JP2016521772A - ポリエステルを調製する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリエステルを調製する方法において、12〜40個の原子の環サイズを有する第1の環状エステルを提供する工程と、第1の環状エステルを、式Iの触媒と接触させることによって、第1の環状エステルを、開環重合に供する工程とを含む方法に関する。

Description

本発明は、ポリエステルホモポリマーまたはポリエステルコポリマーを調製する方法に関する。
ポリエステルは、例えば、生体適合性、生分解性、および薬剤透過性を含むそれらの特性のため、興味深い材料である。さらに、ポリエステルは、フィルム用途に使用される際に、好ましいバリア特性、特に、酸素バリア特性を示し得る。したがって、ポリエステルは、医薬品および食品包装用途のために高い関心を集めている。これらの目的のために、設計された(engineered)構造を有する材料が必要とされ、これは、重合反応に対する高いレベルの制御の必要性を示唆する。さらに、適切な特性により、特定のポリエステルは、様々な用途においてポリエチレンの興味深い生分解性の代替物となり得る。
例えば重縮合を用いた、従来のポリエステル合成手法では、これらの材料の制御された合成を長くて面倒なプロセスにし得る基本的な問題が生じる。例えば、重縮合によるポリエステルの調製には、化学量論的問題、高い転化率の必要性および反応中に形成される小分子の除去が伴い得る。これらの従来の手法の好適な代替手段は、環状エステル、特に、ラクトンの開環重合である。この重合は、環状モノマーが、「開環(open up)」し、鎖成長プロセスによってポリマー鎖を形成することに基づくものである。しかしながら、開環重合反応はまた、特に、アニオン性またはカチオン性開始剤が使用される場合、制御するのが難しいことがある。開環重合反応は、穏やかな重合条件下で、十分な転化率で、酵素を用いて行われ得ることが知られている。例えば、カンジダ・アンタークティカ(Candida Antarctica)リパーゼB(CALB)などのリパーゼが、ラクトンの開環重合に非常に有効であり、比較的大きい環サイズを有するラクトンの非常に高い重合速度を示す。このプロセスにおけるラクトンの反応性は、小さいラクトンの大きい環ひずみではなく、大環状ラクトン中に存在するトランソイドのエステル結合の立体配座をリパーゼが好むことによって制御される。したがって、大環状ラクトンは、CALBによって容易に重合され得る。例えば、150000g/mol以下の数平均分子量を有するポリ−ペンタデカラクトン(PPDL)が、報告されている(非特許文献1および非特許文献2)。
しかしながら、得られるポリエステルの分子量および多分散指数に対する制御が制限されることがあり、さらに重要なことに、酵素が、典型的に、比較的高い反応温度に耐えられないため、酵素による開環重合は、適用される温度によって強く制限される。さらに、ラクトンの開環重合に使用され得る酵素は、かなり高価である。
酵素的開環重合の制限を考慮して、好適な代替的な金属媒介開環重合プロセスを発見する試みが行われてきた。このようなプロセスは、求核性開始剤を用いることによって、ポリマーの分子量、分子量分布、コポリマーの組成およびトポロジーおよび末端基に対する高いレベルの制御を可能にするため、特に魅力的である。ラクトンの開環重合の背後にある原動力は、環状エステルからポリエステル鎖への移行における環ひずみの解放または、熱力学的には、エンタルピーのマイナスの変化によるものであるということで、一般的に意見が一致している。結果として、環ひずみは、環状エステルの環サイズの増加とともに減少するため、金属媒介開環重合における反応性も同様である。実験的に、このことは、触媒/開始剤としてオクタン酸亜鉛/ブチルアルコールを用いた、様々なサイズのラクトンの開環重合の比較研究において、Dudaによって示された(非特許文献3)。相対的な重合速度が、6員ラクトン(β−バレロラクトン)および7員ラクトン(ε−カプロラクトン)のそれぞれについて、2500および330であることが分かったが、12〜17員ラクトンの反応速度は、約1に過ぎなかった。酵素的開環重合について報告されるのと同様の転化率および分子量を達成することが可能なラクトンの金属媒介開環重合のための好適な触媒を提供し、金属媒介開環重合の良好な熱安定性および分子量、分子量分布および末端基の制御に関する、金属媒介開環重合の多用途性(versatility)をさらに得る必要性を考慮して、特許文献1には、ポリエステルを調製する方法において、6〜40個の炭素原子の環サイズを有する任意選択的に置換されたラクトンを提供する工程と;前記ラクトンを、一般式(I):
Figure 2016521772
(式中、
Mが、Al、Ti、V、Cr、MnおよびCoからなる群から選択され;
XおよびX’が、独立して、ヘテロ原子であり、好ましくは、XおよびX’が同一であり;
YおよびY’が、独立して、O、N、S、P、C、Si、およびBからなる群から選択され、好ましくは、YおよびY’が同一であり;
Zが、水素、水素化ホウ素、水素化アルミニウム、カルビル、シリル、水酸化物、アルコキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、カーボネート、カルバメート、アミン、チオレート、リン化物、およびハロゲン化物からなる群から選択され;
L1およびL2が、独立して、それぞれ、XおよびYを一緒に連結し、かつX’およびY’を一緒に連結する有機リガンドであり、好ましくは、L1およびL2が同一であり;
L3が、YおよびY’を一緒に連結する任意選択的な有機リガンドである)で表される化合物を触媒として用いた金属媒介開環重合に供する工程とを含む方法が開示されている。
国際公開第2012/065711号
Focarete et al.,J.Polym.Sci.B:Polym.Phys.2001,39,1721 De Geus et al.,Polym.Chem.2010,1,525 Duda et al.,Macromolecules 2002,35,4266
先行技術を考慮して、以下のうちの1つまたは複数を提供することが、当該技術分野において依然として必要とされている:大きい環サイズの環状エステル、特に、ラクトンの開環重合のためのさらなる方法;十分に制御された分子量および多分散性を有する高分子量のポリエステルの調製を可能にする、環状エステル、特に、ラクトンの開環重合の方法;星形ポリエステルまたはコポリエステルの調製を可能にする、環状エステル、特に、ラクトンの開環重合の方法;生体適合性であり、および/またはポリエステル材料が食品と接触される用途に使用され得る触媒を用いたポリエステルの調製を可能にする、環状エステル、特に、ラクトンの開環重合の方法;または触媒の量が最小限に減少される、環状エステル、特に、ラクトンの開環重合の方法。
ここで、本発明者らは、比較的大きい環サイズを有する、環状エステル、特に、ラクトンの制御された開環重合を可能にするさらなる触媒系を発見した。その程度まで、本発明は、ポリエステルを調製する方法において、12〜40個の原子の環サイズを有する第1の環状エステルを提供する工程と、第1の環状エステルを、式I
Figure 2016521772
(式中、
Mが、金属であり、第2族金属および第12族金属からなる群から選択され;
Zが、水素、水素化ホウ素、水素化アルミニウム、カルビル、シリル、水酸化物、アルコキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、カーボネート、カルバメート、グアニデート(guanidate)、アミド、チオレート、リン化物、ヒドラゾネート(hydrazonate)、イミド、シアン化物、シアネート、チオシアネート、アジド、ニトロ、シロキシドおよびハロゲン化物からなる群から選択され;
Xが、O、N、S、およびPからなる群から選択され;
が、有機連結部分であり、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つの原子の鎖長を有し;
が、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択される有機部分であり;
が、任意選択的な有機部分であり、Rと同じかまたは異なっていてもよく;
、R、R、Rが、有機部分であり、同じかまたは異なっていてもよく、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択されてもよく;
が、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択される有機部分である)の触媒と接触させることによって、第1の環状エステルを、開環重合に供する工程とを有してなる方法に関する。
本発明に係る方法を用いて調製される2つのコポリマーについてのDSCプロットを示す。 本発明に係る方法を用いて調製されるCL/PDLランダムコポリマーのDSCプロットを示す。
本発明者らは、式(I)の金属錯体触媒が、酵素的開環重合によって得られるものと同様の特性(多分散指数および分子量など)を有するポリマーを生じるように、比較的大きい環サイズを有する環状エステル、特に、ラクトンの金属媒介開環重合を効率的に触媒することが可能であることを見出した。さらに、この重合方法は、ラクトンの酵素的開環重合と同等またはより良好な、良好な重合速度を有することが分かった。金属Mの適切な選択によって、生体適合性であることが認められ(biocompatible approved)、および/または使用される触媒の総量の減少を可能にし、および/または星形または他のトポロジーのポリマーを得ることを可能にする触媒系が得られる。したがって、本方法を用いることによって、上記の目的の一部または全てが達成される。
基Zに関して:
水素化ホウ素が、BH4−xであってもよく、ここで、xが、0〜3の整数であり、Rが、カルビルまたはアルコキシドであり、
水素化アルミニウムが、AlH4−xであってもよく、ここで、xが、0〜3の整数であり、Rが、カルビルまたはアルコキシドであり、
カルビルが、任意の炭化水素、−CR、−Ar(アリール)、−CR=CR、−C≡CRであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
シリルが、−SiRであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
アルコキシドが、−ORであってもよく、ここで、Rが、任意選択的に置換されたアルキルであり、
カルボキシレートが、−OC(=O)Rであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
チオカルボキシレートが、−SC(=O)Rであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
ジチオカルボキシレートが、−SC(=S)Rであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
グアニジネート(guanidinate)が、−N=C(R)N(R)RまたはN(R)C(R)=NRであってもよく、ここで、R、R、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
カーボネートが、−OC(=O)ORであってもよく、ここで、Rが、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
カルバメートが、−OC(=O)NRであってもよく、ここで、Rが、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
アミドが、−NRであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
チオレートが、−SRであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
リン化物が、−PRであってもよく、ここで、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
ヒドラゾネートが、−N(R)N=C(R)Rであってもよく、ここで、R、R、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールであり、
イミドが、−N=C(R)Rであってもよく、ここで、R、Rが、水素、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアリールである。
本明細書において使用される際の「カルビル」という用語は、アルキル、アリール、ビニル、およびアセチレンを含む全てのタイプの炭化水素を指すことが意図される。
置換基Zは、特に、水素化ホウ素または水素化アルミニウムであり得る。水素化ホウ素(例えばBH)および水素化アルミニウム(例えばAlH)は、水素化物を介して結合するアニオン種である。これは、Μ(μ−Η)AΗ(M=上に定義されるとおりであり、A=BまたはAlである)として示され得る。
好ましくは、Zが、エチルまたはメチル、プロピルおよびブチルなどの、1〜4つの炭素原子を有するカルビル基であり、またはZが、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチルであり、またはZが、メトキシド、エトキシド、またはベンジルオキシドなどの、1〜20個の炭素原子を含有するアルコキシド基である。Zが、1〜4つの炭素原子を有するカルビル基である場合、例えばアルコールで触媒を活性化するときの使用の際、それぞれの有機分子が、残基が残らないように、気体形態で反応混合物から放出される。例えば、Zがエチルである場合、アルコールによる触媒の活性化の際、エタンが放出され、触媒活性金属アルコキシドが形成される。
金属Mは、好ましくは、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムからなる群から選択され、好ましくは、マグネシウム、カルシウム、または亜鉛である。本発明者らは、これらの金属をベースとする触媒は、高分子量ポリマーを得ることを可能にし、比較的容易に調製され得ることを見出した。それに加えて、カルシウム、マグネシウム、および亜鉛金属が、生体適合性である。金属カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムが使用される場合、生きた触媒系が得られる。生きた触媒系とは、触媒が失活するまでまたはさらなるモノマーが反応混合物中に残らなくなるまで、触媒が、開環重合中、活性を保つことを意味する。触媒の失活は、例えば、酸性メタノールを反応混合物に加えることによって行われ得る。第2族または第12族の中の他の金属が、カルシウム、亜鉛およびマグネシウムと同様の挙動を示し得るが、経済的観点からあまり好ましくないことがあり、および/またはより低い重合速度をもたらすことがあり、および/またはエステル交換反応ももたらし得る。例えば、本発明者らは、金属としてアルミニウムをベースとする触媒が、いくらかの低分子量環状オリゴマーが生成される効果を与えるあるエステル交換反応(特に、バックバイティング(back−biting))をもたらすことを見出した。さらに、任意のブロック状(blocky)コポリマーが、さらなるランダム型コポリマーにゆっくりと変換される。したがって、厳密に言えば、アルミニウムをベースとする触媒は、生きた触媒とみなすことはできない。それにもかかわらず、このような触媒系は、十分に制御された触媒系と呼ばれ得る。式IのRが、好ましくは、1〜30個の炭素原子を含有し、N、O、F、ClおよびBrから選択される1〜10個のヘテロ原子を任意選択的に含有する、直鎖状もしくは分枝鎖状脂肪族鎖、または環状もしくは芳香族部分である。Rが、飽和部分であり得る。特に好ましいのは、1〜4つ、または2〜4つの炭素原子の鎖長を有する直鎖状または分枝鎖状飽和脂肪族鎖である。Rが、好ましくは、ヘテロ原子を含有しない。Rが、−(C)−、−(C)−、−(C)−であり得る。Rが環状部分である例は、シクロヘキシルである。
本方法の好ましい実施形態において:
XがNであり、
、RおよびRが水素であり、および/または
およびRが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2,2 ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3 ジメチルブタン、シクロヘキサン、アダマンチル、メトキシド、エトキシド、(n−/t−)ブトキシド、アリールオキシドおよびハロゲン化物から選択される。
本発明の方法のさらなる好ましい実施形態において:
が、−[CH−CH]−連結部分であり、RおよびRが水素であり、および/または
、RおよびRが水素であり、および/または
およびRがtert−ブチルであり、および/または
XがNであり、および/または
Zが、エチルまたはN(Si−CHである。
特定の実施形態において、触媒は、
Figure 2016521772
から選択される。
開環重合の機構および開始は、当業者に周知であり、例えば、“Handbook of Ring−opening Polymerization,2009,Eds.Philippe Dubois,Olivier Coulembier,Jean−Marie Raquez,Wiley VCH,ISBN:978 3 527 31953 4”に記載されている。
触媒の重要な態様は、これらの触媒が、生きた/十分に制御された挙動を示すことである。さらに、これらの触媒は、過剰なプロトン性連鎖移動剤の存在下で安定しており、それにより、不死の触媒系が生成され、活性を喪失せずに、分子量、PDIおよびポリマー微細構造(ランダムおよびブロックコポリマー)ならびにトポロジー(直鎖状、星形(コ−)ポリマー)に対する完全な制御を保ちながら、活性部位当たり複数のポリマー鎖の生成を可能にする。
第1の環状エステルは、12〜40個の原子、好ましくは、12〜24個の原子の環サイズを有する。好ましくは、第1の環状エステルは、ラクトンである。好ましくは、エステルの酸素以外の、環を形成する原子は、炭素原子である。第1の環状エステルは、例えば、11−ウンデカラクトン、12−ドデカラクトン、13−トリデカラクトン、14−テトラデカラクトン、15−ペンタデカラクトン(またはω−ペンタデカラクトン)、グロバリド(globalide)、16−ヘキサデカラクトン、アンブレットリド、17−ヘプタデカラクトン、18−オクタデカラクトン、19−ノナデカラクトンであり得る。特に好ましい第2の環状エステルは、それらの商業的入手性および/または製造の容易さおよび良好な反応性を考慮して、ペンタデカラクトン、18−オクタデカラクトン、12−ペンタデセン−15−オリド(グロバリドとして知られている)および7−ヘキサデセン−16−オリド(アンブレットリドとして知られている)である。好ましくは、第2の環状エステルは、環中に1つのみのエステル官能基を有する。
本明細書において使用される際の環サイズという用語は、環状エステル中の環を形成する原子の数を指す。例えば、カプロラクトンは、7員環、すなわち、7の環サイズを有する。カプロラクトンの環は、6つの炭素原子および1つの酸素原子からなる。
本発明に係る方法は、好ましくは、4〜40個の原子の第2の環サイズを有する第2のまたはさらなる環状エステルを提供する工程をさらに含んでいてもよく、ここで、第1および第2の環状エステルの両方が、前記開環重合に供される。言い換えると、本方法は、環状エステルの単独重合に限定されず、第2のまたはさらなる環状エステルを反応に加えることによって、コポリマーを調製するのにも使用され得る。
第2の(またはさらなる)環状エステルは、4〜8個の原子などの4〜11個の原子の環サイズを有する環状エステルであり得る。好ましくは、第2のまたはさらなる環状エステルは、環中に単一のエステル基を有する環状エステルであるラクトンである。好ましくは、エステルの酸素以外の、環を形成する原子は、炭素原子である。第2のまたはさらなる環状エステルの例としては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、3−メチルオキセタン−2−オン、γ−バレロラクトン、カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ε−デカラクトン、5,5−ジメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン、(S)−γ−ヒドロキシメチル−γ−ブチロラクトン、γ−オクタノラクトン、γ−ノナノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、グリコリド、ラクチド(L、D、メソ)、ヘプタラクトン、オクタラクトン、ノナラクトン、デカラクトンが挙げられる。好ましくは、第2のまたはさらなる環状エステルは、環中に1つのみのエステル官能基を有する。
第2の(またはさらなる)環状エステルはまた、12〜24個の原子などの12〜40個の原子の環サイズを有する環状エステルであり得る。第2のまたはさらなる環状エステルは、好ましくは、ラクトンである。好ましくは、エステルの酸素以外の、環を形成する原子は、炭素原子である。第2のまたはさらなる環状エステルは、例えば、11−ウンデカラクトン、12−ドデカラクトン、13−トリデカラクトン、14−テトラデカラクトン、15−ペンタデカラクトン(またはω−ペンタデカラクトン)、グロバリド、16−ヘキサデカラクトン、アンブレットリド、17−ヘプタデカラクトン、18−オクタデカラクトン、19−ノナデカラクトンであり得る。好ましくは、第2の環状エステルは、環中に1つのみのエステル官能基を有する。
第1および/または第2のおよび/またはさらなる環状エステルは、特に、これらがラクトンである場合、任意の異性体であってもよく、開環重合を防がない、環における有機置換基をさらに含有し得る。このような環状エステルの例としては、4−メチルカプロラクトン、1,5−ジオキセパン−2−オン(3位にエーテル置換基)、リシノール酸のラクトン((コ−1)位にヘキシル分枝を有する10員環)またはその水素化形態、13−ヘキシルオキサシクロトリデカン−2−オン(α位にヘキシル分枝を有する大員環)などが挙げられる。
第1および/または第2のおよび/またはさらなる環状エステルが、環中に1つまたは複数の不飽和を含むことがさらに可能である。このような環状エステルの例としては、5−テトラデセン−14−オリド、11−ペンタデセン−15−オリド、12−ペンタデセン−15−オリド(グロバリドとしても知られている)、7−ヘキサデセン−16−オリド(アンブレットリドとしても知られている)、9−ヘキサデセン−16−オリドが挙げられる。
第1および/または第2の環状エステルは、開環重合を防がない限り、環中に1つまたは複数のヘテロ原子をさらに有し得る。このような環状エステルの例としては、10−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、12−オキサヘキサデカノリド、および12−オキサヘキサデセン−16−オリドが挙げられる。しかしながら、好ましくは、第1および/または第2のおよび/またはさらなる環状エステルは、環中のヘテロ原子を含有しない。
第2のおよび/またはさらなる環状エステルが開環重合に供される方法の一実施形態が、単一工程または「ワンポット(one pot)」技術を用いてまたは逐次供給重合技術または逐次重合技術を用いることによって行われ得る。
本明細書において使用される際の「逐次重合」という用語は、環状エステルの逐次開環重合を意味することが理解されるべきである。この重合技術では、1つの環状エステルは、第1の環状エステルがポリマーに実質的に転化された時点で初めて重合され、次に、第2の環状エステルが、反応に加えられる。逐次供給重合方法は、第1の環状エステルの開環重合、続いて、第2のまたはさらなる環状エステルの開環重合によって、または第2のまたはさらなる環状エステルの開環重合、続いて、第1の環状エステルの開環重合によって行われ得る。逐次重合技術は、全ての環状エステルが加えられ、あるいは反応中に同時に存在する共重合技術とは全く異なり、このような技術は、おそらく、「1−ポット」、「一工程」、または「単一供給」重合技術と呼ばれる。
本方法は、これらの技術のいずれかに限定されず、例えば20%〜80%の特定の転化率に達するまで、第1の環状エステルの重合を含み、次に、第2のまたはさらなる環状エステルの添加が続く、混成の技術(hybrid technique)をさらに含み得る。
好ましくは、本方法は、一工程で行われる。
本発明の方法において、環状エステルおよび触媒の量の間のモル比は、好ましくは、20:1〜1000:1の範囲、好ましくは、40:1〜750:1の範囲、より好ましくは、50:1〜500:1の範囲である。
任意選択的に、本発明の方法に使用される触媒は、好ましくは、およそ等モル量で、開始剤と組み合わせて適用され得る。本方法に好適な開始剤としては、アルコール、水、カルボン酸、およびアミンなどのプロトン性試薬が挙げられる。このような開始剤は、当業者に周知であり、その例が、例えば、参照により本明細書に援用される、Clark et al.,Chem.Commun.2010,46,273−275およびその中に引用される参照文献に見られる。
多官能性開始剤(または連鎖移動剤)の使用は、例えば、Dong et al.,Macromolecules 2001,34,4691またはDong et al.,Polymer 2001,42,6891またはKumar et al,Macromolecules 2002,35,6835、またはZhao et al.,Chem.Mater.2003,15,2836またはCarnahan et al.,J.Am.Chem.Soc.2001,123,2905に開示されている。開環重合が開始剤の存在下で行われる一実施形態において、開始剤と触媒との間のモル比は、開始剤として使用される試薬が連鎖移動剤としても使用されない限り、約1:1である。
開始剤が連鎖移動剤としても使用される場合、環状エステルと開始剤との間のモル比は、本発明に係る方法にしたがって調製されるポリエステルの分子量を調整するための手段として使用され得る。その程度まで、本発明者らは、ポリマーの分子量が、環状エステル対開始剤の比率の増加とともにほぼ線形的に増加することを見出した。
開始剤が連鎖移動剤として使用される一実施形態において、開始剤は、活性部位当たり2つ以上の鎖を生成するために、触媒に対して過剰に加えられる。適用される触媒の量は、触媒効率の増加により、連鎖移動剤の存在下で減少され得る。存在する場合、連鎖移動剤のモル量は、典型的に、触媒のモル量の1〜1000倍の範囲、好ましくは、触媒のモル量の10〜100倍、より好ましくは、10〜50倍の範囲である。この実施形態において、モノマー対触媒の比率は、1000:1超であり得、例えば1000000以下の比較的高い値に達し得る。
開環重合反応は、好ましくは、触媒が不活性雰囲気下でより良好に機能するという理由により、窒素雰囲気中などの不活性雰囲気中で、および好ましくは、(実質的な量の)水の非存在下で行われる。
必要に応じて、本発明の開環重合は、脂肪族または芳香族炭化水素(例えばヘプタン、トルエン)、ハロゲン化脂肪族または芳香族炭化水素(例えばジクロロメタン、ブロモベンゼン)、およびエーテル(例えばジエチルエーテル)などの溶媒の存在下で行われ得る。溶媒は、環状エステルを溶解させ、および/または重合速度および選択性を増大させるのに使用され得る。しかしながら、開環重合はまた、バルクモノマー中で行われ得る。
本発明の方法によって調製されるポリエステルの分子量は、広い範囲内で変化してもよく、環状エステルと触媒との間のモル比および、該当する場合、連鎖移動剤(または開始剤)の量およびタイプを選択することによって、特定の特性を満たすように調整され得る。
有利には、本発明の方法は、ラクトンの酵素的開環重合に使用される酵素が通常分解する比較的高いプロセス温度で行われる。典型的に、本発明の方法は、80〜175℃の範囲、または90〜150℃の範囲などの、70〜180℃の範囲の温度で行われ得る。
本発明の方法に使用される触媒の量は比較的少ないため、ポリマー生成物が調製された後、ポリマー生成物から触媒を分離する直接の必要性がない。しかしながら、何らかの理由で触媒を分離する必要がある場合、これは、例えば、好適な溶媒中でのポリマーの沈殿によって行われ得る。
本方法を用いて得られるポリエステルは、所望の機械的特性または溶融粘度を得るように、ワックス状材料が必要とされる場合の比較的低い値から、または比較的高い値まで、任意の所望の分子量を有し得る。好ましくは、数平均分子量(M)は、例えば150000g/molの実際の上限を有し、少なくとも2000グラム/molである。より好ましいMは、30000〜100000g/molまたは50000〜80000グラム/molである。
本方法のさらなる態様は、それが、好ましくは、3以下の比較的低い多分散指数を有するポリエステルの製造を可能にすることである。本明細書において定義される多分散指数、すなわちPDIは、重量平均分子量および数平均分子量の比率(M/M)を意味する。より好ましくは、PDIは、1〜3または1〜2である。
本発明に係る方法によって得られるポリエステルは、直鎖状ポリマー、Y形分枝鎖状ポリマー、H形分枝鎖状ポリマーなどの星形ポリマー、および櫛形、またはブラシ形ポリマーであり得る。
Y形分枝鎖状ポリマーは、中心点で互いに結合される3つの分枝を有するポリマーである。このようなタイプのポリマーは、より一般的な用語である星形ポリマーの一種である。
H形分枝鎖状ポリマーは、中心連結基(または架橋)から互いに結合される4つの分枝を有するポリマーである。このようなタイプのポリマーは、より一般的な用語である星形ポリマーの一種である。架橋は、例えば、4つの分枝がそれから延びる2〜6つの炭素原子の鎖長を有する短い炭化水素鎖であり得る。
櫛形またはブラシ形ポリマーは、複数の分枝(櫛またはブラシの歯部)がそれから延びる主鎖(櫛またはブラシの基部)としての直鎖状分子鎖を有するポリマーである。
星形ポリマーは、複数の分枝がそれから延びる中心を有するポリマーである。中心は、単一の原子または小さい炭化水素であり得る。
本発明者らは、ポリマーのタイプを調整する際のこの柔軟性は、本発明に係る方法の強みであると考えている。ポリマーのタイプは、適切な開始剤(または連鎖移動剤)を選択することによって調整され得る。例えば、ペンタエリトリトールが、開始剤として選択される場合、4つの分枝を有する星形ポリマーが形成され得る。
本発明の方法を用いて得られるポリエステルは、本方法に使用される第1および/または第2の環状エステルの数平均分子量、多分散指数、タイプ、およびそれぞれの量などのそれらのそれぞれの特性に応じて、多種多様な用途に使用され得る。
ポリエステルは、高い機械的強度を有する繊維の作製に使用され得る。特に、高い分子量および比較的低い多分散指数を有するコポリマーが、この目的のために好適である。
ポリエステルは、生物医学用途にさらに使用され得る。これに関して、ポリエステルの分解性が、コモノマーの組み込みによって調整され得ることが非常に有利である。例えば、比較的小さい環サイズを有するラクトンからの(コ)ポリマーが、大きい環サイズを有するラクトンより生分解性であることが知られている。そのため、コポリマーの組成(すなわち、第1および第2のラクトンの選択および量)を調整することによって、所望の生分解性を得ることができる。コポリマーがよりランダムであるほど、この生分解性がより均一になる。
生物医学用途の例としては、ねじ(骨用など)、足場材料、縫合糸、薬剤送達デバイスなどが挙げられる。
ポリエステルは、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリオレフィンなどの他のポリマー材料をさらに含むポリマー組成物にさらに使用され得る。
これより、本発明が、決して限定的であることは意図されていない以下の実施例および図によってさらに例示される。
特に記載されない限り、全ての溶媒および試薬を、商業的供給源から購入した。p−キシレン(99.9%)を、ナトリウム上で乾燥させ、窒素下で分別蒸留し、使用前に脱気した。ヘキサデカノール、ペンタデカラクトン、ε−デカラクトン、アンブレットリド、ε−カプロラクトン、およびβ−ブチロラクトンを、使用前に窒素下でCaHから新たに蒸留した。トルエンを精製カラムに通し、使用前に脱気した。
Hおよび13Cのそれぞれについて400MHzおよび100.62MHzの周波数で動作するVarian Mercury Vx分光計を用いて、H NMRおよび13C NMRスペクトルを、CDCl中で、室温で記録した。H NMR実験では、スペクトル幅は、6402.0Hzであり、取得時間は1.998秒間であり、記録された走査の回数は64であった。13C NMRスペクトルを、24154.6Hzのスペクトル幅、1.300秒間の取得時間、および256回の走査で記録した。化学シフトを、テトラメチルシラン(TMS)に対するppmで報告し、TMSに対する参照により決定した。
高温サイズ排除クロマトグラフィー(HT−SEC)を、連続した3 PLgel Olexis(300×7.5mm、Polymer Laboratories)カラムを備えたPolymer Laboratories PLXT−20 Rapid GPC Polymer Analysis System(屈折率検出器および粘度検出器)を用いて、160℃で行った。1,2,4−トリクロロベンゼンを、1mL/分の流量で溶離剤として使用した。分子量を、ポリエチレン標準試料(Polymer Laboratories)に対して計算した。Polymer Laboratories PL XT−220ロボット試料取り扱いシステム(robotic sample handling system)を、オートサンプラとして使用した。
溶融温度(T)を、TA Instruments製のDSC Q100を用いて示差走査熱量測定(DSC)によって測定した。測定を、−60℃から130℃へと10℃/分の加熱および冷却速度で行った。推移を、第2の加熱および冷却曲線から推定した。約20℃に冷却した後、第1および第2の実行を記録した。報告される溶融温度は、第2の実行における溶融ピークに相当する。
単独重合条件
グローブボックス中で、環状エステル(ラクトン)モノマー、触媒および等モル量のアルコール(R−OH)を、小さいガラス製クリンプキャップバイアルに入れた。乾燥したトルエンを加え、バイアルに蓋をした。反応混合物をグローブボックスから取り出し、100℃で所定の時間にわたって撹拌した。全ての反応について、一定分量の粗ポリマーを、重合の終了時に取り出し、H NMR分光法によってモノマー転化率を決定するために、CDClに溶解させた。次に、混合物の冷却、減圧下におけるトルエンの除去、およびポリマーを沈殿させるための過剰なメタノール(約5mL)の添加によって、反応を停止させた。生成されたポリマーを単離し、少なくとも18時間にわたって室温で、減圧下で乾燥させ、特に、高温サイズ排除クロマトグラフィー(HT−SEC)、示差走査熱量測定(DSC)、およびH、13C核磁気共鳴分光法(NMR)によって特性評価した。
共重合条件
グローブボックス中で、第1および第2の環状エステル(ラクトン)、触媒、および(触媒に対して)等モル量のアルコール(ROH)を、小さいガラス製クリンプキャップバイアルに同時に入れた。バイアルに蓋をし、グローブボックスから取り出し、100℃で所定の時間(1〜18時間)にわたって撹拌した。次に、一定分量の粗ポリマーを、モノマー転化率の決定のためにバイアルから取り出した。次に、コポリマーをTHF中で沈殿させ、18時間にわたって減圧下で乾燥させ、特に、高温サイズ排除クロマトグラフィー(HT−SEC)、示差走査熱量測定(DSC)、およびH、13C核磁気共鳴分光法(NMR)によって特性評価した。
ブロック共重合のための共重合条件
第1の環状エステル(ラクトン)モノマーおよびトルエン(またはバルク条件においては直接)を、グローブボックス中で、不活性窒素雰囲気下で、ガラス製クリンプキャップバイアル中に移した。ある量のアルコール(例えばBnOH)を混合物に加え、次に、バイアルに蓋をし、反応を、100℃で所定の反応時間にわたって行った。反応時間の終了時に、一定分量を、分析のために取った。次に、分析に基づいて、ある量の第2の環状エステル(ラクトン)モノマーを、不活性条件下でバイアルに加え、その後、バイアルを再度密閉し、100℃で所定の反応時間にわたってさらに反応させた。この第2の反応時間の終了時に、一定分量を取り出し、NMRのためにCDClに溶解させ、混合物を酸性メタノールによってクエンチし、沈殿したポリマーをろ過し、メタノールで数回洗浄し、さらなる特性評価の前に、24時間にわたって減圧下で乾燥させた。
触媒の調製
本方法に使用される触媒は、当該技術分野において公知の手順を用いて調製され得る。このような方法の例が、Cameron et al.,J.Chem.Soc,Dalton Trans.2002,3,415および/または国際公開第2004/081020号および/またはTroesch et al.,Anorg.Allg.Chem 2004,630,2031−2034および/またはChamberlain et al.,J.Am.Chem.Soc.2001,123,3229および/またはColesand et al.,Eur.J.Inorg.Chem.2004,2662および/またはDarensbourg,D.J.;Choi,W.;Richers,C.P.Macromolecules 2007,40,3521に見られる。
触媒1
第1の触媒を、スキーム1にしたがって調製した。
Figure 2016521772
トルエン(10mL)中のZnEt(1.71mLの、ヘキサン中1.1Mの溶液、1.88mmol)の溶液を、20℃で、トルエン(10mL)中の(イミノフェノレート)プロリガンド{ONN}H(0.52g、1.71mmol)の溶液に加えた。反応を室温で24時間行い、その後、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を低温の石油エーテル(2×10mL)で洗浄し、黄色の粉末の形態の触媒1(0.56mg、83%)が得られた。
H NMR(400MHz、CDCl、298K):δ 0.17(q,J=7.9Hz、2H、Zn−CH)、1.20(t,J=8.1Hz、3H、Zn−CHCH)、1.27(s,9H、t−Bu)、1.43(s,9H、t−Bu)、2.37(s,6H、N(CH)、2.60(t,J=6.3Hz、2H、NCHCHNMe)、3.67(t,J=6.3Hz、2H、NCHCHNMe)、6.91(s,1HAr)、7.33(s,1HAr)、8.15(s,1H、CH=N)。
13C{H}NMR(75MHz、C、298K):δ 12.40(Zn−CH)、29.06(Zn−CHCH)、31.13(C(CH)、33.61(C(CH)、45.92(N(CH)、55.64(NCHCHNMe)、60.53(NCHCHNMe)、127.85、128.61、137.96、140.89(CAr)、168.75(C=N)。
触媒2
第2の触媒を、触媒1と同様の手順を用いて、およびスキーム2にしたがって調製した。
Figure 2016521772
触媒2を、触媒1の調製と同様の手順を用いて調製した。AlMe(1.25mLの、ヘプタン中1.5Mの溶液、1.88mmol)を、24時間にわたって室温で、トルエン(10mL)中のプロリガンド{ONN}H(0.56g、1.84mmol)と反応させ、後処理(work−up)の後、触媒2が白色の粉末(0.57g、86%)として得られた。
H NMR(400MHz、C、298K):δ−0.52(s,6H、Al(CH)、1.06(s,9H、tBu)、1.40(s,9H、tBu)、1.62(s,6H、N(CH)、1.84(t,J=6.3Hz、2H、NCHCHNMe2)、2.64(s,2H、NCHCHNMe2)、6.56(s,1H、HAr)、6.91(s,1H、HAr)、8.02(s,1H、CH=N)。
13C{H}NMR(100MHz、C、298K):δ−8.23(Al(CH)、29.92(C(CH)、31.94(C(CH)、35.60(C(CH)、36.58(C(CH)、42.76N(CH)、54.10(NHCHCHN)、60.53(NCHCHNMe)、125.56、127.60、134.12、142.15(CAr)、172.34(C=N)。
触媒3
第3の触媒を、スキーム3にしたがって調製した。
Figure 2016521772
プロリガンド{ONN}H(0.64g、2.10mmol)およびNaN(SiMe(0.77g、4.21mmol)を、10mlのTHFに溶解させることによって、触媒3を調製した。室温で6時間撹拌した後、混合物を、THF(5mL)中のCal(0.62g、2.11mmol)に加えた。次に、混合物を室温で24時間撹拌した。形成された沈殿物を、ろ過によって除去し、THF(2×10mL)で洗浄した。THF相を組み合わせて、THF(溶媒)を減圧下で除去したところ、オレンジ色の残渣が得られ、次に、それを石油エーテル(5×2mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させたところ、黄色の粉末の形態の触媒3(1.02g、85%)が得られた。
H NMR(400MHz、CDCl、298K):δ 0.04(s,18H、Si(CH)、1.34(s,9H、C(CH)、1.43(s,9H、C(CH)、1.56(s,6H、N(CH)、1.74(m,4H、β−CH THF)、1.94(t,J=6.3Hz、2H、NCHCHNMe2)、2.64(s,2H、NCHCHNMe2)、6.56(s,1H、HAr)、3.61(m,4H、α−CH THF)、6.70(s,1H、HAr)、6.91(s,1H、HAr)、8.10(s,1H、CH=N)。
13C{H}NMR(100MHz、CDCl、298K):δ 2.12(Si(CH)、25.43(β−CH THF)、29.14(C(CH)、31.41(C(CH)、33.66(C(CH)、35.27(C(CH)、42.76N(CH)、54.10(NHCHCHN)、60.53(NCHCHNMe)、125.56、127.60、134.12、142.15(CAr)、167,79(Ar中のCO)、172.34(C=N)。
実験1:単独重合
表1は、本発明者らによって行われた単独重合実験をまとめたものである。触媒1、触媒2、および触媒3を用いて、実験を行い、環状エステルモノマーは、ペンタデカラクトン(PDL)、アンブレットリド(Amb)およびグロバリド(Glob)であった。アルコールROHは、BnOHであった。ラクトンのα−メチレン水素におけるH NMRを用いて、環状エステル(モノマー)転化率を決定した。TOFは、ターンオーバー頻度(Turn Over Frequency)を表し、それは、転化率および時間の比率である。[mol/l]は、重合反応前のモノマーのリットル当たりのmol単位の濃度を意味する。[Mon]/[M]/ROHという用語は、重合反応の開始前のモノマー対触媒の金属対アルコールのモル比を意味する。
Figure 2016521772
触媒1および触媒2を用いたさらなる実験を、モノマーとしてPDLを用いて行った。これらの実験は、以下の表2にまとめられている。重合を、本明細書に開示されるように行った。[BnOH]という用語は、重合に使用される触媒のmol当たりのベンジルアルコールのモル量を意味する。
Figure 2016521772
表2からの結果は、[BnOH]が増加すると、ポリマー(PPDL)の得られる分子量が減少することを示す。これは、触媒の生きたまたは少なくとも十分に制御された性質およびベンジルアルコールが連鎖移動剤として働くことに起因する。この結果は、触媒の金属中心が安定しており、リガンドが、それらの条件(過剰な遊離アルコール)下で置換されないことをさらに示唆する。それに制約されることを望むものではないが、本発明者らは、これが、重合プロセス中の、成長しているポリマー(PPDL)鎖と遊離アルコールまたはヒドロキシル末端ポリマー鎖との間の速い可逆的変換によって説明され得ると考えている。したがって、触媒系(すなわち、アルコールと合わせた触媒)のこの特性は、触媒の量を最小限に抑え、金属残渣による最終的なポリマーの汚染の制限に役立つように使用され得る。
表2は、得られるポリマー(PPDL)の多分散指数が比較的低く、試料17は別として、2未満であることも示す。表2は、アルミニウム系触媒2が、それぞれ4時間および24時間後に得られるポリマーを比較した際に、同程度の分子量の増加をもたらさないことをさらに示す。本発明者らは、この発見をアルミニウム金属中心によって触媒されるエステル交換反応に起因すると考えている。
実験2:PPLおよびCLの逐次供給共重合
PDLモノマーおよびトルエンを、グローブボックス中で、不活性窒素雰囲気下でバイアル中に移した。触媒1および(触媒に対して)等モル量のBnOHを混合物に加え、次に、バイアルに蓋をし、所定の反応時間にわたって100℃の油浴に入れた。反応期間の終了時に、一定分量を分析のために取り、計算した比率のカプロラクトン(CL)モノマーを加え、次に、密閉したバイアルを、さらなる所定の時間にわたって100℃にしておいた。実験2において、CL/PDLモル比は2:1であった。終了時に、一定分量を取り出し、NMRのためにCDClに溶解させ、混合物を酸性メタノールによってクエンチし、沈殿したポリマーをろ過し、メタノールで数回洗浄し、特性評価の前に、24時間にわたって減圧下で乾燥させた。
実験3:PDLおよびCLの逐次供給共重合
実験3を、触媒として触媒3を用いた以外は実験2と同様に行った。
実験2および3において調製されたポリマーのDSCプロットが、図1に示される。上側の曲線が、実験2に相当し、下側の曲線が、実験3に相当する。両方のDSC曲線は、2つの別個の溶融温度を有する2つの吸熱部分を示し、これは、約55℃の溶融温度を有するブロックポリカプロラクトン(PCL)および約94℃の溶融温度を有するPPDLに相当する。本発明者らは、100℃で18時間後、ブロック状の構造がまだ維持され、コポリマー主鎖中のモノマーの再分配が起こらなかったため、触媒1または触媒3によって触媒されるCLおよびPDLの(逐次)共重合が、エステル交換副反応なしで行われることを見出した。この発見を確認するために、触媒1およびエステル交換触媒(TBD/BnOH(1% w/w))を用いて生成されるブロックポリ(PDL−b−CL)コポリマーの混合物を、18時間撹拌し、試料を、設定された時間間隔(2、7および18時間)で取り、DSCによって分析した。ブロック状のコポリマー構造は、実際に、PCLおよびPPDLの融点の間の単一の融点を有する完全にランダムなコポリマーへと徐々に変換された。
逐次供給によって得られるポリ(PDL−コ−CL)コポリマーのブロック特性は、H NMRスペクトルにおける2つの重複三重項の存在によってさらに裏付けられ、前記三重項のそれぞれが、それぞれPCLおよびPPDLブロックにおけるCLおよびPDL単位のα−メチレン基のプロトンに相当する。
実験4:CLおよびPDLのワンポッド共重合
グローブボックス中で、PDL、CL、触媒1、および(触媒に対して)等モル量のBnOHを、小さいガラス製クリンプキャップバイアルに同時に入れた。バイアルに蓋をし、グローブボックスから取り出し、100℃で所定の時間(1〜18時間)にわたって加熱した。全ての反応について、一定分量の粗ポリマーを、共重合転化率の決定のために取り出した。次に、コポリマーをTHF中で沈殿させ、18時間にわたって減圧下で乾燥させ、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、示差走査熱量測定(DSC)、およびH、13C核磁気共鳴分光法(NMR)によって特性評価した。
図2は、3つの異なるモノマーモル比CL/PDLで調製された3つのコポリマーのDSCプロットを示す。図2は、PDL(下側)およびPCL(上側)ホモポリマーのDSCプロットをさらに示す。DSCプロットは、ブロック(またはブロック状)コポリマーではなくランダムコポリマーの形成を示す単一の溶融ピークのみを示す。CL/PDLの比率に応じて、溶融ピークは、PDLホモポリマーまたはPCLホモポリマーの溶融ピークのいずれかに近づくであろう。ワンポット合成によって得られるポリ(PDL−コ−CL)コポリマーのランダム特性は、H NMRスペクトルにおけるCLおよびPDL単位の両方のα−メチレン基のプロトンに相当する1つのみの三重項によってさらに裏付けられる。
実験5:ペンタデカラクトンとε−デカラクトン(eDL)とのコポリマー
本発明者らの予想に反して、PDLおよびeDLが、ワンポット合成を用いて共重合されると、ブロック状コポリマーが得られたことが分かった。それに厳密に制約されることを望むものではないが、本発明者らは、この発見が、eDLのブチル分枝が、重合の際にPDL単位の挿入に与える立体障害に起因すると考えている。eDLおよびPDLの立体障害および立体配座は、eDLの好ましい重合を引き起こす2つのモノマーの反応性の差に影響を与える。実験を、実験4と同様の実験条件を用いて、触媒1を用いて行った。反応を100℃で行い、触媒1対BnOHの比率は1であり、PDLおよびeDLの組み合わされた濃度は、4.16mol/lであった。
表3は、実験をまとめたものである。[M]は、モル当量のモノマー、すなわち、環状エステルを表し、[Cat]は、モル当量の触媒を表し、[BnOH]は、モル当量のBnOHを表し、[PDL]は、モル当量のPDLを表し、[eDL]は、モル当量のeDLを表す。Trは、反応時間を意味する。転化率を、H NMRスペクトルから決定し、パーセンテージで表した。数平均および重量平均分子量を、ポリエチレン標準試料に対するTCB中のHT−SECを用いて決定した。PDI(多分散指数)は、M/Mの比率である。試料#1〜5についての実験を、100℃で、バルクで行った一方、試料#6〜16についての実験を、100℃の温度で、溶媒中で行った。
Figure 2016521772
試料#6〜#13から、eDLが、約2時間以内に完全に転化される一方、その時点で、PDLは、わずか24%まで転化されていることが観察され得る。得られたポリマーは、ブロック状コポリマーであることが分かり、これは、DSC、NMRおよびMALDI−ToF−MSなどの分析技術を用いて確認した。
興味深いことに、PDLの単独重合が、3.5時間後に約95%の転化率に達する一方、eDLを用いた共重合の際、この転化率に、わずか約14時間後に達する。これらの結果は、この実験5について上述される本発明者らの発見を裏付けるものである。
実験6:PDLとε−デカラクトン(eDL)とのコポリマー
PDLおよびeDLを、ワンポット合成を用いて、100℃で、バルクで共重合した。反応を100℃で行い、触媒3対BnOHの比率は1であり、eDIの量は0.354gであり、PDLの量は0.500gであり、触媒3の量は0.0239gであった。表4は、実験をまとめたものである:
Figure 2016521772
試料#1〜#6は、PDLの単独重合を示す。転化率は、1時間後に既に高いレベルに達する(91%)。試料#2〜#6は、PDLの転化率が、ほぼ100%になるまで徐々に増加し、分子量および多分散性が、程度の差はあるが、安定したレベルのままであることを示す。
要約すると、ポリエステルを調製する方法において、12〜40個の原子の環サイズを有する第1の環状エステルを提供する工程を含み、好ましくは、ここで、第1の環状エステルが、ラクトンであり、好ましくは、ペンタデカラクトン、アンブレットリド、グロバリド、および18−オクタデカラクトンからなる群から選択され、4〜40個、好ましくは、4〜11個の原子の第2の環サイズを有する第2の環状エステルを提供する工程と、第1の環状エステルを、式I
Figure 2016521772
(式中、
Mが、金属であり、第2族金属および第12族金属からなる群から選択され、好ましくは、ここで、金属Mが、Ca、ZnおよびMgからなる群から選択され、好ましくは、CaまたはZnであり、
Zが、水素、水素化ホウ素、水素化アルミニウム、カルビル、シリル、水酸化物、アルコキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、カーボネート、カルバメート、グアニデート、アミド、チオレート、リン化物、ヒドラゾネート、イミド、シアン化物、シアネート、チオシアネート、アジド、ニトロ、シロキシドおよびハロゲン化物からなる群から選択され、好ましくは、ここで、Zが、エチルまたはN(Si−CHであり;
Xが、O、N、SおよびPからなる群から選択され、好ましくは、ここで、XがNであり;
が、有機連結部分であり、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つの原子の鎖長を有し、好ましくは、ここで、Rが、1〜30個の炭素原子を含有し、N、O、F、ClおよびBrから選択される1〜10個のヘテロ原子を任意選択的に含有する、直鎖状もしくは分枝鎖状脂肪族鎖、または環状もしくは芳香族部分であり、好ましくは、ここで、Rが、−[CH−CH]−連結部分であり;
が、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択される有機部分であり;
が、任意選択的な有機部分であり、Rと同じかまたは異なっていてもよく、好ましくは、RおよびRが水素であり;
、R、R、Rが、有機部分であり、同じかまたは異なっていてもよく、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択されてもよく、好ましくは、ここで、RおよびRが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2,2 ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3 ジメチルブタン、シクロヘキサン、アダマンチル、メトキシド、エトキシド、(n−/t−)ブトキシド、アリールオキシド、およびハロゲン化物から選択され、好ましくは、ここで、R、RおよびRが水素であり;
が、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択される有機部分であり、好ましくは、ここで、RおよびRがtert−ブチルである)の触媒と接触させることによって、第1の環状エステルおよび任意選択的な第2の環状エステルを開環重合に供する工程とを任意選択的にさらに含み;
特に、触媒が、
Figure 2016521772
からなる群から選択される方法。
上記の実施形態のいずれかにおいて、以下の条件の1つまたは複数が適用され得る:重合が、一工程で行われ;ポリエステルが、ランダムコポリエステルであり;重合が、少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つのヒドロキシル基を有する有機化合物からなる開始剤の存在下で行われ;重合が、70〜180℃の範囲、好ましくは、80〜175℃の範囲、より好ましくは、90〜150℃の範囲の温度で行われ;ポリエステルが、直鎖状ポリエステル、星形ポリエステルまたは櫛形ポリエステルである。
本明細書における「a」および「an」および「the」という用語は、量の限定を表さず、本明細書に特に示されない限り、または文脈上明らかに矛盾していない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。「または」は、特に明確に示されない限り、「および/または」を意味する。本明細書に開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに組み合わせることができる。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。さらに、本明細書における「第1の」、「第2の」などの用語は、何らかの順序、量、または重要性を表さず、ある要素を別の要素と区別するのに使用される。
特定の実施形態が記載されているが、現在、予測されないまたは予測できない代替例、変更、変形、改良、および実質的な均等物が、本出願人または他の当業者に想起され得る。したがって、出願され、補正され得る際の添付の特許請求の範囲は、全てのこのような代替例、変更、変形、改良、および実質的な均等物を包含することが意図される。

Claims (13)

  1. ポリエステルを調製する方法において、12〜40個の原子の環サイズを有する第1の環状エステルを提供する工程と、前記第1の環状エステルを、式I
    Figure 2016521772
    (式中、
    Mが、金属であり、第2族金属および第12族金属からなる群から選択され、
    Zが、水素、水素化ホウ素、水素化アルミニウム、カルビル、シリル、水酸化物、アルコキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、カーボネート、カルバメート、グアニデート、アミド、チオレート、リン化物、ヒドラゾネート、イミド、シアン化物、シアネート、チオシアネート、アジド、ニトロ、シロキシドおよびハロゲン化物からなる群から選択され;
    Xが、O、N、S、およびPからなる群から選択され;
    が、有機連結部分であり、少なくとも1つ、好ましくは、少なくとも2つの原子の鎖長を有し、
    が、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択される有機部分であり;
    が、任意選択的な有機部分であり、Rと同じかまたは異なっていてもよく;
    、R、R、Rが、有機部分であり、同じかまたは異なっていてもよく、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択されてもよく;
    が、水素、C1〜10アルキル、シリル、C1〜6アルコキシ、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、C1〜10アミン、C1〜10ニトロ、C1〜10シアノ、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、および酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有する5員または6員複素環からなる群から選択される有機部分である)の触媒と接触させることによって、前記第1の環状エステルを、開環重合に供する工程とを有してなることを特徴とする方法。
  2. 金属Mが、Ca、Zn、およびMgからなる群から選択され、好ましくは、CaまたはZnであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. が、1〜30個の炭素原子を含有し、N、O、F、ClおよびBrから選択される1〜10個のヘテロ原子を任意選択的に含有する、直鎖状もしくは分枝鎖状脂肪族鎖、または環状もしくは芳香族部分であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. XがNであり、
    、RおよびRが水素であり、および/または
    およびRが、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2,2 ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3 ジメチルブタン、シクロヘキサン、アダマンチル、メトキシド、エトキシド、(n−/t−)ブトキシド、アリールオキシド、およびハロゲン化物から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. が、−[CH−CH]−連結部分であり、RおよびRが水素であり、および/または
    、RおよびRが水素であり、および/または
    およびRがtert−ブチルであり、および/または
    XがNであり、および/または
    Zが、エチルまたはN(Si−CHであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記触媒が、
    Figure 2016521772
    からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記第1の環状エステルが、ラクトンであり、好ましくは、ペンタデカラクトン、アンブレットリド、グロバリド、および18−オクタデカラクトンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 4〜40個、好ましくは、4〜11個の原子の第2の環サイズを有する第2の環状エステルを提供する工程をさらに含み、前記第1および第2の環状エステルの両方が、前記開環重合に供されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記重合が、一工程で行われることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ポリエステルが、ランダムコポリエステルであることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記重合が、少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つのヒドロキシル基を有する有機化合物からなる開始剤の存在下で行われることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記重合が、70〜180℃の範囲、好ましくは、80〜175℃の範囲、より好ましくは、90〜150℃の範囲の温度で行われることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記ポリエステルが、直鎖状ポリエステル、星形ポリエステル、または櫛形ポリエステルであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
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