JP2017003280A - アンテナ装置およびレーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】目標の捜索時間の短縮化と高性能化を両立可能なアンテナ装置を得ること。【解決手段】アンテナ装置は、送受共用の素子アンテナ11から1mと、素子アンテナを介して信号を送受信する送受信モジュール21から2mと、送受信モジュールの各々が受信した信号をサブアレー単位で合成するとともに、送信機4で生成された送信信号を送受信モジュールの各々に分配する合成分配回路3と、サブアレー単位で合成された受信信号を時間平均する時間平均処理部211から21nと、時間平均処理部で時間平均された後の受信信号に演算処理を行って受信マルチビームを形成するDBF部6と、送受信モジュールの各々を制御し、規定時間が経過するごとに、素子アンテナの各々から送信する信号の励振位相を異なる2つ位相の一方と他方の間で切り替えさせる制御部8と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、ディジタル・ビーム・フォーミング(DBF:Digital Beam Forming)を利用してマルチビーム捜索を行うレーダ装置に適用可能なアンテナ装置に関する。
アレーアンテナを適用し、DBFを用いてマルチビームを形成して目標を捜索するシステムは従来から考えられている。特許文献1では、送信用のアンテナと受信用のアンテナとを別構成とし、送信系を無指向性アンテナ、受信系をアレーアンテナとしたフェースドアレイレーダが開示されている。特許文献1に記載のフェースドアレイレーダでは、ペンシルビームを複数配列してマルチビームを形成し、広角覆域をカバーするため、単一のペンシルビームで覆域内を走査して目標を捜索するシステムよりも捜索時間を短縮できる。
また、送信アンテナを受信アレーアンテナと共通化し、送信パターンをペンシルビーム化したレーダ装置が特許文献2に記載されている。
特開2000−171544号公報 特開平11−142511号公報
特許文献1に記載の発明では、無指向性アンテナを使用して電波を送信するため、送信パターンは低利得であり、送信電力が同じ場合、指向性アンテナを使用する場合と比較して目標までの探知距離を長く取れないという問題がある。
一方、特許文献2に記載の発明では、送信パターンをペンシルビーム化しているため、特許文献1に記載の発明と比較して高利得となり、高性能化を実現できる。しかしながら、特許文献1に記載の発明と同等の捜索範囲を実現するためには、ペンシルビームを電子走査する必要があり、捜索時間が長くなってしまう問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、目標の捜索時間の短縮化と装置の高性能化を両立可能なアンテナ装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるアンテナ装置は、送受共用の複数の素子アンテナと、素子アンテナに接続され、素子アンテナを介して信号を送受信する送受信モジュールと、を備える。また、送受信モジュールの各々が受信した信号をサブアレー単位で合成するとともに、送信機で生成された送信信号を送受信モジュールの各々に分配する合成分配回路と、サブアレー単位で合成された受信信号を時間平均する時間平均処理部と、時間平均された後の受信信号に演算処理を行って受信マルチビームを形成するディジタル・ビーム・フォーミング部と、を備える。さらに、送受信モジュールの各々を制御し、規定時間が経過するごとに、複数の素子アンテナの各々から送信する信号の励振位相を異なる2つ位相の一方と他方の間で切り替えさせる制御部を備える。
本発明によれば、目標の捜索時間の短縮化と装置の高性能化を両立可能なアンテナ装置を実現できる、という効果を奏する。
アンテナ装置の構成例を示す図 送信ビームおよび受信ビームの一例を示す図 励振位相と励振振幅の対応関係の一例を示す図 ブロードビームを実現する励振振幅分布と励振位相分布の一例を示す図 励振時間T1およびT2で設定する励振位相分布の一例を示す図 実施の形態にかかるアンテナ装置が形成する送信ビームと従来のアンテナ装置で形成される送信ビームの一例を示す図 従来のアンテナ装置の動作を示す図 励振位相を固定化して送信ビームのビーム幅を広げた場合の送信ビームの一例を示す図
以下に、本発明の実施の形態にかかるアンテナ装置およびレーダ装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態にかかるアンテナ装置の構成例を示す図である。本実施の形態にかかるアンテナ装置は、送受共用の複数の素子アンテナ11から1mを備え、各素子アンテナから目標に向けて信号を送信し、目標で反射された信号を受信する。mは2以上の整数とし、素子アンテナ11から1mはアレーアンテナを形成している。また、素子アンテナ11から1mは複数のグループに分けられ、同じグループの各素子アンテナはサブアレーを形成している。本実施の形態にかかるアンテナ装置は、ディジタル・ビーム・フォーミングを利用してマルチビーム捜索を行うDBF(Digital Beam Forming)レーダ装置に適用することが可能である。
また、本実施の形態にかかるアンテナ装置は、素子アンテナ11から1mと1対1で接続され、信号の送信処理および受信処理を行う複数の送受信モジュール21から2mと、送受信モジュール21から2mの各々から出力された受信信号をサブアレー単位で合成するとともに、送信信号を各送受信モジュール21から2mに分配する合成分配回路3と、目標に向けて送信する信号を生成する送信機4と、反射波、すなわち、素子アンテナ11から1mにより送信され、目標で反射された信号を合成分配回路3経由で受け取る複数の受信機51から5nと、を備える。nは2以上m以下の整数であり、サブアレーの数を示す。送受信モジュール21から2mは、増幅器、移相器などを含んで構成されている。
また、本実施の形態にかかるアンテナ装置は、受信機51から5nと1対1で接続され、接続されている受信機からの出力信号を時間平均する複数の時間平均処理部211から21nと、素子アンテナ11から1mの各々から送信する信号の励振位相を切り替える時間、すなわち排他的に設定する異なる複数の励振位相の各々の設定時間である励振時間を設定する励振時間設定部22と、受信信号に対して励振係数であるウェイトデータを乗算するとともに、励振係数を乗算した後の受信信号を加算して受信マルチビームを形成するDBF部6と、受信信号を解析して目標を探知する処理などを行う信号処理部7と、送受信モジュール21から2mおよび合成分配回路3を制御する制御部8と、を備える。
以下、素子アンテナ11から1mによって形成されたアレーアンテナをアンテナ開口10と呼ぶ。なお、本実施の形態では、アンテナ開口10は一様振幅分布を想定し、制御部8の主な機能は送受信モジュール21から2mの各々に組み込まれている移相器を制御することとする。
時間平均処理部211から21nおよび励振時間設定部22は、共役関係にある位相分布を設定して行う時間変調アレー技術を用いるために設けられている。ここで、時間変調アレー技術の概要を以下に説明する。
時間変調アレー技術は、特開2013−219742号公報などにも記載されているように、時間ウェイトの概念を利用している。具体的には、時間によって異なる励振位相を設定して送信あるいは受信した信号を時間平均すなわち時間積分することで、等価的に所望の振幅分布をアンテナ開口上に設定した場合と同じ放射パターンを成形する技術である。異なる励振位相としては、周波数軸上の鏡像発生周期が最も広くできる共役関係にある2状態の励振位相とする。そして、時間軸上で2状態を繰り返し設定して、すなわち、2状態を時分割で切り替えながら、送信あるいは受信を行う。
次に、本実施の形態にかかるアンテナ装置の動作について説明する。まず、送信系の動作を説明する。
アンテナ装置が捜索対象の目標に向けて信号を送信する際、励振時間設定部22は、時分割で切り替えが可能な、異なる複数の励振位相の励振時間を制御部8に設定するとともに、時間平均処理部211から21nに通知する。すなわち、励振時間設定部22は、複数の励振位相の各々を継続させる時間を制御部8に設定し、また、これを時間平均処理部211から21nに通知する。この励振時間は、励振位相ごとに全て異なってもよいし、全て同一でも構わない。制御部8は、励振時間設定部22により設定された励振時間に従い、合成分配回路3および送受信モジュール21から2mを制御する。時間平均処理部211から21nは、励振時間設定部22から通知された励振時間に従い、受信機51から5nより出力されるディジタル受信信号を時間平均する。
具体的には、アンテナ装置において、ある励振時間T1では、送信機4から発せられた送信信号は合成分配回路3に達し、制御部8からの制御信号に従って合成分配回路3内の送信系分配回路が選択され、選択された回路を介して送受信モジュール21から2mへ送信信号が分配される。送受信モジュール21から2mは、制御部8からの制御信号に従い、送信回路を選択し、合成分配回路3から送信信号が入力されると、入力された送信信号の位相を、所望の励振振幅分布を実現するための2つの励振位相、すなわち共役関係にある2つの励振位相の一方である励振位相P1に設定して出力する。送受信モジュール21から2mで励振位相P1に位相が設定された送信信号は、素子アンテナ11から1mに到達し、素子アンテナ11から1mにより放射された後、空間にて合成される。これにより、励振時間T1における送信パターンが形成される。
また、励振時間T1が経過した後の励振時間T2では、送信機4から発せられた送信信号は合成分配回路3に達し、制御部8からの制御信号に従って合成分配回路3内の送信系分配回路が選択され、選択された回路を介して送受信モジュール21から2mへ送信信号が分配される。送受信モジュール21から2mは、制御部8からの制御信号に従い、送信回路を選択し、合成分配回路3から送信信号が入力されると、入力された送信信号の位相を励振位相P2に設定して出力する。送受信モジュール21から2mで励振位相P2に位相が設定された送信信号は、素子アンテナ11から1mに到達し、素子アンテナ11から1mにより放射された後、空間にて合成される。これにより、励振時間T2における送信パターンが形成される。
励振時間T2が経過した後は励振時間T1となり、送受信モジュール21から2mは、制御部8からの制御信号に従い、合成分配回路3から送信信号が入力されると、入力された送信信号の位相を励振位相P1に設定して出力する。以下、同様にして、送受信モジュール21から2mは、励振時間T1が経過した後の励振時間T2では送信信号の位相を励振位相P2に設定し、励振時間T2が経過した後の励振時間T1では送信信号の位相を励振位相P1に設定する。
このように、制御部8は、励振時間T1では送信信号の位相が励振位相P1となるように送受信モジュール21から2mを制御し、励振時間T2では送信信号の位相が励振位相P2となるように送受信モジュール21から2mを制御する。
時間変調アレー技術によれば、上記の励振時間T1における送信パターンと励振時間T2における送信パターンを時間平均することにより所望のビーム幅の送信パターンが形成される。これは、図1に示したアンテナ装置において、受信信号が時間平均処理部21を介してDBF部6に到達した後の演算処理の段階を経て得られる送受積パターンにて確認される。但し、ここでは、説明の便宜上、励振時間T2にて信号が放射された段階で励振時間T1での送信パターンと励振時間T2での送信パターンを時間平均した後のブロード化された送信パターンが形成されるものとする。なお、送受積パターンとは、送信パターンと受信パターンの積をとることにより得られたパターンである。
送信波のブロードビームは図2(a)に示すとおりである。なお、図2では、メインビームのみ図示し、サイドローブは省略している。図2(a)では、アンテナ開口10上の励振位相分布をアンテナ開口10の正面方向で共相となるようにした場合の送信ブロードビーム25を示している。なお、図2(b)は、本実施の形態のアンテナ装置における受信ビームを示しており、受信ビームは、ペンシルビーム12から18が同時に形成されたマルチビームとなっている。DBFを用いて受信マルチビームを形成する従来のレーダ装置における送信ビームは、既に説明したように単一のペンシルビームであり、捜索覆域を確保するためにはビームの電子走査が必要である。これに対して、本実施の形態のアンテナ装置は、時間変調アレー技術により送信ビームの幅の拡大を図っているので、送信ビームの幅が捜索覆域をカバーしている場合、捜索覆域内でビームの電子走査をする必要がない。また、仮に、捜索覆域内で電子走査が必要な場合でも、電子走査が必要となる幅、すなわち送信ビームの幅と捜索覆域の差はペンシルビームを使用する場合と比較して小さくなる。このため、本実施の形態のアンテナ装置によれば、捜索時間を短縮できる。
ここで、所望のブロードビームを得るための励振位相分布の設定方法について説明する。共役関係にある励振位相をφ1およびφ2とする。時間平均した結果として、各素子アンテナでの所望励振振幅の相対値Pは次式(1)にて表せる。
P=20log10(cosφ)[dB]、 0≦φ≦90[deg] …(1)
上式(1)をグラフ化すると図3となる。例えば、ある素子アンテナ1k(kは1からmのいずれか)の励振位相をφ1=60°およびφ2=−60°としたとき、等価的な励振振幅はP=−6dBとなる。これはアンテナ開口10内の励振振幅最大値に対する相対値である。換言すれば、所望励振振幅値が相対的に−6dBであると定まれば、それを実現する励振位相はφ1=60°およびφ2=−60°と得られる。すなわち、ブロードビームを得るための励振振幅が決まれば、式(1)に従って励振位相も決まる。
一例として、小開口アレーアンテナにおいて、時間変調アレー技術によるブロードビーム化を行う場合について説明する。ここでのブロードビームの条件は、小開口アレーアンテナにて一様励振分布を与えた際に得られるペンシルビームのビーム幅に対して4倍以上とする。
図4(a)は、ペンシルビームのビーム幅に対して4倍の幅となるブロードビームを得るための所望な励振振幅分布を示し、図4(b)は、このブロードビームを得るための所望な励振位相分布を示している。図4(a)では、横軸をアンテナ開口10の中心からの距離Rとし、縦軸はアンテナ開口10を中心から端部までの距離に応じて4つの領域に分割した場合の各領域の周方向の振幅平均Pとしている。なお、距離Rを最も外側領域の距離、すなわち中心から最も遠い領域までの距離にて規格化している。加えて、4つの領域のうち、最も内側の領域すなわちアンテナ開口10の中心である開口中心に最も近い領域の振幅平均値を基準である0dBとしている。一方、図4(b)の所望励振位相分布は、最も内側の領域の位相平均値を基準である0°とした場合の相対位相として記載している。開口中心側から第3番目の領域の位相が180°である以外は0°である。
図3に示した励振位相φと励振振幅Pとの関係から、励振振幅Pが極小である場合の位相φの変化は急峻のため、量子化誤差や移相器の持つ位相値設定誤差などの影響で精度よく位相設定することは難しい。そこで、図4に示した例では、励振振幅Pが極小となる領域である開口中心側から第2番目の領域内の素子アンテナの各々と接続されている各送受信モジュールの送信系をOFFとしている。この励振振幅Pが極小である場合には送受信モジュールそのものをOFFとするようにしてもよい。
時間変調アレー技術において、励振位相は通常、共役位相φ(φ1=φとφ2=−φの2状態)として与えられる。しかしながら、前記の通りペンシルビームのビーム幅に対して4倍の幅となるブロードビームを得るためには、図4(b)に示した励振位相分布をとする必要がある。図4(b)に示した励振位相分布において開口中心側から第3番目の領域内の素子アンテナ全ての励振位相を180°とし、他の素子アンテナに対して逆相としているのは、アンテナ正面方向であるビーム指向方向からみてアンテナ開口径を等価的に小さくするためである。本実施の形態のアンテナ装置における励振位相の設定では、図4(b)に示した励振位相分布に従い、各送信信号の励振位相を設定する。励振時間T1とT2において共役位相の関係を維持できていれば、励振位相の設定を自由に行ってよい。ビーム走査時の走査位相を付加するようにしても問題ない。
図3に示した関係を考慮して励振時間T1およびT2のそれぞれで設定する励振位相分布の例を図5に示す。図4と同様に、横軸は開口中心からの距離Rにて規格化している。なお、ここでは、アナログ移相器を想定して距離Rを算出している。開口中心から第1番目(最も内側)の領域内の各素子アンテナの励振位相の平均値を0°すなわち基準としている。図5(a)および(b)に示したように、励振時間T1とT2の間で同一領域内の素子アンテナの励振位相平均値が共役の関係となっている。
時間変調アレー技術を適用し、励振時間T1とT2におけるそれぞれの送信パターンの反射波を受信して時間平均処理部21にて時間平均した後に得られる送信パターンであるブロードビームを図6(a)に示す。図6(b)に示すペンシルビーム、すなわち時間変調アレー技術を適用しない従来のアンテナ装置で形成される送信ビームと比較すると、ビーム幅が4倍以上になっていることがわかる。これは、時間変調アレー技術によるブロードビーム化の有効性を示している。なお、図6(b)に示したペンシルビーム型の送信パターンを使用する場合、図7(a)に示したように、捜索覆域内でペンシルビーム11を電子走査させる必要がある。
このように、時間変調アレー技術、すなわち、送信信号の励振位相として共役関係にある2つの位相φ1およびφ2を使用し、これら2つの位相を励振時間T1およびT2に従って送信信号の励振位相に設定することにより、送信ビームの幅を広げることができる。
比較参照用として、送受信モジュール21から2mが備えている移相器が送信信号に設定する励振位相を固定化して送信パターンのビーム幅を広げる場合について簡単に説明する。例えば、小開口アレーアンテナにおいて、開口中心から2次関数に従いテーパ状に位相遅れを伴う励振位相分布を与えた場合の放射パターンは図8に示したようになる。図8に示した例は、一様励振分布とした場合に形成されるペンシルビームに対して約4倍のビーム幅となるように励振位相を設定したものであるが、小開口径、すなわち、素子数に起因したリップルがビーム内に生じ、ある角度では相対電力が大きく落ち込んでしまうので所望の性能を実現することが難しい。また、小開口アレーアンテナは素子数が少ないため、位相設定の自由度が不十分となり、励振位相を1つの特定位相に設定する制御のみでのブロードビーム化は困難である。
次に、本実施の形態にかかるアンテナ装置の受信系の動作を説明する。
アンテナ装置は、目標に向けて送信した信号の反射波を受信する場合、目標からの反射波を広角覆域(広い角度範囲)にて受信するために、図2(b)に示すマルチビームを形成する。図2(b)では、ペンシルビーム12から18が受信マルチビームを形成する場合の例を示している。受信マルチビームの形成方法を以下に示す。
目標からの反射波は素子アンテナ11から1mの各々にて受信される。以後、反射波を受信信号と呼ぶ。各素子アンテナで受信された受信信号は送受信モジュール21から2mの各々に入力され、各送受信モジュールは、制御部8からの制御信号に従って受信回路を選択する。各送受信モジュールは、素子アンテナから入力された信号の位相を所望の励振位相分布(アレーアンテナとして所望の指向方向を実現する共相のこと)となるように設定し、合成分配回路3に出力する。合成分配回路3は、制御部8からの制御信号に従って内部の受信系合成回路を選択する。合成分配回路3の受信系合成回路は、各送受信モジュールから入力された受信信号をサブアレー単位で合成する。なお、1つ以上の素子アンテナがサブアレーを形成し、どのアンテナがどのサブアレーを形成するかは予め決められているものとする。
合成分配回路3においてサブアレー単位で合成された受信信号は、サブアレーと同数の受信機51から5nに出力される。受信機51から5nはA/D(Analog/digital)変換器を含んでおり、合成分配回路3から入力されたサブアレー単位の受信信号をディジタル信号に変換する。受信機51から5nの各々でディジタル化された受信信号は、時間平均処理部211から21nへ出力される。時間平均処理部211から21nは、受信機51から5nより入力された、サブアレー毎のディジタル受信信号を前述の励振時間T1とT2の間で時間平均する。なお、時間平均処理部211から21nは、励振時間T1およびT2の通知を励振時間設定部22から受けているので、時間平均処理すべき受信信号は既知である。また、本実施の形態では受信機51から5nと時間平均処理部211から21nとを別構成としているが、これらを一つに纏めた構成としてもよい。すなわち、受信機51から5nが行う処理を時間平均処理部211から21nで行うようにしてもよいし、時間平均処理部211から21nが行う処理を受信機51から5nで行うようにしてもよい。時間平均処理部211から21nで時間平均された受信信号は、DBF部6に出力され、DBF部6は、時間平均処理部211から21nで時間平均された受信信号とビーム本数分の励振係数であるウェイトデータとを用いたディジタル演算処理を行い、所望の覆域をカバーするマルチビームを形成する。具体的には、DBF部6は、時間平均処理部211から21nで時間平均された受信信号の各々に対して励振係数であるウェイトデータを乗算し、さらに、励振係数を乗算した後の受信信号を加算し、所望の覆域をカバーするマルチビームを形成する。DBF部6による演算結果は信号処理部7に出力される。アンテナ装置がレーダ装置を構成している場合、信号処理部7は、DBF部6から出力された演算結果に基づき目標からの反射信号を探知する処理などを行う。
本実施の形態のアンテナ装置におけるマルチビームは、送受積パターンとして得られるものであるが、前述のとおり、送信パターン1本にて覆域内をカバーできるブロードビームとなっているため、マルチビーム間、すなわち、ビーム形成角度方向での利得ばらつきは小さく、捜索目標までの距離を誤認しにくい特徴がある。また、送信パターンのブロードビーム化により、覆域内でビーム走査する時間を省けるので捜索時間を短縮できる。
また、時間変調アレー技術にて任意の励振振幅分布を等価的に得ることが可能なので、励振時間を2Tとすると、2Tが経過する毎に送信パターンにおけるブロードビームのビーム幅をペンシルビームのビーム幅の2倍、3倍などに変更できる。すなわち、アンテナ装置は、2Tが経過するごとに、必要に応じてブロードビームのビーム幅を変更し、最適なビーム幅を選択することが可能である。そのため、例えば、アンテナ装置は、捜索時間内で目標の所在が限定されてきたら、送信ブロードビームによる覆域を目標周辺の狭い範囲に絞り込み、より詳細に捜索するという方法を取るなど、柔軟な動作を実現することができる。ブロードビームのビーム幅をペンシルビームのビーム幅の2倍または3倍とする場合、アンテナ装置において、例えば制御部8が、アンテナ開口10を開口中心からの距離に応じて2つまたは3つの領域に分け、同じ領域内の素子アンテナ群ごとに、すなわち、領域単位で素子アンテナの励振位相を制御するよう、送受信モジュール21から2mに対して指示を行う。同様に、ブロードビームのビーム幅をペンシルビームのビーム幅の5倍以上とすることも可能である。
また、時間変調アレー技術では、送受信モジュールに組み込まれている既存の移相器を制御し、励振位相分布の調整にて、等価的に所望の励振振幅分布を達成するので、直接的に送受信モジュールにて振幅制御による励振振幅分布調整を実施する場合に比べて、ハードウェアの変更が少なく、コスト面でのメリットも大きい。
本実施の形態のアンテナ装置では、送信パターンのブロードビーム化に時間変調アレー技術を用いることとしたが、任意に所望の励振振幅分布を設定可能であることから、サイドローブ抑圧パターン形成、複数ビームパターン形成など成形ビーム化にも対応できる。また、送信系ではなく、受信系にこのビーム形成手法を同一構成にて用いることも可能である。
このように、本実施の形態にかかるアンテナ装置は、複数の素子アンテナと、各素子アンテナに接続された送受信モジュールとを備え、各送受信モジュールは、信号を送信する際、第1の期間である励振時間T1では、各素子アンテナから送信する信号の励振位相を共役関係にある2つ位相の一方に設定し、第1の期間が終了した後の第2の期間である励振時間T2では、各素子アンテナから送信する信号の励振位相を共役関係にある2つ位相の他方に設定する。また、各素子アンテナから送信した信号の反射波をサブアレー単位で合成して得られた受信信号の励振時間T1における時間平均値と励振時間T2における時間平均値とをそれぞれ算出し、サブアレー単位の受信信号の時間平均値に基づいて受信ビームを形成する。これにより、時間変調アレー技術による等価的振幅制御によってアンテナ開口上の励振分布を調整して送信放射パターンのビーム幅をペンシルビームのそれから拡大することができ、捜索時間の短縮を実現できる。特に、小開口アレーアンテナでは、位相制御のみでのビーム幅調整は電気性能的に難しく、また、振幅制御はハードウェアとしての送受信モジュール変更を要するため適用しがたい。この時間変調アレー技術では共役関係にある励振位相分布2状態の繰り返し制御による時間平均から任意の等価的振幅分布を任意に設定できるため、電気性能および適用性に優れる。
また、本実施の形態のアンテナ装置を適用したレーダ装置は、受信マルチビーム形成により捜索時間の短縮を図っているが、時間ウェイト概念を利用した時間変調アレー技術による送信パターンのブロードビーム化により、送信ビーム電子走査時間を必要とせず、更なる捜索時間の短縮を実現できる。また、ビーム幅を任意に調整できるので、捜索覆域範囲を時間的に可変させて、捜索方法を高精度化できる。加えて、時間変調アレー技術の適用により、ハードウェア変更やコスト面で優位となる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1から1m 素子アンテナ、21から2m 送受信モジュール、3 合成分配回路、4 送信機、51から5n 受信機、6 DBF部、7 信号処理部、8 制御部、10 アンテナ開口、211から21n 時間平均処理部、22 励振時間設定部。

Claims (5)

  1. 送受共用の複数の素子アンテナと、
    前記素子アンテナに接続され、前記素子アンテナを介して信号を送受信する、前記素子アンテナと同数の送受信モジュールと、
    前記送受信モジュールの各々が受信した信号をサブアレー単位で合成するとともに、送信機で生成された送信信号を前記送受信モジュールの各々に分配する合成分配回路と、
    前記サブアレー単位で合成された受信信号を時間平均する、前記サブアレーと同数の時間平均処理部と、
    前記時間平均処理部で時間平均された後の受信信号に演算処理を行って受信マルチビームを形成するディジタル・ビーム・フォーミング部と、
    前記送受信モジュールの各々を制御し、規定時間が経過するごとに、前記複数の素子アンテナの各々から送信する信号の励振位相を異なる2つ位相の一方と他方の間で切り替えさせる制御部と、
    を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記異なる2つの位相を共役関係にある2つの位相とする、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記制御部は、前記複数の素子アンテナを、前記複数の素子アンテナによって形成されているアンテナ開口の中心からの距離に基づいて複数の素子アンテナ群に分け、同じ群に属する素子アンテナの各々から送信する信号の励振位相が同じとなるよう、前記送受信モジュールの各々を制御する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記素子アンテナ群の数を可変とする、
    ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載のアンテナ装置を備えたことを特徴とするレーダ装置。
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