JP2016088271A - 直流電気鉄道車両の直流磁界シールド装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この磁気遮蔽板は、漏洩磁束を低減するとともに、リアクトルを吊り下げるための構造部材としても利用されている。
また、前後に連結された交流電気鉄道車両の間に設けられる内幌の床面の外側に、厚み5mm程度のアルミニウム板などの磁気シールド板を配置し、外幌の場合は、天端面および側面の内側に内幌と同様の磁気シールド体を配置した構造が知られている(特許文献2参照)。この特許文献2には、磁気シールド体として、板状の導電性材料の代わりに導電性の配線の集合体を用いることが記載されている。
ところで、最近の鉄道車両においては、車両軽量化の観点から、アルミニウム車体が使用されることが多くなってきている。このアルミニウム車体は、その高電気伝導度のため、交流電気鉄道車両の交流磁界遮蔽には有利な面を有するが、直流磁界に対する磁気シールド効果の面では期待できない車体であるといえる。
このため、アルミニウム車体からなる鉄道車両においては、強い直流磁界を発生する部位に磁気シールド板を配置し、車両内部側に漏洩磁束が漏れないように配慮する必要がある。
現状、鉄道車両の底部側に配置された機器から車両内部側への漏洩磁束の対策は上述の特許文献1、2に記載の如く種々の対応がなされている。ところが、鉄道車両端部の幌部に隣接して幌部の外側に配線される電気ケーブルが発生させる直流磁界について特別な対策がなされていない課題がある。
例えば、車両端部の幌部の側方側には、電気ケーブルが配置されているが、この電気ケーブルを流れる直流により発生した磁束は、例えば、駅のホーム側に漏洩磁束として作用する問題がある。
本発明において、前記主シールド板が前記車両側面に沿って該車両側面を延長するように配置され、転落防止機能が付加されたことが好ましい。
磁気シールド部材は車両の連結面端部から幌部側面に並行し、車両連結部の間隙部を塞ぐように設けられているので、駅のホームに車両が停車している場合、ホーム側にいる人が線路側へ転落することを防止する転落防止板の機能を有する。
また、磁気シールド部材の高さは車両連結部の床部から1.5m以上の高さであれば、車両が停車するホームの高さの1.5m以上の部分について磁気遮蔽できるので、人体の胸部までを保護できる。
図1は本実施形態の直流磁界シールド装置を備えた直流電気鉄道車両の連結部を示すもので、前後に連結された車両1、2の間に連結部が設けられ、車両1、2の連結部中央部側に車両1、2の間で人が移動するための連結床と通路を囲むための幌部5が設けられている。
幌部5は側面と天井面と底面とを備えたトンネル型に形成されている。図1、図2に示す形態では記載の簡略化のため、幌部5の側面5aと天井部5bのみを表示している。
幌部5は、車両1、2の横幅の半分程度の幅を有し、車両1、2の高さより若干低い高さを有して車両1、2の連結部中央側に配置されている。このため、車両1、2の連結部には、幌部5の側面5aと車両1、2の連結面1a、2aにより囲まれる間隙部7が形成されている。
車両1の幅方向両端の連結面端部1bには、それぞれ平面視コ字状の強磁性体からなる板状の磁気シールド部材8が車両1の側面を延長するように取り付けられている。
各主シールド板8aの取り付け位置は、図1の例では車両1の側面1Aに対しほぼ面一に設定されている。
前記主シールド板8aと副シールド板8bの底部は、幌部5の底部と同等高さ位置に、換言すると車両1の床部と同等高さ位置に形成され、前記主シールド板8aと副シールド板8bの高さは最低1.5m、最大で幌部5と同等高さに形成される。前記主シールド板8aと副シールド板8bの最低高さを1.5mとしたのは、車両1がホーム13に停車中、ホーム13を歩く人の胸部までを保護する目的のためである。前記主シールド板8aと副シールド板8bの最大高さは、先の目的で支障が生じないのであれば材料の無駄を無くするためにできるだけ低くした方が望ましい。
電気ケーブル12が発生させる磁界は、車両1の外部に設置されている磁気シールド部材8により大部分遮蔽され、ホーム13側に漏洩する磁界は少ない。このため、ホーム13側に直流磁界による悪影響を及ぼさない。
これらの効果が相俟って、ホーム13側に対する直流磁界の漏洩を最小限度に抑制することができ、磁気漏洩の少ない直流電気鉄道車両の連結部構造を提供できる。
また、磁気シールド部材8は車両1の連結面端部から幌部5の側面に並行し、車両連結部の間隙部7を塞ぐように設けられているので、駅のホーム13に車両1、2が停車している場合ホーム側にいる人が線路側へ転落することを防止する転落防止板の機能を有する。このため、磁気遮蔽効果と転落防止効果の両方を兼ね備える特徴を有する。
主シールド板を車両1に取り付ける場合、一例として、L型金具などの取り付け金具とビスやナットを用いて主シールド板を車両1に取り付けることができる。
L字型の磁気シールド部材を用いても、先のコの字型の磁気シールド部材8に準じる磁気遮蔽構造を得ることができる。
図2に示す車両1に対し、一方の連結面端部1bに幅0.15mの鋼板製の主シールド板(厚さ5mm)を車両1の側面に対し面一になるように配置し、車両連結面端部から0.3mの位置に幌部5の側面に沿って電気ケーブルを設置した構造において直流磁界シミュレーションを行った。用いた磁界シミュレーションソフトは、ELF/MAGIC(株式会社エルフ製:電磁場電磁界解析装置)である。
磁界測定位置は、図2に示すように、車両1の連結面端部1bからホーム側に0.2m離れた位置、車両1の連結面端部1bから車両2側に0.15m離れた位置Bである。
また、磁気シールド部材については、主シールド板のみを設けた場合(副シールド板無し)、主シールド板に加え、幅0.05mの副シールド板を設けた場合(シールド両端部角曲り有:長さ0.05m)、主シールド板に加え、幅0.1mの副シールド板を設けた場合(シールド両端部角曲り有:長さ0.1m)についてそれぞれシミュレーションした。以上のシミュレーション結果の磁界分布を図3に示す。磁界分布は、シールド板無しの状態において位置Bで測定した磁束密度の相対比として表示している。
また、主シールド板の存在に加えて、副シールド板を設けることにより、更に磁気遮蔽効果が向上することが明らかになった。
このため、主シールド板と副シールド板の両方を設けることにより、主シールド板のみを設けた場合に更に優れた磁気遮蔽効果を得られることがわかった。
図1に示す構成のうち、先のシミュレーション1では主シールド板の幅方向両側に副シールド板を備えた構造についてシミュレーションしたが、主シールド板の幅方向一側のみに副シールド板を備えた構造についてシミュレーションを行った。
シミュレーションの条件としては、シミュレーション試験1と同等であるが、主シールド板の両側に副シールド板を有する磁気シールド部材に替えて、主シールド板の幅方向一側のみ(連結部の中央側より)に副シールド板を有する磁気シールド部材を使用した。
また、磁気シールド部材については、主シールド板のみを設けた場合(副シールド板無し)、主シールド板に加え、幅0.1mの副シールド板を設けた場合(シールド端部角曲り有:長さ0.1m)、主シールド板に加え、幅0.2mの副シールド板を設けた場合(シールド端部角曲り有:長さ0.2m)についてそれぞれシミュレーションした。以上のシミュレーション結果の磁界分布を図4に示す。磁界分布は、シールド板無しの状態において位置Bで測定した磁束密度の相対比として表示している。
また、主シールド板の存在に加えて、副シールド板を設けることにより、更に磁気遮蔽効果が向上することが明らかになった。
このため、主シールド板と副シールド板の両方を設けることにより、主シールド板のみを設けた場合に更に優れた磁気遮蔽効果を得られることがわかった。
Claims (3)
- 直流電気鉄道車両の車両連結部の間隙部外側を塞ぐように、車両の連結面端部側に上下方向に延在する磁気シールド部材が配置された直流磁界シールド装置であって、
前記磁気シールド部材が、前記車両連結部の床部から1.5m以上の高さを有し、前記間隙部の半分以下の幅を有する強磁性体からなる主シールド板と、該主シールド板の幅方向端部側に沿って前記車両の内側向きに延在された副シールド板を具備してなり、前記車両の連結面において前記主シールド板より内側に電気ケーブルが設置されるとともに、前記車両連結部の外側からみて前記電気ケーブルが前記主シールド板により掩蔽されたことを特徴とする直流電気鉄道車両の直流磁界シールド装置。 - 前記主シールド板の幅方向両側に副シールド板が設けられ、これらのうち、前記車両に近い側の副シールド板が車両連結部の車両外面に沿って配置され、前記副シールド板を貫通して前記車両に取り付けられた固定具によって前記副シールド板が前記車両に固定されたことを特徴とする直流電気鉄道車両の直流磁界シールド装置。
- 前記主シールド板が前記車両側面に沿って該車両側面を延長するように配置され、転落防止機能が付加されたことを特徴とする直流電気鉄道車両の直流磁界シールド装置。
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