JP2016516752A - アテローム性動脈硬化症の治療および予防のための環状ペプチドの使用 - Google Patents
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Abstract
Description
本特許出願は、2013年4月2日付け出願の米国仮特許出願第61/807,589号に基づく優先権の利益を主張するものである。該優先権基礎出願の全体の全開示をあらゆる目的で本明細書に組み入れることとする。
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)により授与された助成番号HL104462に基づく米国政府の援助によりなされた。したがって、米国政府は本発明において一定の権利を有する。
1つの態様においては、本発明は、アテローム性動脈硬化症または関連障害に罹患している又はその発生リスクを有する対象における、アテローム性動脈硬化症またはアテローム性動脈硬化症に関連した若しくはそれにより引き起こされる障害の治療または予防方法を提供する。関連態様においては、本発明は、対象における総コレステロールレベルを低下させる、LDLレベルおよび/もしくはVLDLレベルを低下させる、またはHDLレベルを上昇させるための方法を提供する。全てのこれらの方法は、ペプチドの配列の一部または全体に亘って交互に位置するD−およびL−残基である4〜約16個のアミノ酸残基またはその類似体の配列を有する環状ペプチドの治療的有効量を含有する医薬組成物を対象に投与することを含む。該方法での治療に適した疾患または障害には、例えば高コレステロール血症、心血管障害、アテローム性動脈硬化血管疾患、脳血管疾患、動脈瘤、末梢血管疾患および間欠性跛行が含まれる。治療されるべき具体的な疾患に応じて、該医薬組成物は種々の手段により、例えば経口的、静脈内、皮下または腹腔内に対象に投与されうる。
I.概要
本発明は部分的には、抗アテローム性動脈硬化活性を有することが示された自己集合性環状D,L−α−ペプチドの、本発明者らの開発に基づく。これらの環状ペプチドは、血漿コレステロールレベルを低下させる、およびHDL媒介性コレステロール逆輸送を促進させる、およびアテローム性動脈硬化症病変の発生を予防する活性を示した。特に、本明細書に詳細に記載されているとおり、本発明者らは、ナノチューブ構造へと自己集合しアポリポタンパク質A−I(アポA−I)の脂質結合および機能特性を模擬しうる環状D,L−α−ペプチドを使用してアテローム性動脈硬化症を治療するための潜在的物質を特定するための超分子的アプローチを開発した。ある8残基環状D,L−α−ペプチドはマクロファージ細胞からのコレステロール流出を促進し、インビトロおよびインビボで成熟高密度リポタンパク質(HDL)粒子を新生脂質欠乏性HDLへと再構築した。高脂肪食を10週間与えた低密度リポタンパク質受容体(LDLr)ヌルマウスへの任意摂取飲料水中の環状ペプチド(c[wLwReQeR](配列番号1))の経口投与は総血漿コレステロールレベルを最大で55%低下させ、大動脈洞におけるアテローム性動脈硬化症病変の発生を50%抑制した(対照との比較)。幾つかの他の環状ペプチドのインビトロおよびインビボ抗アテローム性動脈硬化活性も本発明者らにより示された。
特に示されていない限り、本明細書において用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。以下の参考文献は、本発明において用いられる用語の多くの一般的定義を当業者に提供する:Academic Press Dictionary of Science and Technology,Morris(編),Academic Press(1st ed.,1992);Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Smithら(編)、Oxford University Press(revised ed.,2000);Encyclopaedic Dictionary of Chemistry,Kumar(編),Anmol Publications Pvt.Ltd.(2002);Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,Singletonら(編),John Wiley & Sons(3rd ed.,2002);Dictionary of Chemistry,Hunt(編),Routledge(1st ed.,1999);Dictionary of Pharmaceutical Medicine,Nahler(編),Springer−Verlag Telos(1994);Dictionary of Organic Chemistry,KumarおよびAnandand(編),Anmol Publications Pvt.Ltd.(2002);ならびにA Dictionary of Biology(Oxford Paperback Reference),MartinおよびHine(編),Oxford University Press(4th ed.,2000)。また、本発明の実施において読者を補助するために、以下の定義を記載する。
高密度リポタンパク質(HDL)ナノ粒子は、血流からコレステロールを排除してアテローム性動脈硬化プラーク負荷を軽減する、脂質とタンパク質との複合体である。HDL粒子は、10個の両親媒性αヘリックスからなる243アミノ酸のタンパク質であるアポA−Iがリン脂質、コレステロールおよび他のタンパク質と相互作用する場合にインビボで形成される。アポA−Iの抗アテローム形成性は、アポA−Iまたは再構成HDL粒子の静脈内注入あるいはアポA−Iの過剰発現が保護作用を示すという観察により実証された。しかし、治療用物質としてアポA−I自体を使用することは実施可能となっていない。これは、現在の製造方法では、必要な大量のタンパク質(>3g/1回注入)が法外なコストを要するからである。また、アポA−Iは経口投与可能ではなく、したがって、静脈内投与経路はその一般的使用を制限する。
本発明に適した抗アテローム性動脈硬化性環状ペプチドはいずれかの通常の自動化または手動手動ペプチド合成法により製造されうる。自動ペプチド合成のための一般的原理および技術は当業者によく知られている。固相合成の例示プロトコルを後記実施例5に詳細に記載する。幾つかの実施形態においては、本発明の単離された、精製されたペプチドまたは変異体は、インビトロで、例えば、固相ペプチド合成法により、または酵素触媒ペプチド合成により、または組換えDNA技術を用いて合成されうる。固相ペプチド合成法は、確立された広範に用いられている方法であり、以下のような参考文献に記載されている:Stewartら,Solid Phase Peptide Synthesis,W.H.Freeman Co.,San Francisco(1969);Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85 2149(1963);Meienhofer in “Hormonal Proteins and Peptides”,C.H.Li編,Vol.2(Academic Press,1973),pp.48−267;ならびにBavaayおよびMerrifield,“The Peptides”,E.GrossおよびF.Meienhofer編,Vol.2(Academic Press,1980)pp.3−285。種々の自動合成装置が商業的に入手可能であり、公知プロトコルに従い使用されうる。合成されたペプチドは免疫アフィニティまたはイオン交換カラム上の分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカ上またはDEAEのような陰イオン交換樹脂上のクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えば、セファデックスG−75を使用するゲル濾過;リガンドアフィニティクロマトグラフィー;あるいは無極性溶媒または無極性/極性溶媒混合物からの結晶化または沈殿により更に精製されうる。結晶化または沈殿による精製が好ましい。
本明細書に開示されている環状ペプチドは、アテローム性動脈硬化症またはアテローム性動脈硬化症により引き起こされる若しくはそれに関連した障害を治療または予防するための種々の予防または治療用途において使用されうる。関連用途は、対象における総コレステロールレベルを低下させるため、LDLレベルおよび/またはVLDLレベルを低下させるため、あるいはHDLレベルを上昇させるための、これらのペプチドの使用を含む。アテローム性動脈硬化症は多数の疾患または障害の根本要因または寄与要因である。アテローム性動脈硬化症は全動脈樹に影響を及ぼすが、大抵は、大きな高血圧血管、例えば冠状動脈、腎動脈、大腿動脈、脳動脈および頸動脈に影響を及ぼす。これらは臨床的に沈黙していると言われている。なぜなら、梗塞を有する者は問題に気付かず、医学的な助けを求めず、あるいは彼らがそうしたとしても、生じていることに医師が気付かないからである。進行したアテローム性動脈硬化症の合併症は慢性であり、ゆっくり進行し、累積的である。最も一般的には、軟弱なプラークが急に破裂して(不安定プラークを参照されたい)、血栓の形成を引き起こし、これは血流を迅速に遅くし又は停止させ、動脈により供給される組織の死を約5分後に招く。この致命的事象は梗塞と称される。最も一般的な認識されているシナリオの1つは、心筋梗塞(心臓発作)を引き起こす、冠状動脈の冠状動脈血栓症である。脳への動脈における同じプロセスは一般に脳卒中と称される。非常に進行した疾患におけるもう1つの一般的なシナリオは、血栓で狭くなった動脈瘤セグメントと狭窄との両方の組合せにより典型的に引き起こされる、脚部への不十分な血液供給から生じる跛行である。
抗アテローム性動脈硬化性環状ペプチド(例えば、図1および表1に示されている化合物)および本明細書に開示されているその他の治療用物質は、治療に要する対象に直接的に投与されうる。しかし、これらの治療用化合物は、好ましくは、該環状ペプチドおよび/または他の活性物質を医薬上許容される担体、希釈剤もしくは賦形剤と共に単位投与形中に含む医薬組成物中で対象に投与される。したがって、本発明は、本明細書に開示されている抗アテローム性動脈硬化性環状ペプチドの1以上を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、アテローム性動脈硬化症により引き起こされる又はそれに関連した前記疾患または医学的障害を治療または予防するための医薬組成物または医薬の製造における、これらの環状ペプチドの使用を提供する。
以下の実施例は、本発明を更に詳しく例示するために記載されており、その範囲を限定するものではない。本発明の他の変型は当業者に容易に理解され、添付の特許請求の範囲に含まれる。
本発明者らはペプチドの設計、合成およびスクリーニングの幾つかの反復を行った。一般に、ペプチド配列(図1に示されている)の幾つかを、血漿アポリポタンパク質を特徴づけるクラスA αヘリックスにおいて見られるものに類似した電荷分布を有するように設計した。クラスA αヘリックスは両親媒性構造を有し、それにおいては、カチオン残基は極性/無極性境界に密集しており、アニオン残基は極性領域の中央付近に存在する。したがって、本発明者らのパネルにおける環状D,L−α−ペプチドは一般に、極性/無極性境界付近にカチオン性Arg、Lys、Orn(O)、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸残基を含有し、極性面の中央部に負荷電AspまたはGlu残基を含有する。環状D,L−α−ペプチドの推定作用メカニズムはナノチューブ複合体へのペプチド自己集合および膜挿入を含み、一方、通常のアポA−I模倣ペプチドは、膜内で機能するためにはαヘリックスへとフォールディングする。
研究の初期段階として、本発明者らは、成熟ヒト血漿HDLを脂質欠乏性HDLへと再構築する本発明者らの環状D,L−α−ペプチドのインビトロ有効性を評価した(図1および図2a)。脂質欠乏性HDL粒子はコレステロール逆輸送におけるコレステロールの中心的受容体であり、したがって、アテローム性動脈硬化症に対処するために決定的に重要である。実際、ヒト血清のコレステロール流出能力に関しては、脂質欠乏性HDLのレベルはHDL−コレステロールまたはアポA−Iのレベルより遥かに良く相関する。簡潔に説明すると、本発明者らのアッセイは、ヒト血漿をペプチドと共にインキュベートし、ついで該血漿サンプルを非変性勾配ゲル電気泳動(NDGGE)に付して、HDL亜種を分離し、ついでヒトアポA−Iに対して免疫ブロットすることを含むものであった。脂質欠乏性HDLの形成の促進における環状D,L−α−ペプチドのランク付けされた活性を図1に示す。電気泳動転移、染色および濃度定量に関連した固有の変動性が存在し、したがって、ペプチドのランク付けは相対血漿HDL再構築効果の大雑把な目安とみなされべきであることに注目すべきである。それでも、該ランク付けは、10%スクロース/H2O中で調製されたペプチドストック溶液(図1および2a)または1:1 DMSO/H2O中で調製されたペプチドストック溶液のいずれを使用することによりパネルがアッセイされたかには無関係に、全体的に類似していた。これらの予備的構造活性関係(SAR)研究から、本発明者らは効率的血漿HDL再構築に対する顕著な配列依存性を確認した(後記参照)。
該活性環状D,L−α−ペプチドの精査は、それらが疎水性Trp−Leu−Trp(wLw)セグメントおよび該疎水性面に隣接した正荷電または中性Ser残基を有する両親媒性トポロジーを有することを示している。各活性化合物は、負荷電またはSer残基に隣接した、極性面の中央部のAsnまたはGln残基を含有する。観察された電荷分布は血漿再構築活性のために必要であったが、十分ではなかった。親水性または疎水性面における僅かなアミノ酸変化は該環状D,L−α−ペプチドのHDL再構築効率に劇的な影響を及ぼした。例えば、c[wLwSeQsO](配列番号4)とc[wLwSeQsK](配列番号30)との、またはc[wLwZeQeK](配列番号7)とc[wLwHeQeK](配列番号44)(Z=ジアミノプロピオン酸)との活性における相違を比較されたい(図1)。同様に、c[wLwReQeR](配列番号1)は、Leu残基をナフチルアラニン(Nal)(化合物28)、ホモロイシン(化合物29)、2−アミノ−オクタン酸(Aoc)(化合物31)またはTrp(化合物41)で置換することにより更に疎水性になるように設計された4つの類似体のどれよりも相当に活性であった(図1)。これらの観察は、膜活性抗微生物性環状ペプチドナノチューブでの本発明者らの従来の研究と合致しており、それにおいては、ペプチド単量体レベルでのアミノ酸配列における一見小さな相違がナノチューブへのペプチド自己集合および多価側鎖提示への拡大により著しく増幅された。最後に、本発明者らはペプチドc[wLwErQrE](配列番号37)を製造し、アッセイした。該ペプチドにおいては、アニオン残基を極性/無極性境界に配置することにより、荷電残基のパターンが、化合物1(およびその他の活性配列)の場合と比較して交換されている。注目すべきことに、化合物37の血漿HDL再構築およびコレステロール流出活性は、同じアミノ酸を有するにもかかわらず、化合物1の場合と比較して劇的に低下した(図1および2b)。このことは、特定された電荷分布が機能的に重要であることを裏付けた。
環状D,L−α−ペプチドがHDLのモジュレーターとしてインビボで機能するかどうかを確認するために、1を20mg/kgの用量で腹腔内注射(i.p.)でマウス(BALB/c,n=3)に投与した。種々の時間の後、血液を採取し、血漿をウエスタンブロット法により分析して、HDL亜集団のレベルを決定した。各マウスにおいて、予備注射時点から最長8時間にわたって、脂質欠乏性HDLの量の顕著な増加が観察され(図3a)、これはヒト血漿でのインビトロアッセイと合致している。i.p.投与されたマウス(BALB/c,n=3)における化合物1の薬物動態学的研究は、このペプチドが〜2時間の血漿半減期を有することを示した(図4)。
本実施例は、幾つかの追加的研究、ならびに本明細書に詳細に記載されている研究において用いられた実験方法および材料を記載する。
BODIPY,ホウ素−ジピロメテン;Cpt−cAMP,8−(4−クロロフェニルチオ)−アデノシン−3’,5’−環状モノホスファート;DIC,1,3−ジイソプロピルカルボジイミド;Dmab,4−{N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ}ベンジル;DMEM,ダルベッコ改変イーグル培地;DMF,ジメチルホルムアミド;DMSO,ジメチルスルホキシド;EDTA,エチレンジアミン−N,N,N’,N’,−四酢酸;FBS,ウシ胎児血清;HRP,西洋ワサビペルオキシダーゼ;LPDS,リポタンパク質欠乏性血清;MBHA,4−メチルベンズヒドリルアミン;MEM,最小必須培地イーグル;NDGGE,非変性勾配ゲル電気泳動;NMP,N−メチルピロリジン−2−オン;PBS,リン酸緩衝食塩水;PEG,ポリエチレングリコール;PyBroP,ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート;TBS,トリス緩衝食塩水;TBST,トリス緩衝食塩水+0.1% Tween20;TFA,トリフルオロ酢酸;TIS,トリイソプロピルシラン;トリス,トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;Trt,トリチル;TSRI,The Scripps Research Institute。
特に示されていない限り、化学物質はSigma−AldrichまたはFisher Scientificから購入した。アミノ酸、RinkアミドMBHA樹脂およびN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)はAapptecまたはNovaBiochemから購入した。トリフルオロ酢酸(TFA)はHalocarbon Products(Hackensack,NJ)から入手した。10mM HEPESで緩衝化されたMEM(MEM−HEPES)は、Life Technologiesから購入したHEPES(pH7.4、1M)を使用して調製した。BODIPY−コレステロールはAvanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL)から購入した。ポリエチレングリコール8000(50% w/v)はHampton Researchから購入した。メチル−β−シクロデキストリン,Sandoz(サンド)、リポタンパク質欠乏性血清(LPDS)および8−(4−クロロフェニルチオ)−アデノシン−3’,5’−環状モノホスファート(Cpt−cAMP)Sigma−Aldrichから購入した。HRP結合ヤギ抗ヒトアポA−I抗体はAcademy Bio−Medical(#11H−Gla)から購入し、ウサギ抗マウスアポA−I抗体はMeridian Life Scienceから購入し、HRP結合抗ウサギIgGはThermoから入手した。ヒト血漿はTSRI Normal Blood Donor Programを通じて健常ドナーから入手した。マウスは社内繁殖体(LDLr−ヌル)であったか、またはTSRI Department of Animal Resourcesから入手した。
ペプチドは、Advanced Chemtech Apex 396ペプチド合成装置で、標準的なFmoc化学を用いて合成した。典型的な合成は、樹脂からの切断の後でGln残基が生じるように側鎖を介してFmoc−Glu−ODmabまたはFmoc−Glu−OAllがローディングされた0.6mmol/g RinkアミドMBHA樹脂(Novabiochem)を使用して、0.09mmolの規模で行った。側鎖結合のためのグルタミン残基を含有しない配列については、アスパラギンまたはリシン側鎖を固相合成中の樹脂への固定のために使用した。標準的な側鎖保護基には、Gln(Trt)、Asn(Trt)、Lys(Boc)、Orn(Boc)、ジアミノプロピオン酸(Boc)、ジアミノ酪酸(Boc)、His(Trt)、Ser(tBu)、Trp(Boc)、Glu(OtBu)が含まれた。側鎖伸長は、90分間のカップリングでNMP中のDICおよびHOBtを使用して行った。Fmocの脱保護は、NMP中の25% ピペリジンを使用して行った。ペプチドの完全伸長の後、末端Fmocを除去し、ついでDMF中の2% ヒドラジン(3×5分)またはCH2Cl2中のPhSiH3の存在下のPd(PPh3)4を使用して、DmabまたはAll基を切断した。DMF中のPyAoP(5mol当量)およびiPr2NEt(12mol当量)を使用して12時間にわたって該ペプチドを樹脂上で環化させた。95:2.5:2.5 TFA/TIS/ペプチド/水の溶液中での3時間の撹拌により、ペプチドを樹脂から切断し、それと共に側鎖を脱保護した。ペプチドをエーテルで沈殿させ、遠心分離し、エーテルで更に3回洗浄した。粗製ペプチドをVydac 218TP C18または214TP C4カラム上の分取逆相(RP)−HPLCにより精製した。純度を分析用RP−HPLCにより確認した。精製ペプチドを分析用HPLCおよびMALDI−TOF質量分析により特徴づけした。Hitachi D−7000 HPLC系に接続されたVydac 214TP C−4カラムまたはZorbax 300−SB C−18カラムを使用して、分析用RP−HPLCを行った。溶媒A(99% H2O,0.9% アセトニトリル,0.1% TFA)および溶媒B(90% アセトニトリル,9.9% H2O,0.07% TFA)の二成分勾配をHPLCに使用した。
ヒトサンプルを含む全ての方法はTSRI治験審査委員会(Institutional Review Board)により承認された。方法は、Trouttら,J.Lipid Res.49,581−587,2008に報告されているものから改変された。健常ヒトドナーからの血液サンプルをTSRI正常血液ドナープログラム(Normal Blood Donor Program)から入手した。ドナーからの採血の1時間以内にEDTA−抗凝固処理全血を1500×gで15分間遠心分離した。血漿層をアリコート化し、直ちに使用するか、または将来の使用のために−80℃で凍結した。ペプチドストック溶液を初期スクリーニングのために50% DMSO中、〜15mM ペプチドで、またはより低い濃度でアッセイ(図1)およびコレステロール流出アッセイ(図2)を改変するために10% スクロース中、〜2mM ペプチドで調製した。血漿サンプル(30μL)をペプチドストックで処理し、サンプルを37℃で0.5〜1時間インキュベートし、ついで270μLの50% スクロース(1:9希釈)を加えることによりクエンチした。サンプルを6×天然ローディングバッファー(125mM トリス(pH6.8),0.02% ブロモフェノール,20% グリセロール)と混合し、そのうちの6μLを4〜20% ポリアクリルアミドゲル上にローディングした。使用した分子量ラダーは高分子量較正キット(High Molecular Weight Calibration Kit)(Amersham Biosciences,#17−0445−01)であった。Laemli緩衝系(25mMのトリス,192mM グリシン,pH8.3)を使用して、ゲルを80V(一定)、4℃で14時間泳動した。ついでLaemliバッファー(メタノール非含有)を使用して、ニトロセルロース膜(0.45μm,Bio−Rad)上にゲルを30V(一定)、4℃で2時間ブロットした。該膜をTBS中の3% BSA(20mM トリス,150mM NaCl,pH7.6)で23℃で1時間ブロッキングし、ついでTBST(20mM トリス,150mM NaCl,pH7.6,0.1% tween−20)で1回、10分間洗浄した。次に該膜を、〜1:8000希釈のHRP結合ヤギ抗ヒトアポA−I抗体(Academy Bio−Medical,#11H−G1a)を含有するTBST中の3% BSAと共に23℃で1時間インキュベートした。該膜をTBSTで十分に洗浄し(少なくとも6×10分)、TBSで1回洗浄した。該膜をECL試薬(Thermo SuperSignal West Pico)と共に5分間インキュベートし、ついで写真フィルム(Kodak BioMax Light)にさらした。該フィルムをスキャンし、プログラムLabWorks(v.4.0.0.8)を使用するデンシトメトリーにより定量した。個々のブロットからの「無処理」サンプルおよび4F(215μM)サンプルをそれぞれ低および高シグナルとして使用して、該デンシメトリー値をスケーリングすることにより、個々のブロットからのデータを正規化した。
標識培地の調製:
これらの方法は、Sankaranarayananら,J.Lipid Res.52,2332−2340,2011に報告されているものから改変された。非標識コレステロールおよびBODIPY−コレステロール(総コレステロールの20%)をメチル−β−シクロデキストリン(CD)と1:40(総コレステロール/CD)のモル比で複合体化した。非標識コレステロールおよびBODIPYコレステロールをクロロホルムに溶解し、暗所で回転蒸発により丸底フラスコ内で乾燥させて、薄膜を形成させた。該コレステロール混合物を、MEM−HEPESバッファー中の20mM CDを加えることにより可溶化した。該懸濁液を水浴(37℃)内で1時間、超音波処理し、37℃で37時間撹拌し、0.45μmシリンジフィルターを使用して濾過し、4μg/mL Sandoz ACAT(アシル−CoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ)インヒビター(Sigma)を含有するMEM−HEPESバッファーの等体積で希釈した。該標識培地内のBODIPY−コレステロール、非標識コレステロール、CDおよびACATインヒビターの最終濃度はそれぞれ0.025mM、0.1mM、10mMおよび2mg/mLであった。
該流出アッセイの開始の直前に、−80℃で凍結されたヒト血漿を解凍し、80μLの血漿を20μLの環状ペプチドストック(ペプチドストックは10% スクロース中で1〜3mg/mLであった)またはビヒクル(10% スクロース)と共に37℃で30分間をインキュベートした。ついで該処理血漿サンプル(100μL)を200mM グリシンバッファー(pH8.5)(40μL)中の25% PEG8000溶液と共にインキュベートして、アポB含有リポタンパク質を沈殿させた(Asztalosら,J.Lipid Res.46,2246−2253,2005)。15分間のインキュベーションの後、沈殿物を高速遠心分離(13,000rpm、10分間、4℃)により除去し、上清(60μL)をMEM−HEPESバッファー(1.5mL)で直ちに希釈して、〜2% 全血漿を得た。コレステロール受容体として該ペプチド再構築−HDLリポタンパク質画分を含有するこの溶液を溶出培地として使用した。
マウスマクロファージJ774A.1細胞(TIB−67;American Type Culture Collection,Manassas,VA)を3×105細胞/mLで12ウェル培養プレート内に播き、80〜90%のコンフルエンシーになるまで、10% FBSを含有するDMEM内で5% CO2で培養した。細胞をMEM−HEPESで2回洗浄し、CD/BODIPY−コレステロール/非標識コレステロールおよび2μg/mL Sandoz ACATインヒビターを含有する0.25mlの標識培地と共に1時間インキュベートし、ついでMEM−HEPESで2回洗浄した。該コレステロール多量含有細胞を、5% LPDS、2μg/mL Sandoz ACATインヒビターおよび0.3mM Cpt−cAMPを含有するDMEM内で18時間平衡化した。平衡化後、該細胞をMEM−HEPESで2回洗浄し、0.25mLの流出培地と共に4時間インキュベートした。該インキュベーション時間の終了時に、該流出培地を除去し、遠心分離(1200rpm、10分間)して浮遊細胞を除去し、Tecan GENiosプレートリーダー(励起485nm、発光535nm)を使用して、100μLの無細胞培地の蛍光強度を記録した。得られたシグナルを、非標識細胞からのシグナルを使用して、バックグラウンド除去した。細胞単層を氷冷MEM−HEPESで2回洗浄し、プレートシェーカー上、室温で少なくとも4時間振とうすることにより、0.25mLの1% コール酸で可溶化し、ついで100μLの細胞ライセートの蛍光強度を記録し、非標識細胞ライセートからのシグナルを使用して、バックグラウンド除去した。総蛍光値(培地+ライセート)により割り算された該培地の蛍光強度に基づいて、BODIPY−コレステロールの流出比率を計算した。ビヒクル(10% スクロース)処理血漿を含有する培地へのBODIPY−コレステロール流出は29±0.7%であり、図2に示されている全ての受容体のコレステロール流出値から差し引かれた。測定は四回重複して行った。
薬物動態:
TSRI制度動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)は、生きた動物を含む全ての実験プロトコルを承認した。BALB/cByJバックグラウンド上の雄マウス(20g)をTSRIにおけるRodent Breeding Colony of the Department of Animal Resourcesから入手し、固形飼料で維持した。環状ペプチド(c[wLwReQeR])1を、1% スクロースを含有するPBSに溶解し、注射前に0.22μmシリンジフィルターに通して滅菌濾過した。投与の12時間前からマウスを絶食させ、採血の完了後の8時間の時点まで絶食を継続した。3匹のマウスの群に16mg/kg用量の該環状ペプチドを腹腔内注射(0.3mL)により投与した。投与前(0分)および投与後30分から8時間までの種々の間隔で、後眼窩洞からヘパリン処理毛細管内に血液(30〜60μL)を採取した。5000rpm、4℃で10分間の遠心分離により、全血から直ちに血漿を単離した。該血漿を単離した直後に、20μLの血漿を20μLの5% 酢酸で酸性化してペプチド−タンパク質相互作用を破壊し、ついで40μLのアセトニトリルを加えた。30秒間ボルテックスした後、該混合物を13000rpm、4℃で10分間遠心分離した。得られた上清を、後記のとおり、LC−MS SIMを用いることにより分析した。
質量分析に連結された逆相HPLCを用いることにより、環状ペプチド濃度を定量した。単一四重極質量分析計(Hewlett Packard HP 1100 MSDシリーズ)を使用して、エレクトロスプレーイオン化質量分析測定を正イオン化モードで行った。1.5mL/分の流速ならびに溶媒A(99% H2O,0.1% ギ酸,0.01% TFA)および溶媒B(99% アセトニトリル,0.1% ギ酸,0.01% TFA)の二成分勾配を用いて、10または20μLのサンプルをC8逆相カラム(Zorbax 300−SB,4.6mm×150mm,5μm)を介して注入した。最適化フラグメンター(fragmentor)ならびにそれぞれ180Vおよび5kVのキャピラリー電圧で、正分子イオンのための選択されたイオンモニタリング(SIM)モードで質量検出を行った。環状ペプチドc[wLwReQeR](配列番号1)に関する選択されたモニタリング質量は592.8([M+2H]2+)であった。定量的較正のために、種々の濃度の該ペプチドが添加されたマウスEDTA−抗凝固処理血漿を使用して、標準曲線を確定した。0.98以上の相関係数で該データの直線フィッティングを用いることにより、検量線を確定した。検出限界は1μMであった。
環状ペプチド(c[wLwReQeR])1を、10% スクロースに溶解し、注射前に0.22μmシリンジフィルターに通して滅菌濾過した。投与の12時間前からマウスを絶食させ、採血の完了後の8時間の時点まで絶食を継続した。3匹のマウスの群に20mg/kg用量の該環状ペプチドを腹腔内注射(0.3mL)により投与した。投与前(0分)および投与後30分から8時間までの種々の間隔で、後眼窩洞からヘパリン処理毛細管内に血液(30〜60μL)を採取した。5000rpm、4℃で10分間の遠心分離により、全血から直ちに血漿を単離し、ついで10μLの血漿を90μLの50% スクロースと混合し、30秒間ボルテックスし、全時点が収集されるまで4℃で保存した(サンプルは0〜8時間保存した)。ついでサンプルを20μLの6×天然ローディングバッファー(125mM tris,pH6.8,0.02% ブロモフェノール,20% グリセロール)と混合した。6μLのこれらのサンプルを4〜20% ポリアクリルアミドゲル上にローディングした。Laemli緩衝系(25mMのトリス,192mM グリシン,pH8.3)を使用して、ゲルを80V(一定)、4℃で14時間泳動した。ついでLaemliバッファー(メタノール非含有)を使用して、ニトロセルロース膜(0.45μm,Bio−Rad)上にゲルを30V(一定)、4℃で2時間ブロットした。該膜をTBST(20mM tris,150mM NaCl,pH7.6,0.1% Tween−20)中の5% 脱脂粉乳(NFDM)で23℃で1時間ブロッキングし、ついでTBSTで1回、10分間洗浄した。次に該膜を、〜1:5,000希釈のウサギ抗マウスアポA−I抗体(Meridian Life Science)を一次抗体として含有するTBST中の1% NFDMと共に23℃で1時間インキュベートした。該膜をTBSTで十分に洗浄し(少なくとも6×10分)、〜1:50,000希釈のHRP結合抗ウサギIgG(Thermo)を二次抗体として含有する1% NFDMと共に23℃で1時間インキュベートした。該膜をTBSTで十分に洗浄し(少なくとも6×10分)、TBSで1回洗浄した。該膜をECL試薬(Thermo SuperSignal West Pico)と共に5分間インキュベートし、ついで写真フィルム(Kodak BioMax Light)を使用してイメージングした。
C57BL/6Jバックグラウンド上のLDL受容体−ヌル(LDLr−/−)マウスを最初はJackson Laboratories(Bar Harbor,ME)から購入し、社内で飼育した。該マウスを4週齢で離乳させ、10週齢になるまで標準固形飼料(Harlan Teklad 7019)を自由に摂取させ、ついでそれを、15.8%(wt/wt)脂肪、1.25%(wt/wt)コレステロールを含有しコラートを含有しない高脂肪ウエスタンダイエット(Western diet)(WD)(Harlan Teklad 94059)に切り換えた。WDの開始時に、180μM(200μg/mL)の高用量または18μM(20μg/mL)の低用量で試験環状ペプチドを飲料水に加え、該マウス(雌、投与群当たりn=8)にWDを10週間継続した。該凍結乾燥ペプチドは、1% スクロースを含有するPBS(pH7.4)に容易に溶解して、透明溶液を与えた。該飲料水溶液を新鮮な溶液と毎日交換した。8匹のマウスの対照群(雌、n=8)にはビヒクル(1% スクロース含有PBS)飲料水と共にWDを与えた。該マウスはマウス1匹当たり1日当たり約2.5mLの水を消費し、水または食餌消費における有意な群間相違は認められなかった。該インビボ有効性研究に関する給餌および処理スケジュールを図6に示す。
2週間の処理の後および回収の時点(10週)で該マウスから採血した。一晩の絶食(14〜16時間)の後、血液(200μL)を、2週の時点では後眼窩穿刺によりヘパリン処理毛細管内に集め、回収の時点(10週間)では心臓穿刺によりEDTA抗凝固被覆管内に集めた。血漿を、5000rpm、4℃で10分間の血液サンプルの遠心分離により直ちに全血から分離し、ついで−80℃で保存した。酵素比色法キット(Amplex(登録商標)レッドコレステロールアッセイキット番号A12216,Life Technologies)を該製造業者の説明に従い使用して、血漿総コレステロール(TC)を測定した。
該2週採血からのプール化血漿(合計240μL、それぞれから30μL、1群当たりn=8のマウス)を高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)分析に使用した。直列に接続された3つのスーパーデックス(Superdex)200 10/30カラム(GE Healthcare)を使用して、リポタンパク質を分離した。該血漿を11,000rpmで室温で10分間遠心分離して、粒子を除去した(FPLC注入のための上清を除去する前に浮遊物質を液体中に穏やかに混合した)。200μLの該プール化血漿を系に注入し、1mM EDTAおよび150mM NaClを含有する10mM tris−HClバッファー(pH7.4)で溶出し(流速0.5ml/分)、0.5mLの画分サイズを用いた。Amplex(登録商標)レッドコレステロールアッセイキット(No.12216,Life Technologies)を該製造業者の説明に従い使用して、FPLC画分中の総コレステロールを測定した。20μLの選択されたHDL画分(図6に示されているとおり)を4μLの6×天然ローディングバッファー(375mM tris,pH6.8,0.06% ブロモフェノール,60% グリセロール)と混合し、そのうちの20μLを非変性ゲル電気泳動に適用し、ついで、前記のとおり、マウスアポA−Iに対して免疫ブロットした。
アテローム性動脈硬化症病変の重症度を、Mullickら,J.Clin.Invest.115,3149−3156,2005に既に記載されているとおりに、大動脈において評価した。簡潔に説明すると、安楽死時に、動物をPBSで灌流し、ついで4% ホルムアルデヒド(PBS(pH7.2)中に希釈された、Polysciencesからの10% UltraPure EM Grade)で灌流した。正面(en face)分析のために、解剖顕微鏡を使用して、全マウス大動脈を近位上行大動脈から腸骨動脈の分岐部まで切開した。外膜脂肪を除去し、大動脈を縦方向に開き、黒色解剖ワックス上に平らにピン止めし、スダン(Sudan)IVで染色し、一定倍率で写真撮影した。写真をデジタル化し、Adobe PhotoshopバージョンCS4,Chromatica VおよびNIH Scion Imageソフトウェア(http://rsb.info.nih.gov/nih−image/Default.html)を使用して、全大動脈面積および病変面積を計算した。結果を、病変を含有する全大動脈面積の百分率として示した。
対照および処理群における食餌および水摂取は同等であった。体重は毎週測定した。絶食前にマウスを秤量した。肝臓および脾臓重量は処理の終了時に測定した。
回収の時点(10週)で、一晩の絶食の後、心臓穿刺によりEDTA抗凝固被覆管内に血液(〜0.5mL)を集め、5000rpm、4℃で10分間遠心分離した。血漿サンプルを−80℃で分析まで保存した。血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度を、比色動的アッセイ(Thermo Scientific)であるそれぞれインフィニティ(Infinity)ALT(GPT)およびAST(GOT)液体安定試薬
を使用して測定した。96ウェル平底マイクロプレートフォーマットにおけるサンプルの分析のための試薬体積(20μLの血漿+200μLの試薬、ウェル内の溶液の光路長0.69cm)を調節して、該製造業者の推奨に従いアッセイを行った。
本実施例は、本発明の環状ペプチドのコレステロール低下およびアテローム性動脈硬化症抑制活性に関する幾つかの追加的インビボ研究を記載する。
Claims (26)
- アテローム性動脈硬化症またはアテローム性動脈硬化症に関連した若しくはそれにより引き起こされる障害に罹患している又はその発生リスクを有する対象に、医薬組成物の治療的有効量を投与することを含む、アテローム性動脈硬化症またはアテローム性動脈硬化症に関連した若しくはそれにより引き起こされる障害の治療または予防方法であって、該医薬組成物が、ペプチドの配列の一部または全体に亘って交互に位置するD−およびL−残基である4〜約16個のアミノ酸残基またはその類似体の配列を有する環状ペプチドを含む、方法。
- 該対象が、高コレステロール血症、心血管障害、アテローム性動脈硬化血管疾患、脳血管疾患、動脈瘤、末梢血管疾患または間欠性跛行に罹患している又はその発生リスクを有する、請求項1記載の方法。
- 該医薬組成物を経口的、静脈内、皮下または腹腔内に該対象に投与する、請求項1記載の方法。
- 該環状ペプチドが、その配列全体に亘って交互に位置するD−およびL−α−アミノ酸残基を含む、請求項1記載の方法。
- 該環状ペプチド化合物がc[B−J−U1−X−U2−Z]の配列式を有し、式中、Bは、少なくとも2つの疎水性アミノ酸残基またはそれらの類似体を含むペプチドセグメントであり、Jは正荷電アミノ酸残基、極性非荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、U1およびU2の一方または両方は負荷電アミノ酸残基、極性非荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、Xは極性非荷電アミノ酸残基、His残基またはそれらの類似体を含み、ZはAsn、Gln、荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、
ここで、該環状ペプチドのアミノ酸残基または類似体は、該環状ペプチドの配列の全体に亘って交互に位置するD−およびL−残基である、請求項1記載の方法。 - Bが2、3、4、5、6または7個の疎水性アミノ酸残基またはそれらの類似体からなる、請求項5記載の方法。
- Bが3個の疎水性アミノ酸残基またはそれらの類似体からなる、請求項5記載の方法。
- BがDTrp−Leu−DTrp、DTyr−Leu−DTyr、DTrp−Trp−DTrp、DPhe−Leu−DTrp、Trp−DLeu−Trp、Tyr−DLeu−Tyr、Trp−DTrp−TrpまたはPhe−DLeu−Trpからなる、請求項7記載の方法。
- JがLys、Arg、Ser、His、Orn(オルニチン)、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸である、請求項5記載の方法。
- Jがナフチルアラニン(Nal)、ホモロイシン(Hml)または2−アミノ−オクタン酸(Aoc)である、請求項5記載の方法。
- U1およびU2が、それぞれ独立して、DAsp、DGluまたはDSer残基である、請求項5記載の方法。
- XがAsnまたはGlnである、請求項5記載の方法。
- Zが正荷電残基である、請求項5記載の方法。
- ZがLys、Arg、His、Orn(オルニチン)またはジアミノ酪酸である、請求項13記載の方法。
- BがDTrp−Leu−DTrpまたはDTyr−Leu−DTyrからなり、JがLys、ArgまたはSerであり、U1およびU2が、それぞれ独立して、DAsp、DGluまたはDSer残基であり、XがAsnまたはGlnであり、ZがLys、Arg、Orn(オルニチン)またはジアミノ酪酸である、請求項5記載の方法。
- 該環状ペプチドが、c[wLwReQeR](配列番号1)、c[wLwKdQeK](配列番号2)、c[wLwRdQeK](配列番号3)、c[wLwSeQsO](配列番号4)、c[fWwYqHhQ](配列番号5)、c[LwLwLrKe](配列番号6)、c[wLwZeQeK](配列番号7)、c[wLwKdNdK](配列番号8)、c[wLwRdNdK](配列番号9)、c[wLwKdQdK](配列番号10)、c[wLwKeNeK](配列番号11)、c[wLwHeNeK](配列番号12)、c[wLwOeQeO](配列番号13)、c[wLMewSeQMesO](配列番号14)、およびc[wLwOeNeO](配列番号19)、c[w(Aoc)wSeQsO](配列番号22)、c[wLwReNeO](配列番号23)、c[wLwHeQeH](配列番号24)、c[yWyKsHaE](配列番号25)、c[wLlwKdDk](配列番号26)、c[w(Nal)wReQeR](配列番号28)、c[w(Hml)wReQeR](配列番号29)およびc[wLwSeQhK](配列番号40)からなる群から選択される、請求項5記載の方法。
- 該環状ペプチドがc[wLwReQeR](配列番号1)、c[wLwSeQsO](配列番号4)またはc[wLwSeQhK](配列番号40)の配列を含む、請求項5記載の方法。
- 該環状ペプチド化合物がc[wLw−J−u1−X−u2−Z]の配列式を有し、約8個の交互に位置するD−およびL−型のアミノ酸残基またはアミノ酸類似体を含み、ここで、wLwは、DTrp−Leu−DTrpからなるトリペプチドセグメントを示し、Jはセリンまたは正荷電アミノ酸残基または類似体であり、u1およびu2は、それぞれ独立して、DAsp、DGluまたはDSer残基であり、XはAsn残基またはGln残基であり、Zは正荷電アミノ酸残基または類似体である、請求項1記載の方法。
- JがLys、Arg、His、Ser、Orn(オルニチン)、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸である、請求項18記載の方法。。
- ZがLys、ArgまたはOrn(オルニチン)である、請求項18記載の方法。
- 該環状ペプチドが、c[wLwReQeR](配列番号1)、c[wLwKdQeK](配列番号2)、c[wLwRdQeK](配列番号3)、c[wLwSeQsO](配列番号4)、c[wLwZeQeK](配列番号7)、c[wLwKdNdK](配列番号8)、c[wLwRdNdK](配列番号9)、c[wLwKdQdK](配列番号10)、c[wLwKeNeK](配列番号11)、c[wLwHeNeK](配列番号12)、c[wLwOeQeO](配列番号13)およびc[wLwOeNeO](配列番号19)からなる群から選択される、請求項18記載の方法。
- 該環状ペプチドが、c[fWwYqHhQ](配列番号5)、c[(Me)wLwR(Me)eQeR](配列番号46)、c[WIWwkhkh](配列番号47)、c[wFyYhOrS](配列番号48)、c[(PA)wLlHsKk](配列番号49)、c[WIWrEqEr](配列番号50)、c[fWwYtRhS(配列番号51)]、c[wFfYrHhS](配列番号52)およびc[wLwKhShK](配列番号53)からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
- ペプチドの配列の一部または全体に亘って交互に位置するD−およびL−残基であるアミノ酸残基またはそれらの類似体の配列を有する環状ペプチドを含む、アテローム性動脈硬化症またはアテローム性動脈硬化症に関連した若しくはそれにより引き起こされる障害を対象において治療または予防するための組合せ医薬又はキット。
- 該環状ペプチド化合物がc[B−J−U1−X−U2−Z]の配列式を有し、式中、Bは、少なくとも2つの疎水性アミノ酸残基またはそれらの類似体を含むペプチドセグメントであり、Jは正荷電アミノ酸残基、極性非荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、U1およびU2の一方または両方は負荷電アミノ酸残基、極性非荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、Xは極性非荷電アミノ酸残基、His残基またはそれらの類似体を含み、ZはAsn、Gln、荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、ここで、該環状ペプチドのアミノ酸残基または類似体は、該環状ペプチドの配列の全体に亘って交互に位置するD−およびL−残基である、請求項23記載の組合せ医薬又はキット。
- アテローム性動脈硬化症またはアテローム性動脈硬化症に関連した若しくはそれにより引き起こされる障害を対象において治療または予防するのに有効な量での、ペプチドの配列の一部または全体に亘って交互に位置するD−およびL−残基である4〜約16個のアミノ酸残基またはそれらの類似体の配列を有する環状ペプチドの使用。
- 該環状ペプチド化合物がc[B−J−U1−X−U2−Z]の配列式を有し、式中、Bは、少なくとも2つの疎水性アミノ酸残基またはそれらの類似体を含むペプチドセグメントであり、Jは正荷電アミノ酸残基、極性非荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、U1およびU2の一方または両方は負荷電アミノ酸残基、極性非荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、Xは極性非荷電アミノ酸残基、His残基またはそれらの類似体を含み、ZはAsn、Gln、荷電アミノ酸残基またはそれらの類似体を含み、ここで、該環状ペプチドのアミノ酸残基または類似体は、該環状ペプチドの配列の全体に亘って交互に位置するD−およびL−残基である、請求項25記載の使用。
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