本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
実施形態1の調湿装置(1)について、図1を参照しながら説明する。この調湿装置(1)は、倉庫や保管庫などの室内空間を除湿するためのものである。
調湿装置(1)は、室外ユニット(10)と室内ユニット(15)とを備えている。また、調湿装置(1)は、吸収剤回路(20)と冷媒回路(40)とを備えている。吸収剤回路(20)は、室外ユニット(10)と室内ユニット(15)を液体吸収剤用の配管で接続することによって構成される。冷媒回路(40)は、室外ユニット(10)と室内ユニット(15)を冷媒用の配管で接続することによって構成される。
〈室外ユニット、室内ユニット〉
室外ユニット(10)は、室外空間に設置される。室外ユニット(10)には、第1再生用空気通路(11a)と第2再生用空気通路(11b)とが形成されている。図示しないが、室外ユニット(10)には、室外ファンが設けられている。室外ファンが作動すると、室外空気が再生用空気として室外ユニット(10)へ吸い込まれ、第1再生用空気通路(11a)と第2再生用空気通路(11b)のそれぞれを再生用空気が流れる。
なお、室外ユニット(10)は、第1再生用空気通路(11a)へ再生用空気を送るための第1の室外ファンと第2再生用空気通路(11b)へ再生用空気を送るための第2の室外ファンを備えていてもよいし、両方の再生用空気通路(11a,11b)へ再生空気を一つの室外ファンを備えていてもよい。
室内ユニット(15)は、倉庫や保管庫などの室内空間に設置される。室内ユニット(15)には、被処理空気通路(16)が形成されている。図示しないが、室内ユニット(15)には、室内ファンが設けられている。室内ファンが作動すると、室内空気が被処理空気として室内ユニット(15)へ吸い込まれ、被処理空気通路(16)を被処理空気が流れる。
〈吸収剤回路〉
吸収剤回路(20)は、液体吸収剤である塩化リチウム水溶液を循環させるための閉回路である。この吸収剤回路(20)では、調湿モジュール(30)と、前処理モジュール(31)と、ポンプ(21)と、前段再生モジュール(35)と、後段再生モジュール(36)とが、順に直列に配置されている。なお、液体吸収剤は、塩化リチウム水溶液には限られず、空気中の水分(水蒸気)を吸収できる液体であればよい。また、ポンプ(21)は、室外ユニット(10)に設置されている。
吸収剤回路(20)に設けられた各モジュール(30,31,35,36)は、液体吸収剤と空気の間における水分の授受を行うためのものである。図示しないが、各モジュール(30,31,35,36)は、透湿膜を備えている。透湿膜は、液体吸収剤を透過させずに水蒸気を透過させる膜である。この透湿膜としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、四ふっ化エチレン樹脂)等のふっ素樹脂から成る疎水性多孔膜を用いることができる。また、各モジュール(30,31,35,36)には、透湿膜によって仕切られた空気の流路と液体吸収剤の流路とが形成されている。各モジュール(30,31,35,36)では、吸収剤回路(20)を循環する液体吸収剤が、液体吸収剤の流路を流れる間に空気との間で水分を授受する。
調湿モジュール(30)は、室内ユニット(15)の被処理空気通路(16)に配置されている。調湿モジュール(30)に形成された空気の流路は、被処理空気通路(16)に連通している。被処理空気通路(16)を流れる被処理空気は、その全量が調湿モジュール(30)を通過する。調湿モジュール(30)は、被処理空気中の水分を液体吸収剤に吸収させる調湿部(25)を構成している。
前処理モジュール(31)は、室外ユニット(10)の第1再生用空気通路(11a)に配置されている。前処理モジュール(31)に形成された空気の流路は、第1再生用空気通路(11a)に連通している。第1再生用空気通路(11a)を流れる再生用空気は、その全量が前処理モジュール(31)を通過する。前処理モジュール(31)は、後段再生モジュール(36)へ送られる再生用空気中の水分を液体吸収剤に吸収させる前処理部(26)を構成している。
前段再生モジュール(35)は、室外ユニット(10)の第2再生用空気通路(11b)に配置されている。前段再生モジュール(35)に形成された空気の流路は、第2再生用空気通路(11b)に連通している。第2再生用空気通路(11b)を流れる再生用空気は、その全量が前段再生モジュール(35)を通過する。前段再生モジュール(35)は、液体吸収剤に再生用空気へ水分を放出させる前段再生部(28)を構成している。
後段再生モジュール(36)は、室外ユニット(10)の第1再生用空気通路(11a)における前処理モジュール(31)の下流に配置されている。後段再生モジュール(36)に形成された空気の流路は、第1再生用空気通路(11a)に連通している。第1再生用空気通路(11a)を流れる再生用空気は、その全量が後段再生モジュール(36)を通過する。後段再生モジュール(36)は、液体吸収剤に再生用空気へ水分を放出させる後段再生部(29)を構成している。
本実施形態の調湿装置(1)では、後段再生モジュール(36)と前段再生モジュール(35)とによって、再生部(27)が構成されている。
〈冷媒回路〉
冷媒回路(40)は、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行うための閉回路である。冷媒回路(40)には、圧縮機(41)と、調湿側回路(50)と、前処理側回路(51)と、前段再生側回路(55)と、後段再生側回路(56)とが設けられている。冷媒回路(40)では、調湿側回路(50)と前処理側回路(51)とが互いに並列に接続され、前段再生側回路(55)と後段再生側回路(56)とが互いに並列に接続されている。
調湿側回路(50)には、その一端から他端に向かって順に、調湿側熱交換器(60)と調湿側膨張弁(70)とが直列に配置されている。前処理側回路(51)には、その一端から他端に向かって順に、前処理側熱交換器(61)と前処理側膨張弁(71)とが直列に配置されている。調湿側回路(50)と前処理側回路(51)は、それぞれの一端が圧縮機(41)の吸入側に接続され、それぞれの他端が互いに接続されている。
前段再生側回路(55)には、その一端から他端に向かって順に、前段再生側熱交換器(65)と前段再生側膨張弁(75)とが直列に配置されている。後段再生側回路(56)には、その一端から他端に向かって順に、後段再生側熱交換器(66)と後段再生側膨張弁(76)とが直列に配置されている。前段再生側回路(55)と後段再生側回路(56)は、それぞれの一端が圧縮機(41)の吐出側に接続され、それぞれの他端が調湿側回路(50)及び前処理側回路(51)の他端に接続されている。
冷媒回路(40)に設けられた熱交換器(60,61,65,66)は、対応するモジュール(30,31,35,36)の液体吸収剤の流路に設置されている。具体的に、調湿側熱交換器(60)は調湿モジュール(30)の液体吸収剤の流路に設置され、前処理側熱交換器(61)は前処理モジュール(31)の液体吸収剤の流路に設置され、前段再生側熱交換器(65)は前段再生モジュール(35)の液体吸収剤の流路に設置され、後段再生側熱交換器(66)は後段再生モジュール(36)の液体吸収剤の流路に設置されている。
冷媒回路(40)に設けられた熱交換器(60,61,65,66)は、冷媒が流れる伝熱管を備えており、冷媒回路(40)の冷媒を液体吸収剤と熱交換させるように構成されている。調湿側熱交換器(60)及び前処理側熱交換器(61)は、蒸発器として機能する熱交換器であって、冷媒によって液体吸収剤を冷却する。調湿側熱交換器(60)及び前処理側熱交換器(61)は、冷却器(45)を構成しており、液体吸収剤に空気中の水分を吸収させるために液体吸収剤を冷却する。前段再生側熱交換器(65)及び後段再生側熱交換器(66)は、凝縮器として機能する熱交換器であって、冷媒によって液体吸収剤を加熱する。前段再生側熱交換器(65)及び後段再生側熱交換器(66)は、加熱器(46)を構成しており、液体吸収剤を再生するために液体吸収剤を加熱する。
冷媒回路(40)に設けられた膨張弁(70,71,75,76)は、いわゆる電子膨張弁であって、対応する熱交換器(60,61,65,66)における冷媒の流量を調節する。調湿側膨張弁(70)は、室内ユニット(15)に設けられている。前処理側膨張弁(71)と前段再生側膨張弁(75)と後段再生側膨張弁(76)とは、圧縮機(41)と共に室外ユニット(10)に設けられている。
−運転動作−
調湿装置(1)の運転動作について説明する。調湿装置(1)は、室内ユニット(15)が設置された室内空間の除湿を行う。
調湿装置(1)の運転中には、被処理空気通路(16)において、被処理空気として室内ユニット(15)に吸い込まれた室内空気(RA)が流れる。また、第1再生用空気通路(11a)と第2再生用空気通路(11b)のそれぞれにおいて、再生用空気として室外ユニット(10)に吸い込まれた室外空気(OA)が流れる。
〈冷媒回路の動作〉
調湿装置(1)の運転中には、冷媒回路(40)の圧縮機(41)が作動し、冷媒回路(40)において蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(40)では、前段再生側熱交換器(65)及び後段再生側熱交換器(66)が凝縮器として機能し、調湿側熱交換器(60)及び前処理側熱交換器(61)が蒸発器として機能する。
具体的に、圧縮機(41)から吐出された冷媒は、その一部が前段再生側回路(55)へ流入し、残りが後段再生側回路(56)へ流入する。前段再生側回路(55)へ流入した冷媒は、前段再生側熱交換器(65)において液体吸収剤へ放熱して凝縮し、その後に前段再生側膨張弁(75)を通過する。後段再生側回路(56)へ流入した冷媒は、後段再生側熱交換器(66)において液体吸収剤へ放熱して凝縮し、その後に後段再生側膨張弁(76)を通過する。冷媒回路(40)では、前段再生側膨張弁(75)を通過した冷媒と後段再生側膨張弁(76)を通過した冷媒とが合流する。前段再生側熱交換器(65)における冷媒の凝縮温度と、後段再生側熱交換器(66)における冷媒の凝縮温度とは、実質的に等しい。
その後、冷媒は、その一部が調湿側回路(50)へ流入し、残りが前処理側回路(51)へ流入する。調湿側回路(50)へ流入した冷媒は、調湿側膨張弁(70)を通過する際に膨張した後に調湿側熱交換器(60)へ流入し、液体吸収剤から吸熱して蒸発する。前処理側回路(51)へ流入した冷媒は、前処理側膨張弁(71)を通過する際に膨張した後に前処理側熱交換器(61)へ流入し、液体吸収剤から吸熱して蒸発する。調湿側熱交換器(60)において蒸発した冷媒と前処理側熱交換器(61)において蒸発した冷媒とは、合流した後に圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。調湿側熱交換器(60)における冷媒の蒸発温度と、前処理側熱交換器(61)における冷媒の蒸発温度とは、実質的に等しい。
〈吸収剤回路の動作〉
調湿装置(1)の運転中には、吸収剤回路(20)のポンプ(21)が作動し、吸収剤回路(20)において液体吸収剤が循環する。吸収剤回路(20)を循環する液体吸収剤は、調湿モジュール(30)と前処理モジュール(31)と前段再生モジュール(35)と後段再生モジュール(36)とを順に通過した後に、再び調湿モジュール(30)へ流入する。吸収剤回路(20)では、調湿モジュール(30)及び前処理モジュール(31)において水分を吸収した液体吸収剤が、前段再生モジュール(35)及び後段再生モジュール(36)において再生される。
被処理空気通路(16)に設けられた調湿モジュール(30)では、被処理空気に含まれる水分(水蒸気)を、液体吸収剤が吸収する。その結果、調湿モジュール(30)では、被処理空気の絶対湿度が低下し、液体吸収剤の濃度(即ち、塩化リチウムの濃度)が低下する。調湿モジュール(30)において除湿された被処理空気は、供給空気(SA)として室内へ供給される。一方、調湿モジュール(30)から流出した液体吸収剤は、前処理モジュール(31)へ送られる。
調湿モジュール(30)では、液体吸収剤が水分を吸収する際に吸収熱が発生する。一方、調湿モジュール(30)では、被処理空気中の水分を吸収しつつある液体吸収剤が、調湿側熱交換器(60)を流れる冷媒によって冷却される。このため、調湿モジュール(30)では、発生した吸収熱を冷媒が吸熱することによって、液体吸収剤の温度が低く抑えられる。
第2再生用空気通路(11b)に設けられた前処理モジュール(31)では、第2再生用空気通路(11b)へ再生用空気として流入した室外空気に含まれる水分(水蒸気)を、液体吸収剤が吸収する。その結果、前処理モジュール(31)では、再生用空気の絶対湿度が低下し、液体吸収剤の濃度が低下する。前処理モジュール(31)において除湿された再生用空気は、第2再生用空気通路(11b)を通って後段再生モジュール(36)へ供給される。一方、前処理モジュール(31)から流出した液体吸収剤は、前段再生モジュール(35)へ送られる。
前処理モジュール(31)では、液体吸収剤が水分を吸収する際に吸収熱が発生する。一方、前処理モジュール(31)では、再生用空気中の水分を吸収しつつある液体吸収剤が、前処理側熱交換器(61)を流れる冷媒によって冷却される。このため、前処理モジュール(31)では、発生した吸収熱を冷媒が吸熱することによって、液体吸収剤の温度が低く抑えられる。
ここで、前処理モジュール(31)へは、室外ユニット(10)に吸い込まれた室外空気が、そのままの状態で再生用空気として供給される。一方、室内ユニット(15)は、室内空間から被処理空気として吸い込んだ室内空気を、調湿モジュール(30)において除湿してから室内空間へ送り返している。従って、通常、前処理モジュール(31)へ再生用空気として供給される室外空気に含まれる水分量は、調湿モジュール(30)へ被処理空気として供給される室内空気に含まれる水分量よりも多い。このため、前処理モジュール(31)では、調湿モジュール(30)において水分を吸収した液体吸収剤に、再生用空気としての室外空気に含まれる水分を吸収させることができる。
第1再生用空気通路(11a)に設けられた前段再生モジュール(35)では、前処理モジュール(31)から供給された液体吸収剤が、前段再生側熱交換器(65)を流れる冷媒によって加熱される。そして、前段再生モジュール(35)では、第1再生用空気通路(11a)へ再生用空気として吸い込まれた室外空気に対して、液体吸収剤が水分を放出する。その結果、前段再生モジュール(35)では、液体吸収剤の濃度が上昇し、再生用空気の絶対湿度が上昇する。このように、前段再生モジュール(35)では、再生用空気に対して水分を放出しつつある液体吸収剤が、冷媒によって加熱される。
前段再生モジュール(35)において濃度が上昇した(即ち、再生された)液体吸収剤は、後段再生モジュール(36)へ送られる。一方、前段再生モジュール(35)において加湿された再生用空気は、排出空気(EA)として室外へ排出される。
第2再生用空気通路(11b)に設けられた後段再生モジュール(36)では、前段再生モジュール(35)から供給された液体吸収剤が、後段再生側熱交換器(66)を流れる冷媒によって加熱される。そして、後段再生モジュール(36)では、前処理モジュール(31)において除湿された再生用空気に対して、液体吸収剤が水分を放出する。その結果、後段再生モジュール(36)では、液体吸収剤の濃度が更に上昇し、再生用空気の絶対湿度が上昇する。このように、後段再生モジュール(36)では、再生用空気に対して水分を放出しつつある液体吸収剤が、冷媒によって加熱される。
後段再生モジュール(36)において濃度が上昇した(即ち、再生された)液体吸収剤は、調湿モジュール(30)へ送られる。一方、後段再生モジュール(36)において加湿された再生用空気は、排出空気(EA)として室外へ排出される。
ここで、前段再生側熱交換器(65)と後段再生側熱交換器(66)は、それぞれにおける冷媒の凝縮温度が実質的に等しい。従って、後段再生モジュール(36)を流れる液体吸収剤の温度は、前段再生モジュール(35)を流れる液体吸収剤の温度と同程度か若干高い程度となる。一方、後段再生モジュール(36)へ供給される再生用空気に含まれる水分量は、前段再生モジュール(35)へ供給される再生用空気に含まれる水分量よりも少ない。このため、後段再生モジュール(36)では、前段再生モジュール(35)において水分を放出した液体吸収剤が、再生用空気に対して水分を更に放出する。
−実施形態1の効果−
本実施形態の調湿装置(1)では、室外ユニット(10)へ吸い込まれたままの状態の室外空気ではなく、前処理モジュール(31)において予め除湿された室外空気が、再生用空気として後段再生モジュール(36)へ供給される。このため、後段再生モジュール(36)を流れる液体吸収剤の温度を上昇させることなく、後段再生モジュール(36)において液体吸収剤が放出する水分量を、室外空気をそのままの状態で再生用空気として後段再生モジュール(36)へ供給する場合に比べて、増加させることができる。
後段再生モジュール(36)において液体吸収剤が放出する水分量が増加すると、後段再生モジュール(36)から調湿モジュール(30)へ供給される液体吸収剤の濃度が上昇し、調湿モジュール(30)において液体吸収剤が吸収する水分量が増加する。その結果、室内ユニット(15)が室内へ供給する被処理空気の絶対湿度が低下する。
このように、本実施形態によれば、後段再生モジュール(36)を流れる液体吸収剤の温度を上昇させることなく、室内ユニット(15)が室内へ供給する被処理空気の絶対湿度を引き下げることができる。従って、本実施形態によれば、圧縮機(41)の消費電力の増加を抑えることによって調湿装置(1)の消費電力の増加を抑えつつ、室内ユニット(15)が室内へ供給する被処理空気の絶対湿度を引き下げることができる。
また、本実施形態の調湿装置(1)では、前段再生モジュール(35)へは、室外ユニット(10)へ吸い込まれた室外空気がそのままの状態で再生用空気として供給される一方、後段再生モジュール(36)へは、前処理モジュール(31)において予め除湿された室外空気が再生用空気として供給される。このため、前段再生側熱交換器(65)と後段再生側熱交換器(66)のそれぞれにおける冷媒の凝縮温度を同程度に保ちつつ、前段再生モジュール(35)において水分を放出した液体吸収剤を、後段再生モジュール(36)において更に再生することができる。
ところで、上述したように、前処理モジュール(31)へ再生用空気として供給される室外空気に含まれる水分量は、調湿モジュール(30)へ被処理空気として供給される室内空気に含まれる水分量よりも多いのが通常である。従って、室外空気を再生用空気として吸い込み、室内空気を被処理空気として吸い込む調湿装置では、水分含有量の多い室外空気を用いて再生した液体吸収剤によって、水分含有量の少ない室内空気を除湿することになる。
水分含有量の少ない室内空気を除湿するには、比較的濃度の高い液体吸収剤を調湿モジュール(30)へ供給する必要がある。ところが、一般的な冷凍サイクル(ヒートポンプ(21)サイクル)によって得られる温熱は、50℃程度である。このため、室外空気を再生用空気として吸い込み、室内空気を被処理空気として吸い込む従来の調湿装置では、液体吸収剤を再生するための熱源として比較的COP(成績係数)の高い冷凍サイクルを採用するのが困難であり、電気ヒータ等のCOPの低い熱源を採用しなければならなかった。
これに対し、本実施形態の調湿装置(1)では、前処理モジュール(31)によって除湿した再生用空気を後段再生モジュール(36)へ供給しているため、後段再生モジュール(36)における液体吸収剤の温度を低く抑えつつ、充分に高い濃度の液体吸収剤を調湿モジュール(30)へ供給することができる。従って、本実施形態によれば、室外空気を再生用空気として吸い込み、室内空気を被処理空気として吸い込む調湿装置においても、液体吸収剤を再生するための熱源として比較的COP(成績係数)の高い冷凍サイクルを採用することができ、この種の調湿装置の消費電力を低く抑えることが可能となる。
《実施形態2》
実施形態2について、図2を参照しながら説明する。本実施形態の調湿装置(1)は、実施形態1の調湿装置(1)において、吸収剤回路(20)及び冷媒回路(40)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の調湿装置(1)について、実施形態1の調湿装置(1)と異なる点を説明する。
〈吸収剤回路〉
本実施形態の吸収剤回路(20)には、実施形態1の前段再生モジュール(35)及び後段再生モジュール(36)に代えて、放湿モジュール(37)が設けられている。吸収剤回路(20)において、放湿モジュール(37)は、ポンプ(21)と調湿モジュール(30)の間に配置されている。
放湿モジュール(37)には、実施形態1の前段再生モジュール(35)及び後段再生モジュール(36)と同様に、透湿膜によって仕切られた空気の流路と液体吸収剤の流路とが形成されている。放湿モジュール(37)では、吸収剤回路(20)を循環する液体吸収剤が、液体吸収剤の流路を流れる間に空気へ水分を放出する。この放湿モジュール(37)は、前処理モジュール(31)を通過した液体吸収剤に再生用空気へ水分を放出させる再生部(27)を構成している。
放湿モジュール(37)は、室外ユニット(10)の第1再生用空気通路(11a)と第2再生用空気通路(11b)の両方に跨がって配置されている。放湿モジュール(37)のうち第2再生用空気通路(11b)に配置された部分は、第2再生用空気通路(11b)を流れる再生用空気へ液体吸収剤に水分を放出させる前段再生部(28)を構成している。放湿モジュール(37)のうち第1再生用空気通路(11a)に配置された部分は、前処理モジュール(31)において除湿された再生用空気へ液体吸収剤に水分を放出させる後段再生部(29)を構成している。つまり、本実施形態の調湿装置(1)では、前段再生部(28)と後段再生部(29)とが一体化されている。
〈冷媒回路〉
本実施形態の冷媒回路(40)には、実施形態1の前段再生側回路(55)及び後段再生側回路(56)に代えて、放湿側熱交換器(67)が設けられている。放湿側熱交換器(67)は、そのガス側端が圧縮機(41)の吐出側に接続され、その液側端が調湿側回路(50)及び前処理側回路(51)の他端に接続されている。この放湿側熱交換器(67)は、放湿モジュール(37)の液体吸収剤の流路に設置されている。
放湿側熱交換器(67)は、冷媒が流れる伝熱管を備えており、冷媒回路(40)の冷媒を液体吸収剤と熱交換させるように構成されている。放湿側熱交換器(67)は、凝縮器として機能する熱交換器であって、冷媒によって液体吸収剤を加熱する。放湿側熱交換器(67)は、加熱器(46)を構成しており、液体吸収剤を再生するために液体吸収剤を加熱する。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(1)は、実施形態1の調湿装置(1)と同様に、室内ユニット(15)が設置された室内空間の除湿を行う。
〈冷媒回路の動作〉
調湿装置(1)の運転中には、冷媒回路(40)の圧縮機(41)が作動し、冷媒回路(40)において蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(40)では、放湿側熱交換器(67)が凝縮器として機能し、調湿側熱交換器(60)及び前処理側熱交換器(61)が蒸発器として機能する。
具体的に、圧縮機(41)から吐出された冷媒は、放湿側熱交換器(67)へ流入し、液体吸収剤へ放熱して凝縮する。放湿側熱交換器(67)から流出した冷媒は、その一部が調湿側回路(50)へ流入し、残りが前処理側回路(51)へ流入する。実施形態1と同様に、調湿側回路(50)へ流入した冷媒は調湿側熱交換器(60)において蒸発した後に圧縮機(41)へ吸入され、前処理側回路(51)へ流入した冷媒は前処理側熱交換器(61)において蒸発した後に圧縮機(41)へ吸入される。
〈吸収剤回路の動作〉
調湿装置(1)の運転中には、吸収剤回路(20)のポンプ(21)が作動し、吸収剤回路(20)において液体吸収剤が循環する。吸収剤回路(20)を循環する液体吸収剤は、調湿モジュール(30)と前処理モジュール(31)と放湿モジュール(37)とを順に通過した後に、再び調湿モジュール(30)へ流入する。吸収剤回路(20)では、調湿モジュール(30)及び前処理モジュール(31)において水分を吸収した液体吸収剤が、放湿モジュール(37)において再生される。
吸収剤回路(20)において、前処理モジュール(31)から流出した液体吸収剤は、放湿モジュール(37)のうち第1再生用空気通路(11a)に配置された部分である前段再生部(28)へ流入する。
前段再生部(28)では、前処理モジュール(31)から供給された液体吸収剤が、放湿側熱交換器(67)を流れる冷媒によって加熱される。そして、実施形態1の前段再生モジュール(35)と同様に、前段再生部(28)では、第1再生用空気通路(11a)へ再生用空気として吸い込まれた室外空気に対して、液体吸収剤が水分を放出する。前段再生部(28)において水分を放出した液体吸収剤は、放湿モジュール(37)のうち第2再生用空気通路(11b)に配置された部分である後段再生部(29)へ流入する。
後段再生部(29)では、前段再生部(28)から流入した液体吸収剤が、放湿側熱交換器(67)を流れる冷媒によって加熱される。そして、後段再生部(29)では、前処理モジュール(31)において除湿された再生用空気に対して、液体吸収剤が水分を放出する。後段再生部(29)において濃度が上昇した(即ち、再生された)液体吸収剤は、調湿モジュール(30)へ送られる。
−実施形態2の効果−
本実施形態の調湿装置(1)では、前段再生部(28)と後段再生部(29)が一つの放湿モジュール(37)によって構成され、この一つの放湿モジュール(37)に一つの放湿側熱交換器(67)が配置されている。このため、本実施形態によれば、実施形態1に比べて、吸収剤回路(20)及び冷媒回路(40)の構成を簡素化することができる。
《実施形態3》
実施形態3について、図3を参照しながら説明する。本実施形態の調湿装置(1)は、実施形態2の調湿装置(1)において、室外ユニット(10)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の調湿装置(1)について、実施形態2の調湿装置(1)と異なる点を説明する。
本実施形態の室外ユニット(10)には、実施形態2の第1再生用空気通路(11a)及び第2再生用空気通路(11b)に代えて、一つの再生用空気通路(11)が設けられている。図示しないが、室外ユニット(10)には、室外ファンが設けられている。室外ファンが作動すると、室外空気が再生用空気として室外ユニット(10)へ吸い込まれて再生用空気通路(11)を流れる。
再生用空気通路(11)には、前処理モジュール(31)と放湿モジュール(37)とが設置されている。再生用空気通路(11)において、放湿モジュール(37)は前処理モジュール(31)の下流に配置されている。本実施形態の放湿モジュール(37)は、その全体が再生用空気通路(11)に配置されている。再生用空気通路(11)を流れる再生用空気は、その全量が前処理モジュール(31)と放湿モジュール(37)とを順に通過する。
本実施形態の調湿装置(1)では、再生部(27)を構成する放湿モジュール(37)に対して、前処理モジュール(31)において除湿された空気だけが再生用空気として供給される。前処理モジュール(31)から放湿モジュール(37)へ供給された液体吸収剤は、放湿側熱交換器(67)を流れる冷媒によって加熱され、前処理モジュール(31)において除湿された再生空気に対して水分を放出する。
《実施形態4》
実施形態4について、図4を参照しながら説明する。本実施形態の調湿装置(1)は、実施形態1の調湿装置(1)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態の調湿装置(1)について、実施形態1の調湿装置(1)と異なる点を説明する。
本実施形態の調湿装置(1)は、一つのユニットによって構成されている。つまり、本変形例では、調湿装置(1)を構成する一つのユニットに第1再生用空気通路(11a)と第2再生用空気通路(11b)と被処理空気通路(16)とが形成されている。
〈吸収剤回路〉
本実施形態の吸収剤回路(20)には、実施形態1の調湿モジュール(30)及び前処理モジュール(31)に代えて、吸湿モジュール(32)が設けられている。吸収剤回路(20)において、吸湿モジュール(32)は、後段再生モジュール(36)とポンプ(21)の間に配置されている。
吸湿モジュール(32)には、実施形態1の調湿モジュール(30)及び前処理モジュール(31)と同様に、透湿膜によって仕切られた空気の流路と液体吸収剤の流路とが形成されている。吸湿モジュール(32)では、吸収剤回路(20)を循環する液体吸収剤が、液体吸収剤の流路を流れる間に空気から水分を吸収する。
吸湿モジュール(32)は、被処理空気通路(16)と第2再生用空気通路(11b)の両方に跨がって配置されている。吸湿モジュール(32)のうち被処理空気通路(16)に配置された部分は、被処理空気中の水分を液体吸収剤に吸収させる調湿部(25)を構成している。吸湿モジュール(32)のうち第2再生用空気通路(11b)に配置された部分は、後段再生モジュール(36)へ送られる再生用空気中の水分を液体吸収剤に吸収させる前処理部(26)を構成している。つまり、本実施形態の調湿装置(1)では、調湿部(25)と前処理部(26)とが一体化されている。
〈冷媒回路〉
本実施形態の冷媒回路(40)には、実施形態1の調湿側回路(50)及び前処理側回路(51)に代えて、吸湿側熱交換器(62)が設けられている。また、この冷媒回路(40)には、吸湿側膨張弁(72)が設けられている。吸湿側熱交換器(62)は、そのガス側端が圧縮機(41)の吸入側に接続され、その液側端が吸湿側膨張弁(72)の一端に接続されている。吸湿側膨張弁(72)の他端は、前段再生側回路(55)及び後段再生側回路(56)の他端に接続されている。この吸湿側熱交換器(62)は、吸湿モジュール(32)の液体吸収剤の流路に設置されている。
吸湿側熱交換器(62)は、冷媒が流れる伝熱管を備えており、冷媒回路(40)の冷媒を液体吸収剤と熱交換させるように構成されている。吸湿側熱交換器(62)は、蒸発器として機能する熱交換器であって、冷媒によって液体吸収剤を冷却する。吸湿側熱交換器(62)は、冷却器(45)を構成しており、液体吸収剤に空気中の水分を吸収させるために液体吸収剤を冷却する。
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(1)は、実施形態1の調湿装置(1)と同様に、室内ユニット(15)が設置された室内空間の除湿を行う。
〈冷媒回路の動作〉
調湿装置(1)の運転中には、冷媒回路(40)の圧縮機(41)が作動し、冷媒回路(40)において蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(40)では、前段再生側熱交換器(65)及び後段再生側熱交換器(66)が凝縮器として機能し、吸湿側熱交換器(62)が蒸発器として機能する。
具体的に、圧縮機(41)から吐出された冷媒は、実施形態1と同様に、前段再生側回路(55)と後段再生側回路(56)へ分かれて流入し、前段再生側熱交換器(65)と後段再生側熱交換器(66)のそれぞれにおいて凝縮する。冷媒回路(40)では、実施形態1と同様に、前段再生側回路(55)を通過した冷媒と後段再生側回路(56)を通過した冷媒とが合流する。
その後、冷媒は、吸湿側膨張弁(72)を通過する際に膨張し、その後に吸湿側熱交換器(62)へ流入する。吸湿側熱交換器(62)では、流入した冷媒が液体吸収剤から吸熱して蒸発する。吸湿側熱交換器(62)において蒸発した冷媒は、圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
〈吸収剤回路の動作〉
調湿装置(1)の運転中には、吸収剤回路(20)のポンプ(21)が作動し、吸収剤回路(20)において液体吸収剤が循環する。吸収剤回路(20)を循環する液体吸収剤は、吸湿モジュール(32)と前段再生モジュール(35)と後段再生モジュール(36)とを順に通過した後に、再び吸湿モジュール(32)へ流入する。吸収剤回路(20)では、吸湿モジュール(32)において水分を吸収した液体吸収剤が、前段再生モジュール(35)及び後段再生モジュール(36)において再生される。
吸収剤回路(20)において、後段再生モジュール(36)から流出した液体吸収剤は、吸湿モジュール(32)のうち被処理空気通路(16)に配置された部分である調湿部(25)へ流入する。調湿部(25)では、後段再生モジュール(36)から供給された液体吸収剤が、吸湿側熱交換器(62)を流れる冷媒によって冷却される。そして、実施形態1の調湿モジュール(30)と同様に、調湿部(25)では、被処理空気通路(16)へ被処理空気として吸い込まれた室内空気に含まれる水分を、液体吸収剤が吸収する。調湿部(25)において水分を吸収した液体吸収剤は、吸湿モジュール(32)のうち第2再生用空気通路(11b)に配置された部分である前処理部(26)へ流入する。
前処理部(26)では、調湿部(25)から流入した液体吸収剤が、放湿側熱交換器(67)を流れる冷媒によって冷却される。そして、前処理部(26)では、第2再生用空気通路(11b)へ再生用空気として吸い込まれた室外空気に含まれる水分を、液体吸収剤が吸収する。前処理部(26)において水分を吸収した液体吸収剤は、前段再生モジュール(35)へ送られる。
−実施形態4の効果−
本実施形態の調湿装置(1)では、調湿部(25)と前処理部(26)が一つの吸湿モジュール(32)によって構成され、この一つの吸湿モジュール(32)に一つの吸湿側熱交換器(62)が配置されている。このため、本実施形態によれば、実施形態1に比べて、吸収剤回路(20)及び冷媒回路(40)の構成を簡素化することができる。
−実施形態4の変形例−
実施形態1の調湿装置(1)だけでなく、実施形態2及び3の調湿装置(1)においても、調湿部(25)と前処理部(26)を一つの吸湿モジュール(32)によって構成し、この一つの吸湿モジュール(32)に一つの吸湿側熱交換器(62)を配置することは可能である。ここでは、実施形態2の調湿装置(1)において、調湿部(25)と前処理部(26)を一つの吸湿モジュール(32)で構成し、この吸湿モジュール(32)に一つの吸湿側熱交換器(62)を配置したものについて、図5を参照しながら説明する。
本変形例の調湿装置(1)では、吸収剤回路(20)に吸湿モジュール(32)と放湿モジュール(37)とが設けられる。吸湿モジュール(32)は、被処理空気通路(16)と第2再生用空気通路(11b)の両方に跨がって配置され、被処理空気通路(16)に配置された部分が調湿部(25)を構成し、第2再生用空気通路(11b)に配置された部分が前処理部(26)を構成している。放湿モジュール(37)は、第1再生用空気通路(11a)と第2再生用空気通路(11b)の両方に跨がって配置され、第2再生用空気通路(11b)に配置された部分が前段再生部(28)を構成し、第1再生用空気通路(11a)に配置された部分が後段再生部(29)を構成している。
本変形例の冷媒回路(40)では、圧縮機(41)の吐出側から吸入側へ向かって順に、放湿側熱交換器(67)と吸湿側膨張弁(72)と吸湿側熱交換器(62)とが直列に配置されている。放湿側熱交換器(67)は放湿モジュール(37)に設けられ、吸湿側熱交換器(62)は吸湿モジュール(32)に設けられる。
吸収剤回路(20)では、吸湿モジュール(32)と放湿モジュール(37)の間を液体級取材が循環する。一方、冷媒回路(40)では、冷凍サイクルが行われ、放湿側熱交換器(67)が凝縮器として機能し、吸湿側熱交換器(62)が蒸発器として機能する。
そして、調湿装置(1)では、被処理空気通路(16)へ被処理空気として吸い込まれた室内空気が、調湿部(25)を通過する際に除湿され、その後に室内へ供給される。また、第2再生用空気通路(11b)へ再生用空気として吸い込まれた室外空気は、前処理部(26)を通過する際に除湿された後に後段再生部(29)へ供給され、後段再生部(29)において液体吸収剤が放出した水分と共に室外へ排出される。また、第1再生用空気通路(11a)へ再生用空気として吸い込まれた室外空気は、前段再生部(28)において液体吸収剤が放出した水分と共に室外へ排出される。
《その他の実施形態》
−第1変形例−
実施形態1〜4の調湿装置(1)では、前処理部(26)において除湿された空気と、前処理部(26)において除湿されなかった空気との混合空気を、再生用空気として再生部(27)へ供給してもよい。ここでは、本変形例を実施形態3の調湿装置(1)に適用したものについて、図6を参照しながら説明する。
室外ユニット(10)の再生用空気通路(11)は、その前半部分が第1分岐通路(12)と第2分岐通路(13)に仕切られる。前処理部(26)を構成する前処理モジュール(31)は、第2分岐通路(13)に配置される。一方、再生部(27)を構成する放湿モジュール(37)は、再生用空気通路(11)の後半部分に配置される。第1分岐通路(12)を流れる再生用空気(即ち、前処理部(26)によって除湿されなかった室外空気)と、第2分岐通路(13)を流れる再生用空気(即ち、前処理部(26)によって除湿された室外空気)とは、合流した後に放湿モジュール(37)へ供給される。
なお、本変形例を実施形態1,2,4の調湿装置(1)に適用した場合は、第2再生用空気通路(11b)における前処理部(26)と後段再生部(29)の間に、前処理部(26)によって除湿されなかった室外空気が導入される。
−第2変形例−
実施形態1〜4の調湿装置(1)では、冷媒回路(40)の熱交換器(60,61,62,65,66,67)が吸収剤回路(20)のモジュール(30,31,32,35,36,37)の外部に設けられていてもよい。この場合、熱交換器(60,61,62,65,66,67)は、吸収剤回路(20)に接続され、対応するモジュール(30,31,32,35,36,37)へ流入する液体吸収剤を冷媒と熱交換させる。ここでは、本変形例を実施形態1の調湿装置(1)に適用したものについて、図7を参照しながら説明する。
本変形例の調湿側熱交換器(60)、前処理側熱交換器(61)、前段再生側熱交換器(65)、及び後段再生側熱交換器(66)は、例えばプレート式熱交換器によって構成されている。これらの熱交換器(60,61,65,66)は、吸収剤回路(20)に設けられ、液体吸収剤を冷媒と熱交換させるように構成されている。
本変形例の調湿側熱交換器(60)は、液体吸収剤の循環方向における調湿モジュール(30)の直前に配置されている。この調湿側熱交換器(60)は、後段再生モジュール(36)から調湿モジュール(30)へ供給される液体吸収剤を、冷媒と熱交換させて冷却する。調湿モジュール(30)では、調湿側熱交換器(60)において冷却された液体吸収剤が、被処理空気から水分を吸収する。
本変形例の前処理側熱交換器(61)は、液体吸収剤の循環方向における前処理モジュール(31)の直前に配置されている。この前処理側熱交換器(61)は、調湿モジュール(30)から前処理モジュール(31)へ供給される液体吸収剤を、冷媒と熱交換させて冷却する。前処理モジュール(31)では、前処理側熱交換器(61)において冷却された液体吸収剤が、再生用空気から水分を吸収する。
本変形例の前段再生側熱交換器(65)は、液体吸収剤の循環方向における前段再生モジュール(35)の直前に配置されている。この前段再生側熱交換器(65)は、前処理モジュール(31)から前段再生モジュール(35)へ供給される液体吸収剤を、冷媒と熱交換させて加熱する。前段再生モジュール(35)では、前段再生側熱交換器(65)において加熱された液体吸収剤が、再生用空気に対して水分を放出する。
本変形例の後段再生側熱交換器(66)は、液体吸収剤の循環方向における後段再生モジュール(36)の直前に配置されている。この後段再生側熱交換器(66)は、前段再生モジュール(35)から後段再生モジュール(36)へ供給される液体吸収剤を、冷媒と熱交換させて加熱する。後段再生モジュール(36)では、後段再生側熱交換器(66)において加熱された液体吸収剤が、再生用空気に対して水分を放出する。
−第3変形例−
実施形態1,2,4の調湿装置(1)では、対になった前処理部(26)と後段再生部(29)が、複数対ヂts「@p備えていてもよい。また、実施形態3の調湿装置(1)は、対になった前処理部(26)と再生部(27)を、複数対備えていてもよい。本変形例において、各再生部(27,29)には、対応する前処理部(26)において除湿された再生用空気が供給される。
本変形例を実施形態1の調湿装置(1)に適用したものについて、図8を参照しながら説明する。この図8に示す調湿装置(1)は、前処理部(26)を構成する前処理モジュール(31a,31b)と、後段再生部(29)を構成する後段再生モジュール(36a,36b)とを、二つずつ備えている。ここでは、本変形例を実施形態1の調湿装置(1)に適用したものについて、実施形態1の調湿装置(1)と異なる点を説明する。
本変形例の吸収剤回路(20)では、調湿モジュール(30)と、第1前処理モジュール(31a)と、第2前処理モジュール(31b)と、ポンプ(21)と、前段再生モジュール(35)と、第1後段再生モジュール(36a)と、第2後段再生モジュール(36b)とが、順に直列に配置されている。各前処理モジュール(31a,31b)は、実施形態1の前処理モジュール(31)と同様に構成されている。各後段再生モジュール(36a,36b)は、実施形態1の後段再生モジュール(36)と同様に構成されている。
本変形例の室外ユニット(10)には、第1再生用空気通路(11a)と、第2再生用空気通路(11b)と、第3再生用空気通路(11c)とが形成される。第1再生用空気通路(11a)には、前段再生モジュール(35)が配置されている。第2再生用空気通路(11b)には、再生用空気の流通方向の上流から下流へ向かって順に、第2前処理モジュール(31b)と第1後段再生モジュール(36a)とが配置されている。第3再生用空気通路(11c)には、再生用空気の流通方向の上流から下流へ向かって順に、第1前処理モジュール(31a)と第2後段再生モジュール(36b)とが配置されている。
本変形例の冷媒回路(40)には、圧縮機(41)と、調湿側回路(50)と、第1前処理側回路(51a)と、第2前処理側回路(51b)と、前段再生側回路(55)と、第1後段再生側回路(56a)と、第2後段再生側回路(56b)とが設けられている。冷媒回路(40)では、調湿側回路(50)と第1前処理側回路(51a)と第2前処理側回路(51b)とが互いに並列に接続され、前段再生側回路(55)と第1後段再生側回路(56a)と第2後段再生側回路(56b)とが互いに並列に接続されている。
各前処理側回路(51a,51b)は、実施形態1の前処理側回路(51)と同様に構成されている。具体的に、第1前処理側回路(51a)には、その一端から他端に向かって順に、第1前処理側熱交換器(61a)と第1前処理側膨張弁(71a)とが直列に配置されている。また、第2前処理側回路(51b)には、その一端から他端に向かって順に、第2前処理側熱交換器(61b)と第2前処理側膨張弁(71b)とが直列に配置されている。
第1前処理側熱交換器(61a)は、第1前処理モジュール(31a)の液体吸収剤の流路に設置されている。第2前処理側熱交換器(61b)は、第2前処理モジュール(31b)の液体吸収剤の流路に設置されている。各前処理側熱交換器(61a,61b)は、実施形態1の前処理側熱交換器(61)と同様に、蒸発器として機能する熱交換器であって、液体吸収剤を冷媒と熱交換させて冷却するための冷却器(45)を構成している。
各後段再生側回路(56a,56b)は、実施形態1の後段再生側回路(56)と同様に構成されている。具体的に、第1後段再生側回路(56a)には、その一端から他端に向かって順に、第1後段再生側熱交換器(66a)と第1後段再生側膨張弁(76a)とが直列に配置されている。また、第2後段再生側回路(56b)には、その一端から他端に向かって順に、第2後段再生側熱交換器(66b)と第2後段再生側膨張弁(76b)とが直列に配置されている。
第1後段再生側熱交換器(66a)は、第1後段再生モジュール(36a)の液体吸収剤の流路に設置されている。第2後段再生側熱交換器(66b)は、第2後段再生モジュール(36b)の液体吸収剤の流路に設置されている。各後段再生側熱交換器(66a,66b)は、実施形態1の後段再生側熱交換器(66)と同様に、凝縮器として機能する熱交換器であって、液体吸収剤を冷媒と熱交換させて加熱するための加熱器(46)を構成している。
調湿装置(1)の運転中において、冷媒回路(40)では、前段再生側熱交換器(65)と第1後段再生側熱交換器(66a)と第2後段再生側熱交換器(66b)とが凝縮器として機能し、調湿側熱交換器(60)と第1前処理側熱交換器(61a)と第2前処理側熱交換器(61b)とが蒸発器として機能する。そして、第2再生用空気通路(11b)では、第2前処理モジュール(31b)において除湿された再生用空気が第1後段再生モジュール(36a)へ供給され、第3再生用空気通路(11c)では、第1前処理モジュール(31a)において除湿された再生用空気が第2後段再生モジュール(36b)へ供給される。
−第4変形例−
実施形態1〜4の調湿装置(1)は、調湿部(25)を複数対備えていてもよい。本変形例において、各調湿部(25)には、被処理空気が供給される。
本変形例を実施形態1の調湿装置(1)に適用したものについて、図9を参照しながら説明する。この図9に示す調湿装置(1)は、室内ユニット(15a,15b)を、二つ備えている。ここでは、本変形例を実施形態1の調湿装置(1)に適用したものについて、実施形態1の調湿装置(1)と異なる点を説明する。
第1室内ユニット(15a)及び第2室内ユニット(15b)は、それぞれが実施形態1
の室内ユニット(15)と同様に構成されている。つまり、第1室内ユニット(15a)には第1被処理空気通路(16a)が形成され、第2室内ユニット(15b)には第2被処理空気通路(16b)が形成されている。
第1被処理空気通路(16a)には第1調湿モジュール(30a)が配置され、第2被処理空気通路(16b)には第2調湿モジュール(30b)が配置されている。第1調湿モジュール(30a)と第2調湿モジュール(30b)のそれぞれは、実施形態1の調湿モジュール(30)と同様に構成された調湿部(25)である。第1調湿モジュール(30a)と第2調湿モジュール(30b)とは、吸収剤回路(20)において並列に配置されている。つまり、吸収剤回路(20)において、第1調湿モジュール(30a)と第2調湿モジュール(30b)とは、それぞれの流入端が後段再生モジュール(36)に接続され、それぞれの流出端が前処理モジュール(31)に接続されている。
本変形例の冷媒回路(40)には、圧縮機(41)と、第1調湿側回路(50a)と、第2調湿側回路(50b)と、前処理側回路(51)と、前段再生側回路(55)と、後段再生側回路(56)とが設けられている。冷媒回路(40)では、第1調湿側回路(50a)と第2調湿側回路(50b)と前処理側回路(51)とが互いに並列に接続されている。
各調湿側回路(50a,50b)は、実施形態1の調湿側回路(50)と同様に構成されている。具体的に、第1調湿側回路(50a)には、その一端から他端に向かって順に、第1調湿側熱交換器(60a)と第1調湿側膨張弁(70a)とが直列に配置されている。また、第2調湿側回路(50b)には、その一端から他端に向かって順に、第2調湿側熱交換器(60b)と第2調湿側膨張弁(70b)とが直列に配置されている。
第1調湿側熱交換器(60a)は、第1調湿モジュール(30a)の液体吸収剤の流路に設置されている。第2調湿側熱交換器(60b)は、第2調湿モジュール(30b)の液体吸収剤の流路に設置されている。各調湿側熱交換器(60a,60b)は、実施形態1の調湿側熱交換器(60)と同様に、蒸発器として機能する熱交換器であって、液体吸収剤を冷媒と熱交換させて冷却するための冷却器(45)を構成している。
調湿装置(1)の運転中において、吸収剤回路(20)では、後段再生モジュール(36)から流出した液体吸収剤が第1調湿モジュール(30a)と第2調湿モジュール(30b)へ分配され、第1調湿モジュール(30a)と第2調湿モジュール(30b)のそれぞれから流出した液体吸収剤が合流して前処理モジュール(31)へ流入する。また、冷媒回路(40)では、前段再生側熱交換器(65)と後段再生側熱交換器(66)とが凝縮器として機能し、第1調湿側熱交換器(60a)と第2調湿側熱交換器(60b)と前処理側熱交換器(61)とが蒸発器として機能する。そして、第1被処理空気通路(16a)では、第1調湿モジュール(30a)において被処理空気が除湿され、第2被処理空気通路(16b)では、第2調湿モジュール(30b)において被処理空気が除湿される。
−第5変形例−
実施形態1〜4の調湿装置(1)は、被処理空気として室外空気を吸い込み、再生用空気として室内空気を吸い込むように構成されていてもよい。
本変形例を実施形態1の調湿装置(1)に適用したものを、図10に示す。この図10の調湿装置(1)において、被処理空気として調湿装置(1)へ吸い込まれた室外空気は、被処理空気通路(16)を通って室内へ供給される。一方、再生用空気として調湿装置(1)へ吸い込まれた室内空気は、その一部が第1再生用空気を通って室外へ排出され、残りが第2再生用空気を通って室外へ排出される。
このように、本変形例の調湿装置(1)は、被処理空気として吸い込んだ室外空気を室内へ供給し、再生用空気として吸い込んだ室内空気を室外へ排出する。つまり、本変形例の調湿装置(1)は、室内空気の湿度調節と室内空間の換気とを同時に並行して行う。