JP2017001555A - 自動車用内装材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内装材裏面に面ファスナーが正確な位置に強固に取り付けられており、しかも接着力が熱により低下する問題を生じない。【解決手段】自動車用内装材の裏面側の所定位置に面ファスナーが固定されている自動車用内装材において、該裏面側の所定位置には陥没部が形成され、該陥没部に面ファスナーが係合素子面を外側にしてホットメルト接着剤により隙間無く嵌め込まれて固定されていることを特徴とする自動車用内装材。【選択図】図6

Description

本発明は、自動車用内装材に関する。詳細には、裏面側に面ファスナーが取り付けられた自動車用内装材およびその製造方法に関し、具体的には、内装材を金型で成形する段階で面ファスナーがその裏面に取り付けられた自動車用内装材に関する。
従来から、天井材、ドアトリム、トランクルーム材等の自動車用内装材を車体に固定する方法として、自動車用内装材の裏面の複数の所定位置に面ファスナーを取り付けておき、一方、車体側にも、もう一方の面ファスナーを取り付けておき、そして両方の面ファスナーを近づけて係合させることにより、車体に内装材を固定する方法が知られている。
そして、このような方法に用いられる、裏面に面ファスナーを取り付けた内装材を製造する方法としては、所定の形状に成型した自動車用内装材の裏面に面ファスナーを粘着剤により貼り付ける方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、粘着剤を用いて貼り付けるこの公知の方法の場合には、粘着剤が車体の温度上昇に伴い粘着力が低下するという問題点を有しており、特に自動車の場合には、夏の強力な太陽により車体の温度がかなり上昇することから、粘着力は大きく低下し、場合によってはそれが原因で剥離等の大きな問題を生じる可能性を有している。
このような粘着剤を使用する方法に代えて、面ファスナーの裏面にホットメルト接着剤を付与しておき、面ファスナーを取り付ける直前にこのホットメルト接着剤を加熱溶融させ、そして内装材の裏面の所定位置に貼り付ける方法や、溶融したホットメルト接着剤を内装材裏面の所定場所に付与すると同時に面ファスナーを重ねて取り付ける方法も知られている。
このホットメルト接着剤を使用する方法を用いると、上記の粘着剤を用いる方法のように熱による粘着力の低下の問題は解消できるが、この方法の場合には、取り付けるのに時間を要した場合にはホットメルト接着剤が固化して十分な接着力が得られず、それを防ぐためにはホットメルト接着剤が溶融状態であるうちに内装材の所定位置に面ファスナーを速やかに押し付けて取り付けることが必要となるため、押し付ける程度が不十分となったり、あるいは所定の位置からずれて取り付けられることが多く、このような場合には、面ファスナーが外れ易かったり、あるいは所定の位置からずれて取り付けられているために十分な係合力が得られないという問題点を有している。
さらに、内装材製造ラインにおいて、従来の、製造された内装材の裏面の所定位置に、複数個の面ファスナー裏面の接着剤をホットメルトさせ、決められた時間内で取り付ける作業では、時間に追われて、取り付け作業が雑とならざるを得ず、正確にかつ強固に取り付けることが極めて困難である。
特開平11−179813号公報(請求項1)
本発明は、上記の自動車用内装材を車体に固定する技術として、面ファスナーを用いて固定する技術において、粘着剤を用いて固定する技術のように暑さにより粘着力が低下する問題がなく、かつホットメルト接着剤を用いて取り付ける技術のように、時間に追われて接着が不十分となったり、あるいは正確な位置からずれて取り付けられるという問題を生じない技術を提供するものである。
すなわち、本発明は、自動車用内装材の裏面側の所定位置に面ファスナーが固定されている自動車用内装材において、該裏面側の所定位置には陥没部が形成され、該陥没部に面ファスナーが係合素子面を外側にしてホットメルト接着剤により隙間無く嵌め込まれて固定されていることを特徴とする自動車用内装材である。
そして、好ましくは、本発明は、自動車用内装材が、発泡樹脂層または不織布層を含有している上記の自動車用内装材であり、そして、自動車用内装材が、発泡樹脂層およびその少なくとも片面を覆う不織布層層からなる上記自動車用内装材であり、自動車用内装材が、表皮材、発泡樹脂層I、不織布層I、発泡樹脂層IIおよび不織布層IIがこの順序で積層された積層体であって、不織布層IIの発泡樹脂層IIと反対側の面に面ファスナーが固定されている上記自動車用内装材の発明である。
また、本発明は、好ましくは、面ファスナーが、樹脂基板および同基板から直立する同樹脂からなる係合素子からなり、係合素子が、基板から直立する茎部および同茎部の頂部からサイドに突出する係合用突起部からなる成形雄型面ファスナーである上記自動車用内装材であり、さらに好ましくは、成形面ファスナーが、基板からの係合素子の高さ(H)に対する係合素子の最頂部から該突起下端部までの長さ(D)の比(D/H)が0.35〜0.75であり、かつ該係合素子の基板被覆率が25〜45%である成形雄型面ファスナーである上記自動車用内装材の発明である。
また、本発明は、面ファスナーが、織物からなる基布の表面にマルチフィラメントからなるループ素子を有しており、該マルチフィラメントがポリブチレンテレフタレート系樹脂からなる雌型面ファスナーである上記自動車用内装材の発明である。
そして、上記自動車用内装材の用途としては、自動車用天井材である場合や、上記自動車用内装材が自動車ドア用トリムである場合や、上記自動車用内装材がトランクルーム材である場合や上記自動車用内装材がワイヤハーネス付内装材の場合である。
さらに本発明は、自動車用内装材用シートを金型に挿入し、加熱押し圧して所定の形状に成形する際に、予め金型の所定位置に、裏面にホットメルト接着剤を塗布した面ファスナーを、係合素子面を金型面側となるようにセットし、その状態で該シートを挿入して成形し、そして金型から取り出すことにより、所定位置に面ファスナーが固定された自動車用内装材の製造方法である。そして、面ファスナーが固定できるような窪みが金型の所定位置に設けられている上記の製造方法であり、また金型の所定位置に磁石が埋め込まれており、一方、面ファスナーには磁性材が付与されており、磁石と磁性材により、金型の所定位置に面ファスナーが磁着によりセットされている上記の製造方法である。
本発明は、従来技術のように、成形された後の自動車用内装材の裏面の所定位置に面ファスナーを接着剤や粘着剤により取り付ける技術ではなく、自動車用内装材(以下、単に内装材と称する場合もある。)を金型で成形する際に、金型内の所定位置に面ファスナーをセットしておき、そして成形の際に、その熱と圧力を用いて、面ファスナー裏面に存在させたホットメルト接着剤を溶融させ、これにより内装材裏面に面ファスナーを取り付け、内装材の成形と内装材裏面への面ファスナーの固定を同時に行う技術であり、したがって、成形後の内装材裏面に面ファスナーをホットメルト接着剤により取り付ける従来技術のように、裏面に面ファスナーを取り付けるのに時間を要した場合には接着剤が固化してしまい、十分な接着力が得られないという問題を生じない。
また、本発明の内装材は、ホットメルト接着剤により内装材裏面の所定箇所に面ファスナーが接着固定されていることから、従来の粘着剤により取り付ける技術のように暑さによる粘着力低下の問題も生じない。さらに、製造後の内装材に新たに面ファスナーを取り付ける必要がないことから、時間に追われて面ファスナー取り付け作業が雑になるという問題も生じない。
特に、本発明の場合には、金型の所定位置に設けられた窪みに面ファスナーを嵌め込むことにより、あるいは金型の所定位置に磁力を用いてセットすること等により、面ファスナーを内装材の所定位置に正確に、かつ強固に取り付けることができる。したがって、従来技術のように、取り付ける位置がずれたり、あるいは取り付け力が不十分となる問題も生じない。
なお、従来技術の場合も、内装材裏面の面ファスナーを取り付けるべき所定位置が分かり易いように、内装材裏面の所定位置を成形の際に窪ませることが行われているが、この様な成形の際に内装材裏面に付与する窪みは、面ファスナーを取り付ける際の作業性を高めるために、面ファスナーの寸法よりもかなり広く設けられており、したがって、窪みに面ファスナーを固定した後であっても面ファスナーの周りには広い隙間が存在しており、本発明で規定するような、陥没部に面ファスナーが隙間なく嵌め込まれているという状態にはなっていない。
本発明の場合には、面ファスナーが隙間なく嵌め込まれていることにより、面ファスナー基板側面と内装材とが接することにより、より強固に接着することができる。また内装材裏面に付与する窪みと面ファスナーが隙間なく嵌め込まれることにより、内装材と車体側の位置合わせを容易にし、微妙な位置ずれがなく、より正確な位置で取り付ることができる。
本発明の面ファスナー付内装材を金型で成形する際の金型および同金型内に挿入された内装材用シートの一例の断面図である。 金型から取り出した本発明の面ファスナー付内装材の一例の斜視図である。 本発明に好適に用いられる成形雄型面ファスナーの一例の斜視図である。 本発明に好適に用いられる成形雄型面ファスナーの係合素子の一例の斜視図である。 本発明に好適に用いられる成形雄型面ファスナーの一例の上面図である。 本発明の面ファスナー付内装材の一例の面ファスナー取り付け部分を模式的に示した断面図である。 本発明の面ファスナー付内装材の他の一例の面ファスナー取り付け部分を模式的に示した断面図である。 従来の面ファスナー付内装材の一例の面ファスナー取り付け部分を模式的に示した断面図である。 本発明により得られた面ファスナー付の内装材の一例の一部分を模式的に示した断面図である。
以下、本発明について図面を用いて説明する。
本発明の面ファスナー付の自動車用内装材は、図1に示すように、内装材を成形する際の金型内の所定位置に面ファスナー(2)をセットしておき、その後にこの金型内に内装材用シート(1)を金型上型(3)と下型(4)の間に挿入し、所定の形状とするために該シートを金型内で加熱押し圧するとともに、内装材の裏面側の所定位置に面ファスナーを固定し、そして金型から取り出すことにより、図2に示すように、自動車用内装材の裏面側の所定位置に面ファスナー(2)が固定されている自動車用内装材(5)を得るものである。
まず、本発明に用いられる面ファスナーについて詳細に説明する。
本発明に用いられる面ファスナーは、表面にフック型、きのこ型、鏃型等の雄型係合素子を有する雄型面ファスナーであっても、あるいは表面にループ型の係合素子を有する雌型面ファスナーのいずれであってもよい。また、表面に柱状の素子を有し、係合素子面を重ね合わせた場合に柱状素子同士が隙間に嵌り合うことにより摩擦力等で係合を生じるような雄型面ファスナー同士の係合やきのこ形係合素子同士が係合することにより係合力が生じる雄型面ファスナー同士の係合であってもよい。
好ましくは、係合素子が成形の際の加熱条件下での押し圧に倒され難いものが好ましく、具体的には面ファスナーが、図3〜4に示すように、樹脂基板(B)および同基板から直立する同樹脂からなる係合素子(E)からなり、係合素子が、基板から直立する茎部(S)および同茎部の頂部からサイドに突出する係合用突起部(T)からなる成形雄型面ファスナーが係合素子が倒れ難いことから好ましい。さらに好ましくは、このような成形雄型面ファスナーであって、かつ基板からの係合素子の高さ(H)に対する係合素子の最頂部から該突起下端部までの長さ(D)の比(D/H)が0.35〜0.75であり、かつ該係合素子の基板被覆率が25〜45%である成形雄型面ファスナーである。
通常の成形雄型面ファスナーの場合、D/Hは、0.15〜0.25であり、基板被覆率も10〜15%の範囲であることを考慮すると、本発明で好適な成形雄型面ファスナーは極めて特殊なものであると言える。そして、係合素子の高さ(H)も、1.2〜4.0mmの範囲が係合力の点で好ましい。
本発明に好適に用いられる成形雄型面ファスナーでは、上記したような係合素子が複数個、縦方向(図3に示すY方向)に一定間隔をおいて列をなして並んでおり(すなわち係合用突起部が存在しない方向に列をなして並んでおり)、そのような列が横方向(図3で示すX方向)にも並行に複数列存在している。
このような成形雄型面ファスナーの基板(B)および雄型係合素子(E)はともにプラスチックからなり、基板(B)と雄型係合素子(E)は別々の樹脂から形成されていても良いが、生産性の点から通常は同一の樹脂から構成されているのが好ましい。
用いられる樹脂に関しては特に限定されず、通常の成形に使用される熱可塑性樹脂が挙げられ、たとえば、ポリプロピレンで代表されるポリオレフィン系樹脂、ナイロン6やナイロン66等のナイロン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これら以外にポリエステル系エラストマー樹脂やポリウレタン系エラストマー樹脂でも良い。なかでも、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマーが金型での成形時に係合素子が倒れ難く、倒れても立ち上がり易いことから特に好ましい。
ただ、金型に入れて内装材を成形する際の温度で溶融や軟化を生じない樹脂が好ましい。
本発明において好適に用いられる成形雄型面ファスナーは、上記したように、雄型係合素子が、ステム(S)と同ステムからサイドに突出する係合用突起(T)を有しており、通常は、ステムから両サイドに対称に係合用突起(T)が突出しているのが、相手面ファスナーを正しい位置に係合できる点で好ましい。ステム(S)は、通常、基板(B)から直立している。そして、係合用突起(T)は係合力を高めるために、基板に平行に、あるいは図3や図4に示すように、平行より先端部が基板側に下がるような方向に突出している。すなわち、係合用突起(T)の下にループ状係合素子を強固に保持できるような方向に突出しており、かつ突出形状もループ状係合素子と係合し易く、係合が外れ難いものが好ましい。
本発明に使用する成形雄型面ファスナーは、前記したように、D/Hが0.35〜0.75であり、かつ該係合素子の基板被覆率が25〜45%である成形面ファスナーが好ましく、このようなD/Hと基板被覆率を満足していることにより、内装材を車体に取り付ける際に、正確な位置に取り付けられるような位置に重ね合わされていることを確認する際の、内装材を車体に近づけて重ね合わせた時点で、内装材裏面の面ファスナーが車体に取り付けた面ファスナーと安易に係合して、剥がれ難くなり、正確な位置に内装材が取り付けること困難となることを防ぐことができる。
一般に自動車用内装材は面積が大きく、かつ取り付ける際には面ファスナーの位置同士を目で確認できないことから、内装材を車体に近づけてまず位置合わせすることが行われるが、従来の雄型面ファスナーの場合には、この位置合わせの段階で不要な係合が生じ、正しい位置でないことが分かった際には、係合を外して、再度、正しい位置に付け直すことが必要となるが、従来の雄型面ファスナーでは、位置合わせの際に強力な係合が生じ、係合を外すのに多大な労力と時間を要することとなり、さらに一箇所の係合を剥がす際に他の箇所の面ファスナーが新たに係合を生じることや剥離する際に成形した内装材が折れ曲がったりして内装材が破損することもある。
したがって、自動車用内装材を車体に取り付ける場合には、位置合わせの際には係合が生じ難いことが極めて重要となるが、本発明で好適に使用する成形雄型面ファスナーの場合には、D/Hが0.35〜0.75であり、かつ係合素子の基板被覆率が25〜45%であることにより、位置合わせの際に不要な係合が生じることが極めて少ない。
図3や図4は、本発明に好適に用いられる雄型面ファスナーを構成する係合素子の一例の斜視図であるが、これらの図の係合素子では、D/Hの値を高くするために係合素子の頂部にくっつき防止用突起を設けている。従来の雄型面ファスナーの場合には、このようなくっつき防止用突起部を有しておらず、係合素子の頂部はフラットまたはきのこ状のなだらかな丸みを有しているものが多い。
もちろん、くっつき防止用突起は、係合素子の頂部に設けられている必要はなく、係合用突起部分(T)から、基板から遠ざかる方向に突出していても良い。さらにくっつき防止用突起は1本の係合素子に1個である必要はなく、複数個存在していてもよく、また2〜3本の係合素子に1個程度でもよい。さらに係合用突起そのものを厚くしてD/Hの値を0.35以上としても良い。
また本発明に使用する雄型面ファスナーは、係合素子の基板被覆率が25〜45%であることが、位置合わせ時の不要な係合、すなわち誤着を防止する上で好ましい。ここで言う基板被覆率とは、雄型係合素子が立設されている基板部分の面積に対する雄型係合素子のヘッド部を上部から見た面積の割合で、具体的には、雄型係合素子が存在している部分を上面から光学顕微鏡で写真を撮り、同写真から50個の雄型係合素子が存在している任意の基板部を囲み、その囲った部分の面積(s1)と、同部分に存在する50個の雄型係合素子の上面の面積の合計(s2)を求め、[(s2)/(s1)]×100で算出することにより係合素子の基板被覆率(%)が得られる。
図5は、係合素子が連続して存在する部分を上面から光学顕微鏡で写真を撮った場合の模式図であり、同図中、Sがステム、Tが係合用突起、Bが基板をそれぞれ表す。同図のX方向およびY方向は図3のY方向、Y方向と合致している。図5のように、係合素子が基板上に規則正しく立設されている場合には、同図に示すように、1つの係合素子の端部を辺とし、隣り合う係合素子の端部を辺とする四辺形を描き(図5の一点鎖線で示す四辺形)、その面積に占める1つの係合素子の上部から見た係合素子の面積(S+2T)の割合を求めることにより係合素子の基板被覆率が求められる。
本発明において、基板(B)の厚さとしては、特に制限されないが、0.2〜0.8mmの範囲が適切である。また係合素子の密度としては、20〜50個/cmの範囲が好ましく、特に30〜40個/cmの範囲がより好ましい。
このような雄型面ファスナーの製造方法としては、次のような方法が用いられる。すなわち、雄型係合素子および基板に対応した形状のスリットを有するノズルから熱可塑性樹脂を溶融押出し、冷却して、基板表面に、基板から直立してテープ長さ方向に連続している雄型係合素子断面を有する複数の係合素子用列条を有するテープ状物をまず成形する。
次に、得られたテープ状物の表面に存在する係合素子用列条に、該列条長さ方向(Y方向)を横切る方向、好ましくは直交する方向に小間隔で該列条の先端から付け根付近まで切れ目を入れる。切れ目の間隔としては0.2〜0.6mmの範囲が適切である。
次いで、テープ状物を長さ方向に延伸する。延伸倍率としては、延伸後のテープ状物の長さが元のテープ状物長さの1.3〜3.5倍となる程度が採用される。この延伸により、列条に入れられた切れ目が広がり、列条が独立した多数の雄型係合素子からなる列となる。なお、切れ目は列条長さ方向に直交する方向に入れても良いし、また斜め方向に入れても良い。図5は直交する方法に切れ目を入れた場合である。
本発明において、使用する面ファスナーは、上記したように、成形雄型面ファスナーが好ましいが、織物を基板とする雄型面ファスナーであってもよく、また織編物を基板とする雌型面ファスナーでもよい。
但し、織物や編物を基板とする面ファスナーは、雄型面ファスナーの場合には係合素子がモノフィラメントからなり、また雌型面ファスナーの場合には係合素子がマルチフィラメントからなるが、このような面ファスナーの場合には、一般に、内装材を金型で成形する際の熱および押し圧により係合素子が倒され易く、係合力が低下することとなる。これを防ぐためには、係合素子として、エラストマー樹脂やポリブチレンテレフタレートのような弾力性を有する樹脂からなるモノフィラメントやマルチフィラメントを使用するのが好ましい。特に、雌型面ファスナーを使用する場合には、雌型面ファスナーの係合素子として、ポリブチレンテレフタレートからなるマルチフィラメントを用いるのが、係合素子が、成形の際の加熱・加圧により倒れても容易に立ち上がることから好ましい。
金型にセットする際の面ファスナーの大きさとしては、例えばX方向×Y方向またはその逆方向に、10〜40mm×20〜80mm程度のものが好ましく、より好ましくは15〜30mm×30〜60mm程度のものである。このサイズより小さい場合には、必要な係合力を得るのに多数の面ファスナーが必要となり、金型に多数の面ファスナーをセットするのに時間および労力を要する。またこれより大きい場合には、金型にセットするのが困難となったり、あるいは成形中に面ファスナーが金型面から剥離しないようにするための労力を要することとなる。
そして、基板(B)の裏面側には、ホットメルト接着剤層(6)を存在させる。ホットメルト接着剤としては、内装材を金型で成形する際の温度により溶融して、面ファスナーを内装材の所定位置に固定することができ、耐久性を有するものが好ましい。具体的には、一般的なゴム系やポリオレフィン系やポリアミド系のものなどが挙げられ、ホットメルト温度としては100〜160℃程度が好ましい。
金型内にセットするに先立って、面ファスナーの裏面側に、ホットメルト接着剤を塗布しておく。塗布する量としては、100〜400g/mが好ましい。なお、面ファスナーの裏面には、ホットメルト接着剤との接着力を高めるために、裏面にアンカー材となるような凹凸を設けても、突起部を設けても、あるいは裏面にコロナ放電等を行って接着力を高める処理を行ってもよいし、また裏面にプライマーを塗布して接着力を高めてもよい。
次に面ファスナーを取り付ける対象物である自動車用内装材について説明する。
内装材の代表として自動車用天井材について説明すると、自動車用天井材は、発泡樹脂層または不織布層を含む積層構造体が好ましく、特に発泡樹脂層およびその少なくとも片面を覆う不織布層からなる場合が好ましく、なかでも特に図9に示すような多層積層構造体が好ましい。もちろん、本発明はこのような積層構造体に限定されるものではない。
内装材は、まず発泡樹脂層とその少なくとも片面を覆う不織布層からなる内装材用基材を金型に入れ加熱加圧して1回目の成形を行い、次にこの1回目の成形品に表皮材を重ね合わせ再度金型に入れ、加熱加圧して表皮材を一体化する2回目の成形を実施して製造する、いわゆる2段成形法により製造する場合と、材料を全て重ね合わせて金型に入れ、加熱加圧して成形する1段成形法により製造する場合の2通りがあるが、本発明はいずれでもよい。
そして2段成形法の場合には、1回目の成形の際に本発明方法を用いても、あるいは2回目の成形の際に本発明方法を用いてもよい。
本発明において、図9に記載されているような積層構造体(5)が自動車天井材として好適例として挙げられるが、図9の構造体は、表皮材(51)、発泡樹脂層I(52)、不織布層I(53)、発泡樹脂層II(54)、および不織布層II(55)がこの順序で積層されており、さらに発泡樹脂層IIの両面をガラス繊維マット層(56および57)が覆っており、ガラス繊維マット層(57)と不織布層II(55)の間にフィルム層(58)が挿入されている。
これらのうち、発泡樹脂層II(54)は、ポリプロピレンやポリエチレンやポリウレタン等の樹脂からなる発泡層であり、通常、硬質の発泡樹脂層である。発泡樹脂層は天井材成形の際に大きくプレスされ、その結果、厚さが数分の一に減少される。成形後の発泡樹脂層の厚みとしては、断熱性や防音性の点で3〜10mmが好ましく、また発泡倍率としては、10〜30倍、特に15〜25倍が好ましい。
そして、この発泡樹脂層II(54)の強度を高め、適度の硬さ得るために、その両面をガラス繊維マット層(56、57)が覆っている。ガラス繊維マット層は、ともにガラス繊維からなる不織布層であり、不織布内にイソシアネート化合物で代表される熱硬化性接着剤が含浸されており、それにより不織布形状固定および上下の層間の接着一体化が達成されている。ガラス繊維マット層の目付けとしては50〜150g/mが好ましい。
なおガラス繊維を発泡樹脂層IIに混入させることにより、ガラス繊維マット層を不要とすることも可能である。もちろん、ガラス繊維に代えて、他の高強度・高弾性繊維を用いることも可能である。さらに、通常の合成繊維や天然繊維やパルプ状物からなる層に接着剤が含浸されたものでもよい。
そして、天井材の表面側には表皮材(51)が一体化されている。表皮材としては、織編物、天然皮革、人工皮革、化粧樹脂シート等の高級感ある外観を有するシートが使用される。表皮材の裏面側には、表皮材の皺や弛み等を修正して表面形状を整え、柔らかさと高級感を出すために、ポリウレタン等の軟質の発泡樹脂層I(52)が貼り付けられている。この軟質発泡樹脂層I(52)の厚さとしては0.2〜2mmが、また目付けとしては100〜300g/mが、発泡倍率としては5〜30倍が好ましい。表皮材と発泡樹脂層Iは通常接着剤により一体化される。
そしてこの軟質発泡樹脂層Iの裏面側(表皮層と反対側)には、強度や防音性や断熱性を高めるために、合成繊維からなる不織布層I(53)が積層される。この不織布層の目付けとしては、20〜100g/mが好ましく、より好ましくは30〜80g/mの嵩高不織布層である。この不織布層に用いられる不織布として、構成繊維が水流絡合やニードルパンチにより三次元絡合されている不織布が用いられる。層間の接着を達成するために、ホットメルト接着剤が一般に用いられてもよいが、不織布を構成する繊維の一部として、熱融着性の繊維を使用し、この繊維を溶融させることにより層間接着を行うことも好適な方法である。
そして、ガラス繊維マット層(57)の裏面側(すなわち表皮層から遠ざかる側)には、通気を遮断し、結露防止や断熱性を高めるために、フィルム層(58)が重ねられていてもよい。このフィルム層はガラス繊維マット層(57)や発泡樹脂層IIに混入したガラス繊維が作業時に飛散したり刺さることを防止する目的も担っている。このフィルム層(58)を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。また、ナイロンやポリオレフィンからなる層の両面をホットメルト接着剤層で覆った積層フィルムも好ましい例である。フィルム層の厚さとしては、30〜150μmが好ましい。
そして面ファスナーを金型内で貼り付ける面には不織布層II(55)が存在しているのが、断熱性や接着性、防音性等の点で好ましい。通常、この不織布層IIとして、ポリエステル系の繊維やポリオレフィン系の繊維からなる嵩高不織布層が用いられる。その目付けとしては、15〜60g/mが、特に20〜50g/mが好ましい。不織布層IIの接着のためにホットメルト接着剤が使用でき、フィルム層(58)の表面にホットメルト接着剤層が存在している場合には、新たに接着剤を使用する必要はない。
以上述べたような自動車用天井材の他に、種々の自動車用天井材が存在するが、本発明はそれらにも適用でき、すなわち金型を用いて、天井材用シートを所望の形状に曲げて、その形状で固めて製造されるものであるならば、本発明は適応することができる。そして本発明は、自動車用天井材以外に、自動車用ドアトリムやトランクルームを覆う内装材にも適用できる。
さらに、面ファスナー付の内装材の該面ファスナーの一部に、ワイヤハーネスに取り付けたもう一方の面ファスナーで固定し、そしてこのワイヤハーネス付内装材の該面ファスナーの残りの部分を用いて、車体に取り付けたもう一方の面ファスナーを係合させることで、ワイヤハーネス取り付け内装材を車体に固定することもできる。もちろん、この方法は、自動車用ドアトリムやトランクルーム内装材にも適用できる。
このような内装材を金型により、成形する際に本発明が適用できる。すなわち、金型の所定位置に、面ファスナーの係合素子面が金型側となるように予め面ファスナーをセットしておき、そして、金型に内装材用シートを挿入し、加熱加圧して内装材用シートを所望の形状に折り曲げて成形する。そして金型から取り出すことにより内装材が得られる。その際に、内装材の所定の場所に面ファスナーが裏面に存在させたホットメルト接着剤により固定されている。
なお、面ファスナーを金型内の所定位置にセットするために、金型内の所定位置には、面ファスナーが隙間なく嵌め込めることができるように窪みを設けているのが好ましい。
また、金型の所定位置に磁石が埋め込まれており、一方、面ファスナーには磁性材が付与されており、磁石と磁性材により、金型の所定位置に面ファスナーが磁着によりセットされている場合も好ましい。具体的には、面ファスナーを構成する樹脂に磁性粉体を添加しておいたり、磁性粉体を含有する樹脂を面ファスナーの裏面や表面側の係合素子間や係合素子の周りに存在させることにより達成される。
さらに金型の所定位置に別の耐熱性面ファスナーを埋め込んでおき、この面ファスナーに内装材に取り付けるべき面ファスナーを係合させて金型内に面ファスナーをセットすることもできる。
このように、金型内に面ファスナーをセットし、この状態で自動車用内装材用シートを金型の間に挿入し、そして加熱・加圧することにより成形する。成形条件としては、通常、温度120〜170℃で20〜200秒、圧力としては、発泡樹脂層IIの厚さが、成形する前の厚さの40〜80%となる圧力が好ましい。
この成形により面ファスナーは、発泡樹脂層IIや不織布層IIに陥没し、本発明で規定するような「面ファスナーが固定されている内装材の箇所が陥没して、この陥没部に面ファスナーが係合素子面を外側にして隙間なく嵌め込まれている」状態となる。そして、このように嵌め込まれた面ファスナーは面ファスナー裏面側に存在しているホットメルト接着剤により内装材本体に固定されている。そして、このような状態で面ファスナーが固定されていることにより、面ファスナーは内装材に強固にかつ正確な位置に取り付けられていることとなる。
本発明により得られる面ファスナー付の内装材は、図6や図7に示すように、面ファスナーが固定されている内装材の箇所が陥没して、この陥没部に面ファスナーが係合素子面を外側にして隙間なく嵌め込まれている。図6は、面ファスナーの存在している部分の内装材が垂直的に陥没し、この陥没部に面ファスナーが隙間なく嵌め込まれている。一方、図7は面ファスナーが固定されている内装材の箇所が陥没しているが、周囲が斜面状となっている。
内装材裏面が熱変化し難い繊維からなる不織布等で覆われている場合には、この図7に示すような断面形状となり、一方、内装材裏面が熱により軟化し易く、陥没し易い繊維層や発泡層からなる場合には図6のような断面形状が形成されることとなる。
一方、図8は、従来の、内装材を成形した後に、成形後の内装材の裏面に粘着材や接着剤により面ファスナーを取り付ける場合であるが、この場合でも、面ファスナーを取り付ける位置が分かるように、内装材裏面には窪みが設けられているが、面ファスナーを取り付ける際の作業性の点で窪みは面ファスナーよりかなり広く、面ファスナーの周りには、窪みの延長部が存在している。この点で、本発明の面ファスナー付内装材は従来のものと相違する。この相違点に基づく効果の相違点に関しては、前記した通りである。
本発明の面ファスナー付の自動車用内装材は、車体の所定箇所に取り付けた面ファスナーと係合させることにより、車体に固定される。車体側に取り付けられる面ファスナーは、内装材に取り付けた面ファスナーと係合できるものであるならば特に限定はなく、内装材に取り付けた面ファスナーが雄型面ファスナーである場合には、車体側に取り付ける面ファスナーは雌型面ファスナー、すなわちループ状の係合素子を有する面ファスナーであり、一方内装材に取り付けた面ファスナーが雌型面ファスナーである場合には、車体側に取り付ける面ファスナーは雄型面ファスナーとなる。
また、雄型面ファスナーが雄―雄同士の係合が可能な面ファスナーの場合には、両者を雄型面ファスナーとすることができる。さらに表面に柱状の素子を有し、係合素子面を重ね合わせた場合に柱状素子同士が隙間に嵌り合うことにより摩擦力等で係合を生じるような雄型面ファスナー同士の組み合わせでもよい。また雌型面ファスナーとして、先端にクリンプを有する立毛繊維が表面に多数存在しているような不織布も、雌型面ファスナーとして使用できることから、車体にこのような不織布を貼り付けてもよい。
面ファスナー付内装材に取り付ける面ファスナーの数としては、内装材の大きさにもよるが、一般的には内装材の端部と中央部がしっかり固定できるように、分散して取り付けられていればよく、通常は内装材裏面に5〜20箇所程度である。
本発明の面ファスナー付の自動車用内装材は、面ファスナーが正確な位置に強固に取り付けられていることから、内装材を正確な位置に強固に取り付けることができ、作業性が向上するとともに、製品の見栄えもよく、高級感が得られる。本発明の面ファスナー付の自動車用内装材は、自動車用天井材や自動車用ドアトリムやトランクルーム用内装材や内装材へのワイヤハーネス固定等として用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
発泡ポリウレタンからなる厚さ8mmの層の両面を、熱硬化性イソシアネート化合物を含浸させたガラス繊維マット(目付け:100mm/m)で覆い、さらにその片面(表面側の面と称す)をポリエステル繊維からなる厚さ2mmの絡合不織布、その反対側の面(裏面側の面と称す)を、厚さ1mmのポリプロピレン層の両面をホットメルトポリオレフィン層からなる積層フィルムとポリエステル繊維からなる厚さ1mmの絡合不織布からなる積層体で、絡合不織布側が外側となるように積層した、自動車用天井材用シートを用意した。
一方、成形雄型面ファスナーとして、クラレファスニング株式会社製成形雄型面ファスナー(L20740 係合素子は厚さ0.33mmの基板から突出する茎部および茎部から両サイドに突出する係合用突起部からなり、D/H=0.54、素子の基板被覆率=35.7%、係合素子の高さ(H)=2.85mm、係合素子密度=31個/cm、構成樹脂:ポリプロピレン)の基板裏面側をコロナ処理し、さらにプライマー処理した後、ポリアミド系ホットメルト接着剤(融点110℃)を塗布した面ファスナーを、長さ40mm×幅20mmの大きさに切断したものを用意した。この面ファスナーは、裏面に塗布したホットメルト接着剤層を合わせて厚さ3.5mmであった。
この成形雄型面ファスナーを、自動車用天井材成形用金型の下型の方の端部近辺12箇所および中央部近辺4箇所に横20mm×縦40mm×深さ1.2mmの窪みを設け、この窪みに、上記成形雄型面ファスナーを係合素子側が金型窪みの底となるように挿入した。成形雄型面ファスナーは、窪みに隙間なく挿入固定することができた。
そして、この成形雄型面ファスナーをセットした金型の上型と下型の間に前記天井材用シートを裏面側が下型側となるように挿入し、上型と下型で該シートを押え付け、140℃に加熱加圧し、この状態で40秒保ち、冷却した後、金型からシートを取り出した。得られたシート(天井材用基材)は自動車用天井材の形状に合致するように折り曲げられており、その端部および中央部には、面ファスナーがホットメルト接着剤により強固に固定されていた。天井材基材の大きさは1.8mであり、そして、同基材を構成している発泡ポリウレタンの層は加熱圧縮により、成形前の厚さ8mmから厚さ5mmに減少していた。そして、面ファスナーは天井材裏面に形成された窪みに隙間なく挿入・固定されていた。
次に、ポリエステル繊維からなる厚さ1mmで目付け150g/mの黒色ニット地の裏面に厚さ2mmの発泡ポリウレタン層を貼り合わせた表皮層を用意し、この表皮層の裏面に、前記面ファスナー付の天井材用基材の面ファスナーが取り付けられている反対側の面を重ね合わせ、再度、金型に挿入し、今回は、前回より20℃低い温度で30秒加熱・加圧して接着した。なお、接着剤として、ポリオレフィン系の接着繊維を絡合不織布に配合している。
得られた自動車用天井材は、面ファスナーがいずれも天井材基材に強固に取り付けられており、車体に取り付けたループ面ファスナーと係合させたところ、位置合わせの段階で係合が生じることがなく、正確な位置に天井材を強固に取り付けることができた。この車体に取り付けた天井材に熱を加えて75℃にしたところ、天井材の係合力が低下することは全く生じなかった。しかも、表面のニット層が柔軟で、皺や浪打が全くなく、高級感ある外観を有するものであった。
実施例2
実施例1で用いた天井材用シートに以下の表皮層を重ね、この状態で金型に挿入する1段成形法を用いて天井材を製造した。
すなわち、表皮層として、ポリエステルを島成分とする海島複合紡糸繊維からなる絡合不織布にポリウレタン溶液を含浸させて同溶液を湿式凝固させ、得られたシートから海島繊維中の海成分を抽出除去することにより得られるシートの表面をサンドペーパーで毛羽立てることにより得られる、茶色に染色された厚さ1.2mmのスエード調人工皮革の裏面に厚さ2mmのポリウレタン発泡層を貼り合わせたものを用いた。
天井材の成形条件は実施例1の1段目の成形条件と同一である。得られた自動車用天井材は、実施例1の場合と同様に、面ファスナーがいずれも天井材基材に強固に取り付けられており、面ファスナーは天井材裏面に形成された窪みに隙間なく挿入され、その状態で固定されていた。
得られた天井材を車体に取り付けたループ面ファスナーと係合させ、車体の固定したところ、位置合わせの段階で係合が生じることがなく、正確な位置に落ち着いて天井材を取り付けることができた。
この車体に取り付けた天井材に熱を加えて75℃にしたところ、天井材の係合力が低下することは全く生じなかった。得られた天井材は、皺や弛み等もなく、スエード調の高級感を全く損なうことなく、気品を有する格調の高いものであった。
1:自動車用内装材用シート
2:面ファスナー
3:金型上型
4:金型下型
5:自動車用内装材
6;ホットメルト接着剤層
B:面ファスナー基板
E:係合素子用ステム
T:係合用突起部
S:くっつき防止用突起
51:表皮材
52:発泡樹脂層I
53:不織布層I
54:発泡樹脂層II
55:不織布層II
56:ガラス繊維マット層
57:ガラス繊維マット層
58:フィルム層

Claims (10)

  1. 自動車用内装材の裏面側の所定位置に面ファスナーが固定されている自動車用内装材において、該裏面側の所定位置には陥没部が形成され、該陥没部に面ファスナーが係合素子面を外側にしてホットメルト接着剤により隙間無く嵌め込まれて固定されていることを特徴とする自動車用内装材。
  2. 自動車用内装材が、発泡樹脂層または不織布層を含有している請求項1に記載の自動車用内装材。
  3. 自動車用内装材が、発泡樹脂層およびその少なくとも片面を覆う不織布層からなる請求項1に記載の自動車用内装材。
  4. 自動車用内装材が、少なくとも、表皮材、発泡樹脂層I、不織布層I、発泡樹脂層IIおよび不織布層IIからなり、かつこの順序で積層された積層体であって、不織布層IIの発泡樹脂層IIと反対側の面に面ファスナーが固定されている請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用内装材。
  5. 面ファスナーが、樹脂基板および同基板から直立する同樹脂からなる係合素子からなり、係合素子が、基板から直立する茎部および同茎部の頂部からサイドに突出する係合用突起部からなる成形雄型面ファスナーである請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用内装材。
  6. 成形雄型面ファスナーが、基板からの係合素子の高さ(H)に対する係合素子の最頂部から該突起下端部までの長さ(D)の比(D/H)が0.35〜0.75であり、かつ該係合素子の基板被覆率が25〜45%である請求項5に記載の自動車用内装材。
  7. 面ファスナーが、織編物からなる基布の表面にマルチフィラメントからなるループ素子を有しており、該マルチフィラメントがポリブチレンテレフタレート系樹脂からなる雌型面ファスナーである請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用内装材。
  8. 自動車用内装材用シートを金型に挿入し、加熱加圧して所定の形状に成形する際に、予め金型の所定位置に、裏面にホットメルト接着剤を塗布した面ファスナーを、係合素子面を金型面側となるようにセットし、その状態で該シートを挿入して成形し、そして金型から取り出すことにより、所定位置に面ファスナーが固定された自動車用内装材の製造方法。
  9. 面ファスナーが固定できるような窪みが金型の所定位置に設けられている請求項8に記載の製造方法。
  10. 金型の所定位置に磁石が埋め込まれており、一方、面ファスナーには磁性材が付与されており、磁石と磁性材により、金型の所定位置に面ファスナーが磁着によりセットされている請求項8または9に記載の製造方法。
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