JP2016524800A - 無細胞の合成酵素経路を用いることによる、電気への糖の完全酸化の方法 - Google Patents

無細胞の合成酵素経路を用いることによる、電気への糖の完全酸化の方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、生体電気の分野に属する。本発明は、糖中に貯蔵された化学エネルギーを有用な電気に変換することができる、エネルギー生成システム、方法、および装置を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に全面的に組み入れられる、2013年6月5日に出願した米国仮出願第61/831,346号の恩典を主張する。
発明の分野
本発明は、生体電気の分野に関する。より具体的には、本発明は、様々な再生可能な糖中に貯蔵された化学エネルギーを有用な電気に変換することができる、エネルギー生成システム、方法、および装置を提供する。特定の態様において、本発明は、酵素燃料電池を用いて六炭糖および五炭糖に由来する化学エネルギーを電気に変換するための新規の合成酵素経路、ならびに操作された機能および/または新しく発見された機能を有するいくつかの鍵となる酵素(key enzyme)に関する。
関連技術の考察
電池(battery)は、電気貯蔵装置である。充電式電池が、現在利用可能である。しかし、そのような充電式電池のエネルギー貯蔵密度は、水素燃料または液体燃料のエネルギー貯蔵密度よりはるかに低い(図1、パネルAおよびパネルB)。エネルギー貯蔵密度がより高く、全ライフサイクルを通してのコストがより低く、環境影響が弱められ、かつ安全性が高められている、より優れた充電式電池が明らかに必要とされている(図1、パネルC)。
酵素燃料電池(EFC)は、酵素を使用して燃料中の化学エネルギーを電気に変換する生物学的燃料電池の一種である。EFCは、主に次の理由で、電池(battery)より優れている:1)化学電池よりエネルギー貯蔵密度が約10〜100倍高いこと;および2)生分解性であり、かつ重金属および高価な希少金属を除外するため、環境により優しいこと。EFC(図2、パネルB)は、直接メタノール燃料電池(DMFC)(図2、パネルA)と共通点がいくつかある。しかし、DMFCと異なり、酵素燃料電池はアノード触媒として高価な白金を必要とせず、酵素の高い選択性により、ナフィオン膜を使用しなくてよい。さらに、EFCで使用される糖は、DMFCのメタノールと比べて、それほど高価ではなく、非毒性、かつ不燃性であり、糖溶液のエネルギー密度は、1Mメタノール溶液のエネルギー密度より高い。通常、酵素燃料電池は、酵素を添加した(loaded)(酵素で修飾した)アノードおよび酵素を添加した(酵素で修飾した)カソードから構成される(図2、パネルB)。
EFCでは、燃料がアノードで酸化された際に電子が生成する。次いで、それらの電子が、外部負荷を通ってアノードからカソードへ流れる。アノード反応において、プロトンが(電子と)同時に生じ、ポリマーセパレーターを通過してカソードに向かって、電子流を相殺する。EFCの最大級の難題は、発電のために、低価格で最も豊富な糖から化学エネルギーの大部分またはすべてを取り出すことである。空気中での燃焼によって熱エネルギー源として、または生物(微生物、動物など)において酸化還元酵素によって生成されたNAD(P)Hを通じてATPを産生するための化学エネルギー源として、糖を利用する方法を除いて、糖の全エネルギーを利用するための方法は、これまでのところ開発されていない。糖の化学エネルギーの大部分を直接的に電気(電気的)エネルギーとして効果的に利用することができる方法はない。
1つの態様において、本発明は、六炭糖単量体またはオリゴヘキソースもしくはポリヘキソースに由来する1つもしくは複数の六炭糖をポリリン酸もしくはATPまたはリン酸と反応させる化学反応からグルコース6-リン酸(G6P)を生成する段階であって、(i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-グルコースホスホトランスフェラーゼの存在下で化学反応が行われるか、または(ii)ATPを使用する場合、ヘキソキナーゼの存在下で化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが生成されるか、(iii)遊離リン酸を使用する場合、グルカンホスホリラーゼ(例えば、デンプンホスホリラーゼ、マルトースホスホリラーゼ、スクロースホスホリラーゼ、セロビオースホスホリラーゼ、セロデキストリンホスホリラーゼ)およびホスホグルコムターゼの存在下で化学反応が行われる、段階;水中でG6Pおよび6PGをNAD+またはその類似体(酸化型バイオミミックと呼ばれる)と反応させて、NADHまたは還元型バイオミミックを得る段階;ならびにアノードの表面でNADHまたは還元型バイオミミックを酸化して電子を生成する段階を含む、ヘキソース糖から電子を生成するための方法を提供する。1つの態様において、生成物のリブロース5-リン酸は、非酸化的ペントースリン酸経路、解糖、および糖新生の混成経路を介してG6Pに変換される。
別の態様において、方法は、NADと置き換えてNADバイオミメティック(図7、化合物A〜E)をさらに含む。
いくつかの態様において、方法は、NADバイオミミックを利用できる操作されたグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼをさらに含む。
いくつかの態様において、方法は、糖としてグルコースをさらに含む。1つの態様において、グルコースは、ポリリン酸グルコキナーゼまたはヘキソキナーゼによってグルコース6-リン酸に変換される。いくつかの態様において、方法は、(i)グルコース(キシロース)イソメラーゼを用いてフルクトースをグルコースに変換すること;または(ii)ソルビトールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドレダクターゼを用いてフルクトースをグルコースに変換することによって、グルコースを生成する段階をさらに含む。
他の態様において、方法は、(i)マンノースイソメラーゼを用いてマンノースをフルクトースに変換する(次いで、1つの態様において、上記のフルクトース利用経路に入る)ことによって、(ii)ポリリン酸-グルコースマンノースホスホトランスフェラーゼおよびホスホマンノースイソメラーゼを用いてマンノースをフルクトース6-リン酸(F6P)に変換する(1つの態様において、生成物F6Pは、改変されたペントースリン酸経路に入る)ことによって、または(iii)ポリリン酸キナーゼ、ヘキソキナーゼ、およびホスホマンノースイソメラーゼを用いてマンノースをフルクトース-6-リン酸に変換する(次いで、1つの態様において、生成物F6Pは、改変されたペントースリン酸経路に入る)ことによって、フルクトースまたはフルクトース6-リン酸を生成する段階をさらに含む。
いくつかの態様において、方法は、糖としてデンプンまたはマルトデキストリンをさらに含む。他の態様において、方法は、G6P生成のために、リン酸およびホスホグルコムターゼ、ならびにデンプンホスホリラーゼまたはマルトデキストリンホスホリラーゼをさらに含む。
いくつかの態様において、本発明は、ポリリン酸もしくはATPまたはリン酸と反応させた六炭糖単量体またはオリゴヘキソースもしくはポリヘキソースに由来する1つもしくは複数の六炭糖からグルコース6-リン酸(G6P)を生成することができ、かつそのG6PをNAD+またはその類似体と水中で反応させてNADHまたはその類似体(バイオミメティック)を得るための溶液であって、(i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-グルコースホスホトランスフェラーゼの存在下で化学反応が行われるか、または(ii)ATPを使用する場合、ヘキソキナーゼの存在下で化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが生成されるか、(iii)遊離リン酸を使用する場合、グルカンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼの存在下で化学反応が行われる、溶液と;酵素で修飾したアノードと;酵素で修飾した、または標準的な白金基準(reference)カソードと;電解質とを含む糖電池であって、酵素で修飾したアノードまたはアノードが、六炭糖および合成経路のいくつかの酵素を含む溶液と接触しており、カソードと酵素で修飾したアノードの両方が電解質と接触している、糖電池を提供する。
いくつかの態様において、電解質は、(Mg++、Mn++)などの金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液(例えばHEPES)でできている。いくつかの態様において、電池は、アノードの表面でのNADHまたはそのバイオミメティックの酸化を可能にして電子を生成するように機能的に構成される。
いくつかの態様において、本発明は、ポリリン酸もしくはATPまたはリン酸と反応させた六炭糖単量体またはオリゴヘキソースもしくはポリヘキソースに由来する1つもしくは複数の六炭糖からグルコース6-リン酸(G6P)を生成し、かつそのG6PをNAD+および酸化型バイオミメティックと水中で反応させてNADHおよび還元型バイオミミックを得るための溶液を含む燃料であって、(i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-グルコースホスホトランスフェラーゼの存在下で化学反応が行われるか、または(ii)ATPを使用する場合、ヘキソキナーゼの存在下で化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが生成されるか、(iii)遊離リン酸を使用する場合、グルカンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼの存在下で化学反応が行われる、燃料と;NADHおよびそのバイオミミックをアノードで酸化して電子を生成し、かつ例えば外部回路を介して、それらの電子をカソードへ送達するように機能的に構成された燃料電池とを含む、エネルギー生成のためのシステムを提供する。1つの態様において、カソード上の触媒は、プロトンおよび酸素を水に変換する。
いくつかの態様において、本発明は、五炭糖単量体をポリリン酸またはATPと反応させる化学反応からキシルロース5-リン酸(X6P)を生成する段階であって、(i)ポリリン酸を使用する場合、キシロースイソメラーゼおよびポリリン酸キシルロキナーゼの存在下で化学反応が行われるか、または(ii)ATPを使用する場合、キシロースイソメラーゼおよびATPを利用する(based)キシルロキナーゼの存在下で化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼもしくはポリリン酸:AMPホスホトランスフェラーゼおよびポリリン酸非依存性アデニル酸キナーゼの組合せの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが生成される、段階;G6Pを生成するためにペントースリン酸経路に入る段階;水中でG6PをNAD+および酸化型バイオミミックと反応させて、NADHおよび還元型バイオミミックを得る段階;アノード表面でNADHおよび還元型バイオミミックを酸化して電子を生成する段階、を含む、ペントース糖から電子を生成するための方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、ポリリン酸またはATPと反応させた五炭糖単量体からキシルロース5-リン酸を生成することができ、かつ非酸化的ペントースリン酸経路を介してグルコース6-リン酸を生成し、そのG6PをNAD+またはその類似体と水中で反応させてNADHまたはその類似体(バイオミメティック)を得るための溶液であって、a.ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-キシルロースキナーゼの存在下で化学反応が行われるか、またはb.ATPを使用する場合、キシルロキナーゼの存在下で化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが生成される、溶液と;酵素で修飾したアノードまたはアノードと;酵素で修飾した、または標準的な白金基準カソードと;電解質とを含む糖電池であって、酵素で修飾したアノードまたはアノードが、五炭糖および合成経路のいくつかの酵素を含む溶液と接触しており、カソードと酵素で修飾したアノードの両方が電解質と接触している、糖電池を提供する。
いくつかの態様において、電解質は、(Mg++またはMn++)などの金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液(例えばHEPES)でできている。
いくつかの態様において、本発明は、ポリリン酸またはATPと反応させた五炭糖単量体からキシルロース5-リン酸を生成し、かつ非酸化的ペントースリン酸経路を介してG6Pを生成し、そのG6PをNAD+およびそのバイオミメティックと水中で反応させてNADHおよび還元型バイオミミックを得るための溶液を含む燃料であって、(i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-キシルロキナーゼの存在下で化学反応が行われるか、または(ii)ATPを使用する場合、キシルロキナーゼの存在下で化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが生成される、燃料と;NADHおよびそのバイオミミックをアノードで酸化して電子を生成し、かつそれらの電子をカソードへ送達するように機能的に構成された燃料電池と;カソードからの電子を電気に変換するための発電機とを含む、エネルギー生成のためのシステムを提供する。
いくつかの態様において、本発明は、糖からNADHまたはその還元型バイオミミックを生成する段階;およびそのNADHまたはその還元型バイオミミックを酸化してアノードで電子を生成する段階を含み、その際、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リボース5-リン酸イソメラーゼ、リブロース5-リン酸3-エピメラーゼ、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドラーゼ、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ、およびホスホグルコースイソメラーゼを含む酵素群を用いて、そのNADHまたはその還元型バイオミミックを生成する、糖から電子を生成するための方法を提供する。
いくつかの態様において、方法は、糖としてヘキソース糖またはペントース糖を含む。
方法の1つの態様において、NADHまたはその還元型バイオミミックは、ジアホラーゼによって酸化される。方法の別の態様において、NADHまたはその還元型バイオミミックは、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数の存在下で酸化される。いくつかの態様において、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数は、アノード表面に固定される。他の態様において、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数は、アノード区画中に遊離している。
いくつかの態様において、本発明は、糖、酵素、および電解質を含む溶液と;アノードと;カソードとを含む糖電池であって、アノードおよびカソードが溶液と接触しており、電解質が、金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液を含み、酵素が、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リボース5-リン酸イソメラーゼ、リブロース5-リン酸3-エピメラーゼ、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドラーゼ、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびNADHまたはそのバイオミミックを酸化することができる酵素を含む、糖電池を提供する。
いくつかの態様において、糖電池は、糖としてヘキソース糖またはペントース糖を含む。糖電池のいくつかの態様において、NADHまたはその還元型バイオミミックを酸化することができる酵素は、ジアホラーゼである。
いくつかの態様において、糖電池は、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数をさらに含む。いくつかの態様において、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数は、アノード表面に固定される。他の態様において、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数は、アノード区画中に遊離している。
いくつかの態様において、本発明は、糖、酵素、および電解質を含む溶液と;アノードおよびカソードを含む燃料電池と;発電機とを含む、発電のためのシステムであって、溶液および発電機が、燃料電池と接触しており、電解質が、金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液を含み、酵素が、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リボース5-リン酸イソメラーゼ、リブロース5-リン酸3-エピメラーゼ、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドラーゼ、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびNADHまたはそのバイオミミックを酸化することができる酵素を含む、発電のためのシステムを提供する。
いくつかの態様において、システムは、糖としてヘキソース糖もしくはペントース糖またはそれらの混合物を含む。システムのいくつかの態様において、NADHまたはその還元型バイオミミックを酸化することができる酵素は、ジアホラーゼである。
いくつかの態様において、システムは、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数をさらに含む。いくつかの態様において、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数は、アノード表面に固定される。他の態様において、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数は、アノード区画中に遊離している。
添付の図面は、本発明の態様の内のいくつかの特定の局面を例示するものであり、本発明を限定または規定するために使用されるべきではない。
エネルギー密度の比較を示す。パネルAは、様々な燃料および電池のエネルギー貯蔵密度の比較を示すグラフである。パネルBは、水素貯蔵技術のエネルギー貯蔵密度の比較を示すグラフである。パネルCは、充電式電池のエネルギー貯蔵密度の比較を示すグラフである。 直接メタノール燃料電池(DMFC)および糖によって燃料を供給された酵素燃料電池(EFC)の比較を示す。パネルAは、典型的なDMFCの概略図である。パネルBは、合成酵素経路を通じて糖(CH2O)を完全に酸化できる典型的なEFCの概略図である。 デンプンまたはグルコースから生成されたG6Pに由来する六炭糖を完全に酸化することができる2つの合成経路を含む糖電池の働きを示す概略図である。 デンプンまたはグルコース以外の六炭糖、例えば、セルロース、セロデキストリン、セロビオース、スクロース、マルトース、ラクトース、ラクトース、マンノース、またはフルクトースからグルコース6-リン酸(G6P)を生成することができる糖電池の働きを示す概略図である。 ATPまたはポリリン酸を用いることによってキシロースからキシルロース5-リン酸(X5P)を生成することができる糖電池の働きを示す概略図である。 低価格のポリリン酸を用いることによってATPを再生することができる補助的経路を示す概略図である。 NADHおよびそのバイオミミック(NMNおよびNR)ならびにBCPおよびその類似体代替物(バイオミミック)の構造を示す概略図である。 例示的な酵素燃料電池(パネルA、試験される燃料電池;パネルB、アノード上の酵素およびメディエーター)の概略図である。 パネルAは、G6PDH;G6PDHおよび6PGDH;ならびに全経路を用いる糖電池の電流密度に対する出力密度を示すグラフである。パネルBは、時間に対する電流生成曲線および完全酸化に関するファラデー効率曲線を示すグラフである。 糖を動力源とするEFCの電力出力の最適化(パネルA〜E)ならびに室温、外部負荷150Ωにおけるマルトデキストリンを動力源とする13酵素EFCの電力および電流の連続的な出力(パネルF)の特徴を示すグラフを含む。パネルA、各カーボン紙へのCNTの添加量(loading):パネルB、カーボン紙の数;パネルC、酵素の添加量;パネルD、温度;およびパネルE、走査速度。 パネルAは、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)のグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(GsG6PDH)の相同構造である。パネルBは、GsG6PDH中のNAD結合部位を示す。 鍵となるアミノ酸変異誘発と共に、天然補助因子およびバイオミメティック補助因子(バイオミミック)に作用する操作されたGsG6PDHの経路を示す。 パネルAは、(1)テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)によって改変したナフィオンポリマーに閉じ込める固定化によって固定した酵素、(2)共有結合されるカーボンナノチューブ(CNT)固定化によって固定した酵素、および(3)非固定化酵素を有する電極の概略図を示す。パネルBは、3種の電極の電流密度に対する電圧のプロファイルを示すグラフである。パネルCは、電流密度に対する電力のプロファイルを示す。 マルトデキストリンの完全酸化のための酵素燃料電池の働きを示す概略図である。EFC中の酵素は、1番のαGP(α-グルカンホスホリラーゼ);2番のPGM(ホスホグルコムターゼ);3番のG6PDH(グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ);4番の6PGDH(6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ);5番のRPI(リボース-5-リン酸イソメラーゼ);6番のRu5PE(リブロース-5-リン酸 3-エピメラーゼ);7番のTK(トランスケトラーゼ);8番のTAL(トランスアルドラーゼ);9番のTIM(トリオースリン酸イソメラーゼ);10番のALD(アルドラーゼ);11番のFBP(フルクトース1,6-ビスホスファターゼ);12番のPGI(ホスホグルコースイソメラーゼ);および13番のDI(ジアホラーゼ)である。主要な代謝産物は、グルコース1-リン酸(G1P)、グルコース6-リン酸(G6P)、6-ホスホグルコン酸(6PG)、およびリブロース5-リン酸(Ru5P)である。Piは無機リン酸を示し、VK3はビタミンK3を示す。 電池および酵素燃料電池のエネルギー密度の比較を示すグラフである。 精製した酵素のSDS-PAGE分析である。レーン1:αGP(α-グルカンホスホリラーゼ);レーン2:PGM(ホスホグルコムターゼ);レーン3:G6PDH(グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ);レーン4:6PGDH(6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ);レーン5:RPI(リボース-5-リン酸イソメラーゼ);レーン6:Ru5PE(リブロース-5-リン酸 3-エピメラーゼ);レーン7:TK(トランスケトラーゼ);レーン8:TAL(トランスアルドラーゼ);レーン9:TIM(トリオースリン酸イソメラーゼ);レーン10:ALD(アルドラーゼ);レーン11:FBP(フルクトース1,6-ビスホスファターゼ);レーン12:PGI(ホスホグルコースイソメラーゼ);およびDI(ジアホラーゼ)。 EFCセットの仕組み(パネルA)および写真(パネルB)を示す。 電荷およびNADH消費の経時的プロファイルを示すグラフである。 マルトデキストリンの存在下または非存在下での電流生成のプロファイルを示すグラフである。 キュベットを基にしたEFCの写真であり、正面図(パネルA)ならびにデジタル時計(パネルB)およびLED(パネルC)に電源を入れるために直列で連結された2つのEFCを示している。 非固定化EFCに糖補充が与える影響を示すグラフである。マルトデキストリンの初期濃度は0.01mMであった。時点1および時点2において、同量の新鮮な基質をEFC中に添加した。 パネルAは、(13種すべての酵素を伴う)全経路EFCの熱安定性および補充性(refillability)を示すグラフである。電流生成曲線は、室温で0.1mMマルトデキストリンに作用する13酵素EFCのものである。200時間前後に基質がほぼ完全に消費された際、時点1(210時間前後)に、新しい酵素混合物および1mMマルトデキストリンを添加した。時点2において、新しいVK3含有アノードを用いて、古いアノードと交換した。パネルBは、1g/L BSAおよび0.1%(wt/v)Triton X-100の添加による、EFC中の非固定化酵素の安定性の向上を示すグラフである。
発明の詳細な説明
本発明は、糖中に貯蔵された化学エネルギーを電気に変換するための方法を提供する。一定の態様において、本発明は、酵素燃料電池を用いて六炭糖および五炭糖に由来する化学エネルギーを電気に変換するための合成(人工)酵素経路を提供する。本発明の好ましい態様において、糖電池は、化学エネルギーを電気に変換するのに使用される。本発明の多くの利点の内の1つは、本明細書において開示する糖電池が、現在使用されている酵素燃料電池および充電式電池のエネルギー密度の約10倍大きい可能性があるエネルギー密度を有するということである。本発明の糖電池の他の利点には、低価格の供給原料、穏やかな(modest)反応条件、および低価格の触媒(例えば酵素)の利用、高いエネルギー貯蔵密度、少ない安全性懸念(例えば、爆発も引火性もない)、すべての材料および触媒の豊富な供給、迅速な補充、炭素排出がないこと、環境に優しいこと、ならびに多種多様の用途における有用性が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
本発明の別の利点は、低いエネルギー貯蔵密度を欠点として持つ一次電池および二次電池とは違って、本明細書において説明する燃料電池は、はるかに高い密度を有するということである。酵素燃料電池は、酵素を利用して化学化合物中に貯蔵されている化学エネルギーを電気に変換することができるタイプの燃料電池である。六炭糖単量体(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース)およびそれらの誘導体(例えば、マルトース、セロデキストリン、スクロース、ラクトース、セロビオース、セロデキストリン、セルロース、デンプン)ならびにキシロースおよびその誘導体(例えば、ヘミセルロース、キシラン)が、最も豊富な炭水化物であり、したがって、優れたエネルギー源である。本発明は、いくつかの酵素カスケードによってもたらされる部分的酸化または完全酸化を通じてこれらの六炭糖および五炭糖を電気に変換することができる、いくつかの新規の非天然合成酵素経路を提供する。糖電池は、高いエネルギー貯蔵密度を有し、生分解性であり、迅速に補充することが可能であり、爆発の危険性は低いため、大半の一次電池、二次電池、および直接メタノール燃料電池に首尾よく取って代わることができる。
糖電池のための好ましい燃料には、単糖に由来する六炭糖(例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、およびガラクトース)、オリゴ糖(例えば、マルトース、マルトデキストリン、スクロース、セロビオース、セロデキストリン、ラクトース)、および多糖(例えば、セルロース、デンプン、およびグリコーゲン)、D-キシロース、L-アラビノース、ヘミセルロース、キシラン、ならびにそれらの任意の組合せが含まれる。生産物は、電気である。本発明の態様による例示的な糖電池の典型的な仕組みを図3および図4に示す。本発明は、酵素燃料電池を用いて六炭糖中に貯蔵された化学エネルギーを電気に変換することができるいくつかの新しいカスケード酵素経路を提供する。
デンプンは、最も一般的に使用されている自然界のエネルギー貯蔵化合物である。デンプンの異化作用により、生細胞中で化学エネルギーをゆっくりと、かつほぼ恒常的に放出することが可能になり、この点は、その単量体グルコースとは異なる。マルトデキストリン、すなわち部分的に加水分解されたデンプン断片は、グルコースより11%高いエネルギー密度をマルトデキストリンが有するため、EFCにおいてグルコースより優れた燃料である。また、マルトデキストリンは、グルコースがその酵素的加水分解の主要産物であり、低価格の直鎖マルトデキストリンをセルロースから製造することができるため、より低価格である。等重量のマルトデキストリンの浸透圧は、グルコースよりはるかに低い。さらに、マルトデキストリンは、閉鎖系EFCにおいて、より安定な発電のために、ゆっくりと代謝されるグルコース1-リン酸を提供することもできる。マルトデキストリンがEFCの燃料として使用されてきたが、本発明以前は、グルコース単位1つにつき2個の電子しか生成することができなかった。
経路
本発明の経路は、特定の糖の貯蔵エネルギーを有用な電気に変換するための特異的酵素を含む。糖燃料の全面的な利用は、NAD+またはそのバイオミメティック類似体(またはバイオミミック)の存在下でG6P (グルコース6-リン酸)を酸化することによって、可能である。本発明の態様の利点には、G6PおよびX5P(キシルロース5-リン酸)を直接的に使用せず、出発原料として糖を使用できることが含まれる。これにより、G6PおよびX5Pの低価格供給源が提供される。解糖経路および糖新生経路に由来する酵素と共に改変ペントースリン酸経路を使用し、併せてNAD+またはそのバイオミミックをNADHまたはそのバイオミミックに完全に変換することよって、出発原料(例えば、燃料としての糖)は効率的に使用され、これは、これまでは実現していなかったことである。
いくつかの態様において、本発明は、糖電池のための酵素経路の新規の組合せを提供する。これらの態様において、新規の合成酵素経路は、本明細書においてモジュールと呼ぶ3つの部分を含む。モジュール1では、任意の六炭糖から低価格のグルコース6-リン酸を生成する。モジュール2では、解糖経路および糖新生経路に由来する酵素と協力して改変ペントースリン酸経路からNADHまたはそのバイオミミックを生成させる(G6P+7H2O+12NAD+→12NADH+12H++6CO2)。モジュール3では、電子生成のために、アノード表面で還元型NADHまたはそのバイオミミックを酸化させる。図3および下記の表1は、このような仕組みを説明する。
(表1)改変ペントースリン酸経路
Figure 2016524800
1つの態様において、モジュールIは、下記に示すように単一の経路を含む。別の態様において、モジュールIは、酵素燃料電池中に経路の組合せを含んでよい。本発明は、ポリリン酸をリン酸供与体として用い、続いてそれを再生することによって、高価なATPを消費せずに任意の単量体ヘキソースからG6Pを生成することができる経路を提供する。
経路1
1つの態様において、経路は、経路1として提供される。経路1は、グルコースから始まる。グルコースは、オリゴ糖および多糖の簡単な加水分解または加リン酸分解によって生成され得る。G6Pは、ポリリン酸-グルコキナーゼ(PPGK、EC 2.7.1.6、ポリリン酸-グルコースホスホトランスフェラーゼ)による「グルコース+(Pi)n→G6P+(Pi)n-1」として、またはヘキソキナーゼ(HK、EC 2.7.1.1)による「グルコース+ATP→G6P+ADP」(ここで、ATPは、ポリリン酸キナーゼ(PPK、EC 2.7.4.1)もしくはポリリン酸:AMPホスホトランスフェラーゼ(PPT、EC 2.7.4.B2)とポリリン酸非依存性アデニル酸キナーゼ(ADK、EC 2.7.4.3)の組合せによるADP+(Pi)n→ATP+(Pi)n-1として、ポリリン酸を用いて(at the cost of)生成され得る)として、生成され得る。G6Pの完全酸化後、化学的手段または生物学的手段によって遊離リン酸を再生して、ポリリン酸を生成することができる。
経路2
別の態様において、経路は、経路2として提供される。経路2は、フルクトースから始まる。フルクトースは、グルコース(キシロース)イソメラーゼ(EC 5.3.1.5)によってグルコースに変換され得、次いで、グルコースは、上記の経路(経路1)を通じて処理される。別の態様において、グルコースは、酵素ソルビトールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.14)およびアルデヒドレダクターゼ(EC 1.1.1.21)の併用によって、生成され得る。
経路3
別の態様において、経路は、経路3として提供される。経路3は、マンノースから始まる。1つの態様において、マンノースは、マンノースイソメラーゼ(EC 5.3.1.7)によってフルクトースに変換され得、次いで、フルクトースは、経路2を通じて処理される。別の態様において、マンノースは、2つの酵素(ポリリン酸-グルコースマンノースホスホトランスフェラーゼ、EC 2.7.1.63およびホスホマンノースイソメラーゼ、EC 5.3.1.8)によってフルクトース6-リン酸に変換され得、次いで、フルクトース6-リン酸は、解糖経路および糖新生経路に由来する酵素と協力した改変ペントースリン酸経路(改変PPP)を通じて処理される。別の態様において、フルクトース6-リン酸は、3種の酵素、すなわち、マンノース+(Pi)n→フルクトース6-リン酸+(Pi)n-1という全体的反応をもたらすポリリン酸キナーゼ(EC 2.7.4.1)、ヘキソキナーゼ(EC 2.7.1.1)、およびホスホマンノースイソメラーゼ(EC 5.3.1.8)を用いることによって、生成させる。
経路4
別の態様において、経路は、経路4として提供される。経路4は、ガラクトースから始まる。5種の酵素が協力して、ガラクトース+(Pi)n→グルコース6-リン酸+(Pi)n-1という全体的反応において、ガラクトースをグルコース6-リン酸に変換する。これらの5種の酵素は、ポリリン酸キナーゼ(EC 2.7.4.1)、ガラクトキナーゼ(EC 2.7.16)、UDP-グルコース-ヘキソース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(EC 2.7.7.12)、UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ(EC 5.1.3.2)、およびホスホグルコムターゼ(EC 5.4.2.2)である。
ポリリン酸再生は、化学的アプローチおよび/または生物学的アプローチによって実施することができる。遊離リン酸イオンは、限定されるわけではないがMg3(PO4)2およびCa3(PO4)2を含む不溶性塩を形成させることによって、沈殿させることができる。ポリリン酸は、濃硫酸(H2SO4)を添加し、続いて加熱することによって、作製することができる。あるいは、ミクロルナタス・ホスホボルス(Microlunatus phosphovorus)は、グルコース制限条件下で、遊離リン酸を取込み細胞内にポリリン酸を蓄積する。
本発明は、ポリリン酸およびその再生、ならびに各ホスホリラーゼを用いた基質リン酸化を用いることによって、高価なATPを消費せずにオリゴ糖からG6Pを生成することができる経路を提供する。
経路5
別の態様において、経路は、経路5として提供される。経路5は、マルトデキストリンから始まる。DP(重合度)=nのマルトデキストリンは、マルトデキストリンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.1)およびマルトースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.8)によって、(n-1)グルコース-1-リン酸およびグルコースに変換され得る。グルコース1-リン酸は、ホスホグルコムターゼ(EC 5.4.2.2)とそれに続く、解糖経路および糖新生経路に由来する酵素を伴うPPPによって生成し、グルコースは、経路1を通じて処理される。
経路6
別の態様において、経路は、経路6として提供される。経路6は、スクロースから始まる。スクロースは、スクロースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.7)によって、グルコース1-リン酸およびフルクトースに変換され得る。フルクトースおよびグルコース1-リン酸は、経路2を通じて、およびホスホグルコムターゼ(EC 5.4.2.2)によって、それぞれ処理され得る。
経路7
別の態様において、経路は、経路7として提供される。経路7は、限定されるわけではないがセロビオースおよびセロデキストリンを含む、水溶性セロデキストリンから始まる。DP=nのセロデキストリンは、セロビオースホスホリラーゼ(EC 2.4.1.20)およびセロデキストリンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.49)によって、(n-1)グルコース1-リン酸およびグルコースに変換され得る。残りの経路は、経路5と同じであってよい。
本発明は、加水分解後にオリゴ糖または多糖から単量体ヘキソース(その後、経路1〜7によって処理される)を生成することができる様々な例示的経路を提供する。
経路8
別の態様において、経路は、経路8として提供される。経路8は、スクロースから始まる。スクロースは、スクラーゼ(EC 3.2.1.10)によってグルコースおよびフルクトースに加水分解され得る。これらの生成物は、それぞれ経路1および経路2に入ることができる。
経路9
別の態様において、経路は、経路9として提供される。経路9は、ラクトースから始まる。1つの態様において、ラクトースは、ラクターゼ(EC 3.2.1.23)によってグルコースおよびガラクトースに加水分解され得る。別の態様において、ラクトースは、ラクトースホスホリラーゼによってガラクトース1‐リン酸およびグルコースに加リン酸分解され得る。これらの生成物は、経路1および経路4に入ることができる。
経路10
別の態様において、経路は、経路10として提供される。経路10は、デンプン、グリコーゲン、マルトース、またはマルトデキストリンから始まる。デンプンまたはグリコーゲンは、α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)ならびに他のデンプン加水分解酵素、例えば、イソアミラーゼ(EC 3.2.1.68)、プルラナーゼ(EC 3.2.1.41)を用いることによって、マルトデキストリンおよびマルトースに部分的に加水分解され得る。デンプン、マルトース、またはマルトデキストリンは、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)、α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)、および他のデンプン加水分解酵素によって、グルコースに加水分解され得る。グルコースは、経路1に入ることができる。
経路11
別の態様において、経路は、経路11として提供される。経路11は、不溶性セルロースまたは前処理されたバイオマスから始まる。不溶性セルロースまたは前処理されたバイオマスは、個々のエンドグルカナーゼ(EC 3.2.1.4)および/もしくはセロビオヒドロラーゼ(EC 3.2.1.74)またはそれらの組合せによって、可溶性セロデキストリンに加水分解され得る。生成物である可溶性セロデキストリンおよびグルコースは、経路1および経路7に入ることができる。
本発明は、多糖(デンプン、セルロース、またはグリコーゲン)からグルコース1-リン酸を生成することができ、それらの各グルカンホスホリラーゼおよび補助酵素(accessory enzyme)によって加リン酸分解され得る、経路を提供する。
経路12
別の態様において、経路は、経路12として提供される。経路12は、DP=nである直鎖状デンプン(アミロース)またはそれらの短い断片から始まる。(n-1)グルコース1-リン酸およびグルコースは、デンプンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.1)およびマルトースホスホリラーゼ(EC 2.4.18)によって、デンプンおよび遊離リン酸から生成され得る。ホスホグルコムターゼによるグルコース1-リン酸のグルコース6-リン酸への変換後、G6Pは、発電のためにPPPに入る。
経路13
別の態様において、経路は、経路13として提供される。経路13は、分枝状デンプン(アミロペクチン)またはグリコーゲンから始まる。デンプンホスホリラーゼまたはグリコーゲンホスホリラーゼ(EC 2.4.1.1)によって直鎖中の大半のグルコース単位を除去して、グルコース1-リン酸を生成することができる。分岐点の端で、デンプン脱分枝酵素またはプルラナーゼ(EC 3.2.1.41)を用いて、さらなる変換を促進することができる。少量生成物であるグルコースは、経路1を通じてG6Pを生成するのに使用され得る。
本発明は、キシロースおよびATPまたはポリリン酸を利用してキシルロース5-リン酸を生成する経路であって、このキシルロース5-リン酸がペントースリン酸経路ならびに解糖および糖新生の酵素によってG6Pに変換される、経路を提供する。次いで、G6Pが消費されて、経路1を通じてNADHまたはそのバイオミミックを生成する。
経路14
別の態様において、経路は、経路14として提供される。経路14は、キシロースから始まる。キシロースは、キシロースイソメラーゼ(XI、EC 5.3.1.5)によってキシルロースに変換され、次いで、ATPを用いることにより、キシルロキナーゼ(XK、EC 2.7.1.17)によってキシルロース5-リン酸に変換される。ATPは、ポリリン酸キナーゼ(PPK、EC 2.7.4.1)またはポリリン酸:AMPホスホトランスフェラーゼ(PPT、EC 2.7.4.B2)とポリリン酸非依存性アデニル酸キナーゼ(ADK、EC 2.7.4.3)の組合せによって、ADP+(Pi)n→ATP+(Pi)n-1として再生され得る。生成物のキシルロース5-リン酸は、非酸化的ペントースリン酸経路を介してG6Pに変換され得る。次いで、G6Pが消費されて、経路1を通じてNADHまたはそのバイオミミックを生成する。
経路15
別の態様において、経路は、経路15として提供される。経路15は、キシロースから始まる。キシロースは、キシロースイソメラーゼ(XI、EC 5.3.1.5)によってキシルロースに変換され、次いで、ポリリン酸を用いることによりポリリン酸キシルロキナーゼ(PPXK、EC NA)によってキシルロース5-リン酸に変換される。生成物のキシルロース5-リン酸は、非酸化的ペントースリン酸経路を介してG6Pに変換され得る。次いで、G6Pが消費されて、経路1を通じてNADHまたはそのバイオミミックを生成する。
キシルロキナーゼは、ATPの助けを借りてキシルロースをキシルロース-5-リン酸に変換することを担う酵素である。本発明者らは、野生型T.マリティマ(T. maritima)キシルロキナーゼが、ATPではなくポリリン酸をリン酸供与体として利用することにより、相手を特定しない(promiscuou)活性を有することを発見した。結果として、経路15は直接的に働くことができる。
いくつかの態様において、合成経路は、次の4つの機能的なモジュールからなる:α-グルカンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼによって媒介される、マルトデキストリンからのグルコース6-リン酸(G6P)生成(化学反応式1);2つのNAD依存性のG6PDHおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(6PGDH)によって媒介される、G6Pから生成される2個のNADH(化学反応式2);NADH 1個につき2個の電子を生成する、VK3へのDIを介したNADH電解酸化(化学反応式3);ならびにペントースリン酸経路、解糖経路、および糖新生経路の酵素を含む混成経路を介した、1モルのリブロース5-リン酸から5/6モルのG6Pの再生(化学反応式4)。化学反応式1〜4の組合せに対応する全体的アノード反応は、おおよそ、化学反応式5という結果になる。マルトデキストリンに由来する各グルコース単位が、この新規の経路を介して、アノード表面で24個の電子を生成できることが明らかである(化学反応式5)。
(C6H10O5)n+Pi→G6P+(C6H10O5)n-1 [1]
G6P+H2O+2NAD+→リブロース-5-リン酸+CO2+2NADH+2H+ [2]
NADH+H+→2H++2e- [3]
6リブロース-5-リン酸+H2O→5G6P+リン酸 [4]
C6H10O5+7H2O→24e-+6CO2+24H+ (アノード区画) [5]
この経路は、同化のために使用されるペントースリン酸経路における天然のNADP依存性酵素とは異なって、2種のNAD依存性のG6PDHおよび6PGDHを利用してNADHを生成する。上記の経路は、非常に高価でEFC中で不安定であるATPもCoAも必要としない。さらに、リン酸イオンを再利用して、一定のpHおよびイオン濃度を維持することができる。この循環的な経路設計は、EFCにおいて典型的に使用される直線的経路とは異なる。
酵素
いくつかの態様において、酵素は、ゲル閉じ込め、物理的吸着、化学的共有結合連結、ならびにナノ粒子およびナノチューブを用いた固定を含む様々な方法を用いて固定する。これらの方法は、市販の中温性酵素を固定して遅い反応速度を心配することなく安定性を高めることにより、再生可能なシグナルを実現することに重点を置く、バイオセンサーから始まった。
しかしながら、通常、固体電極の表面に固定された酵素は、酵素不活性化およびバルク溶液から固定化酵素への不十分な燃料移送が原因で、はるかに低い活性(例えば1%)を示す。恒常的な高電力EFCを実現するために、本発明者らは、酵素を固定せずにEFCにおける電子移動を媒介するための代替戦略を検討した。本発明者らの戦略は、酵素活性を保持し、電極の表面に電子メディエーター(すなわちビタミンK3(VK3))を固定することによって物質移動を促進する(図13、パネルC)。
EFCのための2つの典型的な酵素固定アプローチは、四級テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)によって改変したナフィオンにおけるポリマーマトリックス閉じ込めおよびカーボンナノチューブ(CNT)への共有結合である。(図13、パネルAおよびパネルB)。
酵素の安定性は、高温性酵素(thermoenzyme)の使用によって検討することができる。高温性酵素は、大腸菌(E. coli)において産生させ、3つの方法、すなわち、熱沈降、Hisタグ/ニッケル荷電樹脂、およびセルロース吸着剤へのセルロース結合モジュールタグ付きタンパク質の吸着によって精製することができる(図16および表2)。好熱菌から単離された比較的不安定な高温性酵素、例えば、PGI、αGP、およびPGMは、超好熱菌由来の酵素またはタンパク質工学(すなわち、合理的設計、一定方向への進化、もしくは方法の組合せ)によって作製される操作された変異体酵素に交換することができる。
非固定化酵素の半減期は、ウシ血清アルブミンおよび0.1%Triron X-100を添加することによって延ばすことができる(図22、パネルB)。
電子メディエーター
いくつかの態様において、電子メディエーターが、アノード表面に固定される。
特定の態様において、電子メディエーターはビタミンK3である。
いくつかの態様において、電子メディエーターは、アノード表面に固定されない。他の態様において、電子メディエーターは、アノード区画中に遊離している。
特定の態様において、電子メディエーターはベンジルビオロゲンである。
糖電池または糖EFC
いくつかの態様において、EFCは、キュベットを基にしたEFCである(図20)。組み合わせられた電極材料、プラスチックキュベット、および膜電極集合体の重量は、装置重量全体の約20%を占めるためである。このようなバイオ電池は、エネルギー密度がより優れており環境影響が少ないため、環境に優しい使い捨ての一次電池とみなすことができる。いくつかの態様において、キュベットを基にしたEFC 2個からなるスタックは、デジタル時計およびLED光に電力を供給することができる(図20)。
いくつかの態様において、唯一の気体生成物(CO2)をアノード区画から容易に放出することができ、非固定化酵素はEFCの外に洗い流されないため、非固定化酵素カスケードを備えたバイオ電池は、糖溶液の添加によって補充され得る。他の態様において、EFCは、基質および酵素混合物の添加によって補充される。
代替用途:
本発明を用いて、無細胞の生体触媒において余分な還元型NADHまたはその等価物(バイオミミック)を除去し、補助因子を平衡状態にすることができる。
材料および方法
化学物質
マルトデキストリン(デキストロース当量4.0〜7.0、すなわち、測定された重合度は19)、ビタミンK3 (VK3)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD、酸化型(NAD+)および還元型(NADH)の両方を含む)、ポリ-L-リジン(PLL、MW約70〜150kDa)、ジチオトレイトール(DTT)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC)、およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を含む化学物質はすべて、別段の注記のない限り、試薬グレードまたはそれより高いグレードのものであり、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO, USA)またはFisher Scientific (Pittsburgh, PA, USA)から購入した。制限酵素、T4リガーゼ、およびPhusion DNAポリメラーゼは、New England Biolabs (Ipswich, MA, USA)から購入した。オリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologies (Coraville, IA, USA)またはFisher Scientificのいずれかによって合成された。アノード中で使用したカーボン紙(AvCarb MGL200)は、Fuel Cell Earth (Stoneham, MA, USA)から購入した。ナフィオン212膜および0.5mg cm-2 Ptで修飾したカーボンクロスカソードからなる膜電極集合体(MEA)は、Fuel Cell Store (San Diego, CA, USA)から購入した。外径が8nm未満であり長さが10〜30μmであるCOOH官能化多層カーボンナノチューブ(CNT)は、CheapTubes.com (Brattleboro, VA, USA)から購入した。酵素精製で使用する再生非結晶セルロースは、別の場所で説明されているように、溶解および再生を通じてAvicel PH105(FMC, Philadelphia, PA, USA)から調製した。大腸菌(Escherichia coli)Top10をDNA操作のための宿主細胞として使用し、大腸菌BL21 Star (DE3)(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を組換えタンパク質発現のための宿主細胞として使用した。100mg L-1アンピシリンまたは50mg L-1カナマイシンのいずれかを含むルリア-ベルターニ(LB)培地を、大腸菌細胞増殖および組換えタンパク質発現のために使用した。
組換え酵素の作製および精製
タンパク質発現プラスミドを内部に持つ大腸菌BL21 Star(DE3)株を、100mg L-1アンピシリンまたは50mg L-1カナマイシンのいずれかを含むLB培地250mLを入れた1Lエルレンマイヤーフラスコ中でインキュベートした。250rpmで回転振盪しながら、細胞培養物の600nmにおける吸光度が0.6〜0.8に達するまで、細胞を37℃で増殖させた。18℃で一晩インキュベーションする間、100μMイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することによって、タンパク質発現を誘導した。これらの細胞を4℃で遠心分離して回収し、0.3M NaClを含む20mM HEPES(pH7.5)で一回洗浄した。細胞沈殿物を同じ緩衝液に再懸濁し、超音波処理(Fisher Scientific製ソニックディスメンブレーターモデル500;5秒間の断続的な出力(pulse on and off)、50%振幅で合計300秒)によって溶解した。遠心分離後、上清中の目的タンパク質を精製した。
(表2)に示す3つのアプローチを用いて、様々な組換えタンパク質を精製した。Profinity IMAC Ni荷電樹脂(Bio-Rad, Hercules, CA, USA)によって、Hisタグ付きタンパク質を精製した。セルロース結合モジュール (CBM)および自己切断インテインを含む融合タンパク質を、表面積の大きな再生非結晶セルロースへの高親和性吸着によって精製した。80℃で20分間の熱沈降を用いて、RPI、Ru5PE、TIM、およびALDを精製した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE、(図16))によって組換えタンパク質の純度を検査した。
(表2)組換え好熱性酵素に関する情報
Figure 2016524800
酵素活性の測定
クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)のα-グルカンホスホリラーゼ(αGP)の活性を、1mM MgCl2、5mM DTT、30mMマルトデキストリン、および10mMリン酸ナトリウムを含む100mM HEPES緩衝液(pH7.5)中、23℃で5分間、分析した。HClO4添加によって反応を停止し、続いてKOHで中和した。ホスホグルコムターゼ(PGM)を追加したグルコースヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキット(Pointe Scientific, Canton, MI, USA)を用いて、グルコース1-リン酸(G1P)を測定した。
C.サーモセラムのホスホグルコムターゼ(PGM)の活性を、5mM MgCl2、0.5mM MnCl2、および5mM G1Pを含む100mM HEPES緩衝液(pH7.5)中、23℃で5分間、測定した。ヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキットを用いて、生成物グルコース6-リン酸(G6P)を測定した。
ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスのグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)の活性を、100mM NaCl、2mM G6P、2mM NAD+、5mM MgCl2、および0.5mM MnCl2を含む100mM HEPES緩衝液(pH7.5)中、23℃で分析した。NADH形成に起因する吸光度増加を340 nmで測定した。
ムーレラ・サーモアセチカ(Morella thermoacetica)の6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(6PGDH)の活性を、2mM 6-ホスホグルコン酸、2mM NAD+、5mM MgCl2、および0.5mM MnCl2を含む100mM HEPES緩衝液(pH7.5)中、23℃で5分間、測定した。
サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)のリボース-5-リン酸イソメラーゼ(RPI)の活性を、ディッシェのシステイン-カルバゾール法の改良法を用いて分析した。
T.マリティマのリブロース-5-リン酸エピメラーゼ(Ru5PE)の活性を、以前に説明されているようにして基質D-リブロース5-リン酸を用いて測定した。
サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)のトランスケトラーゼ(TK)の活性を、0.8mM D-キシルロース5-リン酸、0.8mM D-リボース5-リン酸、5mM MgCl2、0.5mMチアミンピロリン酸、0.15mM NADH、60U mL-1のTIM、および20UmL-1のグリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼを含む50mM Tris/HCl(pH7.5)緩衝液中で測定した。23℃でTKを添加して反応を開始した。NADH消費を340nmで5分間測定することにより、生成物D-グリセルアルデヒド3-リン酸を定量した。
T.マリティマのトランスアルドラーゼ(TAL)の活性を、Huang et al., A thermostable recombinant transaldolase with high activity over a broad pH range. Appl. Microbiol. Biotechnol. 93: 2403-2410 (2012)において以前に報告されているようにして、分析した。
T.サーモフィルスのトリオースリン酸イソメラーゼ(TIM)の活性を、5mM MgCl2、0.5mM MnCl2、0.5mg mL-1 BSA、20UmL-1のグリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼ、および0.25mM NADHを含む50mM Tris/HCl(pH7.5)中で測定した。
T.サーモフィルスのフルクトース1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(ALD)を、1.9mMフルクトース1,6-二リン酸を基質として用いて、50mM Tris/HCl緩衝液(pH7.5)中、23℃で分析した。生成物グリセルアルデヒド3-リン酸を、0.15mM NADH、60U mL-1のTIM、および20U mL-1のグリセロール3-リン酸デヒドロゲナーゼを用いて340nmで定量した。
T. マリティマのフルクトース1,6-ビスホスファターゼ(FBP)の活性を、リン酸の遊離に基づいて測定した。
C.サーモセラムのホスホグルコースイソメラーゼ(PGI)の活性を、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、および5mMフルクトース6-リン酸を含む100mM HEPES(pH7.5)中、23℃で分析した。3分後、HClO4添加によって反応を停止し、KOHで中和した。ヘキソキナーゼ/G6PDHアッセイキットを用いて、37℃で生成物G6Pを分析した。
G.ステアロサーモフィルスのジアホラーゼ(DI)の活性を、0.16mM NADHおよび0.1mMジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)を含む10mMリン酸緩衝化生理食塩水溶液中、23℃で分析した。DCPIP消費に起因する600nmでの吸光度の減少を、分光計を用いて測定した。
カーボン紙電極上に固定されたG6PDHおよびDIの活性を、遊離酵素の場合と同じ条件下で分析した。23℃で電極を基質溶液に浸すことによって、反応を開始した。反応物から電極を取り出した後、G6PDHアッセイ法およびDIアッセイ法に関して説明したようにして、反応溶液における吸光度の変化を測定した。
アノードの調製
空気を吸入する酵素燃料電池装置を図17に示す。アノード区画の反応体積は15mLであった。超高純度の窒素を30分間流すことによって、電解質から酸素を除去した。600rpmで磁石撹拌子を用いて、電解質を混ぜた。ナフィオン212膜を用いて、アノードと0.5mg cm-2 Ptで表面をコーティングしたカソードとを隔てた。アノード区画は、アノード区画を密閉するためのゴム栓が装備されたガラス製の電解質容器であった。
2つの酵素固定方法を用いて、固定化酵素を備えるアノードを調製した。
方法1は、四級アンモニウムブロミド塩によって改変したナフィオン中に酵素を閉じ込めることに基づいた。5%ナフィオン1100EW懸濁液(Ion Power, Inc., New Castle, DE, USA)1mLと共にテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)39mgを添加することによって、キャスティング溶液混合物を調製した。一晩乾燥させた後、18MΩ脱イオン水3.5mLで混合物を洗浄し、イソプロパノール1mL中に再懸濁した。酵素溶液混合物は、1ユニットのG6PDH、40ユニットのDI、1mM NAD+、および0.29M VK3からなった。キャスティング溶液100μLおよび酵素溶液100μLの混合物をカーボン紙アノードに塗り、室温で乾燥させた。
方法2は、酵素とカーボンナノチューブ(CNT)の共有結合連結に基づいた。体積10μLの2% wt/v PLL溶液を用いてカーボン紙をコーティングし、続いて、20μLの25mM EDCを添加した。その間に、2.5% wt/vのCOOH官能化CNTを50%エタノール溶液に懸濁し、30分間、超音波処理した。次いで、CNT含有溶液40μLでカーボン紙を処理し、室温で乾燥させた。次いで、さらに10μLの400mM EDCおよび10μLの100mM NHSを添加し、続いて、1ユニットのG6PDH、40ユニットのDI、1mMのNAD+、および10μLの0.29M VK3アセトン溶液を添加した。
使用前に、固定化酵素を有する両方のタイプのアノードを、4℃で、2mM NAD+および100mM NaNO3を含む100mM HEPES緩衝液中に保存した。
非固定化酵素アノードを調製する場合、Zhu et al., Deep oxidation of glucose in enzymatic fuel cells through a synthetic enzymatic pathway containing a cascade of two thermostable dehydrogenases, Biosens. Bioelectron. 36: 110-115 (2012)において以前に説明されているようにして、ポリ-L-リジン(PLL、MW約70〜150kDa)を用いて、Fuel Cell Earthから入手した1cm2カーボン紙(AvCarb MGL200)の表面に、1mgまたは3mgのCNTを添加した。アセトンに溶かした0.29MビタミンK3溶液10μLまたは30μLを、CNTを含む乾燥したアノードの表面にフード下で沈着させた。2時間のアセトン蒸発の後、非水溶性ビタミンK3は、物理的吸着によってアノード上に沈着した。
EFCの電気化学的特徴付け
電気化学的試験はすべて、PCに接続された1000Bマルチポテンシオスタット(CH Instruments Inc., Austin, TX, USA)を用いて実施した。アノードで起こる反応が律速段階であり、MEA中のPtによって媒介されるプロトン酸化は律速ではなかったため、電流出力および電力出力に関連する実験データをアノード面積1cm2に対して標準化した。開路電位および線形掃引ボルタンメトリーの測定を走査速度1mVs-1で実施した。
固定化酵素EFCおよび非固定化酵素EFC(図13)からの発電を比較する際、電解質は、10mM G6P、100mM HEPES緩衝液(pH7.5)、2mM NAD+、10mM MgCl2、および0.5mM MnCl2を含んだ。1ユニットのG6PDHおよび40ユニットのDIを電極表面に固定するか、または電解質中に溶解させた。
マルトデキストリンを基質として使用する場合(図9)、電解質は、室温で100mM HEPES緩衝液(pH7.5)、非固定化酵素、0.1mMマルトデキストリン、4mM NAD+、4mMリン酸ナトリウム、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、5mM DTT、および0.5mMチアミンピロリン酸を含んだ。
デヒドロゲナーゼが1つのEFCは、最初の3つの酵素(すなわち、α-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、およびグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ)に加えてDIを含んだ。デヒドロゲナーゼが2つのEFCは、最初の4つの酵素(すなわち、α-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、および6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ)に加えてDIを含んだ。マルトデキストリンの完全酸化のために使用されたEFCは、13種の酵素すべてを含んだ。酵素の添加条件は表2に示している。
マルトデキストリン(0.1mM)の完全酸化を、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、4mM NAD+、4mMリン酸ナトリウム、5mM DTT、および0.5mMチアミンピロリン酸を含む100mM HEPES緩衝液(pH7.5)中で測定した(図9、パネルBおよび図19)。微生物汚染を防止するために、50mg L-1カナマイシン、40mg L-1テトラサイクリン、40mg L-1シクロヘキシミド、および0.5g L-1アジ化ナトリウムを添加した。酵素混合物の安定性を向上させるために、1g L-1ウシ血清アルブミンおよび0.1%Triton X-100を添加した。酵素の添加条件は表2に示している。電流測定を0Vで行って、最大電流密度を実現した。0.1mMマルトデキストリン溶液(すなわち、約1.9mMのグルコース)を添加する前に、ほぼゼロの電流が得られるまで、0.2mM G6Pを含むEFCを2日間動作させた。マルトデキストリンの完全酸化は室温で約1週間かかった。SA-20デンプンアッセイキット(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)を用いて、残存マルトデキストリンを定量した。式FMD−電流=C全体/(Δcグルコース単位×V×24×F)に基づいて、ファラデー効率を計算した。式中、FMD−電流はファラデー効率であり、C全体は、生成した合計電荷(C)であり、Δcグルコース単位=c初期−c残存(M)、Vは反応体積(L)であり、24は、消費されたグルコース単位1つにつき生成される電子24個を表し、Fはファラデー定数である。マルトデキストリンを用いない対照実験も実施した(図19)。
EFCの出力密度をさらに増加させるために、20mM G6P、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、8mM NAD+、4mMリン酸ナトリウム、0.5mMチアミンピロリン酸、およびG6PDHを含む100mM HEPES(pH7.5)緩衝液においていくつかの因子を最適化した(図10、パネルA〜E)。実験はすべて、次の条件で行った:CNT添加量(電極1つにつき1mg、3mg、または5mg)、一つに積み重ねた電極シートの数(1枚、3枚、または6枚)、酵素添加量(1ユニット、10ユニット、または30ユニット)、および反応温度(23℃、50℃、または65℃)。
アノードとしての1枚の1cm2カーボン紙上へのCNT添加量の影響を、次の条件下で測定した:20mM G6P、1UのG6PDH、80UのDI、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、8mM NAD+、4mMリン酸ナトリウム、0.5mMチアミンピロリン酸、1個の電極、電極1つにつき1mg、3mg、または5mgのCNT、および23℃。3mg CNTを沈着させた1cm2カーボン紙によって作製した積み重ねアノードの数の影響を、次の条件下で測定した:20mM G6P、1UのG6PDH、80UのDI、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、8mM NAD+、4mMリン酸ナトリウム、0.5mMチアミンピロリン酸、1個、3個、または6個の電極、および23℃。6個の電極(それぞれ、3mgのCNTを含む)の積み重ねを含むEFCにおける1〜30UのG6PDH添加量の影響を、次の条件下で測定した:20mM G6P、1U、10U、または30UのG6PDH、80UのDI、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、8mM NAD+、4mMリン酸ナトリウム、0.5mMチアミンピロリン酸、および23℃。6個の電極(それぞれ、3mgのCNTを含む)の積み重ねを含むEFCにおける23℃、50℃、または65℃の反応温度の影響を、次の条件下で測定した:20mM G6P、30UのG6PDH、80UのDI、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、8mM NAD+、4mMリン酸ナトリウム、および0.5mMチアミンピロリン酸。図10のパネルB〜Dにおいて、3mg CNTを沈着させた1cm2カーボン紙6枚が、アノードとして一つに積み重ねられた。図10、パネルAおよびパネルBの挿入図は、拡大したプロファイルを示す。
走査速度の影響も、緩衝液中で測定した(図10E)。
デジタル時計またはLED光に電源を入れることができる「キュベットに似た」EFCの能力を実証するために(図20)、キュベットの側面に2つの窓を開けた。ナフィオン側がキュベットの内側に向くように、MEAを各窓に貼った。酵素を伴わない修飾アノードをキュベットの内側に浸けた。3mLの反応溶液は、室温で、40UのDI、4UのG6PDHおよび6PGDH、100mM G6P、100mM HEPES(pH7.5)、4mM NAD+、10mM MgCl2、および0.5mM MnCl2を含んだ。
非固定化酵素EFCに対する糖補充実験(図21)を、マルトデキストリン初期濃度0.01mMで実施した。EFC中の糖が完全に消費された(すなわち、電流出力がゼロに近づいた)際、最終濃度が0.01mMになるように濃縮マルトデキストリン濃度を添加した。マルトデキストリン溶液を2回補充した。
約200時間作動させた後、電流密度がゼロ近くに戻った際に、老朽化したEFCに対する予備診断実験(図22、パネルA)を実行した。同じ添加量の13種の酵素に加えて、新鮮な基質(0.1mMマルトデキストリン)を添加した。数時間後、VK3を沈着させた新しく調製した炭素電極を試験のために使用した。
固定化酵素系および非固定化酵素系の安定性を比較するために(図22、パネルB)、室温で、2mM G6P、100mM HEPES緩衝液(pH7.5)、2mM NAD+、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2を含む電解質を用いて、開路電位および線形掃引ボルタンメトリーを実施した。電極表面に固定されるか、または保存溶液中に遊離した、1ユニットのG6PDHおよび40ユニットのDIを添加した。1回試験した後、酵素が固定された電極を取り出し、4℃でG6Pを含まない反応緩衝液中に保存した。非固定化酵素の場合、G6Pがすべて消費された際に、酵素を含む反応溶液を4℃で保存した。別の非固定化酵素反応セットにおいて、遊離酵素の安定性を高めるために、1g/Lのウシ血清アルブミンおよび0.1%v/vTriton X-100を追加した。
最も優れたEFC条件は、100mM HEPES緩衝液(pH 7.5)、10mM MgCl2、0.5mM MnCl2、4mM NAD+、0.5mMチアミンピロリン酸、5mM DTT、15%(wt/v)マルトデキストリン、基質としての40mMリン酸ナトリウム、および30ユニットの酵素1番〜4番、10ユニットの酵素5番〜12番、80ユニットのDIという酵素添加条件、50mg L-1カナマイシン、40mg L-1テトラサイクリン、40mg L-1シクロヘキシミド、および0.5g L-1 アジ化ナトリウムであった。長期間に渡って妨害されずに稼働させる場合、150Ωの外部抵抗を適用した。23℃で60時間、出力密度を測定した(図10、パネルF)。
結果
非固定化酵素および固定化酵素の比較
非固定化酵素を備えたEFCを固定化酵素を備えた2つのEFCと比較するために、等量のグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)およびジアホラーゼ(DI)を用いて、グルコース-6-リン酸燃料の場合のEFCの分極および電力出力を試験した(図13、パネルA)。次の条件下で実験を行った:2mM NAD+、10mM Mg2+、および0.5mM Mn2+を含む100mM HEPES(pH7.5)緩衝液に溶かした1U G6PDH、40U DI、10mM G6P、室温。
非固定化EFCの物質移動領域は、共有結合に基づくEFCと比べて高い電流密度に存在した(図13、パネルB)ことから、非固定化酵素の場合に物質移動が促進されるという影響が示唆された。
非固定化G6PDHに基づくEFCは、0.13mW cm-2という最も高い出力密度を示し、これは共有結合方法の場合より3倍高かった。TBABによって改変したナフィオンポリマーを用いた閉じ込め法に基づくEFCは、最大出力密度が0.0013mW cm-2と最も低く、共有結合方法の場合の密度の4%に過ぎなかった。ナフィオンポリマー閉じ込めおよび共有結合によって固定したG6PDHは、固定しない場合の活性の0.2%および6%をそれぞれ保持した。ナフィオンポリマー閉じ込めおよび共有結合によって固定したDIは、固定しない場合の活性の0.4%および7.5%をそれぞれ保持した(表3)。酵素活性に関するこれらのデータから、酵素固定が原因で大幅な活性低下が起こることがはっきりと示唆される。出力密度のデータから、EFCにおける高い電力出力を達成するために非固定化酵素を使用することが実現可能であることが確認された。
(表3)固定化酵素の残存活性と非固定化酵素の残存活性との比較
Figure 2016524800
マルトデキストリンの完全酸化
各グルコース単位から最大限の潜在的電子(maximum electron potential)(すなわち、グルコース1個につき24個)を放出させるために、本発明者らは、13種の酵素を含む非天然酵素経路を設計した(図14)。この合成経路は、4つの機能的モジュールからなる:α-グルカンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼによって媒介される、マルトデキストリンからのグルコース-6-リン酸(G6P)生成(化学反応式1);2つのNAD依存性のG6PDHおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(6PGDH)によって媒介される、G6Pから生成される2個のNADH(化学反応式2);NADH 1個につき2個の電子を生成する、固定化VK3への非固定化DIを介したNADH電解酸化(化学反応式3);ならびにペントースリン酸経路、解糖経路、および糖新生経路の酵素からなる混成経路を介した、1モルのリブロース5-リン酸から5/6モルのG6Pの再生(化学反応式4)。化学反応式1〜4の組合せに対応する全体的アノード反応は、おおよそ、化学反応式5という結果になる。マルトデキストリンに由来する各グルコース単位が、この新規の経路を介して、アノード表面で24個の電子を生成できることが明らかである(化学反応式5)。
(C6H10O5)n+Pi→G6P+(C6H10O5)n-1 [1]
G6P+H2O+2NAD+→リブロース5-リン酸+CO2+2NADH+2H- [2]
NADH+H+→2H++2e- [3]
6リブロース5-リン酸+H2O→5G6P+リン酸 [4]
C6H10O5+7H2O→24e-+6CO2+24H+ (アノード区画) [5]
この経路は、ペントースリン酸経路における天然のNADP依存性酵素とは異なって、2つのNAD依存性のG6PDHおよび6PGDHを利用してNADHを生成する。上記の経路は、非常に高価でEFC中で不安定であるATPもCoAも必要としない。さらに、リン酸イオンを再利用して、一定のpHおよびイオン濃度を維持することができる。この循環的な経路設計は、EFCにおいて典型的に使用される直線的経路とは異なる。
1つのデヒドロゲナーゼ(すなわちG6PDH)、2つのデヒドロゲナーゼ(すなわち、G6PDHおよび6PGDH)、または全経路を使用する3種のEFCについて、マルトデキストリン燃料(すなわち、2mMグルコース単位)に由来する出力密度を比較した(図9A)。開路電位は、3種のEFCにおいて同様であった(約0.7V)。G6PDHのみを使用した場合、EFCが示した最大出力密度は0.011mW cm-2であった。2つ目のデヒドロゲナーゼ(6PGDH)を追加した場合、最大出力密度は2倍に増加し、0.024mW cm-2となった。さらに8種の酵素を追加して全経路(図14)を再構成した場合、最大出力密度は少し増加して0.026mW cm-2となった。対応する最大電流密度は、2種のデヒドロゲナーゼに基づくシステムの電流密度より35%高かった(図9A)。
マルトデキストリンのグルコース単位の完全酸化を定量的に検証するために、本発明者らは、空気を吸入するEFCにおけるジアホラーゼおよびビタミンK3を介したNADHから電子へのファラデー効率を測定した(図18)。酸素を除去された電解質の初期組成物は、0.4UのDI、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl2、および0.5mM MnCl2を含んだ。電流測定を実施して、経時的な電流生成を観察した。最初に、少量(0.2mM)のNADHを添加して反応を開始した。NADHがすべて消費されると、反応系は平衡状態に達した。次に、さらに2mMのNADHを追加すると、電流は時間とともに増加し始めた。シリンジを用いて試料を時々抜き取り、UV分光光度計によって残存NADH濃度を測定した。NADHの電気酵素的酸化のファラデー効率を下記のようにして算出した:
FNADH-電流=ΔC/(Δc×V×2×F)
式中、FNADH-電流は、NADHの電気酵素的酸化のファラデー効率であり、ΔCは電荷増加の合計の傾き(slope)(C)であり、ΔcはNADH濃度低下の傾き(M)であり、Vは反応体積(L)であり、2は、消費されたNADH 1つにつき生成される電子2個を表し、Fはファラデー定数である。
アノード区画が無酸素の条件下で、EFCのファラデー効率は97.6±3.0%(図18)であったことから、NADHの電気酵素的酸化が著しく効率的であることが示唆された。さらに、アノード区画からの酸素の除去は、高いファラデー効率を得るため、およびNADHの非選択的酸化を防止するために不可欠であった。
室温で13種の酵素および低濃度のマルトデキストリンを含む15mL EFCにおいて(図9B)、電流密度は増加して24時間目にピーク値0.12mA cm-2となり、その後、基質消費が原因でゆっくりと減少した。150時間を超えた後、電流出力はほぼゼロまで減少した。グルコース単位の消費に基づいて生成する理論的電荷(すなわち、53.0C、1モルのグルコース単位は原理的に24×96,485Cを生成することができる)に対して、生成した累積的電荷は48.9Cであった。この結果から、累積的ファラデー効率は92.3%であり、1モルのグルコースが22.2モルの電子を生成することが示される。
陰性対照(すなわち、基質を含まない同じEFC)が有意な電流出力を生じなかったことが注目された(図19)。ファラデー効率は、グルコースに基づく微生物燃料電池の場合(83%)より高かった。これは、以前に実証されているように、無細胞生物系は有機燃料を細胞増殖および副産物形成に浪費しないことに起因する。Bujara et al., "Optimization of a blueprint for in vitro glycolysis by metabolic real-time analysis," Nat. Chem. Biol. 7: 271-277 (2011); Martin del Campo, J. S. et al., "High-Yield Production of Dihydrogen from Xylose by Using a Synthetic Enzyme Cascade in a Cell-Free System," Angew. Chem. Int. Ed. 52: 4587-4590 (2013)。本発明者らのシステムは、EFCにおいてグルコース単位1つにつきほぼ24個の電子が生成されることに関する初めての定量的証拠を提供する。さらに、本発明者らのデータから、本発明者らが、糖に由来する化学エネルギーのすべてを電気エネルギーに変換し、EFCのエネルギー密度を1桁増加させることができることが示唆される。
高エネルギー密度高電力EFC
出力密度は、EFCにおいて重要な考慮すべきもう1つの事柄である。出力密度を増加させるために、本発明者らは、EFC立体配置、酵素添加量、および非固定化G6PDHがG6Pに作用する際の実験条件を含む、いくつかの因子を最適化した。
最適なCNT添加量は、カーボン紙1cm2につき3mgであった(図10、パネルA)。6つの電極を3Dアノードとして一つに積み重ねると、最大出力密度は50%、最大電流密度は4倍増加した(図10、パネルAおよびパネルB)。電池1つ当たりの酵素添加量を1Uから10Uに増加させると、室温(23℃)で、最大出力密度および最大電流密度はそれぞれ0.35mW cm-2および4.1mA cm-2に劇的に増加した(図10、パネルC)。温度を50℃に上昇させると、最大出力密度は0.8mW cm-2に倍増した(図10、パネルD)。
15%(wt/v)マルトデキストリンに基づき13種の非固定化酵素からなるEFCは、室温において、走査速度1mV s-1で0.4mW cm-2の最大出力密度を生じた。このEFCは、閉鎖系において60時間、約0.32mW cm-2のほぼ一定の電力出力をもたらした(図10、パネルF)。さらに、キュベットを基にしたEFC 2個からなるスタックは、デジタル時計およびLCD光に電力を供給することができる(図20)ことから、近い将来、これらのEFCを用いていくつかの電子装置に電力を供給できるであろうことが示唆された。
15%マルトデキストリン溶液のグルコース単位の完全酸化とは、この糖を動力源とするEFCのエネルギー貯蔵密度が596Ah kg-1もの大きさになり得ることを意味する。この値は、リチウムイオン電池および一次電池のエネルギー貯蔵密度より一桁以上大きい(図15および表4)。
(表4)電池およびEFCのエネルギー密度の比較
Figure 2016524800
*燃焼エネルギーまたは高位発熱量。
EFCの電圧(例えば0.5V)は、リチウムイオン電池の電圧(3.6V)よりはるかに低いが、15%糖を動力源とするEFCのエネルギー密度は、最高で298Wh kg-1に達することができ、これは、一般的な充電式電池(例えば、Pd-酸電池、NiMH電池、およびリチウムイオン電池)のエネルギー密度の数倍であり、一般的な一次電池(例えば、亜鉛-炭素電池、アルカリ電池、およびLi-MnO2電池)のエネルギー密度より高い(図15)。組み合わせられた電極材料、プラスチックキュベット、および膜電極集合体の重量は、装置重量全体の約20%を占めるため、キュベットを基にしたEFC(図20)のシステム全体のエネルギー貯蔵密度は約238Wh kg-1である。このようなバイオ電池は、エネルギー密度がより優れており環境影響が少ないため、環境に優しい使い捨ての一次電池とみなすことができる。
1つの酸化還元酵素を伴うシステムと比べて、この合成経路によって糖電池のエネルギー密度を1桁向上させることに加えて(図15)、唯一の気体生成物(CO2)がアノード区画から容易に放出され得、非固定化酵素はEFCの外に洗い流されないため、非固定化酵素カスケードを備えたバイオ電池は、糖溶液の添加によって補充してよい。糖溶液を2回添加することによって、非固定化酵素EFCを試験した(図21)。しかしながら、EFCの性能が低下したことから、EFCの寿命を延ばすためにさらなる研究および開発が必要であることが示唆された。
これらの糖バイオ電池は、新しいタイプの充電式電池になる。閉鎖系の一次電池および二次電池と比べた燃料電池の最大級の利点は、燃料電池装置に連続的に(例えばプロトン交換膜燃料電池)または時折(例えば、直接メタノール燃料電池および糖電池)に供給することができる高エネルギー密度燃料(例えば、H2、メタノール、グルコース、およびマルトデキストリン)を使用する開放系であることである。燃料電池システムに対する燃料の重量比が十分に大きい(すなわち5〜10)場合、または燃料電池に数回補充される場合、燃料、燃料タンク、および燃料電池システムを含むシステム全体のエネルギー密度は、使用される燃料の理論的なエネルギー密度に近づくことができる。水を含まない化学物質を燃料として使用することが、エネルギー貯蔵密度の点でより魅力的であることが明らかである(図15)。しかしながら、そのようなシステムでは、独立した燃料タンクおよび複雑な燃料供給システムが必要とされる。
マルトデキストリンは、アルコール(例えばメタノール)またはグルコースより優れたEFC燃料である。マルトデキストリンは、合成経路によってゆっくりと利用されて、短期間のピーク電力ではなく、ほぼ一定の電力出力をもたらす(図10F)。さらに、大半の酵素は、阻害または低い水分活性が原因で、アルコールまたはグルコースが高濃度の場合に上手く作用することができない。例えば、EFCにおいて使用できるメタノールの最高濃度は約0.5Mであるため、エネルギー貯蔵密度が40.2Wh kg-1と低くなる(図15)。同様に、高濃度のグルコース(例えば0.4M)は、酵素活性を弱め得る高浸透圧(約9.85atm)をもたらす。グルコースを酸化してCO2にする6酵素EFCと比べて、いくつかの基質を一回触媒する1つの酵素の本質的に低いが相手を特定しない活性は、非常に低い出力密度をもたらす。バイオ商品(biocommodity)、ファインケミカル、および薬剤の製造のための複雑な反応を実施するのに10種類を超える酵素を使用することは、経済的に法外に高くはないと思われる。
糖バイオ電池にとって最も重要な課題の1つは、寿命を延ばすことである。これは、酵素、補助因子、およびメディエーターの安定性を向上させることを含む。非固定化EFCの性能低下を調査するために予備診断実験を行った(図22A)。EFCに新しい基質および酵素混合物を添加すると、最大電気出力の四分の一が生じたことから、酵素不活性化が、室温で1週間を超えて稼働した後に電気出力が減少する原因の一つであることが示唆された。大半のEFCの場合と同様に固定化酵素を用いるのではなく、本発明者らは、(超)好熱性微生物から単離した非固定化高温性酵素を用いて、酵素の寿命を延ばした。好熱菌から単離された比較的不安定な高温性酵素、例えば、PGI、αGP、およびPGMは、超好熱菌由来の酵素またはタンパク質工学(すなわち、合理的設計、一定方向への進化、もしくは方法の組合せ)によって作製される操作された変異体酵素に交換できることは、明らかである。さらに、1g L-1ウシ血清アルブミンおよび0.1%Triton X-100の添加によって非固定化酵素の半減期が5.0日から7.7日に伸びたことから(図22B)、酵素混合物の配合を調整して非固定化酵素混合物の寿命を延ばすこともできることが示唆された。さらに、古いアノードを新しいアノードに交換すると、電力出力が倍増して最大電力出力のほぼ半分となることから(図22A)、吸着されたVK3がアノードから浸出することによって電力出力が低くなることが示される。したがって、VK3に似たメディエーターをアノード表面に固定するのに、より優れた方法を採用することが重要であると考えられる。
したがって、空気を吸入するEFCにおける13種の酵素からなりATPおよびCoAを含まない合成異化経路を構築してマルトデキストリンのグルコース単位を完全に酸化して、グルコース1個につきほぼ24個の電子を得る。本発明者らは、非固定化酵素に基づくEFCが、固定化酵素の場合よりもはるかに大きな最大電力出力を示すことを発見した。糖を動力源とするこれらのバイオ電池は、高いエネルギー貯蔵密度および高い安全性を特徴とする。したがって、これらの電池は、携帯型電子機器に特に有用であり得る次世代のマイクロ電源となる。
操作されたGsG6PDH
野生型ゲオバチルス・ステアロサーモフィルスG6PDH(GsG6PDH)はNADPよりもNADを好むが、バイオミミック(図7、化合物A〜E)を対象としない。合理的設計および/または一定方向への進化によるタンパク質工学の後、NMN(化合物A)を対象とする操作されたGsG6PDH(T13G/R46G)を作製した(図11)。
上記の開示は、本発明の特定の態様を提供する。上記の開示は本質的に例示的なものとみなされること、および本発明の本質から逸脱しない変更は本発明の範囲内にあるものとすることが意図される。上記に開示した特定の態様は例示的なものにすぎず、本発明は、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者に明らかである異なるが同等の様式で修正および実施してよい。
上記に開示する特定の例示的態様を改変または修正してよく、そのような変更はすべて、本発明の範囲および精神の範囲内とみなされることは明らかである。本発明の範囲からも精神からも逸脱することなく、本発明を実施する際に上記の開示に様々な修正および変更を加えられることは、当業者には明らかになると考えられる。当業者は、所与の用途または設計の要件および規格に基づいて、これらの特徴を単独または任意の組合せで使用できることを認識すると考えられる。
参考文献
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Claims (36)

  1. ヘキソース糖とポリリン酸、ATP、または遊離リン酸との化学反応によってグルコース6-リン酸(G6P)および6-ホスホグルコン酸(6PG)を生成する段階であって、
    (i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-グルコースホスホトランスフェラーゼの存在下でポリリン酸とヘキソース糖との化学反応が行われるか、
    (ii)ATPを使用する場合、ヘキソキナーゼの存在下でATPとヘキソース糖との化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが再生されるか、または
    (iii)遊離リン酸を使用する場合、グルカンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼの存在下で遊離リン酸とヘキソース糖との化学反応が行われる、
    段階;
    水中でG6Pおよび6PGをNAD+またはその酸化型バイオミミックと反応させて、NADHまたはその還元型バイオミミックを得る段階;ならびに
    アノード表面でNADHまたはその還元型バイオミミックを酸化してアノードで電子を生成する段階
    を含む、ヘキソース糖から電子を生成するための方法。
  2. ペントースリン酸経路、解糖、および糖新生の混成経路を介してリブロース5-リン酸からG6Pを再生する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. NAD+を利用するグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼの存在下で、G6Pおよび6PGをNAD+と反応させる、請求項1記載の方法。
  4. NAD+バイオミミックを利用する操作されたグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼおよび6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼの存在下で、G6Pおよび6PGを酸化型NAD+バイオミミックと反応させる、請求項1記載の方法。
  5. ヘキソース糖がグルコースまたはフルクトースである、請求項1記載の方法。
  6. (i)グルコース(キシロース)イソメラーゼを用いてフルクトースをグルコースに変換すること;または
    (ii)ソルビトールデヒドロゲナーゼおよびアルデヒドレダクターゼを用いてフルクトースをグルコースに変換すること
    によってグルコースを生成する、請求項5記載の方法。
  7. (i)マンノースイソメラーゼを用いてマンノースをフルクトースに変換すること;
    (ii)ポリリン酸-グルコースマンノースホスホトランスフェラーゼおよびホスホマンノースイソメラーゼを用いてマンノースをフルクトース6-リン酸(F6P)に変換し、次いでホスホグルコースイソメラーゼによって該F6PをG6Pに変換すること;または
    (iii)ポリリン酸キナーゼ、ヘキソキナーゼ、およびホスホマンノースイソメラーゼを用いてマンノースをフルクトース6-リン酸(F6P)に変換し、次いでホスホグルコースイソメラーゼによって該F6PをG6Pに変換すること
    によってフルクトースを生成する、請求項5記載の方法。
  8. ヘキソース糖がデンプンまたはマルトデキストリンである、請求項1記載の方法。
  9. デンプンホスホリラーゼまたはマルトデキストリンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼによって、リン酸およびデンプンまたはマルトデキストリンからG6Pを生成する、請求項8記載の方法。
  10. ヘキソース糖およびポリリン酸、ATP、または遊離リン酸からグルコース6-リン酸(G6P)を生成し、かつ該G6PをNAD+またはその酸化型バイオミミックと水中で反応させてNADHまたはその還元型バイオミミックを得ることができる、ヘキソース糖および酵素を含む溶液であって、
    (i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-グルコースホスホトランスフェラーゼの存在下でポリリン酸とヘキソース糖との化学反応が行われるか、
    (ii)ATPを使用する場合、ヘキソキナーゼの存在下でATPとヘキソース糖との化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが再生されるか、または
    (iii)遊離リン酸を使用する場合、グルカンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼの存在下で遊離リン酸とヘキソース糖との化学反応が行われる、
    溶液と;
    任意で酵素で修飾したアノードと;
    酵素で修飾した、または標準的な白金基準カソードと;
    電解質と
    を含む、糖電池であって、
    任意で酵素で修飾したアノードが、前記溶液と接触しており、酵素で修飾した、または標準的な白金基準カソードと任意で酵素で修飾したアノードの両方が、前記電解質と接触しており、かつ
    前記電解質が、金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液を含む、
    糖電池。
  11. アノード表面でのNADHまたはその還元型バイオミミックの酸化を可能にしてアノードで電子を生成するように、機能的に構成されている、請求項10記載の電池。
  12. 六炭糖単量体またはオリゴヘキソースもしくはポリヘキソースに由来する1つもしくは複数の六炭糖をポリリン酸、ATP、または遊離リン酸と反応させることによってグルコース6-リン酸(G6P)を生成し、該G6PをNAD-またはその酸化型バイオミミックと水中で反応させてNADHまたはその還元型バイオミミックを得るための溶液であって、
    (i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-グルコースホスホトランスフェラーゼの存在下でポリリン酸と糖単量体との化学反応が行われるか、
    (ii)ATPを使用する場合、ヘキソキナーゼの存在下でATPと糖単量体との化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが再生されるか、または
    (iii)遊離リン酸を使用する場合、グルカンホスホリラーゼおよびホスホグルコムターゼの存在下で遊離リン酸とオリゴヘキソースまたはポリヘキソースとの化学反応が行われる、
    溶液と;
    NADHまたはその還元型バイオミミックをアノードで酸化して電子を生成し、かつプロトンをカソードへ送達するように、機能的に構成された燃料電池と
    を含む、発電のためのシステム。
  13. カソードにおいてプロトンおよび酸素を水に変換するための触媒を該カソード上にさらに含む、請求項12記載のシステム。
  14. ペントース糖とポリリン酸またはATPとの化学反応からキシルロース5-リン酸(X5P)を生成する段階であって、
    (i)ポリリン酸を使用する場合、キシロースイソメラーゼおよびポリリン酸キシルロキナーゼの存在下でペントース糖とポリリン酸との化学反応が行われるか、または
    (ii)ATPを使用する場合、キシロースイソメラーゼおよびATPを利用する(based)キシルロキナーゼの存在下でペントース糖とATPとの化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼもしくはポリリン酸:AMPホスホトランスフェラーゼおよびポリリン酸非依存性アデニル酸キナーゼの組合せの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによってATPが生成される、
    段階;
    ペントースリン酸経路にX5Pを入れて、G6Pを生成する段階;
    水中でG6PをNAD+またはその酸化型バイオミミックと反応させて、NADHまたはその還元型バイオミミックを得る段階;ならびに
    アノードの表面でNADHまたはその還元型バイオミミックを酸化してアノードで電子を生成する段階
    を含む、ペントース糖から電子を生成するための方法。
  15. 五炭糖およびポリリン酸またはATPからキシルロース5-リン酸を生成し、非酸化的ペントースリン酸経路を介して該キシルロース5-リン酸からグルコース6-リン酸(G6P)を生成し、かつ該G6PをNAD+またはその酸化型バイオミミックと水中で反応させてNADHまたはその還元型バイオミミックを得ることができる、五炭糖および酵素を含む溶液であって、
    a.ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-キシロースキナーゼの存在下でポリリン酸と五炭糖との化学反応が行われるか、または
    b.ATPを使用する場合、キシルロキナーゼの存在下でATPと五炭糖との化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによりATPが生成される、
    溶液と;
    任意で酵素で修飾したアノードと;
    酵素で修飾した、または標準的な白金基準カソードと;
    電解質と
    を含む、糖電池であって、
    任意で酵素で修飾したアノードが、前記溶液と接触しており、酵素で修飾した、または標準的な白金基準カソードと任意で酵素で修飾したアノードの両方が、前記電解質と接触しており、かつ
    前記電解質が、金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液を含む、
    糖電池。
  16. 五炭糖およびポリリン酸またはATPからキシルロース5-リン酸を生成し、非酸化的ペントースリン酸経路を介してキシルロース5-リン酸からグルコース6-リン酸(G6P)を生成し、かつ該G6PをNAD+またはその酸化型バイオミミックと水中で反応させてNADHまたはその還元型バイオミミックを得るための溶液であって、
    (i)ポリリン酸を使用する場合、ポリリン酸-キシルロキナーゼの存在下でポリリン酸と五炭糖との化学反応が行われるか、または
    (ii)ATPを使用する場合、キシルロキナーゼの存在下でATPと五炭糖との化学反応が行われ、その際、ポリリン酸キナーゼの存在下でADPとポリリン酸とを反応させることによりATPが生成される、
    溶液と;
    NADHまたはその還元型バイオミミックをアノードで酸化して電子を生成し、かつプロトンをカソードへ送達するように、機能的に構成された燃料電池と;
    プロトンおよび酸素を水に変換するためのカソード触媒と
    を含む、発電のためのシステム。
  17. pH調整緩衝液がHEPES緩衝液である、請求項10または15記載の糖電池。
  18. 金属イオンが、Mg2+およびMn2+からなる群より選択される1種類または複数種のイオンである、請求項10または15記載の糖電池。
  19. 糖からNADHまたはその還元型バイオミミックを生成する段階;および
    NADHまたはその還元型バイオミミックを酸化してアノードで電子を生成する段階
    を含む、糖から電子を生成するための方法であって、
    グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リボース5-リン酸イソメラーゼ、リブロース5-リン酸3-エピメラーゼ、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドラーゼ、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ、およびホスホグルコースイソメラーゼを含む酵素群を用いて、NADHまたはその還元型バイオミミックを生成する、
    方法。
  20. 糖がヘキソース糖またはペントース糖である、請求項19記載の方法。
  21. NADHまたはその還元型バイオミミックが、ジアホラーゼによって酸化される、請求項19記載の方法。
  22. NADHまたはその還元型バイオミミックが、ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数の存在下で酸化される、請求項21記載の方法。
  23. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数がアノード表面に固定される、請求項22記載の方法。
  24. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数がアノード区画中に遊離している、請求項22記載の方法。
  25. 糖、酵素、および電解質を含む溶液と;
    アノードと;
    カソードと
    を含む、糖電池であって、
    前記アノードおよび前記カソードが前記溶液と接触しており、
    前記電解質が、金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液を含み、かつ
    前記酵素が、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リボース5-リン酸イソメラーゼ、リブロース5-リン酸3-エピメラーゼ、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドラーゼ、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびNADHまたはその還元型バイオミミックを酸化することができる酵素を含む、
    糖電池。
  26. 糖がヘキソース糖またはペントース糖である、請求項25記載の糖電池。
  27. NADHまたはその還元型バイオミミックを酸化することができる酵素がジアホラーゼである、請求項25記載の糖電池。
  28. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数をさらに含む、請求項25記載の糖電池。
  29. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数がアノード表面に固定される、請求項28記載の糖電池。
  30. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数がアノード区画中に遊離している、請求項28記載の糖電池。
  31. 糖、酵素、および電解質を含む溶液と;
    アノードおよびカソードを含む燃料電池と;
    発電機と
    を含む、発電のためのシステムであって、
    前記溶液および前記発電機が、前記燃料電池と接触しており、
    前記電解質が、金属イオン、NAD+もしくはNADHまたはそのバイオミミック、およびチアミンピロリン酸を含むpH調整緩衝液を含み、かつ
    前記酵素が、グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ、6-ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リボース5-リン酸イソメラーゼ、リブロース5-リン酸3-エピメラーゼ、トランスケトラーゼ、トランスアルドラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドラーゼ、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびNADHまたはその還元型バイオミミックを酸化することができる酵素を含む、
    発電のためのシステム。
  32. 糖が、ヘキソース糖もしくはペントース糖、またはそれらの混合物である、請求項31記載のシステム。
  33. NADHまたはその還元型バイオミミックを酸化することができる酵素がジアホラーゼである、請求項31記載のシステム。
  34. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数をさらに含む、請求項31記載のシステム。
  35. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数がアノード表面に固定される、請求項34記載のシステム。
  36. ビタミンK3、ベンジルビオロゲン、またはそのバイオミメティックの内の1つまたは複数がアノード区画中に遊離している、請求項34記載のシステム。
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