑えることができる。
正電極薄膜部材30および負電極薄膜部材40の形成に、スパッタリング法または塗布法を用いることがより好ましい。スパッタリング法または塗布法を用いれば、正電極薄膜部材30の膜厚と負電極薄膜部材40の膜厚をともに小さくすることができるため、電池のフレキシブル性をより高められる。
負電極薄膜部材40は負電極活物質を含む材料から構成されていることが好ましい。このような負電極薄膜部材40は集電体として機能するだけではなく負電極活物質層も兼ねることができるため、負電極薄膜部材40とは別に負電極活物質層を設ける必要がない。
これに対して、第2基材21と負電極薄膜部材40の少なくともいずれか一方に負電極活物質層が形成されていてもよい。すなわち、負電極活物質層が第2基材21のみに形成されてもよいし、負電極薄膜部材40にのみ形成されてもよいし、第2基材21と負電極薄膜部材40の両方に形成されてもよい。負電極活物質層の形成には、負電極活物質の蒸着や接着剤による接着を用いることができる。
(4)正電極薄膜部材と負電極薄膜部材を向かい合わせて配置することにより正電極薄膜部材と負電極薄膜部材との間に液通路を形成する工程
図21に示すとおり、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40を向かい合わせて配置することにより、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40との間に液通路50を形成する。図21では、正電極活物質層35が形成された正電極薄膜部材30の一方主面30aと負電極薄膜部材40の一方主面40aが対向するように配置されている。
上記工程(4)において、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40を向かい合わせて配置するときに、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の間に短絡抑止用のセパレータ60を設けることができる。
セパレータ60は、正電極薄膜部材30と負電極薄膜部材40の少なくともいずれか一方の主面上に形成される絶縁膜層61であることが好ましい。絶縁膜層61の形成には、印刷法またはフォトリソグラフィ法を好適に用いることができる。印刷法またはフォトリソグラフィ法によれば、複雑な描画パターンであっても形成することができる。正電極薄膜部材30上への絶縁膜層61の形成は、上記工程(2)の後に行う。また、負電極薄膜部材40上への絶縁膜層61の形成は、上記工程(3)の後に行う。
図示していないが、本発明の注水式電池の製造方法は(5)第1基材20と第2基材21のいずれか一方の上にマスク層を形成してエッチング液に接触させて、一部領域を除去することによって第1基材20と正電極薄膜部材30と正電極活物質層35とセパレータ60、または第2基材21と負電極薄膜部材40とセパレータ60に開口を形成する工程を含むことが好ましい。このように形成された開口は電解液が通る液通路50となる。そして、開口が形成された側面から電解液を供給すると、液通路50を通じて、電解液が電極薄膜部材全体に行き渡りやすくなる。
マスク層の形成方法の一例について説明する。第1基材20や第2基材21上に公知のドライフィルムレジストや液体レジスト等の感光性樹脂(レジスト)を塗布し、レジストの上から電子ビームや光(紫外線)を照射して所定のパターンを描画する。露光装置を用いてレジストを露光し、レジストに対してパターンの転写、焼き付けを行う。そして、レジストに現像液を接触させることによって第1基材20や第2基材21上にマスク層が形成される。
マスク層が形成された第1基材20にエッチング液を接触させることによって、第1基材20と正電極薄膜部材30と正電極活物質層35とセパレータ60の一部領域が除去される。他方、マスク層が第2基材21上に形成される場合には、エッチング液の接触により、第2基材21と負電極薄膜部材40とセパレータ60の一部領域が除去される。
10、10A、10B、10C、10D:注水式電池
20:第1基材
21:第2基材
30:正電極薄膜部材
35:正電極活物質層
40:負電極薄膜部材
50:液通路
60:セパレータ
70:外装体
80:電解液収容部

Claims (17)

  1. 可撓性を有する第1基材と、
    該第1基材の一方主面上に形成される正電極薄膜部材と、
    可撓性を有する第2基材と、
    該第2基材の一方主面上に形成される負電極薄膜部材と、を有し
    前記正電極薄膜部材と前記負電極薄膜部材が向かい合って配置され、かつ、前記正電極薄膜部材と前記負電極薄膜部材の間に液通路が形成されることを特徴とする注水式電池。
  2. 前記液通路に直接または間接に接続されている注水口を有する請求項1に記載の注水式電池。
  3. 前記正電極薄膜部材の主面上であって前記第1基材とは反対側に正電極活物質層が設けられる請求項1または2に記載の注水式電池。
  4. 前記正電極薄膜部材が正電極活物質を含む、或いは正電極活物質を捕集可能な材料から構成されている請求項1または2に記載の注水式電池。
  5. 前記負電極薄膜部材の主面上であって前記第2基材とは反対側に負電極活物質層が設けられる請求項1〜4のいずれか一項に記載の注水式電池。
  6. 前記負電極薄膜部材が負電極活物質を含む材料から構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の注水式電池。
  7. 前記正電極薄膜部材と前記負電極薄膜部材との間にセパレータが設けられる請求項1〜6のいずれか一項に記載の注水式電池。
  8. 前記セパレータは、前記正電極薄膜部材と前記負電極薄膜部材の少なくともいずれか一方の主面上に形成される絶縁膜層である請求項7に記載の注水式電池。
  9. 前記絶縁膜層にはパターンが形成される請求項8に記載の注水式電池。
  10. 前記正電極薄膜部材と前記負電極薄膜部材と電解液を収容する外装体が設けられる請求項1〜9のいずれか一項に記載の注水式電池。
  11. 前記第1基材の端部と前記第2基材の端部が互いに接合されて電解液収容部が形成される請求項1〜9のいずれか一項に記載の注水式電池。
  12. 前記第1基材と前記第2基材は、折り曲げ部を介して連続的に構成されているものである請求項1〜11のいずれか一項に記載の注水式電池。
  13. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の注水式電池がロール状に巻回された注水式筒形電池。
  14. 可撓性を有する第1基材の一方主面上に正電極薄膜部材を形成する工程と、
    前記第1基材と前記正電極薄膜部材の少なくともいずれか一方に正電極活物質層を形成する工程と、
    可撓性を有する第2基材の一方主面上に負電極薄膜部材を形成する工程と、
    前記正電極薄膜部材と前記負電極薄膜部材を向かい合わせて配置することにより前記正電極薄膜部材と前記負電極薄膜部材との間に液通路を形成する工程と、を含むことを特徴とする注水式電池の製造方法。
  15. 前記負電極薄膜部材が負電極活物質を含む材料から構成されている請求項14に記載の注水式電池の製造方法。
  16. 前記正電極薄膜部材を形成する工程と、前記負電極薄膜部材を形成する工程において、スパッタリング法または塗布法を用いる請求項14または15に記載の注水式電池の製造方法。
  17. 前記第1基材と前記第2基材のいずれか一方の上にマスク層を形成してエッチング液に接触させて、一部領域を除去することによって前記第1基材と前記正電極薄膜部材と前記正電極活物質層とセパレータ、または前記第2基材と前記負電極薄膜部材とセパレータに開口を形成する工程を含む請求項14〜16のいずれか一項に記載の注水式電池の製造方法。
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