JP2016515129A - コンフォメーション特異的抗体の発生および使用のための方法および組成物 - Google Patents

コンフォメーション特異的抗体の発生および使用のための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、コンフォメーション特異的抗体またはそのフラグメントの発生および使用のための方法および組成物を特徴とする。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/792,588号明細書(その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の出願日に基づく特典を主張する。
連邦政府委託研究に関する陳述
本発明は、助成金番号:R01AG039405、R01CA167677、およびR01CA122434に基づいて政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に関する一定の権利を有する。
一般的には、本発明は、コンフォメーション特異的抗体またはそのフラグメントの発生および使用のための方法および組成物に関する。
タンパク質のリン酸化は、タンパク質のコンフォメーションの変化を誘導する主要な細胞シグナリング機序である。たとえば、プロリン残基の直前にある特異的なセリン残基またはトレオニン残基(Ser/Thr−Proモチーフ)のリン酸化は、細胞内の中心的なレギュレート機序である。プロリン残基の独自の立体化学は、Ser/Thr−Proモチーフのペプチジルプロリル結合が2つの異なるコンフォメーション状態(すなわち、cisコンフォメーションまたはtransコンフォメーション)をとりうることを意味する。ペプチジルプロリルcis/transイソメラーゼ(PPIアーゼ)は、Ser/Thr−Proモチーフのcis/trans異性化を特異的に触媒することにより、これらのタンパク質の構造を2つの識別可能なコンフォメーション間でレギュレートする。
Pin1は、特定のリン酸化Ser/Thr−Pro(pSer/Thr−Pro)モチーフのcis/trans異性化を特異的に触媒するPPIアーゼである。リン酸化特異的PPIアーゼとしてPin1が同定されたことにより、新しいシグナリング機序が理解されることとなった。この機序によれば、Pin1は、リン酸化後のその基質のコンフォメーションを触媒的にレギュレートして、タンパク質の機能をさらに制御する。さらに、Pin1は、複数の機序により厳重にレギュレートされ、Pin1のデレギュレーションは、いくつかのヒト疾患で中心的な役割を果たす。
アルツハイマー病(AD)の有病率は、2050年までに世界的に4倍になるおそれがあるが、現在のところ、有効な治療は存在しない。脳内におけるADの特徴的な病変は、Aβペプチドで構成された老人斑およびリン酸化tau(p−tau)の神経原線維の縺れである。tau関連病態(タウオパチー)は、ADにおいてニューロンおよび記憶の進行性喪失と良好に相関し、Aβ病態を伴わない多くの他のタウオパチーの決定的な特徴でもある。Aβペプチドに対する能動免疫および受動免疫は、臨床試験に達したが、p−tauに対する免疫療法は、かなり遅れをとってきた。縺れのあるp−tauエピトープに対する能動免疫または受動免疫が、マウスモデルにおいてtau凝集体の低減および記憶欠損の改善をもたらし、タウオパチーが、ニューロンからニューロンに疾患を広げる可能性があるという最近の知見から、p−tau免疫療法は、ADを治療する有望な新しい方法であることが示唆される。しかしながら、縺れが形成されるかなり前にニューロンの機能不全が起こるので、主要な課題は、ADにおいてタウオパチーおよび記憶喪失をもたらす初期病原性イベントのみを標的とする免疫療法を開発することである。
ADのタウオパチーのごく初期のイベントは、とくにSer/Thr−Proモチーフ上のtau過剰リン酸化であり、これは、微小管破壊および神経毒性を引き起こす。tauのリン酸化Thr231−Proモチーフ(pT231−tau)は、2つの識別可能なcisおよびtransコンフォメーションで存在し、プロリルイソメラーゼPin1は、それらの変換を加速してタウオパチーを阻害することが見いだされてきた。Pin1ヌルマウスは、年齢依存性タウオパチーを呈したが、Pin1過剰発現は、ADのマウスモデルにおいてタウオパチーを阻害する。ヒトMCIおよびADニューロンにおいて、Pin1は、複数の機序により阻害されるが、そのダウンレギュレーションを防止するPin1 SNPは、遅延AD発症に関連する。19p13.2に位置するヒトPin1は、遅発ADに関連すること、pT231−tauは、縺れる前のニューロン中の連続p−tauエピトープの開始位置に存在すること、しかもCSF pT231−tauは、記憶喪失と相関し、MCIからADへの移行を設定し、かつADと前頭側頭型認知症(FTD)とを識別する、初期バイオマーカーであることもまた、見いだされてきた。したがって、pT231−tauは、ADにおいてごく初期の疾患開始イベントである。
戦争から戻った退役軍人は、脳震盪を複数回受けたアスリートですでに報告された神経変性疾患と同一の明瞭な外傷性脳傷害(TBI)の特徴を経験する。これらの人々のTBIは、既知の治療が存在しない重篤な神経変性障害である慢性外傷性脳症(CTE)の発生の引き金となりうると思われる。CTEの神経病理学的な特徴は、アルツハイマー病(AD)および他のタウオパチーに見られる特徴的な病変と同様に、神経原線維の縺れ(タウオパチー)として過剰リン酸化tau(p−tau)が広範にわたり異常に蓄積することである。したがって、p−tauに対する免疫療法は、タウオパチーを治療するための新しい選択肢であることが明らかにされつつある。より特定的には、タウオパチーをもたらす初期の縺れる前の病原性tau修飾を標的として、p−tauのcisまたはtransコンフォメーションに特異的に結合するコンフォメーション特異的抗体の必要性が、当技術分野に存在する。
本発明は、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体を特徴とし、結合部分は、配列番号1〜3を有する1つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号4〜6を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。一実施形態では、単離された結合部分は、配列番号1〜3を有する2つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号4〜6を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。第2の実施形態では、単離された結合部分は、配列番号1〜3を有する重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号4〜6を有する軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。第3の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体は、配列番号22の重鎖タンパク質配列と、配列番号23の軽鎖タンパク質配列と、を含む。
本発明はまた、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体を特徴とし、結合部分は、配列番号7〜9を有する1つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号10〜12を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。一実施形態では、単離された結合部分は、配列番号7〜9を有する2つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号10〜12を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。第2の実施形態では、単離された結合部分は、配列番号7〜9を有する重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号10〜12を有する軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。第3の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体は、配列番号24の重鎖タンパク質配列と、配列番号25の軽鎖タンパク質配列と、を含む。
本発明の一態様では、以上に記載の単離された結合部分は、リン酸化トレオニン231−タウタンパク質(pT231−tau)のcisコンフォメーションに特異的に結合する。本発明の他の態様では、以上に記載の単離されたモノクローナル抗体は、一本鎖抗体またはその抗体フラグメントである。さらに他の態様では、単離されたモノクローナル抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である。本発明のすべての態様において、単離された結合部分は、薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物の形態に製剤化される。
他の態様では、本発明はまた、タウオパチー、外傷性脳傷害(TBI)、または脳卒中を治療する方法を特徴とし、本方法は、必要とされる被験体に、タウオパチー、TBI、または脳卒中を治療するのに十分な量で、以上に記載の結合部分を投与することを含み、モノクローナル抗体は、pT231−tauのcisコンフォメーションに特異的に結合する。
本発明はさらに、本明細書に記載の結合部分を用いて治療された被験体において治療反応をモニターする方法を特徴とし、本方法は、a.)被験体から得られたサンプルでcis pT231−tauのレベルまたはcis:trans pT231−tauの比を決定することと、任意選択で、b.)CSF t−tau、pT181−tau、Aβ42、またはApoE4のレベルを決定することであって、cis pT231−tauのレベルもしくはcis:trans pT231−tauの比の減少が結合部分に有効な治療反応をもたらす、および/またはCSF t−tau、pT181−tau、Aβ42、もしくはApoE4のレベルが減少する、決定することと、を含む。
本発明はまた、タウオパチーを有するまたはその素因を有すると被験体を診断する方法を特徴とし、本方法は、a.)被験体から得られたサンプルでcis pT231−tauのレベルまたはcis:trans pT231−tauの比を決定することと、b.)サンプル中のcis pT231−tauのレベルまたはcis:trans pT231−tauの比を正常な参照サンプルと比較することであって、正常な参照サンプルと比較して、cis pT231−tauのレベルの上昇またはcis:trans pT231−tauの比の増加が、タウオパチーを有するまたはその素因を有すると被験体を診断することにつながって、本発明に係る結合部分が被験体に投与され、結合部分が、タウオパチーを治療するのに十分な量でcis pT231−tauに特異的に結合する、比較することと、を含む。
本発明のすべての態様において、タウオパチーは、進行性核上性麻痺、慢性外傷性脳症(CTE)、前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性、リティコ・ボディグ病、縺れ優位認知症、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、ピック病、皮質基底核変性症、およびアルツハイマー病からなる群から選択される。特定の態様では、被験体は、タウオパチーの素因を有するかまたはタウオパチーの初期段階にあり、タウオパチーの素因または初期段階は、被験体から得られたサンプルでcis pT231−tauのレベルの上昇またはcis:trans pT231−tauの比の増加により決定される。他の態様では、タウオパチーの素因または初期段階はまた、CSF t−tau、pT181−tau、Aβ42、またはApoE4のレベルにより決定される。さらに他の態様では、被験体は、繰り返された脳外傷の病歴により素因が与えられる。本発明のすべての態様において、サンプルは、尿、血液、血清、血漿、唾液、羊水、および脳脊髄液(CSF)からなる群から選択される。
本発明はさらに、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体を特徴とし、結合部分は、配列番号13〜15を有する1つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号16〜18を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。一実施形態では、単離された結合部分は、配列番号13〜15を有する2つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号16〜18を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。第2の実施形態では、単離された結合部分は、配列番号13〜15を有する重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号16〜18を有する軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む。第3の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体は、配列番号26の重鎖タンパク質配列と、配列番号27の軽鎖タンパク質配列と、を含む。
本発明はまた、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体を特徴とし、結合部分は、配列番号19〜21を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体を含む。一実施形態では、単離された結合部分は、配列番号19〜21を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体を含む。第2の実施形態では、単離された結合部分は、配列番号19〜21を有する軽鎖可変領域またはその変異体を含む。第3の実施形態では、単離されたモノクローナル抗体は、配列番号28の軽鎖タンパク質配列を含む。
本発明の特定の態様では、以上に記載の単離された結合部分は、pT231−tauのtransコンフォメーションに特異的に結合する。他の態様では、単離されたモノクローナル抗体は、一本鎖抗体またはその抗体フラグメントである。さらに他の態様では、単離されたモノクローナル抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である。他の態様では、以上に記載の結合部分は、薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物として製剤化される。
最後に、本発明はまた、pT231−tauのcisコンフォメーションに特異的に結合する本明細書に記載の結合部分と、pT231−tauのtransコンフォメーションに特異的に結合する本明細書に記載の結合部分と、タウオパチーを有するまたはその素因を有すると被験体を診断するための結合部分の使用に関する説明書と、を含む、タウオパチーを有するまたはその素因を有すると被験体を診断のためのキットを特徴とする。
「アジュバント」とは、免疫系の刺激を引き起こす1種以上の物質を意味する。これとの関連では、アジュバントは、1種以上のワクチン抗原または抗体に対する免疫反応を増強するために使用される。アジュバントは、ワクチンの投与前に、ワクチンとの組合せで、またはワクチンの投与後に、被験体に投与されうる。アジュバントとして使用される化学化合物は例としては、アルミニウム化合物、油、ブロックポリマー、免疫刺激性複合体、ビタミンおよびミネラル(たとえば、ビタミンE、ビタミンA、セレン、およびビタミンB12)、キルA(サポニン)、細菌および菌類の細胞壁成分(たとえば、リポ多糖、リポタンパク質、および糖タンパク質)、ホルモン、サイトカイン、ならびに共刺激因子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「十分な量」とは、障害(たとえば、タウオパチー、外傷性脳傷害(TBI)、脳卒中、または他の神経障害)に罹患している被験体に投与した時、障害に関連する症状の定性的または定量的な低減を引き起こすのに十分な量を意味する。
「抗体」とは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組換え抗体、多重特異的抗体、および抗体フラグメントを意味する。抗体は、たとえば、コンフォメーション特異的抗体(たとえば、Xaa−Proモチーフ(ここで、Xaaは、アミノ酸である)のcisまたはtransコンフォメーションに結合する抗体)でありうる。抗体は、抗原に特異的に結合する。抗体はまた、非免疫グロブリン結合ポリペプチドでありうる。
「抗原」とは、抗体が選択的に結合可能な分子を意味する。標的抗原は、タンパク質(たとえば、抗原ペプチド)、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然に存在するもしくは合成の化合物でありうる。標的抗原は、ポリペプチド(たとえば、Xaa−Proモチーフ(たとえば、リン酸化もしくは非リン酸化Ser/Thr−Proモチーフ)を含有するポリペプチド)またはペプチド模倣体(たとえば、Xaa−ホモプロリンモチーフ(たとえば、リン酸化もしくは非リン酸化Ser/Thr−ホモプロリンモチーフ)を含有するポリペプチド)でありうる。抗原はまた、動物において免疫反応を発生するために動物に投与されうる。
「結合親和性」とは、分子(たとえば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(たとえば、抗原または抗原ペプチド)と間の全非共有結合相互作用の強度を意味する。とくに指定がないかぎり、本明細書で用いられる場合、「結合親和性」とは、結合対(たとえば、抗体と抗原)のメンバー間の特異的相互作用を反映する内因性結合親和性を意味する。分子XとそのパートナーYとの親和性は、一般的には、解離定数(Kd)により表現可能である。親和性は、本明細書に記載のものを含めて、当技術分野で公知の標準的方法により測定可能である。低親和性複合体は、一般的には抗原から容易に解離する傾向のある抗体を含有し、高親和性複合体は、一般的にはより長い持続時間にわたり抗原への結合を維持す傾向のある抗体を含有する。
「結合部分」とは、抗体(たとえば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体)、ヒト抗体、抗体フラグメント、レセプター、リガンド、非免疫グロブリン結合ポリペプチド、あるいは標的分子(たとえば、ポリペプチド、タンパク質(たとえば、cis pT231−tauもしくはtrans pT231−tau)、もしくはそれらを含むコンジュゲート)にまたは標的分子(たとえば、細胞表面抗原、たとえば、レセプターもしくはリガンド)を担持する細胞もしくは組織に特異的に結合する作用剤の小分子部分を意味する。
「生物学的サンプル」または「サンプル」とは、固体および流体のサンプルを意味する。生物学的サンプルとしては、細胞、細胞のタンパク質もしくは膜抽出物、血液、またはたとえば腹水もしくは脳液(たとえば脳脊髄液(CSF))をはじめとする生物学的流体が挙げられる。固体の生物学的サンプルの例としては、糞便、直腸、中枢神経系、骨、乳房組織、腎臓組織、子宮頸部、子宮内膜、頭部または頸部、胆嚢、耳下腺組織、前立腺、脳、下垂体、腎臓組織、筋肉、食道、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺組織、心臓組織、肺組織、膀胱、脂肪組織、リンパ節組織、子宮、卵巣組織、副腎組織、精巣組織、扁桃、および胸腺から採取されたサンプルが挙げられる。生物学的流体サンプルの例としては、血液、血清、CSF、精液、前立腺液、精漿、尿、唾液、痰、粘液、骨髄、リンパ液、および涙から採取されたサンプルが挙げられる。サンプルは、たとえば、静脈穿刺および外科生検を含めて、標準的方法により取得されうる。特定の実施形態では、生物学的サンプルは、針生検により取得された、乳房、肺、結腸、または前立腺の組織サンプルである。
「コンフォメーション特異的抗体」とは、その相補的抗原の特定のコンフォメーション(たとえば、コンフォメーション異性体またはコンフォーマー)を認識してそれに特異的に結合する抗体またはそのフラグメントである。たとえば、本明細書に記載されるように、コンフォメーション特異的抗体は、Xaa−Proモチーフのcisコンフォメーション(たとえば、cis pT231−tau)には特異的に結合しうるが、Xaa−Proモチーフのtransコンフォメーション(たとえば、trans pT231−tau)には特異的に結合しないであろう。ここで、Xaaは、任意のアミノ酸残基(たとえば、セリンまたはトレオニン)である。この場合、コンフォメーション特異的抗体は、たとえば、Xaa−Proモチーフのtransコンフォメーションよりもcisコンフォメーションに対して少なくとも10〜100倍の親和性を有するであろう。反対に、コンフォメーション特異的抗体は、Xaa−Proモチーフのtransコンフォメーションには特異的に結合しうるが、Xaa−Proモチーフのcisコンフォメーションには特異的に結合しないであろう。ここで、Xaaは、任意のアミノ酸残基(たとえば、セリンまたはトレオニン)である。特定の実施形態では、Ser/Thr−Proモチーフは、リン酸化されうる(すなわち、pSer/Thr−Pro)。
「障害」とは、本明細書に記載の本発明に係る方法に従って治療、阻害、診断、またはスクリーニングが可能な病態を意味する。
「フラグメント」とは、核酸またはポリペプチドの全長の少なくとも、たとえば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上を含有する、核酸またはポリペプチド(たとえば抗体)の一部を意味する。核酸フラグメントは、たとえば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、2000、2500、3000、4000、4500、もしくは5000ヌクレオチド、またはそれ以上、核酸の全長までのヌクレオチドを含有しうる。ポリペプチドフラグメントは、たとえば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、もしくは500アミノ酸、またはそれ以上、ポリペプチドの全長までのアミノ酸を含有しうる。本発明に係る治療方法に有用なフラグメントとしては、たとえば、生物学的活性を維持するコンフォメーション特異的抗体のフラグメント(たとえば、特異的コンフォメーション状態に結合するフラグメント)が挙げられる。フラグメントは、本明細書に記載されるようにおよび当技術分野で公知のように修飾可能である。
「ヒト化抗体」とは、所定の抗原に結合可能な免疫グロブリンアミノ酸配列変異体またはそのフラグメントを意味する。抗体は、軽鎖とさらには重鎖の少なくとも可変ドメインとの両方を含有しうる。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、またはCH4の領域を含みうる。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域(FR)と、非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)と、を含む。
一般的には、ヒト化抗体は、非ヒト源から導入された1個以上のアミノ酸残基を有する。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含みうる(たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、またはFv)。この場合、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつFR領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含みうる。「相補性決定領域(CDR)」とは、免疫グロブリンの各軽鎖内および各重鎖内の可変領域の3つの超可変配列を意味する。「フレームワーク領域」とは、免疫グロブリン内軽鎖および重鎖の3つの超可変配列の両側に位置するアミノ酸の配列を意味する。たとえば、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323−329(1988)、およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)、ならびに米国特許第4,816,567号明細書および同第5,530,101号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を意味する(すなわち、集団を構成する個別の抗体は、副次量で存在する可能性のある天然に存在する突然変異以外は同一である)。モノクローナル抗体は、きわめて特異的であり、単一の抗原部位を対象とする。さらに、典型的には異なる決定基(たとえばエピトープ)を対象とする異なる抗体を含む従来の(たとえばポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象とする。「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均一な集団から得られた抗体の特性を意味し、いかなる特定の方法による抗体の産生も必要とみなすべきではない。たとえば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(たとえば、Nature 256:495,1975を参照されたい)により最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されうるか、または組換えDNA法(たとえば、米国特許第4,816,567号明細書を参照されたい)により作製されうる。たとえば、モノクローナル抗体はまた、Clacksonら(Nature 352:624−628,1991)およびMarksら(J.Mol.Biol.222:581−597,1991)に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されうる。
「神経障害」とは、発生異常、障害、傷害、または毒素から生じる神経系の構造または機能の擾乱を意味する。例示的な神経障害としては、アルツハイマー病(AD)、軽度認識障害(MCI)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、皮質基底核変性症、拳闘家認知症、ダウン症候群、前頭側頭型認知症、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン・ピック病、ピック病、プリオン病、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、痙攣性疾患(たとえば、癲癇)、血管性認知症、加齢性認知症、頭部外傷、脳卒中、神経繊維腫症、レビー小体病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、末梢神経症、および黄斑変性が挙げられる。
「薬学的に許容可能な担体」とは、治療される被験体に生理学的に許容可能であると同時に、一緒に投与される組成物(たとえば、コンフォメーション特異的抗体)の治療性を維持する担体を意味する。例示的な薬学的に許容可能な担体物質の1つは、生理食塩水である。他の生理学的に許容可能な担体およびそれらの製剤は、当業者に公知であり、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(20th edition,ed.A.Gennaro,2000,Lippincott,Williams & Wilkins,Philadelphia,PA)に記載されている。
「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ポリペプチドフラグメント」、または「ペプチド」とは、翻訳後修飾(たとえば、グリコシル化またはリン酸化)があるか、天然に存在するポリペプチドもしくはペプチドの全部もしくは一部を構成するか、または天然に存在しないポリペプチドもしくはペプチドを構成するか、にかかわらず、3個以上のアミノ酸残基の任意の鎖を意味する。ポリペプチドまたはペプチドは、物理的、機械的、または化学的な方法を利用して、細胞成分からポリペプチドを取り出した場合、「単離された」または「実質的に純粋」と言われる。「単離されたポリペプチド」(たとえば、単離された抗体)、「実質的に純粋なポリペプチド」、または「実質的に純粋な単離されたポリペプチド」は、典型的には、少なくとも60重量%が、天然で会合している、タンパク質および天然に存在する有機分子でない場合、細胞成分から取り出されて実質的に純粋であるとみなされる。ポリペプチドは、重量基準で、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または99%の純度でありうる。実質的に純粋なポリペプチド(たとえば、実質的に純粋な抗体またはそのフラグメント)は、標準的技術により、たとえば、天然源(たとえば、細胞系または生物学的流体)からの抽出により、ポリペプチドをコードする組換え核酸の発現により、またはポリペプチドの化学合成により、取得されうる。純度は、任意の適切な方法により、たとえば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析により、測定可能である。他の選択肢として、ポリペプチドは、ヒトが介入することにより改変された場合、天然の部位ではない位置に配置された場合、または1種以上の細胞内に導入された場合、単離されたとみなされる。
本発明に係るペプチドおよびポリペプチドは、以上に定義されたように、すべての「模倣体」および「ペプチド模倣体」の形態を含む。「模倣体」および「ペプチド模倣体」という用語は、本発明に係るペプチド(たとえば抗原ペプチド)またはポリペプチドと実質的に同一の構造特性および/または機能特性を有する合成化学化合物を意味する。模倣体は、全体がアミノ酸の合成非天然アナログで構成されうるか、または天然アミノ酸とアミノ酸の非天然アナログとのキメラ分子でありうる。模倣体はまた、置換により模倣体の構造や活性が実質的に改変されないかぎり、任意の量の保存的置換を取り込みうる。
「減少」とは、20%以上、50%以上、または75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれ以上の全低減を引き起こす能力を意味する。治療用途では、「減少」とは、障害(たとえば、タウオパチー、TBI、または脳卒中)に関連するポリペプチドまたはタンパク質のレベルの低減を意味しうる。診断用途またはモニタリング用途では、「減少」とは、診断アッセイまたはモニタリングアッセイにより検出されたタンパク質または核酸のレベルの減少を意味しうる。
「上昇または増加」とは、正常サンプルまたは参照サンプルの対照と比較して、遺伝子発現またはタンパク質発現の増加を意味する(たとえば、対照または正常参照サンプルと比較して、少なくとも2倍、たとえば、約2倍〜約150倍、たとえば、5倍〜150倍、5倍〜100倍、10倍〜150倍、10倍〜100倍、50倍〜150倍、50倍〜100倍、75倍〜150倍、または75倍〜100倍に増加)。遺伝子発現またはタンパク質発現の増加または減少は、当技術分野で公知のまたは本明細書に記載の任意の有用な方法を用いて決定可能である(たとえば、PCR、ゲル電気泳動、ELISAにより決定される)。
「参照」とは、比較目的に使用される任意のサンプル、標準、またはレベルを意味する。「正常参照サンプル」は、障害(たとえば、タウオパチー、外傷性脳傷害(TBI)、脳卒中、または他の神経障害)の発生前に同一の被験体から採取された先行サンプル、障害を有してない被験体、障害の治療を受けて好結果が得られた被験体からのサンプル、または既知の正常濃度の精製参照ポリペプチドのサンプルでありうる。「参照の標準またはレベル」とは、参照サンプルから得られた値または数を意味する。正常参照の標準またはレベルは、次の基準:年齢、体重、疾患の病期、および全身の健康状態の少なくとも1つが被験体のサンプルに一致した正常被験体から得られた値または数でありうる。一例では、たとえば、障害の指標となるポリペプチドまたは障害の指標となるポリペプチドのコンフォメーションの正常参照レベルは、血清サンプル中5ng/ml未満、血清サンプル中4ng/ml未満、3ng/ml未満、2ng/ml未満、または1ng/ml未満である。「陽性参照」のサンプル、標準、または値は、次の基準:年齢、体重、疾患の病期、および全身の健康状態の少なくともの1つが被験体のサンプルに一致した、障害(たとえば、タウオパチー、TBI、脳卒中、または他の神経障害)を有することが知られている被験体から得られたサンプル、標準、値、または数である。たとえば、障害の指標となるポリペプチドなどの陽性参照値は、5ng/ml血清超、10ng/ml血清超、20ng/ml超、30ng/ml超、40ng/ml超、または50ng/ml血清超である。
「特異的に結合する」とは、もう1つの分子(たとえば抗原)を認識しそれに結合するが、そのほかの分子を実質的に認識せずそれに結合しない分子(たとえば抗体)を意味する。一例では、pT231−tauのcisコンフォメーションに特異的に結合する抗体は、pT231−tauのtransコンフォメーションには特異的に結合しない。特定の分子(たとえば、ポリペプチド、ポリペプチド上のエピトープ、またはポリペプチドのコンフォメーション)「への特異的結合」、「に特異的に結合する」、または「に特異的な」という用語は、本明細書で用いられる場合、たとえば、結合の対象となる分子に対して少なくとも約10−4M、10−5M、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、またはそれ以上のKを有する分子により呈示されうる。
「特異的に結合する」という用語はまた、分子(たとえば抗体)が、特定のポリペプチド(たとえば、Xaa−Proモチーフを含有するポリペプチド(ここで、Xaaは、任意のアミノ酸残基(たとえば、セリンまたはトレオニン)である))、特定のポリペプチド上のエピトープ、または特定のポリペプチドのコンフォメーション(たとえば、Xaa−Proモチーフのcisコンフォメーション、たとえば、cis pT231−tau)に結合するが、いかなる他のポリペプチド、ポリペプチドエピトープ、またはポリペプチドコンフォメーション(たとえば、Xaa−Proモチーフのtransコンフォメーション、たとえば、trans pT231−tau)にも実質的に結合しない、結合をも意味する。たとえば、コンフォメーション特異的抗体は、たとえば、Ser/Thr−Proモチーフの一方のコンフォメーション(たとえば、cisコンフォメーション)に対する親和性が、他方のコンフォメーション(たとえば、transコンフォメーション)に対する親和性の、たとえば、少なくとも10〜100倍の親和性(たとえば、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、10倍、または1010倍の親和性)を有しうる。
「被験体」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、たとえば、ウシ科動物、ウマ科動物、イヌ科動物、ヒツジ科動物、またはネコ科動物を含む哺乳動物を意味するが、これらに限定されるものではない。
「治療する」とは、治療目的で医薬組成物を投与することまたは被験体の病態を改善するためにすでに障害に罹患している被験体に治療を施すことを意味する。「タウオパチー、TBI、または脳卒中を治療する」とは、タウオパチー、TBI、または脳卒中に関連する症状が、たとえば、緩和されるか、低減されるか、治癒されるか、または寛解状態になることを意味する。
「変異体CDR」とは、CDRが単一アミノ酸位置で変化されうるか(たとえば、1、2、3、4、5個、もしくはそれ以上のアミノ酸置換)または重鎖および軽鎖の異なるCDRで組み合わされうる(たとえば、重鎖のCDR1および3と軽鎖のCDR1および2との組合せ)ことを意味する。そのような変異体は、本明細書に記載の置換(例示的な置換または好ましい置換のいずれか)を有しうる。変異体CDRは、好ましくは、本明細書に記載の提示された抗体間で保存された残基を保持すると同時に、抗体間で変化することが示された残基に変化を有するであろう。変異体CDRを含有する結合部分は、本明細書に記載のp−Tauエピトープのcis(またはtrans)コンフォメーションに特異的に結合する能力を維持するであろう。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
in vitro、細胞モデル、ex vivo、およびマウスモデルにおいて、Pin1を操作してADに関連するSNPを分析することにより示されるように、pT231−tauのPin1触媒cis→trans異性化が、アルツハイマー病(AD)においてタウオパチーを防ぐことを示すチャートである。 cisおよびtrans特異的抗体の発生により、transではなくcis pT231−tauが、正常tau機能を喪失させて、毒性機能を取得すること、および軽度認識障害(MCI)およびADにおいてタウオパチーおよび記憶喪失をもたらす初期病原性コンフォメーションであることが明らかにされることを示すチャートである。Pin1は、非病理学的transに変換することにより、cis pT231−tauの蓄積を防止する。 cisおよびtrans pT231−tauマウスモノクローナル抗体(mAb)の発生に関するデータを示している。cis(図3A、3B)およびtrans(図3C)pT231−tauマウスmAbの2つの各ハイブリドーマクローンは、マウスを免疫する抗原としてpT231−Pip tauペプチドを用いて取得された。図3Dは、Pin1分解を誘導する小分子を用いて確認された、免疫ブロット上でpT231−tauを認識するcisおよびtrans mAbの能力を示している(Cpd1は、Cpd1Eよりも強力であり、不活性Cpd1Aアナログが対照として使用されている)。図3Eは、アイソタイプ決定ELISAキットを用いて決定されるmAbの免疫グロブリンアイソタイプを示している。 ヒトADおよびCTEの進行時、とくに神経炎で優位なのはtransではなくcis p−tauであることを示す免疫染色結果である。異なるIgGサブタイプを有するcisおよびtrans mAbを用いて、同一のヒト脳セクションを二重免疫染色した。trans p−tauは、正常対照でさえも非常に限られた数のニューロンの細胞体に局在化されたが(BおよびC)、cis p−tauは、ADおよびCTEの進行時、初期に現れて、蓄積され、神経炎に局在化された(パネルB、C、E、F、H、およびI)。 cisおよびtrans mAbが、予想されたニューロン区画に局在化し、cis mAbが、in vitroおよびex vivoでpT231依存的にtauレベルを低減したことを示す結果である。図5Aおよび5Bでは、SY5Y細胞をtauおよびp25/Ckd5でトランスフェクトし、続いて、mAbを培地に添加し、その後、抗マウス抗体による染色に付した(円を囲む明るいスミア)。cis mAbは、神経炎に達することが示され(図5A)、trans mAbは、細胞体に達することが示された(図5B)。図5Cは、p25/Cdk5をSY5Y細胞に共トランスフェクトした時のみ、cis mAbが、T231Aでない内因性および外因性のtauのtauレベルを低減したことを示すブロットである。図5Dは、cis mAbが、ex vivoでTau−Tgマウス脳切片でtauを低減したことを示すブロットである。図5Eは、cisまたはtrans mAbを用いたときまたは用いないときの血清枯渇SY5Y細胞を示すブロットである。cis mAbは、強力にcis pT231−tauを低減し、一方、trans mAbは、trans pT231−tauを低減した。IgGの重鎖および軽鎖は、cisおよびtrans mAbが細胞に進入したことを示した。また、アクチンは、ローディングコントロールであった。 transではなくcis mAbが、p−tauおよび血清枯渇により誘導される微小管破壊および神経毒性を強力に抑制したこと示す結果である。図6Aは、p25、Cdk5、およびtau+GFPでトランスフェクトされたSY5Y細胞を示し、図6Bおよび6Cは、GFP−tauまたはT231A tau突然変異体でトランスフェクトされたSY5Y細胞を示している。続いて、cisまたはtrans pT231−tau mAbが添加され、その後、微小管(MT)および微小管破壊に関して核(図6A)および神経毒性(図6B)の免疫染色に付した。図6Cで、経時的生細胞共焦点イメージングにより、免疫染色の結果を確認した。図6Dは、72時間にわたりcisまたはtrans mAbの存在下で血清枯渇に付されたSY5Y細胞のMTの免疫染色画像である。図6Eは、72時間にわたりcisまたはtrans mAbの存在下で血清枯渇に付されたSY5Y細胞の神経毒性を示す細胞形態の免疫染色画像である。 AD患者において一貫して上昇したcis/trans比を有するCSF cis pT231−tauの優位な存在を示している。図7Aは、cisおよびtrans 抗体を用いてELISAによりアッセイされた8名の健全な対照および5名の進行AD患者からの脳脊髄液(CSF)中のcisおよびtrans pT231−tauを示している。図7Bは、cis/trans比を示している(nd:検出可不可およびna:該当なし)。 Nakamura et al.,Cell 149:232−244,2012にすでに記載されているように74%cis pT231−Pip tauペプチドでマウスを免疫した実験から発生された、2つのcis mAb(#113、#74)(それぞれ配列番号23および25)および2つのtrans mAb(#25、#69)(それぞれ配列番号27および28)の軽鎖のアライメントを示している。CDR1〜3は、CDR1〜3と記されたボックスで表されている。陰影付きボックスは、類似の残基を表し、白地のボックスは、同一残基を表す。 マウスがNakamura et al.,Cell 149:232−244,2012にすでに記載されているように74%cis pT231−Pip tauペプチドで免疫した実験から発生された、2つのcis mAb(#113、#74)(それぞれ配列番号22および24)および1つのtrans mAb(#25)(配列番号26)の重鎖のアライメントを示している。CDR1〜3は、CDR1〜3と記されたボックスで表されている。陰影付きボックスは、類似の残基を表し、白地のボックスは、同一残基を表す。 脳卒中後の損傷脳領域のニューロンで優位なのはtransではなくcis p−tauであることを示す一連の免疫染色結果である。異なるIgGサブタイプを有するcisおよびtrans mAbを用いて、同一のマウス脳セクションを二重免疫染色した。cis p−tau(より明るい色)は、損傷領域にのみ初期に現れたが、非損傷領域に現れなかった。 TBI/CTeおよびMCI/ADにおいてcis pT231−tau mAbがどのようにタウオパチーの早期の診断および治療に使用されうるかを示すチャートである。 transではなくcis mAbが、栄養枯渇などのニューロンストレス後、微小管破壊、ニューロン死、およびアポトーシスを誘導するp−tauの能力を効率的に中和したことを示す結果である。栄養枯渇は、transではなくcis pT231−tauを誘導し、異性体は両方とも、それらのそれぞれのmAb治療により、効率的に除去された(図12A)。cis mAbは、ストレス誘導微小管破壊(図12B)、生細胞および死細胞の色素染色によればニューロン死(図12C)、およびPARP切断(図12D)またはアネキシンV FCAS(図12E)によればアポトーシスを効率的に阻害したが、trans mAbはこれらの表現型を増強した。 transではなくcis mAbが、レシピエントニューロンにおいて神経毒性を誘導する分泌cis p−tauを完全ブロックしたことを示す結果である。栄養枯渇の48時間後、transではなくcis p−tauが培養培地中に分泌された(図13A)。48時間で捕集された細胞培養培地を、cisまたはtrans mAbまたは対照と共にインキュベートし、続いて、プロテインGを用いてmAbを除去し、その後、レシピエントニューロンに3日間添加した(図13B)。 transではなくcis mAbが、レシピエントニューロンにおいて神経毒性を誘導するヒトAD脳溶解物を完全ブロックしたことを示す一連の免疫染色結果である。ヒトAD脳溶解物を、cisまたはtrans mAbと共にインキュベートし、続いて、プロテインGを用いてmAbを除去し、その後、レシピエントニューロンに3日間添加した。 TBIマウス脳において、cis p−tauが、TBIの重症度を増加させ、他のtauエピトープよりもかなり前に現れることを示す結果である。図15Aは、異なる落錘高さでTBIを引き起こした2週間後の脳サンプルの免疫ブロッティングより示したとき、cis p−tauがTBIの重症度と共に増加することを示すブロットである。図15Bおよび15Cは、cisまたはtrans p−tauおよびDNAの免疫染色することより示したとき、transではなくロバストなcis p−tauが、TBI後、時間依存的に現れることを示す免疫染色結果である。図15Dは、TBIの2週間後、AT8、TG3、AT100、またはPHF1ではなく、ロバストなcis p−tauが脳内に存在することを示している。 マウス脳において、cis mAbが、cis pT231−tau誘導を効率的に排除し、単一の重篤なTBI後、細胞死を阻害したことを示す結果である。ビオチンcis mAbのIPまたはIV注射の72時間後、ビオチンcis mAbに対してマウス脳セクションを染色した(図16A)。3匹のマウスを単一の重篤なTBIに付し、cis mAbまたは対照IgGで4日ごとに3回治療し、続いて、TBIの2週間後、cis p−tauおよび全tau(図16B)またはアポトーシスのマーカーとしての切断PARP(図16C)に対して免疫ブロットした。 cis mAbが、単一の重篤なTBI後、微小管破壊、ミトコンドリア破壊、および強迫性行動障害を効率的に回復させたことを示す結果である。マウスを単一の重篤なTBIに付し、cis mAbまたは対照IgGで2週間にわたり4日間ごとに3回治療して、電子顕微鏡法に供し(図17A)、次いで、2ヶ月間にわたり毎週1回行動試験に供した(図17B)。
一般的には、本発明は、コンフォメーション特異的抗体またはそのフラグメントの発生および使用のための方法および組成物に関する。発明者は、transではなくcis pT231−tauが、ADにおいてタウオパチーおよび記憶喪失もたらすきわめて初期の病原性コンフォメーションであることを見いだした。発明者は、cis p−tauが対照脳脊髄液(CSF)中では検出不能であること、cisおよびtrans p−tauの両方がADにおいて上昇し、cisレベルがtransレベルよりも高く、cis:trans比がAD患者において増加しかつ類似していることを示す定量的ELISAアッセイを開発した。これらの結果は、本明細書に記載のコンフォメーション特異的抗体の発生と共に、内部対照としてtrans pT231−tauを用いてcis pT231−tauを検出することにより、初期病原性病期でADおよび他のタウオパチーを診断し治療する新規な方法を提供する。
PPIアーゼおよびPPIアーゼ基質のcis/transコンフォメーション
プロリンは、cisまたはtransコンフォメーションのいずれかをとる能力に関してユニークなアミノ酸残基である。その異性化のエネルギー障壁(εu=14〜24kcal mol−1)が比較的大きいため、非触媒異性化は、低速プロセスであるが、PPIアーゼにより加速されうる。PPIアーゼは、タンパク質のフォールディングを促進し、例としては、シクロフィリン(Cyps)、FK506結合タンパク質(FKBP)、およびパルブリン様PPIアーゼ(たとえば、Ess1およびPin1)が挙げられる。
Pin1(NIMA(never in mitosis A)−1と相互作用するタンパク質)は、特定のポリペプチドのリン酸化Ser/Thr−Pro(pSer/Thr−Pro)モチーフを特異的に異性化する。これが重要であるのは、プロリン指向キナーゼ(たとえば、プロリン残基の前にある特定のSer/Thr残基をリン酸化するプロテインキナーゼ)およびホスファターゼが、コンフォメーション特異的であり、一般的には、transコンフォメーションにのみ作用するからである。Pin1は、N末端WWドメインとC末端PPIアーゼドメインとを含む2ドメイン構造を有し、構造−機能分析から、特異的pSer/Thr−Proモチーフに対するPin1のユニークな基質特異性は、WWドメインとPPIアーゼドメインとの両方により提供される相互作用に起因することが示された。Pin1のPPIアーゼ活性は、たとえば、成長シグナル反応、細胞周期進行、細胞ストレス反応、ニューロン機序、および免疫反応のレギュレーションを促進する。
異性化可能なモチーフをそれぞれ含有するPin1の例示的基質を表1に列挙する。基質の異性化の機能的帰趨も列挙する。
Figure 2016515129
Figure 2016515129
リン酸化非依存性プロリル異性化の重要性も実証された。たとえば、PPIアーゼCypAは、Crkタンパク質の位置Gly237−Pro238でプロリル結合のcis−trans異性化を触媒する。リン酸化非依存的に異性化される他のPPIアーゼ基質としては、ステロイドレセプター、c−Myb、H3P30、H3P38、Itk、5−ヒドロキシトリプタミン3型(5−HT3)レセプター、ファージtipタンパク質G3P、ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)ビリオンのGagポリタンパク質、細胞内カルシウム放出チャネル、CrkII/CrkLタンパク質、中心体タンパク質55kDa(Cep55)、レトロウイルスRelタンパク質、PKB/Akt、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)Taxオンコプロテイン、Stat3、HER2/Neu、Notch、FAK、FOXO、PML、C/EBP、およびSMRTが挙げられるが、これらに限定されるものではない。PPIアーゼ活性のデレギュレーション(たとえば、PPIアーゼ活性のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーション(たとえば、PPIアーゼ活性の増加または減少))は、たとえば、PPIアーゼ基質に存在するSer/Thr−Proモチーフのcisまたはtrans含有率の増加をもたらしうる。これは、PPIアーゼ基質の機能に影響を及ぼしうるとともに、たとえば、細胞増殖障害、神経障害、喘息、老化関連障害、およびタウオパチーの発生をもたらしうる(図1および2たとえば、を参照されたい)。
コンフォメーション特異的抗体
本発明には、コンフォメーション特異的抗体またはそのフラグメントの発生および使用のための方法および組成物が記載されている。コンフォメーション特異的抗体は、たとえば、ポリペプチドのcisまたはtransコンフォメーションに特異的に結合しうる。特定の実施形態では、本発明に係るコンフォメーション特異的抗体は、ポリペプチドのリン酸化または非リン酸化Xaa−Proモチーフのcisまたはtransコンフォメーションに結合しうる(たとえば、cis pT231−tauまたはtrans pT231−tau)。Xaa−Proモチーフは、ポリペプチドのリン酸化Ser/Thr−Proモチーフでありうる(たとえば、Pin1基質、たとえば、pT231−tau)。コンフォメーション特異的抗体のその抗原(たとえば、Pin1基質、たとえば、pT231−tau)への結合は、障害または障害の進行の治療、診断、またはモニタリングに有用でありうる。
治療目的の抗体の調製および使用の方法は、本明細書に記載されており、たとえば、米国特許第6,054,297号明細書、同第5,821,337号明細書、同第6,365,157号明細書、および同第6,165,464号明細書、国際出願第PCT/US2012/035473号パンフレット、ならびに米国特許出願第13/504,700号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
抗原
本発明に係るコンフォメーション特異的抗体は、たとえば、リン酸化もしくは非リン酸化Xaa−Proモチーフ(ここで、Xaaは、特定のコンフォメーション(たとえば、cisもしくはtransコンフォメーション)またはcisおよびtransコンフォメーションの混合で固定される任意のアミノ酸残基(たとえば、セリンまたはトレオニン)である)を含有する免疫原性抗原(たとえば、抗原ペプチド)、またはcis/trans異性化の可能な任意の他のモチーフもしくはアミノ酸配列を用いて、発生されうる。たとえば、本発明に係るリン酸化または非リン酸化Ser/Thr−Pro含有抗原ペプチドのcisまたはtransの含有率は、スティル・ウィッティヒ転位およびアイルランド・クライゼン転位(J.Org.Chem.,68:2343−2349,2003(参照により本明細書に組み込まれる))による(Z)および(E)−アルケン模倣体の立体選択的合成により固定されうる。他の選択肢として、本発明に係るリン酸化または非リン酸化Ser/Thr−Pro含有抗原ペプチドのcisまたはtransの含有率は、プロリンアミノ酸残基をプロリンアナログで置換することにより、増加または固定されうる。プロリンアナログとしては、ホモプロリン、ピペコリン酸(Pip)、ジメチルプロリン(DMP)、アゼチジン−2−カルボキシル酸(Aze)、tert−ブチル−L−プロリン(TBP)、trans−4−フルオロ−L−プロリン(t−4F−Pro)、およびcis−4−フルオロ−L−プロリン(c−4F−Pro)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。所与の抗原のcisまたはtransの含有率は、たとえば、核磁気共鳴(NMR)分析により分析されうる。
本発明に係る抗原ペプチドは、リン酸化または非リン酸化Xaa−Proモチーフを含有しうる。ここで、Xaaは、cis/trans異性化が可能な任意のアミノ酸残基(たとえば、セリンまたはトレオニン)である。抗原ペプチドは、プロリン残基をプロリンアナログの代わりに用いて、Pin1基質のXaa−Proモチーフのアミノ酸残基(それらの例は表1に提供されている)を含有しうる。抗原ペプチドはまた、全長ポリペプチドのXaa−Proモチーフのアミノ酸残基を含有しうる。抗原ペプチドは、全長ポリペプチドのXaa−Proモチーフの周りに追加の残基をさらに含みうる。たとえば、抗原ペプチドは、全長ポリペプチドのXaa残基のN末端に3〜10アミノ酸残基と、全長ポリペプチドのプロリンのC末端に3〜10アミノ酸残基と、を含みうる。本発明に係る抗原ペプチドは、たとえば、少なくとも4、5、6、7、または8アミノ酸残基長でありうる。抗原ペプチドは、8〜20アミノ酸残基長(たとえば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸残基長)でありうるか、または20アミノ酸残基長を超えうる。
そのような抗原は、当業者に公知のさまざまな方法のいずれかにより、産生および精製されうる。抗原ペプチドは、たとえば、固相化学合成、in vitro転写/翻訳、または組換え技術により、産生および精製されうる。抗原ペプチドは、任意選択で、担体タンパク質に化学結合されうるか、またはペプチドは、抗原性を増加させるために融合タンパク質として発生されうる。抗原ペプチドは、コンフォメーション特異的抗体の産生を誘導する能力に基づいてスクリーニングされうる。これに関連して、そのようなスクリーニング技術としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、または他の免疫アッセイが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
コンフォメーション特異的抗体の産生に有用な例示的抗原としては、リン酸化または非リン酸化Ser/Thr−ホモプロリン、Ser/Thr−Pip、Ser/Thr−DMP、Ser/Thr−Aze、Ser/Thr−TBP、Ser/Thr t−4F−Pro、Ser/Thr c−4F−Proモチーフを含有する抗原が挙げられる。そのような抗原の特定例としては、たとえば、pT668−PipおよびpT668−DMP APPペプチド(VDAAV−pT668−Pro−EERHLSK)、pT231−Pip tauペプチド、およびpT231−DMP tauペプチド(KVAVVR−pT231−Pro−PKSPS)が挙げられる。また、他の例示的抗原が、米国特許出願公開第2008/0058276号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。そのようなペプチドは、たとえば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体(たとえば、ウサギまたはマウスモノクローナル抗体)を発生させるために、抗原として使用されうる。
好ましい実施形態では、本発明に係る抗原は、以下の配列を有する可変領域に結合するであろう。
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コンフォメーション特異的抗体の発生および精製
本発明に係る抗原は、当技術分野で公知の任意の方法により、たとえば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または組換えコンフォメーション特異的抗体を発生するために、使用されうる。これらの方法としては、KohlerおよびMilstein(Nature 256:495−497,1975 and Eur.J.Immunol.6:511−519,1976)ならびにCampbell(“Monoclonal Antibody Technology,The Production and Characterization of Rodent and Human Hybridomas,”in Burdon et al.,Eds.,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Volume 13,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,1985)により記載された免疫学的方法、さらにはHuseら(Science 246:1275−1281,1989)により記載された組換えDNA法が挙げられる。
簡潔に述べると、本発明に係る抗原は、アジュバントと組み合わせて、宿主動物(たとえば、ウサギ、マウス、ヤギ、ヒツジ、またはニワトリに投与されうる。そのような抗原の投与は、皮下注射または筋肉内注射をはじめとするさまざまな方法のいずれかにより達成されうるが、これらに限定されるものではない。投与後、宿主動物で産生された抗体価の結果をモニターする。これは、抗血清を単離しつつ(たとえば、遠心分離により)、当技術分野で周知のさまざまな技術のいずれかにより行われうる(たとえば、慣例的な採血)。その後、たとえば、ポリペプチドまたはポリペプチドフラグメントのcisまたはtransコンフォメーションに対して結合親和性を有する抗体の存在に関してスクリーニングされうる。所望の抗体のスクリーニングは、たとえば、放射線免疫アッセイ、ELISA、サンドイッチ免疫アッセイ、免疫ラジオメトリックアッセイ、ゲル内拡散沈降反応、in situ免疫アッセイ(たとえば、コロイド金、酵素、または放射性同位体標識を用いる)、ウェスタンブロット、沈殿反応、凝集アッセイ(たとえば、ゲル内凝集アッセイまたは赤血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイをはじめとする技術により達成されうる。
宿主動物から得られる抗血清は、本発明に用いられる抗体を誘導するために、アフィニティー精製されうる。抗血清は、分離カラム上に抗血清を導入するなどの従来技術により精製されうる。本発明に係る抗原は、コンフォメーション特異的抗体を単離および精製するために、カラム上に固定されうる。たとえば、cis特異的抗体を発生するために使用されたSer/Thr−DMPモチーフを含有する抗原ペプチドをカラム上に固定して、得られたcis特異的抗体を、たとえば、transコンフォメーションの抗体から、精製するために使用しうる。次いで、カラムを洗浄して、カラム上に固定された抗原に対して特異性を有していない抗体を除去するとともに、最終的に、残留するコンフォメーション特異的抗体をカラムから溶出させうる。次いで、単離されたコンフォメーション特異的抗体を当業者に公知の従来の手法により貯蔵しうる。
他の選択肢として、コンフォメーション特異的抗体の同定のために、抗体ライブラリー(たとえば、ナイーブ抗体ライブラリー、合成抗体ライブラリー、半合成抗体ライブラリー、またはコンビナトリアルライブラリー)をスクリーニングしうる。そのようなライブラリーは、いくつかの供給元(たとえば、Cambridge Antibody,Cambridge,United Kingdom、Genetastix Corporation,Pacific Northwest Laboratory,Richland,Washington、およびMorphoSys AG,Munich,Germany(たとえば、HuCal GOLD))から市販されている。たとえば、米国特許第6,696,248号明細書、同第6,706,484号明細書、同第6,828,422号明細書、および同第7,264,963号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
抗体ライブラリーのスクリーニングは、たとえば、ファージディスプレイ、選択的感染性ファージ、ポリソーム技術、および酵素活性またはタンパク質安定性のアッセイ系をはじめとする当業者に公知の方法の1つを用いて、行われうる。所望の性質を有する抗体は、たとえば、対応する核酸配列の配列決定により、アミノ酸の配列決定により、または質量分析により、同定可能である。最適化は、サブ配列を異なる配列(たとえば、ランダム配列)に置き換えてからスクリーニング工程を1回以上繰り返すことにより、行われる。抗体は、たとえば、標的分子(たとえば、標的分子のcisまたはtransコンフォメーション)に対する最適化された親和性もしくは特異性、最適化された発現収率、最適化された安定性、または最適化された溶解性に関してスクリーニングされうる。
本発明に係るコンフォメーション特異的抗体は、たとえば、その相補的抗原の特定のコンフォメーション(たとえば、cisまたはtransコンフォメーション)を認識してそれに特異的に結合する。たとえば、本明細書に記載されるように、コンフォメーション特異的抗体は、ポリペプチドのリン酸化または非リン酸化Xaa−Proモチーフ(たとえば、Pin1基質、たとえば、pT231−tauのSer/Thr−Proモチーフ)のcisコンフォメーションに特異的に結合しうるが、ポリペプチドのリン酸化または非リン酸化Xaa−Proモチーフのtransコンフォメーションには特異的に結合しないであろう。この場合、コンフォメーション特異的抗体とその抗原との間のKdは、たとえば、少なくとも約10−4M、10−5M、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、もしくは10−12M、またはそれ以上である。結合特異性に加えて、コンフォメーション特異的抗体は、たとえば、一方のコンフォメーション(たとえば、cisコンフォメーション)に対する親和性が、Xaa−Proモチーフの他方のコンフォメーション(たとえば、transコンフォメーション)に対する親和性の少なくとも10〜100倍であろう。コンフォメーション特異的抗体は、たとえば、一方のコンフォメーション(たとえば、cisコンフォメーション)に対する親和性が、他方のコンフォメーション(たとえば、transコンフォメーション)に対する親和性の少なくとも10、10、10、10、10、10、10、または1010倍でありうる。
本発明はまた、本発明に係る方法に従って発生させたいくつかの新しいモノクローナル抗体に基づく抗体を特徴とする。これらの抗体およびそれらの相補性決定領域(CDR)の配列を以下に示す。
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したがって、本発明は、本発明に係る診断および治療の方法における、以上に列挙したtransまたはcis特異的抗体(またはそれから誘導される抗体)の使用を特徴とする。たとえば、本発明は、以上の各抗体の重鎖または軽鎖のいずれか(または両方)の1、2、または3個のCDRを有するモノクローナル抗体(たとえば、ヒト化抗体またはヒト抗体)を特徴とする。これらのCDRは、本明細書で説明されるように、フレームワーク領域(たとえば、ヒトフレームワーク)に組込み可能である。さらに、これらのCDRは、変化させうる(たとえば、1、2、3、4、5またはそれ以上の)アミノ酸置換を含有する。そのような変異体は、以下の表2に示されるように置換(例示的または好ましいのいずれか)を有しうる。
Figure 2016515129
追加としてまたは他の選択肢として、変異体は、図8および9に示される置換を含有しうる。そのような変異体は、好ましくは、提示された抗体間で保存される残基を保持すると同時に、抗体間で変化するように示された残基の変化を有するであろう(残基は、以上の表に従ってまたは図に提示された代替残基を用いて、置換可能である)。変異体はまた、重鎖および軽鎖のCDRの組合せを含みうる。たとえば、変異体は、重鎖のCDR1および3と、軽鎖のCDR1および3、またはCDR1および2、またはCDR2および3、重鎖のCDR1および2と、軽鎖のCDR1および3、またはCDR1および2、またはCDR2および3、重鎖のCDR2および3と、軽鎖のCDR1および3、またはCDR1および2、またはCDR2および3、軽鎖のCDR1および3と、重鎖のCDR1および3、またはCDR1および2、および/またはCDR2および3、軽鎖のCDR1および2と、重鎖のCDR1および3、またはCDR1および2、またはCDR2および3、軽鎖のCDR2および3と、重鎖のCDR2および3、CDR1および3、またはCDR1および2、あるいはそれらの組合せを含みうる。すべての場合において、以上の抗体の変異体は、本明細書に記載のpTauエピトープのcis(またはtrans)コンフォメーションに特異的に結合する能力を維持する。
ヒト化抗体
本発明は、ヒト化抗体を包含する。非ヒト抗体をヒト化する種々の方法が、当技術分野で公知である。たとえば、ヒト化抗体は、非ヒト源から導入された1個以上のアミノ酸残基を有しうる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「輸入」残基として参照され、典型的には、「輸入」可変ドメインから得られる。ヒト化は、本質的には、Winterら(Jones et al.,Nature 321:522−5,1986、Riechmann et al.,Nature 332:323−7,1988、Verhoeyen et al.,Science 239:1534−6,1988)の方法に従って、ヒト抗体の対応する配列を超可変領域配列で置換することにより、行うことが可能である。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、無傷ヒト可変ドメインよりも実質的に小さい部分が非ヒト種の対応する配列により置換されたキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号明細書)。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、少なくともいくつかの超可変領域残基さらには他の可変領域残基が、齧歯動物抗体中の類似の部位の残基により置換されるヒト抗体である。
ヒト化抗体の製造に使用される軽鎖および重鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低減するのに重要でありうる。いわゆる「最良当てはめ」法に従って、既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対して、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列がスクリーニングされる。次いで、齧歯動物のものに最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のヒトフレームワークとして許容される。たとえば、Sims et al.J.Immunol.151:2296−308,1993、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901−17,1987を参照されたい。他の方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列から得られる特定のフレームワークが使用される。いくつかの異なるヒト化抗体に、同一のフレームワークを使用しうる。たとえば、Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285−9,1992、Presta et al.,J.Immunol.151:2623−32,1993を参照されたい。
さらに、抗原に対する高親和性および他の有利な生物学的性質を保持しながら抗体をヒト化することが、一般に重要である。この目標を達成するために、一方法によれば、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化配列の三次元モデルを用いて親配列および種々の概念上のヒト化産物の分析プロセスにより調製される。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に入手可能であり、当業者の熟知するところである。選択された候補免疫グロブリン配列の予想三次元コンフォメーション構造を例示および表示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析(すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を及ぼす残基の分析)が可能になる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増大などの所望の抗体特性が達成されるように、レシピエントからFR残基を選択し組み合わせて、配列を輸入することが可能である。一般的には、超可変領域残基は、抗原結合への影響に直接的かつ最も実質的に関与する。
ヒト抗体
本発明に係るヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列と、既知のヒト定常ドメイン配列と、を組み合わせることにより構築可能である(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381−8,1992、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−97,1991)。他の選択肢として、本発明に係るヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法により作製可能である。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫細胞系およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞系は、たとえば、Kozbor,J.Immunol.133:3001−5,1984、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、およびBoerner et al.,J.Immunol.147:86−95,1991により記載されている。
現在、内因性免疫グロブリン産生の不在下で免疫化によりヒト抗体の全レパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(たとえば、マウス)を生産することが可能である。たとえば、キメラマウスおよび生殖系列突然変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失は、内因性抗体産生の完全阻害をもたらすと記載されている。そのような生殖系列突然変異マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原チャレンジによるヒト抗体の産生をもたらすであろう。たとえば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−5,1993、Jakobovits et al.,Nature 362:255−8,1993、Brueggemann et al.,Year Immunol.7:33−40,1993を参照されたい。
また、非ヒト抗体たとえば齧歯動物抗体からヒト抗体を誘導するために、遺伝子シャフリングを使用することも可能である。この場合、ヒト抗体は、出発非ヒト抗体と類似の親和性および特異性を有する。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法によれば、本明細書に記載のファージディスプレイ技術により取得される非ヒト抗体フラグメントの重鎖または軽鎖の可変領域のいずれかが、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換えられ、非ヒト鎖/ヒト鎖scFvまたはFabキメラの集団が形成される。抗原による選択により、非ヒト鎖/ヒト鎖キメラscFvまたはFabが単離される。この場合、ヒト鎖は、初期ファージディスプレイクローン中の対応する非ヒト鎖の除去により、破壊された抗原結合部位を回復する。すなわち、エピトープは、ヒト鎖パートナーの選択を支配(インプリント)する。残りの非ヒト鎖を置き換えるべくプロセスを繰り返した場合、ヒト抗体が得られる(PCT公開国際公開第93/06213号パンフレットを参照されたい)。CDR移植による非ヒト抗体の伝統的ヒト化とは異なり、この技術は、非ヒト起源のFR残基もCDR残基も有していない完全ヒト抗体を提供する。
抗体フラグメント
本発明はまた、無傷抗体の一部を含む、好ましくはその抗原結合領域を含む抗体フラグメントを特徴とする。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント、ダイアボディー、線状抗体、一本鎖抗体分子、ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異的抗体が挙げられる。
抗体のパパイン消化により、それぞれ単一の抗原結合部位を有する「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力を反映した名称をもつ残りの「Fc」フラグメントと、を産生される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有して依然として抗原の架橋が可能なF(ab’)フラグメントが得られる。
Fvは、完全抗原結合部位を含有する最小抗体フラグメントである。一実施形態では、2つの鎖Fv種は、密な非共有結合会合状態の1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、2つの鎖Fv種のものに類似した「二量体」構造で軽鎖および重鎖が会合するように、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインが、可撓性ペプチドリンカーにより共有結合されうる。各可変ドメインの3つの超可変領域(HVR)が相互作用してVH−VL二量体の表面上に抗原結合部位を規定するのは、この配置のものである。全体として、6つのHVRが、抗体への抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえも、全結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識してそれに結合する能力を有する。
Fabフラグメントは、重鎖および軽鎖の可変ドメインを含有し、さらに、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含有する。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域の1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に少数の残基が追加されている点でFabフラグメントと異なる。Fab’−SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’に対する表記である。F(ab’)抗体フラグメントは、最初に、それらの間にヒンジシステインを有する対をなすFab’フラグメントとして産生された。また、抗体フラグメントの他の化学結合も知られている。
一本鎖FvまたはscFv抗体フラグメントは、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖中に存在する。一般的には、scFvポリペプチドは、VHおよびVLドメイン間にポリペプチドリンカーをさらに含み、scFvが抗原結合に望ましい構造を形成できるようにする。scFvのレビューについては、たとえば、Pluckthuen,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer−Verlag,New York,1994),pp.269−315を参照されたい。
ダイアボディーは、2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントであり、フラグメントは、同一のポリペプチド鎖(VH−VL)中で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一の鎖上の2つのドメイン間で対合できないほど短いリンカーを用いることにより、ドメインを他の鎖の相補的ドメインに対合させ、2つの抗原結合部位を形成する。ダイアボディーは、2価または二重特異的でありうる。ダイアボディーは、たとえば、欧州特許第404,097号明細書、PCT公開国際公開第1993/01161号パンフレット、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−34,2003、およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−8,1993に、より完全に記載されている。また、トリアボディーおよびテトラボディーが、Hudson et al.,Nat.Med.9:129−34,2003に記載されている。
抗体フラグメントは、酵素消化などの伝統的な手段または組換え技術により発生されうる。特定の状況下では、全長抗体ではなく抗体フラグメントを使用することが有利である。フラグメントのサイズをより小さくすれば、迅速なクリアランスが可能になるので、固形腫瘍の処置の改善につながりうる。特定の抗体フラグメントのレビューについては、Hudson et al.Nat.Med.9:129−134,2003を参照されたい。
抗体フラグメントの産生のために、種々の技術が開発されてきた。伝統的には、これらフラグメントは、無傷抗体のタンパク質分解消化により誘導されてきた(たとえば、Morimoto et al.,J.Biochem.Biophys.Methods 24:107−17,1992、およびBrennan et al.,Science 229:81−3,1985を参照されたい)。しかしながら、これらのフラグメントは、現在、組換え宿主細胞により直接に産生することが可能である。Fab、Fv、およびScFv抗体フラグメントはすべて、E.コリ(E.coli)での発現およびE.コリ(E.coli)からの分泌が可能であるので、これらのフラグメントを多量に容易に産生することが可能である。抗体フラグメントは、抗体ファージライブラリーから単離可能である。他の選択肢として、Fab’−SHフラグメントをE.コリ(E.coli)から直接回収し、化学結合させてF(ab’)フラグメントを形成することが可能である(Carter et al.,Bio/Technology 10:163−7,1992)。他の方法では、F(ab’)フラグメントは、組換え宿主細胞培養物から直接単離される。サルベージレセプター結合エピトープ残基を含むin vivo半減期が増加したFabおよびF(ab’)フラグメントは、米国特許第5,869,046号明細書に記載されている。抗体フラグメントを産生するための他の技術は、当業者には明らかであろう。
治療用製剤
本発明に係るコンフォメーション特異的抗体は、タウオパチー、TBI、または脳卒中の治療、阻害、または予防に使用されうる。コンフォメーション特異的抗体はまた、タウオパチー、TBI、または脳卒中の症状を改善するために使用されうる。
本発明に係るコンフォメーション特異的抗体は、さまざまな方法で製剤化し投与することが可能である(たとえば、特異的適応症に対する既知の経路、たとえば、限定されるものではないが、外用、経口、皮下、静脈内、気管支注射、脳内、鼻腔内、経真皮、腹腔内、筋肉内、肺内、腟内、直腸内、動脈内、病変内、非経口、脳室内、または眼内)。たとえば、コンフォメーション特異的抗体を含有する医薬組成物は、経口投与に供される丸剤、錠剤、カプセル剤、液剤、もしくは持続放出錠剤、静脈内投与もしくは皮下投与に供される液剤、局所投与に供されるポリマーもしくは他の持続放出媒体、または外用投与に供される軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、液剤、またはパッチ剤の形態をとりうる。
コンフォメーション特異的抗体の連続全身注入または定期的注射を用いて、タウオパチー、TBI、または脳卒中を治療または予防することが可能である。治療は、1日から被験体の寿命までの期間(たとえば、1〜100日間、1〜60日間)にわたり、または障害の症状が低減もしくは除去されるまで、継続可能である。投与量は、障害の重症度または障害の症状に依存して異なる。また、持続放出システムおよび半透性留置型薄膜デバイスは、本発明に係る医薬組成物を送達するための手段として有用である。他の実施形態では、組成物は、局所的に、たとえば、吸入により投与され、この投与は、定期的に繰返し可能である。
治療用製剤は、当技術分野で公知の標準的方法を用いて、所望の純度を有する活性成分と、任意選択の生理学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤と、を混合することにより、凍結乾燥製剤または水性溶液剤の形態で調製される(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th edition,Ed.A.Gennaro,2000,Lippincott,Williams & Wilkins,Philadelphia,PAを参照されたい)。許容可能な担体としては、たとえば、生理食塩水、緩衝剤、たとえば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸、アスコルビン酸をはじめとする抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、たとえば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン、親水性ポリマー、たとえば、ポリビニルピロリドン、アミノ酸、たとえば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリシン、単糖、二糖、および他の炭水化物、たとえば、グルコース、マンノース、もしくはデキストリン、キレート化剤、たとえば、EDTA、糖アルコール、たとえば、マンニトールもしくはソルビトール、塩形成対イオン、たとえば、ナトリウム、および/または非イオン性界面活性剤、たとえば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはPEGが挙げられる。
任意選択で、ただし、好ましくは、製剤は、薬学的に許容可能な塩、好ましくは塩化ナトリウムを、好ましくは生理的濃度で含有する。任意選択で、本発明に係る製剤は、薬学的に許容可能な保存剤を含有可能である。いくつかの実施形態では、保存剤の濃度は、0.1〜2.0%v/vの範囲内である。好適な保存剤としては、製薬技術分野で知られたものが挙げられる。ベンジルアルコール、フェノール、m−クレゾール、メチルパラベン、およびプロピルパラベンは、好ましい保存剤である。任意選択で、本発明に係る製剤は、薬学的に許容可能な界面活性剤を含みうる。好ましい界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。好ましい界面活性剤としては、Tween−20およびプルロニック酸(F68)が挙げられる。好適な界面活性剤濃度は、たとえば、0.005〜0.02%である。
本発明に係るコンフォメーション特異的抗体は、治療上有効量で被験体に投与される。好ましくは、抗体は、非経口投与されるか、または持続注入により静脈内投与される。用量および投与レジメンは、障害の重症度および被験体の全身の健康状態に依存する。投与される抗体の量は、典型的には、約0.001〜約10mg/kg被験体体重、好ましくは0.01〜約5mg/kg被験体体重の範囲内である。
非経口投与に供する場合、コンフォメーション特異的抗体は、薬学的に許容可能な非経口媒体を加えて単位投与量の注射可能な形態(たとえば、溶液、懸濁液、または乳濁液)で製剤化される。そのような媒体は、本質的に非毒性かつ非治療性である。そのような媒体の例としては、たとえば、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。非水性媒体、たとえば、固定油およびオレイン酸エチルを使用することも可能である。リポソームを担体として使用しうる。媒体は、副次量の添加剤、たとえば、等張性および化学的安定性を向上させる物質、(たとえば、緩衝剤および保存剤)を含有しうる。抗体は、典型的には、約1mg/ml〜10mg/mlの濃度でそのような媒体中に製剤化される。
所要の投与量は、投与経路の選択、製剤の性質、被験体の障害の性質、被験体の背格好、体重、表面積、年齢、および性別、投与されている他の薬剤、および被験体の医師の判断に依存する。入手可能なポリペプチドおよびフラグメントがさまざまであること、および種々の投与経路の効率が異なることを考慮して、必要とされる投与量の広範な変動が予想される。たとえば、経口投与は、静脈内注射による投与よりも多くの投与量を必要とすると予想されよう。これらの投与レベルの変動は、当技術分野で周知のように、最適化の標準的経験的手順を用いて調整可能である。投与は、単回または複数回でありうる(たとえば、2、3、6、8、10、20、50、100、150回、またはそれ以上の投与回数)。組成物は、任意の時点で投与可能である(たとえば、障害もしくは障害に関連する病態の診断もしくは検出の後(たとえば、当技術分野で公知のもしくは本明細書に記載の診断方法を用いて)、または障害を発生するリスクのある被験体に対して障害の診断前)。好適な送達媒体(たとえば、高分子マイクロ粒子または留置型デバイス)中への抗体の取込みは、とくに経口送達に供する場合、送達効率を増加させうる。
抗体の投与を必要とする任意の障害の治療に好適な放出特性を有する製剤で、コンフォメーション特異的抗体の持続放出投与が望まれる場合、抗体のマイクロカプセル化が想定されうる。持続放出のためのポリペプチドのマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン−(rhIFN−)、インターロイキン−2、およびMN rgp120を用いて行われてきた(たとえば、Johnson et al.,Nat.Med.2:795−799,1996、Yasuda,Biomed.Ther.27:1221−1223,1993、Hora et al.,Bio/Technology 8:755−758 1990、Cleland,“Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems,”in“Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach,”Powell and Newman,Eds.,Plenum Press:New York,pp.439−462,1995、国際公開第97/03692号パンフレット、国際公開第96/40072号パンフレット、国際公開第96/07399号パンフレット、および米国特許第5,654,010号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
持続放出製剤としては、ポリ乳酸−co−グリコール酸(PLGA)ポリマーを用いて開発されたものが挙げられる。PLGA(乳酸およびグリコール酸)の分解生成物は、人体からの急速なクリアランスが可能である。さらに、このポリマーの分解性は、その分子量および組成に依存して、何ヵ月間〜何年間かにわたり調整可能である(たとえば、Lewis,“Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer,”in M.Chasin and Dr.Langer(Eds.),Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems(Marcel Dekker:New York,pp.1−41,1990を参照されたい)。
本発明で使用される抗体はまた、他の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列、たとえば、Fc配列または追加の治療用分子(たとえば、化学療法剤)に融合されたコンフォメーション特異的抗体を含むキメラ分子を形成するように修飾されうる。
本発明に係るコンフォメーション特異的抗体は、単独でまたはキットとして他の治療用化合物との組合せでパッケージ化されうる。例としては、たとえば、1つの丸剤、2つの丸剤、粉末剤(任意選択で丸剤または錠剤と組み合わされる)、坐剤、バイアル中の液剤、または2つの外用クリーム剤を含有するキットが挙げられるが、これらに限定されるものではない。キットは、単位用量を患者に投与するのを支援する任意選択のコンポーネント、たとえば、粉末形態を再構成するためのバイアル、注入用のシリンジ、カスタマイズされたIV送達システム、またはインヘラーを含みうる。そのほかに、単位用量キットは、組成物の調製および投与のための説明書を含有しうる。キットは、一被験体用の単回使用単位用量、特定の被験体用の複数回用量として製造されうるか(たとえば、一定用量で、もしくは治療の進行に伴って個別の化合物の効力が変化しうるように)、またはキットは、複数の被験体への投与に好適な複数回用量を含有しうる(たとえば、「バルクパッケージ化」)。キットのコンポーネントは、カートン、ブリスターパック、ボトル、チューブ、またはバイアルに集合されうる。
適応症
本発明に係る抗体は、たとえばp−Tauのcisまたはtransコンフォメーションいずれかが病理学的に高レベルであることにより特徴付けられる障害を治療するのに有用である。そのような治療は、たとえばp−Tauのcisまたはtransコンフォメーションいずれかが病理学的に高レベルであるとして同定される患者(たとえば、本明細書に記載の方法により診断された患者)で、またはそのような病理学的レベルに関連することが知られている疾患と診断された患者で、使用可能である。そのような障害としては、神経障害、たとえば、アルツハイマー病(AD)、軽度認識障害(MCI)、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)、筋ジストロフィー、皮質基底核変性症、拳闘家認知症、ダウン症候群、前頭側頭型認知症、筋緊張性ジストロフィー、ニーマン・ピック病、ピック病、プリオン病、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、痙攣性疾患(たとえば、癲癇)、血管性認知症、加齢性認知症、頭部外傷、脳卒中、神経繊維腫症、レビー小体病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、末梢神経症、および黄斑変性が挙げられる。本発明に係る抗体により治療可能な他の障害としては、外傷性脳傷害(TBI)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺、前頭側頭葉変性、リティコ・ボディグ病、縺れ優位認知症、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎が挙げられる。
診断
本発明は、本明細書に記載の障害(たとえば、タウオパチー、TBI、または脳卒中)を治療、診断、およびその進行をモニターする方法および組成物を特徴とする。方法および組成物は、たとえば、リン酸化Ser/Thr−Proモチーフを、cisまたはtransコンフォメーション(たとえば、cis pT231−tauおよび/またはtrans pT231−tau)で、含有するPin1基質(またはその任意のフラグメントもしくは誘導体、たとえば、pT231−tau)の検出および測定を含みうる。本方法は、正常参照と比較してcisまたはtransコンフォメーションのpT231−tauの絶対レベルの測定を含みうる。5ng/ml未満、4ng/ml、3ng/ml、2ng/ml)、または1ng/ml血清未満のcisまたはtransコンフォメーションのpT231−tauの血清中レベルは、障害(たとえば、タウオパチー)と診断された患者において転帰良好と予測されると考えられる。5ng/ml超、10ng/ml、20ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、または50ng/mlのcisまたはtransコンフォメーションの基質の血清中レベルは、障害とすでに診断された被験体において転帰不良と診断されると考えられる。
特定のコンフォメーションの基質(たとえば、cisまたはtransコンフォメーションのpT231−tau)の相対レベルに基づく診断では、障害(たとえば、タウオパチー)の被験体は、たとえばcisコンフォメーションの基質の量の変化(たとえば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の増加)、またはcisおよびtransコンフォメーションの比の変化を示すであろう。正常参照サンプルは、たとえば、障害もしくは障害を示唆する症状の発生前の同一の被験体から採取された先行サンプル、障害を有していない被験体からのサンプル、障害の症状を有していない被験体からのサンプル、または既知の正常濃度(すなわち、障害の指標とならない)の所与のコンフォメーションの精製参照ポリペプチドのサンプルでありうる。
本発明はまた、軽度認識障害(MCI)、タウオパチー(たとえば、AD、CTE)、またはTBIに対する被験体の早期診断または素因を特徴とする。方法および組成物は、cis pT231−tauおよびcis:trans pT231−tauの比の検出および測定を含む。cis pT231のレベルまたはcis:transの比の上昇は、被験体がADのリスクがあることを示唆し、そのような被験体集団は、本明細書に記載のcis pT231tau標的免疫療法が奏効するであろう。本発明に係る初期の診断およびモニタリングの方法はまた、潜在臨床試験で患者の治療反応を評価するのに有用である。cis:trans pT231−tauの比の減少は、療法がMCI、タウオパチー(たとえば、AD、CTE)、またはTBIを標的として有効であることを示唆するであろう。そのような早期診断は、神経障害のなんらかの症状が現れる前に(たとえば、脳外傷(たとえば、繰り返された脳外傷)または神経疾患の家族歴を有することが分かっているもしくは疑われる患者で行うことが可能である。
標準的方法を用いて、尿、血液、血清、血漿、唾液、羊水、または脳脊髄液(CSF)をはじめとする任意の体液で基質のレベルを測定しうるが、これらに限定されるものではない。そのような方法としては、免疫アッセイ、ELISA、ウェスタンブロッティング、および定量的酵素免疫アッセイ技術が挙げられる。
診断目的で、コンフォメーション特異的抗体を標識しうる。抗体の標識は、検出可能な物質を抗体に結合(たとえば、物理的結合)することによる抗体の直接標識、さらには直接標識される他の試薬と反応させることによる抗体の間接標識を包含するために意図される。たとえば、抗体は、被験体における存在および位置を標準的イメージング技術により検出可能な放射性マーカーまたは蛍光マーカーで標識可能である。
本明細書に記載の診断方法は、単独で、または障害(たとえば、タウオパチー)の存在もしくは重症度のより正確な診断のために、本明細書に記載の任意の他の診断方法との組合せで、使用可能である。そのような障害を診断するための追加の方法の例としては、たとえば、他のバイオマーカー(たとえば、CSF t−tau、pT181−tau、Aβ42、またはApoE4)のレベルの決定、被験体の既往歴の調査、組織の免疫組織化学的染色、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、または培養成長が挙げられる。
診断用キット
本発明はまた、診断検査キットを提供する。たとえば、診断検査キットは、ポリペプチド(たとえば、cis pT231−tauまたはtrans pT231−tau、それらのフラグメントに特異的に結合するコンフォメーション特異的抗体)と、ポリペプチド(たとえば、抗体)とp−Tauとの結合を評価するおよび/または検出するためのコンポーネントと、を含みうる。他の選択肢として、キットは、被験体サンプルの血清、血液、またはCSFに存在するcis pT231−tauまたはtrans pT231−tauを検出するために、cis pT231−tauポリペプチドもしくはtrans pT231−tauポリペプチド、またはcis pT231−tauフラグメントもしくはtrans pT231−tauフラグメントを含みうる。他の例では、本発明に係る診断用キットは、正常対照に存在するレベルなどの参照と比較して、cis pT231−tauまたはtrans pT231−tauポリペプチドのレベルの変化を同定するために使用されうる。そのようなキットは、陽性参照または正常対照参照の指標となる参照サンプルまたは標準曲線を含みうる。
検出のために、抗体またはcis pT231−tauまたはtrans pT231ポリペプチドのいずれを標識し、抗体またはcis pT231−tauまたはtrans pT231ポリペプチドのいずれかを基材に結合すると、抗体とcis pT231−tauまたはtrans pT231ポリペプチドとを結合させた後、基材に結合された標識の量を決定することにより、ポリペプチド−抗体相互作用を確定することが可能である。抗体−基材相互作用を検出するために、従来の免疫アッセイ(たとえば、ELISA)を使用してもよく、本発明に係るキットで提供することが可能である。本発明に係るポリペプチドは、血液、血漿、CSF、血清などの生物学的サンプルで検出可能である。
診断用キットは、キットを使用するための説明書を含みうる。一例では、キットは、タウオパチー(たとえば、AD、CTE)、TBI、および/もしくはMCI、またはそれらが発症するリスクを診断するためのキットを使用するための説明書を含有する。さらに他の例では、キットは、治療処置をモニターするためのキットの使用、投与レジメン、またはタウオパチー(たとえば、AD、CTE)、TBI、および/もしくはMCIを発生するリスクがある被験体、に関する説明書を含有する。
被験体モニタリング
本明細書に記載の診断方法はまた、治療時に障害(たとえば、MCI、TBI、タウオパチー、たとえば、AD、CTE)の進行をモニターするために、または治療用化合物の投与量を決定するために、使用可能である。一実施形態では、たとえばcisまたはtransコンフォメーションのpSer/Thr−Proモチーフを有するポリペプチド(例えばpT231−tau)のレベルは、障害を診断し、障害の治療もしくは管理をモニターする方法として、繰返し測定される。被験体における障害の進行をモニターするために、いくつかの時間点で被験体サンプルを取得し、次いで、比較しうる。たとえば、診断方法を用いて、治療前、治療時、治療後、被験体をモニターすることが可能である。この例では、本発明に係るコンフォメーション特異的抗体を用いて、被験体においてcisコンフォメーションのpT231−tauのレベルを厳密にモニターし、cisコンフォメーションのpT231−tauのレベルが治療時に減少し始めたら、障害を治療するための治療レジメンを、臨床医により決定されるように変更可能である(たとえば、治療剤の投与量を変化させたり、または異なる治療剤を投与したりしうる)。本発明に係るモニター方法はまた、たとえば、被験体において特定の薬剤または療法の有効性を評価したり、投与量を決定したり、または感染の進行、状態、もしくは病期を評価したりするのに使用されうる。
実施例1:cisおよびtrans pT231−tauマウスモノクローナル抗体(mAb)の発生およびそれらのDNA配列の決定
cisおよびtrans pT231−tauマウスmAbを発生するために、Nakamura et al.,Cell 149:232−244,2012に記載されるように、74%のcis pT231−Pip tauペプチドを用いてマウスを免疫した。この手順により480のハイブリドーマクローンを産生し、次いで、特徴付けた。Nakamura et al.,Cell 149:232−244,2012に記載されるcis(pT231−Dmp)もしくはtrans(pT231−Ala)にロックされた野生型cis+trans(pT231−Pro)または非リン酸化(T231−Pro)であるpT231−tauペプチドを用いてELISAによりスクリーニングされた最初の96のハイブリドーマ培養上清のうち、野生型およびcis pT231−tauペプチドを認識したが、transも非リン酸化も認識しなかった2つのcisハイブリドーマクローン#113および#74を同定し(図3A、3B)、野生型およびtrans pT231−tauペプチドを認識したが、cisも非リン酸化も認識しなかった2つのtransハイブリドーマクローン#25および#69を同定した(図3C)。mAbの重鎖および軽鎖のCDRを含む核酸配列およびタンパク質配列を以下に示す。さらに、不活性Cpd1Aを対照として、Pin1阻害剤Cpd1およびそれほど活性でない1Eで処理された細胞内で、cis mAb#113およびtrans mAb#25により検出したとき、cisは安定であったが、transは減少した(図3D)。図3Eは、アイソタイプ決定ELISAキット(Eagle)を用いて決定したとき、mAbのIgGのサブクラスを示している。mAbの重鎖および軽鎖のDNA配列は、Bradbury et al.,Neurobiol Aging 16:465−475,1995に記載の5’RACE RT−PCR技術を用いて決定された。BLAST検索から、これらの4つのmAbクローンが完全に新規であることが示された。予測タンパク質配列は、フレームワーク領域では高度に保持されているが、相補性決定領域(CDR)1〜3では明確に異なる(図8および9)。とくに、2つのcis mAbクローンは、2つのtrans mAb中には存在しないいくつかの保存残基を含有した。また、その逆も同様であった(図8および9)。
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実施例2:transではなくロバストなcis pT231−tauが、MCI/ADおよびCTEの脳において軸索に初期に現れ、病気の進行に伴ってさらに蓄積した
cis pT231−tauがADおよびCTEの脳においていつどこで現れるかを調べるために、cisおよびtrans mAb、続いて、アイソタイプ二次抗体を用いて、脳セクションの二重免疫染色を行った。trans mAbは、正常脳でさえも少数のニューロンの細胞体でのみ染色し、cis mAbは、正常脳を染色しなかったが、MCIニューロンの直線状神経突起でロバストにシグナルが検出とれ、さらにADニューロンの歪んだ神経突起に蓄積し局在した(図4A〜4C)。注目すべきことに、このパターンは、Nakamura et al.(Cell 149:232−244,2012)に記載のポリクローナルcisおよびtrans抗体により検出されたものに類似しており、cisおよびtrans mAbの特異性が確認されるだけでなく、ヒトMCIおよびADにおいて初期病原性コンフォメーションを標的とするのはtransではなくcisであることが示唆される。Dr.McKee(Liliang et al.,J Surg Res 160:302−307,2010、Chen et al.,Cancer Res 73:3951−3962,2013)により提供された8名の運動家および8名の退役軍人に関連するCTEの染色脳セクションから、transではなくロバストなcis p−tauが、II期に神経突起で容易に検出され、III期にさらに蓄積したことが示された(図4D〜4I)。これらのcis陽性神経突起は、軸索マーカー神経細線維または樹状突起マーカーMAP2と共染色することにより、軸索であることが確認された。注目すべきことに、cisおよびtrans p−tauの両方を有しているニューロンは非常に稀であったので、それらはin vivoで容易に相互変換されることが裏付けられる。したがって、cisは、ADおよびCTEにおいてごく初期に現れる。
実施例3:cisおよびtrans mAbは、ニューロンに進入してさまざまなニューロン区画に達し、cis mAbは、in vitroおよびex vivoでpT232依存的にtauレベルを低減した
cisおよびtrans mAbがニューロンに進入して予想されたニューロン区画に達することが可能であるかを調べるために、ヒトSY5Yニューロンをtau、p25/Cdk5(tauキナーゼ)、またはベクター対照でトランスフェクトし、続いて、培養培地にmAbを48時間添加し、その後、二次抗体または免疫ブロッティングのみを用いて免疫染色した。cisおよびtrans mAbは両方とも、ニューロンだけでなく、さまざまなニューロン区画で容易に検出された。cis mAbは、神経突起で主に検出されたが、trans mAbは、MCIおよびADの脳で予想されるとおり(図4)、細胞体で主に検出された(図5Aおよび5B)。さらに興味深いことに、cis mAbは、p25/Cdk5過剰発現後にのみ、内因性および外因性のtauの全レベルを有意に低減し、tau T231A突然変異体には明らかな影響を及ぼさなかった(図5C)。また、ヒト野生型Tau−Tgマウス海馬スライスの培養培地にcis mAbを添加したところ、tauレベルが劇的に低減した(図5D)。それに加えて、SY5Yニューロンを外傷性脳傷害(TBI)に類似したストレス条件である血清枯渇に付した時、SY5Yニューロンにおいて、cis pT231−tauが、血清枯渇により時間依存的に顕著に増加したが、そのような増加は、transではなくcis mAbにより効率的に抑止されたことが判明した(図5E)。したがって、cis mAbは、in vitroおよびex vivoでtauレベルを低減した。
実施例4:transではなくcis mAbが、ニューロンにおいてp−tauにより誘導される微小管破壊および神経毒性を強力に抑制した
cis mAbが、微小管破壊および神経毒性を誘導するp−tauの能力に影響を及ぼしうるか調べるために、SY5Y細胞をp25/Cdk5、tau、およびGFPで共トランスフェクトし、cisまたはtrans mAbを48〜72時間添加し、続いて、チューブリンおよびDNAの免疫染色を行った(図6A)。それに加えて、SY5YニューロンをCdk5−p25およびGFP−tauまたはそのT231A突然変異体で共トランスフェクトし、次いで、cisまたはtrans mAbを添加し、続いて、細胞形態および神経毒性を調べるために生細胞共焦点イメージングを行った(図6Bおよび6C)。両方のアッセイから、transではなくcis mAbが、ニューロンにおいてp−tauにより誘導される微小管破壊(図6A)および神経毒性(図6Bおよび6C)を強力に抑制することが明確に示された。ほとんどのGFP−tau陽性細胞は、対照細胞およびtrans mAb処理細胞において死滅し、微小管(MT)ネットワークは、核の周りに圧潰された(図6A)。ほとんどのcis mAb処理GFP−tau陽性細胞は、神経突起のMTネットワークでさえも、良好に生存した図6B、図6Cの矢印)。培養培地に添加した時、transではなくcis mAbはまた、血清枯渇により誘導されるSY5TYニューロンの微小管破壊および神経毒性を効率的に抑制した(図6Dおよび6E)。
実施例5:cis pT231−tauは、AD患者において細胞外脳脊髄液(CSF)に顕著に存在する
CSF pT231−tauは、初期ADバイオマーカーである。CSF pT231−tauのコンフォメーションをアッセイするために、CSFにおいて、検出抗体としてcisまたはtrans Abを用いてINNOTEST hTau ELISAキット(Innogenetics)によりcisおよびtrans pT231−tauを測定した。8つすべての対照CSFにおいて、検出可能なcis pT231−tauは存在しなかったが、8つののうちの3つで少量のtrans pT231−tauが検出された(図7A)。これは、transが神経原線維の縺れ(NFT)に関連していないので、予想されうることである。注目すべき点として、進行性AD患者では、transおよびとくにcis pT231−tauは、脳組織(図4)で見られるものに一致して、顕著に増加した(図7A)。さらに、cisまたはtransのレベルには広範な個体間変動が存在したが、cis:transの比は、AD患者間で非常に類似していた(図7B)。
実施例6:TBIマウスモデルにおいて脳傷害およびその広がりを停止するcis tau mAbの能力および顕著なTBIを有する患者を同定する血清中cis pT231−tauレベルの能力の評価
Pin1触媒コンフォメーション変化を可視化するために、第一cisおよびtrans pT231−tau抗体を形成する革新的ペプチド化学を開発した(図11)。注目すべきことに、transではなくcis pT231−tauは、MCIニューロンに初期に現れ、さらに、ADの進行に伴って変性ニューロンのみの軸索中に蓄積し、認知障害と良好に相関する。さらに、transではなくcis pT231−tauは、その正常微小管集合能力を喪失させ、毒性機能を取得し、脱リン酸化および分解に耐性であり、かつ凝集を起こしやすい(図11)。したがって、cis pT231−tauは、MCIおよびADにおいて初期病原性イベントである。発明者は、この度、ニューロンさらにはマウスTBI脳においてそれぞれのp−tau異性体を排除するのにきわめて有効な中和cisおよびtrans pT231−tauモノクローナル抗体(mAb)を開発した。
単一重篤TBIマウスを治療すべくcis tau mAbを用いて得られた我々の有望な有効性の結果を考慮して、発明者は、脳、CSF、および血清中のcis pT231−tauを追跡し、cis mAb治療後の種々の時点で行動および病理学的変化との関係を調べることにより、さまざまな重症度で繰り返された温和なTBIのマウスモデルにおいて、脳傷害およびその広がりを停止するcis tau mAbの能力およびその投与要件を体系的に評価した。
血清中tauレベルがTBI重症度38〜41と相関すると思われること、および我々の暫定的結果から、transを対照として用いて、cis p−tauが全tauよりも良好なバイオマーカーでありうることを考慮して、発明者は、重篤なTBI直後の30〜50名の患者および対応する対照において、cisおよびtrans p−tauならびに全tauをアッセイする我々のELISAをさらに改善する。これは、最終的には、cis tau mAb療法でTBI患者を同定するための感度の高い方法を提供できる可能性がある。
予想される結果として、革新的なコンフォメーション特異的バイオマーカーが得られ、タウオパチーにおいてごく初期に分泌される毒性cis pT231−tauに対するおよび免疫療法がもたらされ、TBI、CTE、およびAD患者において初期段階でタウオパチーおよび記憶喪失を停止または防止するユニークな機会が得られるであろう。
実施例7:cis mAbは、cis pT231−tau誘導を効率的に排除するだけでなく、種々のニューロンストレス下で、軸索微小管破壊、ミトコンドリア輸送障害、および最終的にはアポトーシスを誘導する能力を中和する
発明者は、生(緑色)/死(赤色)細胞アッセイキット(Abcam)およびアネキシン5FACS(図12A〜12E)より示されるように、低酸素や栄養枯渇などの種々のニューロンストレスが時間依存的にcis pT231−tauをロバストに誘導し、次いで、MTネットワークの破壊および最終的にアポトーシスによる細胞死を誘導することを見いだした。また、我々の生細胞ビデオ撮影から、時間依存的MT破壊およびミトコンドリアの軸索輸送の異常(データは示されていない)が確認された。注目すべき点として、cis mAb治療は、cis p−tau誘導をほぼ完全に排除し、さらに軸索MT破壊、ミトコンドリア輸送障害、およびアポトーシスを効率的にレスキューし、一方、trans mAbは、trans p−tauを除去し、クロス枯渇を伴うことなく表現型を促進した(図12)。アポトーシスを誘導するcis p−tauの能力は、カスパーゼおよびアポトーシスがヒトADニューロンに存在するというこれまでの証拠と一致する(Gervais et al.,Cell 97:395−406,1999)。同様に、cis p−tauを排除するcis mAbの能力は、cis p−tauがtransよりも安定であり(Nakamura et al.,Cell 149:232−244,2012)、タンパク質分解のために抗体複合体がTRIM21により認識される(Mallery et al.,PNAS 107:19985−1998590,2010;McEwan et al.,Bioessays 33:803−809,2011)という我々の知見と一致する。
実施例8:transではなくcis mAbは、ストレスを受けたニューロンから分泌されるcis pT231−tauがレシピエントニューロンにおいて神経毒性を誘導するのを効率的に防止した
AD患者のCSFには豊富なpT231−tauが存在し、培養ニューロンは非従来的機序で培地中にtauを分泌するので、発明者は、ニューロンがストレスを受けてcisおよびtrans p−tauを分泌するかを調べた。実際に、ストレスを受けたニューロンは、40hrでcis pT231−tauを分泌したが、trans pT231−tauを分泌しなかった。72hrで細胞死となり、cisおよびtrans p−tauの両方さらにはアクチンが放出され時(図13A)。より重要なこととして、健常ニューロンに3日間添加した時、cis含有培地は、アポトーシスによりニューロンを死滅させた。trans mAbではなくcis mAbによる培地の前処理、続いて、プロテインGによるmAbの枯渇を行ったところ、ニューロン死は完全にレスキューされた(図13B)。
実施例9:transではなくcis mAbは、ヒトADまたはCTE脳溶解物がレシピエントニューロンにおいて神経毒性を誘導するのを効率的に防止した
また、ヒトAD脳が毒性cis pT231−tauを含有していたか調べるために、発明者は、ヒトAD脳溶解物を培養ニューロンに添加し、レシピエントニューロンにおいてcis pT231−tauを検出した。ただし、対照脳溶解物を使用した時、cis−tauを添加しなかった。より重要なこととして、正常ではなくADの脳溶解物は、レシピエントニューロンにおいてアポトーシスを誘導する。これは、transではなくcis mAbでAD脳溶解物を前処理することにより完全にレスキューされた(図14)。ヒトCTE脳溶解物を用いた場合にも、類似の結果が得られた。
実施例10:cis pT231−tauは、TBIの重症度に伴って増加し、TBIマウス脳において縺れ関連エピトープのかなり前に軸索に現れる
cis p−tauとTBI重症と度の関係を調べるために、発明者は、スポーツ関連TBIを模倣して、マウスにおいてさまざまな高さで落錘デバイスを用いてさまざまな重症度の閉鎖性頭部脳傷害を誘導し、TBIの48hr後、脳内のcis p−tauを試験した。TBIの48hr後、TBI重症度に伴って、cisおよび全tauは、ロバストに増加した(図15A)。これは、cis p−tauが分解に対して耐性があるという我々の知見と一致する。ロバストなcis p−tauはまた、軍事関連TBIを模倣して爆風誘導TBIの48hr後に見いだされた。時間経過研究から、重篤なTBI後、驚くべきことに、12hrs後、transではなくcis p−tauは誘導され、時間と共に増加し、少なくとも2週間維持された(図15Bおよび15C)。cis陽性神経突起は、この場合も、樹状突起ではなく軸索であった。注目すべきことに、発明者は、AT8、AT180、TG3、AT100、MC1、Alz50、またはPHF1を含めて、使用したmAbにより、縺れ関連エピトープをなんら見いだすことができなかった(図15D)。仮に見いだされたとしても、WTマウスでは、TBIのかなり後である。
実施例11:cis mAbは、cis pT231−tauを排除するだけでなく、マウスにおいて重篤TBI後、軸索MT破壊、ミトコンドリア輸送障害、アポトーシスおよび脳機能などを回復した
cis mAbがTBIマウス脳においてcis pT231−tauおよびその毒性を導入し排除するかを調べるために、発明者は、最初に、ビオチン化cis mAbをB6マウスの腹腔内または静脈内に投与し、3日後cis mAbを検出した。注入されたmAbは、脳内で容易に検出された(図9A)。次いで、重篤なTBI後、4日ごとに250μgのcis mAbを用いて3回にわたりマウスを腹腔内治療しに、14日後、脳を分析した。注目すべき点として、cis mAbは、マウス脳においてTBI誘導cis pT231−tau誘導を効率的に防止し、全tauを低減した(図9B)。さらに、cis mAb治療は、PARP切断アッセイにより評価したとき、軸索MT破壊およびミトコンドリア破壊(図10A)さらにはアポトーシスでさえも効率的に回復したが(図9C)、対照IgGではそうはならなかった。
cis mAbが重篤TBI後に脳機能を回復したか調べるために、高架式十字迷路を使用した。これは、マウスにおいて不安関連強迫行動をアッセイするために広範に使用される。重篤TBIの2ヶ月後、IgGで治療されたマウスは、クローズドアーム活動の減少およびオープンアーム活動の増加を示し、不安関連強迫行動が現れたことから、前頭皮質関連機能不全が示唆されるが、cis mAbで治療されたマウスおよびshameマウスは、有意差がなかったことから(図10B)、cis mAbはTBI誘導脳機能を回復可能であることが示唆される。したがって、cis mAbは、ニューロンおよびTBIのマウスモデルにおいて、cis p−tauおよびその神経毒性の排除、ならびに脳機能の回復にきわめて効果的である。これは、tau mAbが脳のニューロンに進入可能であること(Yanamandra et al.,Neuron 80(2):402−414,2013、Krishnamurthy et al.,Front Psychiatry 2:59,2011、Mohamed et al.,J Neurosci Res 69:110−116,2002)、およびmAbが細胞内で標的分解をトリガー可能であること(Mallery et al.,PNAS 107:19985−1998590,2010、McEwan et al.,Bioessays 33:803−809,2011)が示唆されるこれまでの研究と一致する。
他の実施形態
以上の説明から、種々の使用法および条件に合わせて本明細書に記載の発明に変更および修正を加えうることは、明らかであろう。そのような実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。
本明細書に挙げた出版物、特許出願、および特許はすべて、あたかも個々の出版物、特許出願、または特許が具体的かつ個別的に明示されて参照により組み込まれたのと同程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
以上の説明から、当業者であれば、本発明の本質的特性を容易に確認することが可能であり、種々の使用法および条件に合わせて本発明に種々の変更および修正を加えることが可能である。したがって、他の実施形態もまた、特許請求の範囲以内にある。

Claims (36)

  1. 配列番号1〜3を有する1つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号4〜6を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体。
  2. 前記結合部分が、配列番号1〜3を有する2つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号4〜6を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、請求項1に記載の単離された結合部分。
  3. 前記結合部分が、配列番号1〜3を有する重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号4〜6を有する軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、請求項1に記載の単離された結合部分。
  4. 前記モノクローナル抗体が、配列番号22の重鎖タンパク質配列と、配列番号23の軽鎖タンパク質配列と、を含む、請求項1に記載の単離された結合部分。
  5. 配列番号7〜9を有する1つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号10〜12を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体。
  6. 前記結合部分が、配列番号7〜9を有する2つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号10〜12を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、請求項5に記載の単離された結合部分。
  7. 前記結合部分が、配列番号7〜9を有する重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号10〜12を有する軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、請求項5に記載の単離された結合部分。
  8. 前記モノクローナル抗体が、配列番号24の重鎖タンパク質配列と、配列番号25の軽鎖タンパク質配列と、を含む、請求項1に記載の単離された結合部分。
  9. 前記結合部分が、リン酸化トレオニン231−タウタンパク質(pT231−tau)のcisコンフォメーションに特異的に結合する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の単離された結合部分。
  10. 前記モノクローナル抗体が一本鎖抗体または抗体フラグメントである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の単離された結合部分。
  11. 前記モノクローナル抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である、請求項10に記載の単離された結合部分。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の結合部分と、薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬組成物。
  13. タウオパチー、外傷性脳傷害(TBI)、または脳卒中を治療する方法であって、前記方法が、必要とされる被験体に、前記タウオパチー、TBI、または脳卒中を治療するのに十分な量で、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結合部分を投与することを含み、前記結合部分が、pT231−tauのcisコンフォメーションに特異的に結合する、方法。
  14. 前記タウオパチーが、進行性核上性麻痺、慢性外傷性脳症(CTE)、前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性、リティコ・ボディグ病、縺れ優位認知症、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、ピック病、皮質基底核変性症、およびアルツハイマー病からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記被験体が、前記タウオパチーの素因を有するかまたは初期段階にある、請求項13に記載の方法。
  16. 前記タウオパチーの素因または初期段階が、前記被験体から得られたサンプルでcis pT231−tauのレベルの上昇またはcis:trans pT231−tauの比の増加により決定される、請求項15に記載の方法。
  17. CSF t−tau、pT181−tau、Aβ42、またはApoE4のレベルを決定することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記サンプルが、尿、血液、血清、血漿、唾液、羊水、および脳脊髄液(CSF)からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記被験体が、繰り返された脳外傷の病歴により素因が与えられる、請求項13に記載の方法。
  20. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の結合部分を用いて治療された被験体において治療反応をモニターする方法であって、
    a.前記被験体から得られたサンプルでcis pT231−tauのレベルまたはcis:trans pT231−tauの比を決定することと、任意選択で、
    b.CSF t−tau、pT181−tau、Aβ42、またはApoE4のレベルを決定することと、
    を含み、
    cis pT231−tauのレベルまたはcis:trans pT231−tauの比の減少が、前記結合部分に有効な治療反応をもたらす、方法。
  21. CSF t−tau、pT181−tau、Aβ42、またはApoE4の前記レベルが減少する、請求項20に記載の方法。
  22. タウオパチーを有するまたはその素因を有するとして被験体を診断する方法であって、
    a.前記被験体から得られたサンプルでcis pT231−tauのレベルまたはcis:trans pT231−tauの比を決定することと、
    b.前記サンプルのcis pT231−tauの前記レベルまたはcis:trans pT231−tauの比を正常参照サンプルと比較することであって、前記正常参照サンプルと比較して、cis pT231−tauのレベルの上昇またはcis:trans pT231−tauの比の増加が、前記タウオパチーを有するまたはその素因を有するとして前記被験体を診断することにつながる、比較することと、
    c.前記タウオパチーを治療するのに十分な量で、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結合部分を、前記被験体に投与することと、
    を含む、方法。
  23. 前記サンプルが、尿、血液、血清、血漿、唾液、羊水、および脳脊髄液(CSF)からなる群から選択される、請求項20または22に記載の方法。
  24. 配列番号13〜15を有する1つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号16〜18を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体。
  25. 前記結合部分が、配列番号13〜15を有する2つ以上の重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号16〜18を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、請求項24に記載の単離された結合部分。
  26. 前記結合部分が、配列番号13〜15を有する重鎖可変領域またはその変異体と、配列番号16〜18を有する軽鎖可変領域またはその変異体と、を含む、請求項24に記載の単離された結合部分。
  27. 前記モノクローナル抗体が、配列番号26の重鎖タンパク質配列と、配列番号27の軽鎖タンパク質配列と、を含む、請求項24に記載の単離された結合部分。
  28. 配列番号19〜21を有する1つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体を含む、単離されたコンフォメーション特異的結合部分、任意選択で、抗体またはモノクローナル抗体。
  29. 前記結合部分が配列番号19〜21を有する2つ以上の軽鎖可変領域またはその変異体を含む、請求項28に記載の単離された結合部分。
  30. 前記結合部分が配列番号19〜21を有する軽鎖可変領域またはその変異体を含む、請求項28に記載の単離された結合部分。
  31. 前記モノクローナル抗体が配列番号28の軽鎖タンパク質配列を含む、請求項28に記載の単離された結合部分。
  32. 前記結合部分がpT231−tauのtransコンフォメーションに特異的に結合する、請求項24〜31のいずれか一項に記載の単離された結合部分。
  33. 前記モノクローナル抗体が一本鎖抗体または抗体フラグメントである、請求項24〜31のいずれか一項に記載の単離された結合部分。
  34. 前記モノクローナル抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体である、請求項33に記載の単離された結合部分。
  35. 請求項24〜34のいずれか一項に記載の結合部分と、薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬組成物。
  36. a.pT231−tauのcisコンフォメーションに特異的に結合する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の結合部分と、
    b.pT231−tauのtransコンフォメーションに特異的に結合する、請求項24〜31のいずれか一項に記載の結合部分と、
    c.タウオパチーを有するまたはその素因を有するとして被験体を診断するためのa.およびb.の結合部分を使用するための説明書と、
    を含む、タウオパチーを有するまたはその素因を有するとして被験体を診断するためのキット。
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