JP2016512857A - コポリマーを調製する方法 - Google Patents

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Abstract

コポリマーを調製する方法において、4から11の原子の環サイズを有する第1の環状エステルと12から40の原子の環サイズを有する第2の環状エステルに、式Iの化合物を触媒として使用して、開環共重合を行う工程を有してなる方法:式中、Mは、三価のAl、Ti、V、Cr、Mn、Co、イットリウム、Scまたはランタニドであり;XおよびX’は両方ともヘテロ原子であり;YおよびY’は、O、N、SまたはPであり;Zはここに記載された置換基であり;L1はXとYを結合する有機部分であり;L2はX’とY’を結合する有機部分であり;L3は、YとY’を結合する有機部分であり、YとY’との間に少なくとも2原子の鎖長を有する。そのコポリマーは、少なくとも0.5のランダム性および少なくとも15000g/モルの数平均分子量を有する。

Description

本発明は、4から11の原子の第1の環サイズを有する第1の環状エステルと12から40の原子の第2の環サイズを有する第2の環状エステルのコポリマーを調製する方法に関する。本発明はさらに、コポリマーおよびポリマー組成物に関する。
ポリエステルは、これらの材料が示すことのできる性質のために、興味深い材料である。これらの性質の例としては、生体適合性、生分解性、および薬物透過性が挙げられる。その上、それらの材料は、フイルム用途に使用した場合、好ましいバリア性を示すことがある。したがって、ポリエステルは、医薬品および食品包装用途にとって非常に興味深いものである。これらの目的のために、工学的構造を有する材料が望ましく、このことは、重合反応の高いレベルの制御を必要とすることを暗示している。その上、適切な性質により、特定のポリエステルは、様々な用途においてポリエチレンの興味深い生分解性の代用品を形成することができる。例えば、重縮合を使用した、従来のポリエステル合成戦略は、これらの材料の制御合成を単調で退屈なプロセスにし得る根本的な問題を生じる。
例えば、重縮合によるポリエステルの調製には、化学量論的問題、相当な分子量を得るための高い転化率の必要性、および反応中に形成される小分子の除去が伴い得る。これらの従来の戦略の適切な代わりは、環状エステルであるラクトンの開環重合である。このタイプの重合は、連鎖成長プロセスによる、環状モノマーの開環とポリマー鎖の形成に基づく。
環状エステルであるラクトンの開環重合反応は、穏やかな重合条件下において満足な転化率で酵素により行えることが公知である。例えば、カンジダ・アンタークティカ由来リパーゼB(CALB)などのリパーゼは、ラクトンの開環重合において活性が高く、大環状ラクトンと称されることもある、大きい環サイズを有するラクトンにとって、異常に速い重合速度を示す。このプロセスにおけるラクトンの反応性は、小さい環サイズのラクトンの高い環歪み(シソイドエステル結合)によってではなく、大環状ラクトンに存在するトランソイドエステル結合の配座に関するリパーゼの優先傾向によって、支配される。それゆえ、大環状ラクトンはCALBにより容易に重合させることができる。例えば、150000g/モルまでの数平均分子量を有するポリ(ペンタデカラクトン)が報告された(非特許文献1および非特許文献2)。しかしながら、結果として得られるポリエステルの分子量および多分散性指数(特に、約2の多分散性指数)の制御は限られている。さらに、酵素は一般に、より高い反応温度には耐えられないので、酵素による開環重合は、適用される温度により強く制限される。その上、ラクトンの開環重合に使用できる酵素はかなり高価である。
酵素による開環重合の制限を考慮して、適切な代わりの金属媒介開環重合プロセスを見つける試みが行われてきた。そのようなプロセスは特に魅力的である。何故ならば、それらのプロセスにより、求核開始剤を使用することによって、ポリマーの分子量、分子量分布、コポリマーの組成およびトポロジーと末端基の制御が高いレベルで可能になるからである。ラクトンの開環重合の陰で働く駆動力は、環状エステルからポリエステル鎖への転移における環歪みの解放、または熱力学的に言えば、エンタルピーの負の変化であることが一般に認められている。その結果として、ラクトンのサイズが増加するにつれて、環歪みが減少するので、金属媒介開環重合における反応性も減少する。実験的に、このことは、触媒/開始剤としてオクタン酸亜鉛/ブチルアルコールを使用した様々なサイズのラクトンの開環重合の比較研究においてDudaにより示された(非特許文献3)。重合の相対速度は、六員(δ−バレロラクトン)および7員(ε−カプロラクトン)のラクトンについて、それぞれ、2500および330であることが分かり、一方で、12〜17員ラクトンの反応速度はたった1程度であった。その結果として、15−ペンタデカラクトンのような大環状ラクトンの金属触媒開環重合のわずかな例しか文献に見つけることができず、一方で、見つけられたそれらの実施例は、比較的低い収率および比較的低い分子量を報告しているだけである。最良の結果は、30000g/モルの絶対数平均分子量までの分子量および許容できる転化率をもたらすイットリウムトリス(イソプロポキシド)を使用して得られた(非特許文献4)。
小さい環サイズを有する環状エステルの共重合が、例えば、特許文献1から公知である。この文献には、それにより、分子量と分子量分布を制御しながら、理想的なランダムコポリマーに近いラクチド/ε−カプロラクトンコポリマーを製造できる、ラクチド/ε−カプロラクトンコポリマーを製造する方法が開示されている。特許文献1に開示された共重合方法は、触媒としてアルミニウム−サレン錯体を使用して行われた。
ω−ペンタデカラクトンおよびε−カプロラクトンのコポリマー、すなわち、小さい環サイズのラクトンと大きい環サイズのラクトンとのコポリマーが、Bouyahyi等により開示された(非特許文献5)。この文献には、開始剤としてのベンジルアルコール(BnOH)と組み合わされた1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)が、ω−ペンタデカラクトンとε−カプロラクトンの共重合のための活性触媒であることが開示されている。急激な競合する分子内と分子間のエステル交換の結果として、ランダムコポリマーのみが得られた。Bouyahyi等により開示された方法の欠点は、その方法には、速い重合速度および大きいポリマー分子量を許さない有機触媒を使用する必要があることである。
H.Uyama等(非特許文献6)には、触媒として異なる起源の様々なリパーゼを使用した15−ペンタデカノリド(PDL)の酵素を用いた開環重合が開示されている。この文献には、PDLのε−カプロラクトン(ε−CLまたはeCL)との共重合がさらに開示されている。これらのコポリマーのNMRデータは、それらのコポリマーが統計的にランダムではないことを示している。
特許文献2には、ポリエステルを調製するプロセスであって、6から40の炭素原子の環サイズを有する必要に応じて置換されたラクトンを提供する工程、およびそのラクトンに、触媒として、一般式(I):
Figure 2016512857
式中、
Mは、Al、Ti、V、Cr、MnおよびCoからなる群より選択され;
XおよびX’は、独立して、ヘテロ原子であり、好ましくは、XおよびX’は同じであり;
YおよびY’は、独立して、O、N、S、P、C、Si、およびBからなる群より選択され、好ましくはYおよびY’は同じであり;
Zは、水素、ホウ水素化物、アルミニウム水素化物、カルビル、シリル、水酸化物、アルコキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、カーボネート、カルバメート、アミン、チオレート、リン化物、およびハロゲン化物からなる群より選択され;
L1およびL2は、独立して、それぞれ、XおよびYを互いに結合する有機配位子およびX’およびY’を互いに結合する有機配位子であり、好ましくはL1およびL2は同じであり;
L3はYおよびY’を互いに結合する随意的な有機配位子である;
による化合物を使用して、金属媒介開環重合を行う工程を有してなるプロセスが開示されている。
特許文献2によれば、随意的な基L3は、2から30の炭素原子を含有し、必要に応じて、N、O、F、ClおよびBrから選択される1から10のヘテロ原子を含有する、直鎖または分岐鎖の脂肪族鎖、もしくは環状または芳香族部分であることが好ましい。L3が、−(CH22−、1,2−フェニル、および1,2−シクロヘキシルからなる群より選択されることがより好ましい。特許文献2は、小さい環のラクトンと大きい環のラクトンの共重合については、言及していない。
国際公開第2010/110460号 国際公開第2012/065711号
Focarete et al., J.Polym.Sci.B: Polym.Phys. 2001, 39, 1721 De Geus et al., Polym.Chem. 2010, 1, 525 Duda et al., Macromolecules 2002, 35, 4266 Zhong et al., Macromol.Chem.Phys. 2000, 201, 1329 Bouyahyi,M. et al., Macromolecules 2012, 45, 3356-3366 H.Uyama et al., Acta Polymer., 47, 357-360
小さい環サイズを有する環状エステルと大きい環サイズを有する環状エステルのランダムコポリマーを調製する方法がここに記載されている。
小さい環サイズを有する環状エステルと大きい環サイズを有する環状エステルのランダムコポリマーであって、高分子量を有するランダムコポリマーを調製する方法もここに記載されている。
さらにまた、小さい環サイズを有する環状エステルと大きい環サイズを有する環状エステルのランダムコポリマーを調製する方法であって、費用と収率に関して、商業的に実現可能である方法が記載されている。
これらの方法は、特に、ラクトンに関する。
したがって、コポリマーを調製する方法は、4から11の原子の第1の環サイズを有する第1の環状エステルと12から40の原子の第2の環サイズを有する第2の環状エステルを提供する工程、およびこの第1と第2の環状エステルに、式I
Figure 2016512857
の化合物を触媒として使用して、開環共重合を行う工程を有してなり:
式中、
Mは、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、イットリウム、スカンジウムおよびランタニドからなる群より選択される三価金属であり;
XおよびX’は両方ともヘテロ原子であり、同じであっても異なってもよく;
YおよびY’は、O、N、SおよびPからなる群より独立して選択され;
Zは、水素、ホウ水素化物、アルミニウム水素化物、カルビル、シリル、水酸化物、アルコキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、カーボネート、カルバメート、グアニデート(guanidates)、アミド、チオレート、リン化物、ヒドラゾネート、イミド、シアン化物、シアネート、チオシアネート、アジド、ニトロ、シロキシドおよびハロゲン化物からなる群より選択され;
L1はXとYを結合する有機部分であり;
L2はX’とY’を結合する有機部分であり;
L1およびL2は同じであっても異なってもよく;
L3は、YとY’を結合する有機部分であり、少なくとも2原子の鎖長を有する。
上記式Iにおける「Y」および「Y’」の言及は、通常「Y」と省略される、金属のイットリウムの省略形と混同すべきではない。その混同を避けるために、金属のイットリウムは、ここでは、「イットリウム」としてしか言及されない。
触媒1を使用した特定の環状エステルの単独重合に関する時間の関数としての転化率を示すグラフ 触媒2を使用した特定の環状エステルの単独重合に関する時間の関数としての転化率を示すグラフ 触媒1を使用したeCLとPDLのワンポット共重合中の時間の関数としての二分子百分率を示すグラフ PDL含有量の関数としての、触媒1を使用したワンポット共重合において調製されたPDL−eCLコポリマーの融点を示すグラフ 触媒2を使用したeCLとPDLのワンポット共重合中の時間の関数としての二分子百分率を示すグラフ PDL含有量の関数としての、触媒2を使用したワンポット共重合において調製されたPDL−eCLコポリマーの融点を示すグラフ 逐次供給技法を使用したeCLとPDLの共重合中に採取されたポリマーの特定サンプルのDSCプロット
本願の発明者等は、意外なことに、個々の環状エステルの(単独)重合速度が異なることがあっても、本発明の方法により、ランダムコポリマーが形成されることを発見した。
本願の発明者等は、理論により厳密に束縛されることを意図するものではないが、本発明の方法に使用した触媒により、環状エステルの重合速度を比較的速くできるだけでなく、エステル交換の速度も速くでき、ブロックコポリマーではなくランダムコポリマーを生じると考えている。
したがって、ここに記載された方法を使用することによって、上述した利点の少なくとも一部が満たされる。
Z基に関して:
前記ホウ水素化物は、BH4-xxであってよく、式中、xは0〜3の整数であり、Rはカルビルまたはアルコキシドであり、
前記アルミニウム水素化物は、AlH4-xxであってよく、式中、xは0〜3の整数であり、Rはカルビルまたはアルコキシドであり、
前記カルビルは、任意の炭化水素、−CR3、−Ar(アリール)、−CR=CR2、−C≡CRであってよく、式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記シリルは、−SiR3であってよく、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記アルコキシドは、−ORであってよく、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキルであり、
前記カルボキシレートは、−OC(=O)Rであってよく、式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記チオカルボキシレートは、−SC(=O)Rであってよく、式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記ジチオカルボキシレートは、−SC(=S)Rであってよく、式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記グアニデートは、−N=C(Ra)N(Rb)RcまたはN(Rb)C(Ra)=NRcであってよく、式中、Ra、Rb、Rcは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記カーボネートは、−OC(=O)ORであってよく、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記カルバメートは、−OC(=O)NR2であってよく、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記アミドは、−NR2であってよく、式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記チオレートは、−SRであってよく、式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記リン化物は、−PR2であってよく、式中、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記ヒドラゾネートは、−N(Ra)N=C(Rb)Rcであってよく、式中、Ra、Rb、Rcは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールであり、
前記イミドは、−N=C(Ra)Rbであってよく、式中、Ra、Rbは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである。
ここに用いた「カルビル」という用語は、アルキル、アリール、ビニルおよびアセチレンを含む炭化水素の全てのタイプを称することを意味する。
好ましい実施の形態において、前記L3有機部分は、少なくとも3原子の、好ましくは多くとも5原子の鎖長を有する。本願の発明者等は、意外なことに、有機部分L3が、Y基とY’基との間に少なくとも3原子の長さを有する場合、3原子未満の長さを有する有機部分L3と比べて、小環サイズのラクトンの重合速度が実質的に増加し、得られたコポリマーのランダム性に影響を及ぼさずに、全体の重合速度が速くなることを発見した。
前記金属Mが、アルミニウム(Al)、イットリウム、スカンジウム、およびランタニドからなる群より選択される三価金属であることが好ましい。金属Mがアルミニウムであることがより好ましい。
一般式(I)による化合物において、XおよびX’が同一であることが好ましい。
一般式(I)による化合物において、YおよびY’が同一であることが好ましい。
一般式(I)による化合物において、L1およびL2が同一であることが好ましい。
置換基Zは、とりわけ、ホウ水素化物またはアルミニウム水素化物であって差し支えない。ホウ水素化物(例えば、BH4)およびアルミニウム水素化物(例えば、AlH4)は、水素化物により結合する陰イオン種である。これは、M(μ−H)2AH2(M=先に定義されている、A=BまたはAl)と表してよい。
Zが、エチルまたはメチルなどの、1〜4の炭素原子を有するカルビル基である、もしくはZが、メトキシド、エトキシド、またはベンジルオキシドなどの、1〜20の炭素原子を有するアルコキシド基であることが好ましい。
Zが1〜4の炭素原子を有するカルビル基である場合、触媒を、例えば、アルコールで活性化させるのに使用すると、それぞれの有機分子が、ガス形態で反応混合物から放出され、残留物が残らない。例えば、Zがエチルである場合、触媒の活性化の際に、エタンが放出される。
結合部分L1、L2およびL3は、X、X’、YおよびY’と共に、金属Mに結合した四座配位子を形成する。この四座配位子は、ポルフィリン、サレンおよびシッフ塩基から選択されることが好ましく、四座配位子がサレンであることがより好ましい。
Xおよび/またはX’が酸素(O)であることが好ましく、XおよびX’が同一であることがより好ましい。Yおよび/またはY’が窒素(N)であることが好ましく、YおよびY’が同一であることがより好ましい。
好ましい実施の形態において、前記触媒は式II
Figure 2016512857
の化合物であり、式中、M、Z、L1、L2、L3が先に定義されたものと同じである。
L1およびL2が、有機部分の以下のリスト:
Figure 2016512857
から選択されることが好ましく、式中、
Q1およびQ2は、それぞれ、YおよびX、またはそれぞれ、Y’およびX’であり;
1は、水素、C1-6アルキル(メチル、エチル、またはプロピルなど)、アリール、フェニルからなる群より選択され;
2およびR3は、水素、C1-10アルキル、シリル、C1-6アルコキシ、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1-10アミン、C1-10ニトロ、C1-10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素と、硫黄と、窒素と、リンとから選択されるヘテロ原子を1から4個含有する5員または6員の複素環からなる群より独立して選択され;
4、R5、およびR6は、水素、C1-10アルキル、C1-10ハロゲン化アルキル(フッ素化アルキルなど)、シリル、C1-6アルコキシ、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1-10アミン、C1-10ニトロ、C1-10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素と、硫黄と、窒素と、リンとから選択されるヘテロ原子を1から4個含有する5員または6員の複素環からなる群より独立して選択されるか、もしくはR4およびR5が一緒になって、1から4のヘテロ原子を必要に応じて含有する5員または6員の環系を形成するか、もしくはR5およびR6が一緒になって、1から4のヘテロ原子を必要に応じて含有する5員または6員の環系を形成する。
前記L3部分は、少なくとも2原子、好ましくは少なくとも3原子の鎖長(YとY’との間)を有し、N、O、F、ClおよびBrから選択されるヘテロ原子を1から10個必要に応じて含有する、2から30の炭素原子を含有する、直鎖または分岐鎖の脂肪族鎖、もしくは環状または芳香族部分であることが好ましい。
L3部分が:
Figure 2016512857
であることが好ましく、式中、R10〜R25が、水素、C1-10アルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルコキシ、および酸素と、硫黄と、窒素と、リンとから選択されるヘテロ原子を1から4個含有する5員または6員の複素環からなる群より独立して選択される。
本発明の方法に使用される触媒化合物が、下記の一般式(III)の化合物
Figure 2016512857
であることがさらにより好ましく、式中、
L3およびZは、先に定義されたのと同じ意味を有し;
1、R2、R3およびR4は、水素、C1-10アルキル、シリル、C1-6アルコキシ、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1-10アミン、C1-10ニトロ、C1-10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素と、硫黄と、窒素と、リンとから選択されるヘテロ原子を1から4個含有する5員または6員の複素環からなる群より独立して選択される。
ここに定義されたよりも大きいかまたは嵩張る、式IIIの置換基R1、R2、R3およびR4は、重合速度にマイナスの影響を有することが分かった。どの理論により拘束することも望まないが、本願の発明者等は、嵩張る残基R1、R2、R3およびR4は、アルミニウムコアの周りに立体障害(これが、モノマーがコアに近づくためのエネルギー障壁を増大させると考えられる)を誘起すると考えている。これは、転じて、反応の速度を実質的に減少させる。
したがって、好ましい実施の形態において、式IIIの触媒の置換基R1、R2、R3およびR4は、比較的小さく、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2,2−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン、アダマンチル、メトキシド、エトキシド、n−ブトキシド、sec−ブトキシド、t−ブトキシド、アリールオキシド、ハロゲン化物からなる群より独立して選択することができる。置換基R1、R2、R3およびR4が、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、およびt−ブチルからなる群より独立して選択されることがさらにより好ましい。置換基R1、R2、R3およびR4が、水素、メチル、およびエチルからなる群より独立して選択されることが最も好ましい。
ある実施の形態において、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも2つが同一である。
さらに別の実施の形態において、置換基R1、R2、R3およびR4の少なくとも3つが同一である。
好ましい実施の形態において、置換基R1、R2、R3およびR4の全てが同一である。そのような実施の形態は、そのような触媒を調製するのがより容易であるために好ましい。
置換基Zが、アルコキシド(−OR、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、カルボキシレート(−OC(=O)R、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、アミン(−NR2、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、チオレート(−SR、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、またはホウ水素化物(BH4-xx、式中、xは0〜3の整数であり、Rは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)であることが好ましい。これらの置換基は、それら自体で開環重合反応を開始することができる。異なるZ置換基(水素化物、必要に応じて置換されたアルキル、または必要に応じて置換されたアリールなど)を有する一般式(III)による化合物を、アルコール、水、カルボン酸、またはアミンなどの適切な開始剤化合物と組み合わせて使用することができる。
開環重合の機構と開始が、当業者に周知であり、例えば、"Handbook of Ring Opening Polymerization, 2009, Eds. Philippe Dubois, Olivier Coulembier, Jean-Marie Raquez, Wiley VCH, ISBN:978 3 527 31953 4"に記載されている。
好ましい実施の形態において、Zは、水素、メチル、エチル、n−オクチル、メトキシ、エトキシ、およびベンゾキシ(−OCH265)からなる群より選択される。
一般式(III)による化合物であって、R1、R2、R3およびR4が、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチルからなる群より独立して選択され、Zが、水素、メチル、エチル、i−プロピル、t−ブチルからなる群より選択され、適切な開始剤との組合せで使用される式(III)の化合物により、良好な結果が得られた。
環状エステル
前記方法に使用される第1の環状エステルは、4〜11原子、好ましくは4〜8原子の環サイズを有する。第1の環状エステルがラクトンであることが好ましく、これは、とりわけ、環内にただ1つのエステル基を有する環状エステルである。この第1の環状エステルは、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、3−メチルオキセタン−2−オン、γ−バレロラクトン、カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ε−デカラクトン、5,5−ジメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン、(S)−γ−ヒドロキシメチル−γ−ブチロラクトン、γ−オクタノラクトン、γ−ノナノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、グリコリド、ラクチド(L、D、メソ)、ヘプタラクトン、オクタラクトン、ノナラクトン、デカラクトンであってよい。
特に好ましい第1の環状エステルは、その商業的入手可能性および反応性を考慮して、ε−カプロラクトン、ε−デカラクトン、β−ブチロラクトン、グリコリドおよびラクチドである。第1の環状エステルが、環内にたった1つのエステル官能基を有することが好ましい。
前記方法に使用される第2の環状エステルは、12〜40原子の環サイズを有する。しかしながら、第2の環状エステルの環サイズが12から24原子であることが好ましい。第2の環状エステルがラクトンであることが好ましい。第2の環状エステルが、その商業的入手可能性および/または製造の容易さおよび良好な反応性を考慮して、例えば、11−ウンデカラクトン、12−ドデカラクトン、13−トリデカラクトン、14−テトラデカラクトン、15−ペンタデカラクトン(またはω−ペンタデカラクトン)、Globalide(登録商標)、16−ヘキサデカラクトン、アンブレットリド、17−ヘプタデカラクトン、18−オクタデカラクトン、19−ノナデカラクトンであってよい。特に好ましい第2の環状エステルは、その商業的入手可能性および/または製造の容易さおよび良好な反応性を考慮して、ペンタデカラクトン、18−オクタデカラクトン、「Globalide」およびアンブレットリドである。第2の環状エステルが環内にたった1つのエステル官能基を有することが好ましい。
特に好ましい実施の形態において、第1の環状エステルはε−カプロラクトンであり、第2の環状エステルはω−ペンタデカラクトンである。
第1および/または第2の環状エステル、特にラクトンは、どの異性体であってもよく、開環重合を妨げない有機置換基を環にさらに含有してもよい。そのような環状エステルの例としては、4−メチルカプロラクトン、1,5−ジオキセパン−2−オン(3位でのエーテル置換基)、リシノール酸のラクトン((共1(co-1))位で分岐したヘキシルを有する10員環)またはその水素化したもの、13−ヘキシルオキサシクロトリデカン−2−オン(共位(co-position)にヘキシル鎖を有する大員環)などが挙げられる。
第1および/または第2の環状エステルが環内に1つ以上の不飽和を含むことがさらに可能である。そのような環状エステルの例としては、5−テトラデセン−14−オリド、11−ペンタデセン−15−オリド、12−ペンタデセン−15−オリド(「Globalide」としても知られている)、7−ヘキサデセン−16−オリド(アンブレットリドとしても知られている)、9−ヘキサデセン−16−オリドが挙げられる。
第1および/または第2の環状エステルが、開環重合を妨げないという条件で、環内に1つ以上のヘテロ原子をさらに有してもよい。そのような環状エステルの例としては、10−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、12−オキサヘキサデカノリド、および12−オキサヘキサデセン−16−オリドが挙げられる。しかしながら、第1および/または第2の環状エステルが環内にヘテロ原子を含有しないことが好ましい。
ここに用いた環サイズという用語は、前記環状エステルの環を形成する原子の数を指す。例えば、カプロラクトンは、7員環、すなわち、7の環サイズを有する。カプロラクトンの環は、6つの炭素原子および1つの酸素原子からなる。
好ましい実施の形態において、4から11原子の第1の環サイズを有する1つの第1の環状エステルが、12から40原子の第2の環サイズを有する1つの第2の環状エステルと共重合される。
方法
ここに記載された方法において、第1と第2の環状エステルの合計量と触媒との間の分子比は、好ましくは20:1〜1000:1の範囲、好ましくは40:1〜750:1の範囲、より好ましくは50:1〜500:1の範囲にある。必要に応じて、本発明の方法に使用される触媒は、好ましくはほぼ当モル量で、開始剤との組合せで適用されてもよい。本発明の方法に適した開始剤としては、アルコール、水、カルボン酸、およびアミンなどのプロトン性試薬が挙げられる。そのような開始剤は、当業者に周知であり、その例が、例えば、Clark et al., Chem.Commun. 2010, 46, 273-275およびその中に引用された文献に見つけることができ、これらの文献をここに引用する。
開環共重合が開始剤の存在下で行われる実施の形態において、開始剤と触媒との間のモル比は、開始剤として使用される試薬が連鎖移動剤としても使用されていない限り、通常は約1:1である。そのような場合、環状エステルと開始剤との間のモル比は、本発明の方法にしたがって調製されるコポリマーの分子量を調整するためのツールとして使用できる。その程度まで、本願の発明者等は、コポリマーの分子量が、環状エステルと開始剤の増加する比とほぼ線形に増加することを発見した。
開始剤が連鎖移動剤として使用される実施の形態において、開始剤は、活性部位当たり複数の鎖を生じるために、触媒に対して過剰に加えられる。適用される触媒の量は、触媒効率の増加のために、連鎖移動剤の存在下で減少させることができる。連鎖移動剤のモル量は、存在する場合、典型的に、触媒のモル量の1〜10000倍の範囲、好ましくは、触媒のモル量の10〜100倍の範囲にある。
開環重合反応が、触媒、特に、アルミニウムとサレンの錯体が、不活性雰囲気下でよりよく機能するという理由のために、窒素雰囲気などの不活性雰囲気下で、好ましくは(かなりの量の)水のない状態で、行われることが好ましい。
本発明の方法における共重合が一段階で行われることが好ましく、これは、第1と第2の環状エステルが同時に反応することを意味する。そのような技法は、ワンポット合成と称されることもある。モノマーが順々に加えられる逐次供給技法は、したがって、そのような一段階技法とは考えられない。
所望であれば、本発明の開環共重合は、脂肪族または芳香族炭化水素(例えば、ヘプタン、トルエン)、ハロゲン化脂肪族または芳香族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ブロモベンゼン)、およびエーテル(例えば、ジエチルエーテル)などの溶媒の存在下で行って差し支えない。溶媒は、環状エステルを溶解させるために、および/または重合反応速度および選択率を増加させるために使用してよい。しかしながら、開環共重合は、バルクモノマー中で行ってもよい。
本発明の方法は、ポリエチレン標準を使用して160℃で1,2,4−トリクロロベンゼン中でのサイズ排除クロマトグラフィーにより測定して、10000g/モル以上の数平均分子量を有するコポリマーの調製のために使用することができる。数平均分子量が15000g/モル以上、またはさらに20000g/モル以上であることが好ましい。
ある実施の形態において、本発明の方法により調製されたコポリマーの数平均分子量は、10000〜200000g/の範囲にある。得られた分子量は、環状エステルと開始剤との間のモル比に依存し、さらに反応に利用される第1と第2の環状エステルのタイプに依存する。数平均分子量が15000g/モル以上、またはさらには20000g/モル以上であることが好ましい。少なくとも35000g/、少なくとも50000g/モルの数平均分子量がさらにより好ましいが、実際的な上限は、300000g/モルまたは200000g/モルまたは150000g/モルであろう。
本発明の特別な実施の形態において、前記コポリマーは、100000〜200000g/の範囲などの100000g/モル以上の数平均分子量を有する。
本発明の方法により調製されるコポリマーは、重量平均分子量と数平均分子量との間の比(Mw/Mn)として定義される、1.5〜4の範囲などの1.2〜5の範囲の多分散性指数を有し得る。
本発明の方法は、特に、この方法が、YとY’との間の鎖長が少なくとも3原子であるL3有機配位子を有する触媒を含む場合、第1の環状エステルについて比較的速い開環重合速度を、第2の環状エステルについて中くらいの重合速度をもたらすことが分かった。
潜在的に、反応速度のこの差により、ワンポット合成過程、すなわち、第1と第2の環状エステルの両方が反応槽に一緒に加えられる重合を使用して、ブロックまたは少なくともブロック状のコポリマーの調製が見込まれるであろう。意外なことに、本願の発明者等は、ブロック状のコポリマーではなく、ランダムコポリマーが得られることを観察した。それは、NMR測定並びに第1および/または第2の環状エステルの相対量に関する組成物に対するコポリマーの融点のプロットにより確認された。それに拘束することを望まないが、本願の発明者等は、この効果を、効率的かつ迅速なエステル交換を可能にし、ブロックコポリマーではなくランダムコポリマーの形成をもたらす触媒によるものだと見ている。上記に加え、本願の発明者等は、第1と第2の環状エステルの逐次供給は、最初に、ブロックまたはブロック状のコポリマーを生じるが、反応の継続期間の際のエステル交換により、それでも、ランダムコポリマーを生じることを観察した。ランダムコポリマーではなくブロックコポリマーを形成することが望ましい場合には、本発明の方法には、最後の順番で加えられたモノマーが所望の転化率まで反応した後、その触媒を失活させるさらに別の工程が必要であろう。当業者は、そのように得られたブロック状コポリマーが完全なブロックコポリマーではないであろうことを理解するであろう。ランダムコポリマーを形成するために、触媒を失活させる工程を排除してもよいをさらに理解すべきである。当業者は、モノマーを供給する順序により、ブロック状のコポリマーが全く生じないことがあることをさらに理解するであろう。
前記方法を、ラクトンの酵素を使用した開環重合に使用される酵素が通常分解するであろう、比較的高い工程温度で行えることが都合よい。典型的に、本発明の方法は、80〜175℃の範囲、または90〜150℃の範囲などの、70〜180℃の範囲の温度で行うことができる。
本発明の方法に使用される触媒の量は比較的少ないので、コポリマー製品が一旦調製されたら、それから触媒を分離する必要は直接にはない。しかしながら、どのような理由であれ、コポリマーから触媒を分離する必要がある場合には、例えば、適切な溶媒中のポリマーの沈殿によって、分離を容易に行うことができる。
コポリマーのランダム性
本発明のコポリマーは、少なくとも0.50、好ましくは少なくとも0.80、より好ましくは少なくとも0.90、より好ましくは少なくとも0.95、最も好ましくは0.98のランダム性を有するランダムコポリマーである。
定義により、ランダム性は、2.0の値が完全に交互コポリマーに属するので、2.0未満である。本発明のコポリマーのランダム性の好ましい範囲は、0.5から1.5、より好ましくは0.5から1である。
ここに用いたランダム性は、以下のように定義され:
Figure 2016512857
式中、
1=コポリマー中の第1の環状エステルに由来する連鎖の平均連鎖長。最初に、第1の環状エステル−第1の環状エステル二分子と第1の環状エステル−第2の環状エステル二分子との間の比を、13C NMR技法を使用して測定し、その後、以下のように、L1を計算する:
Figure 2016512857
式中、I1st-1stは、13C NMRにより決定される第1の環状エステル−第1の環状エステル二分子の積分を表し、I1st-2ndは、13C NMRにより決定される第1の環状エステル−第2の環状エステル二分子の積分を表す。
2=コポリマー中の第2の環状エステル部分に由来する連鎖の平均連鎖長。最初に、第2の環状エステル−第2の環状エステル二分子と第2の環状エステル−第1の環状エステル二分子との間の比を、13C NMR技法を使用して測定し、その後、以下のように、L2を計算する:
Figure 2016512857
式中、I2nd-2ndは、13C NMRにより決定される第2の環状エステル−第2の環状エステル二分子の積分を表し、I2nd-1stは、13C NMRにより決定される第2の環状エステル−第1の環状エステル二分子の積分を表す。
1-random=完全にランダムなコポリマー中の第1の環状エステル部分の平均長であり、以下のように決定される:
Figure 2016512857
2-random=完全にランダムなコポリマー中の第2の環状エステル部分の平均長であり、以下のように決定される:
Figure 2016512857
1およびX2は、それぞれ、第1と第2の環状エステルの、例えば、%で表された転化率を表し、C1,t=0およびC2,t=0は、それぞれ、第1と第2の環状エステルの、例えば、モル/lで表された、出発濃度を表す。
完全なランダムコポリマーについて、ランダム性は1であるのに対し、完全なブロックコポリマーについて、ランダム性は0である。
本発明の目的のために、以下の分類を作成してもよい。0より大きいが0.1未満であるランダム性(R)を有するコポリマーは、ブロック状のコポリマー(これらは完全なブロックコポリマーではない)と見なしてもよい。そのようなコポリマーは、一般に、それぞれのブロックの融点に対応する2つの別個の溶融ピークを示す。0.1から0.5のランダム性を有するコポリマーは、中間ランダムコポリマーと称してもよい。そのようなコポリマーは、0と0.1の間のランダム性を有するコポリマーについて観察された2つの別個の溶融ピークではなく、著しく広い溶融ピークを示す傾向にある。0.5より高く0.9までのランダム性を有するコポリマーは、高度ランダムコポリマーと称してもよい。本願の発明者等は、0.5以上のランダム性値で、コポリマーは、単一のより狭い溶融ピークを示すことを観察した。0.5のランダム性より高いと、溶融ピークは、ランダム性の数が増加するにつれて、狭くなる。これに厳密に拘束することを望まないが、本願の発明者等は、溶融ピークは、異種領域の存在を表すと考えている。したがって、異種領域が存在しない場合(少なくとも0.5のランダム性を有するコポリマーの場合のように)、コポリマーの(機械的)性質はより均一である。最後に、0.9超のランダム性を有するコポリマーは、完全にランダムなコポリマーと称してもよい。1を超えるランダム性を有するコポリマーは、ある量の交互の第1と第2の環状エステルを含む。1.9のランダム性値を超えると、コポリマーは、交互コポリマーと考えられるであろう。
本発明の方法により得られるコポリマーは、数平均分子量、多分散性指数、第1と第2の環状エステルのタイプとそれぞれの量などのそれぞれの性質に応じて幅広い用途に使用することができる。
それらのコポリマーは、高い機械的強度を有する繊維の製造に使用してもよい。特に、高い分子量および比較的低い多分散性指数を有するコポリマーが、この目的に適している。
それらのコポリマーはさらに、生物医学的用途に使用してもよい。この点に関して、コポリマーの分解性をコモノマーの選択により調整できることが非常に都合よい。例えば、比較的小さい環サイズを有するラクトンからの(コ)ポリマーが、大きい環サイズを有するラクトンよりも生分解性が高いことが公知である。それゆえ、コポリマーの組成(すなわち、第1と第2のラクトンの選択と量)を調整することによって、所望の生分解性を得ることができる。コポリマーがランダムになるほど、この生分解性がより均一になる。
生物医学的用途の例としては、ネジ(骨用など)、足場材料、縫合糸、薬物送達装置などが挙げられる。
それらのコポリマーはさらに、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリオレフィンなどの、他のポリマー材料をさらに含むポリマー組成物に使用してもよい。
本発明の方法により、さらに、第1と第2の環状エステルの各ホモポリマーの融点の間の調整された融点を有するコポリマーを得ることができる。そのような調整は、例えば、3Dプリント用途において都合よいであろう。それらのコポリマーはさらに、成形部品およびフイルムを製造するために使用してもよい。
本発明をここで、および決して制限が意図されていない実施例と図面によって、さらに説明する。
試薬
全ての溶媒と試薬は、別記しない限り、商業的供給源から購入した。p−キシレン(99.9%)をナトリウム上で乾燥させ、窒素雰囲気下で分別蒸留し、使用前に脱気した。ヘキサデカノール、ペンタデカラクトン、ε−デカラクトン、アンブレットリド、ε−カプロラクトンおよびβ−ブチロラクトンは、使用前に窒素雰囲気下でCaH2から新たに蒸留した。乳酸はCaH2上で乾燥させ、使用前に昇華させた。トルエンは、精製カラムに通し、使用前に脱気した。
分析
1H NMRおよび13C NMRスペクトルを、CDCl2中の周囲プローブ温度で、オートサンプラを備えたVarian Mercury 400MHz分光計の5mmの管に記録した。化学シフトは、ppm対テトラメチルシラン(TMS)で報告されており、TMSを参照することにより決定した。共重合反応の後に、CP−WAX 52 CB、0.25mm×25m(DF=0.2μm)カラムを用いたフレームイオン化検出器(FID)を備えたShimadzu GC−2010を使用してガスクロマトグラフィー(GC)を行った。注入温度と検出温度の両方とも270℃に設定した。内部標準としてp−キシレンを採用した内部標準法を使用して、環状エステル(ラクトン)転化率を決定した;全てのサンプルは、Shimadzu AOC−20iオートサンプラを使用して測定した。
PPDLのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、連続して3つのPLgel Olexis(300×7.5mm、Polymer Laboratories)カラムを備えたPolymer Laboratories PLXT−20 Rapid GPC Polymer Analysis System(屈折率検出器および粘度検出器)を使用して、160℃で行った。1,2,4−トリクロロベンゼンを1mL/分の流量で溶離液として使用した。分子量は、ポリエチレン標準(Polymer Laboratories)に対して計算した。
オートサンプラとして、Polymer Laboratories PL XT−220ロボットサンプル取扱システムを使用した。
(コ)ポリマーの融点を決定するための示差走査熱量計(DSC)分析を、10℃/分の加熱速度で、TA Instruments社からのDSC Q100で行った。最初と二回目の実験を、約20℃に冷却した後に記録した。報告された溶融温度は、二回目の実験における溶融ピークに対応する。
触媒調製
触媒は、例えば、特許文献2に開示された手法などの当該技術分野で公知の手法によって調製した。サレンタイプの触媒の調製は、当業者によく知られている。
実験1:単独重合
環状エステルのε−カプロラクトン(eCL)、ω−ペンタデカラクトン(PDL)、アンブレットリド(Amb)、ブチレンアジピン酸のジエステル(DBA)、乳酸(LLA)、ε−デカラクトン(eDL)、β−ブチロラクトン(bBL)の重合の反応速度を研究した。これらの環状エステルの内、eCL、LLA、eDLおよびbBLはここに定義された第1の環状エステルの種であるのに対し、PDL、DBAおよびAmbは、ここに定義された第2の環状エステルの種である。
これらの環状エステルは、下記の表1におけるように2種類の異なる触媒で反応させた。
Figure 2016512857
開始剤として、ヘキサデカノールを使用した。その程度まで、重合前に、100℃の温度で、それらの触媒を当モル量のヘキサデカノールと予混合した。重合は、窒素雰囲気下において100℃の温度でp−キシレン中で行った。1.00モルの環状エステルに対して、10.0ミリモルの触媒を使用した。モノマーの転化率を、1H NMRを使用して測定した。
これらの実験の結果は、触媒1について、第1の環状エステル(eCLを除く)の反応速度は第2の環状エステルの反応速度よりも遅いことを示している。eCLの挙動は、他の第1の環状エステルは、ある程度、立体障害を生じることのある側鎖を環に有し、それにより、重合速度がいくぶん遅くなるという事実によって説明されるであろう。触媒2について、第1の環状エステルの反応速度は、意外なことに、著しく増加することが判明し、一方で、第2の環状エステルの反応速度は、おおよそ不変のままであった(すなわち、20分後に0.6の転化率)。本願の発明者等は、この効果を、2から3原子のL3(触媒における)のサイズの増加によるものと考えている。下記の表2は、同じ結論に達することのできる結果を纏めている。
Figure 2016512857
触媒1により触媒された開環重合のいくつかの興味深い特徴が、図1、2および表2に観察することができる。まず最初に、第2の環状エステルの全てが、3.9〜5.2l/モル・分に及ぶ、同様の比較的高い反応速度係数を有する。それゆえ、これらの第2の環状エステルに関する環サイズの小さい差により、反応速度に著しい差は生じないようであり、これは、第2の環状エステルがほとんどから全く環歪みを持たないという事実により説明できる。本願の発明者等は、反応速度は、主に、モノマーが、活性部位に配位しながら、自体の大きいサイズから経験する立体障害により決定されると考えている。歪んだ環について、反応性は、あるモノマーから別のモノマーで異なるであろう。その点に関して、eCLは、触媒1を使用して、44l/モル・分の反応速度係数で速く重合する一方で、eCLと同じ環サイズを有するが、α−メチレン位置にブチル鎖を含むeDLは、二桁遅い速度で反応することに留意されたい。理論に拘束することは望まないが、本願の発明者等は、このことは、成長鎖のβ位置でのブチル鎖の立体障害(これは、入ってくる分岐したモノマーが配位するのを妨げる)によるものであると考えている。触媒1によって極めて遅く重合するbBLについても、同じ傾向が観察できる。LLAについても、立体障害が決定要因であるが、eDLとbBLの場合よりも、速度に影響しないようである。触媒1と触媒2との間の最も著しい違いが、第1と第2の環状エステルの間の反応速度の比較において見つけられる(図1、2、表2)。図に示すように、第2の環状エステルの反応速度は、触媒1を触媒2と比べた場合に、わずかしか変化しない。しかしながら、反応速度は、第1の環状エステルについて、少なくとも一桁の大きさ、劇的に上昇する。eCLについて、速度は、バイアル内へのモノマーの注入と、その後の30秒間の反応停止により、99%超の転化率を生じるほど速かった。したがって、速度定数は、この唯一の値を使用して決定し、少なくとも900l/モル・分である。
実験2
実験1は、触媒1および2が、第1と第2の環状エステルに対して、特に、触媒2について、反応性の違いを示すことを明らかにした。反応性におけるこの違いは、速度論的分割を通じて、ワンポット反応において第1の環状エステルのブロックと第2の環状エステルのブロックからなる、ブロックコポリマーを合成する能力をもたらすと予測された。
その程度まで、PDLおよびeCLを最初に、触媒1によるワンポット反応において共重合させた。このとき、PDLとeCLの濃度は等しく、0.59モル/lであった。触媒1の触媒濃度は13.0ミリモル/lであり、反応温度は100℃であった。規定の時間間隔でサンプルを採取した。
1H NMRにおけるPDL、PPDL、およびPCLのピークは、明白に区別できないので、GC−FIDを使用したPDLの残留量を測定することにより転化率を決定し、その後、1H NMRによりeCLの転化率を決定した。両方のモノマーが、単独重合中と同じ反応速度を示すことが分かり、これは、テーパ形PCL−PPDLブロックとPPDLブロックからなる、ブロック状構造を生じると予測された。
様々な反応時間で得られたポリマーを、メタノール中で2回沈殿させ、真空下で乾燥させた。ポリ(eCL−co−PDL)コポリマーにおけるモノマー配列を調査するために、13C NMRを使用して、PDL−PDL、eCL−eCL、eCL−PDL、およびPDL−eCL結合の比を、これらの結合の各々について、α−メチレン炭素により生じる二分子の組込みを比較することによって決定した。これらの結合の全ては、63.9〜64.6領域に別個の共鳴を有する。
図3から、最初に、多くのCL−CL二分子(重合の最初の数分のCLの高い転化率により生じる)が存在することが分かる。しかしながら、反応が続くにつれて、全ての二分子分率が0.25に近づく。この二分子分率から、反応中のランダム性は約1であると計算でき、これは、予測された(テーパ形)ブロックコポリマーではなく、完全にランダムなコポリマーが得られることを意味する。このことから、触媒1により触媒されたエステル交換は非常に速く、少なくとも、PDLの重合速度と同じ桁数であると結論付けられる。
得られたポリ(eCL−co−PDL)コポリマーの高いランダム性は、組成と融点との間の関係によっても確認され、この関係は、実質的に、図4に観察できるように、2つのホモポリマーの融点の線形結合である。
実験3
第2の共重合の実験において、触媒2を使用して、eCLとPDLを共重合させた。PDLの濃度は0.50モル/lであり、eCLの濃度は0.51モル/lであり、触媒2の濃度は10ミリモル/lであった。重ねて、これらのモノマーは、個々の単独重合に見られたのと同じ反応速度を示すことが分かった。反応温度は100℃であった。規定の時間間隔でサンプルを採取した。
実験2における触媒1を使用した共重合とは対照的に、反応混合物が所望の反応温度に加熱される前に、eCLはすでに転化されたことが分かった。その後、PDLは徐々に重合した。この観察に基づいて、ほぼ完全なブロックコポリマーのポリ(eCL−co−PDL)が予測された。
しかしながら、図5から、eCL−eCL結合とPDL−PDL結合に次に、全ての二分子が約0.25の分率に到達するまで、PDL−eCL結合とeCL−PDL結合の数も急激に増加することが明らかである。これらの結果からランダム性を計算すると、重合中に得られたコポリマーの全てが実質的に完全にランダムなコポリマーであるようである。本願の発明者等は、これは、速いエステル交換によるものであり得ると考えている。
図6は、図4と同様にこのことを裏付けており、PDL分率の関数としてのコポリマーの融点を示している。図6は、融点対PDL分率の直線関係を明白に示しており、その上限と下限は、それぞれ、PDLとeCLの融点に対応する。このことから、触媒2も高効率のエステル交換触媒であると結論付けられる。このエステル交換速度は、PDLの重合速度と少なくとも同じ桁数である。
実験4
これらの「ワンポット」共重合実験2および3に続いて、本願の発明者等は、触媒2を使用し、モノマーを供給するための逐次供給技法を適用して、さらに別の共重合実験を行った。その程度まで、PDLを、17.0ミリモル/lの濃度で触媒2を使用して、6つの別々のクリンプキャップ付きバイアル内で最初に重合させた。このとき、PDLの濃度は0.83モル/lであり、反応温度は100℃であった。重合は90分間に亘りp−キシレン中で行った。これにより、PDLが完全に転化された。それに続いて、eCLの濃度が1.8モル/lのp−キシレン中500mgのeCLの溶液を、上記バイアルの内の5つに注入し、反応を、それぞれ、1分(t1)、5分(t5)、10分(t5)、60分(t60)、および1410分(t1410)で停止させた。
表3に示されるように、全てのサンプルはほぼ完全なPDLとeCLの転化を示した。様々な時間で得たコポリマーの二分子を分析した場合、t1について、0.05のランダム性が観察された。このランダム性のそのような値は、t1で得たコポリマーは、ブロック状のコポリマーと称することができることを意味する。しかしながら、このコポリマーは、このサンプルを真の(または完全な)ブロックコポリマーと称するのは不適切であろうほど特定のランダム特徴をすでに有する。同様に、触媒が失活されなければ、特に、そのようなポリマーがより高い温度で加工される場合、例えば、射出成形または配合中に、エステル交換が継続するであろう。その後、ブロック状構造は、コポリマーのより高いランダム性を受けて、急速に失われるであろう。
反応時間を増加させた際に、ランダム性が増加したコポリマーが得られた。1時間後(t60)、ランダム性は0.90を軽く上回り、それゆえ、得られたコポリマーは、実質的に完全にランダムなコポリマーであることが分かった。
ランダム性は、図7に纏められている、DSC測定によっても確認した。サンプルt1は、それぞれ、90.9℃と59.0℃で2つの融点を示した。これは、ブロック(状)コポリマーの典型的な特徴である。90.9℃の融点はPDLの豊富なブロックに対応し、59.0℃の融点はeCLの豊富なブロックに対応する。PCLブロックの融点はPCLホモポリマーの融点より高いので、本願の発明者等は、PCLブロックがある程度のPDLを含有すると結論付けている。同様に、PPDLブロックの融点はPPDLホモポリマーの融点より低いので、本願の発明者等は、PPDLブロックはある程度のeCLをすでに含有すると結論付けている。
前記コポリマーがさらに反応させられると、エステル交換が反応を占め、0.22のランダム性を有するコポリマーがt5で得られる。このt5のコポリマーのみが、多種多様なPPDL−PCL組成の存在を示す、長い低温テールを有する1つの明白な溶融ピークを有し、これは、85.2℃で主に溶融する。
その後の長いエステル交換時間により、t1410について、61.7℃へと、融点がさらに減少し、これは、同様の組成を有する完全にランダムなコポリマーと同程度である。
本願の発明者等は、サイズ排除クロマトグラフィーを使用することにより、サンプルt1の2つの溶融ピークは2つのホモポリマーのブレンドの結果ではないと確認した。
Figure 2016512857
ここに他に特に規定がなければ、アルコキシドを含むアルキル基は、1から22の炭素原子を有して差し支えなく、アリールオキシドを含むアリール基は、6から32の炭素原子を有して差し支えなく、カルボキシレート、チオカルボキシレート、およびジチオカルボキシレートは、1から22の炭素原子を有して差し支えなく、アミドおよびチオレートは、1から22の炭素原子を有して差し支えなく、ハロゲン化物は、F、Cl、Br、またはIであり得る。
ここに用いた「置換された(substituted)」とは、置換された原子の通常の価数を超えないという条件で、水素の代わりに、ハロゲン化物(例えば、F-、Cl-、Br-、I-)、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミノ、アジド、アミジノ、ヒドラジノ、ヒドラザノ、カルボニル、カルバミル、チオール、C1からC6のアルコキシカルボニル、エステル、カルボキシル、またはその塩、スルホン酸またはその塩、リン酸またはその塩、C1からC20アルキル、C2からC16アルキニル、C6からC20アリール、C7からC13アリールアルキル、C1からC4オキシアルキル、C1からC20ヘテロアルキル、C3からC20ヘテロアリール(すなわち、少なくとも1つの芳香環を含む基、少なくとも1つの環形成元素が炭素以外である)、C3からC20ヘテロアリールアルキル、C3からC20シクロアルキル、C3からC15シクロアルケニル、C6からC15シクロアルキニル、C5からC15ヘテロシクロアルキル、または先のものの内の少なくとも1つを含む組合せから独立して選択された置換基少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6以上)により置換された化合物またはラジカルを意味する。

Claims (15)

  1. コポリマーを調製する方法において、4から11の原子の第1の環サイズを有する第1の環状エステルと12から40の原子の第2の環サイズを有する第2の環状エステルを提供する工程、および前記第1と第2の環状エステルに、式I
    Figure 2016512857
    の化合物を触媒として使用して、開環共重合を行う工程を有してなる方法:
    式中、
    Mは、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、イットリウム、スカンジウムおよびランタニドからなる群より選択される三価金属であり;
    XおよびX’は両方ともヘテロ原子であり、同じであっても異なってもよく;
    YおよびY’は、O、N、SおよびPからなる群より独立して選択され;
    Zは、水素、ホウ水素化物、アルミニウム水素化物、カルビル、シリル、水酸化物、アルコキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、カーボネート、カルバメート、グアニデート(guanidates)、アミド、チオレート、リン化物、ヒドラゾネート、イミド、シアン化物、シアネート、チオシアネート、アジド、ニトロ、シロキシドおよびハロゲン化物からなる群より選択され;
    L1はXとYを結合する有機部分であり;
    L2はX’とY’を結合する有機部分であり;
    L1およびL2は同じであるか異なり;
    L3は、YとY’を結合する有機部分であり、YとY’との間に少なくとも2原子の鎖長を有する。
  2. 前記有機部分L3が、N、O、F、ClおよびBrから選択されたヘテロ原子を1から10必要に応じて含有する、2から30の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖脂肪族鎖、もしくは環状または芳香族部分である、請求項1記載の方法。
  3. 前記有機部分L3が、YとY’との間に少なくとも3原子の、好ましくは多くとも5原子の鎖長を有する、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記三価金属Mが、アルミニウム、イットリウム、およびスカンジウムからなる群より選択され、好ましくはアルミニウムである、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
  5. 前記結合部分L1、L2およびL3が、X、X’、YおよびY’と共に、金属Mに結合した四座配位子を形成し、該四座配位子が好ましくはサレンである、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
  6. Zが、アルコキシド(−OR、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、カルボキシレート(−OC(=O)R、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、アミン(−NR2、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、チオレート(−SR、式中、Rは、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)、またはホウ水素化物(BH4-xx、式中、xは0〜3の整数であり、Rは必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリールである)からなる群より選択される、請求項1から5いずれか1項記載の方法。
  7. 前記触媒が式IIの化合物
    Figure 2016512857
    である、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
  8. 前記触媒が式IIIの化合物
    Figure 2016512857
    であり、式中、
    1、R2、R3およびR4は、水素、C1-10アルキル、シリル、C1-6アルコキシ、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1-10アミン、C1-10ニトロ、C1-10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素と、硫黄と、窒素と、リンとから選択されるヘテロ原子を1から4個含有する5員または6員の複素環からなる群より独立して選択される、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
  9. 1、R2、R3およびR4は、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2,2−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン、アダマンチル、メトキシド、エトキシド、n−ブトキシド、sec−ブトキシド、t−ブトキシド、アリールオキシド、およびハロゲン化物からなる群より独立して選択される、請求項8記載の方法。
  10. 前記第1の環状エステルがラクトンである、および/または第2の環状エステルがラクトンである、請求項1から9いずれか1項記載の方法。
  11. 前記第1の環状エステルが4〜8原子の第1の環サイズを有する、または前記第2の環状エステルが12〜24原子の第2の環サイズを有する、または前記第1の環状エステルが4〜8原子の第1の環サイズを有し、かつ前記第2の環状エステルが12〜24原子の第2の環サイズを有する、請求項1から10いずれか1項記載の方法。
  12. 前記共重合が一段階で行われる、請求項1から11いずれか1項記載の方法。
  13. 4から11の原子の第1の環サイズを有する第1の環状エステル、好ましくはラクトンと、12から40の第2の環サイズを有する第2の環状エステル、好ましくはラクトンとのコポリマーであって、該コポリマーが、少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.80、かつ好ましくは多くとも1.5のランダム性を有し、該ランダム性は説明に記載された方法にしたがって決定され、前記コポリマーが、ポリエチレン標準を使用して160℃で1,2,4−トリクロロベンゼン中のサイズ排除クロマトグラフィーにより決定して少なくとも15000g/モルの数平均分子量を有する、コポリマー。
  14. 前記コポリマーが、請求項1から12いずれか1項の方法により得られる、請求項13記載のコポリマー。
  15. 請求項13または14記載のコポリマーと、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、およびポリアミドからなる群より選択される追加のポリマーとを有してなるポリマー組成物。
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