JP2017002097A - 液体組成物及び画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速記録した場合であっても高品質で良好な画像を得ることが可能な液体組成物、及びこの液体組成物を用いた画像記録方法を提供する。【解決手段】顔料、シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有し、ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、0.5質量%以上であることを特徴とする液体組成物である。この液体組成物をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与し、画像を記録する。【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物、及びそれを用いた画像記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方法により画像を記録する記録媒体として、普通紙やインクジェット専用紙だけでなく、インク中の溶媒(液体成分)が浸透しない又は浸透しにくい非吸収性又は難吸収性の記録媒体が用いられている。これらの記録媒体にインクジェット記録方法で一般的に用いられているインクを付与すると、インク中の液体成分が浸透しにくいため、記録される画像に滲みなどが発生しやすい。
このような課題を解決するための一つの手段として、インクの物性を記録媒体の特性に応じて適切に設定する方法などがある。例えば、フッ素系界面活性剤又はシロキサン系界面活性剤と、シロキサン構造を有する化合物とを添加した、非吸収性又は難吸収性の記録媒体における濡れ広がり性を高め、はじきを抑制したインクが提案されている(特許文献1)。
特開2014−077072号公報
しかし、特許文献1で提案されたインクについて本発明者らが検討したところ、特に高速記録した場合には得られる画像にムラが生じやすく、高品質な画像を記録することが困難であることが分かった。
したがって、本発明の目的は、高速記録した場合であっても高品質で良好な画像を得ることが可能な液体組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記液体組成物を用いた画像記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料、シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有し、前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、0.5質量%以上であることを特徴とする液体組成物が提供される。
本発明によれば、高速記録した場合であっても高品質で良好な画像を得ることが可能な液体組成物を提供することができる。また、本発明によれば、この液体組成物を用いた画像記録方法を提供することができる。
画像の記録に用いたインクジェット記録装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。液体成分非吸収性又は難吸収性の記録媒体(以下、単に「非吸収性記録媒体等」とも記す)に品位に優れた画像を記録するには、インクなどの液体組成物の記録媒体における濡れ広がり性を高めるとともに、はじきを抑制することが一つの手段となる。
本発明者らは、シリコン系の界面活性剤を添加することで、液体組成物の表面張力を低下させることを試みた。シリコン系の界面活性剤は、疎水性のオルガノシロキサン構造を有する。オルガノシロキサン構造は、従来のインクに一般的に用いられている炭化水素系界面活性剤の炭化水素鎖と比較して極性が低いため、液体組成物の表面張力をより低下させることができる。
さらに、本発明者らは、シリコン系の界面活性剤のなかでも、親水性のアルキレンオキサイド鎖を有するノニオン性界面活性剤を選択して用いた。画像を記録する際、記録媒体の搬送時の風や装置内の熱などの影響により、液体組成物の水分量が記録媒体上において低下することがある。イオン性の界面活性剤の構造中のイオン性基に比べて、アルキレンオキサイド鎖は水との相溶性だけでなく、液体組成物に含まれる水以外の溶媒との相溶性も高い。このため、記録媒体上において液体組成物の水分量が低下した場合であっても、ノニオン性界面活性剤は析出しにくい。
シリコン系のノニオン性界面活性剤を添加したインクなどの液体組成物を使用し、高速記録と画質向上を両立させるべく種々の画像記録方法について検討した結果、様々な問題が生ずることが判明した。
一つ目は、インクジェット記録装置を使用して連続記録した場合における画質の低下である。初期には高品質の画像が記録されるが、記録数の増加に伴って画質が低下することが分かった。そして、記録された画像を詳細に観察したところ、ベタ画像にムラが生じていることが分かった。
二つ目は、記録媒体を加熱して記録した場合における画質の低下である。本発明者らは、高速記録時の画像の定着性を向上させるため、加熱した記録媒体にインクなどの液体組成物を付与する手法について検討した。その結果、非吸収性記録媒体等を用いた場合に、ベタ画像にムラが生じやすいことが分かった。また、インクジェット記録装置を用いた場合だけでなく、ローラー塗布などの他の手法で液体組成物を付与した場合にもムラが生じた。以上の結果から、ベタ画像に生じたムラの原因は液体組成物の温度上昇にあると本発明者らは推測した。
インクジェット記録装置では、熱として損失した駆動エネルギーの一部が記録ヘッドやインクの温度を上昇させることが知られている。また、記録初期の温度上昇は小さいが、高速で連続印字すると顕著に温度上昇することがある。そして、画質の低下が生じた際の記録ヘッドの温度を測定したところ、室温よりも上昇していることを確認した。
また、本発明者らは、記録ヘッドやインクの温度上昇に伴って画質が低下した原因は、ノニオン性界面活性剤にあると推測した。液体組成物に含まれるノニオン性界面活性剤は、その構造中にアルキレンオキサイド鎖を有する。アルキレンオキサイド鎖は水分子と水素結合することで溶媒中に溶解する親水基として機能している。しかし、液体組成物の温度が上昇すると、アルキレンオキサイド鎖と水分子との水素結合が切断されてしまう。その結果、アルキレンオキサイド鎖の溶解度が低下してノニオン性界面活性剤が水に溶解しにくくなり、白濁や二層分離などによって液体組成物の物性が不均一になると考えられる。
また、界面活性剤は、一分子中に疎水性基と親水性基を有することで界面活性能が発揮されるため、親水性基の機能が低下すると界面活性能も低下してしまい、液体組成物の表面張力が低下すると推測される。連続記録時に生じた画質の低下は、温度上昇に伴って物性が不均一になった液体組成物の吐出性が不安定になったために生じたものと考えられる。
さらに、加熱した記録媒体に記録したベタ画像にムラ(塗布ムラ)が生じた原因は、液体組成物の表面張力が上昇したことにあると推測している。そして、本発明者らは鋭意検討の結果、シリコン系のノニオン性シリコン系界面活性剤とともに、水溶性の包接化合物を液体組成物に添加することで、高速記録した場合であっても高品質な画像を連続して得ることが可能となることを見出した。
本発明者らは、温度上昇に伴う液体組成物の物性変化を抑制するには、温度上昇によってもシリコン系のノニオン性界面活性剤の水溶性を損失させないことが必要であると考えた。このような考えに基づき、水溶性の包接化合物を添加したインクなどの液体組成物について検討した。包接化合物は、籠状、トンネル状、又は層状の分子規模の空間を形成し、形状と寸法が適合する他の分子種を形成した空間内に包接しうる化合物である。水溶性の包接化合物は界面活性剤を包接し、界面活性剤の親水性を上昇させると考えられる。このため、親水性が上昇した界面活性剤は温度上昇時も水に溶解し続け、白濁や二層分離などが生じにくくなる。また、界面活性剤の一分子中に疎水性基と親水性基が存在する状態が保持されるため、界面活性能が維持され、液体組成物の表面張力の上昇が抑制される。以上の結果、温度上昇によっても液体組成物の物性は安定し、高速記録した場合であっても高品質な画像を得ることが可能になると考えられる。
<液体組成物>
本発明の液体組成物(以下、「第1の液体組成物」とも記す)は、顔料、シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有する。そして、シリコン系のノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、0.5質量%以上である。また、本発明の液体組成物(以下、「第2の液体組成物」とも記す)は、染料、シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有する。さらに、本発明の液体組成物(以下、「第3の液体組成物」とも記す)は、シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有し、色材を含有しない。以下、本発明の液体組成物の詳細について説明する。以下の説明における「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」及び「アクリレート、メタクリレート」を意味する。
(シリコン系のノニオン性界面活性剤)
シリコン系のノニオン性界面活性剤は、その分子構造中に疎水性のオルガノシロキサン構造を有するとともに、親水性のアルキレンオキサイド鎖を有する。シリコン系のノニオン性界面活性剤の具体例としては、以下商品名で、「BYK349」、「BYK333」、「BYK3455」、「BYK347」、「BYK348」、「BYK331」、「BYK307」(以上、ビックケミー製)などを挙げることができる。
第2及び第3の液体組成物中のノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)は、液体組成物全量を基準として、それぞれ、0.1質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤の含有量が0.1質量%未満であると、液体組成物の表面張力が十分に低下しない場合がある。
第1の液体組成物中のノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)は、液体組成物全量を基準として、0.5質量%以上90.0質量%以下であり、好ましくは1.0質量%以上90.0質量%以下である。ノニオン性界面活性剤の含有量が0.5質量%未満であると、液体組成物の表面張力が十分に低下しない。第1の液体組成物には顔料が含まれており、疎水性の顔料の粒子表面にノニオン性界面活性剤の一部が吸着するため、ノニオン性界面活性剤を所定量以上含有させる必要があると考えられる。
シリコン系のノニオン性界面活性剤は、その分子構造中の側鎖にポリエーテル鎖を有するためにある程度の親水性を有するが、水溶性である必要はない。界面活性剤の分散状態は、液体組成物に一般的に用いられる溶媒、水溶性樹脂、樹脂粒子、及び色材の種類、組み合わせ、又は割合などにより大きく変化するためである。したがって、ノニオン性界面活性剤は、液体組成物中で分離や沈澱することなく分散状態を維持可能な物であればよい。なお、表面張力の調整等のために、液体組成物は、シリコン系のノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤をさらに含有してもよい。
(水溶性の包接化合物)
本発明の液体組成物に用いる包接化合物は水溶性であり、水に一定濃度以上に溶解しうる。具体的には、25℃の水に対する包接化合物の溶解度は1質量%以上であることが好ましい。また、包接化合物は、水溶性有機溶剤の添加によって溶解度が上昇し、液体組成物中に溶解するものであってもよい。さらに、包接化合物はシリコン系のノニオン性界面活性剤と相互作用可能なものであることが好ましい。
液体組成物中の包接化合物の含有量(質量%)は、液体組成物全量を基準として、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。また、包接化合物の含有量(質量%)は、ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率(包接化合物の含有量/ノニオン性界面活性剤の含有量)で、8.0倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が8.0倍を超えると、包接化合物の含有量が多くなりすぎてしまい、界面活性剤一分子に対して多数の包接化合物が相互作用することになる。このため、界面活性剤の親水性が上がりすぎて疎水性基と親水性基のバランスが変化してしまい、所期の表面張力低下能力が発揮されない場合がある。
包接化合物の具体例としては、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、大環状アミン類、カリックスアレーン類、チアカリックスアレーン類、シクロファン類、たんぱく質、DNA、RNAなどを挙げることができる。なかでも、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体の少なくとも一方が好ましい。シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体の環状構造の外側は親水性であるとともに、内側は疎水性である。このため、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体は、液体組成物中で安定して存在しうるとともに、環状構造の内側が界面活性剤の疎水性基と相互作用し、界面活性剤に水溶性を付与することができる。
シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリンなどを挙げることができる。シクロデキストリン誘導体としては、シクロデキストリンの構造中に存在する水酸基を、メトキシ基やアミノ基等の水酸基以外の基で置換した化合物などを挙げることができる。また、シクロデキストリンの構造中に存在するエーテル結合をイミノ基による結合(−NH−)やスルフィド結合(−S−)等に変換した化合物を挙げることができる。
シクロデキストリン誘導体の具体例としては、メチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ジマルトシル−β−シクロデキストリン、トリマルトシル−β−シクロデキストリン、トリメチル−β−シクロデキストリン、トリアセチル−β−シクロデキストリン、3A−アミノ−3A−デオキシ−(2AS,3AS)−α−シクロデキストリン水和物、2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン、ポリ−β−シクロデキストリン、モノ−2−O−(p−トルエンスルホニル)−γ−シクロデキストリン、5,10,15,20−テトラキス[4−(ペル−O−メチル−α−シクロデキストリン−6−イルオキシ)フェニル]ポルフィリンなどを挙げることができる。
(色材)
本発明の第1の液体組成物は、顔料を色材として含有する。また、本発明の第2の液体組成物は、染料を色材として含有する。一方、本発明の第3の液体組成物は、顔料や染料などの色材を含有しない。
[顔料]
顔料としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー等の色相を有する顔料を用いることができる。顔料の具体例としては、カーボンブラックや有機顔料などを挙げることができる。第1の液体組成物中の顔料の含有量は、第1の液体組成物の全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料としては、自己分散顔料と樹脂分散顔料のいずれであっても用いることができる。自己分散顔料は、顔料の粒子表面に親水性基を導入して媒体中に分散させるタイプの顔料である。また、樹脂分散顔料は、分散剤として樹脂を用いて媒体中に分散させるタイプの顔料である。樹脂分散顔料としては、例えば、樹脂分散剤を使用した樹脂分散顔料、顔料の粒子表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル顔料、及び顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合顔料などを挙げることができる。
自己分散顔料と樹脂分散顔料を併用することもできる。分散剤として用いる樹脂(樹脂分散剤)は、親水性部位と疎水性部位とを有することが好ましい。樹脂分散剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸などのカルボキシ基を有するモノマーを重合して得られるアクリル樹脂;ジメチロールプロピオン酸などのアニオン性基を有するジオールを重合して得られるウレタン樹脂などを挙げることができる。
樹脂分散剤の酸価は、50mgKOH/g以上550mgKOH/g以下であることが好ましい。また、樹脂分散剤のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上50,000以下であることが好ましい。
液体組成物中の樹脂分散剤の含有量は、液体組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、樹脂分散剤の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比(樹脂分散剤の含有量/顔料の含有量)で、0.1倍以上5.0倍以下であることが好ましい。
[染料]
染料としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー等の色相を有する染料を用いることができる。第2の液体組成物中の染料の含有量は、第2の液体組成物の全質量を基準として、1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。染料の具体例としては、カラーインデックス(COLOUR INDEX)に記載されている酸性染料、直接染料、塩基性染料、及び分散染料などを挙げることができる。
(水溶性樹脂、樹脂粒子)
本発明の液体組成物は、水溶性樹脂及び樹脂粒子の少なくとも一方を含有することが好ましい。水溶性樹脂は、水に一定濃度以上溶解しうる樹脂である。具体的には、25℃の水に対する水溶性樹脂の溶解度は1質量%以上であることが好ましい。また、水溶性樹脂は、水溶性有機溶剤の添加によって溶解度が上昇し、液体組成物中に溶解するものであってもよい。
水溶性樹脂としては、天然由来の水溶性樹脂や合成した水溶性樹脂などの公知の水溶性樹脂を用いることができる。天然由来の水溶性樹脂としては、でんぷん等の多糖類;にかわ、ゼラチン等のたんぱく質を挙げることができる。また、ヒドロキシエチルセルロースのように、天然由来の水溶性樹脂を化学修飾したようなものを用いることもできる。
合成した水溶性樹脂としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンなどを挙げることができる。なかでも、スチレン−アクリル酸共重合体等のように、疎水性モノマーと親水性モノマーとを共重合することによって得られる樹脂が好ましい。このような樹脂は、疎水性モノマーと親水性モノマーの比率を変えたり、構造(ランダム、グラフト、ブロックなど)を変えたりすることで水溶解度を制御することができるために好ましい。
GPCにより得られる水溶性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000以上50,000以下であることが好ましい。また、液体組成物中の水溶性樹脂の含有量は、液体組成物の全質量を基準として、0.3質量%以上25.0質量%以下であることが好ましい。
樹脂粒子は、粒径を有する状態で溶媒中に分散して存在しうる樹脂である。樹脂粒子の50%累積体積平均粒径(D50)は、10nm以上であることが好ましく、10nm以上1,000nm以下であることがさらに好ましく、100nm以上500nm以下であることが特に好ましい。樹脂粒子のD50は、以下に示す方法により測定することができる。まず、樹脂粒子を純水で50倍(体積基準)に希釈して測定用試料を調製する。そして、調製した測定用試料について、動的光散乱式の粒度分析計(商品名「UPA−EX150」、日機装製)を使用し、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、屈折率:1.5の条件で樹脂粒子のD50を測定することができる。なお、後述の実施例で調製した樹脂粒子分散体中の樹脂粒子のD50もこの方法によって測定した。
GPCにより得られる樹脂粒子を構成する樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1,000以上2,000,000以下であることが好ましい。液体組成物中の樹脂粒子の含有量は、液体組成物の全質量を基準として、1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上40.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂粒子としては、アクリル系、酢酸ビニル系、エステル系、エチレン系、ウレタン系、合成ゴム系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、オレフィン系などの樹脂粒子を挙げることができる。なかでも、アクリル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子が好ましい。
アクリル樹脂粒子を構成する樹脂(アクリル樹脂)を調製するために用いられるモノマーとしては、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法などの重合方法に適用可能なモノマーであればよい。アクリル樹脂粒子の製造に使用可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、イタコン酸、フマル酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその塩;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノブチル、イタコン酸ジメチルなどのα,β−不飽和カルボン酸のエステル化合物;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、マレイン酸モノアミド、クロトン酸メチルアミドなどのα,β−不飽和カルボン酸のアルキルアミド化合物;スチレン、α−メチルスチレン、フェニル酢酸ビニル、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアリール基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物;エチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレートなどの多官能アルコールのエステル化合物などを挙げることができる。
アクリル樹脂は、単一のモノマーが重合した単独重合体であっても、2種以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。なかでも、親水性モノマーと疎水性モノマーとを重合して得られる共重合体が好ましい。親水性モノマーとしては、α,β−不飽和カルボン酸及びその塩を挙げることができる。疎水性モノマーとしては、α,β−不飽和カルボン酸のエステル化合物やアリール基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
ウレタン樹脂粒子を構成する樹脂(ウレタン樹脂)は、2以上のイソシアネート基を有する化合物であるポリイソシアネートと、2以上のヒドロキシ基を有する化合物であるポリオール化合物とを反応させて得られる樹脂である。ウレタン樹脂としては、前述の条件を満たす樹脂粒子を形成しうるものであれば、公知のポリイソシアネート化合物と公知のポリオール化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂をいずれも用いることができる。
樹脂粒子の構造としては、単層構造やコアシェル構造などの複層構造を挙げることができる。なかでも、複層構造を有する樹脂粒子が好ましく、コアシェル構造を有する樹脂粒子がさらに好ましい。コアシェル構造を有する樹脂粒子は、コア部分の機能とシェル部分の機能とを分けることができる。このようなコアシェル構造を有する樹脂粒子を用いれば、単層構造を有する樹脂粒子を用いた場合に比して、より多くの機能を液体組成物に付与することができる。
(反応剤)
本発明の第3の液体組成物は、さらに、色材を含有するインクと接触してインクの粘度を上昇させる反応剤を含有することが好ましい。従来、インク及び反応液を記録媒体に付与して画像を記録する2液反応システムが検討されている。2液反応システムでは、反応液中の反応剤がインクの粘度を素早く上昇させるため、滲みやブリーディングを効果的に抑制することができる。このため、2液反応システムによれば、非吸収性又は難吸収性の記録媒体に対しても高画質な画像を記録することができる。
反応剤は、色材を含有するインクと接触すると、インク中の色材(顔料、染料)の分散又は溶解状態を不安定化させてインクの粘度を上昇させることが可能な成分である。このため、反応剤を含有する第3の液体組成物を2液反応システムで用いると、接触及び混合するもう一つの液体組成物の粘度を上昇させることができる。
反応剤としては、多価金属イオン及び有機酸の少なくとも一方を用いることが好ましい。多価金属イオンは、2価以上の金属イオンであればよい。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、及びZn2+などの2価の金属イオン;Fe3+、Cr3+、Y3+、及びAl3+などの3価の金属イオンなどを挙げることができる。多価金属イオンは、水酸化物又は塩化物などの塩(多価金属塩)の形態で第3の液体組成物に添加することができ、解離して生じるイオンとして用いられてもよい。多価金属塩は、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+、Al3+、Fe3+、Cr3+及びY3+からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価金属イオンと、陰イオンとから構成されることが好ましい。
第3の液体組成物中の多価金属イオンの含有量は、第3の液体組成物の全質量を基準として、3.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上70.0質量%以下であることがさらに好ましい。
有機酸の具体例としては、シュウ酸、ポリアクリル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、レブリン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタミン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、オキシコハク酸、ジオキシコハク酸などを挙げることができる。
第3の液体組成物中の有機酸の含有量は、第3の液体組成物の全質量を基準として、3.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上70.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(水性媒体)
液体組成物には、通常、水性媒体を含有させることができる。水性媒体としては、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を用いることができる。液体組成物中の水溶性有機溶剤の含有量は、水性媒体の全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、及び含硫黄化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性雪溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。水は脱イオン水(イオン交換水)であることが好ましい。液体組成物中の水の含有量は、水性媒体の全質量を基準として、5.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
また、液体組成物中の水性媒体の含有量は、液体組成物の全質量を基準として、8質量%以上95質量%以下であることが好ましく、35質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
液体組成物には、上記の成分以外にも、様々な成分を必要に応じて含有させることができる。液体組成物は、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類;尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体等の常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、液体組成物には、必要に応じて、シリコン系のノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の成分を含有させてもよい。
<画像記録方法>
本発明の画像記録方法(以下、「第1の画像記録方法」とも記す)は、前述の液体組成物を、インクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程を有する。また、本発明の画像記録方法(以下、「第2の画像記録方法」とも記す)は、前述の液体組成物を、液体成分非吸収性又は難吸収性の記録媒体(非吸収性記録媒体等)に付与する工程を有する。
(記録ヘッド)
第1の画像記録方法では、インクジェット方式の記録ヘッドから液体組成物を吐出して記録媒体に付与する。また、第2の画像記録方法では、インクジェット方式の記録ヘッドから液体組成物を吐出して記録媒体に付与することが好ましい。記録ヘッドの形態としては、(i)電気−熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ、気泡を形成することでインクを吐出する形態、(ii)電気−機械変換体によりインクを吐出する形態、(iii)静電気を利用してインクを吐出する形態などがある。なかでも、より高速かつ高密度の印字が可能であることから、(i)電気−熱変換体によりインクを吐出する形態の記録ヘッドを用いることが好ましい。
また、記録ヘッドには、記録媒体の進行方向と略直交する方向に走査しながら記録する、いわゆるシャトル形態の記録ヘッドや、記録媒体の進行方向と略直交する方向にインク吐出口が列状に配列された、いわゆるライン形態の記録ヘッドなどがある。本発明の記録方法ではいずれの形態の記録ヘッドであっても用いることができる。
本発明の画像記録方法では、加熱した記録ヘッドから液体組成物を吐出することが好ましい。具体的には、その温度が35℃以上の記録ヘッドから液体組成物を吐出することが好ましい。記録ヘッドを加熱するには、例えば、記録ヘッド中のノズルのヒーターに、インクを吐出しない程度の電気パルスを印加して熱を発生させる方法などがある。また、記録ヘッドの外部にヒーターを取り付けて熱を発生させることによっても、記録ヘッドを加熱することができる。記録ヘッドの温度は、熱電対式温度計や非接触式の赤外線温度計を用いて測定することができる。本発明の画像記録方法においては、液体組成物の温度が記録される画像に影響を及ぼすため、記録ヘッドのインクが吐出される部分の温度を測定することが好ましい。
(記録媒体)
第1の画像記録方法で用いる記録媒体としては、インク受容層を設けたインクジェット用専用紙、一般的な印刷に用いられる普通紙、印刷用紙、布、プラスチック、フィルムなどを挙げることができる。記録媒体は、所望のサイズに予めカットされていてもよく、画像記録前にはロール状に巻かれており、画像記録後に所望のサイズにカットされるものであってもよい。
第2の画像記録方法では、液体成分非吸収性又は難吸収性の記録媒体(非吸収性記録媒体等)に液体組成物を付与する。また、第1の画像記録方法では、非吸収性記録媒体等に液体組成物を付与することが好ましい。本発明の画像記録方法で用いる液体組成物は、液体組成物中の液体成分を吸収しない又は吸収しにくい記録媒体に画像を記録する際に有効な組成を有するためである。
非吸収性の記録媒体としては、ポリエチレン、透明性を有するポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニルなどの高分子化合物からなる合成フィルム;これらの高分子化合物を塗布した紙;ガラス;金属:セラミックなどを挙げることができる。難吸収性の記録媒体としては、アート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、微塗工紙、キャストコート紙などの印刷本紙を挙げることができる。
アート紙のコート層の塗設量は、両面40g/m2前後である。上質コート紙及び中質コート紙のコート層の塗設量は、それぞれ両面20g/m2前後である。上質軽量コート紙及び中質軽量コート紙のコート層の塗設量は、それぞれ両面15g/m2前後である。また、微塗工印刷用紙のコート層の塗設量は、両面12g/m2以下である。
上質コート紙の具体例としては、商品名「ユーライト」(日本製紙社製)などを挙げることができる。アート紙の具体例としては、以下商品名で、特菱アート(三菱製紙社製)、サテン金藤(王子製紙社製)などを挙げることができる。コート紙の具体例としては、以下商品名で、OKトップコート(王子製紙社製)、オーロラコート(日本製紙社製)、リサイクルコートT−6(日本製紙社製)などを挙げることができる。軽量コート紙の具体例としては、以下商品名で、ユーライト(日本製紙社製)、ニューVマット(三菱製紙社製)、ニューエイジ(王子製紙社製)、リサイクルマットT−6(日本製紙社製)、ピズム(日本製紙社製)などを挙げることができる。微塗工印刷用紙の具体例としては、以下商品名で、オーロラL(日本製紙社製)、キンマリHi−L(北越製紙社製)などを挙げることができる。キャストコート紙の具体例としては、以下商品名で、ミラーコートG(王子製紙製)SA金藤プラス(王子製紙社製)、ハイマッキンレーアート(五條製紙社製)などを挙げることができる。
(中間転写体)
本発明の画像記録方法においては、中間転写体を記録媒体として使用することも好ましい。すなわち、本発明の画像記録方法では、転写方式によって画像を記録することもできる。転写方式は、画像記録方法(印刷方法)の一種である。具体的には、記録媒体としての中間転写体に液体組成物を付与して中間画像を記録する中間画像記録工程と、中間転写体を被印刷体に圧着して中間画像を被印刷体に転写する転写工程と、を有する。
中間転写体は、中間画像が記録される性能と、記録された中間画像を被印刷体(記録媒体)に転写させる性能とを有することが必要である。中間転写体は、例えば、ハンドリングによる力を伝達するための支持部材と、この支持部材の表面上に配置される、中間画像を記録する表層部材と、から構成される。支持部材と表層部材は、同一の部材であってもよく、それぞれ独立した複数の部材であってもよい。
表層部材は、撥水性の材料によって形成されていることが好ましい。中間転写体上に記録された中間画像を紙などの被印刷体に転写させるためである。耐久性及び被印刷体への転写性の面から、撥水性の材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、加水分解性有機ケイ素化合物を原料とする縮合物等のシロキサン化合物が好ましい。好適に用いる事ができる。また、表層部材は、複数の材料が積層されて形成されていることも好ましい。具体的には、ポリウレタンベルトにシリコーンゴムを薄く被膜させた積層材料などが好ましい。さらに、表層部材と支持部材の間に、これらの部材を固定及び保持するための各種接着材や両面テープが存在していてもよい。
(記録媒体の加熱)
本発明の画像記録方法においては、加熱した記録媒体に液体組成物を付与することが好ましい。具体的には、その温度が35℃以上の記録媒体に液体組成物を付与することが好ましい。これにより、記録媒体上に付与される液体組成物の温度を制御することができる。記録媒体は、例えば、記録媒体を配置する搬送ステージに取り付けたヒーターから発生させた熱によって加熱することができる。また、記録媒体を載置した搬送ステージの上からヒーターから発生させた熱を当てることによっても、記録媒体を加熱することができる。
記録媒体の温度は、熱電対式温度計や非接触式の赤外線温度計を用いて測定することができる。本発明の画像記録方法においては、液体組成物の温度が記録される画像に影響を及ぼすため、記録媒体がインクと接触する部分(表面部分)の温度を測定することが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<色材の用意>
(染料)
ブラックの染料として、C.I.フードブラック−2を用意した。
(自己分散顔料)
ブラックの自己分散顔料として、市販の顔料分散液(商品名「Cab−O−JET200」、キャボット製)を用意した。
(樹脂分散顔料)
カーボンブラック10部、顔料分散剤としての水溶性樹脂の水溶液15部、及び純水75部を混合し、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込んだ。カーボンブラックとしては、商品名「モナク1100」、キャボット製)を用いた。また、水溶性樹脂の水溶液としては、スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体(酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000)の水溶液(樹脂含有量20.0%)を水酸化カリウム水溶液で中和したものを用いた。0.3mm径のジルコニアビーズ200部を充填し、水冷しつつ、5時間分散処理して分散液を得た。得られた分散液を遠心分離して粗大粒子を除去し、ブラックの樹脂分散顔料を得た。
<樹脂粒子分散体の調製>
エチルメタクリレート18部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)2部、及びn−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間撹拌して混合物を得た。得られた混合物をポリオキシエチレンセチルエーテル(商品名「NIKKOL BC−15」、日光ケミカルズ製)の6%水溶液78部に滴下し、0.5時間撹拌した後、超音波照射機を使用して超音波を3時間照射した。窒素雰囲気下、80℃で4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂粒子1の含有量が40.0%である樹脂粒子分散体を得た。樹脂粒子1を構成する樹脂の重量平均分子量は250,000であり、樹脂粒子1の平均粒径(D50)は200nmであった。
<水溶性樹脂の用意>
以下に示すアニオン性水溶性樹脂(水溶性樹脂1〜3)を用意した。
(水溶性樹脂1)
メタクリル酸ベンジル−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体(酸価:120mgKOH/g、重量平均分子量:9,000、中和剤:水酸化カリウム)
(水溶性樹脂2)
スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:90mgKOH/g、重量平均分子量:7,000、中和剤:水酸化カリウム)
(水溶性樹脂3)
メタクリル酸9−アントリルメチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体(酸価:120mgKOH/g、重量平均分子量:11,000、中和剤:水酸化カリウム)
<液体組成物の調製>
表1〜4に示す配合にしたがって各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して液体組成物を調製した。表1〜4中の水(イオン交換水)の残部は、液体組成物を構成する全成分の合計が100%となる量である。
表1及び2中の色材の含有量(%)のうち樹脂分散顔料の含有量(%)は、顔料自体の含有量を意味し、樹脂分散剤(水溶性樹脂)の量を算入しない。また、樹脂粒子分散体の含有量(%)は、樹脂粒子自体の含有量を意味する。さらに、各液体組成物について、シリコン系のノニオン性界面活性剤の含有量B(%)に対する、包接化合物の含有量A(%)の質量比率(A/B値)を表1〜4に示す。
Figure 2017002097
Figure 2017002097
Figure 2017002097
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<画像の記録>
(記録媒体)
以下に示す記録媒体に画像を記録した。
・商品名「ニューVマット」(コート紙、三菱製紙製)
・商品名「ミラーコートG」(キャストコート紙、王子製紙製)
・商品名「GL−101」(インクジェット用写真用紙、キヤノン製)
・商品名「PB PAPER GF−500」(普通紙、キヤノン製)
・「中間転写体」(厚さ0.5mmのPETシートにゴム硬度40°のシリコーンゴム(商品名「KE12」、信越化学製)を0.2mmの厚さにコーティングしたもの)
(インクジェット記録装置)
図1に示す構成を有するインクジェット記録装置を使用し、1m/sの高速印刷により記録媒体に画像を記録した。図1に示すインクジェット記録装置は、記録ヘッド4と、記録媒体1を載置する搬送ステージ2と、液体組成物付与装置3とを備える。搬送ステージ2は、搬送機構(不図示)の作用により記録媒体1を矢印の方向へと搬送する。また、液体組成物付与装置3は、例えば2液反応システムにより画像を記録する場合に、必要に応じて反応剤を含有する液体組成物などを記録媒体に付与するための装置である。液体組成物付与装置3の具体例としては、ローラーや液体吐出ヘッド(記録ヘッド)などを挙げることができる。なお、このインクジェット記録装置では、解像度1,200dpi×1,200dpiで1/1,200インチ×1/1,200インチの単位領域に3.0ngのインク滴を1滴付与する条件を「記録デューティ100%」であると定義する。
(実施例1A〜20A、比較例1A〜3A)
[1]記録媒体を加熱して記録する方法
インクジェット記録装置の搬送ステージ2(図1)を加熱し、記録媒体1を60℃に加熱した。記録ヘッド4から顔料を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。なお、記録ヘッド4は加熱しなかった。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表5に示す。
[2]記録ヘッドを加熱して記録する方法
記録ヘッド4(図1)をヒーターで加熱し、吐出部分の温度を非接触式の温度計で測定して60℃になったことを確認した上で顔料を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。なお、搬送ステージ2は加熱しなかった。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表5に示す。
(実施例1B〜19B、比較例1B、2B)
[1]記録媒体を加熱して記録する方法
インクジェット記録装置の搬送ステージ2(図1)を加熱し、記録媒体1を60℃に加熱した。記録ヘッド4から染料を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。なお、記録ヘッド4は加熱しなかった。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表6に示す。
[2]記録ヘッドを加熱して記録する方法
記録ヘッド4(図1)をヒーターで加熱し、吐出部分の温度を非接触式の温度計で測定して60℃になったことを確認した上で染料を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。なお、搬送ステージ2は加熱しなかった。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表6に示す。
(実施例1C〜22C、比較例1C、2C)
[1]記録媒体を加熱して記録する方法
インクジェット記録装置の搬送ステージ2(図1)を加熱し、記録媒体1を60℃に加熱した。記録ヘッド4から色材を含有せず、水溶性樹脂及び樹脂粒子の少なくとも一方を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。なお、記録ヘッド4は加熱しなかった。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表7に示す。
[2]記録ヘッドを加熱して記録する方法
記録ヘッド4(図1)をヒーターで加熱し、吐出部分の温度を非接触式の温度計で測定して60℃になったことを確認した上で色材を含有せず水溶性樹脂及び樹脂粒子の少なくとも一方を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。なお、搬送ステージ2は加熱しなかった。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表7に示す。
(実施例1D〜25D、比較例1D〜3D)
[1]記録媒体を加熱して記録する方法
液体組成物付与装置3(図1)として液体吐出ヘッド(記録ヘッド)を備えたインクジェット記録装置を使用した。インクジェット記録装置の搬送ステージ2を加熱し、記録媒体1を60℃に加熱した。液体吐出ヘッドを用いて反応剤を含有する液体組成物を記録媒体1に付与した後、記録媒体1を矢印方向に搬送した。なお、液体吐出ヘッドは加熱しなかった。次いで、記録ヘッド4から顔料を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表8に示す。
[2]記録ヘッドを加熱して記録する方法
液体組成物付与装置3(図1)として液体吐出ヘッド(記録ヘッド)を備えたインクジェット記録装置を使用した。液体吐出ヘッドをヒーターで加熱し、吐出部分の温度を非接触式の温度計で測定して60℃になったことを確認した上で反応剤を含有する液体組成物を記録媒体1に付与した。記録媒体1を矢印方向に搬送した後、記録ヘッド4から顔料を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。なお、搬送ステージ2及び記録ヘッド4は加熱しなかった。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表8に示す。
(実施例26D)
[1]記録媒体を加熱して記録する方法
液体組成物付与装置3(図1)としてローラーを備えたインクジェット記録装置を使用した。インクジェット記録装置の搬送ステージ2を加熱し、記録媒体1を60℃に加熱した。ローラーを用いて反応剤を含有する液体組成物を記録媒体1に付与した後、記録媒体1を矢印方向に搬送した。次いで、記録ヘッド4から顔料を含有する液体組成物を吐出して記録媒体1に付与し、5cm×5cmの領域に記録デューティ100%のベタ画像を記録した。使用した液体組成物と記録媒体の組み合わせを表8に示す。
<画像の評価>
記録したベタ画像を目視にて確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の状態を評価した。評価結果を表5〜8に示す。なお、本発明においては、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
A:ムラや色抜けがなく良好なベタ画像である。
B:ベタ画像の一部にムラや色抜けがあるが、使用可能なレベルである。
C:ムラや色抜けがあり、良好なベタ画像が記録されていない。
Figure 2017002097
Figure 2017002097
Figure 2017002097
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1:記録媒体
2:搬送ステージ
3:液体組成物付与装置
4:記録ヘッド

Claims (12)

  1. 顔料、シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有し、
    前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、0.5質量%以上であることを特徴とする液体組成物。
  2. 染料、シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有することを特徴とする液体組成物。
  3. シリコン系のノニオン性界面活性剤、及び水溶性の包接化合物を含有し、色材を含有しないことを特徴とする液体組成物。
  4. さらに、水溶性樹脂及び樹脂粒子の少なくとも一方を含有する請求項3に記載の液体組成物
  5. さらに、色材を含有するインクと接触して前記インクの粘度を上昇させる反応剤を含有する請求項3又は4に記載の液体組成物。
  6. 前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、0.5質量%以上である請求項2乃至5のいずれか1項に記載の液体組成物。
  7. 前記包接化合物が、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体の少なくとも一方である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液体組成物。
  8. 前記包接化合物の含有量(質量%)が、前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、8.0倍以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体組成物を、インクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に付与する工程を有することを特徴とする画像記録方法。
  10. その温度が35℃以上の前記記録ヘッドから前記液体組成物を吐出する請求項9に記載の画像記録方法。
  11. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液体組成物を、液体成分非吸収性又は難吸収性の記録媒体に付与する工程を有することを特徴とする画像記録方法。
  12. その温度が35℃以上の前記記録媒体に前記液体組成物を付与する請求項11に記載の画像記録方法。
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