JP2017001411A - 直流電気鉄道車両端部の直流磁界シールド装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、直流電気鉄道車両の車両連結部に設けられた幌部の側面と、該幌路側面が接続される車体妻面との境界部分近傍に設置された直流電気ケーブルが発生させる磁界の車両内部側への侵入を防止する磁気シールド部材が設けられた直流磁界シールド装置であり、磁気シールド部材が車体妻面の通路開口部周縁に取り付けられた強磁性体製の枠体からなり、枠体が、車体妻面に沿って通路開口部両側縁に個々に配置された第1の縦枠シールド板と、第1の縦枠シールド板の幌部側の一側縁に延設されて幌部側面に沿う方向に延在された第2の縦枠シールド板と、第1の縦枠シールド板の他側縁に延設されて車体妻面から離れる方向に延在された第1の副シールド板を具備し、第2の縦枠シールド板の先端側に幌部が接続されている。
【選択図】図1
Description
この磁気遮蔽板は、漏洩磁束を低減するとともに、リアクトルを吊り下げるための構造部材としても利用されている。
また、前後に連結された交流電気鉄道車両の間に設けられる内幌の床面の外側に、厚み5mm程度のアルミニウム板などの磁気シールド板を配置し、外幌の場合は、天端面および側面の内側に内幌と同様の磁気シールド体を配置した構造が知られている(特許文献2参照)。この特許文献2には、磁気シールド体として、板状の導電性材料の代わりに導電性の配線の集合体を用いることが記載されている。
ところで、最近の鉄道用車両においては、車両軽量化の観点や防錆の観点から、アルミニウム車体やステンレス車体が使用されることが多くなってきている。このアルミニウム車体は、その高電気伝導度のため、交流電気鉄道車両の交流磁界遮蔽には有利な面を有するが、直流磁界に対する磁気シールド効果の面では期待できない車体であるといえる。
現状、鉄道車両の底部側に配置された機器から車両内部側への漏洩磁束の対策は上述の特許文献1、2に記載の如く種々の対応がなされている。ところが、鉄道車両端部の幌部に隣接して幌部の外側に配線される電気ケーブルが発生させる直流磁界について特別な対策がなされていない課題がある。
例えば、車両端部の幌部の近傍には、電気ケーブルが配置されるが、この電気ケーブルを流れる直流により発生した磁束は、車両内部側に漏洩磁束として作用する問題がある。
本発明の直流電気鉄道車両端部の直流磁界シールド装置において、前記シールド部材が左右一対の前記第1の縦枠シールド板と上下一対の横枠シールド板からなり、前記シールド部材が前記幌部を前記車体妻面に取り付けるための幌枠と兼用された構成を採用できる。
本発明の直流電気鉄道車両端部の直流磁界シールド装置において、前記第1の縦枠シールド板および前記第1の副シールド板と、前記第2の縦枠シールド板および前記第2の副シールド板とで囲まれた領域に前記電気ケーブルが配置された構成を採用できる。
磁気シールド部材は車体妻面において幌部を取り付ける部分に位置し、幌部を取り付ける幌枠を兼ねるので、別途特別に磁気シールド部材を設けることなく漏洩磁界の車両内部側への影響を排除できる。
また、第1と第2の縦枠シールド板を備えた磁気シールド部材の高さは幌部の高さに近い高さであるので、人の身長より高く、車両に乗車している人の胸部まで確実に磁気遮蔽でき、乗車している人に対する悪影響を防止できる。
図1は本実施形態の直流磁界シールド装置を備えた直流電気鉄道車両の連結部を示すもので、前後に連結された車両1、2の間に連結部が設けられ、車両1、2の連結部中央側に車両1、2の間で人が移動するための連結床と通路を囲むための幌部5が設けられている。
幌部5は側面と天井面と底面とを備えたトンネル型に形成されている。図1、図2に示す形態では記載の簡略化のため、幌部5の側面5aと天井部5bのみを表示し、幌部5の一部を車両1から分離した状態で示している。
幌部5は、車両1、2の横幅の半分程度の幅を有し、車両1、2の高さより若干低い高さを有して車両1、2の連結部中央側に配置されている。このため、車両1、2の連結部には、幌部5の側面5aと車両1、2の妻面1a、2aにより囲まれる間隙部7が形成されている。
第1の縦枠シールド板8aにおいて通路開口部側の縁部には第1の縦枠シールド板8aに対し直角方向に延出する第2の縦枠シールド板8cが形成され、第2の縦枠シールド板8cはその上下に配置されている第1の横枠シールド板8b、8bに達する高さに形成されている。この実施形態において第1の縦枠シールド板8aと第2の縦枠シールド板8cは同等程度の横幅に形成され、一例として、10cm〜30cm程度の横幅に形成される。
第2の縦枠シールド板8cにおいて通路開口部側と反対側(幌部側)の端縁に第2の縦枠シールド板8cに対し直角向きに第2の副シールド板8eが形成されている。第2の副シールド板8eは第2の縦枠シールド板8cと同じ高さに形成されるが、第2の縦枠シールド板8cよりも幅狭に形成されている。例えば幅5〜10cm程度に形成されている。第2の副シールド板8eは車両1の妻面1aに対し平行な向きであって車両連結部の外側に向くように延在されている。
第3の副シールド板8fと第4の副シールド板8gの奥行きは、第2の縦枠シールド板8cの横幅(奥行き)と同等に形成されている。
枠体8Aは1枚の強磁性体の板材を部分的に切り起こして構成しても良いが、必要なサイズの強磁性体の板材を溶接などの手法により複数一体化して構成しても良い。
例えば、この実施形態では、第1の縦枠シールド板8a、8aと第1の横枠シールド板8b、8bを面一に形成し、これらに対し第1の副シールド板8d、8dと第2の副シールド板8c、8cと第3の副シールド板8fと第4の副シールド板8gをそれぞれ直角に設けている。このため、1枚の金属板からの切り起こしや折り曲げによりこれらを形成し、切り起こし部分どうしの突き合わせ部分を溶接などの接合手段により接合することで、図1に示す枠体8Aを構成することができる。
枠体8Aにおいて左右両側に配置された第2の副シールド板8eに対し、幌部5の端縁部分が図2に示すように当接され、第2の副シールド板8eと幌部5の端縁部分を貫通したビス、ボルト・ナット等の連結金具9により第2の副シールド板8eに幌部5の端縁部分が固定されている。このため、枠体8Aは幌部5の端縁部分を固定するための幌枠を兼ねている。図1では枠体8Aを見やすくするために幌部5を枠体8Aから分離した状態で示したが、通常の使用状態では図2に示すように幌部5の端部を連結金具9により第2の副シールド板8eに接続して貫通路Rが形成される。
また、第1の縦枠シールド板8aの外側(車両1の側面1Aに近い側)に沿って磁界が周回して生じようとする磁界漏洩を第1の副シールド板8dが抑制するので、第1の縦枠シールド板8aの外側を回り込んで車両内部側に達しようとする磁界漏洩を抑制できる。
第1の縦枠シールド板8aと第2の縦枠シールド板8bおよび第1の副シールド板8dと第2の副シールド板8eはいずれも幌部5と同等高さかそれ以上の高さに形成されているので、車両内の乗員の胸以上の高さまで確実に磁界漏洩を抑制し、保護できる効果を奏する。よって車両内の乗員に直流磁界漏洩による悪影響を与えることがなく、車両内部側に対し磁気漏洩の少ない直流電気鉄道車両の連結部構造を提供できる。
また、第3の副シールド板8fと第4の副シールド板8gは、それらの左右に一体化されている第2の縦枠シールド板8c、8cを支持してそれらの構造強度を向上させるため、第2の縦枠シールド板8c、8cの先端側に第2の副シールド板8eを介し固定されている幌部5の支持強度も向上させることができる。よって、枠体8を用いることで、車両内部側に対する良好な磁気遮蔽効果と幌部5の強固な取付構造を両立して得ることができる。
図3に示す概形の車両1に対し、一方の妻面1aの通路開口部周縁に、第1の縦枠シールド板(鋼板製、幅0.2m、厚さ3mm)と第2の縦枠シールド板(鋼板製、幅0.2m、厚さ3mm)と第1の副シールド板(鋼板製、幅0.05m、厚さ3mm)と第2の副シールド板(鋼板製、幅0.05m、厚さ3mm)を備えた水平断面略L字型の枠体を配置し、磁界シミュレーション試験を行った。
用いた磁界シミュレーションソフトは、ELF/MAGIC(株式会社エルフ製:電磁場電磁界解析装置)である。
磁界測定位置は、図3に示すように、車両1の内部側であって、第1の縦枠シールド板の幅方向に等間隔で配置され、第1の縦枠シールド板から0.05m離れた5点位置に設定した。対象の電気ケーブル12は、車体妻面1aに沿う第1の縦枠シールド板8aから0.05m離れた位置であって、貫通路Rの側面に沿って設置されている第2の縦枠シールド板8cから0.05m離れた位置に、上下方向に沿って設置される直流電気ケーブルとした。よって、図3に示すように測定点5点のうち、中央の1点の外側0.1mの位置に電気ケーブル12が配置される条件に設定している。
また、車両1は非磁性体であるアルミニウム合金から構成される場合を想定し、車体1を構成する壁の存在は無視した。
以上のシミュレーション試験結果による磁界分布を図4のグラフに示す。図4のグラフにおいて横軸は電気ケーブル中心位置から車両横方向への距離(m)を示し、縦軸は通常部材の時の電気ケーブル中心位置基準の相対磁束密度を示す。通常部材とは、アルミニウム材(非磁性体)を意味する。
例えば、第1の縦枠シールド板と第2の縦枠シールド板に加えて第1の副シールド板と第2の副シールド板を備えた枠体からなる磁気シールド部材を設けることにより、優れた磁気遮蔽効果を得られることがわかった。
また、5点の測定位置において、ケーブル中心位置から車両幅方向への距離が0.05mの位置と0.1mの位置では相対磁束密度が上昇した。これは、漏洩磁界の周回を考慮すると、貫通路R側に第2の縦枠シールド板8cと第2の副シールド板8eがあるので、貫通路Rに近い側の測定点の相対磁束密度が低く、第1の副シールド板8dのみが延在されている車両外側よりの測定点の相対磁束密度が、高い影響である。この場合、貫通路Rを周回して車両1の内部側に侵入しようとする漏洩磁界を第2の縦枠シールド板8cと第2の副シールド板8eで良好に遮蔽できていることがわかる。
第2の副シールド板8eは、主に貫通路Rにおける磁界低減に寄与するために設置される。なお、この貫通路Rにおける磁界の低減特性は、図4に示すグラフと同等になる。これは図3に示すように車両内部側と貫通路側でシールド板8a、8cと副シールド板8d、8eの形状が対称なためである。貫通路Rにおける磁界の低減特性の場合は、図4の横軸のマイナス側が車両側、プラス側が貫通路を挟んだ反対側の車両側となる。
Claims (4)
- 直流電気鉄道車両の車両連結部に設けられた幌部の側面と、該幌路側面が接続される車体妻面との境界部分近傍に設置された直流電気ケーブルが発生させる磁界をシールドして該磁界の車両内部側への侵入を防止する磁気シールド部材が設けられた直流電気鉄道車両の直流磁界シールド装置であって、
前記磁気シールド部材が前記車体妻面の通路開口部周縁に取り付けられた強磁性体製の枠体からなり、
前記枠体が、車体妻面に沿って前記通路開口部両側縁に個々に配置された第1の縦枠シールド板と、前記第1の縦枠シールド板の前記幌部側の一側縁に延設されて前記幌部側面に沿う方向に延在された第2の縦枠シールド板と、前記第1の縦枠シールド板の他側縁に延設されて前記車体妻面から離れる方向に延在された第1の副シールド板を具備してなり、
前記第2の縦枠シールド板の先端側に前記幌部が接続されたことを特徴とする直流電気鉄道車両端部の直流磁界シールド装置。 - 前記第2の縦枠シールド板の前記幌部側の端縁に前記車両連結部の外側に向いて延在する第2の副シールド板が延出形成され、前記第2の副シールド板に前記幌部が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の直流電気鉄道車両端部の直流磁界シールド装置。
- 前記シールド部材が左右一対の前記第1の縦枠シールド板と上下一対の横枠シールド板からなり、前記シールド部材が前記幌部を前記車体妻面に取り付けるための幌枠と兼用されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直流電気鉄道車両端部の直流磁界シールド装置。
- 前記第1の縦枠シールド板および前記第1の副シールド板と、前記第2の縦枠シールド板および前記第2の副シールド板とで囲まれた領域に前記電気ケーブルが配置されたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の直流電気鉄道車両端部の直流磁界シールド装置。
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